JP3847923B2 - 微粒子含有相分離繊維及びその製造方法 - Google Patents

微粒子含有相分離繊維及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相分離構造を有する繊維及びその製造方法、並びに該繊維を割繊処理して得られる極細繊維及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
相分離構造を有する繊維は種々の用途で使用されており、例えば導電繊維、制電繊維、吸水繊維などに代表される機能繊維、深色化繊維、異色効果繊維、溶出又は割繊型の極細繊維などに代表される感性繊維が挙げられる。このような相分離繊維では、発現しようとする機能、又は表現しようとする感性に適した材料の選択と相分離構造の設計が重要であり、相分離ドメインの形状及びサイズと適材適所の配置が材料設計の基本となる。
【0003】
例えば、0.1デニール以下の極細繊維を得る方法として、2種類の非相溶なポリマーのブレンド紡糸が広く行われている。ブレンド方法としては、複合紡糸ノズルを使用して海島型相分離繊維とする方法、静止型混練機を使用して繊維中に層状構造を形成する方法、単純ブレンドにより繊維中に筋状構造を形成させる方法などが挙げられる。こうして得られた繊維は、繊維を構成している1成分を溶剤等を用いて溶出させたり、叩解処理等の割繊処理により極細化することができる。
【0004】
中でも工程上好ましい技術として、特公昭47−47535号公報に開示されているようなアクリロニトリル系重合体とメタクリル酸メチル重合体を混合・紡糸することで、叩解性良好なアクリル系合成繊維を得る方法が挙げられる。これは紡糸工程で脱落しない非相溶なポリマーどうしをブレンド紡糸し、繊維を叩解処理するものであり、脱落成分による工程の汚染がなく、また、極細化処理として構成成分の溶出除去が不要であるという利点がある。しかしながら、非相溶性のポリマー同士を単純ブレンドして紡糸した場合、叩解処理で均一に極細化させることは容易ではなく、短時間の処理では未分割の繊維が残ることがある。これは、筋状相分離構造の界面が十分に安定化しておらず、筋状構造の発達が不十分であると共に界面接着力が高いことが割繊性を低下させている原因と推定される。
【0005】
相分離構造を決定する要因としては、主としてポリマー種の組み合わせ、添加剤の選択、混合法、紡糸法の選定が挙げられるが、ベースとなる繊維基質が決まった場合にはポリマー種と紡糸法は大きく制限される為、添加剤と混合法が製造技術の中で重点課題となる。
中でも添加剤は、相分離構造の安定化を計る上で重要な因子で、これまでの検討例としては、例えば特開平7−229017号公報に示されている。 一般に、界面活性剤、ブロックポリマー、グラフトポリマー等の添加により、相分離界面の界面エネルギーを低下する方法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような界面活性剤、ブロックポリマー、グラフトポリマー等を使用する方法では、均一で安定した割繊繊維を得るには充分でなく繊維物性の低下を引き起こしたり、また溶液紡糸系繊維においては、紡糸原液の安定性低下などの不具合の原因となることがあり、経済的かつ環境適合性にも優れた添加剤が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような課題を鋭意検討した結果、本発明に至った。即ち、本発明は、アクリロニトリルを45重量%以上含有する共重合体が、繊維全体に対して20重量%以上含まれ、かつメタクリル酸エステルを30重量%以上含有する共重合体が、繊維全体に対して10〜50重量%含まれる繊維において、平均粒径が10nm〜100nmのシリカ微粒子の含有量が0.1〜10重量%で、かつ相分離界面に局在していることを特徴とする微粒子含有相分離繊維を第1の要旨とする。
そして、該微粒子含有相分離繊維を割繊処理して得られる極細繊維を第2の要旨とする。
さらに、アクリロニトリルを45重量%以上含有する共重合体と、メタクリル酸エステルを30重量%以上含有する共重合体と、平均粒径が10nm〜100nmのシリカ微粒子とを含む紡糸原液を用いて紡糸し、繊維全体に対して、該アクリロニトリル含有共重合体を20重量%以上、該メタクリル酸エステル含共重合体を10〜50重量%、該シリカ微粒子を0.1〜10重量%含有させることを特徴とする微粒子含有相分離繊維の製造方法を、第3の要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明では、単繊維繊度、繊維長は特に限定されず、用途に応じた使用が可能である。
