JPH11247023A - 微粒子含有アクリル繊維及びその製造方法並びに微粒子含有アクリル繊維を用いた人工皮革 - Google Patents

微粒子含有アクリル繊維及びその製造方法並びに微粒子含有アクリル繊維を用いた人工皮革

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JPH11247023A
JPH11247023A JP10053180A JP5318098A JPH11247023A JP H11247023 A JPH11247023 A JP H11247023A JP 10053180 A JP10053180 A JP 10053180A JP 5318098 A JP5318098 A JP 5318098A JP H11247023 A JPH11247023 A JP H11247023A
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weight
acrylic fiber
spinning
fine particle
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JP10053180A
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English (en)
Inventor
Seizo Oishi
清三 大石
Masakazu Hoshino
正和 星野
Hiroshi Hosokawa
宏 細川
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抄紙時に於ける分散性に優れた極細微粒子含
有アクリル繊維及びその製造方法並びに該微粒子含有ア
クリル繊維を用いた優れた風合いを有する人工皮革を提
供することにある。 【解決手段】 粒子径10nm〜1μmの微粒子を0.
1〜6重量%含有する単繊維繊度が1.0デニール以下
であることを特徴とする微粒子含有アクリル繊維であ
り、紡糸原液と同一成分で、アクリル共重合体濃度が2
〜15重量%の溶液に微粒子を加え、平均粒子径が10
nm〜1μmとなるように分散処理した後、紡糸原液ラ
インの途中で紡糸原液と混合し、湿式法により紡糸する
ことにより得られる。又人工皮革は該微粒子含有アクリ
ル繊維を30重量%以上用いることにより得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微粒子含有アクリ
ル繊維及びその製造方法並びに該微粒子含有アクリル繊
維を用いた特徴ある風合いを発現する人工皮革に関す
る。
【0002】
【従来の技術】人工皮革用途には、一般に単繊維繊度1
デニール以下の極細繊維が使用される。これは、繊維が
細いことで柔軟性に富み、ぬめり感が増し、天然皮革に
近い風合を発現することができるためである。こうした
極細繊維の製造方法としては、例えば特公平1−401
51に記載の複合紡糸により繊維中に海島構造を形成
し、海成分または島成分を溶剤で除去する方法がある。
この方法では1万分の1デニール程度の極細化した繊維
を得ることができ、天然皮革に近い手触りの人工皮革が
得られる。しかしながら、この方法では繊維の一成分を
除去する工程が必要なためコスト高となること、及び、
廃溶剤が排出されるという問題がある。
【0003】一方、直接紡糸による極細繊維を得る方法
があり、直接紡糸では後加工の必要がなく、特に湿式紡
糸による場合に生産性が高い。しかし、直接紡糸法で紡
糸可能な繊度は生産性の観点から限度があり、又単繊維
繊度が小さくなる程人工皮革の製造工程で重要な抄紙時
における繊維の分繊性が低下する。そのため極細化によ
る風合い向上はほぼ限界に近づいていると言える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の問題点を解消し、抄紙時に於ける分散性に優れた極細
微粒子含有アクリル繊維及びその製造方法並びに該微粒
子含有アクリル繊維を用いた優れた風合いを有する人工
皮革を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究を
重ねた結果、アクリル繊維に微粒子をブレンドすること
で、風合いを向上し、より天然に近い手触りの人工皮革
が得られることを見出し本発明に至った。また、風合い
向上と共に、繊維間の密着が抑制されるため、抄紙時の
分繊性が向上するという効果もあることが判明した。
【0006】即ち、本発明の第1の要旨は、粒子径10
nm〜1μmの微粒子を0.1〜6重量%含有する単繊
維繊度が1.0デニール以下であることを特徴とする微
粒子含有アクリル繊維にあり、第2の要旨は、該微粒子
含有アクリル繊維を30重量%以上用いることを特徴と
する人工皮革にあり、第3の要旨は、紡糸原液と同一成
分で、アクリル共重合体濃度が2〜15重量%の溶液に
微粒子を加え、平均粒子径が10nm〜1μmとなるよ
うに分散処理した後、紡糸原液ラインの途中で紡糸原液
と混合し、アクリル共重合体濃度14〜24重量%、微
粒子濃度0.024〜0.84重量%の紡糸原液として
湿式法により紡糸することを特徴とする微粒子含有アク
リル繊維の製造方法にあり、更に第4の要旨は溶剤ある
いは水に分散された平均微粒子径が10nm〜1μmの
微粒子を紡糸溶剤に加えて攪拌し、次いでアクリロニト
リル共重合体を加えて混合、加熱して、アクリル共重合
体濃度14〜24重量%、微粒子濃度0.024〜0.
