JP2002127870A - ウエビング巻取装置 - Google Patents

ウエビング巻取装置

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JP2002127870A JP2000327751A JP2000327751A JP2002127870A JP 2002127870 A JP2002127870 A JP 2002127870A JP 2000327751 A JP2000327751 A JP 2000327751A JP 2000327751 A JP2000327751 A JP 2000327751A JP 2002127870 A JP2002127870 A JP 2002127870A
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泰穂 北沢
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    • B60R22/34Belt retractors, e.g. reels
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単でエネルギ吸収時のウエビング引
出量を規制でき、エネルギ吸収過程でフォースリミッタ
荷重が減少するウエビング巻取装置を得る。 【解決手段】 プレート88は、一端部がスプール12
の円筒部60に固定され、中間部がスプール12と相対
回転可能な歯車64の係合ピン78A等に掛け回されて
いる。歯車64に設けられたパウル80はプレート88
に当接されコイルばね84の付勢力に抗してストッパ歯
62との非係合位置に保持されている。スプール12と
歯車64とが相対回転すると、末端部に向けて幅寸法が
減少されたプレート88は係合ピン78A等にしごかれ
つつ円筒部60に巻き取られ、エネルギ吸収過程のフォ
ースリミッタ荷重が減少し、プレート88との係合が解
除されたパウル80はストッパ歯62と噛合いスプール
12の回転が阻止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウエビング巻取装
置に係り、特に、ウエビングの引出しを阻止する際にウ
エビングの引出しを許容してエネルギを吸収するウエビ
ング巻取装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ウエビ
ング巻取装置では、スプール(巻取軸)のウエビング引
出方向の回転が車両急減速時にロックされて、ウエビン
グの引出しが阻止される。このロック機構としては、ス
プールの一端側の装置フレーム近傍にロック手段が配置
されており、車両急減速時にはこのロック機構が作動さ
れることで、スプールのウエビング引出方向の回転が阻
止される構成である。
【0003】また、このようなウエビング巻取装置にお
いて、ウエビングの引出しを阻止する際に、ウエビング
の引出しを所定量許容して、エネルギの吸収を図ること
が行われている。このエネルギ吸収機構としては、例え
ば、スプールと同軸的にトーションバーを配置した構成
のものがある。一般的にトーションバーは、一端部をス
プールに、他端部をロック機構に接続されたロックベー
スに、それぞれ相対回転しないように連結されている。
通常は、スプールとロックベースとはトーションバーを
介して一体に回転するが、車両急減速時にロックベース
のウエビング引出方向の回転が阻止された状態では、ス
プールが、ウエビング引張力によりロックベースに対し
てウエビング引出方向へ回転する。このとき、トーショ
ンバーが捩じられてエネルギが吸収され、スプールの所
定量の回転が許容される構成である。
【0004】さらに、エネルギ吸収に伴うスプールの回
転量を所定量に規制するためのストッパ手段としては、
例えば、ロックベースの外周部に螺合されると共にスプ
ールと一体に回転することで軸方向に移動されるロック
ナットを備え、このロックナットがロックベースの端面
と当接して軸方向の移動が阻止されるとスプールのそれ
以上の回転が阻止される構成のものがある。
【0005】しかしながら、このような従来のウエビン
グ巻取装置では、ストッパ手段の構成が複雑で、かつ組
付工程が煩雑でコストが高いという問題があった。
【0006】また、例えば、エアバッグ装置を備えた車
両においては、エネルギ吸収の過程においてウエビング
から乗員に作用する荷重(フォースリミッタ荷重)が徐
々に減少される除変手段を備えてエアバッグ装置とウエ
ビングとから乗員に作用する総荷重を抑えることが望ま
しい。しかしながら、上記のようなウエビング巻取装置
では、フォースリミッタ荷重はトーションバーの材料物
性及び寸法形状により一定の値とされ、これを徐々に減
少させる(除変手段を備える)ことが困難であった。
【0007】本発明は、上記事実を考慮して、構造が簡
単でエネルギ吸収時のウエビング引出量を規制でき、エ
ネルギ吸収過程でフォースリミッタ荷重が減少するウエ
ビング巻取装置を得ることが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明に係るウエビング巻取装置は、
ウエビングが巻取り引出しされるスプールと、前記スプ
ールと同軸的でかつ相対回転可能に設けられ、通常は前
記スプールと一体に回転し、所定の場合にウエビング引
出方向の回転を阻止される回転部材と、一端部が前記ス
プール及び前記回転部材の何れか一方に固定されると共
に、中間部が前記スプール及び前記回転部材の何れか他
方に係合され、前記回転部材のウエビング引出方向の回
転が阻止された際には前記スプールと前記回転部材との
相対回転に伴って前記係合された部位においてしごかれ
る長尺状部材と、前記長尺状部材の中間部に当接して前
記何れか他方に設けられ、前記相対回転に伴って前記長
尺状部材との当接状態が解除されると前記回転部材に対
する前記スプールのウエビング引出方向の相対回転を阻
止するストッパ手段と、を備えたことを特徴としてい
る。
【0009】請求項1記載のウエビング巻取装置では、
通常は、回転部材がスプールと一体に回転するため、ウ
エビングの巻取り引出しが自由とされる。このとき、ス
プールと回転部材との間に相対回転が生じないため、ス
トッパ手段は作動しない。
【0010】例えば、車両急減速時等の所定の場合に、
回転部材のウエビング引き出し方向の回転が阻止される
と、この回転部材とウエビング引張力が作用しウエビン
グ引出方向に回転されるスプールとの間に相対回転が生
