JPH11131321A - 微粒子含有相分離繊維及びその製造方法 - Google Patents

微粒子含有相分離繊維及びその製造方法

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JPH11131321A
JPH11131321A JP31435997A JP31435997A JPH11131321A JP H11131321 A JPH11131321 A JP H11131321A JP 31435997 A JP31435997 A JP 31435997A JP 31435997 A JP31435997 A JP 31435997A JP H11131321 A JPH11131321 A JP H11131321A
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宏 細川
Masakazu Hoshino
正和 星野
Hiroaki Onishi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一で安定な割繊性を有する相分離繊維及び
その製造方法を提供する。 【解決手段】 相分離構造を有するポリマーからなり、
相分離界面に微粒子が局在している微粒子含有相分離繊
維であって、液−液相分離状態にある相分離液滴の界面
に微粒子が局在する紡糸原液を用いて紡糸することによ
り得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相分離構造を有す
る繊維及びその製造方法、並びに該繊維を割繊処理して
得られる極細繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】相分離構造を有する繊維は種々の用途で
使用されており、例えば導電繊維、制電繊維、吸水繊維
などに代表される機能繊維、深色化繊維、異色効果繊
維、溶出又は割繊型の極細繊維などに代表される感性繊
維が挙げられる。このような相分離繊維では、発現しよ
うとする機能、又は表現しようとする感性に適した材料
の選択と相分離構造の設計が重要であり、相分離ドメイ
ンの形状及びサイズと適材適所の配置が材料設計の基本
となる。
【0003】例えば、0.1デニール以下の極細繊維を
得る方法として、2種類の非相溶なポリマーのブレンド
紡糸が広く行われている。ブレンド方法としては、複合
紡糸ノズルを使用して海島型相分離繊維とする方法、静
止型混練機を使用して繊維中に層状構造を形成する方
法、単純ブレンドにより繊維中に筋状構造を形成させる
方法などが挙げられる。こうして得られた繊維は、繊維
を構成している1成分を溶剤等を用いて溶出させたり、
叩解処理等の割繊処理により極細化することができる。
【0004】中でも工程上好ましい技術として、特公昭
47−47535号公報に開示されているようなアクリ
ロニトリル系重合体とメタクリル酸メチル重合体を混合
・紡糸することで、叩解性良好なアクリル系合成繊維を
得る方法が挙げられる。これは紡糸工程で脱落しない非
相溶なポリマーどうしをブレンド紡糸し、繊維を叩解処
理するものであり、脱落成分による工程の汚染がなく、
また、極細化処理として構成成分の溶出除去が不要であ
るという利点がある。しかしながら、非相溶性のポリマ
ー同士を単純ブレンドして紡糸した場合、叩解処理で均
一に極細化させることは容易ではなく、短時間の処理で
は未分割の繊維が残ることがある。これは、筋状相分離
構造の界面が十分に安定化しておらず、筋状構造の発達
が不十分であると共に界面接着力が高いことが割繊性を
低下させている原因と推定される。
【0005】相分離構造を決定する要因としては、主と
してポリマー種の組み合わせ、添加剤の選択、混合法、
紡糸法の選定が挙げられるが、ベースとなる繊維基質が
決まった場合にはポリマー種と紡糸法は大きく制限され
る為、添加剤と混合法が製造技術の中で重点課題とな
る。中でも添加剤は、相分離構造の安定化を計る上で重
要な因子で、これまでの検討例としては、例えば特開平
7−229017号公報に示されている。 一般に、界
面活性剤、ブロックポリマー、グラフトポリマー等の添
加により、相分離界面の界面エネルギーを低下する方法
が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな界面活性剤、ブロックポリマー、グラフトポリマー
