JP2001287621A - ウェビング巻取装置 - Google Patents

ウェビング巻取装置

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JP2001287621A
JP2001287621A JP2000106265A JP2000106265A JP2001287621A JP 2001287621 A JP2001287621 A JP 2001287621A JP 2000106265 A JP2000106265 A JP 2000106265A JP 2000106265 A JP2000106265 A JP 2000106265A JP 2001287621 A JP2001287621 A JP 2001287621A
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spool
webbing
ring gear
torsion bar
lock
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JP2000106265A
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English (en)
Inventor
Tomonori Nagata
智紀 永田
Keisuke Imai
啓介 今井
Seiji Hori
誠司 堀
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Tokai Rika Co Ltd
Original Assignee
Tokai Rika Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単一のエネルギ吸収部材を備えた簡単な構造
で、乗員の慣性エネルギに応じて異なるフォースリミッ
タ荷重を選択できるウェビング巻取装置を得る。 【解決手段】 スプール14はキャリア36に、トーシ
ョンバー20はサンギヤ32にそれぞれ連結され、リン
グギヤ38は固定可能とされている。トーションバー2
0他端部はロックベース16に連結されている。車両急
減速時にロックベース16の回転のみが阻止されると、
スプール14とトーションバー20とは一体に回転し小
さなフォースリミッタ荷重が作用する。一方、ロックベ
ース16と共にリングギヤ38の回転が阻止されると、
トーションバー20はスプール14に対して増速され大
きなフォースリミッタ荷重が作用する。このため、リン
グギヤ38の固定の有無により異なるフォースリミッタ
荷重を選択できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウェビング巻取装
置に係り、特にウェビングの引出しを阻止するときに、
ウェビングの引出しを許容してエネルギを吸収すること
ができるウェビング巻取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ウェビング巻取装置では、スプール(巻
取軸)のウェビング引出方向の回転が車両急減速時にロ
ックされて、ウェビングの引き出しが阻止される。この
ロック機構としては、スプールの一端側の装置フレーム
近傍にロック手段が配置されており、車両急減速時には
このロック手段が作動されることで、スプールのウェビ
ング引出方向の回転が阻止される構成である。
【0003】また、このようなウェビング巻取装置にお
いて、ウェビングの引き出しを阻止する際に、ウェビン
グの引き出しを所定量許容して、エネルギの吸収を図る
ことが行われている。このエネルギ吸収機構としては、
例えばスプールとこれと同軸的にトーションバーを配置
した構成のものがある。一般的にトーションバーは、一
端部をスプールに、他端部をロック手段に接続されたロ
ックベースに、それぞれ相対回転しないように連結され
ている。通常は、スプールとロックベースとはトーショ
ンバーを介して一体に回転するが、車両急減速時にロッ
クベースのウェビング引出方向の回転が阻止された状態
では、スプールが、ウェビング引張力により、ロックベ
ースに対してウェビング引出方向へ回転する。このと
き、トーションバーが捩じられてエネルギが吸収され、
スプールの所定量の回転が許容される構成である。この
ような吸収エネルギは、ウェビングに付加される荷重
(フォースリミッタ荷重)とウェビング引出量(スプー
ル回転量)の積で決まるものであり、ウェビング巻取装
置では、フォースリミッタ荷重及びスプールの許容回転
