JP2003068306A - 層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物 - Google Patents
層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物Info
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Abstract
するリチウムニッケルマンガン複合酸化物を提供する。 【解決手段】 ニッケルとマンガンとの原子比が0.7
≦Ni/Mn≦9を満たす層状リチウムニッケルマンガ
ン複合酸化物であって、Mg及びCaの含有量が共に3
00ppm以下であることを特徴とする層状リチウムニ
ッケルマンガン複合酸化物。ニッケル及びマンガンの存
在するサイトの一部がアルミニウム、コバルト及び鉄か
らなる群から選ばれる少なくとも一種の金属元素等の他
の元素で置換されていてもよい。
Description
ケルマンガン複合酸化物、並びにそれを用いたリチウム
二次電池用正極材料及びリチウム二次電池に関するもの
である。
る正極活物質として、リチウム遷移金属複合酸化物が有
望視されている。これら化合物の中でも、遷移金属とし
てコバルト、ニッケル、マンガンを使用する、リチウム
コバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマ
ンガン酸化物を正極活物質とすると、高性能な電池特性
を得られることが知られている。さらに、リチウム遷移
金属複合酸化物の安定化や高容量化、安全性向上、高温
での電池特性の改良のために、遷移金属サイトの一部を
他の金属元素で置換したリチウム遷移金属複合酸化物を
用いることも知られている。リチウム遷移金属複合酸化
物の例としてスピネル型リチウムマンガン酸化物LiM
n2O4の場合、Mn価数は形式上3.5価であり、3価
と4価が半々ずつ混在している状態であるが、このMn
価数より小さい価数の他の遷移金属でMnサイトを置換
することにより、ヤーンテラー歪みのあるMn3価を減
少させて結晶構造を安定化させ、最終的に電池特性が向
上する。
を用いる場合、製品としてのリチウム遷移金属複合酸化
物の値段を抑えるために置換元素を導入することが考え
られる。例えば、LiCo1-xNixO2(0<x<1)
といったリチウム遷移金属複合酸化物が考えられ、高価
なCoの比率を下げるためにxを大きくし、その方向で
より性能を上げる研究がなされている。
Niの方が高価なことから、LiNi1-xMnxO2(0
<x<1)といったリチウム遷移金属複合酸化物も考え
られている。このようなニッケルとマンガンとを含有す
るリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、電池性能の
面でも注目すべき点があり、極めて有望な材料である。
しかしながら、Solid State Ionics
311−318(1992)や、J. Mater.
Chem. 1149−1155(1996)や、
J. Power Sources 629−633
(1997)や、J. Power Sources
46−53(1998)では、目的生成物として合成可
能な範囲は0≦x≦0.5とされており、それよりxが
大きくなると単一相が得られないとされている。
00)では、x=0.5に相当するNi:Mn=1:1
の層状構造をもつ結晶性の高い単一相を共沈法により合
成したとの報告がある。それによれば、このリチウム遷
移金属複合酸化物は単一相の結晶中にニッケルとマンガ
ンが均一に存在しており、ニッケルとマンガンを均一に
存在させるために原料のニッケル化合物とマンガン化合
物を原子レベルで均一に分散させる必要があり、そのた
めには共沈法が好ましいとされる。
者らの検討によれば、上記のような層状のリチウムニッ
ケルマンガン複合酸化物は、二次電池の活物質としてレ
ート特性が劣ることが判明した。即ち、上記層状リチウ
ムニッケルマンガン複合酸化物においては、結晶中にお
けるリチウムイオンの拡散速度がリチウムコバルト複合
酸化物、あるいはリチウムニッケル複合酸化物と比較し
小さく、高いレートでの充放電にリチウムイオンの活物
質への脱ドープ・ドープが追従しないため、これを二次
電池の活物質として用いたときに高いレートでの充放電
容量が劣るのである。
チウムニッケルマンガン複合酸化物のレート特性の向上
方法について鋭意検討した結果、リチウムニッケルマン
ガン複合酸化物中には、その原料中に存在する不純物や
製造過程で混入する不純物の影響で、通常少なくとも4
00ppm程度のカルシウムやマグネシウムが存在する
こと、リチウムニッケルマンガン複合酸化物中に不純物
として存在するマグネシウム及びカルシウムの存在量に
よってレート特性が変化すること、また、上記マグネシ
ウム及びカルシウムの存在量が少ないほどレート特性が
向上することを見出し本発明を完成した。
ンとの原子比が0.7≦Ni/Mn≦9を満たす層状リ
チウムニッケルマンガン複合酸化物であって、Mg及び
Caの含有量が共に300ppm以下であることを特徴
とする層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物に存す
る。なお、第41回電池討論会2D20(2000)で
は、LiMn0.5Ni0.5O 2なる組成の層状リチウムニ
ッケルマンガン複合酸化物が報告されているが、レート
特性について何も触れられておらず、またマグネシウム
及びカルシウムの含有量についても記載されていない。
ンガン複合酸化物は、層状の結晶構造を有し、リチウム
とニッケルとマンガンとを含む酸化物である。ニッケル
とマンガンの原子比(Ni/Mn)は、層状結晶構造が
安定に存在し、また電池特性を悪化させない観点で、
0.7以上、9以下とする。ニッケルとマンガンの原子
比(Ni/Mn)として好ましい範囲はいくつか挙げら
れるが、例えば1つには、下限としては0.8以上、中
でも0.9以上、また、上限としては1.2以下、中で
も1.1以下である。もう1つには下限としては、1.
