JP5697258B2 - 高強度かつ高弾性率の炭素繊維を得るための前駆体繊維の製造方法 - Google Patents

高強度かつ高弾性率の炭素繊維を得るための前駆体繊維の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高強度かつ高弾性率の炭素繊維を得るための前駆体繊維の製造方法に関する。また、本発明は、かかる製造方法によって得られる前駆体繊維、及びかかる前駆体繊維から得られる高強度かつ高弾性率の炭素繊維に関する。さらに、本発明は、かかる前駆体繊維の製造に使用する紡糸原液に関する。
炭素繊維は、軽量かつ高強度、高弾性率という極めて優れた物性を有することから、釣竿、ゴルフクラブやスキー板等の運動用具やCNGタンク、フライホイール、風力発電用風車、タービンブレード等の形成材料、道路、橋脚等の構造物の補強材、さらには、航空機、宇宙用素材として使われ、さらにその用途は広がりつつある。
このような炭素繊維の用途の拡大につれて、より高強度、高弾性率を有する炭素繊維の開発が望まれるようになってきている。
炭素繊維は、ポリアクリロニトリルを原料とするPAN系炭素繊維と、石炭由来のコールタール、石油由来のデカントオイルやエチレンボトムなどを出発原料とするピッチ系炭素繊維に大別される。いずれの炭素繊維も、まずこれらの原料から前駆体繊維を製造し、この前駆体繊維を高温で加熱して耐炎化、予備炭素化、及び炭素化することによって製造される。
物性の点から見ると、現在市販されているPAN系炭素繊維は、最大6GPa程度という極めて高い引張強度を達成することができるが、引張弾性率が発現しにくく、最大でも300GPa程度に留まっている。一方、現在市販されているピッチ系炭素繊維は、最大800GPa程度という極めて高い引張弾性率を達成することができるが、引張強度が発現しにくく、最大でも3GPa程度に留まっている。航空機や宇宙用素材として使用するためには、高引張強度かつ高引張弾性率の炭素繊維が望ましいが、このように、現在提案されている炭素繊維の中にこの要件を満たすものは存在しない。
一方、特許文献1には、ポリアクリロニトリル系ポリマーにカーボンナノチューブを添加して紡糸することによって得られた前駆体繊維(カーボンナノチューブ含有PAN系前駆体繊維)が、従来のPAN系前駆体繊維より高い引張弾性率を示すことが開示されている。
しかし、特許文献1の方法で得られた前駆体繊維は、引張弾性率の点では優れるものの、断面形状が円形ではなく大きく歪んでいるため、この前駆体繊維から得られる炭素繊維は従来のPAN系炭素繊維のような高い引張強度を示さない。従って結局、高引張強度及び高引張弾性率という二つの特性を両立させた炭素繊維は未だ得られていない。
米国特許第6852410号
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、高引張強度かつ高引張弾性率の炭素繊維を製造することができる前駆体繊維及びその工業的に有利な製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために、特許文献1の方法の改良について鋭意検討した結果、特許文献1の方法で得られるカーボンナノチューブ含有PAN系前駆体繊維の断面形状が大きく歪む理由は、紡糸原液の溶剤としてジメチルホルムアミド(DMF)を使用しているためであり、ロダン塩又は塩化亜鉛の水溶液を紡糸原液の溶剤として使用すると、略円形断面のカーボンナノチューブ含有PAN系前駆体繊維が得られることを見出した。しかし、溶剤としてDMFの代わりにロダン塩又は塩化亜鉛の水溶液を使用すると、紡糸原液にカーボンナノチューブ分散液を添加した際に瞬時にカーボンナノチューブが凝集・析出しやすく、得られた凝固糸中に凝集・析出物の塊が散在するため、延伸時にこの塊を起点に糸切れを生じやすく、十分な延伸を行うことができないこと、このため前駆体繊維中のポリマー鎖及びカーボンナノチューブの配向が不十分になり、カーボンナノチューブの添加により本来期待されるべき高い引張強度および引張弾性率を発現することができないことが判明した。また、カーボンナノチューブが紡糸原液中で多量に凝集・析出すると、紡糸原液の曵糸性がなくなったり、紡糸口金のフィルター詰まりを起こし、紡糸不可能になることが判明した。そこで、本発明者らは、ロダン塩又は塩化亜鉛の水溶液を紡糸原液の溶剤として使用しつつも紡糸原液中のカーボンナノチューブの析出を抑制する方法についてさらに検討したところ、カーボンナノチューブを添加する際に両性分子を分散剤として併用すると、カーボンナノチューブが安定に溶剤中に分散されて凝集・析出しにくくなることを見出した。また、紡糸原液に含まれる両性分子は、紡糸時に凝固浴中へ抽出されてしまい、糸中にほとんど残らないため、カーボンナノチューブの添加による糸物性改善効果が高いことを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明によれば、以下の(1)〜(5)の工程を含むことを特徴とする、炭素繊維の前駆体繊維の製造方法が提供される:
(1)両性分子の水溶液を調製する工程;
(2)この両性分子の水溶液にカーボンナノチューブを添加し、カーボンナノチューブを分散させ、カーボンナノチューブ分散液を調製する工程;
(3)このカーボンナノチューブ分散液とポリアクリロニトリル系ポリマーとロダン塩又は塩化亜鉛とを混合し、紡糸原液を調製する工程;
(4)この紡糸原液から、湿式又は乾湿式紡糸法によって凝固糸を得る工程;そして
(5)この凝固糸を延伸して炭素繊維の前駆体繊維を得る工程。
本発明の製造方法の好ましい態様では、工程(3)で調製される紡糸原液が、30〜60重量%のロダン塩、5〜30重量%のポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマーに対して0.01〜5重量%のカーボンナノチューブ、及び0.01〜5.0重量%の両性分子を含む。
本発明の製造方法の好ましい態様では、工程(3)で調製される紡糸原液が、30〜70重量%の塩化亜鉛、5〜30重量%のポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマーに対して0.01〜5重量%のカーボンナノチューブ、及び0.01〜5.0重量%の両性分子を含む。
本発明の製造方法の好ましい態様では、工程(2)においてカーボンナノチューブを分散させる前に濡れ処理を行い、さらにカーボンナノチューブ分散液に安定化処理を行う。
また、本発明によれば、上記方法によって製造される、炭素繊維の前駆体繊維であって、略円形断面を有しかつカーボンナノチューブを含むことを特徴とする炭素繊維の前駆体繊維が提供される。
また、本発明によれば、略円形断面を有しかつカーボンナノチューブを含むことを特徴とする炭素繊維の前駆体繊維が提供される。