84重量%の紡糸原液とし、湿式法により紡糸すること
を特徴とする微粒子含有アクリル繊維の製造方法にあ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のアクリル繊維は、平均粒
子径10nm以上1μm以下の微粒子を0.1重量%以
上6重量%以下含有する単繊維繊度が1.0デニール以
下であることを特徴とする微粒子含有アクリル繊維であ
る。
【0008】微粒子の平均粒子径が10nmより小さい
場合、十分な風合改良効果が期待できない。また平均粒
子径が1μmを超える場合、糸切れが発生し、紡糸性が
低下する。
【0009】また、該微粒子の含有量は、0.1重量%
未満の場合、風合向上効果が期待できず又抄紙時の分繊
性向上の効果も期待できなく、6重量%を超えると紡糸
工程での糸切れが発生するとともに、添加量増加に見合
う風合向上効果が得られない。
【0010】本発明における微粒子の種類は、平均粒子
径10nm以上1μm以下の微粒子が得られるものであ
れば特に限定されず、無機系、有機系のいずれの微粒子
も用いることができる。
【0011】無機系の場合には金属酸化物、第三リン酸
カルシウム、カーボンが好ましく、特に金属酸化物の中
ではシリカ、酸化チタンが好ましい。有機系の場合に
は、フッ素系ポリマーが好ましく、中でもポリテトラフ
ルオロエチレンが更に好ましい。これらの微粒子を添加
することにより、繊維表面に存在する微粒子の影響で繊
維表面が微細な凸状構造を与えるのみならず、更に繊維
表面に微細な皺が付与され、優れた風合いにつながる。
【0012】二酸化チタン、第三リン酸カルシウムを添
加した場合に繊維はダル化する傾向になるが、透明感の
ある繊維が必要な場合には、シリカを使用することで透
明感のある光沢とぬめり感の強い風合いを有する繊維が
得られる。
【0013】カーボン微粒子を添加した場合には、ソフ
ト感のある風合いのみならず、深みのある黒色繊維が得
られる。
【0014】また、微粒子としてポリテトラフルオロエ
チレンを添加した場合、やや滑り感のあるぬめりが得ら
れ、独特な風合が得られる。
【0015】本発明のアクリル繊維は、上記微粒子を含
有したアクリル繊維であって且つ単繊維繊度が1デニー
ル以下好ましくは0.5デニール以下である。すなわ
ち、1デニール以下のアクリル繊維に微粒子を添加する
ことにより、1デニールより大きい繊度のアクリル繊維
では実現し得なかった上記風合いと外観効果を出すこと
が出来るのみならず、抄紙時の分繊性が飛躍的に向上
し、従来にない均質なシート状物が得られる。このよう
なことが可能となったメカニズムについては現在のとこ
ろ定かでは無いが、1デニール以下の繊度になると繊維
集合体の比表面積が増大し、微粒子表面の性質が顕在化
する為であると推定される。従ってこの分繊性が向上す
る効果は、単繊維繊度が小さいほど顕著となると考えら
れる。
【0016】シリカ微粒子を添加した場合には、顕著な
ぬめり感の付与と同時に制電性が付与される。これらの
特徴は、1デニール以上のデニール領域では殆ど不可能
であって、シリカ微粒子表面のシラノール基由来の水分
子吸着作用等の性質が、繊維の比表面積増大に伴って顕
在化したものと推定される。同様に、ポリテトラフルオ
ロエチレン微粒子を添加すると、特徴ある風合いの変化
と同時に、極端に静電気を帯びやすい繊維が得られ、エ
アフィルター等に適性の高い繊維となる。
【0017】本発明のアクリル繊維はアクリロニトリル
を50重量%以上含有するアクリロニトリル系ポリマー
からなる繊維を指し、この場合に染色性、耐光性等に優
れるアクリル繊維本来の特徴を発現する。ここで、アク
リロニトリル系ポリマーのアクリロニトリル以外の共重
合成分としては、アクリロニトリルと共重合可能な不飽
和単量体であれば特に限定されないが、例えば以下のモ
ノマーが挙げられる。
【0018】すなわち、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチ
ル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどに
代表されるアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチ
ル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、
メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、
メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒド
ロキシプロピル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルな
どに代表されるメタクリル酸エステル類、アクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリ
ルアミド、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩
化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデ
ン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの不飽和モノ
マー類であり、さらに染色性改良などの目的によって
は、p−スルホフェニルメタリルエーテル、メタリルス
ルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2
−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び
これらのアルカリ金属塩などを共重合しても良い。
【0019】本発明の微粒子含有アクリル繊維を例えば
ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン等の他素材
と混合して人工皮革に使用する場合、全繊維重量に対し
て30重量%以上用いることが必要であり、30重量%
未満の場合、風合向上効果は現れにくくなる。本発明の
微粒子含有アクリル繊維は、主に人工皮革に使用される
が、優れた分繊性を生かし、抄紙用途や不織布にも使用
できる。
【0020】次に、本発明の微粒子含有アクリル繊維の
好ましい製造方法について述べる。その一つの方法は、
紡糸原液と同一成分で、アクリル共重合体濃度が2〜1
5重量%の溶液に微粒子を加え、平均粒子径が10nm
〜1μmとなるように分散処理した後、紡糸原液ライン
の途中で紡糸原液と混合し、アクリル共重合体濃度14
〜24重量%、微粒子濃度0.024〜0.84重量%
の紡糸原液として湿式法により紡糸することを特徴とす
る。
【0021】本発明の微粒子含有アクリル繊維は、基本
的には通常のアクリル繊維の紡糸法で製造される。すな
わち、アクリル繊維は一般にアクリロニトリル系ポリマ
ーを溶剤に溶解した紡糸原液を紡糸する溶液紡糸法によ
り製造されるが、溶液紡糸法は更に詳しくは湿式法、乾
湿式法、乾式法に分類される。本発明の微粒子含有アク
リル繊維の紡糸法としては、上記何れの紡糸法を用いて
も良いが、生産性の観点から一般に湿式紡糸法が好まし
い。
【0022】紡糸溶剤は通常のアクリル繊維の溶剤であ
れば特に限定されないが、例えばジメチルアセトアミ
ド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の
有機溶剤、硝酸水溶液、ロダン塩水溶液、塩化亜鉛水溶
液を用いることができる。
【0023】本発明に用いる微粒子は水、或いは有機溶
剤に分散した状態、或いは粉体で入手可能である。但
し、粉体は取り扱い性を向上させるため、一次粒子が凝
集した粒子として市販されているものが多く、その場合
には、ビーズミル等によるの粉砕処理により微粒子化さ
せて使用しても良い。
【0024】微粒子の添加方法としては、微粒子を分散
させた溶液を調製し、紡糸原液の送液ラインの途中で混
練機で混合する方法を用いる。この場合、紡糸原液と同
一成分で、アクリル共重合体濃度が2〜15重量%の溶
液に微粒子を加え、平均粒子径が10nm〜1μmとな
るように分散処理する。
【0025】アクリル共重合体濃度が2重量%未満の場
合、均一混合が困難であり、結果として繊維中の微粒子
の均一添加が困難となる。一方アクリル共重合体濃度が
15重量%を越えると、分散機への負荷が大きくなり、
分散効率が低下する。
【0026】溶液に微粒子を加える際、予め2重量%以
上15重量%以下の濃度範囲にある共重合体溶液を調整
した後、粉体あるいはコロイド状の微粒子を添加しプレ
ミキシングし分散処理を行うか、又はアクリル共重合体
の溶剤に粉体あるいはコロイド状の微粒子を添加した後
アクリル共重合体濃度を2重量%以上15重量%以下と
なるようにして分散処理を行ってもよい。分散処理に
は、ビーズミル等を用いることができ、平均粒子径が1
