JP4166095B2 - シートベルトリトラクター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両緊急時にウェビングの引き出しを抑えて乗員の移動を抑制すると共に、乗員へ作用する衝撃荷重を吸収するエネルギー吸収手段を備えたシートベルトリトラクターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のシートベルトリトラクターにおいて、緊急時にシートベルトに大きな抵抗荷重を与え、その後、抵抗荷重を軽減して乗員の安全を図るものが知られている。1例として、ウェビングが巻取られる筒状のスプール(巻取ドラム)の一端側に相対回転可能に設けられたロックベース(ロッキングベース)と、緊急時にロックベースのウェビング引出方向の回転を阻止するロック手段と、スプール内に一端が連結されて嵌挿されると共に他端がロックベースに連結され、ロック手段によりロックベースのウェビング引出方向回転阻止状態ではねじれ変形を行うトーションバーと、一端がロックベースに固定され他端部及び中間部がスプール内に挿入され、ロックベースに対してスプールが相対回転する際にスプールから抜き出されるワイヤと、ワイヤを切断可能な切断手段とからなるウェビング巻取装置(シートベルトリトラクター)が知られている(特許文献参照)。
【0003】
このウェビング巻取装置においては、スプール(巻取ドラム)には、一端部がロックベースに固定されたワイヤが挿入されているため、緊急時にロックベースの回転が阻止されると、トーションバーの捩り荷重及びワイヤのしごき荷重がフォースリミッタ荷重としてウェビングに作用するようにしている。そして、任意のタイミングでワイヤを切断し、これによりフォースリミッタ荷重がトーションバーの捩り荷重のみに低減されるようにしている。
【0004】
【特許文献】
特開2001−301569号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のウェビング巻取装置においては、スプール(巻取ドラム)から抜き出されたワイヤが切断手段によって接触してから切断されるまでの間、しごき荷重によるワイヤの抜き出しの抑制による抵抗は抜き出される時の抵抗より大きくなるが、ワイヤの切断後にはワイヤによる抵抗が全くなくなるため、その間におけるウェビングの引張力の差が大きくなる。そのため、ワイヤ切断開始時には前方への移動が抑制されている乗員は、ワイヤが切断されると急激に前方へ移動させられるので、所定位置で停止しないおそれがある。また、ワイヤは抜出方向に対して垂直に切断されるので、ウェビングの引張力つまりスプールから抜き出されるワイヤの抜き出し速さによって切断位置がずれ、一定の位置での切断が行われず、したがって、ウェビング引き出し抵抗が安定しないという問題がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、前記従来の問題を解決するためになされたものである。
すなわち、その第1の目的は、抵抗荷重を供給するエネルギー吸収(EA)手段のエネルギー吸収量を適宜選択できるようにすることで、一定位置での停止とウェビング引き出し抵抗の値の安定化を図ることである。
第2の目的は、乗員の体格や衝突の大きさや時間等に応じて最適なエネルギー吸収を行えるように、エネルギー吸収手段の荷重の供給を停止させ、停止するタイミングを自由に調整できるようにすることである。
第3の目的は、エネルギー吸収部材が任意のタイミングで抵抗荷重の切り替え時に余分なエネルギー吸収が発生せず、エネルギー吸収部材の荷重供給を安定させ、乗員を容易に所定位置に停止させることができるようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、ウェビングが巻装された巻取ドラムと、その一端部が巻取ドラムの一端部に相対回転不能に結合されると共にウェビングの巻取方向に付勢された巻取軸と、ウェビング引出方向への回転を抑止する緊急ロック機構と、巻取軸の他端部近傍に配置されるクラッチ機構と、巻取ドラムの他端部側面に近接して設けられると共に巻取軸の他端部にクラッチ機構を介して設けられるプレート体と、巻取ドラムの側面とプレート体との間に配置され、前記巻取ドラムとプレート体が互いに相対回転することで抵抗荷重を供給するエネルギー吸収手段とからなるシートベルトリトラクターであって、
クラッチ機構は、プレート体が巻取軸の他端部に相対回転不能に設けられた第1状態から巻取軸の他端部に相対回転可能に設けられた第2状態に切り替えると共に、任意のタイミングで切り替えを開始するクラッチ解除機構を有することを特徴とするシートベルトリトラクターである。
【0008】
請求項2に係る発明は、ウェビングが巻装された巻取ドラムと、巻取ドラムに嵌挿され、その一端部が巻取ドラムの一端部に相対回転不能に結合されると共に、ウェビングの巻取方向に付勢されたトーションバーと、トーションバーの他端部に配置されウェビング引出方向への回転を抑止する緊急ロック機構と、緊急時に緊急ロック機構を作動させるロック起動装置と、トーションバーの他端部近傍に配置されるクラッチ機構と、巻取ドラムの他端部側面に近接して設けられると共にトーションバーの他端部にクラッチ機構を介して設けられるプレート体と、巻取ドラムの側面とプレート体との間に配置され、前記巻取ドラムとプレート体が互いが相対回転することで抵抗荷重を供給する第2のエネルギー吸収手段とからなるシートベルトリトラクターであって、
