JP2015078451A - 紡糸原液およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 混合溶媒を用い、高い溶解性とスラリー化が可能とし、アクリロニトリル系共重合体の均一溶解性が良好であり、紡糸安定性にも優れる、炭素繊維のプレカーサー繊維の製造に好適に用いられる紡糸原液およびその製造方法を提供することにある。【解決手段】 アクリロニトリル系共重合体をジメチルホルムアミド/ジメチルスルホキシド80/20〜50/50(質量比)の混合溶媒に溶解した紡糸原液である。炭素繊維の前駆体繊維であるプレカーサーの紡糸原液の製造方法であって、以下の1)〜3)の工程を含む紡糸原液の製造方法である。1)ジメチルホルムアミドとジメチルスルホキシドとを80/20〜50/50(質量比)で混合した後、0〜−20℃まで冷却する工程2)上記溶媒100質量部に対してアクリロニトリル系共重合体18〜34質量部を混合してスラリー化する工程3)上記スラリーを加熱して上記アクリロニトリル系共重合体を溶解する工程【選択図】 なし

Description

本発明は、炭素繊維の前駆体繊維であるプレカーサーの製造に供する、溶解性を向上させた紡糸安定性に優れたプレカーサー用紡糸原液とその製造方法に関する。
アクリロニトリル系重合体は、炭素繊維の前駆体繊維であるプレカーサーの原料として広く利用されている。
一般的には、上記の重合体を有機または無機溶媒に溶解して紡糸原液とした後、湿式あるいは乾湿式紡糸して、繊維状に賦型した後、延伸、洗浄、乾燥緻密化することにより、プレカーサーが得られる。
工業的には、上記のプレカーサーを200〜300℃の酸化性雰囲気下で熱処理することにより耐炎化繊維とし、さらに、1000℃以上の不活性雰囲気下で熱処理することで炭素繊維を製造する方法が広く採用されている。
この様にして得られた炭素繊維は、軽量かつ高強度の優れた物性を有することから、航空機の機体構造材、自動車の車体構造材、燃料タンク、風力発電用プロペラ、ゴルフシャフトや釣竿等のスポーツ・レジャー製品等の複合材料として好適に用いられている。
これら炭素繊維の性能発現に対し最も重要な工程が耐炎化工程であり、炭素繊維の製造工程の中で最も長い時間を要する工程でもある。
耐炎化工程中では、プレカーサーは多量の熱を発生するため、重合体の発熱反応を制御しないと、プレカーサーが重大な損傷を受けることとなり、得られる炭素繊維の性能も損なわれる。
上記の問題を改善するために、耐炎化工程では、できるだけ低温からゆっくり温度を上げて時間をかけて耐炎化し、急激な発熱をさけるとともに、十分な流速で空気を流し除熱効率を高めることが行われている。
アクリロニトリルの単独重合体は、耐炎化反応が遅く、耐炎化反応が開始する温度が高く、急激に反応が進行するため、この様な重合体からは良好な炭素繊維が得られない。
そのため、工業的には、耐炎化工程に要する時間を短縮し、また耐炎化反応が低温で開始し、急激な発熱が起こらないように、耐炎化反応の触媒となるような単量体が共重合成分として導入されている。
アクリルニトリル系共重合体の溶媒としては、ジメチルホルムアミド(以下「DMF」という)、ジメチルアセトアミド(以下「DMAC」という)、ジメチルスルホキシド(以下「DMSO」という)等の有機溶媒が良溶媒として広く使用されている。
アクリロニトリル系共重合体の溶媒に対する溶解性は、溶媒の種類だけではなく、アクリルニトリル系共重合体の組成にも依存するが、当該組成は同時に耐炎化反応性にも大きく影響するため、溶解性に対する考慮のみで当該組成を容易には変更することはできない。
溶解性の高い溶媒の方が、同じ温度ならより短時間で、同じ時間ならより低い温度でアクリルニトリル系共重合体を溶解することができると考えられるため、紡糸ノズルへの紡糸原液供給量が溶解時間律速である場合は生産速度の向上に寄与し、そうでない場合は溶解に必要な熱供給量の低減に寄与できる。
また、溶解性の均一な紡糸原液を得るために、低温に冷却した溶媒に粉体状のアクリルニトリル系共重合体を十分分散化(スラリー化)させた後に加熱して溶解する方法が工業的に取り入れられている。
