JP2002121266A - ノルボルネン系モノマーの重合方法 - Google Patents

ノルボルネン系モノマーの重合方法

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JP2002121266A
JP2002121266A JP2000312155A JP2000312155A JP2002121266A JP 2002121266 A JP2002121266 A JP 2002121266A JP 2000312155 A JP2000312155 A JP 2000312155A JP 2000312155 A JP2000312155 A JP 2000312155A JP 2002121266 A JP2002121266 A JP 2002121266A
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Nobuhiro Goto
信弘 後藤
Masafumi Nakatani
政史 中谷
Takeharu Morita
健晴 森田
Hiroyuki Hiraike
宏至 平池
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 残存モノマーが少なくかつ機械物性が高い重
合体を得ることのできるノルボルネン系モノマーの新規
な重合方法を提供する。 【解決手段】 ノルボルネン系モノマー及びメタセシス
重合触媒を主成分とする樹脂組成物を重合させる際に、
該樹脂組成物のゲルタイムを15秒以上に設定すること
を特徴とする重合方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジシクロペンタジ
エン等のノルボルネン系モノマーの新規な重合方法に関
し、さらに詳しくは、残存モノマーが少なくかつ機械物
性が高い重合体を得ることのできるノルボルネン系モノ
マーの新規な重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】石油ナフサのC5留分として得られるジ
シクロペンタジエンは、従来、焼却処理されていたが、
メタセシス重合可能な2成分系の重合触媒が開発された
以降は、それを重合させて架橋ポリマーのポリジシクロ
ペンタジエンとすることにより有効に利用されるように
なった。その際、用いられる2成分系のメタセシス重合
触媒は、具体的には、タングステン、モリブデン、タン
タル、ルテニウム、レニウム、オスミウム、チタンなど
のハロゲン化物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機ア
ンモニウム塩などを触媒とし、アルキルアルミニウムハ
ライド、アルコキシアルキルアルミニウムハライド、ア
リールオキシアルキルアルミニウムハライド、有機スズ
化合物などを触媒活性剤とするものであった。例えば、
特開昭58−129013号には、これら2成分系メタ
セシス重合触媒を用いた重合方法が記載されており、そ
の方法では、触媒と触媒活性剤とは、別々にジシクロペ
ンタジエンを主成分とするノルボルネン系モノマーに配
合されて2液成分とされた後、成形型への導入直前に2
液成分が衝突混合されて、成形型内で重合を行う反応射
出成形(RIM成形)により、架橋ポリマーであるポリ
ジシクロペンタジエンが得られている。そして、得られ
たポリジシクロペンタジエンは、耐衝撃性を始めとする
力学物性に優れたポリマーであり、その特性を活かし自
動車部材、土木資材等に利用されている。しかし、こう
した従来の2成分系のメタセシス重合触媒を用いた重合
方法には、欠点があり、例えば、触媒及び触媒活性剤が
酸素や水分の存在下では分解しやすいために、窒素パー
ジ等の手段を用いて不活性雰囲気下で重合させる必要が
あった。
【0003】ところで、近年になって、より触媒活性の
高い新しいタイプのメタセシス重合触媒が開発され、例
えば、米国特許第5312940号には、ジシクロペン
タジエン等のノルボルネン系モノマーを空気中で重合可
能な1成分型メタセシス重合触媒が、また、特開200
0−43078号には、ジシクロペンタジエン等のノル
ボルネン型シクロオレフィン類を1成分型メタセシス重
合触媒の存在下に重合させる方法が提案されている。
【0004】そして、特開2000−43078号に記
載の方法の場合は、重合時の重合反応物の発熱温度を1
10℃以下に調節しながら重合反応させ、引き続いてそ