3以上、中でも1.5以上、また、上限としては、7以
下、中でも5以下である。
化物は、結晶構造の安定化や高容量化、安全性向上、高
温での電池特性の改良のためにニッケル及びマンガンの
存在するサイトの一部を他の元素(以下「置換元素」と
いうことがある)で置換するのが好ましい。置換元素と
しては、各種の元素を使用することができるが、好まし
くはアルミニウム、コバルト、鉄等の金属元素を挙げる
ことができる。この中でも、アルミニウム、コバルトが
さらに好ましく、最も好ましいのはコバルトである。ア
ルミニウム、コバルトは、層状リチウムニッケルマンガ
ン複合酸化物に容易に固溶して単一相を得ることができ
るという利点があり、さらにアルミニウム及びコバルト
は、リチウム二次電池の正極活物質として、高性能な電
池特性、特に繰り返し充放電を行った際の放電容量維持
率について良好な性能を示すという利点がある。無論、
これらの置換元素を複数種使用してもよい。
ガンの合計に対する原子比は、通常0.5以下、好まし
くは0.35以下、さらに好ましくは0.25以下であ
る。置換割合が多きすぎると電池材料として使用した場
合の容量が低下する傾向にある。本発明の層状リチウム
ニッケルマンガン複合酸化物は、通常下記一般式(I)
で示される。
X≦1.2、好ましくは0<X≦1.1の範囲の数を表
わす。Xが大きすぎると、結晶構造が不安定化したり、
これを使用したリチウム二次電池の電池容量低下を招く
恐れがある。Y及びZは、Y+Z≦1を満たす数であ
り、また0.7≦Y/Z≦9範囲の数を表す。相対的に
マンガンの割合が大きくなると単一相のリチウムニッケ
ルマンガン複合酸化物が合成しにくくなる。Y/Zの値
として好ましい範囲はいくつか挙げられるが、例えば1
つには、ニッケル比率を少なくしてコスト上有利であり
かつ容易に合成でき、マンガンが多い分、放電電圧が高
い故に放電特性として有利である点で、下限としては、
0.8以上、中でも0.9以上、上限としては、1.2
以下、中でも1.1以下である。もう1つには、ニッケ
ル比率を多くして電池容量を大きくし、嵩密度が高い故
に単位体積当たりの電池容量が更に大きくなる点で、下
限としては、1.3以上、中でも1.5以上、上限とし
ては、7以下、中でも5以下である。
くは0.35以下、さらに好ましくは0.25以下とす
る。置換元素の量が多すぎると、リチウムニッケルマン
ガン複合酸化物を正極活物質として使用したリチウム二
次電池の電池容量が大きく低下することがある。QはA
l、Co及びFeからなる群から選ばれる少なくとも一
種を表す。これらのうちより好ましいのは、Al、Co
であり、最も好ましいのはCoである。Al、Coは、
LiNi1-xMnxO2(0.7≦Ni/Mn≦9)に対
して容易に固溶し、単一相のリチウム遷移金属複合酸化
物として合成することができる。更に、Al、Coに関
しては、得られるリチウム遷移金属複合酸化物を正極活
物質として用いたリチウム二次電池が高性能な電池特
性、特に繰り返し充放電を行った際の放電容量維持率に
ついて良好な性能を示す。さらに良好な結晶性を有する
層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物とするため
に、層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物に対して
固溶せずに、焼成時に溶融し、液相を生じる物質(以
下、「不活性溶融剤」という)を添加しても良い。これ
らの不活性溶融剤は常温まで冷却した後は、層状リチウ
ムニッケルマンガン複合酸化物の結晶構造内に取り込ま
れず、主に表面を被覆、あるいは表面に析出した状態で
存在する。上記のような不活性溶融剤としては、ホウ素
化合物、アンチモン化合物、あるいはカリウム、バリウ
ム、リチウムのハロゲン化物、硫酸塩、モリブデン酸塩
等が挙げられる。これらのうちより好ましいのは、ホウ
素化合物、アンチモン化合物である。不活性溶融剤の添
加量は、Ni、Mn及び置換元素Qの合計のモル数を1
とした場合、モル比で通常0.05以下、好ましくは
0.04以下、より好ましくは0.03以下である。不
活性溶融剤の添加量が多すぎると充分な放電容量を得ら
れない場合がある。
は、酸素量に多少の不定比性があってもよい。層状リチ
ウムニッケルマンガン複合酸化物においては、マグネシ
ウム(Mg)及びカルシウム(Ca)の含有量を共に3
00ppm以下とする。Mgの含有量及びCaの含有量
は、それぞれ独立に、好ましくは200ppm以下、さ
らに好ましくは150ppm以下とする。その結果、レ
ート特性を向上させることができる。Mg、Caの含有
量を低減するとレート特性が改善される理由は明らかで
はないが、これらの不純物は結晶構造、あるいは1次粒
子間の粒界におけるリチウムイオンの移動を阻害するも
のであると考えられる。ただし、Mg及びCaの含有量
を必要以上に減らしても、レート特性があまり向上せ
ず、また工業的な負荷が大きくなるので、通常それぞれ
1ppm以上、好ましくは5ppm以上とする。
MgやCaの含有量を制御するには、製造したリチウム
ニッケルマンガン複合酸化物に、アンモニウム塩の水溶
液による処理を施してMgやCaの含有量を減少させる
こともできるが、上記処理の結果、リチウムニッケルマ
ンガン複合酸化物の性状に変化を及ぼすことがある。従
って、好ましくは、リチウムニッケルマンガン複合酸化
物の生成段階においてすでにMgやCaの含有量が上記
範囲となるように、製造のための原料の選定や製造条
件、製造環境を制御する。具体的には、後述する反応原
料中のMg量及びCa量をできるだけ減らしておく、あ
るいは、反応の際に必要な装置又は系外からのMg成分
及びCa成分の混入をできるだけ避けるようにするのが
好ましい。特に、原料として使用するニッケル化合物、
マンガン化合物、置換元素化合物中、特にニッケル化合
物中には、それらの製造過程において用いられる天然鉱
物や水、酸性溶液、アルカリ性溶液に由来して、通常多
少なりともMgやCaが含有されるので、原料の選定や
その精製程度は、リチウムニッケルマンガン複合酸化物
中のMg及びCa含有量を所定範囲に制御する上で重要
である。リチウムニッケルマンガン複合酸化物中のマグ
ネシウム含有量やカルシウム含有量は、IPC発光分析
等の方法で測定することができる。
は、平均1次粒径としては、通常0.01μm以上、好
ましくは0.02μm以上、更に好ましくは0.1μm
以上、通常30μm以下、好ましくは5μm以下、更に
好ましくは2μm以下である。また、平均2次粒径は通
常1μm以上、好ましくは4μm以上、通常50μm以
下、好ましくは40μm以下である。さらに、該リチウ
ムニッケルマンガン複合酸化物は、BET比表面積が、
通常0.1m2/g以上10.0m2/g以下、好ましく
は0.2m2/g以上9.0m2/g以下である。1次粒
子の大きさは、焼成温度、焼成時間等の製造条件等によ
り制御することが可能であり、これらの1つ以上を増加
させることにより、1次粒子の粒子径を大きくすること
ができる。2次粒子の粒子径は、例えば、後述する噴霧
乾燥工程における気液比等の噴霧条件等の製造条件によ
り制御することが可能である。比表面積は1次粒子の粒
径および2次粒子の粒径により制御することが可能であ
り、1次粒子の粒径及び/又は2次粒子の粒径を大きく
