JP4077733B2 - ウエビング巻取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等の座席に着座した乗員の身体を長尺帯状のウエビングベルトで拘束するためのシートベルト装置を構成するウエビング巻取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の座席に着座した乗員の身体を長尺帯状のウエビングベルトで拘束するシートベルト装置は、座席の側方で車体に固定されたウエビング巻取装置を備えている。ウエビング巻取装置は、例えば、軸方向が略車両前後方向に沿ったスプール(巻取軸)を備えており、このスプールにウエビングベルトの長手方向基端側が係止されている。スプールはその外周部にウエビングベルトを層状に巻き取ることができ、シートベルト装置を使用しない場合には、スプールの外周部にウエビングベルトを巻き取らせて収容することができるようになっている。
【0003】
また、ウエビング巻取装置には、車両急減速状態になった際の加速度(減速度)を検知して引出方向へのスプールの回転を規制するロック機構、同じく、車両急減速状態になった際の加速度(減速度)を検知して、巻取方向へスプールを強制的に回転させるプリテンショナ機構、更には、上記のロック機構によるスプールのロック状態で、車両急減速状態での慣性により車両前方側へ移動しようとする乗員の身体がウエビングベルトを引っ張った際のウエビングベルトの拘束力を一定値以下に保つフォースリミッタ機構等が設けられている。
【0004】
上記のロック機構は、通常、スプールの軸方向一端側に設けられたロックベースを備えている。ロックベースは、スプールの内側にスプールに対して同軸的に配置されると共に、スプールの軸方向他端側でスプールに一体的に連結されたトーションシャフトの軸方向他端部に同軸的且つ一体的に連結されている。
【0005】
また、ロック機構はロックベースに対して同軸的に相対回転可能なイナーシャルプレート(慣性板)を備えている。但し、イナーシャルプレートは圧縮コイルスプリングや捩じりコイルスプリングを介してロックベースに連結されている。このため、通常時におけるスプールの回転に対しては、上記のようなスプリングの付勢力によりスプールに追従回転する。
【0006】
しかしながら、急激にスプールが引出方向に回転することで、スプールの回転にイナーシャルプレートが追従できず、これにより、イナーシャルプレートとスプールとの間に相対回転が生じた場合には、この相対回転に連動して、ロック部材がウエビング巻取装置を構成するフレームに形成されたラチェット孔のラチェット歯に噛み合う。これにより、スプールの軸方向一端側でロックベースの回転を規制し、間接的にスプールの回転を規制する構造となっている。
【0007】
一方、フォースリミッタ機構は、上記のロック機構によるロック状態で更にスプールに引出方向への所定値以上の回転力が付与された際に、スプールと一体のトーションシャフトの軸方向他端部を、ロック機構によりロックされたトーションシャフトの軸方向一端に対して引出方向に捩じることで塑性変形させ、この変形分だけウエビングベルトの引き出しを許容することで、ウエビングベルトによる拘束力を一定値以上に上昇させない構成となっている。
【0008】
ところで、上記のように、フォースリミッタ機構はロック機構が作動してトーションシャフトの軸方向一端をロックするまで作動しない。しかも、ロック機構はイナーシャルプレートとロックベースとの間に相対回転が生じるまではスプールがロックされない。
【0009】
このため、車両急減速状態になり乗員の身体がウエビングベルトを引っ張ってから実際にフォースリミッタ機構が作動するまでには、極僅かではあるが時間的にロスが生じる。
【0010】
このようなフォースリミッタ機構の時間的なロスを解消するための構造が下記特許文献1に開示されている。
【0011】
この特許文献1に開示されている構造では、トーションシャフト(トーションバー)は、その軸方向一端にてスプール(ベルト・リール)に一体的に連結されている。また、トーションシャフト(トーションバー)の軸方向他端側、すなわち、プリテンショナ機構(ベルト・テンショナ機構)側を支持する軸受板は、弾性変形可能とされており、トーションシャフトに対してその軸直交方向の外力が付与されると、トーションシャフトがその外力の作用方向に変位できる構造となっている。
【0012】
さらに、トーションシャフトには外歯を有する内輪がトーションシャフトに対して相対回転可能に設けられている。この内輪は、プリテンショナ機構が作動することでトーションシャフトに機械的に連結されて略一体となる。
【0013】
このようにトーションシャフトと内輪とが一体となった状態で、車両乗員が略車両前方側に移動しようとしてウエビングベルトを引っ張り、スプールを介してトーションシャフトをその軸周りのみならず、軸直交方向に変位させると、内輪も共にその軸直交方向に変位する。
【0014】
このトーションシャフトの軸直交方向への内輪の変位によって内輪の外周部に形成されている外歯が外リングに形成されている内歯に噛み合う。この状態で内輪が引出方向に回転しようとすると、外歯が内歯に干渉して、内輪の回転が規制され、ひいては、スプールのプリテンショナ側における引出方向の回転が規制される。
【0015】
このように、プリテンショナ側でのトーションシャフトの引出方向への回転が規制されることで、スプールの回転力が付与されたトーションシャフトの軸方向一端と、トーションシャフトの軸方向他端との間で素早く変形を生じさせることができる構造となっている。
【0016】
【特許文献1】
特開平10-1025号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記特許文献1に開示された構造では、内輪の外歯が噛み合うためには、内輪がトーションシャフトと共にその軸直交方向に変位しなくてはならない。このようなトーションシャフトやスプールがその軸直交方向に変位することでロック機構等、ウエビング巻取装置の他の機構の動作を規制してしまったり、動作の障害になる可能性がある。
【0018】