さらに、本発明によれば、上記前駆体繊維を耐炎化、予備炭素化及び炭素化することによって製造される炭素繊維であって、高い引張強度及び高い引張弾性率を有することを特徴とする炭素繊維が提供される。
さらに、本発明によれば、ロダン塩又は塩化亜鉛、ポリアクリロニトリル系ポリマー、カーボンナノチューブ、及び両性分子を含む水溶液からなることを特徴とする紡糸原液が提供される。
本発明のカーボンナノチューブ含有PAN系前駆体繊維の製造方法では、紡糸原液の溶剤としてロダン塩又は塩化亜鉛の水溶液を使用しているので、略円形断面の前駆体繊維を得ることができる。また、両性分子が分散剤として紡糸原液からのカーボンナノチューブの凝集・析出を抑制しており、しかも両性分子が紡糸中に凝固浴中に抽出されて糸中に残らないため、得られた糸は、凝集・析出物の塊を含まず、十分に延伸させてポリマー鎖及びカーボンナノチューブを配向させることができる。従って、かかる前駆体繊維から得られる炭素繊維は、適切に配向されたカーボンナノチューブの含有および高分子鎖の配向に起因するPAN系炭素繊維の特徴である高い引張強度に加えて、高い引張弾性率を示す。さらに、カーボンナノチューブの分散に通常使われている分散剤とは異なり、カーボンナノチューブの分散時に超音波照射や遠心分離を行う必要がないため、工業生産に極めて適している。
図1は、実施例1Aで得られた前駆体繊維の断面写真である。 図2は、比較例2Aで得られた前駆体繊維の断面写真である。
以下、本発明のカーボンナノチューブ含有PAN系炭素繊維の前駆体繊維の製造方法について詳述する。
本発明の製造方法ではまず、両性分子の水溶液を調製する(工程(1))。
本発明で使用する両性分子とは、1分子中に正電荷と負電荷からなる基を有する分子であって、それぞれの基が対イオンとの塩を形成しているものである。具体的には、3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシプロパンスルホネート、n−ドデシルーN,N’−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−ヘキサデシル−N,N’−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート、n−オクチルホスホコリン、n−ドデシルホスホコリン、n−テトラデシルホスホコリン、n−ヘキサデシルホスホコリン、ジメチルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルベタイン、レシチン、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンのポリマーおよびポリペプチド等が挙げられる。両性分子は、これらを単独又は2種類以上混合して使用することができ、さらに、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤又は中性界面活性剤と併用して使用することもできる。
両性分子の水溶液の調製は、水に両性分子を添加して室温で攪拌することによって容易に行うことができる。両性分子の濃度は、0.01〜5.0重量%であることが好ましく、0.1〜2.0重量%であることがさらに好ましい。上記下限未満では、カーボンナノチューブの分散剤としての効果を十分発揮できないおそれがある。また、上記上限を越えると、やはりカーボンナノチューブの分散剤としての効果を十分に発揮しなくなる。
次に、この両性分子の水溶液にカーボンナノチューブを添加し、カーボンナノチューブを分散させ、カーボンナノチューブ分散液を調製する(工程(2))。
本発明で使用するカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブのいずれであっても良く、これらの混合物であっても良い。各種カーボンナノチューブの末端は、閉じていても良いし、穴が開いていても良い。カーボンナノチューブの直径は、好ましくは0.4nm以上100nm以下であり、より好ましくは0.8nm以上80nm以下である。カーボンナノチューブの長さは、制限されるものではなく、任意の長さのものを用いることができるが、好ましくは0.6μm以上200μm以下である。
本発明で使用するカーボンナノチューブの純度は、炭素純度として80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。炭素純度は、示差熱分析により決定される。カーボンナノチューブの不純物としては、非晶炭素成分や触媒金属が挙げられる。空気中での200℃以上での加熱、または、過酸化水素水で洗浄することにより、非晶炭素成分を除くことができる。さらに、塩酸、硝酸、硫酸等の鉱酸で洗浄後、水洗することにより鉄等のカーボンナノチューブ製造時の触媒金属を除去することができる。本発明では、これらの精製操作を組み合わせることにより、種々の不純物を除去し、炭素純度を高めたカーボンナノチューブを使用することが好ましい。
カーボンナノチューブの添加量は、次の工程(3)で混合するポリアクリロニトリル系ポリマーの量に対して0.01〜5重量%であることが好ましく、0.1〜3重量%であることがさらに好ましい。上記下限未満では、得られる前駆体繊維中のカーボンナノチューブ量が少なくなり、十分高い引張弾性率を達成できないおそれがある。また、上記上限を越えると、紡糸原液に曵糸性がなくなり、紡糸が困難になる。
カーボンナノチューブの分散は、バンドルしたカーボンナノチューブをほぐすために必要であり、両性分子を用いた場合、緩やかに撹拌をしておけば分散するが、やはり、工業的に効率良くむら無く分散処理するためには物理的な力を加えて分散するのが良い。分散の方法として、ボールミル、ビーズミル、3本以上の複数本のロールによる分散等が挙げられる。分散液が目視で黒色透明になれば、カーボンナノチューブは充分分散している。
カーボンナノチューブの分散を短時間に効率的に行うためには、分散前に濡れ処理を行うことが好ましい。ここで、濡れ処理とは、バンドルしたカーボンナノチューブの間に分散剤である両性分子を滲入させてカーボンナノチューブの分散のきっかけを作る処理を言う。通常、両性分子を用いる場合、緩やかな撹拌を与えるだけで静電気力により徐々にカーボンナノチューブが分散していく。しかし、工業的に大きなスケールで短時間で分散させようとする場合、物理的な方法で、両性分子をカーボンナノチューブ間に滲入させることにより、むら無く、短時間で分散が完了する。この物理的な方法としては、オートクレーブ中でカーボンナノチューブが存在する系に温度を掛けてカーボンナノチューブのバンドルを膨潤させたのち、圧力を掛ける方法が挙げられる。このときの温度範囲は50〜150℃、より好ましくは、80〜150℃であり、圧力範囲は1.1〜2.0気圧である。
