JP2004036038A - 炭素繊維前駆体繊維、それを用いる炭素繊維の製造方法及びその炭素繊維から得られるフィラメント状カーボンナノファイバー - Google Patents
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Abstract
【課題】フィラメント状カーボンナノファイバーの集合体からなる炭素繊維、及び、その炭素繊維から得られるカーボンナノファイバーを得ることにあり、この集合体を工業技術的観点から高い品質と歩留で生産する技術を提供することにある。
【解決手段】熱処理により分解消失するポリマーを海部とし、炭素前駆体ポリマーを島部とする海島複合繊維からなる炭素繊維前駆体繊維であり、島部の直径としては30〜300μmであるこのが好ましい。又、島部が芯部:熱処理により分解消失するポリマー、鞘部:炭素前駆体ポリマーとする芯鞘構造を有していることが更に好ましい
【選択図】 なし
【解決手段】熱処理により分解消失するポリマーを海部とし、炭素前駆体ポリマーを島部とする海島複合繊維からなる炭素繊維前駆体繊維であり、島部の直径としては30〜300μmであるこのが好ましい。又、島部が芯部:熱処理により分解消失するポリマー、鞘部:炭素前駆体ポリマーとする芯鞘構造を有していることが更に好ましい
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
カーボンナノファイバーの集合体からなる炭素繊維を得るために、最適な炭素繊維前駆体繊維、炭素繊維及びカーボンナノファイバーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維状炭素のうち直径が100nmのオーダー前後のものをカーボンナノファイバーと呼び、直径が10nmのオーダー前後にまで小さくなるとカーボンナノチューブと呼ばれる(遠藤守信:炭素,[200]202−205(2001))。 カーボンナノファイバー(本件明細書において、カーボンナノチューブも含んで、カーボンナノファイバーという。)は、樹脂材料に導電性を付与及び/又は機械的性質を向上する目的で添加するフィラーとして有用な材料であり、最近では燃料電池の電極材料やガス吸蔵材料としても期待される材料である。
【0003】
従来、カーボンナノファイバーは、アーク放電法、レーザー昇華法、化学的気相分解法に代表される気相法により製造されていたが、主として金属触媒の混入に起因する純度の問題や直径、長さ等の構造の不均一性が指摘されており、高純度で均一性の高い材料と製造法が望まれていた。更に、従来の気相法では生成物がサブミクロンオーダー以下の短繊維状物からなる粉体であって、製造工程及び加工工程における取扱い性と安全衛生の面から改良が望まれていた。加えて、従来の気相法では生産性が低い為により広く工業材料として使用される為には抜本的な低コスト化製造技術が望まれていた。
【0004】
このような課題を解決する技術として、炭素前駆体樹脂を熱分解消失性樹脂に被覆したコアシェルポリマーを熱分解消失性樹脂中に分散し溶融紡糸することにより炭素繊維前駆体繊維を得た後、該前駆体繊維を加熱炭素化することによりカーボンナノチューブを得る方法が開示されている(特開2002−29719号公報)。
更に改良技術として、上記のコアシェルポリマーにおいて炭素前駆体樹脂としてポリアクリロニトリルを用い熱分解消失性樹脂としてポリメタクリル酸メチルを用いる方法が開示されている(大谷朝男:機能材料、21[5](2001)41−46)。
【0005】
このように紡糸技術により製造されたカーボンナノファイバーは、一般に紡糸法カーボンナノファイバーと呼ばれている。
【0006】
紡糸法カーボンナノファイバーは、金属触媒を用いないという点で純度が高く、更に製造物がカーボンナノファイバーの集合体からなる繊維状物であるという点において、加えて前駆体が溶融紡糸された繊維であるという点において、純度、構造の均一性、製造・加工工程通過性、安全衛生、品質、コストの問題を抜本的に解決できる糸口を与えたという意味で上述の課題を解決する方向に大きく一歩を踏み出した画期的提案と言える。
【0007】