じる。この相対回転に伴って長尺状部材がしごかれ、こ
れに伴うしごき荷重がフォースリミッタ荷重として作用
することでエネルギ吸収が果たされる。
【0011】さらに、この相対回転に伴って長尺状部材
とストッパ手段との当接状態が解除されると、ストッパ
手段が作動され回転部材に対するスプールのウエビング
引出方向の相対回転が阻止される。このとき、回転部材
はウエビング引出方向の回転が阻止されているため、ス
プールのウエビング引出方向の回転が阻止され、これ以
上のウエビングの引出が規制される。
【0012】ここで、長尺状部材は単にスプール及び回
転部材の一方に固定されると共に他方に係合され、スト
ッパ手段はこの長尺状部材の中間部に単に当接されて作
動を制限されるのみであるため(すなわち、エネルギ吸
収部材としての長尺状部材がストッパ手段を作動させる
トリガとしても作用するため)、構造が簡単である。ま
た、これらをスプールの一端外側に設けた構成とすれ
ば、従来の如くロックナット等をスプール内部に組込む
必要がなく組付け工程も簡素化される。
【0013】このように、請求項1記載のウエビング巻
取装置では、構造が簡単でエネルギ吸収時のウエビング
引出量を規制できる。
【0014】なお、所定の場合に回転部材のウエビング
引出方向の回転を阻止する手段としては、例えば、加速
度センサが所定の加速度を検出すると作動される駆動手
段と、駆動手段に接続され駆動手段が作動されると回転
部材の外周部等に形成されたロック歯に係合するパウル
と、を有する構成の回転阻止手段等を適用することがで
きる。
【0015】請求項2記載の発明に係るウエビング巻取
装置は、請求項1記載のウエビング巻取装置において、
前記長尺状部材は、互いに対向する前記何れか一方の外
周面と前記何れか他方の内周面との間に配置され、前記
相対回転に伴って前記何れか一方の外周面に巻き取られ
る、ことを特徴としている。
【0016】請求項2記載のウエビング巻取装置では、
互いに対向するスプールまたは回転部材の何れか一方の
外周面と何れか他方の内周面との間に長尺状部材が配置
されるため、例えば、長尺状部材を円弧状や渦巻状にす
ることで小型化が図られると共に、長尺状部材の長さ
(エネルギ吸収時に許容するスプール回転量)の設定の
自由度が向上する。
【0017】また、長尺状部材はその一端部が固定され
る上記の何れか一方の外周面に巻き取られるため、エネ
ルギ吸収過程における上記の何れか他方との係合部位に
おける引張方向がほぼ一定とされ、安定したしごき荷重
(フォースリミッタ荷重)が得られる。特に、初期状態
における長尺状部材の巻取方向が上記係合部位と上記外
周面とを結ぶ接線方向に略一致するように、長尺状部材
一端部の固定部位が係合部位に対して上記相対回転方向
に位相が進んで配置された構成とすれば、上記の引張方
向がエネルギ吸収の初期から常にほぼ一定とされ、一層
好適である。
【0018】このように、請求項2記載のウエビング巻
取装置では、構造が一層簡単でエネルギ吸収時のウエビ
ング引出量を規制でき、フォースリミッタ荷重が安定す
る。
【0019】請求項3記載の発明に係るウエビング巻取
装置は、請求項1または請求項2記載のウエビング巻取
装置において、前記長尺状部材は、少なくとも前記係合
された部位においてしごかれる中間部の断面積が他端部
へ向けて徐々に減少された、ことを特徴としている。
【0020】請求項3記載のウエビング巻取装置では、
スプールと回転部材との相対回転に伴って係合部位に対
して相対移動する長尺状部材のしごき部分の断面積が固
定された一端部から他端部ヘ向けて徐々に減少されてい
るため、エネルギ吸収過程におけるフォースリミッタ荷
重が徐々に減少する。
【0021】このように、請求項3記載のウエビング巻
取装置では、構造が簡単でエネルギ吸収時のウエビング
引出量を規制でき、エネルギ吸収過程でフォースリミッ
タ荷重が減少する。
【0022】請求項4記載の発明に係るウエビング巻取
装置は、請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のウエ
ビング巻取装置において、前記スプールの一端側に前記
スプールと同軸的でかつ相対回転可能に設けられ、車両
の急減速または前記ウエビングの急激な引出しが検知さ
れた際にロック手段によりウエビング引出方向の回転が
阻止されるロックベースと、前記スプール内に前記スプ
ールと同軸的に設けられ、一端部が前記スプールに連結
されると共に他端部が前記ロックベースに連結され、通
常は前記スプールと前記ロックベースとを一体に回転さ
せ、前記ロックベースのウエビング引出方向の回転が阻
止されるとウエビング引張力により捩じれつつ前記スプ
ールを前記ロックベースに対してウエビング引出方向へ
相対回転させるトーションバーと、を備えたことを特徴
としている。
【0023】請求項4記載のウエビング巻取装置では、
エネルギ吸収部材として長尺状部材に加えてトーション
バーが設けられ、車両の急減速または前記ウエビングの
急激な引出しが検知された際にロック手段によりロック
ベースのウエビング引出方向の回転が阻止されるとトー
ションバーが捩れながらスプールのウエビング引出方向
の回転を許容し、このトーションバーの捩れ荷重がフォ
ースリミッタ荷重に付加される。
【0024】このため、長尺状部材を小型化して各エネ
ルギ吸収部材をウエビング巻取装置内にバランス良く配
置でき、ウエビング巻取装置が全体として小型軽量化さ
れる。また、従来の如くトーションバーのみでエネルギ
吸収を行う構成と比較して簡単な構成でストッパ手段及
び除変手段を得ることができる。
【0025】さらに、例えば、回転部材のウエビング引
出方向の回転を任意の時期に阻止可能な構成とすれば
(すなわち、請求項1記載の所定の場合をロック手段の
作動時期とは別個の設定可能な構成とすれば)、予めま
たはエネルギ吸収過程において異なるフォースリミッタ
荷重を選択することができる。
【0026】このように、請求項4記載のウエビング巻
取装置では、構造が簡単でエネルギ吸収時のウエビング
引出量を規制でき、エネルギ吸収過程でフォースリミッ
タ荷重が減少すると共に、小型化が図られる。
【0027】請求項5記載の発明に係るウエビング巻取
装置は、請求項4記載のウエビング巻取装置において、
前記ロックベースは前記回転部材を兼ねる、ことを特徴
としている。
【0028】請求項5記載のウエビング巻取装置では、
ロックベースのウエビング引出し方向の回転が阻止され