することにより減少する。上記範囲以下のあまり小さい
比表面積では、1次粒子が大きすぎて電池特性が不良で
ある一方、上記範囲以上のあまり大きい比表面積では、
これを用いて二次電池を作製する場合の電極作製が困難
になる。又、粉体充填密度は、タップ密度(200回タ
ップ後)で、通常は0.5g/cc以上、好ましくは
0.6g/cc以上、さらに好ましくは0.8g/cc
以上である。粉体充填密度は高ければ高いほど単位容積
あたりのエネルギー密度を大きくすることができるが、
現実的には通常3.0g/cc以下であり、特に2.5
g/cc以下である。
ッケルマンガン複合酸化物の比表面積は、公知のBET
式粉体比表面積測定装置によって測定される。この方法
の測定原理は下記の通りである。すなわち、測定方式は
連続流動法によるBET1点法測定であり、使用する吸
着ガス及びキャリアガスはそれぞれ、窒素、ヘリウムで
ある。粉体試料を混合ガスにより450℃以下の温度で
加熱脱気し、次いで液体窒素温度まで冷却して混合ガス
を吸着させる。これを水により室温まで加温して吸着さ
れた窒素ガスを脱着させ、熱伝導度検出器によって検出
し、脱着ピークとしてその量を求め、試料の比表面積と
して算出する。
化物は、例えば、リチウムとニッケルとマンガンと必要
に応じて用いられる他金属元素、及び必要に応じて不活
性溶融剤とを含む原料を焼成することによって製造する
ことができる。原料として使用するリチウム源として
は、例えば、Li2CO3、LiNO3、LiOH、Li
OH・H2O、ジカルボン酸リチウム、クエン酸リチウ
ム、脂肪酸リチウム、アルキルリチウム、リチウムハロ
ゲン化物等の各種のリチウム化合物を挙げることができ
る。より具体的には、例えば、Li2CO3、LiN
O3、LiOH、LiOH・H2O、LiCl、LiI、
酢酸Li、Li2O等を挙げることができる。これらリ
チウム原料の中で好ましいのは、Li2CO3、LiNO
3、LiOH・H2O、酢酸Li等の水溶性のリチウム化
合物である。これらの水溶性化合物は、例えば、分散媒
として水を使用したスラリー中に溶解させることによっ
て容易に良好な特性を有するリチウムニッケルマンガン
複合酸化物を得ることができる。また、焼成処理の際に
NOx及びSOx等の有害物質を発生させない点で、窒
素原子や硫黄原子を含有しないリチウム化合物が好まし
い。最も好ましいリチウム原料は、水溶性でもあり、ま
た窒素原子や硫黄原子を含有しない、LiOH・H2O
である。無論、リチウム源として複数種のものを使用し
てもよい。
H)2、NiO、NiOOH、NiCO3・2Ni(O
H)2・4H2O、NiC2O4・2H2O、Ni(NO3)
2・6H 2O、NiSO4、NiSO4・6H2O、脂肪酸
ニッケル、及びニッケルハロゲン化物からなる群から選
ばれた少なくとも一種を挙げることができる。この中で
も、焼成処理の際にNOx及びSOx等の有害物質を発
生させない点で、窒素原子や硫黄原子を含有しない、N
i(OH)2、NiO、NiOOH、NiCO3・2Ni
(OH)2・4H2O、NiC2O4・2H2Oのようなニ
ッケル化合物が好ましい。また、さらに工業原料として
安価に入手できる観点、及び反応性が高いという観点か
ら、特に好ましいのはNi(OH)2、NiO、NiO
OHである。無論、ニッケル源として複数種のものを使
用してもよい。
Mn2O3、MnO2、MnCO3、Mn(NO3)2、Mn
SO4、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂
肪酸マンガン、マンガンオキシ水酸化物、マンガン水酸
化物、又はマンガンハロゲン化物を挙げることができ
る。これらマンガン原料の中でも、Mn2O3、Mn3O4
は、最終目的物である複合酸化物のマンガン酸化数に近
い価数を有しているため好ましい。さらに工業原料とし
て安価に入手できる観点、及び反応性が高いという観点
から、特に好ましいのはMn2O3である。マンガン源
は、マンガン化合物がスラリー中で電離して生成したマ
ンガンイオンでもよい。無論、マンガン源として複数種
のものを使用してもよい。
シ水酸化物、酸化物、水酸化物、ハロゲン物の他、炭酸
塩、硝酸塩、硫酸塩等の無機酸塩や、酢酸塩、シュウ酸
塩等の有機酸塩を挙げることができる。具体的なアルミ
ニウム源としては、例えば、AlOOH、Al2O3、A
l(OH)3、AlCl3、Al(NO3)3・9H2O及
びAl2(SO4)3等の各種のアルミニウム化合物を挙
げることができる。中でも、焼成工程の際にNOx及び
SOx等の有害物質を発生させない点で、AlOOH、
Al2O3及びAl(OH) 3が好ましく、さらに好まし
くは、工業的に安価に入手できる点及び反応性が高い点
でAlOOHである。無論複数のアルミニウム化合物を
使用することもできる。
o(OH)2、CoO、Co2O3、Co3O4、Co(O
Ac)2・4H2O、CoCl2、Co(NO3)2・6H2
O、及びCo(SO4)2・7H2O等の各種のコバルト
化合物を挙げることができる。中でも、焼成工程の際に
NOx及びSOx等の有害物質を発生させない点で、C
o(OH)2、CoO、Co2O3、Co3O4が好まし
く、さらに好ましくは、工業的に安価に入手できる点及
び反応性が高い点でCo(OH)2である。無論複数の
コバルト化合物を使用することもできる。
(OH)、Fe2O3、Fe3O4、FeCl2、FeC
l3、FeC2O4・2H2O、Fe(NO3)3・9H
2O、FeSO 4・7H2O及びFe2(SO4)3・nH2
O等の各種の鉄化合物を挙げることができる。中でも、
焼成工程の際にNOx及びSOx等の有害物質を発生さ
せない点で、FeO(OH)、Fe2O3、Fe3O4が好
ましく、さらに好ましくは、工業的に安価に入手できる
点及び反応性が高い点でFeO(OH)、Fe2O3であ
る。無論複数の鉄化合物を使用することもできる。必要
に応じて添加される不活性溶融剤の中で、ホウ素化合物
としては、具体的には、Li2B4O7、Li2B2O4、L
i6B4O7等のホウ酸リチウム、Na2B6O10、Na2B
4O7等のホウ酸ナトリウム、K2B10O16、K2B4O7等
のホウ酸カリウム、B2O3、H3BO3等から選ばれる1
種または2種以上の混合物及びこれらの分解生成物を挙
げることができる。同様に不活性溶融剤として添加され
るものの中で、アンチモン化合物しては、具体的には、
Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5等の酸化アンチモン、L
iSbO3等のアンチモン酸リチウム等から選ばれる1
種または2種以上の混合物を挙げることができる。
しい。Mg、Caについては、目的とするモル比にて原
料を混合した際に、トータルで300ppm以下となる
ように原料を選定する必要がある。リチウム、ニッケ
ル、マンガン及び必要に応じて用いられるアルミニウム
等の置換元素、の仕込時のモル比は、目的とする層状リ
チウムニッケルマンガン複合酸化物の組成が得られるよ
うに適宜選択すればよい。また、必要に応じて用いられ
る不活性溶融剤の添加量に関しては、上記リチウム、ニ
ッケル、マンガン及び置換元素の仕込量に応じて適宜選
択すれば良い。
源、置換元素源及び不活性溶融剤は、乾式で混合して焼