スラリー化は、アクリルニトリル系共重合体と冷却した溶媒とを連続的に供給し両者を混合することで、紡糸原液の連続生産を可能にすることから、プレカーサーの工業生産にとっても効率的な手段である。
スラリー化できない溶媒(低温で凝固してしまう溶媒)は、より高い温度でアクリルニトリル系共重合体を溶解しなければならならず、溶媒の温度が高いと、当該重合体は凝集体になりやすい。
その結果、溶解不良が発生しやすくなり、紡糸原液工程中のフィルターや紡糸ノズルを閉塞させるなどの原因につながる可能性が高くなる。
DMFやDMACは凝固点が低いため(凝固点はDMFが−61℃、DMACが−20℃)、スラリー化が可能であるが、DMACのアクリロニトリ系共重合体に対する溶解性は、DMFやDMSOに比較してかなり劣る欠点を有している。
DMSOのアクリルニトリル系共重合体に対する溶解性は、DMFのそれを上回るものであるが、凝固点が室温付近(19℃)にあるためにスラリー化が困難であり、紡糸原液の連続生産には適さない欠点がある。
特許文献1では、スラリー化におけるアクリロニトリル系ポリマーの凝集体(だま状)の発生を抑制する手段として、当該ポリマーと溶媒とを混合する装置の混合室の上部に形成してあるポリマー投入口の内壁面を常時溶媒で濡らしながら、ポリマー投入口からアクリロニトリル系ポリマーを混合室内に落下させて供給すると共に、該混合室の周壁に形成されている多数の小口径ノズルを利用して、少なくとも2方向以上の方向から溶媒を混合室内に吹き付けて供給する紡糸原液の調製方法が提案されている。
特開2000−328346号公報
しかしながら、上記の技術は、溶媒の改良には触れられておらず、アクリロ二トリル系共重合体の溶解性を本質的に改善できるものではない。
すなわち、従来、工業的に用いられている溶媒は、上述の溶解性とスラリー化を両立させるという観点からは、十分満足できるもではなかった。
上記に鑑み、本発明者が鋭意検討した結果、DMFまたはDMACに対するDMSOの混合比率がおおよそ50質量%以下の場合、スラリー化が十分可能な低温(例えば−20℃付近)まで冷却しても凝固することがないことを見出した。 さらに、DMFに対するDMSOの混合比率がおおよそ20〜50質量%の場合、DMFやDMSOを単独で使用する場合に比較して、アクリルニトリル系共重合体の溶解性が高くなる(相乗効果がある)事実を見出した。
なお、DMACとDMSOの混合溶媒では、上記のような溶解性の相乗効果は認められない。
上記のような特異的な溶解性の相乗効果を開示した先行技術文献が特に見当たらないことから、DMFとDMSOの混合溶媒を用い、従来技術よりも高い溶解性とスラリー化による、より均一な溶解性を実現したプレカーサー用紡糸原液とその製造方法からなる本願発明を完成させた。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を採用する。
すなわち、本発明は、アクリロニトリル系共重合体をジメチルホルムアミド50〜80質量%、ジメチルスルホキシド20〜50質量%で混合した溶媒に溶解した紡糸原液を要旨とする。
また、本発明は、上記アクリロニトリル系共重合体が共重合体成分としてアクリル酸単量体単位を1〜5質量%含むことが好ましい。
また、本発明は、前記共重合体の固形分濃度が15〜25質量%であることが好ましい。
本発明の第二の要旨は、炭素繊維の前駆体繊維であるプレカーサーの紡糸原液の製造方法であって、以下の1)〜3)の工程を含む紡糸原液の製造方法にある。
1)ジメチルホルムアミドに対してジメチルスルホキシドを20〜50質量%混合した後、0〜−20℃まで冷却する工程
2)上記溶媒100質量部に対してアクリロニトリル系共重合体18〜34質量部を混合してスラリー化する工程
3)上記スラリーを加熱して上記アクリロニトリル系共重合体を溶解する工程
本発明の紡糸原液は、混合溶媒を用いることで高い溶解性とスラリー化が可能であるため、アクリロニトリル系共重合体の均一溶解性が良好であり、紡糸安定性にも優れる。炭素繊維のプレカーサー繊維の製造に好適に用いられる。
さらに、溶解性が高いことから、紡糸原液の生産速度の向上や加熱用ユーティリティーのコスト低減にも寄与できる。