クラッチ機構は、プレート体がトーションバーの他端部に相対回転不能に設けられた第1状態からトーションバーの他端部に相対回転可能に設けられた第2状態に切り替えると共に、任意のタイミングで切り替えを開始するクラッチ解除を作動させるクラッチ起動機構を有することを特徴とするシートベルトリトラクターである。
【0009】
請求項1及び2に係る発明によれば、車両等の緊急時にロック起動装置が緊急ロック機構を作動させると、巻取軸又はトーションバーの他端部はウェビング引出方向への回転が抑止され、巻取ドラムの回転も抑止される。このとき、所定値以上の引き出し力でウェビングが引き出されると、巻取軸又はトーションバーは一端部が回転しようとする巻取ドラムに相対回転不能に結合され、他端部が回転抑止した緊急ロック装置に相対回転不能に結合されているのでねじれ変形を生じつつ、巻取ドラムが回転する。同時に、回転している巻取ドラムと回転が抑止された巻取軸又はトーションバー他端部側でクラッチ機構によって相対回転不能であるプレート体との間でも相対回転が生じ、第2のエネルギー吸収(EA)手段によって抵抗荷重が供給される。
【0010】
プレート体がクラッチ機構によって巻取軸又はトーションバーの他端部に相対回転不能である第1状態では、巻取軸又はトーションバー(第1のエネルギー吸収手段)及び第2エネルギー吸収(EA)手段が作動している。任意のタイミングでクラッチ起動機構を介して作動させられたクラッチ機構は、プレート体を巻取軸又はトーションバーの他端部に相対回転可能である第2状態に切り替えて、巻取軸又はトーションバーだけでエネルギー吸収(EA)を行わせる。
【0011】
請求項3に係る発明は、クラッチ機構は、プレート体の巻取ドラムの反対側面に旋回可能に枢着されたジョイントパウルと、緊急ロック機構に相対回転不能に結合され、緊急ロック機構が作動したときにジョイントパウルを外方に旋回するジョイントプレートと、ジョイントパウルの外周に配置され、ジョイントパウルが外方に旋回したときジョイントパウルに当接するリリースリングと、リリースリングを作動してジョイントパウルとの当接を解除するクラッチ解除機構と、を備え、
リリースリングはジョイントパウルに当接することでプレート体とトーションバーの他端部との相対回転を不能にし、かつ前記クラッチ解除機構によりジョイントパウルとの当接が解除されることでプレート体とトーションバーとの相対回転を可能にすることを特徴とする請求項2記載のシートベルトリトラクターである。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、ロック起動装置が緊急ロック機構を作動させたとき、トーションバー及び第2エネルギー吸収(EA)手段が実際に荷重を供給するまでにウェビングが引っ張られて、巻取ドラムも引出方向に回転させられる。この時、プレート体は巻取ドラムと相対回転するまでの間に僅かに一体回転するので、緊急ロック機構に相対回転不能に結合されたジョイントプレートとの間で相対回転が生じ、ジョイントパウルの内周側がジョイントプレートに当接してジョイントパウルは外方に押される。リリースリングはジョイントパウルの外周に位置しているので、ジョイントパウルの外方への展開が抑制されている。クラッチ解除機構が作動すると、リリースリングは回転しながらトーションバーの軸方向に移動させられ、ジョイントパウルの設けられた外周面から外れるので、ジョイントパウルが外方に展開する。従って、プレート体はプレート体の回転を抑止していたジョイントプレートから離れるので、巻取ドラムと一体回転して、ワイヤ(エネルギー部材)の抵抗荷重の供給が停止されてトーションバーのエネルギー吸収(EA)だけが行われる。
【0013】
プレート体は、通常のシートベルトリトラクター使用時には、巻取ドラムと一体回転するが、緊急ロック機構が作動すると、巻取ドラムとは一体回転しない状態となり、クラッチ解除機構によるクラッチ機構の作動により一体回転状態となる。
【0014】
請求項4に係る発明は、クラッチ解除機構が、任意のタイミングでケーシングに設けられたシリンダにガスを発生させるガス発生手段と、ガスの圧力でシリンダ内で押圧駆動され、リリースリングの外周を押してリリースリングを回転させるピストンとからなるシートベルトリトラクターである。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、ガス発生手段によりケーシングのシリンダ内で押圧駆動されたピストンは、リリースリングの外周を押して回転させてクラッチを外す。
【0016】
請求項5に係る発明は、リリースリングの外周には、ピストンに当接される当接部と、外周上に均一な間隔で配置される複数のテーパ部が設けられ、リリースリングを保持するケーシングには、回転したリリースリングのテーパ部に対応する凸部が設けられているシートベルトリトラクターである。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、回転させられたリリースリングは、外周上に設けたテーパ部がケーシングの凸部に案内されてトーションバーの軸方向に移動させられる。この時、テーパ部をリリースリングの外周に均一な間隔で配置することで、リリースリングの平面を軸に対して垂直な状態で移動させている。
【0018】