0nm〜1μmとなるまで処理を行う。
【0027】微粒子が再凝集しやすい場合には分散助剤
を添加したり、共重合体添加により粘度を上げる等の凝
集を防ぐ手だてをとることができる。。又、微粒子は単
独で使用するのみならず、複数種類を混合して使用して
もなんら差し支えない。
【0028】このように分散処理を施した後、紡糸原液
ラインの途中で紡糸原液と混合し、アクリル共重合体濃
度14〜24重量%、微粒子濃度0.024〜0.84
重量%の紡糸原液として湿式法により紡糸する。アクリ
ル共重合体濃度14重量%未満の場合、凝固浴での糸切
れが多くなり、反対に24重量%を越える場合は粘度が
高くなり、紡糸ノズルの変形をもたらす危険がある。紡
糸原液を14〜24重量%のアクリル共重合体濃度で、
微粒子濃度0.024〜0.84重量%とすることによ
り、0.1〜6重量%の微粒子を含有したアクリル繊維
が得られる。
【0029】本発明の微粒子含有アクリル繊維の他の製
造方法は、溶剤あるいは水に分散された平均粒子径が1
0nm〜1μmの微粒子を紡糸溶剤に加えて攪拌し、次
いでアクリロニトリル共重合体を加えて混合、加熱し
て、アクリル共重合体濃度14〜24重量%、微粒子濃
度0.024〜0.84重量%の紡糸原液とし、湿式法
により紡糸することを特徴とする。
【0030】すなわち、紡糸原液調製時に同時に添加す
る方法である。この方法による場合も、前記分散処理を
施した後、紡糸原液ラインの途中で紡糸原液と混合する
方法と同様、アクリル共重合体濃度14〜24重量%と
し、更に微粒子濃度0.024〜0.84重量%の紡糸
原液とする。アクリル共重合体濃度と微粒子濃度が該範
囲内であることにより、初めて0.1〜6重量%の微粒
子を含有した繊維が得られる。
【0031】上記微粒子を分散した紡糸原液は、紡糸原
液と同じ溶剤を成分に含む凝固浴中で、希望の形状の孔
形状を持つノズルから吐出して凝固させ、続いて洗浄、
延伸後、乾燥して繊維とする。このように湿式法で紡糸
することで、加工性に問題なく微粒子含有アクリル繊維
を得ることができる。
【0032】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0033】(実施例1)各工程別に説明する。 「原液調合工程」水系懸濁重合法により、アクリロニト
リル92重量%、アクリル酸メチル7.5重量%、ソデ
ィウムメタアリルサルファート0.5重量%からなる極
限粘度1.7(25℃ジメチルホルムアミド中で測定)
のアクリル系共重合体をジメチルアセトアミドに溶解
し、共重合体濃度19重量%の紡糸原液(原液A)を得
た。一方、原液Aと同一の共重合体をジメチルアセトア
ミドに溶解し、共重合体濃度5重量%とした後、二酸化
チタンの粉末を微粒子濃度10重量%となるように添加
し、二酸化チタンの平均粒子径が0.3μmになるまで
ビーズミル処理した(原液B)。
【0034】「原綿製造工程」静止型混練機を使用し、
原液Aと原液Bとを紡糸口金の直前で混合しアクリル共
重合体濃度18.6重量%の紡糸原液とし、繊維中に二
酸化チタンが1.5重量%含有される割合で混合した。
原液Aと原液Bの混合液は、孔径が40μmの紡糸口金
を使用し、40℃の30重量%ジメチルアセトアミド水
溶液中に吐出させ、沸水中で4倍に延伸し、乾燥後、更
に160℃乾熱で1.5倍延伸し、単繊維繊度0.1デ
ニールのトウを得た。得られたトウを飽和水蒸気中で1
0%緩和処理した後、3mmにカットし微粒子含有アク
リル短繊維からなる原綿を得た。
【0035】「抄紙工程」得られた原綿を水中に分散さ
せ、丸網抄紙機で抄造、乾燥し、坪量40g/m2の紙
状物を得た。極めて分繊性が良く均質な紙状物であっ
た。
【0036】「高圧水流噴射処理」この紙状物をポリエ
ステルの編物でできた補強材の上に乗せ、孔径0.15
mmのノズルを用い15kg/cm2、30kg/c
2、40kg/cm2、60kg/cm2、60kg/
cm2の圧力で順次水流噴射処理を行った。得られたシ
ート状物に更にもう一枚、上記の紙状物を乗せ、同条件
で高圧水流噴射処理を行った。
【0037】「後処理」高圧水流噴射処理を行ったシー
ト状物を脱水処理した後、沸騰水中で収縮処理を行い、
更に150℃で熱セット処理を施した。噴射水流処理さ
れた面の反対側をブラッシングし人工皮革を得た。風合
をハンドリング評価したところ、ぬめり感のある天然ス
エード調を有していた。
【0038】(比較例1)繊維中に二酸化チタンを0.
