JP2006348422A - 炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、強伸度変動率の少ない炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維(原糸)を提供することができる上に、ストランド強度変動を抑制した、機械的特性(強度)に優れた炭素繊維を提供することができる炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液及びその製造方法せんとするものである。
【解決手段】
本発明の炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液は、90重量%以上のアクリロニトリル及びそれと共重合可能なビニル系単量体で構成される重合体であり、該重合体含有率が18〜22重量%となるように溶媒に溶解してなる溶液であり、かつ、該重合体溶液を厚さ1cmのセルに入れて光の透過率を測定したときに、波長450nmにおける光の透過率が60%以上であり、かつ、波長550nmにおける光の透過率が90%以上であることを特徴とするものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、優れたアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維及び炭素繊維の品質・工程を安定化するのに適した炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液及びその製造方法に関する。
アクリロニトリル系重合体を製糸して得られた前駆体繊維を焼成することにより得られる炭素繊維は、その優れた力学的性質により、航空宇宙用途を始め、スポーツ、レジャー用途の複合材料の補強用繊維として広範囲で利用されている。炭素繊維の前駆体として用いるアクリロニトリル系繊維は、最終製品である炭素繊維を製造するための中間製品であり、得られる炭素繊維の品質、性能に大きな影響をあたえるため、その品質、性能向上が不可欠である。
この炭素繊維の前駆体繊維を製造するための重合体溶液を作製する方法において、重合体溶液の特性である重合体濃度、粘度、分子量、分子構造などに影響を与える因子としては、該重合体溶液の作製時に起因するものと、該重合体溶液の作製後に起因するものとが考えられる。
そのうち、該重合体溶液の作製時に起因するものとしては、原料、添加物、溶媒の仕込み量、仕込み時間、槽温度、槽圧力、攪拌速度、作製時間などの基本作製条件の変動が例示される。
一方、該重合体溶液の作製後に起因するものとしては重合体溶液の貯蔵時間(滞留時間)、熱履歴の変動に伴う、(1)残存単量体の後重合による重合体濃度変動、(2)分子量分布変動、(3)重合体の変質が例示される。
これら変動・変質の結果、重合体あるいは重合体溶液を作製する工程の次工程以降で製造される製品である繊維、フィルム、樹脂製品の品質変動・変質が生じ、最悪は規格外製品の発生に繋がるという問題があった。
従来から90重量%以上のアクリロニトリル及びそれと共重合可能なビニル系単量体で構成されるアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維用の重合体は、その環化・架橋反応速度の大きさから、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド等の有機溶剤を溶媒とする重合体溶液中で残存する重合開始剤や酸化還元剤、工程処理時の熱履歴による分子鎖の環化・架橋により変質し易く、最悪の場合は重合体溶液中でポリマー鎖同士の三次元的な環化・架橋物となり、原糸あるいは最終製品である炭素繊維の内部欠陥となる可能性が高かった。
アクリロニトリル系炭素繊維用前駆体繊維を紡糸する前にアクリロニトリル系重合体溶液の安定性改善のために、これまでいくつかの技術が開示されている。
例えば、該アクリロニトリル系重合体溶液に酸や水分を添加する事により、環化反応しいてはゲル化を抑制・遅延する方法が、例えば特許文献1、2により提案されている。
一方、該アクリロニトリル系重合体のポリマー分子鎖中にカルボン酸基とスルホン酸基という酸性の官能基を導入したり、環化反応の開始剤または促進剤として機能するアルカリ成分を低濃度にすることによりゲル化を抑制・遅延する方法が、例えば特許文献3、4により提案されている。
これらは、いずれもゲル化抑制という観点のみであり、炭素繊維用のアクリロニトリル系重合体溶液として使用可能な環化構造の存在量あるいはその度合いを規定しているものではなかった。
また、該アクリロニトリル系重合体溶液の品質変動・劣化を防止せねばならないと共にその変質要因あるいは変質特性をある一定間隔で連続的に監視・感知し目標との偏差、変化量から最終製品へ影響を及ぼす因子を制御することは、品質または工程の安定化を図る上で特に重要である。
一方、該アクリロニトリル系重合体あるいはその重合体溶液を製造する工程において反応条件、運転条件の自動制御化に関しては、これまでいくつかの技術が開示されている。
該アクリロニトリル系重合体またはその重合体溶液の物性値や特性値等を連続的に測定し、目標との偏差、変化量等から反応条件を自動制御する方法が、例えば特許文献5によって提案されている。
一方、該アクリロニトリル系重合体あるいはその重合体溶液を蒸発、蒸留、乾燥、混合、吸収等の単位操作で処理する工程において、該アクリロニトリル系重合体単独または該重合体溶液の物性値や特性値等を連続的に測定し、目標との偏差、変化量等から工程の運転条件を自動制御する方法が、例えば特許文献6によって提案されている。
これらは、いずれも該アクリロニトリル系重合体単独(ポリマー+飽和水分程度を想定)あるいはその重合体溶液を処理する各工程における製造条件を制御あるいは監視し、該重合体自身の品質の安定化、工程安定化を図るものであるが、該重合体溶液の次工程、更には最終製品の物性変動を予見する要因特性、アクリロニトリル系炭素繊維においては、最終製品である炭素繊維のストランド強度支配因子の一つである内部欠陥の指標を監視・管理し、完全に抑制するには至っていなかった。
特開平8−246230号公報 特開平9−3722号公報 特開平11−200140号公報 特開平9−13220号公報 特開2002−80577号公報 特開昭62−238361号公報
