JP2003003048A - 溶融成形可能な熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物及びそれを用いた成形品又は光学フィルム - Google Patents

溶融成形可能な熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物及びそれを用いた成形品又は光学フィルム

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JP2003003048A JP2001293148A JP2001293148A JP2003003048A JP 2003003048 A JP2003003048 A JP 2003003048A JP 2001293148 A JP2001293148 A JP 2001293148A JP 2001293148 A JP2001293148 A JP 2001293148A JP 2003003048 A JP2003003048 A JP 2003003048A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性ノルボルネン系ポリマーが有する耐
熱性や透明性を損なうことなく、成形性、透湿性、接着
性などを改善し、溶融成形時の熱劣化や欠陥の発生を抑
制した熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物、及びそれを
溶融成形又は押出成形してなる成形品又は光学フィルム
の提供。 【解決手段】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるベ
ースポリマー(A)に、数平均分子量が200〜100
00で、かつ軟化点が70〜170℃であるオレフィン
系化合物(B)を配合することを特徴とする溶融成形可
能な熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物、および該熱可
塑性ノルボルネン系樹脂組成物を溶融成形又は押出成形
してなる成形品又は光学フィルムにより提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融成形可能な熱
可塑性ノルボルネン系樹脂組成物及びそれを用いた成形
品又は光学フィルムに関し、さらに詳しくは、熱可塑性
ノルボルネン系樹脂の有する耐熱性や透明性を損なうこ
となく、成形性、透湿性、接着性などを改善し、かつ溶
融成形時の熱劣化や欠陥の発生を抑制した熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂組成物、及びそれを溶融成形してなる成
形品又は光学フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ノルボルネン系ポリマーは、透
明性、耐熱性、低吸湿性、低複屈折性、成形性等に優れ
ているため、その特性を活かし、例えば、一般カメラ用
レンズ、ビデオカメラ用レンズ、望遠鏡レンズ、眼鏡レ
ンズ、レーザビーム用レンズなどのレンズ類、光学式ビ
デオディスク、オーディオディスク、文書ファイルディ
スク、メモリディスクなどの光ディスク類、光ファイバ
ーなどの光学材料、受像転写シートや各種フィルム、シ
ート等の光学的用途を中心に、その他、各種電子機器筺
体、窓ガラス、プリント基板、封止剤、無機または有機
化合物のバインダー等の各種用途に広く用いられてい
る。
【0003】これら光学的用途の中でも、特に位相差フ
ィルムや偏光板保護フィルムなどの光学フィルムに対し
ては、熱可塑性ノルボルネン系ポリマーが好適な樹脂材
料であり、例えば、特開昭62−181365号公報や
特開平6−51117号公報には、こうした光学フィル
ムが記載されており、熱可塑性ノルボルネン系ポリマー
の優れた透明性、耐熱性、低吸湿性、低複屈折性、成形
性等という特性が光学フィルムに適していると述べられ
ている。
【0004】しかしながら、位相差フィルムの場合、偏
光板や液晶セルのガラス基板との接着をアクリル系感圧
接着剤等で行う場合に、接着強度が発現しにくく、ま
た、偏光板保護フィルムとして使用する場合も同様に、
非常に極性の高いポリビニルアルコール性偏光子と極性
の低いノルボルネン系ポリマーとの接着が十分に行われ
にくい等の問題点を抱えていた。また、偏光板保護フィ
ルムとして使用する場合、著しく低い透湿度は偏光子中
の水分の揮発を抑制し、偏光板の耐熱試験で光学特性の
低下を招く等の問題を生じていた。
【0005】従来、熱可塑性ノルボルネン系ポリマーを
用いた光学フィルムは、溶液キャスト法で作製されてい
るが、溶液キャスト法は、工程管理が複雑で生産性が悪
いため大量生産に向かず、それに代わる成形手段とし
て、射出成形、押出成形等といった生産性の高い溶融成
形法が試みられていた。
【0006】しかしながら、熱可塑性ノルボルネン系ポ
リマーの場合、溶融成形法でフィルムを得ようとする
と、成形温度が250℃以上となり、フィルムの劣化が
生じたり、ポリマー分解物やゲルの発生などによる外観
欠陥が生じるといった欠点があった。
【0007】こうした溶融成形法における欠点を解決す