成の原料として用いてもよく、また、湿式(即ちスラリ
ー中)で混合後これを乾燥して焼成の原料としてもよ
い。湿式で混合する場合は、(1)ニッケル源とマンガ
ン源と置換元素源とリチウム源と分散媒とを含有するス
ラリーを湿式混合、噴霧乾燥した後に焼成する、又は
(2)ニッケル源とマンガン源と置換元素源と分散媒と
を含有するスラリーを湿式混合、噴霧乾燥した後、これ
とリチウム源とを混合した後に焼成する、のいずれの方
法を用いても良い。各原料は焼成前に十分に混合してお
くのが好ましいため、より良好な混合が可能な、少なく
ともニッケル源とマンガン源と置換元素源とを湿式混合
する方法が好ましい。不活性溶融剤は焼成前のいずれの
段階で添加しても良い。以下、スラリー中での湿式混合
及び乾燥方法について記す。スラリーに用いられる分散
媒としては、各種の有機溶媒、水性溶媒を使用すること
ができるが、好ましいのは水である。
源、ニッケル源、マンガン源及び置換元素源の総重量
比、又はリチウム源を除くニッケル源、マンガン源及び
置換元素源の総重量比は、通常10重量%以上、好まし
くは12.5重量%以上、通常50重量%以下、好まし
くは35重量%以下である。重量比が上記範囲以下の場
合は、スラリー濃度が極端に希薄なため噴霧乾燥により
生成した球状粒子が必要以上に小さくなったり破損しや
すくなったりする一方で、上記範囲以上となると、リチ
ウム源の飽和溶解度を超えることによりリチウム源が溶
解しきれない等スラリーの均一性が保ちにくくなる。
μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは
0.5μm以下とする。スラリー中の固形物の平均粒子
径が大きすぎると、焼成工程における反応性が低下する
だけでなく、球状度が低下し、最終的な粉体充填密度が
低くなる傾向にある。この傾向は、平均粒子径で50μ
m以下の造粒粒子を製造しようとした場合に特に顕著に
なる。また、必要以上に小粒子化することは、粉砕のコ
ストアップに繋がるので、固形物の平均粒子径は通常
0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、さら
に好ましくは0.1μm以上とする。
る方法としては、原料化合物を予めボールミル、ジェッ
トミル等により乾式粉砕し、これを分散媒に攪拌等によ
って分散させる方法、原料化合物を分散媒に攪拌等によ
って分散後、媒体攪拌型粉砕機等を使用して湿式粉砕す
る方法等を挙げることができる。原料化合物を分散媒に
分散後、媒体攪拌型粉砕機等を使用して湿式粉砕する方
法を用いることが好ましい。湿式粉砕することによっ
て、本発明の効果が顕著に発揮される。
・s以上、好ましくは100mPa・s以上、特に好ま
しくは200mPa・s以上、通常3000mPa・s
以下、好ましくは2000mPa・s以下、特に好まし
くは1600mPa・s以下である。粘度が上記範囲以
下の場合は、焼成前の乾燥に大きな負荷がかかったり、
乾燥により生成した球状粒子が必要以上に小さくなった
り破損しやすくなったりする一方で、上記範囲以上とな
ると、乾燥時のスラリー輸送に用いるチューブポンプで
の吸引ができなくなる等取り扱いが困難になる。スラリ
ーの粘度測定は、公知のBM型粘度計を用いて行うこと
ができる。BM型粘度計は、室温大気中において所定の
金属製ローターを回転させる方式を採用する測定方法で
ある。スラリーの粘度は、ローターをスラリー中に浸し
た状態でローターを回転させ、その回転軸にかかる抵抗
力(捻れの力)から算出される。但し、室温大気中とは
気温10℃〜35℃、相対湿度20%RH〜80%RH
の通常考えられる実験室レベルの環境を示す。
常乾燥された後焼成処理に供される。乾燥方法としては
噴霧乾燥が好ましい。噴霧乾燥を行うことによって、簡
易な方法で球状のリチウムニッケルマンガン複合酸化物
を得ることができ、その結果、充填密度を向上させるこ
とができる。噴霧乾燥の方法は特に制限されないが、例
えば、ノズルの先端に気体流とスラリーとを流入させる
ことによってノズルからスラリー成分の液滴(本明細書
においては、これを単に「液滴」という場合がある。)
を吐出させ、適当な乾燥ガス温度や送風量を用いて飛散
した該液滴を迅速に乾燥させる方法を用いることができ
る。気体流として供給する気体としては、空気、窒素等
を用いることができるが、通常は空気が用いられる。こ
れらは加圧して使用することが好ましい。気体流は、ガ
ス線速として、通常100m/s以上、好ましくは20
0m/s以上、さらに好ましくは300m/s以上で噴
射される。あまり小さすぎると適切な液滴が形成しにく
くなる。ただし、あまりに大きな線速は得にくいので、
通常噴射速度は1000m/s以下である。使用される
ノズルの形状は、微少な液滴を吐出することができるも
のであればよく、従来から公知のもの、例えば、特許第
2797080号公報に記載されているような液滴を微
細化できるようなノズルを使用することもできる。な
お、液滴は環状に噴霧されることが、生産性向上の点で
好ましい。飛散した液滴は、これを乾燥する。前述の通
り、飛散した該液滴を迅速に乾燥させるように、適当な
温度や送風等の処理が施されるが、乾燥塔上部から下部
に向かいダウンフローで乾燥ガスを導入するのが好まし
い。この様な構造とすることにより、乾燥塔単位容積当
たりの処理量を大幅に向上させることができる。また、
液滴を略水平方向に噴霧する場合、水平方向に噴霧され
た液滴をダウンフローガスで抑え込むことにより、乾燥
塔の直径を大きく低減させることが可能となり、安価且
つ大量に製造することが可能となる。乾燥ガス温度は、
通常50℃以上、好ましくは70℃以上とし、通常12
0℃以下、好ましくは100℃以下とする。温度が高す
ぎると、得られた造粒粒子が中空構造の多いものとな
り、粉体の充填密度が低下する傾向にあり、一方、低す
ぎると粉体出口部分での水分結露による粉体固着・閉塞
等の問題が生じる可能性がある。
料となる造粒粒子が得られる。造粒粒子径としては、平
均粒子径で好ましくは50μm以下、さらに好ましくは
30μm以下となるようにする。ただし、あまりに小さ
な粒径は得にくい傾向にあるので、通常は4μm以上、
好ましくは5μm以上である。造粒粒子の粒子径は、噴
霧形式、加圧気体流供給速度、スラリー供給速度、乾燥
温度等を適宜選定することによって制御することができ
る。
原料は、焼成処理される。又は、リチウム源を含有しな
いスラリーを乾燥して得られた、ニッケル、マンガン等
を含む原料は、リチウム源と混合された後焼成処理され
る。焼成処理された後にリチウム源と混合して更に焼成
処理に供しても良い。混合方法としては、手振り混合、
ボールミル等を用いた機械式混合等が挙げられる。焼成
温度としては、原料として使用されるリチウム源、マン
ガン源、及びニッケル源等の種類によって異なるもの
の、通常700℃以上、好ましくは750℃以上、さら
に好ましくは800℃以上であり、また通常1050℃
以下、好ましくは950℃以下である。温度が低すぎる
と、結晶性の良い層状リチウムニッケルマンガン複合酸
化物を得るために長時間の焼成時間を要する傾向にあ
る。また、温度が高すぎると、目的とする層状リチウム
ニッケルマンガン複合酸化物以外の結晶相が生成した
り、欠陥が多い層状リチウムニッケルマンガン複合酸化