ると、ウエビング引張力が作用するトーションバーが捩
られてスプールとロックベースとが相対回転し、この相
対回転に伴って長尺状部材がしごかれ、トーションバー
と長尺状部材とは同時にエネルギ吸収部材として作用し
てエネルギ吸収が果たされる。このため、エネルギ吸収
時に許容されるスプールの回転量(ウエビングの引出
量)は常に一定に保たれる。
【0029】ここで、ロックベースが回転部材を兼ねる
ため、部品点数(回転部材自体及び回転部材のウエビン
グ引出方向の回転を阻止する機構)が削減され、構造が
一層簡単になると共に組付工程が一層簡素化され、小型
軽量化も図られる。
【0030】このように、請求項5記載のウエビング巻
取装置では、構造が一層簡単でエネルギ吸収時のウエビ
ング引出量を確実に規制でき、エネルギ吸収過程でフォ
ースリミッタ荷重が減少すると共に、一層小型化が図ら
れる。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態に係る
ウエビング巻取装置10ついて図1乃至図8に基づいて
説明する。なお、図1乃至図8において矢印Aが示され
ている場合は、この矢印A方向はウエビング引出方向
(回転方向)を示している。
【0032】図1には本実施の形態に係るウェビング巻
取装置10の全体構成が断面図にて示されている。この
図に示されるように、ウエビング巻取装置10は平面視
で略コ字形に形成されたフレーム14を備えており、当
該フレーム14が車体側に固定されている。フレーム1
4は互いに平行に延出された第1脚板16と第2脚板1
8とを備えており、これらの第1脚板16、第2脚板1
8間にダイカストによって製作されたスプール12が回
転可能に軸支されている。
【0033】スプール12は、軸芯部を構成する円筒形
状のスプール軸12Aと、このスプール軸12Aの両端
部に略円板形状にそれぞれ形成された一対のフランジ部
(以下、第1脚板16側に配置されるフランジ部を「第
1フランジ部12B」と称し、第2脚板18側に配置さ
れるフランジ部を「第2フランジ部12C」と称す)と
によって構成されており、全体としては鼓形状をなして
いる。このスプール12のスプール軸12Aにはウェビ
ング100の一端が係止され、スプール12の回転によ
り、ウェビング100がスプール12に対して巻取り引
出し自在とされている。
【0034】スプール軸12Aの軸芯部には、シャフト
挿通孔20が形成されている。シャフト挿通孔20にお
ける第1フランジ部12B側には、シャフト挿通孔20
よりも大径とされた凹部状のロックベース受入れ部22
が同軸上に形成されている。ロックベース受入れ部22
は、その大半を占める凹部本体22Aと、当該凹部本体
22Aよりも大径とされた凹部端末部22Bとからな
る。
【0035】このロックベース受入れ部22には、ロッ
クベース24が抜け止めされた状態で装着されている。
なお、ロックベース24の装着の仕方は、ロックベース
受入れ部22内へロックベース24を挿入した後に、正
面視でコ字形に形成された図示しないストッパ(抜止め
部材)を軸直角方向から圧入するという手法が採られて
いる。
【0036】ロックベース24は鍔付き円筒形状に形成
されており、ロックベース受入れ部22の凹部本体22
Aに嵌合される基部24Aと、基部24Aよりも大径と
されかつロックベース受入れ部22の凹部端末部22B
に嵌合される中間部24Bと、中間部24Bよりも大径
とされかつ第1フランジ部12Bの外側面に当接状態で
配置される保持部24Cとによって構成されている。ま
た、ロックベース24における軸芯部外端を除いた部分
には六角穴形状の嵌合孔26が形成されており、更に当
該軸芯部外端には嵌合孔26の軸芯部と相互に連通され
かつこれよりも小径とされた小孔28が形成されてい
る。
【0037】一方、スプール軸12Aのシャフト挿通孔
20における第2フランジ部12C側には、シャフト挿
通孔20よりも大径とされた凹部状のスリーブ受入れ部
30が形成されている。このスリーブ受入れ部30の内
周部には雌スプラインが形成されており、当該スリーブ
受入れ部30には外周部に雄スプラインが形成されかつ
軸芯部には六角穴形状の嵌合孔32が形成されたスリー
ブ34が嵌合されている。なお、スリーブ34の先端部
には、スプール12をウエビング巻取回転方向へ回転付
勢する付勢手段(ぜんまいばね)の内端が図示しないア
ダプタを介して係止されている。また、上記構成のスリ
ーブ34は、車両急減速時にスプール12を瞬時にウエ
ビング巻取方向回転させるプリテンショナーの構成部品
の一つである。
【0038】上述したロックベース24とスリーブ34
とは、トーションバー36によって相互に連結されてい
る。トーションバー36は、その主部を構成する軸部3
6Aと、軸部36Aの一端部に形成された六角形状の頭
部36Bと、軸部36Aの他端部に形成された六角形状
の嵌合部36Cと、嵌合部36Cの軸芯部から軸部36
Aと同軸上に延出された小径部36Dと、小径部36D
からテーパ面を経て縮径された後に環状に拡径されたギ
ヤ保持部36Eと、このギヤ保持部36Eから更に同軸
上に延出されてキーが形成された先端部36Fとによっ
て構成されている。トーションバー36の頭部36Bは
スリーブ34に形成された六角穴形状の嵌合孔32へ嵌
合されており、又トーションバー36の嵌合部36Cは
ロックベース24に形成された六角穴形状の嵌合孔26
へ嵌合されている。これにより、トーションバー36
は、ロックベース24及びスリーブ34を介してスプー
ル軸12Aと一体化されている。
【0039】図2にも示されるように、上述したフレー
ム14の第1脚板16の上部側には、内歯ラチェット3
8が打ち抜きにより形成されている。内歯ラチェット3
8のラチェット歯38Aは高強度に設定されている。
【0040】この内歯ラチェット38の径方向内側に
は、ロックベース24の保持部24Cが配置されてい
る。なお、保持部24Cの軸芯部に形成された前述した
小孔28内へは、トーションバー36の小径部36Dが
挿入されている。この保持部24Cの外面側には、小孔
28周りに周方向に形成された凹状の収容部40が形成
されている。収容部40の一端部は閉止されているが、
収容部40の他端部は開放されている。なお、ロックベ
ース24における保持部24Cの収容部40の他端部側
は、次述するロックプレート42の内歯ラチェット38
への係合動作を阻害しないように面取りされている。こ
の収容部40には、略円弧板形状をなすロックプレート
42が収容されている。さらに、ロックベース24の保