このため、トーションシャフトやスプールが軸直交方向に変位しても、このような他の機構が正常に動作できるように対策を施さなくてはならず、他の機構にも大幅な設計変更等が要求されるという問題があり、現実的ではない。
【0019】
本発明は、上記事実を考慮して、装置の他の機構に構造的な影響を大きく及ぼすことなく、車両急減速状態に車両乗員がウエビングベルトを引っ張った際に素早くトーションシャフトに捩じりを生じさせることができるウエビング巻取装置を得ることが目的である。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、長尺帯状のウエビングベルトの長手方向基端側が外周部に係止された略筒状のスプールを有し、前記スプールをその軸周り一方の巻取方向への回転させることで、前記スプールの外周部に前記ウエビングベルトをその基端側から巻き取らせ、前記ウエビングベルトをその先端側へ引っ張ることで前記巻取方向とは反対の引出方向へ前記スプールを回転させつつ前記ウエビングベルトを引き出すウエビング巻取装置であって、前記スプールの内側で前記スプールに対して略同軸的に設けられると共に、軸方向一端が前記スプールに一体的に連結されたトーションシャフトと、前記トーションシャフトの軸方向他端側に設けられた連結部材を有し、車両急減速状態で前記連結部材を所定方向へ変位させて前記トーションシャフトの軸方向他端部に直接或いは間接的に連結させ、前記トーションシャフトを介して前記スプールを前記巻取方向に回転させるプリテンショナ機構と、前記プリテンショナ機構に設けられ、前記所定方向への前記連結部材の変位を許容すると共に、前記所定方向とは反対方向への前記連結部材の変位を規制して前記プリテンショナ機構を当該作動終了状態でロックするプリテンショナロック手段と、を備えることを特徴としている。
【0021】
上記構成のウエビング巻取装置によれば、略筒状のスプールの外周部にウエビングベルトの長手方向基端側が係止されており、スプールの軸周り一方である巻取方向にスプールを回転させると、スプールの外周部にウエビングベルトが基端側から層状に巻き取られ、これにより、ウエビングベルトが収納される。
【0022】
これに対して、以上の巻取状態でウエビングベルトを先端側へ引っ張ると、スプールに巻き取られたウエビングベルトが引き出されつつスプールが巻取方向とは反対の引出方向に回転する。このように引き出されたウエビングベルトを、例えば、座席に着座した乗員の身体に掛け回してウエビングベルトの長手方向中間部に設けられたタングプレートを座席側方に設けられたバックル装置に係合させることで乗員の身体に対するウエビングベルトの装着状態となり、乗員の身体がウエビングベルトにより拘束される。
【0023】
一方、車両が急減速状態になると、プリテンショナ機構が作動して、プリテンショナ機構の連結部材が所定方向に変位し、連結部材がトーションシャフトの軸方向他端部に直接或いは間接的に連結してトーションシャフトを強制的に巻取方向に回転させる。トーションシャフトはスプールに対して同軸的にスプール内に設けられ、軸方向一端側でスプールに一体的に連結されているため、プリテンショナ機構からトーションシャフトに付与された巻取方向への回転力は、トーションシャフトを介してスプールに伝えられ、スプールが強制的に巻取方向に回転させられる。
【0024】
このように、スプールが巻取方向に回転させられることで、この回転量に応じた長さだけ、ウエビングベルトがスプールに巻き取られる。これにより、乗員身体に対するウエビングベルトの拘束力が上昇し、ウエビングベルトがプリテンショナ機構作動前よりも強力に乗員の身体を拘束して、車両急減速時の慣性で車両前方側へ移動しようとする乗員の身体をウエビングベルトが確実に保持する。
【0025】
さらに、この状態で上記のように車両急減速時の慣性で、乗員の身体が車両前方側へ移動しようとすると、乗員の身体によりウエビングベルトが引っ張られてウエビングベルトが強制的に引き出される。この状態でウエビングベルトに付与された引張力は、スプールを引出方向に回転させようとし、更に、スプールを介してスプールに一体的に連結されているトーションシャフトの軸方向一端を引出方向に回転させようとする。
【0026】
ここで、本ウエビング巻取装置では、上述したプリテンショナ機構の連結部材は、トーションシャフトに連結するための変位方向である所定方向とは反対方向に変位しようとすると、このトーションシャフトの変位がプリテンショナ機構に設けられたプリテンショナロック手段により規制され、これにより、プリテンショナ機構が作動終了状態でロックされ、更に、プリテンショナ機構がロックされることでトーションシャフトの軸方向他端側がロックされる。
【0027】
したがって、本ウエビング巻取装置では、上記のようにトーションシャフトの軸方向他端部がロックされた状態でトーションシャフトの軸方向一端に引出方向への回転力が付与されることにより、トーションシャフトに捩じれが生じる。このトーションシャフトの捩じれ(すなわち、変形)に伴い生じるエネルギー吸収により、乗員の身体がウエビングベルトを引っ張る引張力に対応したウエビングベルトが乗員の身体を拘束する拘束力の増加が抑制される。
【0028】
ここで、本ウエビング巻取装置では、プリテンショナ機構の作動終了時にプリテンショナロック機構がプリテンショナ機構をロックすることでトーションシャフトの軸方向他端がロックされる。これにより、プリテンショナ機構の作動が終了してから乗員の身体がウエビングベルトを引っ張れば、トーションシャフトに捩じれが即座に生じ、上記のエネルギー吸収による拘束力増加の抑制を開始できる。
【0029】
しかも、プリテンショナロック手段は、プリテンショナ機構に設けられており、上記の連結部材の変位を規制する構造であるため、ロック機構等、トーションシャフトに連結される他の機構を本ウエビング巻取装置に設けても、このような他の装置の構造にプリテンショナロック手段が影響を及ぼすことがない。
【0030】