カーボンナノチューブ分散液の調製後、分散液の安定性を上げるために分散液に安定化剤を添加する安定化処理を行うことが好ましい。安定化処理は、分散したカーボンナノチューブが再凝集するのを防ぐために必要であり、カーボンナノチューブ分散液をすぐに使用しない場合の経時変化を防ぐ効果がある。安定化剤としては、多級アルコール類、例えば、グリセロール、エチレングリコール等の多級アルコール、ポリビニルアルコール、また、ポリオキシエチレン類、例えば、ポリオキシエチレン化脂肪酸やそのエステル誘導体、また、多糖類、例えば、水溶性セルロース、水溶性デンプン、水溶性グリコーゲン、それらの誘導体、例えば、酢酸セルロース、アミロペクチン、また、アミン類、例えば、アルキルアミン等が挙げられる。これらの安定化剤は単独でも2種類以上用いても良い。安定化剤の添加量はカーボンナノチューブ分散液の量に対して、0.006〜3重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.06〜1.2重量%である。
次に、このカーボンナノチューブ分散液とポリアクリロニトリル系ポリマーとロダン塩又は塩化亜鉛を混合し、紡糸原液を調製する(工程(3))。
この混合においては、カーボンナノチューブ分散液にポリアクリロニトリル系ポリマーとロダン塩又は塩化亜鉛を添加してもよいし、また、ポリアクリロニトリル系ポリマーをロダン塩又は塩化亜鉛水溶液に溶かしたポリマー溶液とカーボンナノチューブ分散液を混合してもよい。前者の場合、ポリアクリロニトリル系ポリマーとロダン塩又は塩化亜鉛の添加は同時であってもよく、また、どちらを先に添加してもよい。添加は一度に行う必要はなく、分けて行ってもよい。ポリアクリロニトリル系ポリマーを添加するときは、必要により水を添加して水スラリーの状態にすることが好ましい。この場合、添加される水を予め多くし、後で常圧下又は減圧下で徐々に水を留去して紡糸原液の粘度を調整してもよい。
本発明で使用するポリアクリロニトリル系ポリマーとしては、ポリアクリロニトリル、および、アクリロニトリルと共重合可能なビニル単量体からなる共重合体を使うことができる。共重合体としては、耐炎化反応に有効な作用を有するアクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−イタコン酸共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸−イタコン酸共重合体、アクリロニトリル−メタクリル酸メチル−イタコン酸共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸−イタコン酸共重合体等が挙げられ、いずれの場合もアクリロニトリル成分が85モル%以上であることが好ましい。これらのポリマーは、アルカリ金属またはアンモニアとの塩を形成していても良い。また、これらのポリマーは単独または2種以上の混合物としても使用できる。
ポリアクリロニトリル系ポリマーの添加量は、紡糸原液中、5〜30重量%になるような量であることが好ましく、さらに好ましくは10〜20重量%になるような量である。上記下限未満では、紡糸張力をかけることができず、繊維自身および糸中のカーボンナノチューブの配向が不足し、強度不足の原因となるおそれがある。また、上記下限を越えると紡糸時に背圧上昇の原因となるおそれがある。
本発明で使用可能なロダン塩は、チオシアン酸と1価または2価の金属との塩であればよく、中でもチオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウムが好ましい。また、これらの混合物を用いることもできる。ロダン塩は極めて溶解しにくいため、ロダン塩の添加は、分散液を激しく攪拌しながら行うことが好ましい。必要により、ロダン塩を完全に溶解させるため、分散液を約30℃〜約90℃に加熱してもよい。
ロダン塩の添加量は、紡糸原液中、30〜60重量%になるような量であることが好ましく、さらには40〜55重量%であることが好ましい。上記下限未満では、ポリアクリロニトリル系ポリマーが溶解できないおそれがある。また、上記上限を越えると、ロダン塩が析出したり、いったん分散したカーボンナノチューブが凝集し、析出してしまうおそれがある。
本発明で使用可能な塩化亜鉛水溶液は、塩化亜鉛単独又はこれとナトリウム、カリウム、マグネシウム等の塩化物との混合塩の水溶液である。塩化亜鉛の使用量は、紡糸原液中、30〜70重量%になるような量であることが好ましく、さらに好ましくは50〜70重量%、特に好ましくは56〜65重量%である。上記下限未満では、ポリアクリロニトリル系ポリマーが溶解できないおそれがある。また、上記上限を越えると、塩化亜鉛が析出したり、いったん分散したカーボンナノチューブが凝集し、析出してしまうおそれがある。また、塩化亜鉛水溶液は、酸化亜鉛を含まないことが好ましい。
以上の工程(3)によって得られた紡糸原液は、ロダン塩又は塩化亜鉛、ポリアクリロニトリル系ポリマー、カーボンナノチューブ、及び両性分子を含む水溶液からなる。この水溶液中では、両性分子の分散作用によりカーボンナノチューブが水中に安定に分散しており、何らかの衝撃が加えられても析出しにくくなっている。
本発明の紡糸原液の粘度は、ロダン塩を使用する場合、通常30℃で、湿式紡糸では、2〜20Pa・secであることが好ましく、乾湿式紡糸では100〜500Pa・secであることが好ましい。本発明の紡糸原液の粘度は、塩化亜鉛を使用する場合、通常30℃で、湿式紡糸では、5〜50Pa・secであることが好ましく、乾湿式紡糸では30〜300Pa・secであることが好ましい。それぞれの紡糸方法において、上記範囲を下回ると、紡糸時にノズル面に紡糸原液が付着してしまう恐れがあったり、吐出糸条の切断や品質斑の問題があり、上記範囲を上回ると、メルトフラクチャーが生じて安定に紡糸を行うことができなくなるなど、紡糸の操業性に問題が生じるおそれがある。
次に、この紡糸原液から、湿式又は乾湿式紡糸法によって凝固糸を得る(工程(4))。
紡糸口金の孔径は、湿式紡糸では、0.03〜0.1mmであることが好ましく、乾湿式では0.1〜0.3mmであることが好ましい。上記範囲を下回ると、紡糸時にドラフト比が小さくなり生産性を著しく損なうおそれがあったり、吐出糸条の切断や品質斑の問題があり、上記範囲を上回ると、紡糸原液の吐出線速度が小さくなり凝固槽内での糸の張力が大きくなるなど、紡糸の操業性に問題が生じるおそれがある。
凝固浴としては、水、塩化亜鉛もしくは塩化アルミニウム等のルイス酸塩水溶液、又はロダン塩水溶液、又は塩化亜鉛水溶液を用いることが好ましい。ルイス酸塩又はロダン塩又は塩化亜鉛の濃度は10〜30重量%であることが好ましく、温度は−5〜10℃に保つことが好ましい。ルイス酸塩又はロダン塩又は塩化亜鉛の濃度が10重量%未満では、吐出された紡糸原液の表面から急速に凝固が進み、繊維中心部の凝固が不充分となり、均一な糸の構造形成が行われないおそれがある。また、30重量%よりも濃度が高いと、凝固が遅くなり、巻き取りまでの工程で隣接する糸同士の接着を生じるおそれがある。また、凝固は多段で行われることが好ましく、特に好ましくは2〜3段で行われる。凝固が1段の場合、糸中心部までの凝固が不充分となり、均一な糸構造の形成ができないおそれがある。また、4段以上では、生産設備が重厚となり、現実的でない。
