JP4605175B2 - リチウムニッケルマンガン複合酸化物の製造方法 - Google Patents
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Description
これと同様に、NiとMnを比べた場合、Niの方が高価なことから、LiNi1-x Mnx O2 (0<x<1)といったリチウムニッケル複合酸化物も考えられる。このようなニッケルとマンガンとを含有するリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、電池性能の面でも注目すべき点があり、極めて有望な材料である。しかしながら、Solid State Ionics 311−318(1992)や、J.Mater.Chem.1149−1155(1996)や、J.Power Sources 629−633(1997)や、J.Power Sources 46−53(1998)では、合成可能な範囲は0≦x≦0.5とされており、それよりxが大きくなると単一相が得られないとされている。
法によらずに、リチウムニッケルマンガン複合酸化物を製造する方法を提供しようとするものである。
少なくともニッケル源及びマンガン源を含有するスラリーのNi/Mnの原子比が0.
7≦Ni/Mn≦5であり、
スラリーの調製に用いるニッケル源が、Ni(OH) 2 、NiO、NiOOH、NiCO 3 ・2Ni(OH) 2 ・4H 2 O、Ni(NO 3 ) 2 ・6H 2 O、NiSO 4 ・6H 2 O、有機ニッケル化合物及びニッケルハロゲン化物より成る群から選ばれたものであり、
スラリーの調製に用いるマンガン源が、Mn 3 O 4 、Mn 2 O 3 、MnO 2 、MnOOH、MnCO 3 、Mn(NO 3 ) 2 、MnSO 4 、有機マンガン化合物、マンガン水酸化物及びマンガンハロゲン化物より成る群から選ばれたものであり、
かつ、固形物の平均粒子径が2μm以下のものを噴霧乾燥して得たものを用いることにより、良好な単一相生成物を容易に製造することができる。
リチウム源としては、各種のリチウム化合物、例えば、Li2 CO3 、LiNO3 、LiOH、LiOH・H2 O、アルキルリチウム、酢酸リチウムなどの有機リチウム化合物、LiCl、LiIなどのリチウムハロゲン化物等を用いることができる。なかでもLi2 CO3 、LiNO3 、LiOH・H2 O、酢酸リチウムなどを用いるのが好ましい。リチウム源として最も好ましいのは通常はLiOH・H2 Oである。このものは焼成に際してニッケル源及びマンガン源と容易に反応してリチウムニッケルマンガン複合酸化物を与える。
アルミニウム源としては、AlOOH、Al2 O3 、Al(OH)3 、AlCl3 、Al(NO3 )3 ・9H2 O、有機アルミニウム化合物及びAl2 (SO4 )3 等の各種のアルミニウム化合物を挙げることができる。好ましくはAlOOH、Al2 O3 又はAl(OH)3 を用いる。工業的に安価に入手でき、かつ反応性が高い点でAlOOHを用いるのが最も好ましい。
H)2 、CoO、Co2 O3 、又はCo3 O4 を用いる。工業的に安価に入手でき、かつ反応性が高い点でCo(OH)2 を用いるのが最も好ましい。
FeO(OH)、Fe2 O3 又はFe3 O4 を用いるのが好ましく、最も好ましいのは、工業的に安価に入手でき、かつ反応性が高い点でFeO(OH)及びFe2 O3 である。
カルシウム源としては、Ca(OH)2 、CaO、酢酸カルシウムやシュウ酸カルシウム等の有機カルシウム化合物、CaCO3 、CaC2 、CaCl2 、CaWO4 、Ca(NO3 )2 ・4H2 O、及びCaSO4 ・2H2 O等の各種のカルシウム化合物を挙げることができる。なかでもCa(OH)2 、CaO又はCaCO3 を用いるのが好ましい。最も好ましいのは、工業的に安価に入手でき、かつ反応性が高いCa(OH)2 である。
分である。
スラリー全体の重量に対する、リチウム源、ニッケル源、及びマンガン源等の原料の総重量比は、通常10重量%以上、好ましくは12.5重量%以上である。スラリー濃度が希薄であると、噴霧乾燥により得られる粒子が小粒化したり、粒子内部に空隙が生じて破損しやすくなったりする。逆に濃度が高すぎるとスラリーの均一性を保つのが困難となるので、スラリー濃度は50重量%以下、特に35重量%以下とするのが好ましい。
環境を意味する。