本発明は、かかる従来技術の問題に鑑み、強伸度変動率の少ない炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維(原糸)を提供することができる上に、ストランド強度変動を抑制した、機械的特性(強度)に優れた炭素繊維を提供することができる炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液及びその製造方法を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液は、90重量%以上のアクリロニトリル及びそれと共重合可能なビニル系単量体で構成されるアクリロニトリル系重合体であり、該重合体含有率が18〜22重量%となるように溶媒に溶解してなる溶液であり、かつ、該重合体溶液を厚さ1cmのセルに入れて光の透過率を測定したときに、波長450nmにおける光の透過率が60%以上であり、かつ、波長550nmにおける光の透過率が90%以上であることを特徴とするものである。
また、かかる炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液の製造方法は、該アクリロニトリル系重合体を溶媒に溶解して重合体溶液を作製する工程、ならびに該重合体溶液を任意の次工程に供給するための貯液槽を用いる炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液の製造方法において、前記貯液槽の流入直前において、前記特定の要件を満たす重合体溶液のみを選別して、前記貯液槽へ貯液することを特徴とするものである。
本発明によれば、製糸工程での糸切れおよび工程・品質の変動を抑制することができる上に、製糸工程の安定化、さらには最終的には焼成工程での糸切れ抑制ならびに工程の安定化を図ることができる。
しかも、本発明によれば、機械的特性(強度)が高くかつ機械的特性の変動率が小さい優れた炭素繊維を、生産ロス軽減化と共に人手による作業の大幅な軽減化を達成しながら製造・提供することができる。
本発明は、前記課題、つまり強伸度変動率の少ない炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維(原糸)を提供することができる上に、ストランド強度変動を抑制した、機械的特性(強度)に優れた炭素繊維を提供することができる炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液及びその製造方法について、鋭意検討し、貯液槽の流入直前において、光の透過率が特定のものであるアクリロニトリル系重合体溶液のみが、分子間・分子内架橋による環化構造が一定量以下に制限されていること、かかる環化構造が過剰な分子間・分子内架橋を惹起し、製糸工程での糸切れ、焼成工程の糸切れ、しいてはCFストランド強度低下の原因であることを究明し、特定の光透過度を有する透明な重合体溶液のみを選別して、これを重合体原液として紡糸し、焼成してみたところ、前記課題を一挙に解決することを究明したものである。
さらに、かかる特定の透明アクリロニトリル系重合体溶液のみを選別する供給切り替え手段として、自動切り替えシステムを採用すると、前記特定の光透過度を有する透明な重合体溶液のみを選別することも、また、かかる特定の透明なアクリロニトリル系重合体溶液以外の、つまり廃棄用異常重合体溶液のみを選別することも、いずれも、極めて簡単・容易に達成することができるので、人手による作業労力をかける必要もなく、合理的にかつ経済的に優れた物性を有する炭素繊維を製造・提供することができるものである。
本発明の炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液は、90重量%以上のアクリロニトリル及びそれと共重合可能なビニル系単量体で構成されるアクリロニトリル系重合体であり、該重合体含有率が18〜22重量%となるように溶媒に溶解してなる溶液である。
本発明における特定の透明重合体溶液を用いた炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法は、以下の通りである。すなわち、90重量%以上のアクリロニトリルの重合構造単位と製糸工程での緻密化促進成分、延伸促進成分となる構造単位ならびに耐炎化工程での耐炎化促進成分となる構造単位および酸素透過促進成分となる構造単位を含むアクリロニトリル系重合体を用いて、湿式あるいは乾湿式紡糸法により紡糸し、60℃以上の温水で延伸した後、アミノ変性シリコーン油剤およびエポキシ変性シリコーン油剤、微粒子およびアンモニウム化合物を含む油剤を0.01〜5重量%付与した後、必要に応じてスチーム等の高温熱媒中で延伸し、全体で7倍以上20倍以下の延伸を施すことにより、単繊維繊度0.5〜2dtexの炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維を得ることができる。
かかる炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維から優れた炭素繊維を得るためには、基本的に、まず、重合体の組成が重要である。
まず、かかるアクリロニトリル系重合体の主鎖組成は、アクリロニトリル90重量%以上で構成されることが望ましい。アクリロニトリル90重量%未満からなる前駆体繊維を使用した場合は、焼成工程で得られる炭素繊維の強度が低く、優れた機械的特性を有する炭素繊維を製造することが困難である。
かかるアクリロニトリル系重合体(以下、単に重合体ということがある)の共重合組成として製糸工程での緻密化促進成分、延伸促進成分および耐炎化工程での耐炎化促進成分および酸素透過促進成分を含むことが重要である。