しかしながら上記の紡糸法カーボンナノファイバーは、その製造方法から非常に短いものしか得られず、又、ポリアクリロニトリルが元来加熱溶融しない熱環化反応性ポリマーであるために溶融紡糸性には向かず、本方法により得られた炭素繊維前駆体繊維の炭素化工程の通過性も又良好であるとは言えない。従って、上記の紡糸法カーボンナノファイバーの技術は、工業技術的観点から改良の余地が十分に残されており、均一な構造を有するフィラメント状カーボンナノファイバーを得る技術として十分とは言い難い。殊に直径100nm以下のフィラメント状カーボンナノファイバーを得るという点では、更に十分とは言い難い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フィラメント状カーボンナノファイバーの集合体を工業技術的観点から高い品質と歩留で生産し得る炭素繊維前駆体繊維、それを用いた炭素繊維の製造方法及びその炭素繊維からカーボンナノファイバーを得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、熱処理により分解消失するポリマーを海部とし、炭素前駆体ポリマーを島部とする海島複合繊維からなる炭素繊維前駆体繊維にある。
【0010】
【発明の実施の形態】
(炭素繊維前駆体繊維のモルフォロジーについて)
本発明においては、炭素繊維前駆体繊維のモルフォロジー制御が最大の技術のポイントである。すなわち、炭素繊維前駆体繊維のモルフォロジーが繊維軸方向に沿って筋状構造を有し、且つ、繊維軸垂直方向断面でマトリックス相(海部)の中に島状独立相が点在している構造を有することが必要である。そして、前記マトリックス相(海部)ポリマーの主成分が熱分解性ポリマーからなり、且つ、前記島状独立相(島部)の主成分がアクリロニトリル系ポリマーからなることが必要である。
【0011】
このとき、繊維軸方向と繊維軸垂直方向の双方において、そのサイズが一様であり繊維軸方向に沿って筋状構造が切れ目のない構造であることや炭素前駆体ポリマーとして最適なアクリロニトリル系ポリマーを主成分とする島部の繊維軸垂直方向断面で見た特性距離が200nm以下であることが好ましい。
【0012】
前記炭素繊維前駆体繊維において、島部の繊維軸垂直方向断面で見た、以下に定義する特性距離が200nmを超えると炭素化処理後に得られるカーボンナノファイバーの直径が100nmを超えてしまう。従って、カーボンナノファイバーの直径を制御する上で特性距離が重要な意味をもつ。
【0013】
<特性距離の評価法>
炭素繊維前駆体繊維の繊維軸垂直方向断面の島部サイズに対応する特性距離は走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡により測定し、次式より算出できる。
特性距離=2[(島部分の面積)/π]1/2
【0014】
又、炭素繊維前駆体繊維の島部サイズが繊維断面方向において一様でないと炭素化処理後に得られるカーボンナノファイバーの直径が不均一となるので、直径が均一なカーボンナノファイバーを得るためにはそのサイズの制御が重要である。
【0015】
更に、炭素繊維前駆体繊維のモルフォロジーである筋状構造が繊維軸方向沿って均一でないと炭素化処理後に得られるカーボンナノファイバーの直径が均一で切れ目の無いフィラメント状とならない場合があるので、筋状構造が繊維軸方向沿って均一になるよう制御することが重要である。
【0016】
本発明のカーボンナノファイバーにおいて、好ましい形態である直径100nm以下で均一なものを得るには、炭素繊維前駆体繊維の紡糸直後の炭素前駆体ポリマーからなる島部のサイズを直径30μm以下に均一に制御することが肝要である。
【0017】
本発明の炭素繊維前駆体繊維において、島部の直径は30〜1000nmであることが好ましい形態である直径100nm以下で均一なカーボンナノファイバーを得る上で好ましい。島部の直径は30nm未満の場合は、連続した長さのカーボンナノファイバ−が得られにくくなる傾向があり、逆に1000nmを超えると特に直径の均一性が得られなくなる傾向がある。
前記島部は、単に炭素前駆体ポリマーのみからなっていてもよいが、島部中に更に、芯部として熱処理により分解消失するポリマーからなり、鞘部として炭素前駆体ポリマーからなる芯鞘構造を有していることが、最終的に得られるカーボンナノファイバーが好ましい形態である直径100nm以下で均一なものとなるので更に好ましい。このとき芯部の直径としては30〜1000nmであることが最も好ましい。
【0018】
本発明において、複合繊維を紡糸する方法は公知の方法でよく、特に限定しないが、炭素前駆体ポリマー及び分解消失するポリマーをそれぞれ溶剤に溶解し、それぞれ紡糸原液を調整し、複合紡糸ノズルから凝固液中に紡出する方法を採用することが、後述する炭素前駆体ポリマー及び分解消失するポリマーとして好ましいポリマーを用いる上で好ましい。