05重量%含有させた以外は実施例1と同条件で人工皮
革を得た。得られた人工皮革は、抄紙時の分繊不足のた
め均質性に乏しく又風合をハンドリング評価したとこ
ろ、スエード調の風合は有するものの、実施例1に比較
してぬめり感が不足していた。
【0039】(比較例2)繊維中の二酸化チタンの含有
量を12重量%とした以外は、実施例1と同一の紡糸条
件で紡糸を行ったところ、凝固浴での糸切れ及び延伸時
の糸切れにより原綿を得ることができなかった。
【0040】(比較例3)二酸化チタンの粉末を固形分
濃度10重量%となるように添加し、二酸化チタンの平
均粒子径が1.2μmになるまでビーズミル処理したも
のを原液Bとする以外は、実施例1と同条件で紡糸した
ところ、紡糸工程での糸切れが激しく紡糸困難であっ
た。
【0041】(比較例4)繊維の単繊維繊度を1.5デ
ニールとした以外は、実施例1と同条件で人工皮革を得
たが、風合は粗硬なものであった。
【0042】(比較例5)微粒子を含有しない単繊維繊
度0.1デニールのアクリル極細繊維の3mmにカット
した原綿75重量%と、実施例1の原綿製造工程で得た
原綿25重量%の混合綿として用いた他は、抄紙工程以
降全て実施例1と同条件で人工皮革を得た。得られた人
工皮革は、比較例1と比較し抄紙時の分繊性が改善され
たものの充分ではなく、均質性がやや不良であり、風合
をハンドリング評価したところ比較例1と同レベルであ
った。
【0043】(実施例2)二酸化チタンの代わりに、第
三リン酸カルシウムの粉末を固形分濃度10重量%とな
るように添加し、第三リン酸カルシウムの平均粒子径が
0.5μmになるまでビーズミルで処理したものを原液
Bとし、第三リン酸カルシウムを1.5重量%含有する
アクリルトウを得、3mmにカットして原綿を得た以外
は、実施例1と同条件にて人工皮革を得た。得られた人
工皮革は、白色でぬめり感のあるスエード調風合いであ
った。
【0044】(実施例3)二酸化チタンの代わりに、ジ
メチルアセトアミドに分散された平均粒子径100nm
の二酸化ケイ素微粒子を10重量%となるように添加し
たものを原液Bとして使用し、二酸化ケイ素微粒子を2
重量%含有する繊維長3mmのアクリル繊維の原綿とし
た以外は、実施例1と同一工程及び条件にて人工皮革を
得た。得られた人工皮革は透明性に優れた、ぬめり感の
あるスエード調を呈していた。
【0045】(実施例4)二酸化チタンの代わりに、カ
ーボン微粒子を固形分濃度10重量%となるように添加
し、カーボン微粒子の平均粒子径が0.3μmになるま
でビーズミルで処理したものを原液Bとし、カーボン微
粒子を3重量%含有するアクリル繊維を、3mmにカッ
トした原綿とした以外は全て実施例1と同一工程及び条
件にて人工皮革を得た。得られた人工皮革は深い黒色
の、ぬめり感のあるスエード調を呈していた。
【0046】(実施例5)二酸化チタンの代わりに、ポ
リテトラフルオロエチレン微粒子を固形分濃度10重量
%となるように添加し、ポリテトラフルオロエチレン微
粒子の平均粒子径が0.5μmになるまでビーズミルで
処理したものを原液Bとし、ポリテトラフルオロエチレ
ンを2重量%含有するアクリル繊維を得、3mmにカッ
トした原綿とした以外は全て実施例1と同一工程及び条
件にて人工皮革を得た。得られた人工皮革はやや白色が
かった色の、ぬめり感のあるスエード調を呈していた。
【0047】(実施例6)実施例1の原綿調合工程及び
原綿製造工程によって得られた繊維中に二酸化チタンが
1.5重量%含有する3mmにカットした原綿30重量
%と、比較例1で得られた繊維中に二酸化チタンが0.