等を使用する方法では、均一で安定した割繊繊維を得る
には充分でなく繊維物性の低下を引き起こしたり、また
溶液紡糸系繊維においては、紡糸原液の安定性低下など
の不具合の原因となることがあり、経済的かつ環境適合
性にも優れた添加剤が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を鋭意検討した結果、本発明に至った。即ち、相
分離構造を有する繊維において、微粒子を相分離界面に
局在させることにより相分離構造を安定化できること、
さらにポリマーブレンド相分離繊維において、無機微粒
子が相分離界面に局在することにより、叩解処理に際し
割繊性が向上すると共に均一に極細化することを見出し
たものであり以下の構成より成る。 1 相分離構造を有するポリマーからなる繊維であっ
て、相分離界面に微粒子が局在していることを特徴とす
る微粒子含有相分離繊維。 2 液−液相分離状態にあって相分離液滴の界面に微粒
子が局在する紡糸原液を用いて紡糸することを特徴とす
る微粒子含有相分離繊維の製造方法。 3 上記微粒子含有相分離繊維を割繊処理して得られる
極細繊維。 4 液−液相分離状態にあって相分離液滴の界面に微粒
子が局在する紡糸原液を用いて紡糸した後、割繊処理す
ることを特徴とする極細繊維の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明では、単繊維繊度、繊維長
は特に限定されず、用途に応じた使用が可能である。本
発明の繊維において相分離界面に微粒子が局在する状態
としては、繊維中の相分離ドメインが無機微粒子で被わ
れた状態で存在する例が挙げられる。例えば、相分離割
繊繊維では相分離ドメインは繊維軸方向に配向し筋状の
相分離構造が長距離に亘って安定に持続することが好ま
しいが、微粒子の界面への局在化により界面が安定化
し、このような構造形成が可能となる。このような状況
は、例えば繊維を繊維軸方向と平行にカットして透過型
電子顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡で観察することが
できる。
【0009】本発明においては、含有する粒子の平均粒
子径は10nm以上1μm以下であることが望ましい。
平均粒子径が10nm未満の場合、十分な効果が得られ
ず、また、平均粒子径が1μmを超えると紡糸性が低下
し、紡糸時の糸切れが発生しやすくなる。
【0010】添加する微粒子は、繊維の全重量に対して
0.1重量%以上10重量%以下であることが望まし
い。0.1重量%未満の場合には十分な効果が得られ
ず、10重量%を超えると、概して紡糸性が低下する。
【0011】微粒子の材質は特に限定されないが、主に
繊維を構成するポリマーの極性に対応して適性な表面電
位を有する微粒子の組み合わせが存在すると予想され
る。相分離界面への局在化機構については、現在のとこ
ろ定かでは無いが、微粒子の表面電位と相分離界面の界
面電位との相互作用が、界面への選択吸着の主要因であ
ると推定される。また、微粒子が相分離構造を安定化す
る機構についても現在のところ定かでは無いが、微粒子
が相分離界面に選択吸着し界面電位を中和することで界
面エネルギーを低下し、相分離界面を安定化していると
推定される。界面活性剤、ブロックポリマー、グラフト
ポリマーに対する優位性は、微粒子では電荷密度が比較
的高い為、バルク相への均一分散も微粒子同士の凝集も
起こり難いことに起因すると推定される。
【0012】本発明においては、繊維を構成するポリマ
ーの中の1種類がアクリロニトリルを45重量%以上含
有するアクリル系ポリマーの場合、より好ましい。これ
は、通常アクリロニトリルの紡糸はアクリル系ポリマー
を無機または有機の溶剤に溶解させて行うため、ポリマ
ー界面への無機微粒子の移動と局在化が容易に起こりう
ること、及び水または有機溶剤に分散した無機微粒子が
使用できることによる。
【0013】本発明で使用されるアクリル系共重合体
は、アクリロニトリルを45重量%以上含有しておれ
ば、共重合成分は特に限定しないが、例えば、アクリル
酸、メタクリル酸、及びこれらの誘導体、酢酸ビニル、
アクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、さらに
目的によっては、ビニルベンゼンスルホン酸ソーダ、ア