の重合反応物を100℃〜250℃に加熱して後硬化さ
せることにより、硬化度の充分に高い重合体成形物を得
ており、その際、温度の調整は、成形用型の温度を調節
することにより行うとしているが、実際の反応では、次
の〜のような事態が起こり、こうした成形用型の冷
却だけでは、十分に満足のいく物性の重合体を得ること
が困難であることが判っている。 非常に活性の高いメタセシス重合触媒を使用した場合
には、成形用型の冷却が追いつかず、110℃以下に制
御するのは困難であった。 また、厚肉の成形品を得ようとする場合には、内部に
反応熱が蓄熱されるために、外部からの冷却だけでは不
充分であった。 さらに、2−ノルボルネンやジシクロペンタジエンの
ような環歪みの大きいシクロオレフィンの場合には、非
常に反応速度が早く、活性の高いメタセシス重合触媒を
用いると、数十秒で最高発熱温度に到達してしまうた
め、反応温度を110℃以下に保つことは非常に困難で
あった。
【0005】こうした状況下、上記した活性の高いメタ
セシス重合触媒を使用した場合に起こる種々の問題点を
解消し、しかも機械物性の高い重合体を得ることのでき
る重合方法の開発が強く求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
のメタセシス重合方法の問題点を解消し、残存モノマー
が少なくかつ機械物性が高い重合体を得ることのできる
新規な重合方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑み、種々のメタセシス重合性樹脂組成物のゲルタイ
ムについて鋭意検討を重ねた結果、ノルボルネン系モノ
マー及びメタセシス重合触媒を主成分とする樹脂組成物
を空気中で重合させる際に、該樹脂組成物のゲルタイム
を所定の時間以上に設定することにより所望とする重合
方法が得られることを見出して、本発明を完成するに至
った。
【0008】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
ノルボルネン系モノマー及びメタセシス重合触媒を主成
分とする樹脂組成物を重合させる際に、該樹脂組成物の
ゲルタイムを15秒以上に設定することを特徴とする重
合方法が提供される。
【0009】ここで、上記のゲルタイムとは、ノルボル
ネン系モノマーとメタセシス重合触媒を混合してから樹
脂組成物が流動しなくなるまでの時間を意味する。流動
状態を確認する手投としては、ガラス棒によりかき混ぜ
るのが可能かどうかによって判定するものとする。
【0010】また、本発明の第2の発明によれば、第1
の発明において、メタセシス重合触媒がルテニウム系メ
タセシス重合錯体であることを特徴とする重合方法が提
供される。
【0011】さらにまた、本発明の第3の発明によれ
ば、第1又は第2の発明において、ノルボルネン系モノ
マーがジシクロペンタジエンであることを特徴とする重
合方法が提供される。
【0012】また、本発明の第4の発明によれば、第1
〜3のいずれかの発明において、該樹脂組成物に遅延剤
を添加することにより、該樹脂組成物のゲルタイムを1
5秒以上に設定することを特徴とする重合方法が提供さ
れる。
【0013】さらにまた、本発明の第5の発明によれ
ば、第4の発明において、遅延剤がルイス塩基であるこ
とを特徴とする重合方法が提供される。
【0014】また、本発明の第6の発明によれば、第1
〜3のいずれかの発明において、ノルボルネン系モノマ
ーに対する触媒の添加量を調整させることにより、該樹
脂組成物のゲルタイムを15秒以上に設定することを特
徴とする重合方法が提供される。
【0015】さらにまた、本発明の第7の発明によれ
ば、第1〜3のいずれかの発明において、該樹脂組成物
の重合開始時の温度を低くすることにより、該樹脂組成
物のゲルタイムを15秒以上に設定することを特徴とす
る重合方法が提供される。
【0016】また、本発明の第8の発明によれば、第1
〜3のいずれかの発明において、該樹脂組成物を外部か
ら冷却することにより、該樹脂組成物のゲルタイムを1
5秒以上に設定することを特徴とする重合方法が提供さ
れる。
【0017】さらにまた、本発明の第9の発明によれ
ば、第1〜3のいずれかの発明において、該樹脂組成物
に充填材を配合することにより、該樹脂組成物のゲルタ
イムを15秒以上に設定することを特徴とする重合方法
が提供される。
【0018】また、本発明の第10の発明によれば、第
1〜9のいずれかの発明において、重合させた後に、ア