【0019】
(熱分解性ポリマーについて)
熱処理により分解消失するポリマー(以下、熱分解性ポリマーという。)とは、後述する炭素化の熱処理条件において、昇温と共に分解してガス化するポリマーを意味する。すなわち、分解温度が炭素化の熱処理温度より低いポリマーであればよい。斯かるポリマーの具体例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン等のオレフィン系ポリマー、ポリオキシメチレン等の異原子分子を含むポリマー等が挙げられ、好ましくはマレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂である。本発明に用いる熱分解性ポリマーの重量平均分子量は3万〜300万であることが好ましい。熱分解性ポリマーとしてはメタクリレート系ポリマーが好ましく、例えばポリメタクリル酸メチルのホモポリマー及び/又は他のモノマーとの共重合体を用いることができる。
【0020】
ポリメタクリル酸メチルの共重合成分モノマーとしては、特に制限は無いが、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどの代表されるメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの不飽和モノマー類であり、さらに染色性改良などの目的によっては、p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0021】
(炭素前駆体ポリマー)
本発明で用いる炭素前駆体ポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリル系ポリマー、ポリイミド、ポリアミド等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリル系ポリマーである。
【0022】
(アクリロニトリル系ポリマー)
本発明の炭素繊維前駆体繊維に好適に用いることのできるアクリロニトリル系ポリマーの重量平均分子量は3万〜300万である。アクリロニトリル系ポリマーとしてはアクリロニトリルのホモポリマー及び/又は他のモノマーとの共重合体を用いることができる。この場合、炭素化を良好に行う目的で共重合体中のアクリロニトリル組成は90質量%以上であることが好ましい。
【0023】
アクリロニトリル系ポリマーの共重合成分モノマーとしては、特に制限は無いが、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどの代表されるメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの不飽和モノマー類であり、さらに染色性改良などの目的によっては、p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0024】
アクリロニトリル系ポリマーの共重合成分モノマーとして、炭素化工程における環化反応を促進する目的でカルボン酸基を有するモノマーやアクリルアミド系モノマーを用いることが好ましい。このようなカルボン酸基を有するモノマーとしては、メタクリル酸やイタコン酸が好ましい。又、アクリルアミド系モノマーとしてはアクリルアミドが好ましい。
【0025】
(紡糸原液中の相分離液滴のサイズの制御のための第三成分)
紡糸直後の原糸中の分離状態を制御し安定化する目的で、界面活性剤、微粒子、グラフトポリマー、ブロックポリマー等を添加することにより相分離液滴界面の界面張力を低下しても良い。
【0026】
そのような場合には、炭素前駆体ポリマーと熱分解性ポリマーを成分とするグラフトポリマー及び/又はブロックポリマーを添加する方法が好ましい。
この方法は特に、直径10nm以下の均一なカーボンナノチューブを得る際に非常に有効である。
【0027】
炭素繊維前駆体繊維の紡糸原液にグラフトポリマー及び/又はブロックポリマーを添加すると、紡糸直後の炭素繊維前駆体繊維の構造は繊維軸と垂直方向の断面において分離構造を安定して得ることができ、炭素化処理によりフィラメント状の直径100nm以下のカーボンナノファイバーの集合体からなる炭素繊維を得ることが可能となる。更に条件によっては直径10nm以下のカーボンナノチューブのフィラメント集合体からなる炭素繊維が得られる。
【0028】