05重量%含有する3mmカットの原綿70重量%とを
用いた他は、抄紙工程以降全て実施例1と同条件で人工
皮革を得た。得られた人工皮革は、ぬめり感を有するス
エード調の風合であった。
【0048】
【発明の効果】本発明の微粒子含有アクリル繊維は分繊
性に優れ、含有する微粒子によって外観効果も出せ、ま
た通常のアクリル繊維製造プロセスで製造可能であり、
該微粒子含有アクリル繊維を使用した人工皮革は、従来
品に比較して優れた風合いと外観効果を有する。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒子径10nm〜1μmの微粒子を0.
    1〜6重量%含有する単繊維繊度が1.0デニール以下
    であることを特徴とする微粒子含有アクリル繊維。
  2. 【請求項2】 微粒子が金属酸化物である請求項1に記
    載の微粒子含有アクリル繊維。
  3. 【請求項3】 金属酸化物がシリカである請求項2に記
    載の微粒子含有アクリル繊維。
  4. 【請求項4】 金属酸化物が二酸化チタンである請求項
    2に記載の微粒子含有アクリル繊維。
  5. 【請求項5】 微粒子が第三リン酸カルシウムである請
    求項1に記載の微粒子含有アクリル繊維。
  6. 【請求項6】 微粒子がカーボンである請求項1に記載
    の微粒子含有アクリル繊維。
  7. 【請求項7】 微粒子がフッ素系ポリマーである請求項
    1に記載の微粒子含有アクリル繊維。
  8. 【請求項8】 フッ素系ポリマーがポリテトラフルオロ
    エチレンである請求項7に記載の微粒子含有アクリル繊
    維。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の微
    粒子含有アクリル繊維を30重量%以上用いることを特
    徴とする人工皮革。
  10. 【請求項10】 紡糸原液と同一成分で、アクリル共重
    合体濃度が2〜15重量%の溶液に微粒子を加え、平均
    粒子径が10nm〜1μmとなるように分散処理した
    後、紡糸原液ラインの途中で紡糸原液と混合し、アクリ
    ル共重合体濃度14〜24重量%、微粒子濃度0.02
    4〜0.84重量%の紡糸原液として湿式法により紡糸
    することを特徴とする微粒子含有アクリル繊維の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 溶剤あるいは水に分散された平均微粒
    子径が10nm〜1μmの微粒子を紡糸溶剤に加えて攪
    拌し、次いでアクリロニトリル共重合体を加えて混合、
    加熱して、アクリル共重合体濃度14〜24重量%、微
    粒子濃度0.024〜0.84重量%の紡糸原液とし、
    湿式法により紡糸することを特徴とする微粒子含有アク
    リル繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7829486B2 (en) 2003-02-06 2010-11-09 Kuraray Co., Ltd. Stretchable leather-like sheet substrate and process for producing same
JP2015212451A (ja) * 2013-02-26 2015-11-26 三菱レイヨン株式会社 繊維集合体及び紙

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