フターキュアーすることを特徴とする重合方法が提供さ
れる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0020】1.ノルボルネン系モノマー ノルボルネン系モノマーは、メタセシス重合触媒によっ
て開環重合し、耐薬品性、耐熱性、耐衝撃性に優れたポ
リマーが得られるが、これに該当する具体的な化合物と
しては、2−ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二
環体、ジシクロペンタジエンやジヒドロジシクロペンタ
ジエンなどの三環体、テトラシクロドデセン、エチリデ
ンテトラシクロドデセン、フェニルテトラシクロドデセ
ンなどの四環体、トリシクロペンタジエンなどの五環
体、テトラシクロペンタジエンなどの七環体、及びこれ
らのアルキル置換体(例えば、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル置換体など)、アルキリデン置換体(例え
ば、エチリデン置換体)、アリール置換体(例えば、フ
ェニル、トリル置換体)はもちろんのこと、エポキシ
基、メタクリル基、水酸基、アミノ基、カルボキシル
基、シアノ基、ハロゲン基、エーテル基、エステル結合
含有基等の置換基を有する誘導体が挙げられる。これら
は、単独で使用しても良いし、2種以上を混合して用い
ても良い。
【0021】これらのノルボルネン系モノマーの中で
も、ジシクロペンタジエンが入手の容易さ、反応性及び
耐熱性等の物性バランスが優れている点で好ましい。ジ
シクロペンタジエンの場合は、環歪みが大きく、メタセ
シス重合性が高いモノマーであるので、反応制御が難し
く満足な機械物性が得られない場合が多いし、独特なモ
ノマー臭気があるので、残存モノマーが多い場合には製
品としての展開用途が大幅に制限されることになってい
たが、本発明の重合方法によれば、機械物性が高く、残
存モノマーによる臭気が少ないポリマーを得ることがで
きる。
【0022】また、本発明の重合方法では、ノルボルネ
ン系モノマーの1種以上と共に開環重合可能なシクロブ
テン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオ
クテン、シクロドデセンなどの単環シクロオレフィンあ
るいはインデン、クマロン、クマロン−インデン系コモ
ノマーのような環状モノマーなどを、本発明の目的を損
なわない範囲で使用することができる。また、テトラヒ
ドロインデンのような架橋しうる環状モノマーを併用し
ても良い。
【0023】さらに、本発明の重合方法では、ノルボル
ネン系モノマーをメタセシス重合触媒と混合する前にノ
ルボルネン系モノマーを冷却しておくことで、ゲルタイ
ムを延長することができる。メタセシス重合の場合は、
反応の温度依存性が大きいので、ノルボルネン系モノマ
ー自体を冷却することはゲルタイムを延長するには非常
に効果的である。冷却方法としては、特には限定しない
が、冷却水や液体窒素による原料タンクの冷却が有効で
ある。
【0024】2.メタセシス重合触媒 メタセシス重合触媒は、塊状重合によりノルボルネン系
モノマーを開環重合できるものであれば特に限定され
ず、公知のものでよい。例えば、タングステン、モリブ
デン、タンタル、ルテニウム、レニウム、オスミウム、
チタンなどの金属ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、
酸化物、有機アンモニウム塩などが挙げられ、好適に用
いられる。これらのメタセシス重合触媒は、単独で使用
してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
【0025】本発明の重合方法では、ノルボルネン系モ
ノマーをメタセシス重合触媒の存在下に重合させて機械
物性が高くかつ残存モノマーが低い重合体や成形品を得
るため、空気や水分によって簡単に分解したりするよう
な触媒よりも、空気中での経時安定性に優れる触媒が好
ましく、具体的には、下記一般式(I)のルテニウムカ
ルベン触媒や一般式(II)のルテニウムビニリデン触
媒が好適に用いられる。これらのルテニウムカルベン触
媒やルテニウムビニリデン触媒は、単独で使用してもよ
いし、2種以上を併用して使用してもよい。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】 ここで、式中、R1及びR2は、お互いに独立に、水