かかる製糸工程での緻密化促進成分となる構造単位としては、カルボキシル基、スルホン基、アミノ基、アミド基等の親水性の官能基を有するビニル化合物を単量体とするものが好ましい。かかるカルボキシル基を有する緻密化促進成分となる単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸、メサコン酸などが挙げられるが、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましい。また、前記スルホン基を有する緻密化促進成分の具体例としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スルホプロピルメタクリレートなどが挙げられるが、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が好ましい。また、前記アミノ基を有する緻密化促進成分となる構造単位の具体例としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ターシャリーブチルアミノエチルメタクリレート、アリルアミン、o−アミノスチレン、p−アミノスチレンなどが挙げられるが、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートを単量体とするものが好ましい。また、前記アミド基を有する緻密化促進成分の構造単位の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、クロトンアミドを単量体とするものが好ましい。
さらにカルボキシル基、スルホン基、アミノ基等を塩基あるいは酸等で重合前あるいは重合後に中和することによって親水性を向上させることが好ましい。それにより重合体の親水性が向上し、緻密性が大幅に向上する。かかる塩基および酸の具体例としてはアンモニア、アミン化合物、水酸化ナトリウム、塩酸等があげられる。かかる中和に使用する薬品のコスト、取り扱い易さなどを考慮するとアンモニアが好ましい。すなわち、総合的に緻密化促進成分としてカルボキシル基を有するビニル化合物を用い、かつ重合後アンモニア中和したものが好ましい。
また、一方アミンとして分子量60以上のアミンを用いることにより、耐炎化炉内の単糸間の酸素透過性を向上することができる。かかる分子量60以上のアミンの具体例としては、オクチルアミン、ドデシルアミン、ラウリルアミン等のモノアルキルアミン、ジオクチルアミン等のジアルキルアミン、トリオクチルアミン等のトリアルキルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミン類を挙げることができる。中でも、中和の均一性を上げるためには、重合溶媒または媒体、あるいは紡糸溶媒に対する溶解性を有するものが好ましく、モノアルキルアミン、ジアミン類、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のオクチルアミン、ラウリルアミン、ドデシルアミン等のエステル、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のジアミン、トリアミン等が好ましい。
製糸工程での延伸促進成分の構造単位としては、ガラス転位点を低下させる共重合化合物、たとえばアクリル酸メチルを単量体とするものが好ましい。
耐炎化での耐炎化促進成分の構造単位としては、不飽和カルボン酸を単量体とするものが好ましい。かかる単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸、メサコン酸などが挙げられるが、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましい。かかる単量体の共重合量としては0.1〜5重量%が好ましい。
耐炎化での酸素透過促進成分の構造単位としては、重合性不飽和カルボン酸のエステルを単量体としたものが好ましく、特にノルマルプロピルエステル、ノルマルブチルエステル、イソブチルエステル、セカンダリーブチルエステルなど、炭素数が5以上であるアルキルのエステルより選ばれたエステルのようにバルキーな側鎖を有するエステルが好ましい。
かかる共重合単量体の具体例としては、アクリル酸ノルマルプロピル、メタクリル酸ノルマルブチル、メタクリル酸イソブチル、イタコン酸イソブチル、エタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられるが、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸のエステルがより好ましく、イソプロピルエステル、ノルマルブチルエステル、イソブチルエステルが特に好ましい。
すなわち、かかる共重合単量体として、ノルマルメチルエステルのように側鎖の小さいエステルでも酸素透過効果はあるが嵩高な側鎖を有するエステルと同じ酸素透過性を得るためにはより多くの量を共重合する必要がある。
上記緻密化促進、延伸性向上、耐炎化促進および酸素透過性向上成分のモル組成比としては1:(0.1〜10):(0.1〜10):(0.1〜10)が好ましく、1:(0.5〜8):(0.5〜8):(0.5〜8)がより好ましく、1:(0.5〜4):(0.5〜2):(0.5〜3)がさらに好ましい。
かかる重合体組成において、炭素繊維の強度向上という意味から重要なのは、緻密化促進および酸素透過性向上成分である。すなわち緻密化は、表層のミクロボイド生成の抑制に有効である。また酸素透過性向上は、単繊維内の弾性率分布の低減に有効であり、表面あるいは表層の欠陥への応力集中が抑制される。繊維径6μm以上と繊維が太くなるにつれて特に酸素透過性は重要な要素となる。
また、前記耐炎化促進成分は、耐炎化を短時間で実施するために必要であり、焼成工程における製造コスト低減に必須である。また延伸促進成分は製糸での生産性向上にとって重要であり、前駆体繊維のコスト低減のために非常に重要である。特に酸素透過性促進成分の中には共重合することにより、製糸延伸性が低下するものがあるので、その場合には緻密性促進成分を共重合することが特に重要になる。
これら緻密化促進、延伸性向上、耐炎化促進および酸素透過性促進成分はそれぞれ2種類以上の成分を合わせて使ってもよいが、逆に一つの成分で同時に二つ以上の効果を合わせ持つものであれば、一つの成分で二つ以上の役割を分担してもよい。成分の数はできるだけ少ない方が低コストとなるので、アクリロニトリルとの共重合成分としては4成分以下が好ましい。具体的には、緻密化促進および耐炎化促進を一つの不飽和カルボン酸、たとえばイタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などで行い、そのカルボキシル基の一部または全部をアンモニア中和することにより親水性を上げ、それによって緻密性を上げることができる。また延伸性向上および酸素透過性促進を一つの不飽和カルボン酸エステル、たとえばアクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどで行うことも可能である。
また酸素透過性促進と緻密性促進を一つの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、具体的にはジエチルアミノエチルメタクリレートなどで行うことも可能である。