本発明の繊維において相分離界面に微粒子が局在する状態としては、繊維中の相分離ドメインが無機微粒子で被われた状態で存在する例が挙げられる。例えば、相分離割繊繊維では相分離ドメインは繊維軸方向に配向し筋状の相分離構造が長距離に亘って安定に持続することが好ましいが、微粒子の界面への局在化により界面が安定化し、このような構造形成が可能となる。このような状況は、例えば繊維を繊維軸方向と平行にカットして透過型電子顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡で観察することができる。
【0009】
本発明においては、含有する粒子の平均粒子径は10nm以上1μm以下であることが望ましい。平均粒子径が10nm未満の場合、十分な効果が得られず、また、平均粒子径が1μmを超えると紡糸性が低下し、紡糸時の糸切れが発生しやすくなる。
【0010】
添加する微粒子は、繊維の全重量に対して0.1重量%以上10重量%以下であることが望ましい。0.1重量%未満の場合には十分な効果が得られず、10重量%を超えると、概して紡糸性が低下する。
【0011】
微粒子の材質は特に限定されないが、主に繊維を構成するポリマーの極性に対応して適性な表面電位を有する微粒子の組み合わせが存在すると予想される。相分離界面への局在化機構については、現在のところ定かでは無いが、微粒子の表面電位と相分離界面の界面電位との相互作用が、界面への選択吸着の主要因であると推定される。また、微粒子が相分離構造を安定化する機構についても現在のところ定かでは無いが、微粒子が相分離界面に選択吸着し界面電位を中和することで界面エネルギーを低下し、相分離界面を安定化していると推定される。界面活性剤、ブロックポリマー、グラフトポリマーに対する優位性は、微粒子では電荷密度が比較的高い為、バルク相への均一分散も微粒子同士の凝集も起こり難いことに起因すると推定される。
【0012】
本発明においては、繊維を構成するポリマーの中の1種類がアクリロニトリルを45重量%以上含有するアクリル系ポリマーの場合、より好ましい。これは、通常アクリロニトリルの紡糸はアクリル系ポリマーを無機または有機の溶剤に溶解させて行うため、ポリマー界面への無機微粒子の移動と局在化が容易に起こりうること、及び水または有機溶剤に分散した無機微粒子が使用できることによる。
【0013】
本発明で使用されるアクリル系共重合体は、アクリロニトリルを45重量%以上含有しておれば、共重合成分は特に限定しないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの誘導体、酢酸ビニル、アクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、さらに目的によっては、ビニルベンゼンスルホン酸ソーダ、アリルスルホン酸ソーダ、メタリルスルホン酸ソーダ、ソディウム−p−スルフォニルメタリルエーテル、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸ソーダ等のイオン性不飽和単量体を用いることができる。
【0014】
上記アクリロニトリル系重合体の分子量は、通常アクリル繊維の製造に用いられる範囲の分子量であれば特に限定しないが、0.5重量%ジメチルホルムアミド溶液としたとき、25℃における還元粘度が1.5〜3.0の範囲にあることが好ましい。
【0015】
本発明では、アクリロニトリルを45重量%以上含有した共重合体の含有量が20重量%以上である場合、より好ましい。アクリロニトリルが20重量%未満の場合、強度や対薬品性に劣る脆弱な繊維となり、アクリル繊維としての特長が失われてしまうためである。
【0016】
こうしたアクリル系ポリマーに混合する非相溶なポリマーとしては、紡糸溶剤に溶解するポリマーであればどのようなものを用いても良く、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリアルキレングリコール、ポリアミド、ポリイミド等のホモポリマー及びこれらのモノマーから構成される共重合体が挙げられる。これらのポリマーを単独あるいは複数種類混合して使用することができるが、少なくとも1種類が、メタクリル酸エステルを30重量%以上含有した共重合体である場合、より好ましい。これは、メタクリル酸エステル系ポリマーはアクリロニトリル系ポリマーとの混和性が良好であって、かつ非相溶であり、紡糸性が良好であることによる。メタクリル酸エステルを30重量%以上含有したポリマーとしては、例えばポリメタクリル酸メチルが挙げられるが、アクリル酸メチルやアクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどが共重合されていてもよい。