素、C2〜C20−アルケニル、C1〜C20−アルキ
ル、アリール、C1〜C20−カルボキシレート、C1
−C20−アルコキシ、C2−C20−アルケニルオキ
シ、アリールオキシ、C2〜C20−アルコキシカルボ
ニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキ
ルシリル、アリールシリル、チオアリール、チオアルキ
ル(アルキル部分はC1−C20)、オキシアリール、
オキシアルキル(アルキル部分はC1〜C20)(これ
らは、C1−C5−アルキル、ハロゲン、C1〜C5−
アルコキシによって、又は必要に応じてC1−C5−ア
ルキル、ハロゲン、C1〜C5−アルコキシによって置
換されたフェニルによって必要に応じて置換されていて
も良い)、フェロセン誘導体を意味し、X1及びX2
は、お互いに独立に、任意の所望のアニオン性配位子を
意味し、L1及びL2は、お互いに独立に、任意の所望
の中性電子供与体を意味し、そして、X1、X2、L1
及びL2の二個又は三個は、更にまた、一緒に多座キレ
ート化配位子を形成しても良い。
【0028】より好ましい触媒の構造は、上記の一般式
(I)及び一般式(II)において、式中、R1及びR
2は、お互いに独立に、水素、メチル、エチル、フェニ
ル、フェロセニル、又はメチル、エチル、フェニル、ア
ルキルシリル、アリールシリルもしくはフェロセニルに
よって必要に応じて置換されたビニルであり、X1及び
X2は、お互いに独立に、Cl、Brであり、L1及び
L2は、お互いに独立に、トリメチルホスフィン、トリ
エチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリイソ
プロピルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィン
である触媒である。
【0029】さらに、メタセシス重合の場合、平衡反応
であるため、反応が100%完了しにくく、そのため、
このような反応系では、機械物性が高くかつ残存モノマ
ーが少ない重合体を得ようとすると、耐熱性が高く反応
開始後の反応活性保持時間が長いルテニウム系メタセシ
ス重合触媒を用いることが好ましい。
【0030】メタセシス重合触媒の添加量は、触媒の活
性によって異なるため、一概には言えないが、通常は全
モノマーに対して1/5〜1/5000000モル当
量、さらに好ましくは1/100〜1/100000モ
ル当量であることが望ましい。1/5当量より多いと得
られるポリマーの分子量が上がらず、一方、1/500
000当量より少ないと重合速度が低くなるので好まし
くない。そのため、この範囲で必要なゲルタイム及び硬
化時間を基に触媒の混合比率を設定すればよい。
【0031】本発明の重合方法では、ノルボルネン系モ
ノマーに対する触媒の添加量を調整し、樹脂組成物のゲ
ルタイムを15秒以上にすることにより、機械物性が高
く、残存モノマーの少ない重合体を得ることができる。
触媒の添加量が多すぎると、重合温度が高くなりすぎる
し、局部的に反応が開始されるので、分子量が低下した
り残存モノマーが残りやすくなる。また、触媒添加量が
少なすぎると、残存モノマーが多くなるので、最適な触
媒添加量を選定する必要がある。
【0032】3.任意成分 本発明のメタセシス重合性樹脂組成物には、前述したノ
ルボルネン系モノマー及びメタセシス重合触媒からなる
主成分の外に、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化
防止剤、充填材、発泡剤、消泡剤、揺変性付与剤、帯電
防止剤、分子量調整剤、高分子改質剤、難燃剤、可塑
剤、顔料、染料、着色剤、エラストマー等の種々の添加
剤を配合することができる。
【0033】充填材としては、炭酸カルシウム、水酸化
アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウ
ム、クレー、タルク、マイカ、カオリン、フライアッシ
ュ、モンモリロナイト、ガラスバルーン、シリカバルー
ン、熱膨張性塩化ビニリデン粒子、ガラス繊維、カーボ
ン繊維、アラミド繊維等が挙げられる。これらの充填材
は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用
してもよい。
【0034】エラストマーとしては、天然ゴム、ポリブ
タジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン−ス
チレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチ
レンブロック共集合体、EPDM、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体及びこれらの水素化物が挙げられる。これら
のエラストマー類は、単独で使用してもよいし、2種以
上を併用して使用してもよい。
【0035】さらに、上記酸化防止剤としては、例え
ば、フェノール系、燐系、アミン系などの各種のプラス
チック・ゴム用酸化防止剤が用いられる。
【0036】これらの任意成分のうち、充填材若しくは
遅延剤は、それらを添加、配合することにより、該樹脂
組成物のゲルタイムを延長させるのに役立つため、本発
明の重合方法を実施する上で特に重要である。
【0037】例えば、充填材の場合には、メタセシス重
合触媒とノルボルネン系モノマーの単位時間あたりの接
触回数を減らすことで、ゲルタイムを延長することがで
きる。充填材の配合量としては、少量では効果が小さい
ので、ノルボルネン系モノマー100重量部に対して、
50重量部以上が好ましい。ただし、この場合には充填
材の影響で得られた重合体の物性がノルボルネン系ポリ
マー単独の場合に比べて変わってしまうので、必要な物
性に応じて最適な充填材を選定する必要があり、樹脂組
成物の流動性を重視する場合には、炭酸カルシウムや水
酸化アルミニウムのようなアスペクト比の小さい充填材
を、曲げ強度を重視する場合には、ガラス繊維やカーボ
ン繊維のようなアスペクト比の大きい充填材を選定すれ
ば良い。
【0038】また、遅延剤の場合は、それを添加するこ
とにより、ゲルタイムを延長することが可能であり、急
激な重合反応による触媒の熱分解、触媒の分散不良、分
子量の低下等の機械物性の低下や残存モノマーにつなが
るような状況を防止することが可能となる。そして、ノ
ルボルネン系モノマーのメタセシス重合、特にジシクロ
ペンタジエンのような架橋性モノマーのメタセシス重合
では、複雑な反応が同時に起こるため、その反応メカニ
ズムが解明されていないが、遅延剤を添加することによ
り、ゲルタイムを延長させ、その結果、機械物性及び残
存モノマーに大幅な改善が見られる。
【0039】遅延剤としては、アミン系化合物やホスフ
ィン系化合物のようなルイス塩基あるいはアルコール、
ケトン等の極性基含有化合物が挙げられる。この中で
は、ルイス塩基が最も効果的であり、ルイス塩基は電子
対供与体と定義される。その具体的な一例としては、ピ
ペリジン、ピリジン、イミダゾール、ピロリジン、γ−
ピコリン、ジエチルアミンのようなアミン系化合物ある
いはトリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホス
フィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリブチルホ
スフィン、トリイソプロピルホスフィンのようなホスフ
ィン系化合物等が挙げられる。
【0040】4.重合方法 本発明では、前述のノルボルネン系モノマー及びメタセ
シス重合触媒からなる主成分に、さらに充填材や遅延剤
のような該樹脂組成物のゲルタイムを延長させるのに役
立つ添加剤、或いはその他の任意成分を配合することに
より、メタセシス重合性樹脂組成物が調製される。その
際、各成分の配合順序は、特に重要ではなく、いかなる
順序で行ってもよい。
【0041】一般に、メタセシス重合反応の場合、ノル
ボルネン系モノマーと重合触媒とが接触、混合すると、
重合反応が開始し、重合の進展に伴って樹脂組成物のゲ
ル化が一層進むことになるが、本発明の重合方法では、
こうした重合の際に、メタセシス重合性樹脂組成物のゲ
ルタイムを15秒以上、より好ましくは30秒以上に設
定することが、機械物性が高くかつ残存モノマーが少な
い理想的な重合体を得る上で特に重要である。
【0042】重合性樹脂組成物のゲルタイムが15秒よ
りも短いと、反応速度が早すぎて分子量が小さくなった
り、反応熱の上昇によって触媒及び活性種の分解が起こ
るからである。また、急速に高分子量化するために反応
から取り残されるモノマーが増え、結果的に残存モノマ
ーが増加することになる。
【0043】重合性樹脂組成物のゲルタイムを15秒以
上に設定する手段としては、例えば、次に示すような方
法が挙げられる。 (1)重合性樹脂組成物に遅延剤を添加する。 (2)ノルボルネン系モノマーに対する触媒の添加量を