グラフトポリマー又はブロックポリマーの特性としては、特に制限は無いが重量平均分子量は100万以下、グラフト鎖長又はブロック鎖長は重量平均分子量で50万以下が好ましい。
【0029】
(溶液紡糸の際の溶剤について)
本発明の炭素繊維前駆体繊維は、好ましくは両ポリマーを溶剤に溶解して紡糸原液とし、公知の溶液紡糸法により得ることができることを上で述べたが、溶液紡糸の方法としては、例えば乾式紡糸法、乾湿式紡糸法、湿式紡糸法が挙げられる。紡糸原液の溶剤としては熱分解性ポリマーと炭素前駆体ポリマーの両者を別々の溶剤に溶解し用いることも共通の溶剤に溶解し用いることもできる。しかし、工業的には共通の溶剤に溶解することが好ましい。溶剤の種類については特に制限は無く、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。本発明の炭素繊維前駆体繊維は、このような溶液紡糸法によって通常のアクリル繊維と同様の紡糸工程で製造することができる。
【0030】
(炭素繊維前駆体繊維の炭素化について)
本発明の炭素繊維前駆体繊維は、従来の炭素繊維の炭素化と同様に炭素化することにより、本発明のフィラメント状カーボンナノファイバー集合体からなる炭素繊維が得られる。炭素化は通常のPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維の製造工程で行うことができる。
【0031】
(炭素繊維からカーボンナノファイバーを得る方法)
本発明のフィラメント状のカーボンナノファイバー集合体からなる炭素繊維を粉砕処理することにより、フィラメント状カーボンナノファイバーを得ることができる。この粉砕処理を液体中で行うことにより、外径が100nm以下であるカーボンナノファイバーの分散液を得ることもきる。このような分散液の分散液調製時又は調整後にその分散液に樹脂を分散・溶解することによりフィラメント状カーボンナノファイバーを含有する樹脂コーティング液を得ることができる。
【0032】
又、同様の分散液を抄紙することによりフィラメント状カーボンナノファイバーからなる抄紙物を得ることができる。
更に、粉砕処理を樹脂との混合状態で行うことによりフィラメント状カーボンナノファイバーが分散された樹脂混合物を得ることができる。このように、分散工程に本発明のフィラメント状カーボンナノファイバー集合体からなる炭素繊維を用いることで、従来の粉体処理工程で懸念された取扱い性と安全衛生上の問題を克服したという点で本発明は工業的に有用な技術を提供するものである。
【0033】
(炭素繊維前駆体繊維のモルフォロジー観察)
炭素繊維前駆体繊維のモルフォロジー観察は電子顕微鏡用のエポキシ系樹脂で前駆体繊維束を包埋硬化して、繊維軸と垂直方向の断面が得られるようにトリミング、面出しした後、ダイヤモンドナイフを装着したミクロトームにより約70nmの厚さの切片を切り出した。得られた切片を電子顕微鏡観察用のメッシュに載せ、日立(株)H−7600等の透過型電子顕微鏡により、加速電圧120kVの条件で観察することが好ましい。
【0034】
(炭素繊維のモルフォロジー観察)
炭素繊維のモルフォロジー観察は、炭素繊維を繊維軸方向に引張破断して走査型電子顕微鏡用試料台に接着した後、イオンスパッター装置によりAuを約5nmの厚さになるようにコーティングし、日本電子(株)JSM−880等の走査型電子顕微鏡により、加速電圧5kVの条件で破断面を観察することが好ましい。一方、炭素繊維を乳鉢で破砕したものをイソプロパノールに分散し、電子顕微鏡観察用のメッシュに載せ乾燥した後、日立(株)H−7600等の透過型電子顕微鏡により、加速電圧120kVの条件で観察することも好ましい。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、フィラメント状カーボンナノファイバー集合体からなる高品質な炭素繊維を低コストで提供するものである。
この炭素繊維を粉砕処理することにより容易にフィラメント状カーボンナノファイバーが得られる点で、工業的に有用である。
【発明の属する技術分野】
カーボンナノファイバーの集合体からなる炭素繊維を得るために、最適な炭素繊維前駆体繊維、炭素繊維及びカーボンナノファイバーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