量(トーションバーの捩り限界)が与えられている。
【0004】しかしながら、このような従来のウェビン
グ巻取装置では、エネルギ吸収時のフォースリミッタ荷
重はトーションバーの材料物性値及び寸法形状に支配さ
れ、例えば、乗員の体重、体格及び衝突時の車両速度等
をパラメータとする衝突エネルギ等の乗員の慣性エネル
ギに拘わらず一定の値しか採ることができなかった。
【0005】そこで、乗員の慣性エネルギに応じてフォ
ースリミッタ荷重を変更できるウェビング巻取装置が考
えられているが、このような従来のウェビング巻取装置
では、フォースリミッタ荷重を変更可能とするために例
えば、トーションバーを複数本備えエネルギを吸収する
トーションバー若しくはその組合せを変更する、また
は、異径のトーションバーを同軸的に組合せてそのエネ
ルギ吸収位置を変更する、構成であった。すなわち、複
数のエネルギ吸収部材(トーションバー)を備えた構成
であり、構造が複雑であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事実を考
慮し、単一のエネルギ吸収部材を備えた簡単な構造で、
かつ乗員の体格及び衝突形態に基づいた乗員の慣性エネ
ルギに応じて異なるフォースリミッタ荷重を選択するこ
とができるウェビング巻取装置を得ることが目的であ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明のウ
ェビング巻取装置は、ウェビングが巻取り引出しされる
筒状のスプールと、前記スプールの一端側に前記スプー
ルと同軸的でかつ相対回転可能に設けられたロックベー
スと、前記ロックベースに接続して設けられ、所定の加
速度が検知された際にフレームに係合して前記ロックベ
ースのウェビング引出方向回転を阻止する第1のロック
手段と、前記スプール内に前記スプールと同軸的に設け
られ、一端が前記スプールに連結されると共に他端が前
記ロックベースに連結され、通常は前記スプールと前記
ロックベースとを一体に回転させ、前記ロック手段によ
る前記ロックベースのウェビング引出方向回転阻止状態
ではウェビング引張力により捩じれながら前記スプール
を前記ロックベースに対してウェビング引出方向へ相対
回転させるトーションバーと、サンギヤと、前記サンギ
ヤに噛合うプラネタリギヤと、前記プラネタリギヤに噛
合うリングギヤと、前記プラネタリギヤを支持するキャ
リアとを構成要素に含み、前記サンギヤ、前記リングギ
ヤ、前記キャリアの何れか一要素が前記スプールに連結
され、残余の二要素のうち何れか一要素が前記トーショ
ンバー連結された遊星歯車機構と、前記サンギヤ、前記
リングギヤ、前記キャリアのうち、前記スプール及び前
記トーションバーの何れにも連結されない要素の回転を
阻止可能な第2のロック手段と、前記第1のロック手段
が作動し前記第2のロック手段が作動しない状態におい
て、前記サンギヤ、前記リングギヤ、前記キャリアのう
ち何れか二要素を直結状態とするクラッチと、を備えた
ことを特徴としている。
【0008】請求項1に記載のウェビング巻取装置で
は、スプールとロックベースとはトーションバー及び遊
星歯車機構を介して連結されており、通常は、これらが
互いに拘束されずに回転してウェビングの巻取り引出し
が自由とされる。
【0009】また、車両急減速時には、所定の加速度
(減速度)が検知されると第1のロック手段が作動して
フレームに係合することによりロックベースのウェビン
グ引出方向の回転が阻止される。このため、ウェビング
引張力がスプール及び遊星歯車機構を介してトーション
バーにウェビング引出し方向の回転力として作用する
と、トーションバーが捩れ、ウェビング(乗員)に作用
する荷重を一定に保ちながら(一定のフォースリミッタ
荷重が作用しながら)スプールがロックベースに対して
ウェビング引出方向へ回転されてウェビングが引出さ
れ、エネルギ吸収が果たされる。
【0010】ここで、第1のロック手段が作動した際に
第2のロック手段を作動させない場合には、クラッチに
よりサンギヤ、リングギヤ、キャリアの三要素うち何れ
か二要素が直結状態とされるため、これら三要素は一体
として回転する。すなわち、スプールは、トーションバ
ーの捩れ量だけ回転が許容され、このトーションバーの
捩れ荷重(トルク)がフォースリミッタ荷重として作用
する。
【0011】また、第2のロック手段を作動させた場合
には、サンギヤ、リングギヤ、キャリアのうちスプール
及びトーションバーに連結されていない一要素の回転が
阻止される。このとき、クラッチは作用しないため、上
記三要素が一体として回転することはなく、上記三要素