リルスルホン酸ソーダ、メタリルスルホン酸ソーダ、ソ
ディウム−p−スルフォニルメタリルエーテル、アクリ
ルアミドメチルプロパンスルホン酸ソーダ等のイオン性
不飽和単量体を用いることができる。
【0014】上記アクリロニトリル系重合体の分子量
は、通常アクリル繊維の製造に用いられる範囲の分子量
であれば特に限定しないが、0.5重量%ジメチルホル
ムアミド溶液としたとき、25℃における還元粘度が
1.5〜3.0の範囲にあることが好ましい。
【0015】本発明では、アクリロニトリルを45重量
%以上含有した共重合体の含有量が20重量%以上であ
る場合、より好ましい。アクリロニトリルが20重量%
未満の場合、強度や対薬品性に劣る脆弱な繊維となり、
アクリル繊維としての特長が失われてしまうためであ
る。
【0016】こうしたアクリル系ポリマーに混合する非
相溶なポリマーとしては、紡糸溶剤に溶解するポリマー
であればどのようなものを用いても良く、例えば、ポリ
アクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ
酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアルキレング
リコール、ポリアミド、ポリイミド等のホモポリマー及
びこれらのモノマーから構成される共重合体が挙げられ
る。これらのポリマーを単独あるいは複数種類混合して
使用することができるが、少なくとも1種類が、メタク
リル酸エステルを30重量%以上含有した共重合体であ
る場合、より好ましい。これは、メタクリル酸エステル
系ポリマーはアクリロニトリル系ポリマーとの混和性が
良好であって、かつ非相溶であり、紡糸性が良好である
ことによる。メタクリル酸エステルを30重量%以上含
有したポリマーとしては、例えばポリメタクリル酸メチ
ルが挙げられるが、アクリル酸メチルやアクリル酸エチ
ル、アクリル酸ブチルなどが共重合されていてもよい。
【0017】また本発明では、アクリロニトリルを45
重量%以上含有するアクリル系共重合体が50重量%〜
90重量%、メタクリル酸エステルを30重量%以上含
有する共重合体を10重量%以上50重量%未満含有す
る繊維である場合、割繊繊維として、更に好ましい。メ
タクリル酸エステルの含有量が30重量%未満の場合、
十分な割繊性が得られず、また、50重量%を超える
と、紡糸工程で繊維間接着が起こりやすくなるととも
に、得られる繊維は脆弱なものとなるためである。
【0018】本発明においては、添加する無機微粒子が
シリカ微粒子である場合、相分離ドメインサイズ制御に
とって、より好ましい。これはシリカ微粒子が紡糸原液
中の相分離液滴を安定化するためであるが、今のところ
その機構は定かではない。シリカ微粒子が液滴表面に集
合し、液滴を被覆することで液滴の凝集を抑制するもの
と考えられる。ポリマーブレンドによる割繊性繊維を目
的とした場合、シリカ微粒子を添加することで、紡糸原
液中の液滴サイズを均一化し、従って繊維中のドメイン
サイズを均一化するとともに、筋状構造となったポリマ
ーの界面接着力を低下させ、割繊を容易にする。
【0019】シリカ微粒子は、粉体の場合には例えばビ
ーズミルなどの分散機を用いて紡糸溶剤、又は紡糸原液
に分散させて使用するか、水或いは有機溶剤に分散した
製品を紡糸原液の中の1成分にブレンドすることで繊維
に複合化できる。
【0020】シリカ微粒子の添加方法としては、紡糸原
液調製時に添加するか、紡糸原液を構成する一つの成分
にブレンドし、スタティックミキサー等の静止型混練機
を用い、紡糸ラインの途中で混合する方法が可能であ
る。
【0021】本発明では、繊維断面形状が、長軸と短軸
の比が2以上である場合、割繊性の点で好ましい。ま
た、長軸と短軸の比が2以上の扁平部分の組み合わせで
表される形状である場合も同様に好ましく、例えば、Y
字型、十字型、*型、W型、H型等が挙げられる。こう
した異形断面形状の繊維を得るには、繊維断面に対応し
た孔形状のノズルを使用する。
【0022】また、本発明では、液−液相分離状態にあ
って相分離液滴の界面に微粒子が局在する紡糸原液を用
いて紡糸することが好ましい。紡糸原液の段階で微粒子
の局在化が認められない場合、繊維中の相分離界面に微
粒子を局在化させることは困難となる。
【0023】本発明の繊維を割繊処理して得られる極細
繊維、及び繊維集合体は、従来のポリマーブレンドによ