請求項6に係る発明は、クラッチ機構には、ジョイントパウルを位置決め支持するパウルホルダが設けられ、パウルホルダはジョイントパウルを軸心方向に付勢させると共にジョイントパウルが外方に旋回した後は旋回前の位置に戻させないリブが一体形成されている請求項〜5のいずれか1項に記載のシートベルトリトラクターである。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、第1状態でのジョイントパウルの位置を、バネ付勢をして配置させている。外方に展開したジョイントパウルは、パウルホルダのリブによって初期位置に戻ることが抑止されて展開位置に留まる。また、その留まったジョイントパウルは、リリースリングをジョイントパウルの外周面上に戻ることを抑止している。
【0020】
請求項7に係る発明は、第2のエネルギー吸収手段が、巻取ドラムのトーションバー他端側の側面に設けられた屈曲路と、一端がプレート体の巻取部に固定され、その略中間部が屈曲路に配置されたワイヤとからなるシートベルトリトラクターである。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、ワイヤの一端をプレート体に固定させ、そのワイヤの略中間部を巻取ドラムに設けた屈曲路に配置させる。緊急ロック装置が作動したとき、所定値を越えたウェビングの引張力によって回転する巻取ドラムと回転が抑止されたトーションバー他端部側のプレート体との間で相対回転が生じ、回転している巻取ドラムは回転が抑止されたプレート体の巻取部に一端が固定されているワイヤを屈曲路において随時変形させながらプレート体の巻取部に巻き付けていく。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のシートベルトリトラクターの好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るシートベルトリトラクター全体の構成を示す正面図であり、図2は図1のシートベルトリトラクターの要部を構成する巻取ドラム2、コネクタ3、ハウジング9、トーションバー4、ロッキングベース5、ベースストッパ7等の組立てを説明するための分解斜視図である。
【0023】
図2において、シートベルトリトラクターにはウェビングが巻装される略円筒状の巻取ドラム2が設けられている。この巻取ドラム2の中心にはトーションバー4が挿通され、かつ、その一端部は後述するコネクタ3を介して、巻取ドラム2の一端部と一体的に結合されると共に、ハウジング9の一対の側板(9b、9c)に回転自在に支持されている。そして、前記側板9cには、巻取ドラム2をウェビング巻取方向に常時回転付勢する渦巻バネ19(図1)が装着され、トーションバー4は、そのウェビングの巻取方向に回転付勢される。
なお、本実施形態においては、衝突時等の緊急時にガス圧等によりウェビングの弛みを巻取り、乗員の移動を規制するいわゆるプリテンショナー機構15(図1)も側板9cに具備された構造とされている。
【0024】
ハウジングの側板9b側のトーションバー4の外側他端部には略円盤状のロッキングベース5が一体的に結合されて、ウェビング引出方向への回転を抑止する緊急ロック機構を構成している。
【0025】
トーションバー4の他端部近傍には後述するクラッチ機構が配置されており、巻取ドラム2の他端部側面に近接し、トーションバー4の他端部に後述の第2のエネルギー吸収手段が配置され、車両緊急時の衝撃エネルギーの吸収を、これらトーションバー(第1のエネルギー吸収手段)4と第2のエネルギー吸収手段とで行う。
【0026】
ハウジング9は、車体に固定される背板の両側から左右の側板(9b、9c)が立ち上がり、略コ字状の断面を有するように金属板をプレス成形したものである。
また、ベースストッパ7は、巻取ドラム2からロッキングベース5が抜けるのを防止するためのものである。
【0027】
(第1のエネルギー吸収手段)
次に、第1のエネルギー吸収手段について説明する。
図2に示すように、トーションバー4の一端部はこれと同形のコネクタ3の孔に嵌合され、他端部はロッキングベース5と一体回転可能に結合されている。
コネクタ3はハウジング9の側板9cに穿設された孔9dに回転自在に支持され、かつ、巻取ドラム2の一端部に形成されたコネクタ3の外形に対応した六角形の嵌合凹部に嵌合され、これにより、トーションバー4は巻取ドラム2と一体回転可能となっている。
したがって、緊急ロック機構が作動してトーションバー4の他端部が固定されても、トーションバー4の一端部はウェビングの引き出しにより巻取ドラム2と一体に回転し、つまり、巻取ドラム2の回転力でトーションバー4はねじれ、そのねじれ抵抗によりウェビングの引き出しエネルギーを吸収することができる。
このように、トーションバー4は第1のエネルギー吸収手段として働く。
【0028】
(第2のエネルギー吸収手段)
次に、第2のエネルギー吸収手段を図3〜6に従って説明する。
図3は、第2のエネルギー吸収手段を構成するプレート組立体2eの組立てを説明するための分解斜視図である。プレート組立体2eは、プレート体2a、複数回巻回された渦巻き状ワイヤ2b及び中心孔の周りに円周状に複数設けた凸部2qを有する円板部材2cからなっている。
【0029】
図3において、ワイヤの一端部2gはプレート体2aに固定し、ワイヤの巻回部2hは円板部材2cの図3でみてその背面に係止している。
【0030】
図4は第2のエネルギー吸収手段の全体を示した分解斜視図である。プレート組立体2eと巻取ドラム2とをリテーナ2dで取り付ける。
また、図5及び図6は、図3で示されたプレート体2aとワイヤ2bと円板部材2cとで組み立てられたプレート組立体2eの側面図及びその一部断面正面図である。
【0031】