るために、これまで、熱可塑性ノルボルネン系ポリマー
に他の成分を配合する方法やポリマー自体を改質する方
法などが試みられてきた。
【0008】前者の方法としては、例えば、特開平9−
221577号公報では、極性基のある熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂と特定の炭化水素系樹脂とからなる樹脂組
成物が提案されているが、この樹脂組成物では、得られ
る成形品の光学的物性(例えばヘイズなど)が十分満足
の行くものとはいえないばかりでなく、透湿性等に劣っ
た極性基のない熱可塑性ノルボルネン系樹脂に対しては
適用できないという致命的な問題点があった。また、熱
可塑性ノルボルネン系樹脂に少量の極性モノマーを添加
することも考えられるが、樹脂との相溶性や成形後のモ
ノマーのブリードの問題があり、その使用は好ましくな
かった。
【0009】一方、後者の方法としては、原料である熱
可塑性ノルボルネン系ポリマーの分子量を低下させるこ
とも考えられるが、この方法では、分子量を低下させる
と得られた光学フィルムの強度が著しく低下するという
問題点があった。
【0010】こうした状況下、いかなる熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂に対しても適用できる配合技術、すなわ
ち、ベースポリマーが極性基を有する熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂であっても、或いは極性基を有しない熱可塑
性ノルボルネン系樹脂であっても、いずれの場合にも適
用できる新規な熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物の開
発が求められていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、こう
した従来技術の問題点に鑑み、熱可塑性ノルボルネン系
樹脂の有する耐熱性や透明性を損なうことなく、成形
性、透湿性、接着性などを改善し、かつ溶融成形時の熱
劣化や欠陥の発生を抑制した熱可塑性ノルボルネン系樹
脂組成物、及びそれを溶融成形してなる成形品又は光学
フィルムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、任意の熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂に特定のオレフィン系化合物を配合す
ると、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の有する耐熱性や透
明性を損なうことなく、成形性、透湿性、接着性などを
改善し、かつ溶融成形時の熱劣化や欠陥の発生を抑制し
た新規な熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物が得られる
こと、さらには、その新規な樹脂組成物を溶融成形する
と、透明性、耐熱性、低吸湿性、低複屈折性、成形性、
透湿性、接着性等に優れた成形品又は光学フィルムが得
られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるベースポリマー
(A)に、数平均分子量が200〜10000で、かつ
軟化点が70〜170℃であるオレフィン系化合物
(B)を配合することを特徴とする溶融成形可能な熱可
塑性ノルボルネン系樹脂組成物が提供される。
【0014】また、本発明の第2の発明によれば、ベー
スポリマー(A)が、極性基を有しないノルボルネン系
樹脂であることを特徴とする第1の発明に記載の熱可塑
性ノルボルネン系樹脂組成物が提供される。
【0015】さらに、本発明の第3の発明によれば、オ
レフィン系化合物(B)の数平均分子量が、500〜5
000であることを特徴とする第1の発明に記載の熱可
塑性ノルボルネン系樹脂組成物が提供される。
【0016】また、本発明の第4の発明によれば、オレ
フィン系化合物(B)が、脂環族オレフィン又はその重
合体であることを特徴とする第1の発明に記載の熱可塑
性ノルボルネン系樹脂組成物が提供される。
【0017】さらに、本発明の第5の発明によれば、前
記脂環族オレフィン又はその重合体が、極性基を有する
脂環族オレフィン又はその重合体であることを特徴とす
る第4の発明に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成
物が提供される。
【0018】また、本発明の第6の発明によれば、前記
脂環族オレフィン又はその重合体が、シクロペンテン環
又はノルボルネン環を有する化合物であることを特徴と
する第4又は5の発明に記載の熱可塑性ノルボルネン系
樹脂組成物が提供される。
【0019】さらに、本発明の第7の発明によれば、前
記脂環族オレフィン又はその重合体が、水添加物である
ことを特徴とする第6の発明に記載の熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂組成物が提供される。
【0020】また、本発明の第8及び9の発明によれ
ば、前記極性基を有する脂環族オレフィン又はその重合
体が、所定のノルボルネン系モノマーをメタセシス重合