調整させる。 (3)該樹脂組成物に充填材を配合する。 (4)該樹脂組成物の重合開始時の温度を低くする。 (5)該樹脂組成物を外部から冷却する。
【0044】なお、上述した方法のうち、(1)〜
(4)は、既に説明したのでさらに言及しないが、
(5)について説明すると、樹脂組成物をメタセシス重
合触媒と混合して重合する際に、樹脂組成物を外部から
冷却することで、ゲルタイムを延長することができる。
但し、反応速度が非常に早い場合には、樹脂組成物の反
応温度の上昇に対して冷却が追いつかないので、充分な
ゲルタイムの延長ができない場合がある。その場合に
は、上記(4)のようなノルボルネン系モノマー自体を
事前に冷却する方法の方が効果的である。冷却方法とし
ては、特には限定しないが、冷却水や液体窒素による成
形型や反応槽の冷却が有効である。
【0045】本発明の重合方法では、ゲルタイムを15
秒以上に設定することにより、メタセシス重合触媒及び
ノルボルネン系モノマーを主成分とする樹脂組成物を適
度な反応速度で反応させることが可能となり、その結
果、理想の重合体が得られ、成形品にしたときの肉厚を
薄くできたり、残存モノマーによる臭気を低減できる。
【0046】さらに、メタセシス重合は、一般的に平衡
反応であるため、残存モノマーが系中に残りやすいし、
またメタセシス重合活性の低いノルボルネン系モノマー
の場合には熱をかけないと反応が進行しにくい場合があ
る。そのため、メタセシス重合触媒とノルボルネン系モ
ノマーからなる樹脂組成物をゲルタイム15秒以上にな
る条件で反応させ、最高発熱温度を過ぎた時点を目安に
して更に高い温度でアフターキュアーすることにより、
架橋密度や反応率を向上させ、残存モノマーを減少する
ことができる。その際、アフターキュアーするタイミン
グは、特に限定せず、個々の樹脂組成物によりそれぞれ
最適化すれば良い。また、アフターキュアー温度につい
ては、特に限定はしないが、通常は、80℃以上、好ま
しくは80〜150℃であることが望ましい。
【0047】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例を示す
が、本発明は、これらの実施例によって何ら限定される
ものではない。なお、実施例や比較例に用いた各成分の
詳細や評価・試験方法は、以下の通りである。
【0048】(1)成分 メタセシス重合触媒:次の式(1)又は式(2)のルテ
ニウム錯体 なお、式(1)の触媒は、Schell,M;Din
g,S;Lee,W.L;Grubbs,R.H;Or
g.lett.1999,40,2247に従って合成
した。また、式(2)の触媒は、米国特許第5,312,
940号に従って合成した。
【0049】
【化3】
【0050】
【化4】 ノルボルネン系モノマー:ジシクロペンタジエン(DC
PD)とエチリデンノルボルネン(ENB)との混合物
(モル比で9:1)遅延剤:トリフェニルホスフィン
【0051】(2)評価・試験方法 ゲルタイム モノマーに触媒を混合してから平板型にガラス棒を入れ
てかき混ぜ、流動性がなくなるまでの時間を測定し、そ
れをゲルタイムとした。
【0052】曲げ強度・曲げ弾性率 JISK7055に準拠して行った。
【0053】残存モノマー量 以下の方法にて測定した。 1)試料0.5gを10mlのメスフラスコ内に精秤
し、トルエンでメスアップした。 2)室温で20時間放置し、残存モノマーを抽出後、
0.2μmのフィルターで濾過して測定試料とした。 3)ジシクロペンタジエンの検量液及びエチリデンノル
ボルネンの検量液をトルエンで希釈して3水準用意し、
絶対検量線法で定量した。 4)上記検量液をガスクロマトグラフィー(GC)にて
測定した。 5)以上の結果、残存モノマー量は、次式にて計算し
た。 残存モノマー量(wt%)={GC検出量(wt/vo
l%)×10ml}/試料重量(g)
【0054】実施例1〜6 表1の記載に従って、各成分を所定の配合割合で用い、
次に示すとおりの手順で重合を行った。まず、厚さ4m
mの平板用型に、トルエン200重量部に上記ルテニウ
ム錯体10重量部を溶解させた溶液を、所定の初期樹脂
温度に調整したジシクロペンタジエンとエチリデンノル
ボルネンとの混合物の総モル数に対して所定のモル比に
なるように配合し、ゲルタイムを測定した。また、得ら
れた厚さ4mmの平板の曲げ強度・曲げ弾性率及び残存
モノマー量を測定した。さらに、物性測定用サンプル
は、設定した型温度にて60分重合させ、120℃で6