図4において、巻取ドラム2のロッキングベース側つまり図中左側端面には、第2のエネルギー吸収手段の一部を構成するための略円形の収納凹部2fが設けられている。さらに、収納凹部2fの中央には、ロッキングベースのボス部5c(図2)を受容する嵌合孔2kが設けられている。収納凹部2fの底面の嵌合孔2kより外周側における所定箇所には、ワイヤ2bと係合するための係合ピン14が設けられている。ここでは、3個の略半円状の係合ピン14が、周方向に沿って収納凹部2fの底面に一体的に突設され、ワイヤ2bは渦巻き状をなし、その外周部2i(図3)は係合ピン14の円弧状摺接面に適合した湾曲形状となっている。
【0032】
図5は、図3に示された各分解部品を組立てたプレート組立体2eの側面図である。図示のように、円板部材2cとプレート体2aは、渦巻き状のワイヤ2bを介在させた状態で互いに嵌合一体化されている。つまり、プレート体2aと円板部材2cはワイヤ2bの略径に相当する距離だけ離間して巻取部2mを形成し、円板部材2cがプレート体2aに相対回転不能に結合する。
その際、ワイヤ2bの屈曲した一端部2gはプレート体2aの屈曲溝2n(図6)中に設置して固定している。
このようにプレート体2aに一端が固定されたワイヤ2bはプレート体2aと円板部材2cとの間の隙間部分を通って巻取ドラム2とプレート組立体2eとが相対回転するときに、ワイヤ2bの巻取部2mとなるプレート体2a上面に達している。
組立て状態では、円板部材2cはプレート体2aの巻取部2mとワイヤ2bの一端部2gとを覆うように構成されている。
【0033】
図6はプレート組立体2eの内部構造を示すためにその一部を破断して示した正面図である。図示のように、プレート体2aの巻取部2mに複数の略半円の凸部2pによって屈曲溝2nを形成し、その屈曲溝2nにワイヤ2bの一端部2gを配置し結合する。その屈曲溝2nは巻取ドラム2の屈曲路2j(図4)の曲率半径より小さく形成する。
【0034】
図7はこの屈曲溝2nの別の実施形態を示すものであって、プレート体2aの複数の凸部2pにおいて、屈曲溝2nを形成する凸部2p間で少なくとも一組の相対向するリブ2rを設け、そのリブ間はワイヤ2bの径より小さくしたものである。
【0035】
図8は、図4に示された巻取ドラム2とプレート組立体2eとの組立てた状態を示す正面断面図、図9は図8に示された組立体の一部切断側面図、図10及び図11は、図8に示された組立体において、緊急ロック機構が作動後に、巻取ドラム2がある程度回転した後における正面断面図及び一部切断側面図である。
【0036】
以上の構成からなる第2のエネルギー吸収手段は、巻取ドラム2とロッキングベース5との間に区画された収納空間内に収納される。緊急ロック機構が作動した後、巻取ドラム2が回転すると、図8及び図9に示されたワイヤ2bは図10及び図11に示されたように前記巻取部2mに巻き取られる。
その際、ワイヤ2bは円板部材2cとプレート体2aとの間で、その円板部材2c外周面より突出した湾曲形状の外周部2iを巻取ドラム2の3個の略半円形の係合ピン14に摺接しながら相対移動する。
【0037】
衝突等の緊急時に緊急ロック機構が作動すると、トーションバー4の他端部に結合されているロッキングベース5のウェビング引き出し方向への回転が阻止される。そして、ウェビングに作用する荷重によって所定以上の回転トルクが巻取ドラム2に作用すると、トーションバー4(第1のエネルギー吸収手段)の一端部で捩り変形が始まる。
これにより、巻取ドラム2がトーションバー4の捩り変形量の分だけ巻取ドラム2が回転し同時に他端が固定されたウェビング引き出し方向に回転することで、衝撃エネルギーが吸収される。また、トーションバー4の捩り変形の開始によって、巻取ドラム2とロッキングベース5との間に相対回転が発生し、これに基づき第2のエネルギー吸収手段による衝撃エネルギーの吸収も開始される。
【0038】
巻取ドラム2がロッキングベース5に対して回転する間、ワイヤ2bの一端部2gが固定されたプレート体2aはロッキングベース5に結合されて回転せず、他方巻取ドラム2に一体形成された係合ピン14は回転するため、係合ピン14の間でワイヤ2bがしごかれていく。換言すれば、ワイヤ2bは、係合ピン14間を蛇行するようにしごかれながら順次係合ピン14上を摺動していく。その際、高い摺動抵抗及びワイヤ2bの屈曲抵抗が生じ、この摺動抵抗及び屈曲抵抗により、衝撃エネルギーの吸収がなされる。
【0039】
つまり、車両緊急時に緊急ロック機構が作動して、巻取ドラム2に作用するウェビング引き出し方向の荷重が所定以上になると、トーションバー4(第1のエネルギー吸収手段)と第2のエネルギー吸収手段との双方が、それぞれエネルギー吸収機構として作動して、車両緊急時の衝撃エネルギーを吸収する。
【0040】
(クラッチ機構)
次に、プレート体2aと緊急ロック機構のロッキングベース5との係脱を行い、プレート体2aを巻取ドラム2との相対回転状態から、ロッキングベース5と切り離して巻取ドラム2と一体回転可能にするクラッチ機構について説明する。
このクラッチ機構は、プレート体2aがトーションバー4の他端部に相対回転不能に設けられた第1状態からトーションバー4の他端部に相対回転可能に設けられた第2状態に切り替えるためのもので、衝突検出後の任意のタイミングで切り替えを開始するクラッチ解除機構をも有している。
【0041】
クラッチ機構は、図2に示された、緊急ロック機構に相対回転不能に結合されたジョイントプレート5b(図23)と、プレート体2aの巻取ドラム2の反対側面に旋回可能に枢着されて、ジョイントプレート5bに面接触して外方へ旋回する3つのジョイントパウル12を備えている。