焼成温度は、原料として使用されるリチウム源、ニッケル源、及びマンガン源等の種類や、原子比によって異なるが、通常700℃以上、好ましくは750℃以上、更に好ましくは800℃以上であり、また通常1050℃以下、好ましくは950℃以下である。温度が低すぎると、結晶性の良いリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得るために長時間の焼成時間を要する。また、温度が高すぎると目的とするリチウムニッケルマンガン複合酸化物以外の結晶相が生成したり、欠陥が多いリチウムニッケルマンガン複合酸化物を生成したりする。このようなリチウムニッケルマンガン複合酸化物を正極活物質として使用したリチウム二次電池は、電池容量が低下したり、充放電による結晶構造の崩壊による劣化を招くことがある。
結晶欠陥が少ないリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得るためには、焼成後、ゆっくりと冷却することが好ましく、例えば5℃/min以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。
焼成装置としては常用のものを用いればよく、例えば箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を使用することができる。
本発明で製造されるリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、下記一般式(I)で示されるものであり、層状構造を有している。
、リチウムニッケルマンガン複合酸化物の組成比によっても異なる。例えば、一般式(I)においてニッケルとマンガンが同量程度の場合、通常1m2 /g以上、好ましくは2m2 /g以上、かつ通常8.0m2 /g以下、好ましくは6.0m2 /g以下である。また置換金属元素としてコバルトを導入して、原子比をY:Z:(1−Y−Z)=0.65:0.15:0.20とした場合、通常0.1m2 /g以上、好ましくは0.2m2 /g以上、かつ通常1.0m2 /g以下、好ましくは0.8m2 /g以下である。置換金属元素としてコバルトを導入する場合は、前述のような原子比程度であるのが好ましい。即ち数値で表すと1≦Y/Z≦7かつ0<(1−Y−Z)≦0.3、特に2≦Y/Z≦5かつ0.1≦(1−Y−Z)≦0.25であるのが好ましい。また、粉体充填密度は、タップ密度(200回タップ後)で、通常は0.5g/cc以上、好ましくは0.6g/cc以上、さらに好ましくは0.8g/cc以上である。粉体充填密度は高ければ高いほど、これを正極活物質とする電池の単位容積あたりのエネルギー密度を大きくすることができるが、現実的には3.0g/cc以下であり、通常2.5g/cc以下である。
導電材としては、通常は天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料が用いられる。正極中の導電材の割合は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは1重量%以上であり、かつ通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。導電材の割合が低すぎると導電性が不十分になることがあり、逆に高すぎると電池容量が低下する。
また、バインダー樹脂のラテックスを用いることもできる。
また負極活物質としては、SnO、SnO2 、Sn1-x Mx O(M=Hg、P、BSi、Ge又はSb、但し0≦x<1)、Sn3 O2 (OH)、Sn3-x Mx O2 (OH)2 (M=Mg、P、B、Si、Ge、Sb又はMn、但し0≦x<3)、LiSiO2 、SiO2 又はLiSnO2 等を用いることもできる。
実施例1
LiOH・H2 O、Ni(OH)2 及びMn2 O3 をLi:Ni:Mn=1.05:0.50:0.50(原子比)となるように混合し、これに純水を加えて固形分濃度12.5重量%のスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式粉砕機(シンマルエンタープライゼス社製:ダイノーミルKDL−A型)を用いて、スラリー中の固形分の平均粒子径が0.30μmになるまで粉砕した。300mlポットを用い、粉砕時間は6時間であった。このスラリーの粘度をBM型粘度計(トキメック社製)により測定したところ、初期粘度は1510mPa・sであった。