持部24Cにおける外側面には、ロックプレート42の
脱落防止用に薄肉円板形状のロックカバー44が回り止
めされた状態で取り付けられている。
【0041】ロックプレート42は、略円弧板形状をな
す金属製のプレート本体42Aと、このプレート本体4
2Aの一端部から張り出された矩形状の突起部42B
と、プレート本体42Aの他端部の外周部に形成されか
つ第1脚板16の内歯ラチェット38のラチェット歯3
8Aと噛み合う高強度のロック歯42Cと、同じくプレ
ート本体42Aの他端部から立設されたガイドピン42
Dとによって構成されている。なお、プレート本体42
Aの幅と突起部42Bの突出長さとを足した長さは、収
容部40の幅広部40Aの幅と概略一致している。
【0042】上述したロックベース24に隣接する位置
には、これよりも大径に形成された略円板形状のVギヤ
46が配置されている。Vギヤ46の軸芯部には円筒状
のボス48が形成されており、トーションバー36のギ
ヤ保持部36Eに追従回転可能に軸支されている。ま
た、Vギヤ46には「へ」の字形状のガイド孔50が形
成されており、当該ガイド孔50へはロックプレート4
2から立設されたガイドピン42Dが挿入されている。
さらに、Vギヤ46の外周部には、ロック歯46Aが一
体に形成されている。
【0043】Vギヤ46の下方側には、図3に示される
VSIR用の加速度センサ52が配設されている。な
お、図1では加速度センサ52の図示を省略している。
車両急減速時には、加速度センサ52のボール54がセ
ンサハウジング56上を転動してセンサレバー58を揺
動させ、当該センサレバー58のロック爪58AがVギ
ヤ46のロック歯46Aに係合されるようになってい
る。
【0044】一方、図4にも示される如く、スプール1
2の第2フランジ部12Cの外側には、スプール12の
スプール軸12Aと同軸的でこれより小径の円筒部60
が一体に形成されている。この円筒部60の第2脚板1
8側の外周面には、後述するパウル80と係合すること
でスプール12の矢印A方向の回転を阻止可能なストッ
パ歯62が形成されている。また、円筒部60の第2脚
板18側の端面には、その軸方向が深さ方向とされた略
逆L字状の固定溝61が形成され、後述するプレート8
8の固定用とされている。
【0045】この円筒部60の第2フランジ部12Cと
の連結側端部には、回転部材としての歯車64が設けら
れている。この歯車64は、底部64Aと筒部64Bを
有して有底の短円筒状に形成されると共に、底部64A
の中央部に円筒部60に対応した支持孔64Cが形成さ
れ、この支持孔64Cにおいて円筒部60に嵌合されて
いる。これにより、歯車64は、その筒部64Bがスプ
ール12の円筒部60(ストッパ歯62)と対向した状
態でスプール12と同軸的でかつ回転自在に支持される
構成である。さらに、この歯車64の筒部64Bの外周
部には、ロック歯66が形成されている。
【0046】また、歯車64の下方には、ロック歯66
と噛合い可能なロックパウル68が設けられている。こ
のロックパウル68は、第2脚板18の下端近傍に設け
られた支持ピン70により第2脚板18に沿った方向に
回動自在に支持されている。さらに、ロックパウル68
には、駆動手段72(図1では図示省略)が接続され、
この駆動手段72が所定の場合(車両急減速時またはウ
エビング100の急激な引出し時等)に図示しない制御
手段によって作動されることでロックパウル68がロッ
ク歯66との非係合位置から係合位置まで移動可能な構
成となっている。なお、駆動手段72はソレノイド等の
電磁的なアクチュエータであっても良く、ガスジェネレ
ータ等の流体駆動式のアクチュエータであっても良い。
【0047】一方、歯車64の底部64Aには、これと
同軸の略円弧状に形成された案内突起74が歯車64の
軸線に沿った方向に立設され、これにより歯車64には
案内突起74と筒部64Bとの間に案内溝76が形成さ
れている。この案内突起74(案内溝76)は、互いに
近接する2箇所で切欠かれており、一方の切欠部には略
円柱状の一対の係合ピン78A、78Bが歯車64の軸
線と平行に立設されると共に、他方の切欠部にはストッ
パ歯62と噛合い可能なパウル80が設けられている。
【0048】図5にも示される如く、このパウル80
は、歯車64の底部64Aに立設された支持ピン82に
抜け止めされた状態で回動自在に支持される厚肉の支持
部80Aと、支持部80Aの底部64Aとは反対側の端
面(図5の上端面)に沿って延出された薄肉の爪部80
Bとから成り、支持ピン82廻りに回動することで爪部
80Bがストッパ歯62との噛合い位置及び非噛合い位
置との間で移動可能な構成となっている。また、パウル
80の支持部80Aには、支持ピン82を挟んで爪部8
0B形成側とは反対側にコイルばね84の一端部が接続
されている。このコイルばね84の他端部は、歯車64
の底部64Aに立設されたばね受片86に固定され、こ
れにより、パウル80がコイルばね84によりストッパ
歯62との噛合い方向(図4、図5に示される矢印B方
向)に常時付勢される構成である。なお、上記構成にお
いて、パウル80及びコイルばね84が本発明における
「ストッパ手段」に相当する。
【0049】さらに、互いに対向するスプール12の円
筒部60(ストッパ歯62)と歯車64の筒部64B内
周面との間には、長尺状部材としてのプレート88が配
置されている。図6にも示される如く、プレート88
は、一端部にスプール12の固定溝61に対応して略逆
L字状に屈曲された固定部88Aが形成されると共に、
中間部から他端部にかけては歯車64の案内溝76内へ
収容可能に円弧状に湾曲されている。この中間部の一部
は、しごき部88Bとされ、幅寸法が他端部へ向けて徐
々に減少されている(図6に示す幅W1からW1より小
さい幅W2へ連続的に減少されている)。また、しごき
部88Bの終端部からプレート88の他端部にかけて
は、係止ピン78Bからパウル80のコイルばね84接
続側端部までの長さに対応したトリガ部88Cとされ、
幅寸法はW2で一定となっている。なお、トリガ部88
Cの幅寸法はW2より大きくても良い。
【0050】このプレート88は、固定部88Aが円筒
部60に形成された固定溝61に挿入固定されている。
また、プレート88は、しごき部88Bが固定部88A
側の始端部において歯車64の底部64に立設された係
合ピン78A、78Bに掛け回される(係合される)と
共に、しごき部88B及びトリガ部88Cが歯車64の