物が生成したりして、該リチウム遷移金属複合酸化物を
正極活物質として使用したリチウム二次電池の電池容量
が低下あるいは充放電による結晶構造の崩壊による劣化
を招くことがある。
前述の温度範囲であれば30分以上、50時間以下であ
る。焼成時間が短すぎると結晶性の良い層状リチウムニ
ッケルマンガン複合酸化物が得られにくくなり、また長
すぎるのはあまり実用的ではない。結晶欠陥が少ない層
状リチウムニッケルマンガン複合酸化物を得るために
は、焼成反応後、ゆっくりと冷却することが好ましく、
例えば5℃/min.以下の冷却速度で徐冷することが
好ましい。
や構造に応じて、空気等の酸素含有ガス雰囲気や、窒素
やアルゴン等の不活性ガス雰囲気とすることができる
が、層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物の場合、
通常ニッケルは原料の2価から目的生成物の3価へ酸化
される必要があることから、好ましくは空気又は酸素で
ある。
雰囲気を達成できるものであれば特に制限はなく、例え
ば箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を
使用することができる。なお、上記の製造過程におい
て、装置、容器あるいは外部からMg、Caが混入し、
300ppm以上とならないようにする必要がある。な
お、本発明においては、スラリー中の固形分の平均粒子
径、噴霧乾燥後の造粒粒子の平均粒子径、及び層状リチ
ウムニッケルマンガン複合酸化物の平均粒子径は、公知
のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定
される。この方法の測定原理は下記の通りである。すな
わち、スラリー又は粉体を分散媒に分散させ、該試料溶
液にレーザー光を照射し、粒子に入射されて散乱(回
折)した散乱光をディテクタで検出する。検出された散
乱光の散乱角θ(入射方向と散乱方向の角度)は、大き
い粒子の場合は前方散乱(0<θ<90°)となり、小
さい粒子の場合は側方散乱又は後方散乱(90°<θ<
180°)となる。測定された角度分布値から、入射光
波長及び粒子の屈折率等の情報を用いて粒子径分布を算
出する。更に得られた粒子径分布から平均粒子径を算出
する。測定の際に用いる分散媒としては、例えば0.1
重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を挙げること
ができる。
化物を正極活物質(正極材料)として、リチウム二次電
池を作製することができる。リチウム二次電池は、通常
正極、負極及び電解質層を有する。本発明の二次電池の
一例としては、正極、負極、電解液、セパレーターから
なる二次電池が挙げられ、この場合正極と負極との間に
は電解質が存在し、かつセパレーターが正極と負極が接
触しないようにそれらの間に配置される。
ン複合酸化物とバインダーとを含有する。また、通常、
正極は、前記リチウムニッケルマンガン複合酸化物とバ
インダーとを含有する正極層を集電体上に形成してな
る。このような正極層は、リチウムニッケルマンガン複
合酸化物、バインダー及び必要に応じて導電剤等を溶媒
でスラリー化したものを正極集電体に塗布し、乾燥する
ことにより製造することができる。
に、リチウム遷移金属複合酸化物以外のリチウムイオン
を吸蔵・放出しうる活物質をさらに含有していてもよ
い。正極層中の活物質の割合は、通常10重量%以上、
好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量
%以上であり、通常99.9重量%以下、好ましくは9
9重量%以下である。多すぎると電極の機械的強度が劣
る傾向にあり、少なすぎると容量等電池性能が劣る傾向
にある。
は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオ
ロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、EPDM
(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、SB
R(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニ
トリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロ
セルロース等が挙げられる。正極層中のバインダーの割
合は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以
上、さらに好ましくは5重量%以上であり、通常80重
量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましく
は40重量%以下、最も好ましくは10重量%以下であ
る。バインダーの割合が低すぎると、活物質を十分に保
持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等
の電池性能を悪化させることがあり、一方高すぎると電
池容量や導電性を下げることがある。
を含有する。導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の
黒鉛や、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニ
ードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料を挙げるこ
とができる。正極中の導電剤の割合は、通常0.01重
量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好まし
くは1重量%以上であり、通常50重量%以下、好まし
くは30重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下
である。導電剤の割合が低すぎると導電性が不十分にな
ることがあり、逆に高すぎると電池容量が低下すること
がある。
を溶解あるいは分散するものであれば特に制限はない
が、通常は有機溶剤が使用される。例えば、N−メチル
ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メ
チル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N
−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、
テトラヒドロフラン等を挙げることができる。また、水
に分散剤、増粘剤等を加えてSBR等のラテックスで活
物質をスラリー化することもできる。
好ましくは10〜200μm程度である。厚すぎると導
電性が低下する傾向にあり、薄すぎると容量が低下する
傾向にある。正極に使用する集電体の材質としては、ア
ルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が用い
られ、好ましくはアルミニウムである。集電体の厚さ
は、通常1〜1000μm、好ましくは5〜500μm
程度である。厚すぎるとリチウム二次電池全体としての
容量が低下し、薄すぎると機械的強度が不足することが
ある。