することによって得られる生成物であることを特徴とす
る第5〜7のいずれかの発明に記載の熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂組成物、および前記極性基を有する脂環族オ
レフィン又はその重合体が、所定のノルボルネン系モノ
マーを官能基含有連鎖移動剤の存在下にメタセシス重合
することによって得られる生成物であることを特徴とす
る第5〜7のいずれかの発明に記載の熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂組成物が提供される。
【0021】さらに、本発明の第10の発明によれば、
前記極性基が、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ア
ミド基又はシリル基から選ばれる活性水素を含む官能基
であることを特徴とする第5〜9のいずれかの発明に記
載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物が提供される。
【0022】また、本発明の第11及び12の発明によ
れば、オレフィン系化合物(B)の配合量が、ベースポ
リマー(A)100重量部に対して0.01〜100重
量部であることを特徴とする第1の発明に記載の熱可塑
性ノルボルネン系樹脂組成物、およびオレフィン系化合
物(B)の配合量が、ベースポリマー(A)100重量
部に対して0.01〜15重量部であることを特徴とす
る第11の発明に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組
成物が提供される。
【0023】さらに、本発明の第13の発明によれば、
オレフィン系化合物(B)の配合量が、ベースポリマー
(A)との配合によって生じるガラス転移温度の低下を
20℃以内に維持できる範囲内にすることを特徴とする
第11又は12の発明に記載の熱可塑性ノルボルネン系
樹脂組成物が提供される。
【0024】また、本発明の第14の発明によれば、2
80℃での溶融粘度が3000Pa・s以下、230℃
での溶融粘度が100〜13000Pa・sであり、か
つガラス転移温度が100〜190℃であることを特徴
とする第1〜13のいずれかの発明に記載の熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂組成物が提供される。
【0025】一方、本発明の第15の発明によれば、第
1〜14のいずれかの発明に記載の熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂組成物を溶融成形してなる成形品が提供され
る。
【0026】また、本発明の第16の発明によれば、第
1〜14のいずれかの発明に記載の熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂組成物を押出成形してなる光学フィルムが提供
される。
【0027】さらに、本発明の第17及び18の発明に
よれば、全光線透過率が60〜100%であることを特
徴とする第16の発明に記載の光学フィルム、および引
き裂き強度が0.1N以上であることを特徴とする第1
6の発明に記載の光学フィルムが提供される。
【0028】また、本発明の第19の発明によれば、ヘ
イズが20%以下であることを特徴とする第16〜18
のいずれかの発明に記載の光学フィルムが提供される。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明は、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂からなるベースポリマー(A)に特定の物性を有
するオレフィン系化合物(B)を配合してなる溶融成形
可能な熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物、およびそれ
を用いた成形品又は光学フィルムである。以下、本発明
の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物およびそれを用い
た成形品又は光学フィルムについて詳細に説明する。
【0030】1.ベースポリマー(A) 本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物に配合され
るベースポリマー(A)は、熱可塑性ノルボルネン系樹
脂からなる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、特に限定
されず、ノルボルネン系樹脂であれば、いかなるもので
も使用できる。公知の熱可塑性ノルボルネン系樹脂とし
ては、例えば、(a)ノルボルネン系モノマーの開環重
合体(共重合体を含む)の水素添加物、或いは(b)ノ
ルボルネン系モノマーと、エチレン及び/又はα−オレ
フィンなどのオレフィン系モノマーとの共重合体などを
挙げることができるが、これらはいずれも実質的に不飽
和結合を有さないものである。
【0031】上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂の原料と
なるノルボルネン系モノマーは、特開平5−39403