なお、スラリー中の固形分の平均粒子径、及び得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物の平均粒子径・最大粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製:LA−920型粒度分布測定装置)を用いて求めた。具体的には、室温大気中で、スラリー又は焼成物粉末を0.1%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に超音波分散及び攪拌により分散させ、透過率を70%〜95%の間に調節し、測定される粒度分布より平均粒径及び最大粒径を求めた。
この複合酸化物5gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、200回タップした後の粉体充填密度(タップ密度)を測定した結果、0.9g/ccであった。
なお、スラリー中にLiOH・H2 Oを含有させなかった以外は上記と全く同様にしてスラリーの調製(濃度12.5重量%)、及び噴霧乾燥を行い、得られた造粒物にLiOH・H2 Oの粉末(最大粒径で20μm以下)をLi:Ni:Mn=1.05:0.5:0.5となるように加え、手でよく混合したのち900℃で10時間空気中で焼成しても、上記で得られたのと殆ど同一の菱面体晶の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物を得ることができる。
LiOH・H2 O、NiO、Mn2 O3 、Co(OH)2 をLi:Ni:Mn:Co=1.05:0.65:0.15:0.20(原子比)となるように混合してスラリーを調製し、かつ焼成を850℃で10時間空気中で行った以外は、実施例1と同様にしてリチウムマンガンニッケル複合酸化物を得た。
LiOH・H2 O、Ni(OH)2 、Mn2 O3 及びAlOOHをLi:Ni:Mn:Al=1.05:0.45:0.45:0.10(原子比)となるように混合してスラリーを調製した以外は、実施例1と同様にしてリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得た。
LiOH・H2 O、Ni(OH)2 、Mn2 O3 及びCo(OH)2 をLi:Ni:Mn:Co=1.05:0.45:0.45:0.10(原子比)となるように混合してスラリーを調製した以外は、実施例1と同様にしてリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得た。
ニッケル原料としてNiOを用いた以外は実施例1と同様にして、リチウムニッケルマンガン複合酸化物を得た。
スラリーの初期粘度は190mPa・sであった。得られた複合酸化物は平均粒径7.1μm、最大粒径20μmであり、ほぼ球状の形状を有する粒子であった。このものは粉末X線回折により菱面体晶の層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物の構造を有していることが確認された。200回タップした後の粉末充填密度(タップ密度)は1.1g/ccであり、BET法比表面積は2.8m2 /gであった。
最大粒径20μm以下のLiOH・H2 O、平均粒径0.55μmのNiO及び平均粒径4.4μmのMn2 O3 を、Li:Ni:Mn=1.05:0.5:0.5(原子比)となるように混合し、これを適当な容器に入れて手でよく振動させて混合した後、900℃で10時間空気中で焼成した。
比較例2
比較例1で用いたのと同じLiOH・H2 O、NiO及びMn2 O3 並びに平均粒径7.9μmのCo(OH)2 を、Li:Ni:Mn:Co=1.05:0.65:0.15:0.20(原子比)となるように混合し、これを適当な容器に入れて手でよく振動させて混合した後、850℃で10時間空気中で焼成した。
電池評価試験(1)
以下の方法で、本発明の実施例及び比較例で得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物の正極活物質としての評価を行った。
実施例及び比較例で得られたリチウムニッケルマンガン複合酸化物を75重量部、アセチレンブラック20重量部、及びポリテトラフルオロエチレンパウダー5重量部を乳鉢で十分混合し、薄くシート状にしたものを9mmφのポンチを用いて打ち抜いた。得られたものの重量は約8mgであった。これをアルミニウムのエキスパンドメタルに圧着して正極とした。
コイン型セルに9mmφに打ち抜いた正極を入れ、その上に厚さ25μmの多孔性ポリエチレンフィルム(セパレータ)を置き、更にその上にリチウム金属(負極)をのせた。これに非水電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの3:7(容量比)混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )を1モル/Lとなるように溶解したもの)を加え、更に厚み調整用のスペーサをのせたのち、ポリプロピレン製ガスケットを介して蓋をかしめて電池とした。