また、本発明の製造方法によれば、上記の混合溶媒を用いることにより、スラリー化が可能となるため、紡糸原液、特にプレカーサー用紡糸原液を連続的に製造できる。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明のプレカーサー用紡糸原液は、アクリロニトリル系共重合体を低温に冷却した溶媒と混合してスラリー化させ、それを加熱して溶解させることで得られるものである。
アクリロニトリル系共重合体は、アクリロニトリルとそれ以外の単量体とを共重合させたものである。
単量体としては、アクリロニトリルと共重合可能な単量体であればよく、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート等のアクリル酸アルキルエステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メタクロニトリル、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデン、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸及びこれらの塩、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−エチル−5−ビニルピリジン等のビニルピリジン、ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸、N−置換マレイミド、ブタジエン、イソプレン等が挙げられ、これらは単独で、または2以上組み合わせて用いられる。中でも、耐炎化反応が比較的低温から開始し、急激な発熱を伴わず、高温領域まで緩やかに反応が進行するとともに、耐炎化工程の時間短縮が可能なアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボン酸類が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
アクリルニトリル系共重合体に占めるアクリル酸は、1〜5質量%が好ましい。1質量%以下では、耐炎化反応の改善効果が十分得られず、5質量%以上では、紡糸原液の熱安定性が低下する。
アクリルニトリル系共重合体に占めるアクリロニトリルの含有率は、95〜99質量%であることが好ましい。
アクリロニトリル系共重合体の重合方法は特に限定されるものではなく、公知の水系懸濁重合法、水−溶剤系懸濁重合法、溶液重合法等を用いることができる。
上記の重合に用いる重合開始剤も特に限定されるものではなく、レドックス系、アゾビス系、過酸化物系等公知のものを利用できる。
アクリロニトリル系共重合体を溶解する溶媒としては、DMF、DMAC、DMSO、塩化亜鉛水溶液、チオシアン酸塩水溶液などを挙げることができるが、溶解性、取扱い性(スラリー化を含む)、工程回収性等を考慮すると、有機溶媒の混合溶媒が好ましく、後述の溶解性が高く、スラリー化が可能な点から、DMFとDMSOの混合溶媒が特に好ましい。
アクリロニトリル系共重合体の溶媒に対する固形分濃度は、15〜25質量%が好ましい。15質量%以下では、緻密な凝固糸を得ることができず、25質量%以上では、適度な粘度が得られない。
DMFとDMSOの混合比率は、前述の通り、アクリロニトリル系共重合体の溶解性がDMFやDMSO単独の場合より良くなる(混合することによる相乗効果が得られる)点から、DMF/DMSO=80/20〜50/50(質量比)の混合溶媒とする。DMSOの混合比率が上記を下回ると、上記の相乗効果が十分発現できなくなる。
一方、上記の混合比率を上回ると、溶媒を冷却した際に凝固してしまうため、スラリー化ができなくなるので、やはり好ましくない。
スラリー化は、冷却した混合溶媒とアクリロニトリル系共重合体を混合するものであり、公知の装置を用いることが可能であり、例えば、2軸押し出し機、1軸式の押し出し機、連続式ニーダ等を利用することができる。
スラリー化における溶媒の冷却温度は、アクリロニトリル系共重合体の均一分散性、連続生産性、冷却用ユーティリティーのコスト等を考慮すると0〜―20℃の範囲が好ましく、−10〜―20℃の範囲がより好ましい。
粉体状のアクリロニトリル系共重合体は、溶媒に溶解する前にスラリー化を経ることで、より均一に溶解することができる。