請求項2記載の本発明は、長尺帯状のウエビングベルトの長手方向基端側が外周部に係止された略筒状のスプールを有し、前記スプールをその軸周り一方の巻取方向への回転させることで、前記スプールの外周部に前記ウエビングベルトをその基端側から巻き取らせ、前記ウエビングベルトをその先端側へ引っ張ることで前記巻取方向とは反対の引出方向へ前記スプールを回転させつつ前記ウエビングベルトを引き出すウエビング巻取装置であって、前記スプールの内側で前記スプールに対して略同軸的に設けられると共に、軸方向一端が前記スプールに一体的に連結されたトーションシャフトと、前記トーションシャフトの軸方向他端側に設けられ、前記トーションシャフトに対して同軸的に相対回転可能な回転体を有すると共に、前記巻取方向への前記回転体の回転に連動して前記トーションシャフトに前記回転体を直接或いは間接的に連結して前記トーションシャフトに前記回転体の回転を伝えるクラッチ部材を有するクラッチ機構と、前記トーションシャフトの軸方向他端側に設けられ、車両急減速状態で作動して前記回転体に連結し、前記回転体を前記巻取方向に回転させるプリテンショナ機構と、少なくとも前記回転体が前記巻取方向に回転した状態で前記回転体に直接或いは間接的に係合し、前記回転体への係合状態で前記回転体の前記引出方向への回転を規制し、前記トーションシャフトの軸方向他端側における回転を規制して前記プリテンショナ機構をロックするプリテンショナロック手段と、を備えることを特徴としている。
【0031】
上記構成のウエビング巻取装置によれば、略筒状のスプールの外周部にウエビングベルトの長手方向基端側が係止されており、スプールの軸周り一方である巻取方向にスプールを回転させると、スプールの外周部にウエビングベルトが基端側から層状に巻き取られ、これにより、ウエビングベルトが収納される。
【0032】
これに対して、以上の巻取状態でウエビングベルトを先端側へ引っ張ると、スプールに巻き取られたウエビングベルトが引き出されつつスプールが巻取方向とは反対の引出方向に回転する。このように引き出されたウエビングベルトを、例えば、座席に着座した乗員の身体に掛け回してウエビングベルトの長手方向中間部に設けられたタングプレートを座席側方に設けられたバックル装置に係合させることで乗員の身体に対するウエビングベルトの装着状態となり、乗員の身体がウエビングベルトにより拘束される。
【0033】
一方、車両が急減速状態になると、プリテンショナ機構が作動して、プリテンショナ機構がクラッチ手段の回転体を巻取方向に回転させる。この回転体の巻取方向への回転によりクラッチ手段のクラッチ部材が回転体とトーションシャフトの軸方向他端側とを直接或いは間接的に連結し、この回転体とトーションシャフトとの連結によって回転体の巻取方向への回転がトーションシャフトの軸方向他端側に伝えられ、トーションシャフト、ひいては、スプールが巻取方向に強制的に回転させられる。
【0034】
このように、スプールが巻取方向に回転させられることで、この回転量に応じた長さだけ、ウエビングベルトがスプールに巻き取られる。これにより、乗員身体に対するウエビングベルトの拘束力が上昇し、ウエビングベルトがプリテンショナ機構作動前よりも強力に乗員の身体を拘束して、車両急減速時の慣性で車両前方側へ移動しようとする乗員の身体をウエビングベルトが確実に保持する。
【0035】
さらに、この状態で上記のように車両急減速時の慣性で、乗員の身体が車両前方側へ移動しようとすると、乗員の身体によりウエビングベルトが引っ張られてウエビングベルトが強制的に引き出される。この状態でウエビングベルトに付与された引張力は、スプールを引出方向に回転させようとし、更に、スプールを介してスプールに一体的に連結されているトーションシャフトの軸方向一端を引出方向に回転させようとする。
【0036】
ここで、本ウエビング巻取装置では、少なくとも上記のように回転体が巻取方向に回転した状態では、プリテンショナロック手段が回転体に直接或いは間接的に係合し、プリテンショナロック手段によって回転体の引出方向への回転が規制される。このプリテンショナロック手段による回転体の引出方向への回転規制によってプリテンショナ機構が作動終了状態でロックされ、更に、プリテンショナ機構がロックされることでトーションシャフトの軸方向他端側がロックされる。
【0037】
したがって、本ウエビング巻取装置では、上記のようにトーションシャフトの軸方向他端部がロックされた状態でトーションシャフトの軸方向一端に引出方向への回転力が付与されることでトーションシャフトに捩じれが生じる。このトーションシャフトの捩じれ(すなわち、変形)に伴い生じるエネルギー吸収により、乗員の身体がウエビングベルトを引っ張る引張力に対応したウエビングベルトが乗員の身体を拘束する拘束力の増加が抑制される。
【0038】
ここで、本ウエビング巻取装置では、プリテンショナ機構の作動終了時にプリテンショナロック機構がプリテンショナ機構をロックすることで、トーションシャフトの軸方向他端がロックされる。これにより、プリテンショナ機構の作動が終了してから乗員の身体がウエビングベルトを引っ張れば、トーションシャフトに捩じれが即座に生じ、上記のエネルギー吸収による拘束力増加の抑制を開始できる。
【0039】
しかも、プリテンショナロック手段は、プリテンショナロック手段は回転体の回転を規制する構造であって、回転体やトーションシャフトがその軸方向に対して交差する方向に変位する構造ではない。したがって、ロック機構等、トーションシャフトに連結される他の機構を本ウエビング巻取装置に設けても、このような他の装置の構造にプリテンショナロック手段が影響を及ぼすことがない。
【0040】
【発明の実施の形態】
<第1の実施の形態の構成>
図1には、本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置10の全体構成の概略が正面断面図によって示されている。
【0041】
この図に示されるように、ウエビング巻取装置10はフレーム12を備えている。フレーム12は略板状の背板14を備えており、この背板14がボルト等の図示しない締結手段によって車体に固定されることで、本ウエビング巻取装置10が車体に取り付けられる構成となっている。背板14の幅方向両端からは一対の脚板16、18が互いに平行に延出されており、これらの脚板16、18間にダイカスト等によって製作された巻取軸としてのスプール20が回転可能に配置されている。
【0042】