【0017】
また本発明では、アクリロニトリルを45重量%以上含有するアクリル系共重合体が50重量%〜90重量%、メタクリル酸エステルを30重量%以上含有する共重合体を10重量%以上50重量%未満含有する繊維である場合、割繊繊維として、更に好ましい。メタクリル酸エステルの含有量が30重量%未満の場合、十分な割繊性が得られず、また、50重量%を超えると、紡糸工程で繊維間接着が起こりやすくなるとともに、得られる繊維は脆弱なものとなるためである。
【0018】
本発明においては、添加する無機微粒子がシリカ微粒子である場合、相分離ドメインサイズ制御にとって、より好ましい。これはシリカ微粒子が紡糸原液中の相分離液滴を安定化するためであるが、今のところその機構は定かではない。シリカ微粒子が液滴表面に集合し、液滴を被覆することで液滴の凝集を抑制するものと考えられる。ポリマーブレンドによる割繊性繊維を目的とした場合、シリカ微粒子を添加することで、紡糸原液中の液滴サイズを均一化し、従って繊維中のドメインサイズを均一化するとともに、筋状構造となったポリマーの界面接着力を低下させ、割繊を容易にする。
【0019】
シリカ微粒子は、粉体の場合には例えばビーズミルなどの分散機を用いて紡糸溶剤、又は紡糸原液に分散させて使用するか、水或いは有機溶剤に分散した製品を紡糸原液の中の1成分にブレンドすることで繊維に複合化できる。
【0020】
シリカ微粒子の添加方法としては、紡糸原液調製時に添加するか、紡糸原液を構成する一つの成分にブレンドし、スタティックミキサー等の静止型混練機を用い、紡糸ラインの途中で混合する方法が可能である。
【0021】
本発明では、繊維断面形状が、長軸と短軸の比が2以上である場合、割繊性の点で好ましい。また、長軸と短軸の比が2以上の扁平部分の組み合わせで表される形状である場合も同様に好ましく、例えば、Y字型、十字型、*型、W型、H型等が挙げられる。こうした異形断面形状の繊維を得るには、繊維断面に対応した孔形状のノズルを使用する。
【0022】
また、本発明では、液−液相分離状態にあって相分離液滴の界面に微粒子が局在する紡糸原液を用いて紡糸することが好ましい。紡糸原液の段階で微粒子の局在化が認められない場合、繊維中の相分離界面に微粒子を局在化させることは困難となる。
【0023】
本発明の繊維を割繊処理して得られる極細繊維、及び繊維集合体は、従来のポリマーブレンドによる割繊繊維と比較して、割繊が容易であり、かつ、得られた極細繊維は細く、均一な径を有するといった特長を有する。そのため例えば湿式抄紙した場合、肌理が細かく、表面の整ったシート状物が得られる。
【0024】
アクリル系ポリマーを主成分とした場合の本発明の繊維の製造における紡糸原液の調製、及び凝固液に用いられる溶剤としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶剤、及び、硝酸、ロダン塩水溶液、塩化亜鉛水溶液を用いることができる。
【0025】
紡糸原液の調製方法としては、アクリル系ポリマーと、アクリル系ポリマーに非相溶な異種ポリマーを同一の溶剤に別々に溶解し、例えばスタティックミキサーのような混練機を用い、紡糸ラインの途中で混合することが可能である。この場合、無機微粒子はアクリル系ポリマーか、ブレンドポリマーのどちらかに添加しておくことができる。あるいは、最初からアクリル系ポリマーとブレンドポリマーを溶剤に溶解し、紡糸原液とすることが可能であり、その場合、シリカ微粒子も同時に添加することができる。
【0026】
紡糸方法としては、アクリル繊維の紡糸で通常行われている乾式、乾湿式、湿式紡糸が可能である。
紡糸原液はノズル口金を通して賦形され、洗浄・延伸工程を経るが、分子配向の高い方が割繊性が良いため、延伸倍率は3倍以上であることが好ましい。
サンプルはウエット状態のまま、或いは、油剤を付与した後、乾燥してサンプリングするが、用途によっては加圧蒸気中で緩和処理を行い、沸水中及び乾熱乾燥時の収縮率を下げることも可能である。
繊維は目的に応じた長さにカットすることができる。
繊維は叩解処理で極細化したものを水中に分散させて抄紙したり、ウエッブに高水圧を加えて割繊と交絡を同時に行いシート化することもできる。
【0027】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
(実施例1)