前述の比率によるDMFとDMSO混合溶媒を用いれば、スラリー化による均一溶解が可能となり、溶解性や紡糸安定性の良好な紡糸原液を得ることができる。
そして、上記のスラリーを加熱し、アクリルニトリル系共重合体を溶媒に溶解することで紡糸原液とする。
上記の加熱温度は、特に限定されないが、溶解性、熱安定性、加熱用ユーティリティーのコスト等を考慮すると、60〜125℃が好ましい。
上記の温度を下回ると十分な溶解性が得られず、上記の温度を上回ると、紡糸原液の熱劣化が促進されるため好ましくない。
前述の比率によるDMFとDMSO混合溶媒を用いれば、同じ温度ならより短時間で、同じ時間ならより低い温度でアクリルニトリル系共重合体を溶解することができるため、紡糸ノズルへの紡糸原液供給量が溶解時間律速である場合は生産速度の向上に寄与し、そうでない場合は溶解に必要な熱供給量の低減に寄与できる。なお、混合溶媒によるアクリロニトリル系共重合体の溶解性を評価する方法は、紡糸原液の粘度測定、フィルター昇圧試験、ホットステージによる顕微鏡観察など様々あるが、例えば、アクリルニトリル系共重合体を繊維状としたものに重りをぶら下げ、それらを混合溶媒に浸漬し、糸が溶解して重りが落下するまでの時間を測定する方法が簡便であり好ましい。
粘度はアクリルニトリル系重合体と溶媒との分子構造間の相互作用や分子量の影響を伴い、昇圧試験は装置立てや実験に手間が掛かり、ホットステージによる顕微鏡観察はアクリルニトリル系共重合体が粉体状であると溶解の終点を見極めにくいなどの問題点があるが、上記の評価方法の場合、重りが落下するまでの時間が短い溶媒ほど、アクリルニトリル系共重合体の溶解性が高いと簡易的に判断できる上に特別な実験装置も必要としないため好ましい。
以上述べてきた本発明のプレカーサー用紡糸原液は、公知の紡糸方法、すなわち湿式、乾湿式いずれの紡糸方法にも好適に用いられる。
以下実施例を示し、発明をさらに詳しく説明する。
〔実施例1〕
<溶媒の凝固性(スラリー化の可能性)評価>
DMF50質量%に対してDMSO50質量%を混合した溶媒30mlを50mlのガラス瓶に入れ、−20℃まで冷却した結果、凝固(凍結)することはなく、スラリー化は可能と判断された。
<アクリロニトリル系共重合体の溶解性評価1>
過硫酸カリウムと酸性亜硫酸ナトリウムの組み合わせのレドックス開始剤を用い、水系懸濁重合法により得られたアクリロニトリル98質量%、メタクリル酸2質量%の組成からなる粉体状のアクリロニトリル系共重合体を上記の冷却混合溶媒に20質量%混合し、10回ほど手動でガラス瓶をシェイクしてスラリー化した。
次に、上記スラリーを90℃で10分加熱して紡糸原液を得た。
上記紡糸原液を目視観察した結果、アクリロニトリル系共重合体の溶け残りは、見られなかった。
<アクリロニトリル系共重合体の溶解性評価2>
まず、上記組成のアクリロニトリル系共重合体を紡糸してなる直径50μmの未延伸繊維状体10本を一組としたものを用意した。
次に、上記の10本一組の繊維状体を0.07gのワッシャーに通して、25℃に温調した上記の溶媒中に浸漬した。
それぞれの糸が解けてワッシャーが落下する瞬間までの時間を溶解時間として測定した結果(時間が短いほど溶解性が高いことを示す)、60秒であった。以上の評価結果を表1示す。
〔実施例2〕
DMF70質量%に対してDMSO30質量%を混合した溶媒30mlを50mlのガラス瓶に入れ、実施例1と同様に−20℃まで冷却した結果、凝固(凍結)することはなく、スラリー化は可能と判断された。
次に、上記の冷却溶媒に実施例1と同じ組成の粉体状のアクリロニトリル系共重合体20質量%を混合して、実施例1と同じ条件によるスラリー化と加熱を行い、紡糸原液を得た。
上記の紡糸原液を目視観察した結果、アクリロニトリル系共重合体の溶け残りは、見られなかった。
また、実施例1と同じ条件で繊維状体による溶解時間を測定した結果、67秒であった。以上の評価結果を表1示す。
〔実施例3〕
DMF80質量%に対してDMSO20質量%を混合した溶媒30mlを50mlのガラス瓶に入れ、実施例1と同様に−20℃まで冷却した結果、凝固(凍結)することはなく、スラリー化は可能と判断された。
次に、上記の冷却溶媒に実施例1と同じ組成の粉体状のアクリロニトリル系共重合体20質量%を混合して、実施例1と同じ条件によるスラリー化と加熱を行い、紡糸原液を得た。