スプール20は略円筒形状のスプール本体22を備えている。スプール本体22の軸方向両端側にはそれぞれフランジ部24、26がスプール本体22に対して略同軸的に形成されている。両フランジ部24、26の間でスプール本体22には長尺帯状のウエビングベルト28の基端部が係止されている。スプール20をその軸周り一方へ回転させると、ウエビングベルト28がその基端側からスプール本体22の外周部に層状に巻き取られる。
【0043】
また、ウエビングベルト28をその先端側から引っ張れば、スプール本体22の外周部に巻き取られたウエビングベルト28が引き出され、これに伴い、ウエビングベルト28を巻き取る際の回転方向(以下、この方向を便宜上「巻取方向」と称する)とは反対にスプール20が回転する(以下、ウエビングベルト28を引き出す際のスプール20の回転方向を便宜上「引出方向」と称する)。
【0044】
さらに、スプール本体22の軸方向一端(脚板16側)には、嵌合孔30が形成されている。嵌合孔30の断面形状はスプール本体22に対して略同軸の略円形とされている。しかも、嵌合孔30は軸方向一端側へ向けて段階的に内径寸法が大きくなる断付き形状とされている。
【0045】
一方、スプール20の軸方向一端側には、ロックベース32が設けられている。ロックベース32は、嵌合部34を備えている。嵌合部34はスプール20の軸方向他端側へ向けて段階的に外形寸法が小さくなる略円柱形状に形成されており、この嵌合部34が上記の嵌合孔30に嵌め込まれている。また、嵌合部34には一対の小孔58がロックベース32を介して対抗するように形成されている。
【0046】
小孔58は軸方向一方の側が開口した有底形状とされており、各小孔58にはピン60が嵌挿されている。ピン60はその一端が小孔58の開口端から突出しており、ロックベース32に形成された小孔62に嵌挿されている。これにより、スプール本体22に対するロックベース32の相対回転が規制されている。
【0047】
また、ロック機構38はケース42を備えている。ケース42は脚板16の外側(すなわち、脚板18とは反対側)に設けられており、脚板16にねじ等の締結手段や嵌合爪等の嵌合手段等により脚板16に一体的に固定されている。このケース42の内側には、図示しないラチェットギヤや圧縮コイルスプリング等のロック機構38を構成する部材が収容されている。
【0048】
上記のラチェットギヤは後述するトーションシャフト44の軸方向一端にスプール20並びにロックベース32に対して同軸的且つ相対回転自在に軸支されている。また、圧縮コイルスプリングはその一端がラチェットギヤに係止されており他端はロックベース32に係止されている。これにより、ロックベース32が回転して圧縮コイルスプリングを圧縮し、若しくは引っ張ることで圧縮コイルスプリングの付勢力が増加すると、圧縮コイルスプリングがその付勢力でラチェットギヤをロックベース32の回転方向へ付勢してロックベース32をラチェットギヤの回転方向と同方向へ回転させる構成となっている。
【0049】
また、ラチェットギヤには、ロックベース32に取り付けられたロックプレート40が係合しており、ロックベース32に対してラチェットギヤが相対的に巻取方向へ回転した際には、ラチェットギヤに誘導されてスプール20の回転半径方向外方へ移動し、脚板16に形成されている内歯のラチェット歯46に噛み合い、ロックベース32の回転を規制する構成となっている。
【0050】
また、ラチェットギヤの半径方向下方には、図示しないロック機構38用の加速度センサが配置されている。この加速度センサは、ラチェットギヤに対して接離移動可能な係合爪と、係合爪のラチェットギヤとは反対側に設けられた鋼球と、鋼球が載置された略皿状の載置部と、を含めて構成されている。ロック機構用の加速度センサは、車両急減速状態で鋼球が載置部上で転動すると鋼球が係合爪を押し上げてラチェットギヤに接近移動させ、係合爪をラチェットギヤに係合させてラチェットギヤの回転を規制する構造となっている。
【0051】
一方、スプール本体22の内部には、トーションシャフト44がスプール20に対して同軸的に収容されている。トーションシャフト44の軸方向一端側は、ロックベース32を同軸的に貫通して、上述したようにラチェットギヤを回転自在に軸支していると共に、ケース42に回転自在に軸支されている。
【0052】
また、トーションシャフト44のロックベース32に入り込んだ部分の外周部の一部にはスプライン加工が施されており、これにより、トーションシャフト44とロックベース32とが同軸的且つ一体的に連結されている。
【0053】
これに対して、トーションシャフト44の軸方向他端側にはスリーブ48が設けられている。図1及び図2に示されるように、スリーブ48は、小径筒部50を備えている。小径筒部50は外周部に略円形とされており、スプール本体22の軸方向他端部で開口したスプール本体22に対して同軸の円孔52に嵌挿されスプール本体22に同軸的に相対回転可能に連結されている。また、小径筒部50には内周部にスプライン加工が施されたスプライン孔54が小径筒部50に対して同軸的に形成されている。スプライン孔54にはトーションシャフト44の軸方向他端部が嵌め込まれている。トーションシャフト44の軸方向他端部には外周部にスプライン加工が施されており、これにより、小径筒部50とトーションシャフト44とが同軸的且つ一体的に連結されている。
【0054】
また、小径筒部50の軸方向他端側側方には、小径筒部50と共にスリーブ48を構成する大径部56が同軸的に一体形成されている。大径部56は外周形状が略円形とされ、且つ、外径寸法は小径筒部50よりも大径とされており、脚板18に形成された円孔64を貫通してフレーム12の外側へ突出している。
【0055】
さらに、フレーム12の外側には、クラッチ66を構成するクラッチフレーム68が設けられている。クラッチフレーム68は、外周形状が大径部56よりも充分に大きな厚肉の円盤形状とされており、スプール20に対して略同軸的な状態で脚板18に対向配置されている。
【0056】
クラッチフレーム68にはその軸方向一端部で開口した有底孔70が形成されており、したがって、クラッチフレーム68は全体的に浅底の有底筒形状とされている。有底孔70の内周部は略120度毎に分割され、その各々がクラッチ壁72とされている。各クラッチ壁72は、クラッチフレーム68の軸心位置からの寸法が引出方向へ向けて漸次小さくなっている。但し、クラッチフレーム68の軸心位置からの寸法が最小となる部分であっても、そのクラッチフレーム68の軸心位置からの寸法は、大径部56の半径寸法よりも充分に大きい。