る割繊繊維と比較して、割繊が容易であり、かつ、得ら
れた極細繊維は細く、均一な径を有するといった特長を
有する。そのため例えば湿式抄紙した場合、肌理が細か
く、表面の整ったシート状物が得られる。
【0024】アクリル系ポリマーを主成分とした場合の
本発明の繊維の製造における紡糸原液の調製、及び凝固
液に用いられる溶剤としては、ジメチルアセトアミド、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機
溶剤、及び、硝酸、ロダン塩水溶液、塩化亜鉛水溶液を
用いることができる。
【0025】紡糸原液の調製方法としては、アクリル系
ポリマーと、アクリル系ポリマーに非相溶な異種ポリマ
ーを同一の溶剤に別々に溶解し、例えばスタティックミ
キサーのような混練機を用い、紡糸ラインの途中で混合
することが可能である。この場合、無機微粒子はアクリ
ル系ポリマーか、ブレンドポリマーのどちらかに添加し
ておくことができる。あるいは、最初からアクリル系ポ
リマーとブレンドポリマーを溶剤に溶解し、紡糸原液と
することが可能であり、その場合、シリカ微粒子も同時
に添加することができる。
【0026】紡糸方法としては、アクリル繊維の紡糸で
通常行われている乾式、乾湿式、湿式紡糸が可能であ
る。紡糸原液はノズル口金を通して賦形され、洗浄・延
伸工程を経るが、分子配向の高い方が割繊性が良いた
め、延伸倍率は3倍以上であることが好ましい。サンプ
ルはウエット状態のまま、或いは、油剤を付与した後、
乾燥してサンプリングするが、用途によっては加圧蒸気
中で緩和処理を行い、沸水中及び乾熱乾燥時の収縮率を
下げることも可能である。繊維は目的に応じた長さにカ
ットすることができる。繊維は叩解処理で極細化したも
のを水中に分散させて抄紙したり、ウエッブに高水圧を
加えて割繊と交絡を同時に行いシート化することもでき
る。
【0027】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】(実施例1)水系懸濁重合法により、アク
リロニトリル/酢酸ビニル=92/8の組成を有する2
元共重合ポリマー(分子量90000)を得た。該ポリ
マーと、共重合組成がメタクリル酸メチル/アクリル酸
メチル=90/10のメタクリル樹脂(商品名「アクリ
ペットMDK」、三菱レイヨン(株)製;分子量850
00)、ジメチルアセトアミドに分散されたシリカ微粒
子(商品名「DMAC−ST−ZL」、日産化学(株)
製;固形分20%、平均粒子径100nm)を60/4
0/2の重量比でジメチルアセトアミドに加熱溶解し、
ポリマー濃度25%の紡糸原液を得た。ただし、シリカ
の組成比はシリカ微粒子の純分を表す。紡糸原液中の液
滴、及びシリカ微粒子の存在状態を観察するため、少量
の紡糸原液をポリエチレンフィルムに挟み、一定の厚み
に圧延した後、水に浸漬し、凝固フィルムを得た。該フ
ィルムを80℃で乾燥した後、酸素プラズマエッチング
処理し、走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、シリ
カ微粒子が相分離液滴を被覆する状態で存在しているの
が観察され、シリカ微粒子が相分離界面に局在している
ことが確認された(図1)。
【0029】該紡糸原液を調製した2時間後に、湿式法
にて紡糸した。即ち、ジメチルアセトアミド/水=55
/45(重量比)、温度40℃の凝固浴中で、孔径80
μm、孔数2000の丸孔ノズルから吐出して凝固さ
せ、続いて沸水中で6.5倍延伸し、ウエット状態で単
繊維繊度2デニールの繊維を得た。得られた繊維を風乾
し、繊維軸方向の断面を走査型電子顕微鏡で観察したと
ころ、シリカ微粒子が筋状相分離構造の相分離界面に沿
って繊維軸方向に配列し、微粒子濃度の高い領域を形成
しているが観察された(図2)。
【0030】ウエット状態のサンプルを5mmにカット
し、水を加えて濃度1%としたものを500cc計量
し、家庭用ミキサーを用いて10分間叩解処理した。ミ
キサーの回転数は、7500rpmであった。得られた
スラリー状態の繊維を0.3重量%に希釈し、カナダ標
準ろ水度試験により、ろ水度を測定し、その結果を表1
に示した。ろ水度は3回の測定値の平均値で表した(以
下同じ)。また、スラリー状態の繊維を濾紙上に捕集
し、風乾した後、走査型電子顕微鏡で観察した。極細化
した繊維は、太さがほぼ均一であった(図3)。