号、特開平5−212828号、特許第3038825
号、特許第3019741号、特許第3030953号
などに記載されており、例えば、ノルボルネン、メタノ
オクタヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタ
レン、ジメタノドデカヒドロアントラセン、ジメタノデ
カヒドロアントラセン、トリメタノドデカヒドロアント
ラセン、又はそれらの置換体;ジシクロペンタジエン、
2,3−ジヒドロシクロペンタジエン、メタノオクタヒ
ドロベンゾインデン、ジメタノオクタヒドロベンゾイン
デン、メタノデカヒドロベンゾインデン、ジメタノデカ
ヒドロベンゾインデン、メタノオクタヒドロフルオレ
ン、ジメタノオクタヒドロフルオレン、又はそれらの置
換体などを挙げることができる。なお、これらノルボル
ネン系モノマーは、それぞれ単独であっても、あるいは
二種以上を組み合わせて用いても良い。
【0032】上記置換体における置換基は、従来から周
知のものであれば、炭化水素基又は極性基のいずれでも
良く、例えば、アルキル基、アルキリデン基、アリール
基、シアノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル
基、ピリジル基などが例示される。具体的な化合物とし
ては、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5
−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノル
ボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル
−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネ
ン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−
シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシ
カルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノ
ルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボル
ネンなどが挙げられる。
【0033】上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂の数平均
分子量(GPC測定;標準ポリスチレン換算、溶媒:T
HF系あるいはシクロヘキサン系)は、特に限定されな
いが、通常は5000〜40000、好ましくは700
0〜35000、さらに好ましくは8000〜3000
0の範囲である。数平均分子量が5000未満である
と、熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物から得られる成
形品(特に光学フィルム等)の力学強度が不十分となる
ことがあるので好ましくない。一方、40000を超え
ると、成形性が悪くなることがあるので好ましくない。
【0034】本発明のベースポリマー(A)として用い
られる熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、前述したよう
に、極性基を有するもの又は極性基を有しないもののい
ずれであってもよい。極性基を有する熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂の場合、極性基は光学特性、成形性等を損な
わない範囲で存在してよく、むしろ、成形品に適度な透
湿性を与えるためには、極性基の存在は好ましい。
【0035】こうした極性基としては、例えば、ハロゲ
ン基(塩素基、臭素基、フッ素基)、水酸基、カルボン
酸基、エステル基、アミノ基、無水酸基、シアノ基、シ
リル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基などが
例示されるが、これらに限定されるものではない。これ
らの中でも、脱保護により反応性を与えることのできる
置換基としては、エステル基や無水酸基が好ましい。
【0036】上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂のうち、
市販品として入手できるものとしては、例えば、極性基
を有するタイプのものとしてアートン(JSR社製)、
極性基を有しないタイプのものとしてゼオノア(日本ゼ
オン社製)が挙げられる。
【0037】2.オレフィン系化合物(B) 本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物に配合され
るオレフィン系化合物(B)は、以下に述べるように、
数平均分子量が200〜10000でかつ軟化点が70
〜170℃であるという特定の物性を有するオレフィン
化合物、或いはそのオレフィン化合物の重合体である。
上記オレフィン化合物又はその重合体としては、上記物
性を満足するものであれば、特に限定されないが、好ま
しくは、脂環族オレフィン、脂環族オレフィンのオリゴ
マー又はポリマー、或いはそれらの水添物が挙げられ
る。