とスプール及びトーションバーとの組合せによってトー
ションバーがスプールに対して減速される場合と増速さ
れる場合がある。
【0012】第2のロック手段を作動させた際にトーシ
ョンバーがスプールに対して減速される構成(例えば、
スプールをサンギヤに、トーションバーをキャリアにそ
れぞれ連結した場合)では、上記三要素が一体として回
転する場合と比較してスプールを回転させるために必要
なトルクが小さい。すなわち、トーションバーの捩れ量
だけスプールの回転が許容される場合と比較して、作用
するフォースリミッタ荷重が小さい。
【0013】一方、第2のロック手段が作動した際にト
ーションバーがスプールに対して増速される構成(例え
ば、スプールをリングギヤに、トーションバーをサンギ
ヤにそれぞれ連結した場合)では、上記三要素が一体と
して回転する場合と比較してスプールを回転させるため
に必要なトルクが大きい。すなわち、トーションバーの
捩れ量だけスプールの回転が許容される場合と比較し
て、作用するフォースリミッタ荷重が大きい。
【0014】したがって、例えば、車両衝突時等の車両
急減速時に、乗員の体重、急減速直前の車両速度、加速
度(減速度)等を検知して乗員の慣性エネルギに応じて
フォースリミッタ荷重を変更する構成においては、乗員
の慣性エネルギが小さい場合は、トーションバーがスプ
ールに対して減速される構成では第1のロック手段及び
第2のロック手段を共に作動させる。また、トーション
バーがスプールに対して増速される構成では第1のロッ
ク手段のみを作動させる。これにより、小さなフォース
リミッタ荷重を作用させて適切なエネルギ吸収が果たさ
れる。
【0015】一方、乗員の慣性エネルギが大きい場合
は、トーションバーがスプールに対して減速される構成
では第1のロック手段のみを作動させる。また、トーシ
ョンバーがスプールに対して増速される構成では第1の
ロック手段及び第2のロック手段を共に作動させる。こ
れにより、大きなフォースリミッタ荷重を作用させて適
切なエネルギ吸収が果たされる。
【0016】このように、請求項1記載のウェビング巻
取装置では、単一のエネルギ吸収部材を備えた簡単な構
造で、かつ乗員の体格及び衝突形態に基づいた乗員の慣
性エネルギに応じて異なるフォースリミッタ荷重を選択
することができる。
【0017】請求項2に係る発明のウェビング巻取装置
は、請求項1記載のウェビング巻取装置において、前記
キャリアを前記スプールと常に一体に回転するように連
結すると共に、前記サンギヤを前記トーションバーの一
端に固定して連結し、前記第2のロック手段を、前記リ
ングギヤの外周部に形成されたロック歯と、前記ロック
歯に係合可能なパウルと、通常は前記パウルを前記ロッ
ク歯と非係合状態とし作動することで前記パウルを前記
ロック歯と係合状態とする駆動手段と、で構成したこと
を特徴とする。
【0018】請求項2に記載のウェビング巻取装置で
は、スプールとキャリアが連結され、トーションバーと
サンギヤが連結されているため、第2のロック手段が作
動した際にはトーションバーがスプールに対して増速さ
れる。
【0019】このため、乗員の慣性エネルギが小さい場
合は、第2のロック手段を構成する駆動手段を作動させ
ず、パウルをリングギヤの外周部に設けたロック歯と係
合しない状態とすることにより、小さなフォースリミッ
タ荷重によるエネルギ吸収が果たされる。一方、乗員の
慣性エネルギが大きい場合は、駆動手段の作動によって
パウルがロック歯との係合位置まで移動されパウルがロ
ック歯と噛合い、リングギヤの回転が確実に阻止される
ことにより、大きなフォースリミッタ荷重によるエネル
ギ吸収が果たされる。
【0020】このように、請求項2に係る発明のウェビ
ング巻取装置では、単一のエネルギ吸収部材を備えた一
層簡単な構造で、かつ乗員の体格及び衝突形態に基づい
た乗員の慣性エネルギに応じて異なるフォースリミッタ
荷重を確実に選択することができる。
【0021】請求項3に係る発明のウェビング巻取装置
は、請求項2記載のウェビング巻取装置において、前記
クラッチを、前記スプール内周部または前記リングギヤ
外周部の少なくとも何れか一方に設けられたに凹部と、
前記凹部に配置され、前記スプールに対して前記リング
ギヤが進んで回転する際に、前記スプール内周部と前記
リングギヤ外周部との間に挟持されることにより前記ス
プールと前記リングギヤとを直結する転動体と、で構成
したことを特徴とする。
【0022】請求項3に記載のウェビング巻取装置で
は、通常は、ロックベース及びリングギヤが共に回転自
由とされているため、クラッチ結合の有無に拘わらず、