紡糸時の引き取り速度は、3〜20m/分の範囲にあることが好ましい。3m/分未満では、生産性が極めて低くなるおそれがある。一方、20m/分を越えると、紡糸口金近傍での糸切れが多発し、操業性を著しく損なうおそれがある。
次に、工程(4)で得られた凝固糸を延伸して炭素繊維の前駆体繊維を得る(工程(5))。延伸することによって、繊維中の分子鎖の配向性を高めて力学物性に優れた炭素繊維を得ることができる。延伸は、トータルの延伸倍率が4〜12倍になるように行うことが好ましく、より好ましくは、トータルの延伸倍率が5〜7倍になるように行う。トータルの延伸倍率が上記下限未満では、糸中のカーボンナノチューブの配向が不充分で、ポリアクリロニトリル系高分子が緻密に配向した炭素繊維前駆体を得ることができないおそれがある。また、トータルの延伸倍率が上記上限を越える場合は、延伸時に糸切れが頻発し、延伸安定性に欠けるおそれがある。延伸操作は、冷延伸、熱水中での延伸、蒸気中での延伸のいずれの方法でも良い。また、1度に延伸しても、多段で延伸しても良い。
以上の工程(1)〜(5)によって得られた前駆体繊維は、高引張強度を発揮するのに必要な略円形断面を有し、しかも高引張弾性率をもたらすカーボンナノチューブを適切な配向で含む。従って、この前駆体繊維を耐炎化、予備炭素化、及び炭素化すれば、極めて高い引張強度及び引張弾性率を有する炭素繊維を得ることができる。
本発明では、前駆体繊維の耐炎化、予備炭素化、及び炭素化は、常法に従って行えばよく、例えば、前駆体繊維をまず、空気中で延伸比0.8〜2.5で延伸しながら200〜300℃で耐炎化し、次に、不活性気体中で延伸比0.9〜1.5で延伸しながら300〜800℃に加熱して予備炭素化し、さらに、不活性気体中で延伸比0.9〜1.1で1000〜2000℃に加熱して炭素化することによって炭素繊維を得ることができる。
予備炭素化処理および炭素化処理時に用いられる不活性気体としては、窒素、アルゴン、キセノン、および二酸化炭素等が挙げられる。経済的な観点からは窒素が好ましく用いられる。炭素化処理時の最高到達温度は所望の炭素繊維の力学物性に応じて1200〜3000℃の間で設定される。一般的に炭素化処理の最高到達温度が高い程、得られる炭素繊維の引張弾性率が大きくなる。一方、引張強度は1500℃で極大となる。本発明では、炭素化処理を1000〜2000℃、より好ましくは1200〜1700℃、さらに好ましくは1300〜1600℃で行うことにより、引張弾性率と引張強度の2つの力学物性を最大限に発現させることが可能である。
以下、実施例で本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、本実施例で得た炭素繊維の引張強度および引張弾性率は、JIS R7606(2000)「炭素繊維−単繊維の引張特性の試験方法」に従ってNMB社製引張試験機「TG200NB」を用いて測定した。
実施例1A
紡糸原液の調製:水1000mlに両性分子3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート5gを添加し、室温で5分間撹拌した。これに二層カーボンナノチューブ(Unidym社製XOグレード)5gを添加した後、オートクレーブ(Hirayama製、HICLAVE HG−50)を用い、130℃、1.5気圧で約2時間濡れ処理をした。室温まで冷却した後、ビーズミル(Dyno−mill,スイス製、ジルコニウムビーズ、直径0.65mm)を用い、40Hzで撹拌しながら約90分間、カーボンナノチューブを両性分子の水溶液に分散した。さらに、ポリオキシエチレンアルキルラウリルエーテルスルホネート3gを加えて、約5分間緩やかに撹拌することにより安定化処理を行い、カーボンナノチューブ分散液を得た。ログボーン翼を用いた500mlセパラブルフラスコに上記カーボンナノチューブ分散液30.7gと水分含有率25%のAN94−MAA6共重合体20g、および水17.7mlを測り取り、撹拌してスラリー状にした。撹拌しながらチオシアン酸ナトリウム44.2gを2時間かけて添加した。室温で1時間撹拌した後、減圧下で浴温を最大90℃まで昇温しながら水12.2gを留去し、紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。
紡糸:上記紡糸原液を80℃にて孔径0.15mm、孔数10の紡糸口金から押し出し、エアギャップ長5mmを経て0℃の15重量%チオシアン酸ナトリウム水溶液15lからなる凝固浴中へ導入した後、5重量%チオシアン酸ナトリウム水溶液で水洗した。その後、2倍に延伸し、水洗し、さらに0.2重量%硝酸で洗浄した。この後、さらにこの糸を沸騰水中で3倍延伸を行い、アミノ変性シリコーン油剤を付与して、150℃、5分間乾燥することにより、単糸繊度1.3dTexの前駆体繊維を得た。この繊維の断面形状を図1に示す。図1からわかるように、略円形断面の前駆体繊維が得られた。
耐炎化処理:上記の前駆体繊維を空気中で一定長にて、1段目220℃、2段目230℃、3段目240℃、4段目250℃でそれぞれ1時間加熱して、比重1.38の耐炎化処理糸を得た。
予備炭素化処理:上記耐炎化処理糸を窒素気流中で一定長にて、700℃で2分間加熱して予備炭素化処理糸を得た。
炭素化処理:上記予備炭素化処理糸を窒素気流中で一定長にて、1300℃で2分間加熱して炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表2に示す。
実施例2A
二層カーボンナノチューブの代わりに単層カーボンナノチューブ(CNI社製Hipco)を使用して実施例1Aと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。これをさらに自転公転型ミキサーで3時間撹拌して最終の紡糸原液とした。実施例1Aと同様にして紡糸、予備炭素化処理、および炭素化処理をして、炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
実施例3A
実施例1Aにおいて二層カーボンナノチューブの代わりに多層カーボンナノチューブ(Bayer社製Baytubes)を使用した以外は、実施例1Aと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
実施例4A
実施例1AにおいてAN94−MAA6共重合体の代わりにAN95−MA5共重合体を使用した以外は、実施例1Aと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