単量体コストによっては成分数が多くても低コストとなる場合もあるので、最終炭素繊維の製造コストと機械的特性とのバランスから、かかる成分数を決めることが好ましい。また上記4成分以外のアクリロニトリルと共重合可能な重合性不飽和単量体と共重合することもコストおよび得られる炭素繊維の物性が許す範囲で可能である。
共重合量としては、アクリロニトリル以外の共重合組成の合計を1〜10重量%の範囲にすることが好ましく、2〜6重量%がより好ましく、3〜5重量%がさらに好ましい。共重合成分の組成の合計が10重量%を超えると耐炎化工程において単糸間の融着が起こる場合があり、また1重量%未満ではその効果が不十分の場合がある。
重合度については、重合度が高いほど同一製糸条件に対する前駆体繊維の引張強伸度が向上する効果があるが、重合体の粘度が上昇しすぎる、製糸延伸性が低下するというように製糸プロセス性が低下するため、それらを配慮して決めることが好ましい。具体的には固有粘度として1.0〜3.0が好ましく、1.3〜2.5がより好ましく、1.5〜2.0が特に好ましい。すなわち、重合度が低いと製糸延伸性は向上するが、耐熱性が低下するため製糸、焼成工程で単糸間融着を起こしやすくなるという問題もある。
なお、ここでいう固有粘度は、次の方法により求めた。まず、アクリロニトリル系重合体溶液を45℃の水浴中で脱溶媒させ、湿潤ポリアクリロニトリルを得た。その湿潤ポリアクリロニトリルを80℃の温水浴で1hr煮沸後、80℃の乾燥機中で乾燥することにより乾燥ポリアクリロニトリルを得た。0.3gの乾燥ポリアクリロニトリルを100mlのフラスコに入れ、0.1Nチオシアン酸ソーダを含むジメチルホルムアミドを加えて溶解する。オストワルド粘度計を用いて得られた溶液とジメチルホルムアミド単体の25℃における流下秒数比Cを測定し、次式に従って固有粘度([η])を算出した。
Figure 2006348422
なお重合法については、溶液重合、乳化懸濁重合、塊状重合等の公知の重合法を適用することにより製造することができる。
本発明は、かくして得られた重合体を溶媒に溶解して重合体溶液とし、さらにかかる重合体溶液を紡糸原液として用いて紡糸し、さらに焼成した場合に、最終的に優れた炭素繊維を提供可能となるための特徴的構成として、該重合体溶液に着目したものである。すなわち、前記したように該重合体含有率が18〜22重量%となるように溶媒に溶解してなる重合体溶液であり、しかも、かかる重合体溶液の中でも、該重合体溶液を厚さ1cmのセルに入れて光の透過率を測定したときに、波長450nmにおける光の透過率が60%以上であり、かつ、波長550nmにおける光の透過率が90%以上であるものを選択的に収集したものを使用するものである。かかる重合体は、バッチ法または連続重合法で前もって製造することができる。
紡糸に供する重合体の濃度については、高いほど凝固での溶媒と沈殿剤との置換量が少ないため、より緻密になり、炭素繊維の強度向上にとって有効であるが、一方重合体溶液の粘度が高くなり、ゲル化しやすく、製糸延伸性が低下する傾向があるため、それを配慮して、決めることが好ましい。具体的には、かかる重合体溶液の重合体の濃度は、18〜22重量%であることが必須であるが、19〜21重量%であるのが好ましい。
かかる溶媒としては、ジメチルスルホキシド(以下DMSOとする。)、ジメチルホルムアミド(以下DMFとする)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、塩化亜鉛水溶液(以下ZnCl2aq)、チオ硫酸ナトリウム水溶液(NaSCNaq)等の従来公知のものを使うことができるが、生産性の面から重合体の凝固速度が早いDMSO,DMFあるいはDMAcが好ましく、凝固速度が特に早いDMSOが特に好ましい。
その厚さ1cmの重合体溶液の波長450nmおよび550nmにおける光の透過率については、値が高い、すなわち重合体溶液の着色が少ないほど重合体分子内あるいは分子間の環化・架橋構造が少なく、ニトリル基が純粋な状態で保持されたポリアクリロニトリル系重合体として存在するため、変異がない配向度が良好な高分子群として炭素繊維用前駆体繊維に適用する事ができる。また、着色が少ないほどゲル化が進行しておらず前駆体繊維の凝固、延伸時の内部欠陥・欠点とならないため、ボイドの少ない緻密な前駆体繊維を得ることができる。欠陥が少なく緻密な前駆体繊維からはストランド強度が高い炭素繊維を得ることができる。具体的には、重合体溶液の450nmと550nmにおける光の透過率が各々、前者で60%以上、後者で90%以上であることが必要であり、さらに、前者で65%以上、後者で95%以上であることがより好ましい。
反対に、重合体溶液の450nmと550nmにおける光の透過率が、各々、前者で60%未満、後者で90%より低い場合は、重合体分子内あるいは分子間の環化・架橋構造が多く、ニトリル基が変化したアクリロニトリル系重合体として存在するため、変異があり、またゲル化が進行しており、前駆体繊維の凝固・延伸時の内部欠陥・欠点となり、ボイドの多い粗な前駆体繊維ができてしまう。欠点が多く粗な前駆体繊維からは高いストランド強度を有する炭素繊維を得ることは困難である。
特に、重合体溶液作製後に、アルカリ等の環化、架橋反応促進剤の共存あるいは熱履歴により、アクリロニトリル系重合体は、容易に環化・架橋反応を起こし、光の透過率を低下させる。そのような状態下で長時間放置した場合は、ゲル化がさらに進行し、溶媒に難溶あるいは不溶の異物を生成し、光の透過率を低下させると共にその異物が内部欠陥・欠点となり糸切れを多発させ、最終製品である炭素繊維のストランド強度を著しく低下させてしまう。
なお、本発明の重合体溶液の透過率は、下記のようにして測定したものである。 すなわち、重合体溶液を作製あるいはサンプリングし、25℃、2hr、N雰囲気下で放置した。つぎに、重合体溶液を石英セル(内側の厚さ1cm)に移液した。石英セルを遠心分離機にセットし、3000rpm、20℃、10分間の条件で遠心分離して、気泡を除去した。
かかる気泡除去後、対象液をDMSOとして分光光度計(島津UV−120−01,またはこれと同等の性能を有するもの)で波長450nmと550nmにおける透過率(0〜100%)を測定して読みとった。