【0031】(実施例2)実施例1で調製した紡糸原液
を70℃に保温し、3日間放置した後、実施例1の条件
で単繊維繊度2デニールのウエットトウを紡糸した。紡
糸性に問題はなかった。実施例1と同条件で5mmにカ
ットしたウエットトウを叩解処理し、ろ水度を測定し、
その結果を表1に示した。またスラリー状態の繊維を実
施例1と同様に走査型電子顕微鏡で観察し、その結果も
表1に示した。
【0032】(実施例3)実施例1で用いたアクリロニ
トリル/酢酸ビニル=92/8の組成を有する2元共重
合ポリマーと、メタクリル樹脂(「アクリペットMD
K」)、水分散シリカ微粒子(商品名ST−O、日産化
学(株)製;固形分20%、平均粒子径15nm)を6
0/40/2の重量比でジメチルアセトアミドに加熱溶
解し、ポリマー濃度25%の紡糸原液を得た。該紡糸原
液を、湿式法にて紡糸した。即ち、ジメチルアセトアミ
ド/水=55/45(重量比)、温度40℃の凝固浴中
で孔径80μm、孔数2000の丸孔ノズルから吐出し
て凝固させ、続いて沸水中で6.5倍延伸し、ウエット
状態で単繊維繊度2デニールの繊維を得た。
【0033】得られた繊維を風乾し、繊維軸方向の断面
を走査型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ微粒子が
メタクリル樹脂の筋状構造を取り囲む形で繊維軸方向に
配列し、微粒子濃度の高い領域を形成していることが観
察された。
【0034】ウエット状態のサンプルを5mmにカット
し、水を加えて濃度1%としたものを500cc計量
し、家庭用ミキサーを用いて10分間叩解処理した。ミ
キサーの回転数は、7500rpmであった。得られた
スラリー状態の繊維を0.3重量%に希釈し、カナダ標
準ろ水度試験により、ろ水度を測定し、その結果を表1
に示した。またスラリー状態の繊維を実施例1と同様に
走査型電子顕微鏡で観察し、その結果も表1に示した。
【0035】(実施例4)孔形状が、短辺30μm、長
辺150μmの扁平形状で孔数2000のノズルを使用
する以外は実施例1と同条件で紡糸し、単繊維繊度2デ
ニールのウエットトウを得た。繊維10本を走査型電子
顕微鏡で観察し、断面サイズの平均値を求めると、繊維
断面は短軸が6.2μm、長軸が30μmの扁平断面で
あった。ウエットトウを5mmにカットした後、実施例
1と同条件でミキサー処理し、ろ水度を測定し、その結
果を表1に示した。またスラリー状態の繊維を実施例1
と同様に走査型電子顕微鏡で観察し、その結果も表1に
示した。
【0036】(実施例5)孔形状が、短辺が25μm、
長辺が50μmの枝状部分4個から構成される十字型
で、孔数750のノズルを使用する以外は、実施例1と
同条件で紡糸を行い、単繊維繊度2デニールのウエット
トウを得た。繊維の断面を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、枝部分が短軸が4.7μm、長軸9.2μmの扁平
部分から構成される十字型であった(繊維10本の平均
値)。このウエットトウを5mmにカットした後、実施
例1と同条件でミキサー処理し、ろ水度を測定し、その
結果を表1に示した。またスラリー状態の繊維を実施例
1と同様に走査型電子顕微鏡で観察し、その結果も表1
に示した。
【0037】(比較例1)実施例1においてシリカ微粒
子を添加せず、アクリロニトリル/酢酸ビニル=92/
8の組成の2元共重合体とメタクリル樹脂(「アクリペ
ットMDK」)を60/40の重量比でジメチルアセト
アミドに溶解し、ポリマー濃度25%の紡糸原液を得
た。この紡糸原液を用い、実施例1と同条件にて紡糸を
行い、単繊維繊度2デニールのウエットトウを得た。原
綿を5mmにカットした後、実施例1と同条件でミキサ
ー処理し、実施例1と同様走査型電子顕微鏡で観察した
ところ図4に示すように分割された繊維の太さは不均一
であった。また実施例1と同様にろ水度を測定し、その
結果を表1に示した。
【0038】(比較例2)実施例1で使用したアクリロ
ニトリル/酢酸ビニル=92/8の組成を有する2元共
重合ポリマーと、メタクリル樹脂(「アクリペットMD
K」)、及び、酸化チタン(商品名「TA−210」、
富士チタン(株)製;平均粒子径300nm)を60/
40/2の重量比でジメチルアセトアミドに加熱溶解
し、ポリマー濃度25%の紡糸原液を得た。ただし、酸