水系懸濁重合法により、アクリロニトリル/酢酸ビニル=92/8の組成を有する2元共重合ポリマー(分子量90000)を得た。該ポリマーと、共重合組成がメタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=90/10のメタクリル樹脂(商品名「アクリペットMDK」、三菱レイヨン(株)製;分子量85000)、ジメチルアセトアミドに分散されたシリカ微粒子(商品名「DMAC−ST−ZL」、日産化学(株)製;固形分20%、平均粒子径100nm)を60/40/2の重量比でジメチルアセトアミドに加熱溶解し、ポリマー濃度25%の紡糸原液を得た。ただし、シリカの組成比はシリカ微粒子の純分を表す。紡糸原液中の液滴、及びシリカ微粒子の存在状態を観察するため、少量の紡糸原液をポリエチレンフィルムに挟み、一定の厚みに圧延した後、水に浸漬し、凝固フィルムを得た。該フィルムを80℃で乾燥した後、酸素プラズマエッチング処理し、走査型電子顕微鏡で観察した。その結果、シリカ微粒子が相分離液滴を被覆する状態で存在しているのが観察され、シリカ微粒子が相分離界面に局在していることが確認された(図1)。
【0029】
該紡糸原液を調製した2時間後に、湿式法にて紡糸した。即ち、ジメチルアセトアミド/水=55/45(重量比)、温度40℃の凝固浴中で、孔径80μm、孔数2000の丸孔ノズルから吐出して凝固させ、続いて沸水中で6.5倍延伸し、ウエット状態で単繊維繊度2デニールの繊維を得た。得られた繊維を風乾し、繊維軸方向の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ微粒子が筋状相分離構造の相分離界面に沿って繊維軸方向に配列し、微粒子濃度の高い領域を形成しているが観察された(図2)。
【0030】
ウエット状態のサンプルを5mmにカットし、水を加えて濃度1%としたものを500cc計量し、家庭用ミキサーを用いて10分間叩解処理した。ミキサーの回転数は、7500rpmであった。得られたスラリー状態の繊維を0.3重量%に希釈し、カナダ標準ろ水度試験により、ろ水度を測定し、その結果を表1に示した。ろ水度は3回の測定値の平均値で表した(以下同じ)。
また、スラリー状態の繊維を濾紙上に捕集し、風乾した後、走査型電子顕微鏡で観察した。極細化した繊維は、太さがほぼ均一であった(図3)。
【0031】
(実施例2)
実施例1で調製した紡糸原液を70℃に保温し、3日間放置した後、実施例1の条件で単繊維繊度2デニールのウエットトウを紡糸した。紡糸性に問題はなかった。実施例1と同条件で5mmにカットしたウエットトウを叩解処理し、ろ水度を測定し、その結果を表1に示した。またスラリー状態の繊維を実施例1と同様に走査型電子顕微鏡で観察し、その結果も表1に示した。
【0032】
(実施例3)
実施例1で用いたアクリロニトリル/酢酸ビニル=92/8の組成を有する2元共重合ポリマーと、メタクリル樹脂(「アクリペットMDK」)、水分散シリカ微粒子(商品名ST−O、日産化学(株)製;固形分20%、平均粒子径15nm)を60/40/2の重量比でジメチルアセトアミドに加熱溶解し、ポリマー濃度25%の紡糸原液を得た。該紡糸原液を、湿式法にて紡糸した。即ち、ジメチルアセトアミド/水=55/45(重量比)、温度40℃の凝固浴中で孔径80μm、孔数2000の丸孔ノズルから吐出して凝固させ、続いて沸水中で6.5倍延伸し、ウエット状態で単繊維繊度2デニールの繊維を得た。
【0033】
得られた繊維を風乾し、繊維軸方向の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、シリカ微粒子がメタクリル樹脂の筋状構造を取り囲む形で繊維軸方向に配列し、微粒子濃度の高い領域を形成していることが観察された。
【0034】
ウエット状態のサンプルを5mmにカットし、水を加えて濃度1%としたものを500cc計量し、家庭用ミキサーを用いて10分間叩解処理した。ミキサーの回転数は、7500rpmであった。得られたスラリー状態の繊維を0.3重量%に希釈し、カナダ標準ろ水度試験により、ろ水度を測定し、その結果を表1に示した。またスラリー状態の繊維を実施例1と同様に走査型電子顕微鏡で観察し、その結果も表1に示した。
【0035】
(実施例4)
孔形状が、短辺30μm、長辺150μmの扁平形状で孔数2000のノズルを使用する以外は実施例1と同条件で紡糸し、単繊維繊度2デニールのウエットトウを得た。繊維10本を走査型電子顕微鏡で観察し、断面サイズの平均値を求めると、繊維断面は短軸が6.2μm、長軸が30μmの扁平断面であった。ウエットトウを5mmにカットした後、実施例1と同条件でミキサー処理し、ろ水度を測定し、その結果を表1に示した。またスラリー状態の繊維を実施例1と同様に走査型電子顕微鏡で観察し、その結果も表1に示した。
【0036】
(実施例5)