案内溝76内に配置されている。この状態では、パウル
80は、歯車64の径方向外側の面においてプレート8
8のしごき部88Bと当接し、コイルばね84の付勢力
に抗してストッパ歯62との非噛合い位置に保持される
ようになっている。
【0051】これにより、通常は、スプール12と歯車
64とはプレート88及び係合ピン78A、78Bを介
して一体に回転し、スプール12と歯車64との間に矢
印A方向の相対回転が生じるとスプール12の円筒部6
0(ストッパ歯62)廻りにプレート88が巻き取られ
るようになっている。なお、ストッパ歯62の歯幅W
(固定溝61の深さと略同寸)及びパウル80の支持部
80Aの高さH1が略同寸とされると共に、支持部80
Aの高さH1と爪部80Bの高さH2との差H3が上記
のプレート88の最大幅寸法W1より大とされ、パウル
80とプレート88のトリガ部88Cとの当接状態が解
除されるとパウル88の爪部88Bがストッパ歯62の
端部側に噛合うようになっている(図5参照)。
【0052】また、図1に示される如く、上述したフレ
ーム14の第1脚板16の外側には樹脂製のセンサホル
ダ90が配置されており、更にセンサホルダ90の外側
には当該センサホルダ90と似た形状の樹脂製のセンサ
カバー92が被嵌されている。これらのセンサホルダ6
0及びセンサカバー62は両者一体となってフレーム1
4の第1脚板16に取り付けられている。
【0053】センサホルダ90は、略カップ状に形成さ
れたホルダ本体部94と、このホルダ本体部94の下縁
側に形成された略矩形枠状のセンサ保持部96とを含ん
で構成されている。ホルダ本体部94の内周部には前述
したVギヤ46に軸支された図示しないWSIR用のパ
ウルと係合可能な内歯94Aが一体に形成されており、
ウエビング100の急激な引出し時にはこのパウルが内
歯94Aと係合することでVギヤ46の矢印A方向の回
転を阻止するようになっている。さらに、ホルダ本体部
94の軸芯部には円筒状の軸受部98が一体に形成さ
れ、この軸受部98にはトーションバー36の先端部3
6Fが軸支されている(図1参照)。また、センサ保持
部96には、上述の加速度センサ52が挿入保持されて
いる。
【0054】なお、上記構成において、ロックベース1
30の保持部24Cに形成された収容部40に保持され
たロックプレート42、フレーム14の第1脚板16に
形成された内歯ラチェット38、ロックプレート42を
案内するVギヤ46を含むVSIRやWSIRが本発明
における「ロック手段」に相当する。
【0055】次に、本実施の形態の作用について説明す
る。
【0056】乗員がウエビング100に挿通された図示
しないタングプレートを持ってぜんまいばねの付勢力に
抗してウエビング100をスプール12から引き出し、
当該タングプレートを図示しないバックル装置に係合さ
せることにより、乗員は三点式シートベルト装置のウエ
ビング100装着状態となる。すなわち、センタピラー
の上部に配設された図示しないショルダアンカからタン
グプレートまでのウエビング100がショルダ側のウエ
ビング100となり、タングプレートからバックル装置
までのウエビング100がラップ側のウエビング100
となる。
【0057】この状態から車両走行状態となった場合に
おいて車両急減速時になると、図示しないプリテンショ
ナーが作動し、スリーブ34を介してスプール12を瞬
時にウエビング巻取方向回転させる。またこれと同時
に、車両急減速状態が加速度センサ52によって検出さ
れる。すなわち、加速度センサ52のボール54がセン
サハウジング56上を転動してセンサレバー58を揺動
させる。これにより、センサレバー58のロック爪58
AがVギヤ46のロック歯46Aに係合され、Vギヤ4
6の矢印A方向の回転が阻止される。
【0058】一方、スプール12は、乗員から受けるウ
エビング引張力によって矢印A方向に回転しようとす
る。このため、矢印A方向に回転しようとするスプール
12と矢印A方向の回転が阻止されたVギヤ46との間
で相対回転が生じる。両者の間に相対回転が生じると、
ロックベース24の保持部24Cに形成された収容部4
0に保持されたロックプレート42のガイドピン42D
がVギヤ46のガイド孔50に案内されて、ロックベー
ス24の略径方向外側へ移動される。これにより、ロッ
クプレート42のロック歯42Cがフレーム14の第1
脚板16に設けられた内歯ラチェット38のラチェット
歯38Aと噛合い、ロックベース24の矢印A方向の回
転が阻止される。また、同時に駆動手段72が作動され
てロックパウル68が歯車64外周部のロック歯66と
噛合い、歯車64の矢印A方向の回転が阻止される。
【0059】ロックベース24の矢印A方向の回転が阻
止されると、乗員から受けるウエビング引張力がスプー
ル12及びスリーブ34を介してトーションバー36に
矢印A方向の回転力として作用する。このため、トーシ
ョンバー36が捩れながらスプール12が矢印A方向へ
回転される。このとき、歯車64の矢印A方向の回転も
阻止されているため、スプール12と歯車64との間に
は相対回転が生じ、図7(A)に示される如く、プレー
ト88はしごき部88Bにおいて係合ピン78A、78
Bにしごかれつつ円筒部60(ストッパ歯62)に巻き
取られていく。このトーションバー36の捩り荷重及び
プレート88のしごき荷重がフォースリミッタ荷重とし
てウエビング100に作用しつつ、ウエビング100が
引出されることでエネルギ吸収が果たされる。
【0060】ここで、スプール12と歯車64との相対
回転に伴って係合ピン78A、78Bにしごかれるプレ
ート88のしごき部88Bの幅寸法(断面積)がトリガ
部88C側の端部ヘ向けて徐々に減少されているため、
図8に実線で示される如く、エネルギ吸収過程における
フォースリミッタ荷重が徐々に減少する。
【0061】また、スプール12が矢印A方向にさらに
相対回転されてプレート88がスプール12の円筒部6
0(ストッパ歯62)に巻き取られ、スプール12が図
8に示される回転量S1(本実施の形態では略1回転)
だけ回転されると、パウル80とプレート88のしごき
部88Bの末端に形成されたトリガ部88Cとの当接が
解除され、パウル80はコイルばね84の付勢力により
矢印B方向へ回動されて円筒部60のストッパ歯62と
噛合う(図7(B)参照)。これにより、歯車64に対
するスプール12の矢印A方向の相対回転が阻止され
る。このとき、歯車64はロックパウル68により矢印
A方向の回転が阻止されているため、結局スプール12