は、活物質の充填密度を上げるためローラープレス等に
より圧密されるのが好ましい。二次電池の負極に使用さ
れる負極の活物質としては、リチウムやリチウムアルミ
ニウム合金等のリチウム合金であっても良いが、より安
全性が高く、リチウムを吸蔵、放出できる炭素材料が好
ましい。
及び、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチ
の炭化物、石油系ピッチの炭化物、あるいはこれらピッ
チを酸化処理したものの炭化物、ニードルコークス、ピ
ッチコークス、フェノール樹脂、結晶セルロース等の炭
化物等及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ファーネス
ブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等が
挙げられる。
2、Sn1-xMxO(M=Hg、P、B、Si、Geまた
はSb、ただし0≦x<1)、Sn3O2(OH)2 、S
n3- xMxO2(OH)2(M=Mg、P、B、Si、G
e、Sb又はMn、ただし0≦x<3)、LiSi
O2、SiO2又はLiSnO2等を挙げることができ
る。なお、これらの中から選ばれる2種以上の混合物を
負極活物質として用いてもよい。
集電体上に形成されてなる。この際使用するバインダー
や、必要に応じて使用される導電剤等やスラリー溶媒と
しては、正極で使用するものと同様のものを使用するこ
とができる。また、負極の集電体としては、銅、ニッケ
ル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用され、好
ましくは銅が用いられる。
る場合は、微多孔性の高分子フィルムが用いられ、ポリ
テトラフルオロエチレン、ポリエステル、ナイロン、セ
ルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホ
ン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポ
リプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレ
フィン高分子を用いることができる。また、ガラス繊維
等の不織布フィルターや、ガラス繊維と高分子繊維との
不織布フィルターを用いることもできる。セパレータの
化学的及び電気化学的安定性は重要な因子である。この
点からポリオレフィン系高分子が好ましく、電池セパレ
ータの目的の一つである自己閉塞温度の点からポリエチ
レン製であることが望ましい。
状維持性の点から超高分子量ポリエチレンであることが
好ましく、その分子量の下限は好ましくは50万、さら
に好ましくは100万、最も好ましくは150万であ
る。他方分子量の上限は、好ましくは500万、更に好
ましくは400万、最も好ましくは300万である。分
子量が大きすぎると、流動性が低すぎて加熱された時セ
パレーターの孔が閉塞しない場合があるからである。
電解質層を構成する電解質には、例えば公知の有機電解
液、高分子固体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質
等を用いることができるが、中でも有機電解液が好まし
い。有機電解液は、有機溶媒と溶質から構成される。有
機溶媒としては特に限定されるものではないが、例えば
カーボネート類、エーテル類、ケトン類、スルホラン系
化合物、ラクトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素類、
エーテル類、アミン類、エステル類、アミド類、リン酸
エステル化合物等を使用することができる。これらの代
表的なものを列挙すると、ジメチルカーボネート、ジエ
チルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピ
レンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカ
ーボネート、ビニレンカーボネート、テトラヒドロフラ
ン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジメトキシ
エタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクト
ン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオ
キソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスル
ホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニ
トリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、1,2−ジ
クロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等の単独
もしくは二種類以上の混合溶媒が使用できる。
ために高誘電率溶媒が含まれることが好ましい。ここ
で、高誘電率溶媒とは、25℃における比誘電率が20
以上の化合物を意味する。高誘電率溶媒の中で、エチレ
ンカーボネート、プロピレンカーボネート及びそれらの
水素原子をハロゲン等の他の元素又はアルキル基等で置
換した化合物が電解液中に含まれることが好ましい。高
誘電率化合物の電解液に占める割合は、好ましくは20
重量%以上、更に好ましくは30重量%以上、最も好ま
しくは40重量%以上である。該化合物の含有量が少な
いと、所望の電池特性が得られない場合があるからであ
る。
限定されるものではないが、従来公知のいずれもが使用
でき、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiB
F4、LiB(C6H5)4 、LiCl、LiBr、CH3
SO3Li、CF3SO3Li、LiN(SO2CF3)2、
LiN(SO2C2F5)2、LiC(SO2CF3)3、L
iN(SO3CF3)2等のリチウム塩が挙げられ、これ
らのうち少なくとも1種以上のものを用いることができ
る。また、CO2 、 N2O、CO、SO2 等のガスやポ
リサルファイドSx 2-など負極表面にリチウムイオンの
効率よい充放電を可能にする良好な皮膜を生成する添加
剤を任意の割合で上記単独又は混合溶媒に添加してもよ
い。
分子としては、公知のものを用いることができる。特に
リチウムイオンに対するイオン導電性の高い高分子を使
用することが好ましく、例えば、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン等
が好ましく使用される。またこの高分子に対して上記の
溶質と共に、上記の溶媒を加えてゲル状電解質として使
用することも可能である。
無機物に公知の結晶質、非晶質固体電解質を用いること
ができる。結晶質の固体電解質としては例えば、Li
I、Li3N、Li1+xMxTi2-x(PO4)3(M=A
l,Sc,Y,La)、Li0.5- 3xRE0.5+xTiO
3(RE=La,Pr,Nd,Sm)等が挙げられ、非
晶質の固体電解質としては例えば、4.9LiI−3
4.1Li2O−61B2O5,33.3Li2O−66.