【0038】オレフィン系化合物(B)の数平均分子量
(GPC測定:標準ポリスチレン換算、溶媒;クロロホ
ルム)は、通常は200〜10000、好ましくは20
0〜5000、さらに好ましくは500〜5000の範
囲であり、特に光学的な物性の面からは1000〜40
00であることが望ましい。数平均分子量が200未満
であると、熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物から光学
フィルム等を製造した際に、得られるフィルム等の引き
裂き強度が低くなるので好ましくない。一方、1000
0を超えると、熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物から
光学フィルム等を製造する際の成形性改善効果が少な
く、オレフィン系化合物を添加する効果が現れないので
好ましくない。なお、数平均分子量が500よりも低い
オレフィン系化合物では、揮発性が高く、熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂に対して15重量%以上添加すると、発
泡による樹脂の白濁につながる場合があるので好ましく
ない。
【0039】オレフィン系化合物(B)の軟化点は、7
0〜170℃、好ましくは80〜150℃、さらに好ま
しくは90〜140℃である。軟化点が70℃未満であ
ると、オレフィン系化合物を配合して得られる熱可塑性
ノルボルネン系樹脂組成物の耐熱性が低くなり、しかも
成形面や製品の品質面で好ましくない。また、軟化点が
170℃を超えると、オレフィン系化合物の添加効果が
出ないので好ましくない。
【0040】ここでいう軟化点とは、内部空隙が消失
し、不均一な応力の分布を持ったまま外観均一な一個の
透明体あるいは相となる温度である。時折、試料内部に
気泡が入っていることがあるが、軟化温度は、試料の遅
延ならびに緩和弾性的性質と、昇温速度や圧縮加重とに
よって決まる。
【0041】ところで、軟化温度は、フローテスターで
測定することができ、例えば、CFT−500C島津フ
ローテスタを用い、昇温法にて測定される。昇温法は、
試験時間の経過とともに一定の割合で昇温しながら試験
する方法であり、この試験では、試料が固体域から遷移
域、ゴム状弾性域を経て流動域に至るまでの過程を連続
的に測定することができる。このような装置を用いる
と、流動域における各温度の剪断速度や粘度が測定でき
るばかりでなく、固体域から遷移域を経て流動域に至
り、試料が流れ出す流出開始温度(Tfb)を測定する
ことができる。本発明では、この流出開始温度(Tf
b)を軟化温度とした。
【0042】上記脂環族オレフィンとしては、構造中
に、シクロヘキセン環、シクロペンテン環、シクロオク
テン環、ノルボルネン環などを有する化合物が挙げられ
るが、これらの中でも、特にシクロペンテン環又はノル
ボルネン環を有する化合物が好ましい。また、これらの
脂環族オレフィンは、別の反応により複数のオレフィン
モノマー環構造をもっていても良い。
【0043】オレフィン系化合物(B)として好適な脂
環族オレフィンのオリゴマー又はポリマー及びそれらの
水添物の合成方法は、特に限定されないが、例えば、シ
クロペンテン系モノマー、シクロペンタジエン系モノマ
ー、ノルボルネン系モノマーからメタセシス重合やディ
ールスアルダー反応などで合成される。具体的には、一
般に市販されている石油樹脂やノルボルネン系モノマー
の開環メタセシス重合によるオリゴマー等が挙げられ
る。
【0044】上記市販の石油樹脂としては、荒川化学
(株)社製アルコン(商品名)、ヤスハラケミカル
(株)社製ポリスター(商品名)、CLEARON(商
品名)、トーネックス(株)社製エスコレッツ(商品
名)等が挙げられるが、この中では、特にトーネックス
(株)社製エスコレッツ(商品名)が好ましい。
【0045】また、上記ノルボルネン系モノマーの開環
メタセシス重合によるオリゴマーとしては、ノルボルネ
ン系モノマーを開環メタセシス重合することによって合
成されるオリゴマーであって、通常のメタセシス重合触
媒と連鎖移動剤とをノルボルネン系モノマーに加えるこ
とで分子量制御したオリゴマーが好ましい。
【0046】その際、上記連鎖移動剤としては、不飽和
結合を有する鎖状化合物が用いられ、それによりオリゴ
マーの分子量を制御することができる。連鎖移動剤とし
て機能する不飽和結合を有する化合物としては、例え
ば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン、1−デセンなどのα−オレフィンが挙げられ、
これらは官能基に置換されていても良い。
【0047】さらに、前述の開環メタセシス重合でオリ
ゴマーを合成する場合、重合触媒としては通常のメタセ
シス重合触媒を用いることができるが、工業的スケール
で合成する場合や官能基が存在するオリゴマーを合成す
る場合には、特に安定で高活性なルテニウム系錯体が好
ましい。
【0048】上記ルテニウム系錯体としては、空気中で
使用でき、しかも水に対してもさほど不安定でない、高
活性なルテニウム錯体触媒が好ましい。こうしたルテニ
ウム錯体触媒としては、例えば、米国特許第5,83
1,108号公報に記載されたルテニウム(又はオスミ