化チタンの組成比は酸化チタン粒子の純分を表す。該紡
糸原液を、実施例1と同条件にて紡糸し、ウエット状態
で単繊維繊度2デニールのウエットトウを得た。得られ
たウエットトウを風乾し、繊維軸方向の断面を走査型電
子顕微鏡で観察したところ、酸化チタンは繊維中に均一
に分散しており、ポリマー界面への局在化は認められな
かった。ウエットトウを5mmにカットし、実施例1と
同条件でミキサー処理し、ろ水度を測定し、その結果を
表1に示した。
【0039】(比較例3)比較例2で調製した紡糸原液
を70℃に保温し、3日間放置した。液滴が凝集、成長
した結果、紡糸原液はアクリロニトリル/酢酸ビニル共
重合体を主成分ポリマーとする上層と、メタクリル樹脂
ポリマーを主成分とする下層の2層に分離しており、紡
糸に適さない状態であった。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】本発明の微粒子含有相分離繊維は微粒子
が相分離界面に局在し、従来の複数のポリマーのみから
成る相分離繊維に比べ均一で安定した割繊性を有する。
しかも従来の界面活性剤ブロックポリマー、グラフトポ
リマー等を添加剤として得た相分離繊維の繊維物性低
下、及び最終製品からの溶出の不安も無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いた紡糸原液の走査型電子顕微鏡
写真である。
【図2】実施例1で得られた繊維の軸方向断面の走査型
電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1で得られた繊維を叩解処理して得られ
た極細繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】比較例1で得られた繊維の叩解処理後の走査型
電子顕微鏡写真である。
フロントページの続き (72)発明者 大西 宏明 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社大竹事業所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相分離構造を有するポリマーからなる繊
    維であって、相分離界面に微粒子が局在していることを
    特徴とする微粒子含有相分離繊維。
  2. 【請求項2】 微粒子の平均粒径が10nm〜1μmで
    ある請求項1記載の微粒子含有相分離繊維。
  3. 【請求項3】 微粒子の含有量が0.1重量%〜10重
    量%である請求項1又は請求項2記載の微粒子含有相分
    離繊維。
  4. 【請求項4】 相分離構造を有するポリマーが2種類以
    上のポリマーからなる請求項1〜3のいずれか1項に記
    載の微粒子含有相分離繊維。
  5. 【請求項5】 少なくとも1種類のポリマーがアクリロ
    ニトリルを45重量%以上含有する共重合体であり、該
    共重合体の繊維全体に対する含有量が20重量%以上で
    ある請求項4記載の微粒子含有相分離繊維。
  6. 【請求項6】 アクリロニトリル含有共重合体以外のポ
    リマーがメタクリル酸エステルを30重量%以上含有す
    る共重合体であり、該共重合体の繊維全体に対する含有
    量が10〜50重量%である請求項5記載の微粒子含有
    相分離繊維。
  7. 【請求項7】 微粒子がシリカ微粒子である請求項1〜
    6のいずれか1項に記載の微粒子含有相分離繊維。
  8. 【請求項8】 繊維断面形状が、長軸と短軸の比が2以
    上の扁平部分を有する形状である請求項1〜7のいずれ
    か1項に記載の微粒子含有相分離繊維。
  9. 【請求項9】 液−液相分離状態にあって相分離液滴の
    界面に微粒子が局在する紡糸原液を用いて紡糸すること
    を特徴とする微粒子含有相分離繊維の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の
    繊維を割繊処理して得られる極細繊維。
  11. 【請求項11】 液−液相分離状態にあって相分離液滴
    の界面に微粒子が局在する紡糸原液を用いて紡糸した
    後、割繊処理することを特徴とする極細繊維の製造方
    法。
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