【0057】
また、各クラッチ壁72と大径部56の外周部との間には、クラッチローラ74が配置されている。クラッチローラ74は、軸方向がスプール20の軸心と略同方向の円柱形状に形成されている。
【0058】
また、各クラッチローラ74の外径寸法は、クラッチ壁72のうち、クラッチフレーム68の軸心位置からの寸法が最大となる部分におけるクラッチフレーム68の軸心位置からの寸法と、大径部56の半径寸法との差よりも小さいが、クラッチフレーム68の軸心位置からの寸法が最小となる部分におけるクラッチフレーム68の軸心位置からの寸法と、大径部56の半径寸法との差よりも充分に大きい。さらに、各クラッチローラ74は、脚板18に係止された保持片76により大径部56の外周部及びクラッチ壁72の何れにも接しない状態で保持されている。
【0059】
一方、クラッチフレーム68の外底部には、プリテンショナ機構78を構成するピニオン80が同軸的に形成されており、ピニオン80の回転半径方向外方にはラックバー82が配置されている。
【0060】
ラックバー82は、概ねフレーム12の上下方向に沿って長手方向とされており、その幅方向一端には断続的にラック歯84が形成されている。ラック歯84はピニオン80に噛み合っていないが、ラックバー82が上方へスライドすることでピニオン80に噛み合うことができるようになっている。
【0061】
一方、プリテンショナ機構78は、シリンダ86を備えている。シリンダ86はフレーム12の上方側へ向けて開口した略有底円筒形状に形成されている。シリンダ86の底部側の周壁には図示しない貫通孔が形成されており、この貫通孔を介してガス発生手段としての図示しないガスジェネレータが接続されている。
【0062】
ガスジェネレータは、着火装置及びガス発生部等を備えており、例えば、車両急減速状態を加速度センサ等の加速度検出手段等が検出した際に、着火装置が作動すると、着火装置がガス発生部のガス発生剤を瞬間的に燃焼させ、瞬時に大量のガスを発生させてシリンダ86の底部側へ供給する構造となっている。
【0063】
また、シリンダ86の内部には、ピストン88が配置されている。ピストン88は、一対のシリンダ86の軸方向に沿って互いに対向する一対の円板部90を備えている。さらに、これらの円板部90の間には、外径寸法が円板部90よりも小径の小径部92が設けられており、小径部92の下側には下方へ向けて漸次外径寸法が小さくなる略円錐台形状のテーパ部94が設けられている。これらの円板部90、小径部92、及びテーパ部94は同軸的に一体形成されている。
【0064】
また、小径部92の半径方向外方には、ゴム若しくはゴム程度の弾性を有する合成樹脂材により略リング状に形成されたOリング(オーリング)95が配置されている。これに対して、テーパ部94の半径方向外方側にはプリテンショナロック手段としてのストッパリング96が配置されている。
【0065】
図3に示されるように、ストッパリング96は、ばね性を有する金属材料等により全体的に略リング状に形成されている。また、ストッパリング96の内周部は、テーパ部98とされており、下方へ向けて漸次内径寸法が小さくなるように形成されており、最小内径寸法はテーパ部94における最大外径寸法よりも充分に小さくなるように設定されている。
【0066】
また、ストッパリング96は完全なリング状ではなく、その一部が半径方向に沿って切断されている。したがって、ストッパリング96には、周方向に沿った一端と他端が存在し、この一端と他端とが互いに離間する方向にストッパリング96が弾性変形することで、ストッパリング96の内径寸法及び外径寸法が大きくなる構成である。
【0067】
一方、図1に示されるように、上述した大径部56の小径筒部50とは反対側には、シャフト100がスプール20に対して同軸的に形成されている。シャフト100は、クラッチフレーム68の底部及びピニオン80を同軸的に貫通することで、クラッチフレーム68及びピニオン80を回転自在に軸支していると共に、シリンダ86の上端から延設されたプリテンショナフレーム102を貫通し、プリテンショナフレーム102を介してフレーム12とは反対側に設けられた図示しないケースに入り込んでいる。
【0068】
この図示しないケースは、プリテンショナフレーム102若しくはフレーム12に固定されていると共に、内部に渦巻きばねが収容されている。この渦巻きばねは、相対的に渦巻きの外側に位置する端部がケースに係止されていると共に、内側に位置する端部がシャフト100に係止されており、シャフト100が引出方向へ回転すると、渦巻きばねが巻き締められて付勢力が増加し、シャフト100を巻取方向へ付勢する構成となっている。
【0069】
<第1の実施の形態の作用、効果>
次に、本ウエビング巻取装置10の動作の説明を通して、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0070】
先ず、本ウエビング巻取装置10の基本動作について説明する。
【0071】
本ウエビング巻取装置10では、スプール20にウエビングベルト28が層状に巻き取られた収納状態で、図示しないタングプレートを引っ張りつつウエビングベルト28を引っ張ると、スプール20を巻取方向に付勢する渦巻きばねの付勢力に抗してスプール20を引出方向へ回転させながらウエビングベルト28が引き出される。このように、ウエビングベルト28が引き出された状態で、ウエビングベルト28を座席に着座した乗員の身体の前方に掛け回しつつタングプレートを図示しないバックル装置に差し込み、バックル装置にタングプレートを保持させることで乗員の身体に対するウエビングベルト28の装着状態(以下、単に「装着状態」と称する)となる。
【0072】
また、ウエビングベルト28を装着するためにウエビングベルト28を引き出してスプール20を引出方向へ回転させると、引出方向へのスプール20の回転がスリーブ48の小径筒部50、ピン60、及び大径部56を介してシャフト100に伝えられ、シャフト100が引出方向へ回転する。このシャフト100の引出方向の回転により上述した渦巻きばねが巻き締められて付勢力が増加し、シャフト100を介してスプール20を巻取方向側へ付勢する。