ウム)アルキリデン錯体触媒、さらには耐熱性、耐酸素
性および反応制御性に優れた、本出願人の開発したルテ
ニウム錯体触媒等が挙げられる。これらの中でも、次に
述べる一般式(1)〜(4)の構造を有するルテニウム
系錯体が特に好ましい。
【0049】
【化1】
【0050】ここで、一般式(1)の式中、R及びR
は、同一または異なって、水素、炭素数2〜20のア
ルケニル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜
20のアリール基、炭素数2〜20のカルボキシル基、
炭素数2〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアル
ケニルオキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、
炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜
20のアルキルチオ基、またはフェロセン誘導体を表
し、これらは、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原
子、炭素数1〜5のアルコキシ基によって置換されたフ
ェニルによって必要に応じて置換されていても良い。
【0051】また、X及びXは、同一または異なっ
て任意のアニオン性配位子を意味し、好ましくはClま
たはBr、さらに好ましくはClである。
【0052】さらに、L及びLは、同一または異な
って任意の中性電子供与体を意味し、リン系配位子であ
ることが好ましい。好ましいリン系配位子としては、
式:PR’R’’R’’’で表されるホスフィンが挙げ
られる。ここで、R’、R’’及びR’’’は、それぞ
れ独立して炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数
6〜20のアリール基を表し、好ましくはメチル基、エ
チル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシ
ル基、フェニル基、または置換フェニル基の中から選ば
れ、重複して選ぶことも可能である。具体的には、−P
(シクロヘキシル)、−P(フェニル)、−P(イ
ソプロピル)などが挙げられる。
【0053】また、L及びLとしては、イミダゾリ
ウム化合物も良好に用いられる。具体的には、イミダゾ
リン−2−イリデン誘導体、4,5−ジヒドロイミダゾ
リン−2−イリデン誘導体が好ましく、さらに具体的に
は、N、N’−ジメシチルイミダゾリン−2−イリデン
配位子やN、N’−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミ
ダゾリン−2−イリデン配位子が挙げられる。さらに、
及びLが同一分子となり、二座配位とすることも
可能である。
【0054】なお、X、X、L及びLの2個ま
たは3個は、さらに一緒になって多座キレート化配位子
を形成しても良い。また、上記一般式(1)では、
、Lは互いがトランス位に記述されているが、そ
の立体嵩高さによって、また同一分子となって二座配位
した場合などにおいてシス配位を取ることも可能であ
る。さらに、X、Xは互いがシス位に記述されてい
るが、L、Lの種類によってトランス配位をとるこ
とも可能である。
【0055】
【化2】
【0056】ここで、一般式(2)の式中、R及びR
は、同一または異なって、水素、炭素数2〜20のア
ルケニル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜
20のアリール基、炭素数2〜20のカルボキシル基、
炭素数2〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアル
ケニルオキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、
炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜
20のアルキルチオ基、炭素数2〜20のアルキルシリ
ル基、炭素数2〜20のアリールシリル基およびフェロ
セン誘導体を表し、これらは、炭素数1〜5のアルキル
基、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基によっ
て置換されたフェニルによって必要に応じて置換されて
いても良い。
【0057】ただし、Rとして、アルキルシリル基若
しくはアリールシリル基を用いる場合には、錯体の安定
性からケイ素上に重複して選ぶことが可能であり、その
際、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル
基、シクロヘキシル基、フェニル基などの中から選ばれ
ることが好ましい。具体的には、トリメチルシリル基、
トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、ジメ
チルt−ブチルシリル基、トリイソプロピルシリル基な
どが挙げられる。また、その場合、錯体の安定性や活性
の面から、Rとしては、t−ブチル基、n−ブチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、エチル基、メチ