の矢印A方向の回転が阻止され、これ以上のウエビング
100の引出が規制される。
【0062】またここで、プレート88は単に固定部8
8Aにおいてスプール12の円筒部26(固定溝61)
に挿入固定されると共に、しごき部88Bにおいて歯車
64の係合ピン78A、78Bに掛け回され(係合さ
れ)、コイルばね84にて矢印B方向へ付勢されたパウ
ル80はこのプレート88(しごき部88Bまたはトリ
ガ部88C)に単に当接されて作動を制限されるのみで
あるため、構造が簡単である。また、これらがスプール
12の第2脚板18と対向する一端部外側に設けられて
いるため、従来の如くロックナット等をスプール12の
内部に組込む必要がなく組付け工程も簡素化される。
【0063】さらに、エネルギ吸収手段としてトーショ
ンバー36及びプレート88を備え、トーションバー3
6の捩り荷重をフォースリミッタ荷重のベース荷重(図
8に一点鎖線で示されるF1の荷重)とすると共に、プ
レート88のしごき荷重を変動荷重とするため、プレー
ト88が小型化されると共にこのプレート88とトーシ
ョンバー36とをウエビング巻取装置内10にバランス
良く配置でき、ウエビング巻取装置10が全体として小
型軽量化される。また、上記の如き簡単な構成の除変手
段及びストッパ手段を得るとができる。
【0064】このように、本実施の形態に係るウエビン
グ巻取装置10では、構造が簡単でエネルギ吸収時のウ
エビング引出量を規制でき、エネルギ吸収過程でフォー
スリミッタ荷重が減少する。
【0065】なお、上記の実施の形態では、駆動手段7
2がVSIRに対応して車両急減速時に作動される場合
について説明したが、本発明はこれに限定されず、例え
ば、WSIRに対応してウエビング100の急激な引出
しの際に駆動手段72が作動されても良く、また例え
ば、別途設けられたセンサ等により乗員が軽量であるこ
とが検知された場合や急減速前の車両走行速度が低速で
あったことが検知された場合等には駆動手段72を作動
しない構成としても良い。また、駆動手段72を作動さ
せる制御手段は電気的な制御装置でも、機械的な制御機
構でも良い。
【0066】また、上記の実施の形態では、スプール1
2に円筒部60を設けた構成としたが、本発明はこれに
限定されず、スプール12の軸部材(例えば、スリーブ
18のスプール12に挿入されていない部分)の外周部
に歯車64を嵌合すると共にストッパ歯62及び固定溝
61を形成した構成としても良い。
【0067】次に、本発明の第2の実施の形態に係るウ
エビング巻取装置110ついて図9乃至図13に基づい
て説明する。なお、第1の実施の形態に係るウエビング
巻取装置10と基本的に同一の部品には同一の符号を付
してその説明を省略する。また、第1の実施の形態と同
様に図9乃至図13において矢印Aが示されている場合
は、この矢印A方向はウエビング引出方向(回転方向)
を示している。
【0068】図9には、ウエビング巻取装置110の全
体構成が断面図にて示されている。この図に示される如
く、本実施の形態では、歯車64並びにこの歯車64の
ウエビング引出し方向の回転を阻止するロック歯66、
ロックパウル68及び駆動手段72を備えず、スプール
112と回転部材としてのロックベース130との間に
プレート140やストッパ手段を構成するパウル124
等を配置している点で前述した第1実施形態とは相違し
ている。また、プレート140の一端部がロック手段に
よって矢印A方向の回転が阻止されるロックベース13
0(回転部材)に固定される点で前述した第1実施形態
とは相違している。さらに、図10に示される如く、初
期状態においてプレート140がその一端部を固定する
ロックベース130に一部巻きつけられ、スプール11
2とロックベース130との相対回転時にプレート14
0が引張られる方向が常にほぼ一定とされている(後述
する係合ピン122Aと巻取部132を結ぶ接線方向と
されている)点でも前述した第1実施形態とは相違して
いる。以下、詳細に説明する。
【0069】スプール112の第1フランジ部12Bの
外側には、第1フランジ部12Bの外周面に沿った筒部
114が延出されている。筒部114内側のスプール1
12の端面116には、これと同軸の略円弧状に形成さ
れた案内突起118がスプール112の軸線に沿った方
向に立設され、これによりスプール112には案内突起
118と筒部114との間に案内溝120が形成されて
いる。この案内突起118(案内溝120)は、互いに
近接する2箇所で切欠かれており、案内突起118は、
短円弧状の案内突起118Aと略半円弧状の案内突起1
18Bとに分割されている。この案内突起118の一方
の切欠部には略円柱状の一対の係合ピン122A、12
2Bがスプール112の軸線と平行に立設されると共
に、他方の切欠部には後述するロックベース130のス
トッパ歯134と噛合い可能なパウル124が設けられ
ている。
【0070】図11にも示される如く、このパウル12
4は、スプール112の端面116に立設された支持ピ
ン126に抜け止めされた状態で回動自在に支持される
厚肉の支持部124Aと、支持部124Aの端面116
側とは反対側の端面(図11に示される支持部124A
の上端面)に沿って延出された薄肉の爪部124Bと、
支持部124Aのスプール112径方向の外面に沿って
延出されたばね受部124Cとから成り、支持ピン12
6廻りに回動することで爪部124Bがストッパ歯12
4との噛合い位置及び非噛合い位置との間で移動可能な
構成となっている。また、ばね受部124Cには、コイ
ルばね84の一端部が接続されている。このコイルばね
84の他端部は、案内突起118Aのスプール112径
方向外側が切欠かれて形成されたばね受片128に固定
され、これにより、パウル124がコイルばね84によ
りストッパ歯134との噛合い方向(図10、図11に
示される矢印B方向)に常時付勢される構成である。
【0071】一方、ロックベース130の中間部24B
と保持部24Cとの間には、これらの中間の外径を有す
る巻取部132が形成され、スプール112の筒部11
4と対向している。この巻取部132の外周部に上記の
パウル124と噛合うことでスプール112の矢印A方
向の回転を阻止可能なストッパ歯134が設けられてい
る。また、巻取部132の中間部24B側の端面には、
その軸方向が深さ方向とされた略逆L字状の固定溝13
6が形成され、後述するプレート140の固定用とされ
ている。なお、上記構成において、パウル124及びコ