ウェビングの巻取り引出しが自由とされる。
【0023】また、車両急減速時に第1のロック手段の
みが作動した際には、ロックベースのウェビング引出方
向の回転が阻止され、トーションバーを介してロックベ
ースに接続されたサンギヤの回転が制限される。
【0024】このため、リングギヤがスプール(キャリ
ア)に対して増速され、転動体がスプール内周部とリン
グギヤ外周部との間に挟持されることにより、スプール
とリングギヤとはクラッチ結合(直結)される。
【0025】これにより、結局、サンギヤ、リングギ
ヤ、キャリアは、一体となって回転し、スプールは、ト
ーションバーの捩れ量だけ回転が許容される。したがっ
て、小さなフォースリミッタ荷重によるエネルギ吸収が
果たされる。
【0026】一方、車両急減速時に第1のロック手段と
共に第2のロック手段を構成する駆動手段が作動した際
には、パウルがリングギヤに設けたロック歯と係合する
ことにより、リングギヤの回転が阻止される。このた
め、相対的にはリングギヤがスプールに対して遅れて進
むため、スプールとリングギヤとはクラッチ結合され
ず、通常時にクラッチ結合されていたとしてもクラッチ
結合は解除される。このとき、上述の通り、トーション
バーはスプールに対して増速されるため、大きなフォー
スリミッタ荷重によるエネルギ吸収が果たされる。
【0027】このように、請求項3に係る発明のウェビ
ング巻取装置では、単一のエネルギ吸収部材を備えたよ
り一層簡単な構造で、かつ乗員の体格及び衝突形態に基
づいた乗員の慣性エネルギに応じて異なるフォースリミ
ッタ荷重を一層確実に選択することができる。特に、き
わめて簡単なクラッチ機構によって上記作用を実現でき
る。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図1及び図
2に基づいて説明する。
【0029】図1には本実施の形態に係るウェビング巻
取装置10の全体構成が、図2には図1のA−A方向か
ら見た遊星歯車機構30の構成がそれぞれ示されてい
る。
【0030】ウェビング巻取装置10は、フレーム12
を備えている。フレーム12は、対向する一対の脚片1
2A、脚片12Bと各脚片を連結する背片12Cとを有
し、略コ字型に形成されている。背片12Cは下方に延
出されており、その下端部が車体にボルト止めされて固
定されている。
【0031】フレーム12の対向する脚片12A、12
Bの間には、軸方向が脚片12A、12Bの対向方向と
された筒状のスプール14が設けられている。このスプ
ール14にはウェビング22の一端が係止され、スプー
ル14の回転により、ウェビング22がスプール14に
対して巻取り引出し自在となる。
【0032】スプール14の筒内には、脚片12A側の
端部にロックベース16が配置されている。ロックベー
ス16は、フレーム12の脚片12Aの開口部にスプー
ル14と同軸的でかつ回転自在に支持されている。ロッ
クベース16には第1のロック手段を構成するロックプ
レート18が接続され、図示しない加速度センサが所定
の加速度(減速度)を検知した場合にロックプレート1
8がフレーム12に噛込むことによりロックベース16
の回転を阻止する構成となっている。
【0033】また、ロックベース16には、スプール1
4の筒内軸心部分に配置されたトーションバー20の六
角部が挿入されており、ロックベース16が常にトーシ
ョンバー20の一端側六角部と一体に回転するように構
成されている。
【0034】一方、トーションバー20の他端部には、
遊星歯車機構30を構成するサンギヤ32が固定して設
けられている。また、サンギヤ32の周りには、プラネ
タリギヤ34が設けられている。プラネタリギヤ34
は、サンギヤ32と噛合った状態で回転自在に支持され
ている。プラネタリギヤ34にはキャリア36が連結さ
れている。キャリア36には、プラネタリギヤ34の回
転軸36Aが設けられており、回転軸36Aがスプール
14に固定されることによりスプール14とキャリア3
6とが常に一体に回転するようになっている。さらに、
キャリア36の軸端にはぜんまいばね(図示省略)が設
けられている。これにより、スリーブ18は常にウェビ
ング22を巻取る方向に回転付勢されている。
【0035】また、プラネタリギヤ34の外側には、リ
ングギヤ38が設けられている。リングギヤ38は、プ
ラネタリギヤ34と噛合った状態で、スプール14と同
軸的で回転自在に支持されている。リングギヤ38の外
周部には、第2のロック手段を構成するロック歯38A
が形成されている。
【0036】さらに、リングギヤ38の下方には、パウ