ル基、メトキシメチル基、フェロセニル基、トリメチル
シリル基、フェニル基、トリル基、アニシル基などが望
ましい。
【0058】また、X及びXは、同一または異なっ
て任意のアニオン性配位子を意味し、好ましくはClま
たはBr、さらに好ましくはClである。
【0059】さらに、L及びLは、同一または異な
って任意の中性電子供与体を意味し、リン系配位子であ
ることが好ましい。好ましいリン系配位子としては、
式:PR’R’’R’’’で表されるホスフィンが挙げ
られる。ここで、R’、R’’及びR’’’は、それぞ
れ独立して炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数
6〜20のアリール基を表し、好ましくはメチル基、エ
チル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシ
ル基、フェニル基、または置換フェニル基の中から選ば
れ、重複して選ぶことも可能である。具体的には、−P
(シクロヘキシル)、−P(フェニル)、−P(イ
ソプロピル)などが挙げられる。また、L及びL
としては、イミダゾリウム化合物も良好に用いられる。
具体的には、イミダゾリン−2−イリデン誘導体、4,
5−ジヒドロイミダゾリン−2−イリデン誘導体が好ま
しく、さらに具体的には、N、N’−ジメシチルイミダ
ゾリン−2−イリデン配位子やN、N’−ジメシチル−
4,5−ジヒドロイミダゾリン−2−イリデン配位子が
挙げられる。さらに、L及びLが同一分子となり、
二座配位とすることも可能である。
【0060】なお、X、X、L及びLの2個ま
たは3個は、さらに一緒になって多座キレート化配位子
を形成しても良い。
【0061】
【化3】
【0062】
【化4】
【0063】ここで、一般式(3)または(4)の式
中、R、R、R及びRは、同一または異なっ
て、水素、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数1〜
20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素
数2〜20のカルボキシル基、炭素数2〜20のアルコ
キシ基、炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、炭素数
6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアルコ
キシカルボニル基、炭素数2〜20のアルキルチオ基ま
たはフェロセン誘導体を表し、これらは、炭素数1〜5
のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキ
シ基によって置換されたフェニル基によって必要に応じ
て置換されていても良い。
【0064】その際、R、R及びRとしては、炭
素数1〜20のアルキル基、シクロへキシル基、フェニ
ル基や、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のア
ルキルオキシ基、カルボキシル基、炭素数1〜5のアル
キルシリル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、ハロゲン、
炭素数5以下のアミノ基、アセチル基、アセトキシ基で
置換されたフェニル基が望ましく、さらに好ましくはフ
ェニル基、o−トリル基、p−トリル基、2,6−キシ
リル基、アニシル基、ニトロベンゼン基、クロロベンゼ
ン基、o−イソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプ
ロピルフェニル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブ
チル基、シクロへキシル基が望ましい。
【0065】また、Y、Y及びYは、同一または
異なって、硫黄、酸素、セレン元素を表し、その内、硫
黄、セレンがより好ましい。
【0066】また、X、X、X及びXは、同一
または異なって、任意のアニオン性配位子を意味し、好
ましくはClまたはBr、さらに好ましくはClであ
る。
【0067】さらに、L、L、L及びLは、同
一または異なって任意の中性電子供与体を意味し、リン
系配位子であることが好ましい。好ましいリン系配位子
としては、式:PR’R’’R’’’で表されるホスフ
ィンが挙げられる。ここで、R’、R’’ 及び
R’’’は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキ
ル基、または炭素数6〜20のアリール基を表し、好ま
しくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチ
ル基、シクロヘキシル基、フェニル基、または置換フェ
ニル基の中から選ばれ、重複して選ぶことも可能であ
る。具体的には、−P(シクロヘキシル)、−P(フ
ェニル)、−P(イソプロピル)などが挙げられ
る。
【0068】また、L、L、L及びLとして
は、イミダゾリウム化合物も良好に用いられる。具体的
には、イミダゾリン−2−イリデン誘導体、4,5−ジ
ヒドロイミダゾリン−2−イリデン誘導体が好ましく、