0分アフターキュアーして作製した。
【0055】比較例1〜3 樹脂組成物のゲルタイムが15秒より短い条件で樹脂組
成物を重合させる以外は、上記実施例と同様の方法で測
定した。
【0056】実施例1〜6および比較例1〜3の結果
は、次の表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】なお、いずれの場合においても、エチリデ
ンノルボルネン(ENB)の残存モノマー量が0.1重
量%未満であったため、表中の残存モノマー量には、ジ
シクロペンタジエン(DCPD)の残存モノマー量のみ
を記載した。
【0059】表1の結果から明らかなように、本発明の
重合方法(実施例1〜6)では、機械物性が高くかつ残
存モノマーが少ない理想的な重合体を得ることができ、
総合判定の結果、合格(○)であったたのに対し、樹脂
組成物のゲルタイムを15秒以上にすることができなか
った従来の重合方法(比較例1〜3)では、機械物性や
残存モノマーの点で劣った重合体しか得ることができ
ず、総合判定の結果、不合格(×)であった。
【0060】
【発明の効果】このように、本発明によれば、ノルボル
ネン系モノマーとメタセシス重合触媒を主成分とする樹
脂組成物を重合させる際に、該樹脂組成物のゲルタイム
を15秒以上に設定することによって、機械物性が高く
かつ残存モノマーが少ない理想的な重合体を得ることが
できる。機械物性が高くなることで、製品肉厚を薄くで
きる等の設計面のメリットもでてくるし、残存モノマー
が少なくなることで、臭気の面で従来は展開困難であっ
た住宅分野等の屋内部材にも利用できる。さらに、良好
な耐薬品性、耐熱性を有しているので、具体的にはパイ
プ、継手、バルブ、マンホール、マス、プラント管、浄
化槽、ボート、自動車部材、浴槽、防水パン、洗面台、
サニタリー部品、便器、壁パネル、床材等への展開も可
能である。
フロントページの続き (72)発明者 平池 宏至 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 4J032 CA34 CA35 CA38 CA43 CA45 CB01 CB04 CC03 CD02 CD03 CD04 CD05 CE16 CE17 CE22 CG07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノルボルネン系モノマー及びメタセシス
    重合触媒を主成分とする樹脂組成物を重合させる際に、
    該樹脂組成物のゲルタイムを15秒以上に設定すること
    を特徴とする重合方法。
  2. 【請求項2】 メタセシス重合触媒がルテニウム系メタ
    セシス重合錯体であることを特徴とする請求項1に記載
    の重合方法。
  3. 【請求項3】 ノルボルネン系モノマーがジシクロペン
    タジエンであることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の重合方法。
  4. 【請求項4】 該樹脂組成物に遅延剤を添加することに
    より、該樹脂組成物のゲルタイムを15秒以上に設定す
    ることを特徴とする請求項1〜3に記載の重合方法。
  5. 【請求項5】 遅延剤がルイス塩基であることを特徴と
    する請求項4に記載の重合方法。
  6. 【請求項6】 ノルボルネン系モノマーに対する触媒の
    添加量を調整させることにより、該樹脂組成物のゲルタ
    イムを15秒以上に設定することを特徴とする請求項1
    〜3に記載の重合方法。
  7. 【請求項7】 該樹脂組成物の重合開始時の温度を低く
    することにより、該樹脂組成物のゲルタイムを15秒以
    上に設定することを特徴とする請求項1〜3に記載の重
    合方法。
  8. 【請求項8】 該樹脂組成物を外部から冷却することに
    より、該樹脂組成物のゲルタイムを15秒以上に設定す
    ることを特徴とする請求項1〜3に記載の重合方法。
  9. 【請求項9】 該樹脂組成物に充填材を配合することに
    より、該樹脂組成物のゲルタイムを15秒以上に設定す
    ることを特徴とする請求項1〜3に記載の重合方法。
  10. 【請求項10】 重合させた後に、アフターキュアーす
    ることを特徴とする請求項1〜9に記載の重合方法。
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