7SiO2等の酸化物ガラスや0.45LiI−0.3
7Li2S−0.26B2S3,0.30LiI−0.4
2Li2S−0.28SiS 2等の硫化物ガラス等が挙げ
られる。これらのうち少なくとも1種以上のものを用い
ることができる。
が、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例
に制約されるものではない <実施例1>LiOH・H2O(本荘ケミカル製)、N
i(OH)2(和光純薬製)、Mn2O3(電解二酸化マ
ンガンを焼成して自製)をそれぞれ最終的な層状リチウ
ムニッケルマンガン複合酸化物中の組成で、Li:N
i:Mn=1.05:0.50:0.50(モル比)と
なるように秤量し、これに純水を加えて固形分濃度1
2.5重量%のスラリーを調整した。このスラリーを攪
拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式粉砕機(シンマルエ
ンタープライゼス社製:ダイノーミルKDL−A型)を
用いて、スラリー中の固形分の平均粒子径が0.30μ
mになるまで粉砕した。300mlポットを用い、粉砕
時間は6時間であった。このスラリーの粘度をBM型粘
度計(トキメック社製)により測定した。測定は室温大
気中で行い、特定の金属製ローターを装置本体の回転軸
に固定し、該ローターをスラリー液面下に浸し、回転軸
を回転させてローターにかかる抵抗力(捻れの力)によ
り粘度を算出した。その結果、初期粘度は1510mP
a・sであった。
ードライヤー(大川原化工機社製:L−8型スプレード
ライヤー)を用いて噴霧乾燥を行った。この時の乾燥ガ
スとして空気を用い、乾燥ガス導入量は45m3/mi
n、乾燥ガス入り口温度は90℃とした。そして、噴霧
乾燥により得られた造粒粒子を900℃で10時間空気
中で焼成することにより、ほぼ仕込みのモル比組成のリ
チウムニッケルマンガン複合酸化物(Li1.05Ni0.50
Mn0.50O2)を得た。得られたリチウムニッケルマン
ガン複合酸化物を塩酸に加熱溶解し、IPC発光分析に
て分析した結果、それぞれ30ppm、110ppmで
あった。
化物は、平均二次粒子径4.93μm、最大粒径15μ
mのほぼ球状の形状を有する粒子であった。なお、スラ
リー中の固形分の平均粒子径、及び得られたリチウムニ
ッケルマンガン複合酸化物の平均粒子径・最大粒径は、
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所
製:LA−920型粒度分布測定装置)を用いて求め
た。具体的には、室温大気中で、スラリー又は焼成物粉
末を0.1%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に超音
波分散及び攪拌により分散させ、透過率を70%〜95
%の間に調節し、測定される粒度分布より平均粒径及び
最大粒径を求めた。
化物の粉末X線回折を測定したところ、菱面体晶の層状
リチウムニッケルマンガン複合酸化物の構造を有してい
ることが確認された。この粉末5gを10mlのガラス
製メスシリンダーに入れ、200回タップした後の粉体
充填密度(タップ密度)を測定した結果、0.9g/c
cであった。
果、5.0m2/gであった。比表面積の測定は、BE
T式粉体比表面積測定装置(大倉理研製:AMS800
0型全自動粉体比表面積測定装置)を用いて求めた。続
いて、以下の方法で電池評価を行った。得られたリチウ
ムニッケルマンガン複合酸化物を75重量%、アセチレ
ンブラック20重量%、ポリテトラフルオロエチレンパ
ウダー5重量%の割合で秤量したものを乳鉢で十分混合
し、薄くシート状にしたものを9mmφのポンチを用い
て打ち抜いた。この際、全体重量は約8mgになるよう
に調整した。これをAlのエキスパンドメタルに圧着し
て正極とした。
を対極としてコインセルを組んだ。これに、0.5mA
/cm2の定電流充電、即ち正極からリチウムイオンを
放出させる反応を上限4.3Vで行い、0.5mA/c
m2及び11mA/cm2の定電流放電、即ち正極にリチ
ウムイオンを吸蔵させる反応を下限3.0Vで行った際
の正極活物質単位重量当たりの放電容量をそれぞれQL
(mAh/g)、QH(mAh/g)として測定した。
ガン複合酸化物のMg、Caの分析値と、これらを用い
た電池の電流密度0.5mA/cm2の放電容量QL(m
Ah/g)と11mA/cm2の放電容量QH(mAh/
g)を示す。 <実施例2>LiOH・H2O(本荘ケミカル製)、N
i(OH)2(和光純薬製)、Mn2O3(電解二酸化マ
ンガンを焼成し自製)、Co(OH)2(伊勢化学製)
をそれぞれ最終的な層状リチウムニッケルマンガン複合
酸化物中の組成で、Li:Ni:Mn:Al=1.0
5:0.45:0.45:0.10(モル比)となるよ
うに秤量した以外は、実施例1と同様にしてリチウム遷
移金属複合酸化物を得た。
末X線回折を測定したところ、菱面体晶の層状リチウム
遷移金属複合酸化物の構造を有していることが確認され
た。Mg、Caを分析した結果、それぞれ40ppm、
140ppmであった。以下、実施例1と同様にして、
電池評価を行なった。結果を表−1に示す。 <実施例3>LiOH・H2O(本荘ケミカル製)、N
i(OH)2(和光純薬製)、Mn2O3(電解二酸化マ
ンガンを焼成し自製)、Co(OH)2(伊勢化学製)
をそれぞれ最終的な層状リチウムニッケルマンガン複合
酸化物中の組成で、Li:Ni:Mn:Al=1.0