ジョイントパウル12(図15)は、弓形部材で、その一端部にはプレート体2aの巻取ドラム2反対側に枢着されるピン12bが形成され、そのピン12bを中心に旋回する。また、内周壁中央部には内側突起12a(図15)、及び、他端部内側には切欠部12c(図15)をそれぞれ形成している。
【0042】
ジョイントパウル12を位置決め支持するために断面凹状で円形をなしたパウルホルダ(樹脂バネ)13(図14)が設けられている。パウルホルダ13にはその円周上にジョイントパウル12の位置に対応し、かつ、それぞれにリブ13aを形成した爪状部13cが設けられており、そのリブ13aに形成され内部に傾斜した斜面13b、及び前記爪状部13cによりジョイントパウル12外側面に接触することで、その樹脂バネ作用により、ジョイントパウル12を常に軸心方向に付勢させる。
なお、ジョイントパウル12が前記樹脂バネの弾発力に抗して外方に旋回して、パウルホルダ13の前記リブ13aを乗り越えると、パウルホルダ13は押圧解除された前記爪状部13cがジョイントパウル12の内側に復帰し、パウルホルダ13のリブ背面13dがジョイントパウルの切欠部12cに当接する。一方、プレート体2aには、ジョイントパウル12がパウルホルダ13を乗り越えた直後にジョイントパウルのプレート体2aに対する旋回を抑止する突起2sが設けられているため、ジョイントパウル12はパウルホルダのリブ背面13dとプレート体の突起2sに挟持された状態となり、プレート体2aに対して旋回が抑止される。
従って、一度クラッチが切り離された後には、再びクラッチが作動することはない。
【0043】
(クラッチ解除機構)
図12はクラッチを解除するためのリリースリング8、ハウジング9、ケーシング10等の組立てを説明するための分解斜視図であり、図13は図12に示されたリリースリング8、ケーシング10、ピストン10a、ガスジェネレータ10b、ガスジェネレータホルダ11等を拡大した分解斜視図である。
図12及び図13によりクラッチ解除機構を説明すると、リリースリング8はトーションバー4(図2)の他端側のハウジングの側板9bに固定されたケーシング10上に回転可能に載置されており、ジョイントパウル12の外周に配置される。
【0044】
クラッチ解除機構は、図12及び図13に示すように、ケーシング10と、衝突検出後、任意のタイミングで、シリンダ10e内にガスを発生させるガスジェネレータ(ガス発生手段)10bと、ガスの圧力によりシリンダ内で押圧駆動され、リリースリング8の外周を押してリリースリング8を回転させるピストン10aとからなっており、前記ガスジェネレータ10bはガスジェネレータホルダ11によりケーシング10に取り付けられている。
【0045】
リリースリング8の外周には、ピストン10aに当接される当接部8bと、外周上に均一な間隔で配置される3つのテーパ部8aが設けられ、他方、リリースリング8を保持するケーシング10には、回転したリリースリング8のテーパ部8aに対応するテーパ付き凸部10dが設けられている。
作動時ガスの圧力により押圧駆動されたピストン10aがリリースリング8の外周に設けられた当接部8bに当り、これにより、リリースリング8が回転する。それによって、リリースリング8のテ―パ部8aがケーシングのテーパ付き凸部10dに案内されて、巻取ドラム2(図2)の方へ後退して、ジョイントパウル12(図2)の外周部から後退する。
【0046】
次に、クラッチ機構の動作を図16〜図21に基づいて説明する。
図16〜図21はクラッチ機構の動作を説明するためのその一部を切断した側面図及び断面平面図である。
図16〜図21において、クラッチ機構は、既に述べたように、プレート体2aがトーションバー4の他端部に相対回転不能に設けられた第1状態から、トーションバー4の他端部に相対回転可能に設けられた第2状態に切り替える作動を行う。
組付け状態においては、パウルホルダ13のリブ13aに形成した斜面13b(図14)によりジョイントパウル12は軸中心方向に付勢されている。3個のジョイントパウル12は最も内側に収れんした位置でリリースリング8の内周に非接触状態で固定されており、ジョイントパウル12の内側突部12aがジョイントプレート5bの凸部5dに接触している。
【0047】
ここで、緊急ロック機構が作動すると、ロックパウル6の係止歯6b(図23)がハウジングの側板9bに形成したロック歯9a(図2)と噛合い、ジョイントプレート5bと、回転を続けようするプレート体2aとの間で、相対回転が生じる。このとき、ジョイントパウル12とジョイントプレートの凸部5dとの間でも相対回転が生じ、それによって、ジョイントパウル12の内側突部12aをジョイントプレートの凸部5dが押接することでジョイントパウル12は外周方向に力を受け、外向きに展開しようとする。
その力がパウルホルダ13の付勢力を越したとき、ジョイントパウル12はリリースリング8の内周壁に当接する。ジョイントパウル12がリリースリング8の内周壁に当接して外向きの展開が抑制されたときに、ロッキングベース5とプレート体2aが一体となり、巻取ドラム2とプレート体2aとの間に相対回転が生じて、トーションバー4のエネルギー吸収に加えて、ワイヤ2aがしごかれて第2のエネルギー吸収を行う。
【0048】
次に、この状態でクラッチ解除機構が作動すると、ピストン10a(図13)が作動して、リリースリング8を回転させ、リリースリング8の回転でそのテーパ部8aがケーシングのテーパ付き凸部10d(図13)に案内されて、巻取ドラム2の方へ後退し、ジョイントパウル12外周部からも後退する。ジョイントパウル12はジョイントプレート5bに面接触して外方に拡開して、ジョイントプレートの凸部5dから外れ、プレート体2aとロッキングベース5とを解除させる。