を表1に示す。また、この充放電に引続いて、4.3V−3.0Vの定電流充放電を、充電は毎回0.2mA/cm2 一定で行い、放電を0.5mA/cm2 、1mA/cm2 、3mA/cm2 、5mA/cm2 、7mA/cm2 、9mA/cm2 及び11mA/cm2 と1回毎に順次電流値を高めて行った。最後の11mA/cm2 で定電流放電したときの放電容量Qa(mAhr/g)を表1に示す。
A.正極の作製
電池評価試験(1)におけると同様にして作製した。ただしポンチは12mφのものを用いた。得られたものの重量は約18mgであった。
B.負極の作製
粒径約8〜10μmの黒鉛粉末(d002=3.35A)92.5重量部と、ポリフッ化
ビニリデン7.5重量部とを混合し、これにN−メチルピロリドンを加えてスラリーとした。厚さ20μmの銅箔の片面にこのスラリーを塗布し、乾燥させた。これを12mmφのポンチで打ち抜き、更に0.5ton/cm2 でプレス処理して負極とした。
電池評価試験(1)におけると同様にして電池を作製した。なお、正極活物質の重量と負極活物質との重量比は、電池評価試験(1)で測定した正極の充電容量Qs(mAhr/g)に対して負極の充電容量が1.2倍となるようにした。負極の充電容量は、この負極と対極としてのリチウム金属とで電池評価試験(1)におけると同様にして電池を作製し、0Vまで0.2mA/cm2 で定電流放電を行った際の、負極活物質単位重量当たりの初期充電容量に基づいて算出した。
室温下、0.2C(1Cは1時間電流値であり、1C(mA)=Qsx正極活物質重量で算出される)の定電流で、2サイクルの充放電を行い、次いで1Cの定電流で1サイクルの充放電を行った。引続いて50℃の下で0.2Cの定電流で1サイクルの充放電を行い、次いで1Cの定電流で100サイクルの充放電を行った。充放電の下限は3.0V、上限は4.1V又は4.2Vとした。50℃、1Cの定電流での100サイクルの充放電の1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の比をP(%)として表1に示す。
Claims (7)
- ニッケル源、マンガン源及びリチウム源を含む混合物を焼成して下記式(I)で表されるリチウムニッケルマンガン複合酸化物を製造する方法において、
少なくともニッケル源及びマンガン源を含有するスラリーのNi/Mnの原子比が0.7≦Ni/Mn≦5であり、
スラリーの調製に用いるニッケル源が、Ni(OH) 2 、NiO、NiOOH、NiCO 3 ・2Ni(OH) 2 ・4H 2 O、Ni(NO 3 ) 2 ・6H 2 O、NiSO 4 ・6H 2 O、有機ニッケル化合物及びニッケルハロゲン化物より成る群から選ばれたものであり、
スラリーの調製に用いるマンガン源が、Mn 3 O 4 、Mn 2 O 3 、MnO 2 、MnOOH、MnCO 3 、Mn(NO 3 ) 2 、MnSO 4 、有機マンガン化合物、マンガン水酸化物及びマンガンハロゲン化物より成る群から選ばれたものであり、
かつ、固形物の平均粒子径が2μm以下のものを噴霧乾燥して得たものを用いることを特徴とする方法。
- スラリーがリチウム源も含有していることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 噴霧乾燥して得たものにリチウム源を混合して焼成することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 噴霧乾燥して得たものをその形状を保持したまま焼成に供することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- スラリーが湿式粉砕処理を経ているものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
- リチウム源が、LiCO3 、LiNO3 、LiOH・H2 O及び酢酸Liより成る群か
ら選ばれたものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。 - スラリーが、アルミニウム源、コバルト源、鉄源、マグネシウム源及びカルシウム源より成る群から選ばれたものも含有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
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