本発明における供給槽の流入直前に設置した重合体溶液の波長450nmと550nmにおける透過率を連続監視可能な機器は、上記オフラインでの透過率測定により校正し、適用する(測定頻度1分毎が好ましい。)。なお、オンライン透過率計に供給される重合体溶液は事前に真空下(1.44×10−3MPa以下)で減圧せしめるなどして気泡がない状態にしておく必要がある。また、オンライン透過率計内の重合体溶液が通過する配管の内径は1cmである。
本発明における回分式で重合体溶液を作製する槽は、材質、形状、容量は特に限定されない。しかし、重合体溶液の作製条件において攪拌速度、溶解温度、圧力等の条件を設定する必要がある場合は、それらの条件の変更あるいは調整が可能な装置、例えば攪拌速度においてはモータ回転数等、溶解温度においては冷却、加温装置等、圧力については圧縮、減圧装置等が備え付けられた槽であることが必要とされる。もちろん重合体溶液を作製する槽内、重合体溶液の物理特性を把握するために、それらの測定が可能な機器が備えられているのは言うまでもない。
次に回分式で重合体溶液を作製する槽から、種々の重合体溶液の処理操作を経て、最終的には任意の次工程に供給するための貯液槽(供給槽)へ供給される。
本発明における貯液槽または供給槽は、材質、形状、容量は特に限定されない。ただし、重合体溶液の貯液条件において攪拌速度、貯液温度、槽圧力等の条件を設定する必要がある場合は、それらの条件変更若しくは調整が可能な装置、例えば攪拌速度においてはモータ回転数等、貯液温度においては冷却、加温装置等、圧力については圧縮、減圧装置等が備え付けられた槽であることが必要とされる。
本発明では、供給槽の流入直前における重合体溶液の波長450nmと550nmにおける透過率を連続監視可能な機器を供給槽直前に備える必要がある。
この連続監視している重合体溶液の波長450nmと550nmにおける透過率が、前者で60%未満、あるいは後者で90%未満の着色かつゲル化が進行した廃棄用重合体溶液を、任意の次工程へ供給する供給槽直前から別の廃棄用貯液槽へ切り替えすることによって、前駆体繊維の凝固、延伸時の内部欠陥・欠点となる重合体供給を避けることが可能となり、原糸品質の変動・変質を未然に防ぐことができ、もちろん最終製品である炭素繊維の品質の変動・変質を防ぐことが可能となる。
そして、内部欠陥・欠点であるボイドの少ない緻密な原糸を安定して製造することができ、更にはストランド強度が高い炭素繊維を安定して得ることができる。
更には、環化・架橋が一定量しか進行していない重合体溶液は、紡糸安定性に優れ、その重合体溶液から得られる内部欠陥・欠点であるボイドの少ない原糸は、その内部欠陥・欠点を起点する延伸破断が少なくすることが可能となり、製糸工程・焼成工程における糸切れ回数を少なくでき、しいては工程安定化、収率改善による生産性向上が達成可能となる。
更に好ましくは、内部欠陥・欠点による着色かつゲル化が進行した廃棄用重合体溶液を別の廃棄用貯液槽へ切り替える際、連続監視しているコンピュータ等の指令により自動で切り替えすることにより、異常な重合体、異常な原糸、異常な炭素繊維の製品への混入発生を、簡単・容易に、かつ迅速に防止することができるのでより望ましい。また、手動操作と比較すると操作ミス等による工程異常が少なく、労務費用も著しく低減させることも可能となる。
逆に、環化・架橋が一定量以上進行した重合体溶液を継続し使用した場合、あるいは環化・架橋が一定量以下に保たれた重合体溶液へ混入して使用した場合は、紡糸安定性が低下し、その重合体溶液から得られる内部欠陥・欠点が起因であるボイドの多い原糸は、その内部欠陥・欠点を起点とする延伸破断が多くなり、更に悪化すると単糸破断ではなく製糸工程の糸条破断しいては糸切れ・巻き付きという操業不良・収率悪化が発生する。同様に、焼成工程でも延伸時における単糸破断が糸切れ・巻き付きという操業不良・収率悪化が発生する可能性が高いという問題が惹起する。
紡糸方法としては溶融、湿式、乾式、乾湿式等を採用することできるが、緻密化しやすく高強度糸が得られ易いという観点から溶融、湿式あるいは乾湿式が好ましく、生産性と強度のバランスから特に乾湿式紡糸が好ましい。
凝固条件も前駆体繊維および炭素繊維の構造および引張特性に大きく影響するため、引張特性および生産性の両方から決めることが好ましい。特にボイドの少ない緻密な凝固糸を得るためには、凝固速度が低い条件が好ましく、低温、高濃度で凝固することが好ましい。
特に紡糸原液の温度を60℃以下にすることが好ましく、50℃以下がより好ましく、40℃以下がさらに好ましい。また凝固浴温度を20℃以下にすることが好ましく、10℃以下により好ましく、5℃以下がさらに好ましい。
紡糸口金としては通常円形孔を有する口金を用いて円形あるいはそれに準ずる形状の凝固糸を得るが、スリットあるいは小円孔の集合から接合させることにより三角、四角、五角といった異形断面の凝固糸を得ることもできる。
凝固の後、水洗、延伸を行うが、必要に応じて酸処理等を行う。特に延伸での温度条件が緻密化を促進する上で重要である。浴延伸の温度としては、60〜100℃の範囲にすることが好ましく、70〜100℃の範囲がより好ましく、80〜100℃が特に好ましい。
浴延伸は2段以上の多段で延伸することが強度向上のために好ましく、低温から高温へと温度プロフィルを浴間でつけることおよび浴間の温度差を20℃以下にすることが単繊維間接着を抑制する上で好ましい。
浴延伸の延伸倍率としては全体で1.5倍以上8倍以下が好ましく、2倍以上5倍以下がより好ましい。
温度の高い延伸浴では入り側ローラーで熱圧着により単繊維間接着が起こりやすいのでローラーを高温の浴外に出すことが効果的である。優れた炭素繊維前駆体繊維の要件として単繊維間接着が少なく、焼成工程でも単繊維間接着を発生しないことが重要である。そのために優れた油剤を均一に付与することが重要である。
特に緻密性あるいは酸素透過性等を促進するために共重合量が多くなると、重合体の融点が低下して融着しやすくなるため、共重合量が多い程、油剤の性能が大きく炭素繊維の強伸度特性に影響してくる。
優れた油剤としては、糸条に均一に付与でき、耐熱性が高く焼成工程での単繊維間接着を防止し、かつ乾燥工程でのローラー等への転写量が少なくプロセス性に優れることが好ましい。
油剤としては高級アルコール、高級脂肪酸エステル、シリコーン化合物等およびそれらの混合油剤を使うことができるが、単繊維間接着抑制効果の大きいシリコーン化合物を含むことが好ましい。