繊維状炭素のうち直径が100nmのオーダー前後のものをカーボンナノファイバーと呼び、直径が10nmのオーダー前後にまで小さくなるとカーボンナノチューブと呼ばれる(遠藤守信:炭素,[200]202−205(2001))。 カーボンナノファイバー(本件明細書において、カーボンナノチューブも含んで、カーボンナノファイバーという。)は、樹脂材料に導電性を付与及び/又は機械的性質を向上する目的で添加するフィラーとして有用な材料であり、最近では燃料電池の電極材料やガス吸蔵材料としても期待される材料である。
【0003】
従来、カーボンナノファイバーは、アーク放電法、レーザー昇華法、化学的気相分解法に代表される気相法により製造されていたが、主として金属触媒の混入に起因する純度の問題や直径、長さ等の構造の不均一性が指摘されており、高純度で均一性の高い材料と製造法が望まれていた。更に、従来の気相法では生成物がサブミクロンオーダー以下の短繊維状物からなる粉体であって、製造工程及び加工工程における取扱い性と安全衛生の面から改良が望まれていた。加えて、従来の気相法では生産性が低い為により広く工業材料として使用される為には抜本的な低コスト化製造技術が望まれていた。
【0004】
このような課題を解決する技術として、炭素前駆体樹脂を熱分解消失性樹脂に被覆したコアシェルポリマーを熱分解消失性樹脂中に分散し溶融紡糸することにより炭素繊維前駆体繊維を得た後、該前駆体繊維を加熱炭素化することによりカーボンナノチューブを得る方法が開示されている(特開2002−29719号公報)。
更に改良技術として、上記のコアシェルポリマーにおいて炭素前駆体樹脂としてポリアクリロニトリルを用い熱分解消失性樹脂としてポリメタクリル酸メチルを用いる方法が開示されている(大谷朝男:機能材料、21[5](2001)41−46)。
【0005】
このように紡糸技術により製造されたカーボンナノファイバーは、一般に紡糸法カーボンナノファイバーと呼ばれている。
【0006】
紡糸法カーボンナノファイバーは、金属触媒を用いないという点で純度が高く、更に製造物がカーボンナノファイバーの集合体からなる繊維状物であるという点において、加えて前駆体が溶融紡糸された繊維であるという点において、純度、構造の均一性、製造・加工工程通過性、安全衛生、品質、コストの問題を抜本的に解決できる糸口を与えたという意味で上述の課題を解決する方向に大きく一歩を踏み出した画期的提案と言える。
【0007】
しかしながら上記の紡糸法カーボンナノファイバーは、その製造方法から非常に短いものしか得られず、又、ポリアクリロニトリルが元来加熱溶融しない熱環化反応性ポリマーであるために溶融紡糸性には向かず、本方法により得られた炭素繊維前駆体繊維の炭素化工程の通過性も又良好であるとは言えない。従って、上記の紡糸法カーボンナノファイバーの技術は、工業技術的観点から改良の余地が十分に残されており、均一な構造を有するフィラメント状カーボンナノファイバーを得る技術として十分とは言い難い。殊に直径100nm以下のフィラメント状カーボンナノファイバーを得るという点では、更に十分とは言い難い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フィラメント状カーボンナノファイバーの集合体を工業技術的観点から高い品質と歩留で生産し得る炭素繊維前駆体繊維、それを用いた炭素繊維の製造方法及びその炭素繊維からカーボンナノファイバーを得ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、熱処理により分解消失するポリマーを海部とし、炭素前駆体ポリマーを島部とする海島複合繊維からなる炭素繊維前駆体繊維にある。
【0010】
【発明の実施の形態】
(炭素繊維前駆体繊維のモルフォロジーについて)
本発明においては、炭素繊維前駆体繊維のモルフォロジー制御が最大の技術のポイントである。すなわち、炭素繊維前駆体繊維のモルフォロジーが繊維軸方向に沿って筋状構造を有し、且つ、繊維軸垂直方向断面でマトリックス相(海部)の中に島状独立相が点在している構造を有することが必要である。そして、前記マトリックス相(海部)ポリマーの主成分が熱分解性ポリマーからなり、且つ、前記島状独立相(島部)の主成分がアクリロニトリル系ポリマーからなることが必要である。
【0011】
このとき、繊維軸方向と繊維軸垂直方向の双方において、そのサイズが一様であり繊維軸方向に沿って筋状構造が切れ目のない構造であることや炭素前駆体ポリマーとして最適なアクリロニトリル系ポリマーを主成分とする島部の繊維軸垂直方向断面で見た特性距離が200nm以下であることが好ましい。
【0012】