イルばね84が本発明における「ストッパ手段」に相当
する。
【0072】さらに、スプール112の筒部114内周
面とロックベース130の巻取部132との間には、長
尺状部材としてのプレート140が配置されている。図
12にも示される如く、プレート140は、一端部にロ
ックベース130の固定溝136に対応して略逆L字状
に屈曲された固定部140Aが形成されると共に、中間
部から他端部にかけては巻取部132に巻き掛けつつス
プール112の案内溝120内へ収容可能に円弧状に渦
巻状に形成されている。この中間部の一部は、しごき部
140Bとされ、幅寸法が他端部へ向けて徐々に減少さ
れている(図12に示す幅W1からW1より小さい幅W
2へ連続的に減少されている)。また、しごき部140
Bの終端部からプレート140の他端部にかけては、係
止ピン122Bからパウル80のばね受部124C端部
までの長さに対応したトリガ部140Cとされ、幅寸法
はW2で一定となっている。なお、トリガ部140Cの
幅寸法はW2より大きくても良い。
【0073】このプレート140は、固定部140Aが
巻取部132に形成された固定溝136に挿入固定され
ている。また、プレート140は、固定部140Aとし
ごき部140Bとの間の中間部が巻取部132(ストッ
パ歯134)の外周部に略一周巻きかけられた状態でし
ごき部140Bが係合ピン122A、122Bに掛け回
されると共に、残余のしごき部140B及びトリガ部1
40Cが案内溝120内に配置されている。この状態で
は、パウル124は、スプール112の径方向外側の面
においてプレート140のしごき部140Bと当接し、
コイルばね84の付勢力に抗してストッパ歯134との
非噛合い位置に保持されるようになっている。
【0074】これにより、通常は、スプール112とロ
ックベース130とはトーションバー36及びスリーブ
34を介して一体に回転し、スプール112とロックベ
ース130との間に矢印A方向の相対回転が生じるとロ
ックベース130の巻取部132(ストッパ歯134)
廻りにプレート140が層状に巻き取られるようになっ
ている。なお、ストッパ歯134の歯幅W及びパウル1
24の支持部124Aの高さH1が略同寸とされると共
に、支持部124Aの高さH1と爪部124Bの高さH
2との差H3が上記のプレート140の最大幅寸法W1
(固定溝136の深さと略同寸)より大とされ、パウル
124とプレート140のトリガ部140Cとの当接状
態が解除されるとパウル124の爪部124Bがストッ
パ歯134の端部側に噛合うようなっている(図11参
照)。
【0075】上記構成のウエビング巻取装置110で
は、前述した第1の実施形態と同様の作用・効果が得ら
れる。すなわち、車両急減速時等に回転部材を兼ねるロ
ックベース130の矢印A方向の回転が阻止されると、
トーションバー36が捩られると共に、このトーション
バー36の捩れに伴うスプール112とロックベース1
30との相対回転によりプレート140がしごかれ、エ
ネルギ吸収が果たされる(図13(A)参照)。また、
プレート140の幅寸法が徐々に減少することで図8に
実線にて示される如くエネルギ吸収過程におけるフォー
スリミッタ荷重が減少する。さらに、スプール112の
所定量の回転(図8に示される回転量S1、本実施の形
態では略1回転)を許容した後はストッパ手段が作動
し、その後のウエビング100の引出しが規制される
(図13(B)参照)。
【0076】ここで、ロックベース130が回転部材と
しても機能するため、部品点数(上記第1の実施の形態
における歯車64及び歯車64の矢印A方向の回転を阻
止するためのロックパウル68、支持ピン70、駆動手
段72)が削減され、構造が一層簡単になると共に組付
工程が一層簡素化され、低コストで小型軽量化なウエビ
ング巻取装置110を得ることができる。
【0077】また、プレート140を予め巻取部132
に巻き掛けることでプレート140の引張方向がエネル
ギ吸収の初期からほぼ一定とされ(係合ピン122Aと
巻取部132外周面とを結ぶ接線方向に略一致され)、
安定したフォースリミッタ荷重特性(図8に示される特
性)が得られ、エネルギ吸収過程のフォースリミッタ荷
重が確実に減少する。
【0078】なお、上記第2の実施の形態では、プレー
ト140を予め巻取部132に巻き掛ける構成とした
が、本発明はこれに限定されず、第1の実施の形態の如
く、プレート140を予め巻取部132に巻き掛けない
構成としても良い。また、第1の実施の形態において、
プレート88を予め円筒部60に所定量巻きかける構成
としても良い。
【0079】また、上記第1及び第2の実施の形態で
は、トーションバー36とプレート88またはプレート
140とを共に備えた好ましい構成としたが、本発明は
これに限定されず、ウエビング巻取装置10、110が
トーションバー36を備えない構成としても良く、トー
ションバー36に代えて、または、これに付加して別個
のエネルギ吸収手段(例えば、スプールと回転部材とに
掛け渡されたワイヤやブレーキスプリング等)を備えた
構成としても良い。
【0080】さらに、上記第1及び第2の実施の形態で
は、長尺状部材としてプレート88、140を用いた構
成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、長尺
状部材としてワイヤ等を用いても良い。また、長尺状部
材(プレート88等)の断面積を減少させるために幅寸
法を減少させるに限られず、厚さ寸法を減少させても良
く、幅及び厚さの双方を減少させてもよい。さらに、長
尺状部材をワイヤとする場合は径寸法を減少させても良
く、軸に対して斜めに切欠いても良い。また、プレート
88、140はスプールの一端部に配置されるに限られ
ず、例えば、スプール12のスプール軸12A内に配置
される構成としても良い。
【0081】さらにまた、上記第1及び第2の実施の形
態では、パウル80、124を矢印B方向に付勢するた
めのコイルばね84を備えた構成としたが、本発明はこ
れに限定されず、例えば、パウル80は板ばねや磁力等
により付勢される構成としても良い。
【0082】また、上記第1及び第2の実施の形態で
は、プレート88の係合部として一対の係合ピン78
A、78Bまたは122A、122Bを備えた構成とし
たが、本発明はこれに限定されず、所望のフォースリミ
ッタ荷重に対応して例えば、係合ピン78Aは1個とし
ても良く3個以上としても良い。また、係合ピン78A
等は円柱状に限定されず、例えば、矩形状や長円状等の