【0049】
つまり、クラッチ解除機構が作動して、リリースリング8を軸方向に移動させると、図20及び図21に示すように、ジョイントパウル12が外向きに展開し、ジョイントプレートの凸部5dとジョイントパウル12は完全に離れるので、ロッキングベース5とプレート体2aとの一体固定が解除される。その結果、ワイヤ2bのしごきが停止するので、プレート体2aと巻取ドラム2は一体回転可能となる。ただ、この場合でも、巻取ドラム2とロッキングベース5との相対回転は継続されるのでトーションバー4のみがエネルギー吸収を続ける。
【0050】
(緊急ロック機構)
図22は、緊急ロック機構の組立てを説明するための分解斜視図であり、それは、ロッキングベース5、ロッククラッチ体16、カバー体18等から構成されている。図23は、トーションバー4、ロックパウル6、ロッキングベース5等の組立てを説明するための分解斜視図である。
緊急ロック機構の具体的な構成は、公知の種々のものを採用することができるが、一例として、図22及び図23に示すように、ロッククラッチ体16の一側面には、バネ受け部16aが突設され、このバネ受け部16aはロックキングベース5に形成された凹溝状のバネ収容部5a内に相対移動自在に遊嵌されている。
この際、バネ収容部5aに収容保持されたコイルスプリングよりなる戻しパネ17によって、バネ受け部16aが所定方向に弾発付勢されており、ロッククラッチ体16はウェビングの引出方向に付勢された状態でロックベース5と同期回転すべく構成されている。
【0051】
ロッキングベース5の巻取ドラム2側の面に突設された円筒状のボス部5cの挿通穴にトーションバー4が嵌挿されており、これにより、トーションバー4はロッキングベース5と一体回転可能に結合される。
【0052】
ロッククラッチ体16には、ロックパウル6(図23)に突設された連動ピン6aが摺動案内される突出ガイド溝16cが形成されており、戻しバネ17の付勢力に抗したロッキングベース5とロッククラッチ体16との相対回転により、連動ピン6aが突出ガイド溝16cに沿って摺動案内されるように構成され、この摺動案内により、ロックパウル6の係止歯6bがロッキングベース5の外周面より出没自在に突出するように構成されている。
そして、これらロッキングベース5、ロックパウル6、巻取ドラム2に設けられたロック歯9a(図2)、ロッククラッチ体16等により緊急ロック機構が構成されている。
また、この緊急ロック機構を作動させるべく、カパー体18内には、ウェビングの急激な引き出し及び、車両の急激な加速度の変化に反応して起動する緊急ロック起動機構とが備えられている。
ロッキングベース5とロックパウル6はジョイントプレート5bで取り付けられている。
【0053】
ロックパウル6の先端には係止歯6bが形成されており、連動ピン6aによりロックパウル6がロッキングベース5に摺動可能に配置されている。また、ハウジング9の側板9bにロックパウル6の係止歯6bが噛合可能なロック歯9aを設け、車両緊急時には、ロックパウル6の係止歯6bをロック歯9aに噛合させることで、ロッキングベース5のウェビング引き出し方向への回転を阻止する。
【0054】
以上のように、本発明では第2エネルギー吸収手段が、巻取ドラム2とロッキングベース5とによる区画される収納空間内に収納されているため、トーションバー4とは別個にエネルギー吸収を行うための第2のエネルギー吸収手段を備えたにも拘わらず、シートベルトリトラクターの軸方向への寸法拡大がなく、コンパクト化が犠牲にされていない。また、第2エネルギー吸収手段を構成するワイヤ2b及び係合ピン14は、ともに構造が簡単であり、製造が容易である。
【0055】
図24は、本発明のウェビング引張力とウェビング引き出し量との関連を示す線図である。
シートベルトリトラクター全体でのエネルギー吸収荷重は、図24に示すように、トーションバー4が捩り変形を起こす時のエネルギー吸収荷重f1と、第2エネルギー吸収手段によるエネルギー吸収荷重f2の総和f3となる。
そして、エネルギー吸収高荷重の場合、OABDFとなり、クラッチ機構による切り替えによってエネルギー吸収低荷重の場合、OACEとなり、エネルギー吸収中荷重の場合、OABDCEとなる。
【0056】
また、トーションバー4の捩り変形によるエネルギー吸収域に対し、第2のエネルギー吸収手段の摺動抵抗によるエネルギー吸収域は、独自に自由に設定することができる。
例えば、第2のエネルギー吸収手段によるエネルギー吸収域をトーションバー4の捩り変形によるエネルギー吸収域の一部に重なるように設定することで、トーションバー4の捩り変形によるエネルギー吸収域の一部では、双方のエネルギー吸収荷重の総和による高いエネルギー吸収荷重を確保できる。また、双方のエネルギー吸収域が重ならない範囲では、トーションバー4の捩り変形によるエネルギー吸収作用だけで、低いエネルギー吸収荷重に設定することができる。このように、シートベルトリトラクターのエネルギー吸収機構に作動途中でエネルギー吸収荷重が変化するエネルギー吸収特性を持たせることもできる。
【0057】