実施例5A
実施例3AにおいてAN94−MAA6共重合体の代わりにAN95−MAA4−IA1共重合体を使用した以外は、実施例3Aと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。この紡糸原液を用いて実施例3Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
実施例6A
実施例1AにおいてAN94−MAA6共重合体の代わりにPANを使用した以外は、実施例1Aと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
実施例7A
実施例6Aにおいて二層カーボンナノチューブの代わりに単層カーボンナノチューブを使用し、実施例2Aと同様に自転公転型ミキサーで3時間撹拌して紡糸ドープを製造した以外は、実施例6Aと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。この紡糸原液を用いて実施例6Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
実施例8A
実施例4Aにおいて二層カーボンナノチューブの代わりに多層カーボンナノチューブを使用した以外は、実施例4Aと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。この紡糸原液を用いて実施例4Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
実施例9A
実施例1Aにおいて二層カーボンナノチューブ1.0gを使用した以外は、実施例1Aと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
実施例10A
実施例3Aにおいて両性分子として3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート5gを使用した以外は、実施例3Aと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。この紡糸原液を用いて実施例3Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
実施例11A
実施例1Aにおいて両性分子として3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート5gを使用した以外は、実施例1Aと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
実施例12A
水45.5mlに両性分子3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート3gを添加し、室温で5分間撹拌した。これに多層カーボンナノチューブ(Bayer社Baytubes)3gを添加した後、オートクレーブ中で130℃、1.5気圧で約2時間濡れ処理をした。室温まで冷却した後、ビーズミルを用い、40Hzで攪拌しながら約90分間、カーボンナノチューブを両性分子の水溶液に分散した。さらに、ポリオキシエチレンアルキルラウリルエーテルスルホネート1gを加えて、約5分間、緩やかに撹拌して安定化処理した。これにチオシアン酸ナトリウム45.5g加えて撹拌し溶解させることにより、カーボンナノチューブ分散液を得た。500mlナスフラスコに上記カーボンナノチューブ分散液5.05gと水分含有率25%のAN94−MAA6共重合体20g、および水45.6ml、チオシアン酸ナトリウム41.8gを測り取り、撹拌してスラリー状にした。室温で2時間撹拌した後、エバポレータで水12.2gを留去し、紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
実施例13A
500mlナスフラスコにAN94−MAA6共重合体15g、水50.6ml、およびチオシアン酸ナトリウム41.8gを測りとり、60〜80℃で10分間撹拌した後、徐々に室温まで冷却して高分子溶液を得た。これに実施例12Aで調製したカーボンナノチューブ分散液5.05gを加えて室温で2時間撹拌した後、エバポレータで水12.2gを留去して紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
実施例14A
水93mlに両性分子3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート3gを添加し、室温で5分間撹拌した。これに多層カーボンナノチューブ(Bayer社Baytubes)3gを添加した後、オートクレーブ中で130℃、1.5気圧で約2時間濡れ処理をした。室温まで冷却した後、ビーズミルを用い、40Hzで攪拌しながら約90分間、カーボンナノチューブを両性分子の水溶液に分散した。さらに、ポリオキシエチレンアルキルラウリルエーテルスルホネート1gを加えて、約5分間、緩やかに撹拌して安定化処理して多層カーボンナノチューブ分散液を得た。一方、500mlナスフラスコにAN94−MAA6共重合体15g、水36.15ml、およびチオシアン酸ナトリウム44.2gを測りとり、撹拌して懸濁液とした。この懸濁液に上記カーボンナノチューブ分散液5gを加えて80℃で10分間撹拌した後、徐々に室温まで冷却して紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
実施例15A
水1000mlに両性分子3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート5gを添加し、室温で5分間撹拌した。これに単層カーボンナノチューブ(CNI社製、Hipco)5gを添加した後、オートクレーブ中で130℃、1.5気圧で約2時間濡れ処理をした。室温まで冷却した後、ビーズミル(ジルコニウムビーズ、直径0.65mm)を用い、40Hzで撹拌しながら約90分間、カーボンナノチューブを両性分子の水溶液に分散した。さらに、エチレングリコール1gを加えて、約5分間緩やかに撹拌することにより安定化処理を行い、カーボンナノチューブ分散液を得た。500mlナスフラスコに上記カーボンナノチューブ分散液30.7gと水17.7mlを測り取り、撹拌しながらチオシアン酸カリウム44.2gを1時間かけて添加した。室温で撹拌しながら水分含有率25%のAN94−MAA6共重合体20gを加えた後、室温で1時間撹拌した。その後、エバポレータで水12.2gを留去し、紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表1に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