ル40が設けられている。パウル40は、ロック歯38
Aに係合しリングギヤ38のウェビング引出方向の回転
を阻止可能に形成され、フレーム12の脚片12Bに設
けられたピン42を軸として回動可能とされている。ま
た、パウル40には、駆動手段44が接続されている。
駆動手段44は、通常は、パウル40をロック歯38A
と係合しない位置に保持し、作動するとパウル40をロ
ック歯38Aとの係合位置まで移動させる構成となって
いる。なお、駆動手段は、モータ、ソレノイド等の電磁
的アクチュエータであっても、ガスジェネレータ等の流
体駆動式のアクチュエータであっても良い。
【0037】これにより、スプール14と連結されたキ
ャリア38が駆動要素、トーションバー20と連結され
たサンギヤ32が被動要素、リングギヤ38が固定可能
な要素とされており、通常は、サンギヤ32、キャリア
36、リングギヤ38は共に拘束を受けずに(トーショ
ンバー20を捩ることなく)回転可能で、リングギヤ3
8の回転が阻止された際には、サンギヤ32がキャリア
36に対して増速される構成となっている。
【0038】また、スプール14とリングギヤ38との
間には、クラッチ50が設けられている。スプール14
の脚片12B側には、延長された筒部14Aが一体に設
けられている。筒部14Aの内部には、リングギヤ38
のロック歯38Aが形成されていない部分が、筒部14
Aと所定の隙間を保って挿入されている。
【0039】さらに、筒部14Aには、凹部14Bが設
けられている。凹部14Bは、筒部14Aとリングギヤ
38との隙間が、スプール14のウェビング引出回転方
向(図2に示す矢印Cの方向)の先頭側では狭く、後端
側では広くなるように連続的に形成されている。
【0040】さらにまた、凹部14Bとリングギヤ38
の外周部との間には、ローラ(転動体)42が配置され
ている。ローラ42は、円柱状に形成され、外径が凹部
14B以外の筒部14Aとリングギヤ38との隙間より
大きく、凹部14Bとリングギヤ38との最大隙間より
小さくされている。
【0041】これにより、リングギヤ38がスプール1
4に対して先に進む場合は凹部14Bとリングギヤ38
との隙間にローラ42が挟持され、リングギヤ38がス
プール14に対して遅れて進む場合はローラ42が拘束
を受けない構成となっている。
【0042】次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0043】上記構成のウェビング巻取装置10では、
スプール14とロックベース16とはトーションバー2
0及び遊星歯車機構30を介して連結されており、通常
は、スプール14(キャリア36)の回転に対してトー
ションバー20(サンギヤ32)及びリングギヤ38は
回転自由であるため、スプール14は拘束を受けず、ウ
ェビング22の巻取り引出しが自由とされる。
【0044】なお、通常時に、仮にクラッチ50が結合
状態となった場合でも、サンギヤ32(トーションバー
20)、キャリア34(スプール14)、リングギヤ3
8は一体として回転するため、ウェビング22の巻取り
引出しが自由とされる。
【0045】車両急減速時には、急減速直前の乗員の慣
性エネルギ(乗員の体重、体格、急減速直前の車両速度
等をパラメータとする)に応じて作用が異なるので、乗
員の慣性エネルギの大小の別に作用を説明する。 (乗員の慣性エネルギが小さい場合)例えば、乗員の体
重が小さい場合または急減速直前の車両速度が低い場合
は、乗員の慣性エネルギが小さい。この場合、所定の加
速度(減速度)が検知されるとロックプレート18がフ
レーム12に噛込み、ロックベース16のウェビング引
出方向の回転が阻止される。一方、駆動手段44は作動
されず、リングギヤ38の回転は阻止されない。
【0046】このとき、図2に示す矢印B方向のウェビ
ング引張力がスプール14に作用すると、スプール14
とリングギヤ38とは、共に図2に示す矢印C方向に回
転する。ここで、サンギヤ32がトーションバー20を
介してロックされ回転が制限されているため、リングギ
ヤ38がスプール14に対して増速される。すなわち、
リングギヤ38がスプール14に対して先に進むため、
ローラ52がスプール14の凹部14Bとリングギヤ3
8の外周部との間に挟持され、スプール14とリングギ
ヤ38とがクラッチ結合される。すると、結局、スプー
ル14(キャリア)、リングギヤ38、サンギヤ32
は、一体として回転するため、トーションバー20の捩
り量だけスプール14の回転が許容される。
【0047】このため、ウェビング引張力がスプール1