さらに、シートベルトリトラクター全体でのエネルギー吸収荷重の調整は、トーションバー4の軸径や材料の変更だけでなく、第2のエネルギー吸収手段の寸法、形状、材質の変更までもが関連し、多種の要素が関連する。例えば、トーションバー4の軸径の拡大や材料の変更等によらなくとも、残りの要素の設計変更で、所望のエネルギー吸収荷重を実現することも可能である。すなわち、シートベルトリトラクター1のトーションバー4や巻取ドラム2の径の縮減によるシートベルトリトラクターのコンパクト化を犠牲にすることなく、エネルギー吸収荷重をより高く設定することが容易にできる。そして、トーションバー4及び第2のエネルギー吸収手段の双方の寸法や材料を変更可能な場合には、双方でエネルギー吸収荷重の調整やエネルギー吸収域の調整を行うことで、車両構造の差異等に応じた特異なエネルギー特性の要求にも容易に対応可能で、多様なニーズにも柔軟に対応可能になる。
【0058】
なお、ワイヤ2bと係合ピン14との摺動抵抗の調整は、屈曲路の形状、それぞれの接触面の粗さや、接触面積の広さ等、多種の要素から設定する構成とするとよい。このように多種の要素から摺動抵抗を設定する構成とすると、例えば、寸法等の制限で一部の要素の変更が困難になっても、他の要素の変更によって、確保する摺動抵抗を要求される任意値に比較的容易に調整することが可能になる。
【0059】
トーションバー4及び第2のエネルギー吸収手段を構成し、クラッチ機構を用いたことで、エネルギー吸収の開始時には両方又はトーションバー4のみを作動させてエネルギー吸収量を適宜選択することができる。また、両方を用いてエネルギー吸収を開始してから、乗員の体格や衝突の大きさや時間等によって最適なエネルギー吸収を行えるように、途中で第2のエネルギー吸収手段の荷重の供給を停止させてトーションバー4だけでエネルギー吸収をすることができる。
【0060】
【発明の効果】
請求項1及び2に対応する効果:エネルギー吸収の開始時には、巻取軸又はトーションバー(第1のエネルギー吸収手段)及び第2エネルギー吸収手段の両方或いは巻取軸又はトーションバーのみを作動させてエネルギー吸収量を適宜選択することができる。また、第1及び第2のエネルギー吸収手段の両方を用いてエネルギー吸収を開始してから、乗員の体格や衝突の大きさや時間等によって最適なエネルギー吸収を行えるよう、途中で第2エネルギー吸収手段の荷重の供給を停止させて巻取軸又はトーションバーだけでエネルギー吸収することができる。第2のエネルギー吸収手段のエネルギー吸収部材(ワイヤ)に接触せずに、その抵抗荷重の供給を停止させるので、切り替え時に余分なエネルギー吸収が発生せず、荷重供給が安定したものとなり、乗員を所定位置に停止させることが容易に行える。
【0061】
請求項3に対応する効果:組み付け時にクラッチ機構の設定が行われると、容易に配置できる。
また、クラッチ解除機構を作動させるとき、クラッチ機構は回転が抑止された状態で行われるので、クラッチ解除機構からの作動が安定したものとなる。
さらに、ジョイントパウルが外周方向へ展開した瞬問にエネルギー吸収手段の荷重が増えることなくゼロになるので、荷重切り替えの移行がスムーズに行われる。
【0062】
請求項4及び5に対応する効果:リリースリング内周面にジョイントパウルの外周方向への力が接触して作用しているが、ガス圧で駆動されたピストンがリリースリングを一気に回転させるので、接触による摩擦抵抗にも屈せず、ジョイントパウルをすぐに外周方向へ解除することができる。
また、リリースリングの面をトーションバーの長手方向に垂直な状態で移動させるので、ジョイントパウルとリリースリングとの接触が一気に解除され、切り替えるときに第2エネルギー吸収手段が供給する荷重以外に余計な荷重を発生させない。
【0063】
請求項6及び7に対応する効果:ジョイントパウルをバネ付勢していることで、シートベルトリトラクターを通常の使用で巻取ドラム等と一緒に回転させても所定位置に位置づけされるので、ジョイントパウルの動作を安定させることができる。
また、プレート体が巻取軸の他端部に相対回転可能に設けられた第2状態から巻取軸の他端部に相対回転不能に設けられた第1状態への所定位置ヘジョイントパウルとリリースリングとを戻すことを防いでいるので、第2のエネルギー吸収手段の荷重を加えずにトーションバーの抵抗荷重を安定させて供給している。
また、別途部材を用いることなく、第2のエネルギー吸収手段を安価で容易な構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るシートベルトリトラクターの全体構成を示す正面図である。
【図2】 図1で示されたハウジング、巻取ドラム、トーションバー、ロッキングベース、ベースストッパ等の組立てを説明するための分解斜視図である。
【図3】 巻取ドラム、プレート組立体、リテーナ、パウルホルダの組立てを説明する分解斜視図である。
【図4】 図3に示されたプレート組立体の組立てを説明する分解斜視図である。
【図5】 プレート組立体の側面図である。
【図6】 プレート組立体の一部断面正面図である。
【図7】 プレート体の他の実施例を示す部分拡大正面断面図である。
【図8】 図3に示されたプレート組立体と巻取ドラムとを組み立てた組立体の正面断面図である。
【図9】 図8に示された前記組立体の一部切断側面図である。
【図10】図8に示された前記組立体を回転させた正面断面図である。
【図11】図10に示された組立体の一部切断側面図である。
【図12】図2で示されたハウジング、ケーシング等の組立てを説明するための分解斜視図である。
【図13】リリースリング、ケーシング、ピストン、ガスジェネレータ、ガスジェネレータホルダ等の分解斜視図である。
【図14】パウルホルダの拡大斜視図である。
【図15】ジョイントパウルの拡大斜視図である。
【図16】クラッチ機構の作動前状態の一部切断側面図である。