前記炭素繊維前駆体繊維において、島部の繊維軸垂直方向断面で見た、以下に定義する特性距離が200nmを超えると炭素化処理後に得られるカーボンナノファイバーの直径が100nmを超えてしまう。従って、カーボンナノファイバーの直径を制御する上で特性距離が重要な意味をもつ。
【0013】
<特性距離の評価法>
炭素繊維前駆体繊維の繊維軸垂直方向断面の島部サイズに対応する特性距離は走査型電子顕微鏡又は透過型電子顕微鏡により測定し、次式より算出できる。
特性距離=2[(島部分の面積)/π]1/2
【0014】
又、炭素繊維前駆体繊維の島部サイズが繊維断面方向において一様でないと炭素化処理後に得られるカーボンナノファイバーの直径が不均一となるので、直径が均一なカーボンナノファイバーを得るためにはそのサイズの制御が重要である。
【0015】
更に、炭素繊維前駆体繊維のモルフォロジーである筋状構造が繊維軸方向沿って均一でないと炭素化処理後に得られるカーボンナノファイバーの直径が均一で切れ目の無いフィラメント状とならない場合があるので、筋状構造が繊維軸方向沿って均一になるよう制御することが重要である。
【0016】
本発明のカーボンナノファイバーにおいて、好ましい形態である直径100nm以下で均一なものを得るには、炭素繊維前駆体繊維の紡糸直後の炭素前駆体ポリマーからなる島部のサイズを直径30μm以下に均一に制御することが肝要である。
【0017】
本発明の炭素繊維前駆体繊維において、島部の直径は30〜1000nmであることが好ましい形態である直径100nm以下で均一なカーボンナノファイバーを得る上で好ましい。島部の直径は30nm未満の場合は、連続した長さのカーボンナノファイバ−が得られにくくなる傾向があり、逆に1000nmを超えると特に直径の均一性が得られなくなる傾向がある。
前記島部は、単に炭素前駆体ポリマーのみからなっていてもよいが、島部中に更に、芯部として熱処理により分解消失するポリマーからなり、鞘部として炭素前駆体ポリマーからなる芯鞘構造を有していることが、最終的に得られるカーボンナノファイバーが好ましい形態である直径100nm以下で均一なものとなるので更に好ましい。このとき芯部の直径としては30〜1000nmであることが最も好ましい。
【0018】
本発明において、複合繊維を紡糸する方法は公知の方法でよく、特に限定しないが、炭素前駆体ポリマー及び分解消失するポリマーをそれぞれ溶剤に溶解し、それぞれ紡糸原液を調整し、複合紡糸ノズルから凝固液中に紡出する方法を採用することが、後述する炭素前駆体ポリマー及び分解消失するポリマーとして好ましいポリマーを用いる上で好ましい。
【0019】
(熱分解性ポリマーについて)
熱処理により分解消失するポリマー(以下、熱分解性ポリマーという。)とは、後述する炭素化の熱処理条件において、昇温と共に分解してガス化するポリマーを意味する。すなわち、分解温度が炭素化の熱処理温度より低いポリマーであればよい。斯かるポリマーの具体例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン等のオレフィン系ポリマー、ポリオキシメチレン等の異原子分子を含むポリマー等が挙げられ、好ましくはマレイン酸変性低密度ポリエチレン樹脂である。本発明に用いる熱分解性ポリマーの重量平均分子量は3万〜300万であることが好ましい。熱分解性ポリマーとしてはメタクリレート系ポリマーが好ましく、例えばポリメタクリル酸メチルのホモポリマー及び/又は他のモノマーとの共重合体を用いることができる。
【0020】
ポリメタクリル酸メチルの共重合成分モノマーとしては、特に制限は無いが、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどの代表されるメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの不飽和モノマー類であり、さらに染色性改良などの目的によっては、p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0021】
(炭素前駆体ポリマー)
本発明で用いる炭素前駆体ポリマーとしては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリル系ポリマー、ポリイミド、ポリアミド等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリル系ポリマーである。
【0022】
(アクリロニトリル系ポリマー)