4及び遊星歯車機構30を介してトーションバー20に
ウェビング引出方向の回転力として作用すると、トーシ
ョンバー20が捩じれ、ウェビング22に作用する荷重
を一定に保ちながら(トーションバー20の捩り荷重が
一定のフォースリミッタ荷重として作用しながら)スプ
ール14がロックベース16に対してウェビング引出方
向へ回転されてウェビング22が引出され、エネルギ吸
収が果たされる。
【0048】このときのウェビング引張力とスプール1
4の回転量は、図3の破線で示される関係となり、所定
のフォースリミッタ荷重(図3のF1)がウェビング2
2に作用する。 (乗員の慣性エネルギが大きい場合)一方、例えば、乗
員の体重が大きい場合または急減速直前の車両速度が高
い場合は、乗員の慣性エネルギが大きい。この場合、所
定の加速度(減速度)が検知されるとロックプレート1
8がフレーム12に噛込み、ロックベース16のウェビ
ング引出方向の回転が阻止されると共に、駆動手段44
が作動され、パウル40がロック歯38Aと係合するこ
とによりリングギヤ38のウェビング引出方向の回転が
阻止される。
【0049】このとき、ウェビング引張力がスプール1
4に作用すると、サンギヤ32(トーションバー20)
がキャリア34(スプール14)に対して増速される。
すなわち、スプール14を回転させるために必要なトル
クが増大する。
【0050】このため、ウェビング引張力がスプール1
4及び遊星歯車機構30を介してトーションバー20に
ウェビング引出方向の回転力として作用すると、トーシ
ョンバー20が捩じれ、増大されたトーションバー20
の捩り荷重(トルク)が一定のフォースリミッタ荷重と
してウェビング22に作用しながら、スプール14がロ
ックベース16に対してウェビング引出方向へ回転され
てウェビング22が引出され、エネルギ吸収が果たされ
る。
【0051】このときのウェビング引張力とスプール1
4の回転量は、図3の実線で示される関係となり、所定
のフォースリミッタ荷重(図3のF2)がウェビング2
2に作用する。
【0052】なお、上記の実施の形態では、スプール1
4をキャリア36に、トーションバー20をサンギヤ3
2にそれぞれ連結し、リングギヤ38を固定可能な構成
としたが、本発明はこれに限られず、あらゆる組合せ
(6通りの組合せ)が可能である。したがって、例え
ば、スプールをサンギヤに、トーションバーをリングギ
ヤにそれぞれ連結し、キャリアを固定可能な構成として
も良い。ここで、スプールをキャリアに連結する構成の
場合は、スプール(駆動要素)に対して逆回転する要素
がないため、上記の実施の形態に示すクラッチ50と同
様のきわめて簡単なクラッチ機構を採用することができ
る。なお、固定可能な要素の回転を阻止した際にスプー
ルに対してトーションバーが減速される構成において
は、上記の実施の形態とは異なり、乗員の慣性エネルギ
が小さい場合にロックベース及び固定可能な要素の回転
を阻止し、乗員の慣性エネルギが大きい場合にロックベ
ースの回転のみを阻止する構成とする必要がある。
【0053】また、上記の実施の形態では、スプール1
4とリングギヤ38とを結合するクラッチ50を有する
構成としたが、本発明はこれに限られず、あらゆる組合
せが可能であり、例えば、スプール(キャリア)とサン
ギヤ(トーションバー)を結合可能な構成としても良
い。さらに、クラッチの形式もクラッチ50の形式に限
られず、例えば、噛合わせクラッチ等を採用しても良
い。
【0054】さらに、上記の実施の形態では、クラッチ
50を構成する凹部14Bをスプールの筒部14Aに設
けた構成としたが、凹部はリングギヤ外周部に設けた構
成としても良い。さらに、転動体としてのローラ42に
代えてボールを備えた構成としても良い。
【0055】またさらに、上記の実施の形態では、車両
衝突時等の車両急減速時に、乗員の体重、急減速直前の
車両速度、加速度(減速度)等を検知して乗員の慣性エ
ネルギに応じたフォースリミッタ荷重を変更する構成と
したが、例えば、乗員が着座した際に、乗員の体重等に
応じてリングギヤ38を予めロックする構成としても良
い。この場合、車両急減速直前の車両速度や加速度(減
速度)に応じてリングギヤ38のロック状態を解除可能
な構成とすることもできる。
【0056】このように、本実施の形態に係るウェビン
グ巻取装置10では、単一のエネルギ吸収部材(トーシ
ョンバー20)を備えた簡単な構造で、かつ乗員の体格
及び衝突形態に基づいた乗員の慣性エネルギに応じて異
なるフォースリミッタ荷重を選択することができる。
【0057】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明に係るウェビ