上記の紡糸原液を目視観察した結果、アクリロニトリル系共重合体の溶け残りは、見られなかった。
また、実施例1と同じ条件で繊維状体による溶解時間を測定した結果、78秒であった。以上の評価結果を表1示す。
〔比較例1〕
DMF90質量%に対してDMSO10質量%を混合した溶媒30mlを50mlのガラス瓶に入れ、実施例1と同様に−20℃まで冷却した結果、凝固(凍結)することはなく、スラリー化は可能と判断された。
次に、上記の冷却溶媒に実施例1と同じ組成の粉体状のアクリロニトリル系共重合体20質量%を混合して、実施例1と同じ条件によるスラリー化と加熱を行い、紡糸原液を得た。
上記の紡糸原液を目視観察した結果、アクリロニトリル系共重合体の溶け残りは、見られなかった。
また、実施例1と同じ条件で繊維状体による溶解時間を測定した結果、92秒であった。以上の評価結果を表1示す。
〔比較例2〕
DMF100質量%の溶媒30mlを50mlのガラス瓶に入れ、実施例1と同様に−20℃まで冷却した結果、凝固(凍結)することはなく、スラリー化は可能と判断された。
次に、上記の冷却溶媒に実施例1と同じ組成の粉体状のアクリロニトリル系共重合体20質量%を混合して、実施例1と同じ条件によるスラリー化と加熱を行い、紡糸原液を得た。
上記の紡糸原液を目視観察した結果、アクリロニトリル系共重合体の溶け残りは、見られなかった。
また、実施例1と同じ条件で繊維状体による溶解時間を測定した結果、114秒であった。以上の評価結果を表1示す。
〔比較例3〕
DMF40質量%に対してDMSO60質量%を混合した溶媒30mlを50mlのガラス瓶に入れ、実施例1と同様に−20℃まで冷却した結果、凝固(凍結)してしまい、スラリー化は不可能と判断された。
次に、上記の溶媒を室温状態(凝固していない状態)とし、実施例1と同じ粉体状のアクリロニトリル系共重合体20質量%を混合し、攪拌棒を用いて手動で30回ほど攪拌した後、90℃で10分加熱して紡糸原液を得た。
上記の紡糸原液を目視観察した結果、アクリロニトリル系共重合体の溶け残りがみられた。
また、実施例1と同じ条件で繊維状体による溶解時間を測定した結果、54秒であった。以上の評価結果を表1示す。
〔比較例4〕
DMSO100質量%の溶媒30mlを50mlのガラス瓶に入れ、実施例1と同様に−20℃まで冷却した結果、凝固(凍結)してしまい、スラリー化は不可能と判断された。
次に、上記の溶媒を室温状態(凝固していない状態)とし、実施例1と同じ粉体状のアクリロニトリル系共重合体20質量%を混合し、攪拌棒を用いて手動で30回ほど攪拌した後、90℃で10分加熱して紡糸原液を得た。
上記の紡糸原液を目視観察した結果、アクリロニトリル系共重合体の溶け残りがみられた。
また、実施例1と同じ条件で繊維状体による溶解時間を測定した結果、90秒であった。以上の評価結果を表1示す。
本発明で得られる紡糸原液は、航空機の機体構造材、自動車の車体構造材、燃料タンク、風力発電用プロペラ、ゴルフシャフトや釣竿等のスポーツ・レジャー製品等に広く利用可能な高性能、高品質な炭素繊維を製造するための紡糸原液として有用である。

Claims (4)

  1. アクリロニトリル系共重合体をジメチルホルムアミド/ジメチルスルホキシド80/20〜50/50(質量比)の混合溶媒に溶解した紡糸原液。
  2. 前記アクリロニトリル系共重合体が共重合体成分としてアクリル酸単量体単位を1〜5質量%含む請求項1に記載の紡糸原液。
  3. 前記共重合体の固形分濃度が15〜25質量%である請求項1または2に記載の紡糸原液。
  4. 炭素繊維の前駆体繊維であるプレカーサーの紡糸原液の製造方法であって、以下の1)〜3)の工程を含む紡糸原液の製造方法。
    1)ジメチルホルムアミドとジメチルスルホキシドとを80/20〜50/50(質量比)で混合した後、0〜−20℃まで冷却する工程
    2)上記溶媒100質量部に対してアクリロニトリル系共重合体18〜34質量部を混合してスラリー化する工程
    3)上記スラリーを加熱して上記アクリロニトリル系共重合体を溶解する工程
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