【0073】
このように、上記装着状態では、渦巻きばねの付勢力がウエビングベルト28をスプール20に巻き取らせるように作用するため、基本的には、この付勢力で乗員の身体にウエビングベルト28がフィットし、このときの付勢力に応じた力でウエビングベルト28が乗員の身体を拘束、保持する。
【0074】
一方、バックル装置によるタングプレートの保持が解除され、バックル装置からタングプレートが抜け出ると、渦巻きばねの付勢力に抗して引出状態のままウエビングベルト28を維持する力が解除されるため、渦巻きばねは付勢力でスプール20を巻取方向に回転させる。この巻取方向へのスプール20の回転により、引き出されたウエビングベルト28がスプール20の外周部に層状に巻き取られ、これにより、ウエビングベルト28が収納される。
【0075】
ところで、本ウエビング巻取装置10では、車両が急減速状態になると、プリテンショナ機構78を構成するガスジェネレータが作動し、着火装置がガス発生部のガス発生剤を瞬間的に燃焼させ、瞬時に大量のガスを発生させる。このようにして急激に大量発生したてガスはシリンダ86の底部側へ供給され、これにより、シリンダ86の底部側における内圧が急上昇する。
【0076】
さらに、シリンダ86の底部側における内圧が上昇することでピストン88が上昇し、ピストン88と一体のラックバー82が上方へスライドする。ラックバー82は上昇することでピニオン80に噛み合い、ピニオン80を巻取方向へ回転させる。ピニオン80が巻取方向へ回転することでピニオン80と一体のクラッチフレーム68が巻取方向に回転する。
【0077】
図4に示される状態からクラッチフレーム68が巻取方向に回転すると、クラッチ壁72がクラッチローラ74に直接或いは保持片76を介して間接的に係合し、クラッチローラ74を巻取方向に押圧する。この押圧力が直接或いは間接的に作用した保持片76はその基端側にて破断され、これにより、クラッチ壁72からの押圧力を受けたクラッチローラ74がクラッチ壁72にガイドされてクラッチフレーム68の半径方向内側へ変位し、最終的には図5に示されるように大径部56の外周部へ圧接する。
【0078】
クラッチローラ74が大径部56の外周部へ圧接することで、巻取方向へのクラッチフレーム68の回転が大径部56に伝えられ、大径部56が巻取方向に回転させられる。巻取方向への大径部56の回転は小径筒部50を介してトーションシャフト44の軸方向他端へ伝えられ、更に、ロックベース32を介してスプール20へ伝えられる。
【0079】
これにより、スプール20が巻取方向に回転させられると、スプール20にウエビングベルト28が巻き取られる。このように、スプール20にウエビングベルト28が巻き取られることでウエビングベルト28による拘束力が上昇し、車両急減速状態での慣性で略車両前方側へ移動しようとする乗員の身体がウエビングベルト28によって確実に保持される。
【0080】
次いで、以上のようにプリテンショナ機構78が作動した後に、車両急減速状態での慣性で乗員が略車両前方側へ移動しようとすると、ウエビングベルト28が引っ張られる。このように、ウエビングベルト28が引っ張られることでスプール20には引出方向への回転力が付与される。
【0081】
ここで、既にプリテンショナ機構78が作動した状態では、上記のようにクラッチローラ74を介して大径部56とクラッチ壁72(すなわち、クラッチフレーム68)とが機械的に連結されている。このため、スプール20に付与された回転力はスリーブ48、クラッチローラ74、及びクラッチフレーム68を介してピニオン80に伝わり、ピニオン80を引出方向に回転させる。ピニオン80が引出方向に回転することで、既にピニオン80に噛み合ったラックバー82は下方へ強制的にスライドさせられ、これに伴いピストン88がシリンダ86の底部側へ下降させられる。
【0082】
ピストン88が下降させられることで、テーパ部94の内周部がストッパリング96のテーパ部98を下方へ押圧する。したがって、ストッパリング96は下降するが、テーパ部98で受けたテーパ部94からの押圧力は、ストッパリング96の半径方向外側へも作用するため、ストッパリング96は拡径され、外周部がシリンダ86の内周部に圧接する。
【0083】
このときシリンダ86の内周部とストッパリング96の外周部との間に生じた摩擦力は、ストッパリング96の下降を妨げるように作用する。このため、ストッパリング96を介してピストン88の下降がシリンダ86の内周部とストッパリング96の外周部との間に生じた摩擦力により規制される。
【0084】
このように、ピストン88の下降が規制されることで、引出方向へのピニオン80の回転が規制されると、トーションシャフト44の軸方向他端の回転が規制されるが、トーションシャフト44の軸方向一端にはロックベース32を介して引出方向へのスプール20の回転力が付与されているため、トーションシャフト44の軸方向一端と他端との間で捩じれが生じ、トーションシャフト44が変形させられる。このトーションシャフト44の捩じり変形により、ウエビングベルト28が乗員の身体を拘束する拘束力が一定値以上になることが防止される。
【0085】
ここで、本ウエビング巻取装置10では、上記のように、ストッパリング96によってピストン88の下降を規制することでトーションシャフト44の軸方向他端をロックして、トーションシャフト44の軸方向一端との間に捩じれを生じさせる。このため、プリテンショナ機構78が作動した後は、上記のロック機構38を作動させることなく素早くトーションシャフト44に捩じれを生じさせることができる。
【0086】
また、本ウエビング巻取装置10では、上記のように、ストッパリング96によってピストン88の下降を規制する構造であって、トーションシャフト44の回転半径方向への変位を要求する構造ではない。したがって、トーションシャフト44に連結される他の機構を本ウエビング巻取装置10に設けても、トーションシャフト44が回転半径方向に変位することはないため、このような他の機構の動作にも影響がない。