比較例1A
500mlナスフラスコに水39.2mlと水分含有率25%のAN94−MAA6共重合体20gを測り取り、撹拌してスラリー状にした。撹拌しながらチオシアン酸ナトリウム44.2gを2時間かけて添加した。室温で1時間撹拌した後、60℃まで加熱して均一な紡糸原液を得た。この紡糸原液を用いて実施例1Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。
比較例2A
紡糸原液の調製:ジメチルホルムアミド600mlに二層カーボンナノチューブ(Unidym社製XOグレード)0.025gを添加し、超音波装置(BRANSON 3510R MT)で42kHz,100Wの超音波を36時間照射した。この分散液を合計6本調製した。500ml三口フラスコ中でジメチルホルムアミド100mlを撹拌しながら乾燥したAN94−MAA6共重合体15gを30分間かけて添加した。70℃で15分間加熱して均一な溶液にした。室温まで放冷後、上記のカーボンナノチューブ分散液を150mlずつ添加してジメチルホルムアミド3600mlを留去して紡糸原液とした。
紡糸:上記紡糸原液を80℃にて孔径0.15mm、孔数1の紡糸口金から押し出し、エアギャップ長40mmを経て−60℃に冷却したメタノール15lからなる凝固浴中へ導入し、糸を巻き取った。−60℃のメタノール中に1昼夜糸を漬けた後、9倍延伸を行い、アミノ変性シリコーン油剤を付与して、150℃、5分間乾燥することにより、単糸繊度1.8dTexの前駆体繊維を得た。この繊維の断面形状を図2に示す。図2からわかるように、この前駆体繊維は略円形断面ではなく、歪な断面形状をしている。
参考例1A 濡れ処理なしの例
水1000mlに両性分子3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート5gを添加し、室温で5分間撹拌した。これに二層カーボンナノチューブ(Unidym社製XOグレード)5gを添加した後、ビーズミル(Dyno−mill,スイス製、ジルコニウムビーズ、直径0.65mm)を用い、40Hzで撹拌しながら約270分間、カーボンナノチューブを両性分子の水溶液に分散した。さらに、ポリオキシエチレンアルキルラウリルエーテルスルホネート3gを加えて、約5分間緩やかに撹拌することにより安定化処理を行い、カーボンナノチューブ分散液を得た。ログボーン翼を用いた500mlセパラブルフラスコに上記カーボンナノチューブ分散液30.7gと水分含有率25%のAN94−MAA6共重合体20g、および水17.7mlを測り取り、撹拌してスラリー状にした。撹拌しながらチオシアン酸ナトリウム44.2gを2時間かけて添加した。室温で1時間撹拌した後、減圧下で浴温を最大90℃まで昇温しながら水12.2gを留去し、紡糸原液を得た。これを用いて実施例1Aと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表2に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を確認したところ、実施例1Aと同様に略円形断面であった。参考例1Aでは、実施例1A〜15Aと比較してカーボンナノチューブの分散に約3倍の時間を要した。
参考例2A 安定化処理なしの例
水1000mlに両性分子3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート5gを添加し、室温で5分間撹拌した。これに二層カーボンナノチューブ(Unidym社製XOグレード)5gを添加した後、オートクレーブ(Hirayama製、HICLAVE HG−50)を使い、130℃、1.5気圧で約2時間濡れ処理をした。室温まで冷却した後、ビーズミル(Dyno−mill,スイス製、ジルコニウムビーズ、直径0.65mm)を用い、40Hzで撹拌しながら約90分間、カーボンナノチューブを両性分子の水溶液に分散し、カーボンナノチューブ分散液を得た。安定化処理は行わなかった。この分散液を2週間静置しておいたところ、カーボンナノチューブ同士の凝集が起こり、容器の底に黒色固体が出現した。なお、実施例1A〜15Aのように安定化処理を行って調製したカーボンナノチューブ分散液は、2週間静置しておいてもカーボンナノチューブの凝集は認められなかった。
表2からわかるように、カーボンナノチューブを添加し、紡糸原液の溶剤としてロダン塩水溶液を使用し、分散剤として両性分子を使用した実施例1A〜15A及び参考例1Aはいずれも、高い引張強度及び引張弾性率の炭素繊維が得られているのに対し、カーボンナノチューブを使用せず、両性分子を使用しなかった比較例1A(従来の一般的なPAN系炭素繊維)は、引張強度は高いが引張弾性率が劣っていた。また、カーボンナノチューブは使用したが、紡糸原液の溶剤としてDMFを使用し、両性分子も使用しなかった比較例2A(特許文献1の炭素繊維)は、引張弾性率は比較例1Aより高いが、繊維の断面が歪んでいるため、引張強度が劣っていた。
実施例1B
紡糸原液の調製:水1000mlに両性分子3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート5gを添加し、室温で5分間撹拌した。これに二層カーボンナノチューブ(Unidym社製XOグレード)5gを添加した後、オートクレーブ(Hirayama製、HICLAVE HG−50)を用い、130℃、1.5気圧で約2時間濡れ処理をした。室温まで冷却した後、ビーズミル(Dyno−mill,スイス製、ジルコニウムビーズ、直径0.65mm)を用い、40Hzで撹拌しながら約90分間、カーボンナノチューブを両性分子の水溶液に分散した。さらに、ポリオキシエチレンアルキルラウリルエーテルスルホネート3gを加えて、約5分間緩やかに撹拌することにより安定化処理を行い、カーボンナノチューブ分散液を得た。上記カーボンナノチューブ分散液30gと水分含有率25%のAN94−MAA6共重合体20g、および水19.6mlを測り取り、撹拌してスラリー状にした。撹拌しながら塩化亜鉛51gを2時間かけて添加した。室温で1時間撹拌した後、減圧下で浴温を最大90℃まで昇温しながら水20.4gを留去し、紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。
紡糸:上記紡糸原液を80℃にて孔径0.15mm、孔数10の紡糸口金から押し出し、エアギャップ長5mmを経て0℃の15重量%塩化亜鉛水溶液15lからなる凝固浴中へ導入した後、5重量%塩化亜鉛水溶液で水洗した。その後、2倍に延伸し、水洗し、さらに0.2重量%硝酸で洗浄した。この後、さらにこの糸を沸騰水中で3倍延伸を行い、アミノ変性シリコーン油剤を付与して、150℃、5分間乾燥することにより、単糸繊度1.3dTexの前駆体繊維を得た。得られた前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、略円形断面であった。