ング巻取装置は、単一のエネルギ吸収部材を備えた簡単
な構造で、かつ乗員の体格及び衝突形態に基づいた乗員
の慣性エネルギに応じて異なるフォースリミッタ荷重を
選択することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るウェビング巻取装置
の全体構成を示す断面図である。
【図2】図1のA−A方向から見た、本発明の実施の形
態に係るウェビング巻取装置を構成する遊星歯車機構を
示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るウェビング巻取装置
のウェビング引張力(フォースリミッタ荷重)とスプー
ルのウェビング引出方向回転量との関係を示す線図であ
る。
【符号の説明】
10 ウェビング巻取装置 12 フレーム 14 スプール 14B 凹部(クラッチ) 16 ロックベース 18 ロックプレート(第1のロック手段) 20 トーションバー 22 ウェビング 30 遊星歯車機構 32 サンギヤ 34 プラネタリギヤ 36 キャリア 38 リングギヤ 38A ロック歯(第2のロック手段) 40 パウル(第2のロック手段) 44 駆動手段(第2のロック手段) 50 クラッチ 52 ローラ(転動体)
フロントページの続き (72)発明者 堀 誠司 愛知県丹羽郡大口町豊田三丁目260番地 株式会社東海理化電機製作所内 Fターム(参考) 3D018 DA07 MA00 MA01 MA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウェビングが巻取り引出しされる筒状の
    スプールと、 前記スプールの一端側に前記スプールと同軸的でかつ相
    対回転可能に設けられたロックベースと、 前記ロックベースに接続して設けられ、所定の加速度が
    検知された際にフレームに係合して前記ロックベースの
    ウェビング引出方向回転を阻止する第1のロック手段
    と、 前記スプール内に前記スプールと同軸的に設けられ、一
    端が前記スプールに連結されると共に他端が前記ロック
    ベースに連結され、通常は前記スプールと前記ロックベ
    ースとを一体に回転させ、前記ロック手段による前記ロ
    ックベースのウェビング引出方向回転阻止状態ではウェ
    ビング引張力により捩じれながら前記スプールを前記ロ
    ックベースに対してウェビング引出方向へ相対回転させ
    るトーションバーと、 サンギヤと、前記サンギヤに噛合うプラネタリギヤと、
    前記プラネタリギヤに噛合うリングギヤと、前記プラネ
    タリギヤを支持するキャリアとを構成要素に含み、前記
    サンギヤ、前記リングギヤ、前記キャリアの何れか一要
    素が前記スプールに連結され、残余の二要素のうち何れ
    か一要素が前記トーションバー連結された遊星歯車機構
    と、 前記サンギヤ、前記リングギヤ、前記キャリアのうち、
    前記スプール及び前記トーションバーの何れにも連結さ
    れない要素の回転を阻止可能な第2のロック手段と、 前記第1のロック手段が作動し前記第2のロック手段が
    作動しない状態において、前記サンギヤ、前記リングギ
    ヤ、前記キャリアのうち何れか二要素を直結状態とする
    クラッチと、 を備えたウェビング巻取装置。
  2. 【請求項2】 前記キャリアを前記スプールと常に一体
    に回転するように連結すると共に、前記サンギヤを前記
    トーションバーの一端に固定して連結し、 前記第2のロック手段を、前記リングギヤの外周部に形
    成されたロック歯と、前記ロック歯に係合可能なパウル
    と、通常は前記パウルを前記ロック歯と非係合状態とし
    作動することで前記パウルを前記ロック歯と係合状態と
    する駆動手段と、で構成した、 ことを特徴とする請求項1記載のウェビング巻取装置。
  3. 【請求項3】 前記クラッチを、 前記スプール内周部または前記リングギヤ外周部の少な
    くとも何れか一方に設けられたに凹部と、 前記凹部に配置され、前記スプールに対して前記リング
    ギヤが進んで回転する際に、前記スプール内周部と前記
    リングギヤ外周部との間に挟持されることにより前記ス
    プールと前記リングギヤとを直結する転動体と、 で構成したことを特徴とする請求項2記載のウェビング
    巻取装置。
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