所望の形状とすることができる。
【0083】さらに、上記第1及び第2の実施の形態で
は、ウエビング巻取装置10、110がロック手段とし
てのVSIR及びWSIRの双方を備えた構成とした
が、本発明はこれに限定されず、ウエビング巻取装置1
0、110はVSIR及びWSIRの何れか一方のみを
備えていても良い。また、ロックプレート42も上記第
1及び第2の実施の形態に示したスプール12、112
の一端側に設けられ、略円弧状であるものに限定される
ことはない。
【0084】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明に係るウエビ
ング巻取装置は、構造が簡単でエネルギ吸収時のウエビ
ング引出量を規制でき、エネルギ吸収過程でフォースリ
ミッタ荷重が減少するという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻
取装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図2】図1の2−2線に沿った方向から見た側面図で
ある。
【図3】本発明の実施の形態に係るウエビング巻取装置
を構成する加速度センサの全体構成を示す正面図であ
る。
【図4】図1の4−4線に沿った断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻
取装置を構成するストッパ手段の全体構成を示す斜視図
である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻
取装置を構成するプレートの全体構成を示す斜視図であ
る。
【図7】(A)はエネルギ吸収過程を示す図4に対応し
た側面図、(B)はストッパ手段の作動状態を示す図4
に対応した側面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻
取装置におけるウエビング引張力(フォースリミッタ荷
重)とウエビング引出方向回転量との関係を示す線図で
ある。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻
取装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図10】図9のX−X線に沿った断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るウエビング
巻取装置を構成するストッパ手段の全体構成を示す斜視
図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係るウエビング
巻取装置を構成するプレートの全体構成を示す斜視図で
ある。
【図13】(A)はエネルギ吸収過程を示す図10に対
応した側面図、(B)はストッパ手段の作動状態を示す
図10に対応した側面図である。
【符号の説明】
10 ウエビング巻取装置 12 スプール 24 ロックベース 36 トーションバー 42 ロックプレート(ロック手段) 62 ストッパ歯(ストッパ手段) 64 歯車(回転部材) 80 パウル(ストッパ手段) 84 コイルばね(ストッパ手段) 88 プレート(長尺状部材) 100 ウエビング 110 ウエビング巻取装置 112 スプール 124 パウル(ストッパ手段) 130 ロックベース(回転部材) 134 ストッパ歯(ストッパ手段) 140 プレート(長尺状部材)
フロントページの続き (72)発明者 森 信二 愛知県丹羽郡大口町豊田三丁目260番地 株式会社東海理化電機製作所内 Fターム(参考) 3D018 DA07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウエビングが巻取り引出しされるスプー
    ルと、 前記スプールと同軸的でかつ相対回転可能に設けられ、
    通常は前記スプールと一体に回転し、所定の場合にウエ
    ビング引出方向の回転を阻止される回転部材と、 一端部が前記スプール及び前記回転部材の何れか一方に
    固定されると共に、中間部が前記スプール及び前記回転
    部材の何れか他方に係合され、前記回転部材のウエビン
    グ引出方向の回転が阻止された際には前記スプールと前
    記回転部材との相対回転に伴って前記係合された部位に
    おいてしごかれる長尺状部材と、 前記長尺状部材の中間部に当接して前記何れか他方に設
    けられ、前記相対回転に伴って前記長尺状部材との当接
    状態が解除されると前記回転部材に対する前記スプール
    のウエビング引出方向の相対回転を阻止するストッパ手
    段と、 を備えたウエビング巻取装置。
  2. 【請求項2】 前記長尺状部材は、互いに対向する前記
    何れか一方の外周部と前記何れか他方の内周部との間に
    配置され、前記相対回転に伴って前記何れか一方の外周
    部に巻き取られる、ことを特徴とする請求項1記載のウ
    エビング巻取装置。
  3. 【請求項3】 前記長尺状部材は、少なくとも前記係合
    された部位においてしごかれる中間部の断面積が他端部
    へ向けて徐々に減少された、ことを特徴とする請求項1
    または請求項2記載のウエビング巻取装置。
  4. 【請求項4】 前記スプールの一端側に前記スプールと
    同軸的でかつ相対回転可能に設けられ、車両の急減速ま
    たは前記ウエビングの急激な引出しが検知された際にロ
    ック手段によりウエビング引出方向の回転が阻止される
    ロックベースと、 前記スプール内に前記スプールと同軸的に設けられ、一
    端部が前記スプールに連結されると共に他端部が前記ロ
    ックベースに連結され、通常は前記スプールと前記ロッ
    クベースとを一体に回転させ、前記ロックベースのウエ
    ビング引出方向の回転が阻止されるとウエビング引張力
    により捩じれつつ前記スプールを前記ロックベースに対
    してウエビング引出方向へ相対回転させるトーションバ
    ーと、 を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れ
    か1項記載のウエビング巻取装置。
  5. 【請求項5】 前記ロックベースは前記回転部材を兼ね
    る、ことを特徴とする請求項4記載のウエビング巻取り
    装置。
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