油剤の付着量としては、乾燥繊維重量当たり0.01〜5重量%付与するのが好ましく、0.05〜3重量%がより好ましく、0.1〜1.5重量%がさらに好ましい。すなわち付与量が少ないほど焼成工程でのタール、排ガス量減少等に有利であるので、単繊維間接着を抑制できる範囲で低めに抑えることがコスト低下にとって有効である。しかし付着量が0.01重量%未満と少なすぎると、糸束内への均一付与が難しくなる。
油剤付与後、乾燥緻密化を行う。乾燥緻密化の熱処理によって油剤の粘度が一旦低下して均一に束中に分散し、さらに熱処理することによってゴム化が促進され、油剤の耐熱性が向上する。したがって、生産性も考慮するとできるだけ高温で熱処理することが好ましく、重合体の湿熱下での融点ないし20℃低めの温度が好ましい。
乾燥緻密化後、さらに必要に応じて加圧スチーム等の高温熱媒中で延伸を行うことが前駆体繊維の配向を向上させる上で有効である。この場合にも重合体の湿熱下での融点ないし融点より20℃低めの温度範囲内で延伸することが好ましい。延伸倍率は2倍以上10倍以下が好ましく、3倍以上8倍以下がより好ましい。温水浴延伸も含めた製糸工程における全延伸倍率としては、繊維の配向を均一にするとともに、製糸生産性を向上させる意味で、7倍以上が好ましく、10倍以上がより好ましい。製糸全延伸倍率の上限としては毛羽等の品位から20倍以下が適当である。加圧スチーム延伸あるいは高温熱媒延伸終了後、さらに必要に応じて仕上げ油剤を付与して前駆体繊維とする。
炭素繊維の高強度化のためには、原糸の単繊維繊度としては1.0dtex以下が好ましい。しかし、繊度が細すぎると製糸工程や焼成工程での延伸破断による巻き付きが増えることによる生産性低下の原因となる。よって、製糸工程と焼成工程の生産性も含めて総合的に適正化することが好ましい。すなわち、耐炎化時の単糸内部への酸素拡散が効率よくなり耐炎化進行が均一になる0.8dtex以下、0.5dtex以上がより好ましい。
また、フィラメント数については限定されないが、生産性の面から1,000フィラメント以上が好ましい。口金としては口金1個当たり孔数3,000以上が好ましい。孔数の上限については口金が大きくなりすぎると取り扱い性が低下するので10,000以下が適当である。
また製糸速度としては、速いほど生産性が高いため300m/分以上が好ましい。製糸速度の上限については、紡糸引き取り速度および延伸倍率の上限および製糸作業性等から600m/分以下が適当と考えられる。
前駆体繊維の強伸度特性としては、強度3cN/dtex以上、伸度5%以上が好ましく、強度4cN/dtex以上、伸度6%以上がより好ましい。
以下、本発明であるアクリロニトリル系重合体溶液の製造方法の好ましい実施態様例を図1を用いて説明する。
図1は、アクリロニトリル系重合体を溶媒に溶解して重合体溶液を作製する工程、ならびに該重合体溶液を任意の次工程に供給するための貯液槽を用いるアクリロニトリル系重合体溶液の製造方法において、貯液槽の流入直前で光の透過率が高い特定な重合体溶液のみを選別して貯液槽へ貯液しかつ製糸することにより、強伸度変動率の少ない炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維(原糸)を提供することができる上に、ストランド強度変動を抑制した、機械的特性(強度)に優れた炭素繊維を提供することができる製造工程の一例を示す概略フロー図である。
まず、アクリロニトリル系重合体溶液を作製するに際し、原料、溶媒、添加剤を重合体溶液作製槽1(以下、作製槽)に投入する。
この原料は、アクリロニトリル単量体と共重合体単量体、またはそれらの共重合体とし、また、添加剤は、必要に応じた開始剤や重合度調整剤や着色防止剤などし、溶媒は好ましいものを採用し、作製槽1へ投入することとする。
そして、攪拌機を用いて均一になるよう混合攪拌し、反応熱や溶解熱を作製槽1の熱交換器に冷媒を通液することにより除去する。この際、除熱と共に槽内温度を一定になるよう制御する事もまた好ましい。
そして、作製槽1において、重合体溶液を作製完了後、重合体溶液貯液槽2(以下、貯液槽)へ自動弁3を用いて移液する。
貯液槽2において温水と攪拌機による混合により重合体溶液温度が一定になるように保温する。
そして、貯液槽2から重合体溶液を、定量ポンプ4を用いて減圧槽へ供給し、減圧槽にて重合体溶液中の気泡を除去すると共に一定濃縮により重合体溶液の粘度と重合体濃度を均一化する。
減圧槽において目標の特性値とした重合体溶液を減圧槽抜きだし定量ポンプで重合体溶液供給槽5(以下、供給槽5)へ供給する。
このとき、供給槽5に流入する直前でその主流から少量の重合体溶液を抜き出し透過率自動測定装置6に流入させて透過率を測定し元の主流に戻す。波長450nmにおける光の透過率が60%以上であり、かつ、波長550nmにおける光の透過率が90%以上である重合体溶液であるならば正常重合体溶液として供給槽5へ流入し貯液される。
供給槽5は、紡糸原液としての劣化を防止するため、重合体溶液温度が規定温度以下となるように温水などにより一定温度に保温すると共に、製糸工程に紡糸原液として供給されるまで一定滞留時間貯液させる。
貯液槽2から減圧槽を経由し目標透過率に達し供給槽5に流入させた重合体溶液は全量紡糸原液として使用される。
ここで、上記とは逆に、波長450nmにおける光の透過率が60%以下、または、波長550nmにおける光の透過率が90%以下である重合体溶液であるならば、自動切替弁7が自動で切り替えを行い、異常重合体溶液として廃棄用貯槽8へ流入し貯液される。
このように、ポリマーの分子内・分子間環化によるゲル化が抑制された重合体溶液を透過率により選別して貯液槽5へ貯液し紡糸原液として適用することにより、内部欠陥・欠点の少ない原糸を得ることができ、しいては、最終製品である炭素繊維の高強度化が可能となる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本例中に記載した物性、物性の変動率は以下の測定方法、式で求めたものである。
(1)重合体溶液の透過率と分布
重合体溶液を作製あるいはサンプリングし、25℃、2hr、N雰囲気下で放置した。つぎに、重合体溶液を石英セル(内側の厚さ1cm)に移液した。石英セルを遠心分離機にセットし、気泡を除去した。(3000rpm、20℃、10分間)
かかる気泡除去後、対象液をDMSOとして分光光度計(島津UV−120−01)で波長450nmと550nmにおける透過率を読みとり測定した。(0〜100%)