孔形状が、短辺が25μm、長辺が50μmの枝状部分4個から構成される十字型で、孔数750のノズルを使用する以外は、実施例1と同条件で紡糸を行い、単繊維繊度2デニールのウエットトウを得た。繊維の断面を電子顕微鏡で観察したところ、枝部分が短軸が4.7μm、長軸9.2μmの扁平部分から構成される十字型であった(繊維10本の平均値)。このウエットトウを5mmにカットした後、実施例1と同条件でミキサー処理し、ろ水度を測定し、その結果を表1に示した。またスラリー状態の繊維を実施例1と同様に走査型電子顕微鏡で観察し、その結果も表1に示した。
【0037】
(比較例1)
実施例1においてシリカ微粒子を添加せず、アクリロニトリル/酢酸ビニル=92/8の組成の2元共重合体とメタクリル樹脂(「アクリペットMDK」)を60/40の重量比でジメチルアセトアミドに溶解し、ポリマー濃度25%の紡糸原液を得た。この紡糸原液を用い、実施例1と同条件にて紡糸を行い、単繊維繊度2デニールのウエットトウを得た。原綿を5mmにカットした後、実施例1と同条件でミキサー処理し、実施例1と同様走査型電子顕微鏡で観察したところ図4に示すように分割された繊維の太さは不均一であった。また実施例1と同様にろ水度を測定し、その結果を表1に示した。
【0038】
(比較例2)
実施例1で使用したアクリロニトリル/酢酸ビニル=92/8の組成を有する2元共重合ポリマーと、メタクリル樹脂(「アクリペットMDK」)、及び、酸化チタン(商品名「TA−210」、富士チタン(株)製;平均粒子径300nm)を60/40/2の重量比でジメチルアセトアミドに加熱溶解し、ポリマー濃度25%の紡糸原液を得た。ただし、酸化チタンの組成比は酸化チタン粒子の純分を表す。
該紡糸原液を、実施例1と同条件にて紡糸し、ウエット状態で単繊維繊度2デニールのウエットトウを得た。得られたウエットトウを風乾し、繊維軸方向の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、酸化チタンは繊維中に均一に分散しており、ポリマー界面への局在化は認められなかった。
ウエットトウを5mmにカットし、実施例1と同条件でミキサー処理し、ろ水度を測定し、その結果を表1に示した。
【0039】
(比較例3)
比較例2で調製した紡糸原液を70℃に保温し、3日間放置した。液滴が凝集、成長した結果、紡糸原液はアクリロニトリル/酢酸ビニル共重合体を主成分ポリマーとする上層と、メタクリル樹脂ポリマーを主成分とする下層の2層に分離しており、紡糸に適さない状態であった。
【0040】
【表1】
Figure 0003847923
【0041】
【発明の効果】
本発明の微粒子含有相分離繊維は微粒子が相分離界面に局在し、従来の複数のポリマーのみから成る相分離繊維に比べ均一で安定した割繊性を有する。しかも従来の界面活性剤ブロックポリマー、グラフトポリマー等を添加剤として得た相分離繊維の繊維物性低下、及び最終製品からの溶出の不安も無い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で用いた紡糸原液の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1で得られた繊維の軸方向断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1で得られた繊維を叩解処理して得られた極細繊維の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】比較例1で得られた繊維の叩解処理後の走査型電子顕微鏡写真である。

Claims (4)

  1. アクリロニトリルを45重量%以上含有する共重合体が、繊維全体に対して20重量%以上含まれ、かつメタクリル酸エステルを30重量%以上含有する共重合体が、繊維全体に対して10〜50重量%含まれる繊維において、平均粒径が10nm〜100nmのシリカ微粒子の含有量が0.1〜10重量%で、かつ相分離界面に局在していることを特徴とする微粒子含有相分離繊維。
  2. 繊維断面形状が、長軸と短軸の比が2以上の扁平部分を有する形状である請求項1に記載の微粒子含有相分離繊維。
  3. 請求項1または2のいずれか1項に記載の繊維を割繊処理して得られる極細繊維。
  4. アクリロニトリルを45重量%以上含有する共重合体と、メタクリル酸エステルを30重量%以上含有する共重合体と、平均粒径が10nm〜100nmのシリカ微粒子とを含む紡糸原液を用いて紡糸し、繊維全体に対して、該アクリロニトリル含有共重合体を20重量%以上、該メタクリル酸エステル含共重合体を10〜50重量%、該シリカ微粒子を0.1〜10重量%含有させることを特徴とする微粒子含有相分離繊維の製造方法。
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