耐炎化処理:上記の前駆体繊維を空気中で一定長にて、1段目220℃、2段目230℃、3段目240℃、4段目250℃でそれぞれ1時間加熱して、比重1.38の耐炎化処理糸を得た。
予備炭素化処理:上記耐炎化処理糸を窒素気流中で一定長にて、700℃で2分間加熱して予備炭素化処理糸を得た。
炭素化処理:上記予備炭素化処理糸を窒素気流中で一定長にて、1300℃で2分間加熱して炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表4に示す。
実施例2B
二層カーボンナノチューブの代わりに単層カーボンナノチューブ(CNI社製Hipco)を使用して実施例1Bと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。これをさらに自転公転型ミキサーで3時間撹拌して最終の紡糸原液とした。実施例1Bと同様にして紡糸、予備炭素化処理、および炭素化処理をして、炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
実施例3B
実施例1Bにおいて二層カーボンナノチューブの代わりに多層カーボンナノチューブ(Bayer社製Baytubes)を使用した以外は、実施例1Bと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
実施例4B
実施例1BにおいてAN94−MAA6共重合体の代わりにAN95−MA5共重合体を使用した以外は、実施例1Bと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
実施例5B
実施例3BにおいてAN94−MAA6共重合体の代わりにAN95−MAA4−IA1共重合体を使用した以外は、実施例3Bと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。この紡糸原液を用いて実施例3Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
実施例6B
実施例1BにおいてAN94−MAA6共重合体の代わりにPANを使用した以外は、実施例1Bと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
実施例7B
実施例6Bにおいて二層カーボンナノチューブの代わりに単層カーボンナノチューブを使用し、実施例2Bと同様に自転公転型ミキサーで3時間撹拌して紡糸ドープを製造した以外は、実施例6Bと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。この紡糸原液を用いて実施例6Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
実施例8B
実施例4Bにおいて二層カーボンナノチューブの代わりに多層カーボンナノチューブを使用した以外は、実施例4Bと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。この紡糸原液を用いて実施例4Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
実施例9B
実施例1Bにおいて二層カーボンナノチューブ1.0gを使用した以外は、実施例1Bと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
実施例10B
実施例3Bにおいて両性分子として3−(N,N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルホネート5gを使用した以外は、実施例3Bと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。この紡糸原液を用いて実施例3Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
実施例11B
実施例1Bにおいて両性分子として3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート5gを使用した以外は、実施例1Bと同様にして紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
実施例12B
水37.2mlに両性分子3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート3gを添加し、室温で5分間撹拌した。これに多層カーボンナノチューブ(Bayer社Baytubes)3gを添加した後、オートクレーブ中で130℃、1.5気圧で約2時間濡れ処理をした。室温まで冷却した後、ビーズミルを用い、40Hzで攪拌しながら約90分間、カーボンナノチューブを両性分子の水溶液に分散した。さらに、ポリオキシエチレンアルキルラウリルエーテルスルホネート1gを加えて、約5分間、緩やかに撹拌して安定化処理した。これに塩化亜鉛55.8g加えて撹拌し溶解させることにより、カーボンナノチューブ分散液を得た。500mlナスフラスコに上記カーボンナノチューブ分散液5gと水分含有率25%のAN94−MAA6共重合体20g、および水44.6gを測り取り、撹拌してスラリー状にした。室温で2時間撹拌した後、エバポレータで水20.4gを留去し、紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
実施例13B
500mlナスフラスコにAN94−MAA6共重合体15g、水49.55ml、および塩化亜鉛51gを測りとり、60〜80℃で10分間撹拌した後、徐々に室温まで冷却して高分子溶液を得た。これに実施例12Bで調製したカーボンナノチューブ分散液5gを加えて室温で2時間撹拌した後、エバポレータで水20.4gを留去して紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
実施例14B
水93mlに両性分子3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート3gを添加し、室温で5分間撹拌した。これに多層カーボンナノチューブ(Bayer社Baytubes)3gを添加した後、オートクレーブ中で130℃、1.5気圧で約2時間濡れ処理をした。室温まで冷却した後、ビーズミルを用い、40Hzで攪拌しながら約90分間、カーボンナノチューブを両性分子の水溶液に分散した。さらに、ポリオキシエチレンアルキルラウリルエーテルスルホネート1gを加えて、約5分間、緩やかに撹拌して安定化処理して多層カーボンナノチューブ分散液を得た。一方、500mlナスフラスコにAN94−MAA6共重合体15g、水29.15ml、および塩化亜鉛51gを測りとり、撹拌して懸濁液とした。この懸濁液に上記カーボンナノチューブ分散液5gを加えて80℃で10分間撹拌した後、徐々に室温まで冷却して紡糸原液を得た。得られた紡糸原液の組成を表3に示す。この紡糸原液を用いて実施例1Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