【0087】
<第2の実施の形態の構成>
次に、本発明のその他の実施の形態について説明する。
【0088】
なお、以下の各実施の形態を説明するうえで、前記第1の実施の形態を含めて説明している実施の形態よりも前出の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0089】
図6には、本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻取装置のプリテンショナロック手段の構成が分解斜視図により示されている。
【0090】
この図に示されるように、本実施の形態では、クラッチ機構を構成するクラッチフレーム122を備えている。クラッチフレーム122は基本的にクラッチフレーム68と同じ構成であるが、底部側からクラッチ機構を構成する回転体としてのクラッチ板124が延出されている点でクラッチフレーム68とは構成が異なる。クラッチ板124は概念的にクラッチフレーム68の軸心周りに略120度毎に分割される。その略120度の範囲で外周部はクラッチフレーム68の軸心周りに巻取方向へ向けて漸次外径寸法が大きくなる。
【0091】
また、クラッチ板124の回転半径方向外側には、プリテンショナロック手段としての筒体126が配置されている。筒体126は、脚板18側へ向けて開口した浅底の有底円筒形状に形成されており、その内径寸法はクラッチ板124の外径寸法の最大値よりも大きく、クラッチ板124を含めてクラッチフレーム68を内側に収容した状態でスプール20に対して同軸的に脚板18に固定されている。
【0092】
さらに、筒体126の内底部には3本のシャフト128が筒体126に対して同軸的に形成されている。これらの3本のシャフト128は、クラッチ板124のうち、3箇所の外径寸法が最小となる部分の近傍に対応して形成されている。
【0093】
また、これらのシャフト128には、クラッチ機構を構成するクラッチ部材としてのクラッチローラ130が軸支されている。これらのクラッチローラ130の外径寸法は、クラッチ板124の外径寸法が最小となる位置におけるクラッチ板124の外周部と筒体126の内周部との間の隙間よりも僅かに小さく、クラッチ板124の外径寸法が最大となる位置におけるクラッチ板124の外周部と筒体126の内周部との間の隙間よりも充分に大きい。
【0094】
さらに、筒体126の底部には円孔64が同軸的に形成されており、ピニオン80は円孔64を貫通して筒体126の外部に突出している。
【0095】
<第2の実施の形態の作用、効果>
すなわち、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同様にプリテンショナ機構78が作動してピニオン80が巻取方向に回転すると、図7に示される状態から、クラッチフレーム68と共にクラッチ板124が回転し、クラッチ板124がクラッチローラ130を巻取方向に押圧する。この押圧力はシャフト128に間接的に作用し、図8に示されるようにシャフト128の基端部を破断する。これにより、シャフト128によるクラッチローラ130の変位規制が解除され、クラッチ板124からの押圧力でクラッチローラ74が移動する。
【0096】
次いで、大径部56とクラッチ壁72(すなわち、クラッチフレーム68)とが機械的に連結された状態で、乗員の身体がウエビングベルト28を引っ張ろうとする引張力に起因する引出方向への回転力がスプール20及びスリーブ48を介してクラッチフレーム68に伝わり、クラッチフレーム68が引出方向に回転するとクラッチ板124が引出方向へ回転する。
【0097】
但し、この状態では、クラッチローラ130はそれまで付与されていたクラッチ板124からの巻取方向への押圧力が付与されなくなるため、クラッチローラ130はその場に留まろうし、これにより、クラッチ板124とクラッチローラ130との間で相対回転が生じる。
【0098】
クラッチ板124がクラッチローラ130に対して引出方向に相対回転すると、各クラッチローラ130の位置では、クラッチ板124の外周部と筒体126の内周部との間に小さくなり、図9に示されるように、最終的にはクラッチ板124の外周部と筒体126の内周部との双方にクラッチローラ130が噛み込むが如く圧接する。
【0099】
これにより、クラッチ板124と筒体126とが機械的に連結される。ここで、上述したように、筒体126は脚板18に固定されているため、回転することはない。したがって、クラッチ板124の引出方向への回転が規制され、これにより、前記第1の実施の形態と同様に大径部56の引出方向の回転が規制される。
【0100】
このように、本実施の形態では、プリテンショナロック手段の構成が前記第1の実施の形態とは異なるが、上記のように、プリテンショナ機構78の作動が終了した後に乗員の身体がウエビングベルト28を引き出そうとした際には、大径部56の回転を規制できるため、前記第1の実施の形態と同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができる。
【0101】
また、本実施の形態では、上記のように、クラッチ板124の外周部と筒体126の内周部との双方にクラッチローラ130が噛み込むが如く圧接することで、クラッチ板124と筒体126とを連結し、大径部56の引出方向の回転を規制する構造であり、トーションシャフト44の回転半径方向への変位を要求する構造ではない。
【0102】
したがって、トーションシャフト44に連結される他の機構を本実施の形態に設けても、トーションシャフト44が回転半径方向に変位することはないため、このような他の機構の動作にも影響がない。
【0103】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0104】
図10には、本実施の形態に係るウエビング巻取装置のクラッチ機構の構成が側面図により示されている。この図に示されるように、本実施の形態では、クラッチフレーム68の底部にクラッチ板124が形成されておらず、代わりにクラッチ機構を構成する回転体としてのラチェット板142が形成されている。
【0105】