本発明の炭素繊維前駆体繊維に好適に用いることのできるアクリロニトリル系ポリマーの重量平均分子量は3万〜300万である。アクリロニトリル系ポリマーとしてはアクリロニトリルのホモポリマー及び/又は他のモノマーとの共重合体を用いることができる。この場合、炭素化を良好に行う目的で共重合体中のアクリロニトリル組成は90質量%以上であることが好ましい。
【0023】
アクリロニトリル系ポリマーの共重合成分モノマーとしては、特に制限は無いが、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに代表されるアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルなどの代表されるメタクリル酸エステル類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの不飽和モノマー類であり、さらに染色性改良などの目的によっては、p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びこれらのアルカリ金属塩などが挙げられる。
【0024】
アクリロニトリル系ポリマーの共重合成分モノマーとして、炭素化工程における環化反応を促進する目的でカルボン酸基を有するモノマーやアクリルアミド系モノマーを用いることが好ましい。このようなカルボン酸基を有するモノマーとしては、メタクリル酸やイタコン酸が好ましい。又、アクリルアミド系モノマーとしてはアクリルアミドが好ましい。
【0025】
(紡糸原液中の相分離液滴のサイズの制御のための第三成分)
紡糸直後の原糸中の分離状態を制御し安定化する目的で、界面活性剤、微粒子、グラフトポリマー、ブロックポリマー等を添加することにより相分離液滴界面の界面張力を低下しても良い。
【0026】
そのような場合には、炭素前駆体ポリマーと熱分解性ポリマーを成分とするグラフトポリマー及び/又はブロックポリマーを添加する方法が好ましい。
この方法は特に、直径10nm以下の均一なカーボンナノチューブを得る際に非常に有効である。
【0027】
炭素繊維前駆体繊維の紡糸原液にグラフトポリマー及び/又はブロックポリマーを添加すると、紡糸直後の炭素繊維前駆体繊維の構造は繊維軸と垂直方向の断面において分離構造を安定して得ることができ、炭素化処理によりフィラメント状の直径100nm以下のカーボンナノファイバーの集合体からなる炭素繊維を得ることが可能となる。更に条件によっては直径10nm以下のカーボンナノチューブのフィラメント集合体からなる炭素繊維が得られる。
【0028】
グラフトポリマー又はブロックポリマーの特性としては、特に制限は無いが重量平均分子量は100万以下、グラフト鎖長又はブロック鎖長は重量平均分子量で50万以下が好ましい。
【0029】
(溶液紡糸の際の溶剤について)
本発明の炭素繊維前駆体繊維は、好ましくは両ポリマーを溶剤に溶解して紡糸原液とし、公知の溶液紡糸法により得ることができることを上で述べたが、溶液紡糸の方法としては、例えば乾式紡糸法、乾湿式紡糸法、湿式紡糸法が挙げられる。紡糸原液の溶剤としては熱分解性ポリマーと炭素前駆体ポリマーの両者を別々の溶剤に溶解し用いることも共通の溶剤に溶解し用いることもできる。しかし、工業的には共通の溶剤に溶解することが好ましい。溶剤の種類については特に制限は無く、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。本発明の炭素繊維前駆体繊維は、このような溶液紡糸法によって通常のアクリル繊維と同様の紡糸工程で製造することができる。
【0030】
(炭素繊維前駆体繊維の炭素化について)
本発明の炭素繊維前駆体繊維は、従来の炭素繊維の炭素化と同様に炭素化することにより、本発明のフィラメント状カーボンナノファイバー集合体からなる炭素繊維が得られる。炭素化は通常のPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維の製造工程で行うことができる。
【0031】
(炭素繊維からカーボンナノファイバーを得る方法)
本発明のフィラメント状のカーボンナノファイバー集合体からなる炭素繊維を粉砕処理することにより、フィラメント状カーボンナノファイバーを得ることができる。この粉砕処理を液体中で行うことにより、外径が100nm以下であるカーボンナノファイバーの分散液を得ることもきる。このような分散液の分散液調製時又は調整後にその分散液に樹脂を分散・溶解することによりフィラメント状カーボンナノファイバーを含有する樹脂コーティング液を得ることができる。