本発明における供給槽の流入直前に設置した重合体溶液の波長450nmと550nmにおける透過率を連続監視可能な機器は、上記オフラインでの透過率測定により校正し、適用した(測定頻度1分毎)。なお、オンライン透過率計に供給される重合体溶液は事前に真空下(1.44×10−3MPa)で減圧せしめ気泡がない状態にした。また、オンライン透過率計内の重合体溶液が通過する配管の内径は1cmである。
供給槽中の重合体溶液の滞留時間(容量/供給流量)を1サイクルと定義する。 そして、1サイクル毎に供給槽入り直近のサンプル採取口から重合体溶液を採取し重合体溶液の波長450nmと550nmにおける透過率を測定した。
40サイクル分の透過率の標準偏差を求めた。そして下式により変動率を求めた。
Figure 2006348422
(2)原糸(アクリロニトリル系繊維束)単糸強伸度
製糸工程において加圧スチーム延伸処理後の糸束を100本ランダムにサンプリングし、日本工業規格(JIS)−L−1069 「天然繊維の引張試験方法」(改訂年:2002)に規定されている方法によって求めた。評価する糸束をほぐして単繊維としたのち、テンシロンUTM−4L型を用いて荷重フルスケール40gf条件で、試長25mmになるようチャック部にセットした。この時サンプルが弛まないようにした。セット確認後、引取速度20mm/分で単繊維が破断するまで引き下げた。同時に測定されたS−S曲線から最大強力における伸度を計算した。100回測定したデータから下式で示す変動率を算出した。
Figure 2006348422
(3)製糸工程における糸切れ回数
製糸工程中における糸切れ回数を正味の原糸生産量あたりで求めた。
(4)炭素繊維のストランド引っ張り強度の分布
前駆体繊維を空気中210〜250℃で耐炎化処理し、次いで窒素雰囲気下1400℃まで加熱して炭素繊維を得て、次いで濃度0.1モル/dmの硫酸水溶液を電解液として、10クーロン/gで電解処理、水洗し、150℃の空気中で乾燥した炭素繊維を100本ランダムにサンプリングし、JIS−R−7601(1986)に規定されている方法によって、エポキシ樹脂を含浸し、引張試験機にてストランド強度を測定した。そして、100回測定したデータから下式に示した変動率を算出した。
Figure 2006348422
(5)焼成工程における糸切れ回数
焼成工程中における糸切れ回数を正味の炭素繊維生産量あたりで求めた。
[実施例1] 重合体溶液を作製するに際して、原料であるアクリロニトリル、溶媒であるDMSOはそれぞれ、1.2μmの開孔径をもつポリプロピレン製不織布フィルター及び0.2μmの開孔径をもつポリテトラクロロエチレン製膜型フィルターで2段濾過し、一方、共重合成分としてのイタコン酸、開始剤および重合度調節剤はいずれもDMSOに溶解後、0.6μm、0.2μmの目開きを持つフィルターで2段濾過を行った。
そして、これらの原料、溶媒、添加剤を図1のプロセスに示す重合体溶液作製槽1(以下、作製槽)に投入した。また、この際、単量体組成をアクリロニトリル(AN)/イタコン酸(IA)=99.5/0.5(mol%)とし、全体仕込み量に対し全単量体濃度22.0重量%となるようにDMSOを溶媒とし、開始剤であるアゾビスイソブチロニトリルを全仕込み量に対し0.004mol/L、重合度調整剤であるモノチオグリコールを全単量体に対し0.2重量%の仕込量となるように調整した。そして、全ての原料、溶媒、添加剤の仕込みを2.0hrで完了させた。攪拌機の運転は、仕込み開始から0.5hr後に運転した。
そして、作製槽1において、65℃×14hr重合を行い極限粘度1.80の共重合体20.0重量%を含むアクリロニトリル系重合体溶液10mを作製した。作製完了後、イタコン酸の官能基であるカルボキシル基の1/2に対応する量の1.05当量倍のNHを添加し中和した。(つまり、NH添加量=カルボキシル基×1/2×1.05ということである。)そして、1hr後に作製槽1から容量20mを有する重合体溶液貯液槽2(以下、貯液槽)へ自動弁3を用いて0.5hrで移液した。
貯液槽2は重合体溶液温度が75℃になるように75℃の温水ジャケットにより保温した。そして、貯液槽2から重合体溶液を定量ポンプ4を用いて容量2.5mの重合体溶液供給槽5(以下、供給槽5)へ250dm/hrで供給した。供給槽5は、重合体溶液温度が50℃以下となるように50℃の温水ジャケットにより保温した。
そして、10hr毎に供給槽5入り直近のサンプル採取口から重合体溶液を採取し重合体溶液の波長450nmと550nmにおける透過率を測定した。
貯液槽2から供給槽5に流入する重合体溶液は全量紡糸原液として使用した。
そして、40サイクル分の透過率を測定し、変動率を求め表1に示した。
引き続き作製した紡糸原液を5μmの開孔径を持つ金属焼結フィルターで1段濾過を行った。得られた紡糸原液を50℃として直径0.15mm、孔数4,000の口金を用いて、一旦空気中に吐出し、約4mmの空間を通過させた後、約3℃に制御した35重量%DMSOの水溶液からなる凝固浴に導く乾湿式紡糸方法により凝固させた。得られた凝固糸を水洗した後、温水中で延伸した。延伸浴には4槽用い、第1浴から10℃づつ昇温して、第4浴の温度を90℃とした。また浴延伸倍率は3.5倍とした。単繊維間接着を防ぐために入り側のローラーを浴から上げた状態で糸を浴中に導入するとともに、振動ガイドを各浴に設置した。振動数は25Hz,振幅は2mmとした。
得られた延伸糸をアミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーンおよびエチレンオキサイド変性シリコーンから成るシリコーン系油剤にジビニルベンゼンで架橋したポリメチルメタクリレートの微粒子(平均粒子径:0.1μm)を乳化したエマルジョンおよび炭酸アンモニウムを混合した油剤浴中を通すことにより油剤および微粒子を付与した。
さらに150℃の加熱ローラーを用いて乾燥緻密化処理を行った。乾燥緻密化による油剤のガムアップ量は0.02g/(時間・12000フィラメント)だった。
得られた乾燥緻密化処理糸をさらに0.3MPaの加圧スチーム中で延伸することにより、製糸延伸倍率を13倍とし、単繊維繊度0.74dtex,フィラメント数12,000本のアクリロニトリル系繊維を得た。最終製糸速度は340m/分だった。
そして、製糸工程において、重合工程の前述の滞留時間20サイクル間に相当する期間、滞留時間の間隔毎に加圧スチーム延伸処理後の糸を採取し前駆体繊維の単糸強伸度を測定し、その変動率を求め表1に示した。更に、製糸工程における生産量あたりの糸切れ回数も表1に示した。