また、シャフト128には、クラッチローラ130に代わりクラッチ機構を構成するクラッチ部材としてのプリテンショナロック手段を構成するパウル144が軸支されている。パウル144は、図示しない捩じりコイルスプリングによってその先端がラチェット板142の外周部へ接近する方向へ付勢されている。したがって、基本的に各パウル144は先端がラチェット板142の外周部のラチェット歯に噛み合っている。したがって、ラチェット板142と一体のピニオン80は、巻取方向へ回転することはできるが、引出方向には回転できない。
【0106】
すなわち、本実施の形態では、プリテンショナ機構78の作動終了後に、クラッチフレーム68が引出方向に回転しようとしても、ラチェット板142の引出方向への回転がパウル144により規制されているため、引出方向へクラッチフレーム68が回転することはできない。このように、本実施の形態は前記第2の実施の形態と同様にクラッチフレーム68の引出方向への回転を規制できるため、前記第2の実施の形態と同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができる。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るウエビング巻取装置では、プリテンショナ機構の作動終了時にプリテンショナロック機構がプリテンショナ機構をロックすることでトーションシャフトの軸方向他端をロックするため、基本的にプリテンショナ機構の作動終了後、素早くトーションシャフトの捩じり変形を生じさせることができる。しかも、トーションシャフトやスプールの軸交差方向への変位を要求しないため、装置にトーションバーやスプールに連結される他の機構を設けても、その動作を保障できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るウエビング巻取装置の構成を示す正面断面図である。
【図2】クラッチの分解斜視図である。
【図3】プリテンショナロック手段としてのストッパリングの構成を示す斜視図である。
【図4】クラッチの作動前の状態を示す側面断面図である。
【図5】クラッチの作動後の状態を示す側面断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るウエビング巻取装置のプリテンショナロック手段の構成を示す分解斜視図である。
【図7】プリテンショナロック手段の作動前の状態を示す側面断面図である。
【図8】シャフト離脱状態を示す図7に対応した側面断面図である。
【図9】プリテンショナロック手段の作動後の状態を示す側面断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るウエビング巻取装置のプリテンショナロック手段の構成を示す側面断面図である。
【符号の説明】
10 ウエビング巻取装置
20 スプール
28 ウエビングベルト
44 トーションシャフト
78 プリテンショナ機構
96 ストッパリング(プリテンショナロック手段)
122 クラッチフレーム(クラッチ機構)
124 クラッチ板(クラッチ機構、回転体)
126 筒体(プリテンショナロック手段)
130 クラッチローラ(クラッチ機構、クラッチ部材)
142 ラチェット板(クラッチ機構、回転体)
144 パウル(クラッチ機構、クラッチ部材)

Claims (2)

  1. 長尺帯状のウエビングベルトの長手方向基端側が外周部に係止された略筒状のスプールを有し、前記スプールをその軸周り一方の巻取方向への回転させることで、前記スプールの外周部に前記ウエビングベルトをその基端側から巻き取らせ、前記ウエビングベルトをその先端側へ引っ張ることで前記巻取方向とは反対の引出方向へ前記スプールを回転させつつ前記ウエビングベルトを引き出すウエビング巻取装置であって、
    前記スプールの内側で前記スプールに対して略同軸的に設けられると共に、軸方向一端が前記スプールに一体的に連結されたトーションシャフトと、
    前記トーションシャフトの軸方向他端側に設けられた連結部材を有し、車両急減速状態で前記連結部材を所定方向へ変位させて前記トーションシャフトの軸方向他端部に直接或いは間接的に連結させ、前記トーションシャフトを介して前記スプールを前記巻取方向に回転させるプリテンショナ機構と、
    前記プリテンショナ機構に設けられ、前記所定方向への前記連結部材の変位を許容すると共に、前記所定方向とは反対方向への前記連結部材の変位を規制して前記プリテンショナ機構を当該作動終了状態でロックするプリテンショナロック手段と、
    を備えることを特徴とするウエビング巻取装置。
  2. 長尺帯状のウエビングベルトの長手方向基端側が外周部に係止された略筒状のスプールを有し、前記スプールをその軸周り一方の巻取方向への回転させることで、前記スプールの外周部に前記ウエビングベルトをその基端側から巻き取らせ、前記ウエビングベルトをその先端側へ引っ張ることで前記巻取方向とは反対の引出方向へ前記スプールを回転させつつ前記ウエビングベルトを引き出すウエビング巻取装置であって、
    前記スプールの内側で前記スプールに対して略同軸的に設けられると共に、軸方向一端が前記スプールに一体的に連結されたトーションシャフトと、
    前記トーションシャフトの軸方向他端側に設けられ、前記トーションシャフトに対して同軸的に相対回転可能な回転体を有すると共に、前記巻取方向への前記回転体の回転に連動して前記トーションシャフトに前記回転体を直接或いは間接的に連結して前記トーションシャフトに前記回転体の回転を伝えるクラッチ部材を有するクラッチ機構と、
    前記トーションシャフトの軸方向他端側に設けられ、車両急減速状態で作動して前記回転体に連結し、前記回転体を前記巻取方向に回転させるプリテンショナ機構と、
    少なくとも前記回転体が前記巻取方向に回転した状態で前記回転体に直接或いは間接的に係合し、前記回転体への係合状態で前記回転体の前記引出方向への回転を規制し、前記トーションシャフトの軸方向他端側における回転を規制して前記プリテンショナ機構をロックするプリテンショナロック手段と、
    を備えることを特徴とするウエビング巻取装置。
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