【0032】
又、同様の分散液を抄紙することによりフィラメント状カーボンナノファイバーからなる抄紙物を得ることができる。
更に、粉砕処理を樹脂との混合状態で行うことによりフィラメント状カーボンナノファイバーが分散された樹脂混合物を得ることができる。このように、分散工程に本発明のフィラメント状カーボンナノファイバー集合体からなる炭素繊維を用いることで、従来の粉体処理工程で懸念された取扱い性と安全衛生上の問題を克服したという点で本発明は工業的に有用な技術を提供するものである。
【0033】
(炭素繊維前駆体繊維のモルフォロジー観察)
炭素繊維前駆体繊維のモルフォロジー観察は電子顕微鏡用のエポキシ系樹脂で前駆体繊維束を包埋硬化して、繊維軸と垂直方向の断面が得られるようにトリミング、面出しした後、ダイヤモンドナイフを装着したミクロトームにより約70nmの厚さの切片を切り出した。得られた切片を電子顕微鏡観察用のメッシュに載せ、日立(株)H−7600等の透過型電子顕微鏡により、加速電圧120kVの条件で観察することが好ましい。
【0034】
(炭素繊維のモルフォロジー観察)
炭素繊維のモルフォロジー観察は、炭素繊維を繊維軸方向に引張破断して走査型電子顕微鏡用試料台に接着した後、イオンスパッター装置によりAuを約5nmの厚さになるようにコーティングし、日本電子(株)JSM−880等の走査型電子顕微鏡により、加速電圧5kVの条件で破断面を観察することが好ましい。一方、炭素繊維を乳鉢で破砕したものをイソプロパノールに分散し、電子顕微鏡観察用のメッシュに載せ乾燥した後、日立(株)H−7600等の透過型電子顕微鏡により、加速電圧120kVの条件で観察することも好ましい。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、フィラメント状カーボンナノファイバー集合体からなる高品質な炭素繊維を低コストで提供するものである。
この炭素繊維を粉砕処理することにより容易にフィラメント状カーボンナノファイバーが得られる点で、工業的に有用である。
Claims (15)
- 熱処理により分解消失するポリマーを海部とし、炭素前駆体ポリマーを島部とする海島複合繊維からなる炭素繊維前駆体繊維。
- 島部の直径が30〜300μmである請求項1記載の炭素繊維前駆体繊維。
- 島部が以下の芯鞘構造を有している請求項1又2記載の炭素繊維前駆体繊維。
芯部:熱処理により分解消失するポリマー
鞘部:炭素前駆体ポリマー - 芯部の直径が30〜300μmである請求項3記載の炭素繊維前駆体繊維。
- 炭素前駆体ポリマーがアクリロニトリル系ポリマーである請求項1〜4のいずれか1項記載の炭素繊維前駆体繊維。
- アクリロニトリル系ポリマー中のアクリロニトリル単位が90質量%以上である請求項5項記載の炭素繊維前駆体繊維。
- アクリロニトリル系ポリマーがカルボン酸を含むモノマーを共重合したアクリロニトリル系ポリマーである請求項5又は6項記載の炭素繊維前駆体繊維。
- カルボン酸を含むモノマーがアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸からなる群から選ばれる1種以上のカルボン酸を含むモノマーである請求項7記載の炭素繊維前駆体繊維。
- アクリロニトリル系ポリマーがアクリルアミドを共重合したアクリロニトリル系ポリマーである請求項5〜8記載の炭素繊維前駆体繊維。
- 熱処理により分解消失するポリマーがメタクリレート系ポリマーである請求項1〜9のいずれか1項記載の炭素繊維前駆体繊維。
- アクリロニトリル系ポリマーと熱分解性ポリマーを成分とするグラフトポリマー及び/又はブロックポリマーを1質量%以上含む請求項1〜10のいずれか1項記載の炭素繊維前駆体繊維。
- 請求項1〜11のいずれか1項記載の炭素繊維前駆体繊維を紡糸し、次いで、不融化した後に炭素化する炭素繊維の製造方法。
- 炭素繊維前駆体繊維を紡糸を溶液紡糸により行なう請求項12記載の炭素繊維の製造方法。
- 請求項12又は13記載の炭素繊維の方法で得られた炭素繊維と液体とを混合した後、液体中で該炭素繊維を粉砕して得られるフィラメント状カーボンナノファイバー。
- 請求項12又は13記載の炭素繊維の方法で得られた炭素繊維と樹脂とを混合した後、樹脂中で該炭素繊維を粉砕して得られるフィラメント状カーボンナノファイバー。
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