5:0.33:0.33:0.33(モル比)となるよ
うに秤量した以外は、実施例1と同様にしてリチウム遷
移金属複合酸化物を得た。
末X線回折を測定したところ、菱面体晶の層状リチウム
遷移金属複合酸化物の構造を有していることが確認され
た。Mg、Caを分析した結果、それぞれ40ppm、
90ppmであった。以下、実施例1と同様にして、電
池評価を行なった。結果を表−1に示す。 <実施例4>LiOH・H2O(本荘ケミカル製)、N
i(OH)2(和光純薬製)、Mn2O3(電解二酸化マ
ンガンを焼成し自製)、AlOOH(コンデア社製)を
それぞれ最終的な層状リチウムニッケルマンガン複合酸
化物中の組成で、Li:Ni:Mn:Al=1.05:
0.45:0.45:0.10(モル比)となるように
秤量した以外は、実施例1と同様にしてリチウム遷移金
属複合酸化物を得た。
末X線回折を測定したところ、菱面体晶の層状リチウム
遷移金属複合酸化物の構造を有していることが確認され
た。Mg、Caを分析した結果、それぞれ30ppm、
90ppmであった。以下、実施例1と同様にして、電
池評価を行なった。結果を表−1に示す。 <実施例5>LiOH・H2O(本荘ケミカル製)、N
iO2(正同化学製)、Mn2O3(電解二酸化マンガン
を焼成し自製)、Co(OH)2(伊勢化学製)をそれ
ぞれ最終的な層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物
中の組成で、Li:Ni:Mn:Co=1.05:0.
65:0.15:0.20(モル比)となるように秤量
し、これに純水を加えて固形分濃度25重量%のスラリ
ーを調整し、実施例1と同様に粉砕した。このスラリー
にH3BO3をモル比でB/(Ni+Mn+Co)=0.
01となるように添加、溶解した。得られたスラリーを
実施例1と同様に噴霧乾燥後、830℃で焼成し、リチ
ウム遷移金属複合酸化物を得た。得られたリチウム遷移
金属複合酸化物の粉末X線回折を測定したところ、菱面
体晶の層状リチウム遷移金属複合酸化物の構造を有して
いることが確認された。Mg、Caを分析した結果、そ
れぞれ10ppm、20ppmであった。以下、充電の
上限電圧を4.2Vとした以外は実施例1と同様にし
て、電池評価を行なった。結果を表−1に示す。 <比較例1>Ni(OH)2を日本化学産業製に変えた
以外は実施例1と同様にして、リチウムニッケルマンガ
ン複合酸化物を得た。
化物の粉末X線回折を測定したところ、菱面体晶の層状
リチウムニッケルマンガン複合酸化物の構造を有してい
ることが確認された。Mg、Caを分析した結果、それ
ぞれ330ppm、420ppmであった。以下、実施
例1と同様にして、電池評価を行なった。結果を表−1
に示す。
にMg、Caの含有量が共に300ppm以下である層
状リチウム遷移金属複合酸化物は、比較例1のようなM
g、Caの含有量が300ppmを超える場合に比べ、
良好なレート特性を示すことが分かる。
イクル特性等の電池性能に優れ、安全性が高く、安価な
リチウム二次電池に使用するリチウムニッケルマンガン
複合酸化物を得ることができる。特に、本発明によれ
ば、従来の方法に比べてレート特性に優れたリチウム二
次電池とすることができるリチウムニッケルマンガン複
合酸化物を提供することができる。
Claims (7)
- 【請求項1】 ニッケルとマンガンとの原子比が0.7
≦Ni/Mn≦9を満たす層状リチウムニッケルマンガ
ン複合酸化物であって、Mg及びCaの含有量が共に3
00ppm以下であることを特徴とする層状リチウムニ
ッケルマンガン複合酸化物。 - 【請求項2】 ニッケル及びマンガンの存在するサイト
の一部が他の元素で置換されていることを特徴とする請
求項1に記載の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化
物。 - 【請求項3】 他の元素が、Al、Co及びFeからな
る群から選ばれる少なくとも一種の金属元素である請求
項1又は2のいずれかに記載のリチウムニッケルマンガ
ン複合酸化物。 - 【請求項4】 下記一般式(I)で表される、請求項1
乃至3のいずれかに記載のリチウムニッケルマンガン複
合酸化物。 【化1】LiXNiYMnZQ(1-Y-Z)O2 (I) (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Y及び
Zは、0.7≦Y/Z≦9、及び、0≦0(1−Y―
Z)≦0.5の関係を満たし、QはAl、Co及びFe
からなる群から選ばれる少なくとも一種を表す。)。 - 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の
層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物を含有するリ
チウム二次電池用正極材料。 - 【請求項6】 請求項5に記載のリチウム二次電池用正
極材料とバインダーとを含有することを特徴とするリチ
ウム二次電池用正極。 - 【請求項7】 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の
層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物を使用した正
極と、負極と、電解質とを有することを特徴とするリチ
ウム二次電池。
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