【図17】図16に示されたクラッチ機構の断面平面図である。
【図18】クラッチ機構が係止している状態を説明するための一部切断側面図である。(第1状態)
【図19】図18に示されたクラッチ機構の断面平面図である。
【図20】クラッチ機構が外れた状態の一部切断側面図である。(第2状態)
【図21】図20に示されたクラッチ機構の断面平面図である。
【図22】ロッキングベース、ロッククラッチ体、カバー体等の組立てを説明するための分解斜視図である。
【図23】図1で示されたトーションバー、ロックパウル、ロッキングベース等の組立てを説明するための分解斜視図である。
【図24】本発明のウェビング引張力とウェビング引き出し量との関連を示す線図である。
【符号の説明】
1…シートベルトリトラクター、2…巻取ドラム、2a…プレート体、2b…ワイヤ、2c…円板部材、2j…屈曲路、3…コネクタ、4…トーションバー、5…ロッキングベース、5b…ジョイントプレート、6…ロックパウル、7…ベースストッパ、8…リリースリング、8a…テーパ、8b…当接部、9…ハウジング、10…ケーシング、10a…ピストン、10b…ガス発生手段、11…ガスジェネレータホルダ、12…ジョイントパウル、13…パウルホルダ、14…係合ピン、15…プリテンショナー、16…ロッククラッチ体、17…戻しばね、18…カバー体、19…渦巻バネ

Claims (7)

  1. ウェビングが巻装された巻取ドラムと、その一端部が巻取ドラムの一端部に相対回転不能に結合されると共にウェビングの巻取方向に付勢された巻取軸と、ウェビング引出方向への回転を抑止する緊急ロック機構と、巻取軸の他端部近傍に配置されるクラッチ機構と、巻取ドラムの他端部側面に近接して設けられると共に巻取軸の他端部にクラッチ機構を介して設けられるプレート体と、巻取ドラムの側面とプレート体との間に配置され、前記巻取ドラムとプレート体が互いに相対回転することで抵抗荷重を供給するエネルギー吸収手段とからなるシートベルトリトラクターであって、
    クラッチ機構は、プレート体が巻取軸の他端部に相対回転不能に設けられた第1状態から巻取軸の他端部に相対回転可能に設けられた第2状態に切り替えると共に、任意のタイミングで切り替えを開始するクラッチ解除機構を有することを特徴とするシートベルトリトラクター。
  2. ウェビングが巻装された巻取ドラムと、巻取ドラムに嵌挿され、その一端部が巻取ドラムの一端部に相対回転不能に結合されると共に、ウェビングの巻取方向に付勢されたトーションバーと、トーションバーの他端部に配置されウェビング引出方向への回転を抑止する緊急ロック機構と、緊急時に緊急ロック機構を作動させるロック起動装置と、トーションバーの他端部近傍に配置されるクラッチ機構と、巻取ドラムの他端部側面に近接して設けられると共にトーションバーの他端部にクラッチ機構を介して設けられるプレート体と、巻取ドラムの側面とプレート体との間に配置され、前記巻取ドラムとプレート体が互いが相対回転することで抵抗荷重を供給する第2のエネルギー吸収手段とからなるシートベルトリトラクターであって、
    クラッチ機構は、プレート体がトーションバーの他端部に相対回転不能に設けられた第1状態からトーションバーの他端部に相対回転可能に設けられた第2状態に切り替えると共に、任意のタイミングで切り替えを開始するクラッチ解除を作動させるクラッチ起動機構を有することを特徴とするシートベルトリトラクター。
  3. クラッチ機構は、プレート体の巻取ドラムの反対側面に旋回可能に枢着されたジョイントパウルと、緊急ロック機構に相対回転不能に結合され、緊急ロック機構が作動したときにジョイントパウルを外方に旋回するジョイントプレートと、ジョイントパウルの外周に配置され、ジョイントパウルが外方に旋回したときジョイントパウルに当接するリリースリングと、リリースリングを作動してジョイントパウルとの当接を解除するクラッチ解除機構と、を備え、
    リリースリングはジョイントパウルに当接することでプレート体とトーションバーの他端部との相対回転を不能にし、かつ前記クラッチ解除機構によりジョイントパウルとの当接が解除されることでプレート体とトーションバーとの相対回転を可能にすることを特徴とする請求項2記載のシートベルトリトラクター。
  4. クラッチ解除機構は、任意のタイミングでケーシングに設けられたシリンダにガスを発生させるガス発生手段と、ガスの圧力でシリンダ内で押圧作動され、リリースリングの外周を押してリリースリングを回転させるピストンとからなる請求項3記載のシートベルトリトラクター。
  5. リリースリングの外周には、ピストンに当接される当接部と、外周上に均一な間隔で配置される複数のテーパ部が設けられ、リリースリングを保持するケーシングには、回転したリリースリングのテーパ部に対応する凸部が設けられている請求項4記載のシートベルトリトラクター。
  6. クラッチ機構には、ジョイントパウルを位置決め支持するパウルホルダが設けられ、パウルホルダはジョイントパウルを軸心方向に付勢させると共にジョイントパウルが外方に旋回した後は旋回前の位置に戻させないリブが一体形成されている請求項〜5のいずれか1項に記載のシートベルトリトラクター。
  7. 第2エネルギー吸収手段は、巻取ドラムのトーションバー他端側の側面に設けられた屈曲路と、一端がプレート体の巻取部に固定され、その略中間部が屈曲路に配置されたワイヤとからなる請求項2〜6のいずれか1項に記載のシートべルトリトラクター。
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