この前駆体繊維を常圧の加熱空気オーブン中250℃で15分間焼成し、さらに270℃で15分間焼成し、得られた繊維束を230〜260℃の空気中で、延伸比0.90で延伸しながら加熱して、水分率が8重量%の耐炎化繊維に転換した。得られた耐炎化繊維を窒素雰囲気中300〜500℃の温度領域での昇温速度を400℃/分、1000〜1200℃の温度領域での昇温速度を500℃/分、として1400℃まで延伸比0.92で延伸しながら焼成した。焼成後、炭酸アンモニウムの水溶液中で10クーロン/g−CFの陽極酸化処理を行った。最終焼成速度は10m/分だった。
このようにして得られた炭素繊維の物性であるストランド強度を測定し、その変動率を求め表1、表2に示した。
[実施例2]
実施例1と同じプロセスにおいて、供給槽5の流入直近部に重合体溶液の透過率の自動監視装置を備え、その透過率計の管理目標下限値(波長450nmのとき60%、550nmのとき95%)を外れたときに自動切り替え弁7を作動させて廃棄用貯液槽8へ廃棄用重合体溶液を廃棄するシステムを有すること以外は、実施例1と全く同様の操作を行い、重合体溶液、原糸、炭素繊維ストランドを得た。この結果を実施例2として表1、表2に示した。なお、重合体溶液の透過率は、下記により計算した。
Figure 2006348422
[比較例1]
実施例1の図1と同じプロセスにおいて、作製槽1で重合体溶液を作製後に貯液槽2において80℃で保温し、更に12hr放置することにより重合体溶液の透過率を低下させたのち、供給槽5へ供給をした以外は、実施例1と全く同様の操作を行い、重合体溶液、原糸、炭素繊維ストランドを得た。この結果を比較例として表1、表2に示した。
Figure 2006348422
Figure 2006348422
これらの表1、2から明らかなように、実施例1において、重合体溶液の波長450nmと550nmにおける透過率が比較例対比それぞれ約27%、7%向上せしめたことにより分子内または分子間環化・架橋つまりは前駆体繊維及び炭素繊維の内部欠陥を低下せしめたことにより炭素繊維のストランド強度を比較例対比18%、約900MPa向上せしめたことが分かる。また、内部欠陥・欠点の抑制により製糸工程の糸切れ回数は比較例対比40%、0.15回/t改善することができ、焼成工程において比較例対比70%、8回/t改善せしめることができた。
つまり、過剰な分子間・分子内架橋に起因する炭素繊維のストランド強度低下要因である欠点を少なくすることで高強度化することを可能せしめた事が分かる。
また、実施例2においては、重合体溶液の450nmと550nmにおける透過率が比較例対比、それぞれ約32%、9%向上せしめたこと、及び透過率の変動率をそれぞれ29%、27%低下させたことにより、前駆体繊維(原糸)の引っ張り強度と伸度の変動率をそれぞれ、35%、31%低下させ、炭素繊維のストランド強度を比較例対比20%、約1060MPa向上せしめ、かつそのストランド強度の変動率を比較例比約50%、1.6%向上せしめており、すなわち炭素繊維の高強度化かつ品質変動を小さくすることを可能せしめた事が分かる。
また、内部欠陥・欠点の抑制により製糸工程の糸切れ回数は比較例対比約70%、0.24回/t改善することができ、焼成工程において比較例対比約80%、10回/t改善せしめることができた事が分かる。
本発明の回分式でアクリロニトリル系重合体溶液を作製し供給槽へ供給する好ましい実施形態を示す装置の概念図である。
符号の説明
1:重合体溶液作製槽
2:重合体溶液貯液槽
3:自動弁
4:定量ポンプ
5:重合体溶液供給槽
6:透過率測定装置(自動監視)
7:自動切替弁
8:廃棄用貯液槽

Claims (7)

  1. 90重量%以上のアクリロニトリル及びそれと共重合可能なビニル系単量体で構成されるアクリロニトリル系重合体であり、該重合体含有率が18〜22重量%となるように溶媒に溶解してなる溶液であり、かつ、該重合体溶液を厚さ1cmのセルに入れて光の透過率を測定したときに、波長450nmにおける光の透過率が60%以上であり、かつ、波長550nmにおける光の透過率が90%以上であることを特徴とする炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液。
  2. 波長550nmにおける光の透過率が95%以上であることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液。
  3. 波長450nmにおける光の透過率が65%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液。
  4. 溶媒が、ジメチルスルホキシドまたはジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミドである請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液。
  5. 90重量%以上のアクリロニトリル及びそれと共重合可能なビニル系単量体で構成されるアクリロニトリル系重合体を、該重合体含有率が18〜22重量%となるように溶媒に溶解させて該重合体溶液を作製する工程、ならびに該重合体溶液を任意の次工程に供給するための貯液槽を用いる炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液の製造方法において、前記貯液槽への流入前において、該重合体溶液を厚さ1cmのセルに入れて光の透過率を測定したときの波長450nmにおける光の透過率が60%以上であり、かつ、波長550nmにおける光の透過率が90%以上である重合体溶液のみを選別して、前記貯液槽へ貯液することを特徴とする炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液の製造方法。
  6. 波長550nmにおける光の透過率が95%以上である重合体溶液を選別して貯液槽へ貯液することを特徴とする請求項5記載の炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液の製造方法。
  7. 波長450nmにおける光の透過率が65%以上である重合体溶液を選別して貯液槽へ貯液することを特徴とする請求項5または6記載の炭素繊維用アクリロニトリル系重合体溶液の製造方法。
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