比較例1B
500mlナスフラスコに水39.2mlと水分含有率25%のAN94−MAA6共重合体20gを測り取り、撹拌してスラリー状にした。撹拌しながら塩化亜鉛44.2gを2時間かけて添加した。室温で1時間撹拌した後、60℃まで加熱して均一な紡糸原液を得た。この紡糸原液を用いて実施例1Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。
参考例1B 濡れ処理なしの例
水1000mlに両性分子3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート5gを添加し、室温で5分間撹拌した。これに二層カーボンナノチューブ(Unidym社製XOグレード)5gを添加した後、ビーズミル(Dyno−mill,スイス製、ジルコニウムビーズ、直径0.65mm)を用い、40Hzで撹拌しながら約270分間、カーボンナノチューブを両性分子の水溶液に分散した。さらに、ポリオキシエチレンアルキルラウリルエーテルスルホネート3gを加えて、約5分間緩やかに撹拌することにより安定化処理を行い、カーボンナノチューブ分散液を得た。上記カーボンナノチューブ分散液30.7gと水分含有率25%のAN94−MAA6共重合体20g、および水19.55mlを測り取り、撹拌してスラリー状にした。撹拌しながら塩化亜鉛51gを2時間かけて添加した。室温で1時間撹拌した後、減圧下で浴温を最大90℃まで昇温しながら水20.4gを留去し、紡糸原液を得た。これを用いて実施例1Bと同様にして炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度及び引張り弾性率を表4に示す。なお、前駆体繊維の断面形状を電子顕微鏡で確認したところ、実施例1Bと同様に略円形断面であった。参考例1Bでは、実施例1B〜14Bと比較してカーボンナノチューブの分散に約3倍の時間を要した。
参考例2B 安定化処理なしの例
水1000mlに両性分子3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート5gを添加し、室温で5分間撹拌した。これに二層カーボンナノチューブ(Unidym社製XOグレード)5gを添加した後、オートクレーブ(Hirayama製、HICLAVE HG−50)を使い、130℃、1.5気圧で約2時間濡れ処理をした。室温まで冷却した後、ビーズミル(Dyno−mill,スイス製、ジルコニウムビーズ、直径0.65mm)を用い、40Hzで撹拌しながら約90分間、カーボンナノチューブを両性分子の水溶液に分散し、カーボンナノチューブ分散液を得た。安定化処理は行わなかった。この分散液を2週間静置しておいたところ、カーボンナノチューブ同士の凝集が起こり、容器の底に黒色固体が出現した。なお、実施例1B〜14Bのように安定化処理を行って調製したカーボンナノチューブ分散液は、2週間静置しておいてもカーボンナノチューブの凝集は認められなかった。
表4からわかるように、カーボンナノチューブを添加し、紡糸原液の溶剤として塩化亜鉛水溶液を使用し、分散剤として両性分子を使用した実施例1B〜14B及び参考例1Bはいずれも、高い引張強度及び引張弾性率の炭素繊維が得られているのに対し、カーボンナノチューブを使用せず、両性分子を使用しなかった比較例1B(従来の一般的なPAN系炭素繊維)は、引張強度は高いが引張弾性率が劣っていた。また、カーボンナノチューブは使用したが、紡糸原液の溶剤としてDMFを使用し、両性分子も使用しなかった比較例2A(特許文献1の炭素繊維)は、引張弾性率は比較例1Bより高いが、繊維の断面が歪んでいるため、引張強度が劣っていた。
本発明の製造方法によって得られた前駆体繊維を使用すれば、高い引張強度と高い引張弾性率を兼ね備えた炭素繊維を得ることができる。かかる炭素繊維は、航空機材料や宇宙船材料として極めて有用である。

Claims (8)

  1. 以下の(1)〜(5)の工程を含むことを特徴とする、炭素繊維の前駆体繊維の製造方法:
    (1)両性分子の水溶液を調製する工程;
    (2)この両性分子の水溶液にカーボンナノチューブを添加し、濡れ処理を行い、その後、カーボンナノチューブを分散させ、カーボンナノチューブ分散液を調製する工程;
    (3)このカーボンナノチューブ分散液とポリアクリロニトリル系ポリマーとロダン塩又は塩化亜鉛とを混合し、紡糸原液を調製する工程;
    (4)この紡糸原液から、湿式又は乾湿式紡糸法によって凝固糸を得る工程;そして
    (5)この凝固糸を延伸して炭素繊維の前駆体繊維を得る工程。
  2. 工程(3)で調製される紡糸原液が、30〜60重量%のロダン塩、5〜30重量%のポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマーに対して0.01〜5重量%のカーボンナノチューブ、及び0.01〜5.0重量%の両性分子を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 工程(3)で調製される紡糸原液が、30〜70重量%の塩化亜鉛、5〜30重量%のポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマーに対して0.01〜5重量%のカーボンナノチューブ、及び0.01〜5.0重量%の両性分子を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 工程(2)においてカーボンナノチューブ分散液に安定化処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の方法によって製造される、炭素繊維の前駆体繊維であって、略円形断面を有しかつ濡れ処理が施されたカーボンナノチューブを含むことを特徴とする炭素繊維の前駆体繊維。
  6. 略円形断面を有しかつ濡れ処理が施されたカーボンナノチューブと両性分子とを含むことを特徴とする炭素繊維の前駆体繊維。
  7. 請求項又はに記載の炭素繊維の前駆体繊維を耐炎化、予備炭素化、及び炭素化することによって製造されることを特徴とする炭素繊維。
  8. ロダン塩又は塩化亜鉛、ポリアクリロニトリル系ポリマー、濡れ処理が施されたカーボンナノチューブ、及び両性分子を含む水溶液からなることを特徴とする紡糸原液。
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