さらに具体的には、N、N’−ジメシチルイミダゾリン
−2−イリデン配位子やN、N’−ジメシチル−4,5
−ジヒドロイミダゾリン−2−イリデン配位子が挙げら
れる。さらに、L及びL、L及びLが同一分子
となり、二座配位とすることも可能である。
【0069】なお、X、X、X、X、L、L
、L及びLの2個または3個は、さらに一緒にな
って多座キレート化配位子を形成しても良い。
【0070】こうした一般式(1)〜(4)で表される
錯体は、種々の方法により製造することができるが、代
表的な方法としては、L〜L等を有する配位子前駆
体等の原料を公知の方法に従って合成し、他方ルテニウ
ム錯体前駆体原料を公知の方法に従って合成し、最後に
両者の原料を混合して配位子交換反応を行って製造する
ことができる。
【0071】本発明で用いるノルボルネン系オリゴマー
やシクロペンテン系オリゴマーを合成する場合、用いる
メタセシス重合触媒は、全ノルボルネン系モノマーに対
して、通常0.0001〜1モル%、好ましくは0.0
01〜0.5モル%、さらに好ましくは0.001〜
0.05モル%の範囲である。触媒量が0.0001モ
ル%未満ではノルボルネン系モノマーの重合速度が低
く、好ましくない。触媒量が1モル%を上回るとコスト
的に不利であるので好ましくない。
【0072】上記合成方法における反応温度は、用いる
溶媒の融点、沸点によって異なってくるが、通常−30
〜150℃、好ましくは10〜150℃の範囲である。
反応温度が−30℃未満であると、モノマーの流動性が
低く、有機金属化合物触媒を配合する上で好ましくな
い。一方、150℃を超える温度になると、メタセシス
触媒が失活しやすくなるため好ましくない。
【0073】また、本発明のメタセシス重合反応系は、
モノマーと相溶性または非相溶な溶媒で行うことがで
き、モノマーに対して相溶性のある、ペンタン、ヘキサ
ン等の飽和炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳
香族系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン
化溶媒、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン
等のエーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエス
テル系溶媒、モノマーと非相溶性の水、アルコール中で
反応させることができる。
【0074】本発明のメタセシス重合反応は、不活性気
体雰囲気下にて行うことが好ましいが、Ru系の安定な
触媒を用いた場合は、空気中で重合することができる。
一般に、メタセシス重合反応により得られるオリゴマー
は、二重結合を有し、特に本発明の重合方法で得られる
オリゴマーは、空気中の酸素などにより劣化することが
ある。この劣化を防止するため、重合系中に抗酸化剤を
添加させることも可能である。
【0075】添加できる抗酸化剤としては、重合反応に
関与しないものであれば特に限定されず、中でもペンタ
エリスリトール−テトラキス[3−(3−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6
−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、トリス−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチ
ル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルジベンジル)イ
ソシアヌレートが好ましい。
【0076】本発明のオレフィン系化合物(B)には、
耐熱性を考慮すると、不飽和結合が存在することは好ま
しくない。そのため、オレフィン系化合物に不飽和結合
が存在する場合には、水素添加を行って不飽和結合を処
理するのが好ましい。水素化に際して使用される水素添
加触媒としては、例えば、ウィルキンソン錯体、酢酸コ
バルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルア
セテート/トリイソブチルアルミニウム、パラジウム−
カーボン、ルテニウム錯体、ルテニウム−カーボン、ニ
ッケル−けいそう土等が挙げられる。
【0077】上記の水素添加は、触媒の種類により均一
系または不均一系で、通常1〜200気圧の水素圧下、
0〜250℃で行われる。
【0078】なお、上記一般式(1)〜(4)のルテニ
ウム系錯体触媒を用いてノルボルネン系オリゴマーやシ
クロペンテン系オリゴマーを合成する場合は、該ルテニ
ウム系錯体がメタセシス重合のみならず水素添加触媒と
しても好適に用いることができるので、オリゴマーの合
成と水素化のステップを連続で行うこともできる。
【0079】ところで、本発明のオレフィン系化合物
(B)が、極性基を有するノルボルネン系オリゴマーや
シクロペンテン系オリゴマー(又はそれらの水添物)で
ある場合とそうでない場合とでは、両者の物性特に透湿
性がかなり相違し、それに伴ってベースポリマーに配合
した際の添加効果に大きな差異が生じるため、それぞれ
異なる樹脂組成物の配合にすることが望ましい。
【0080】すなわち、ベースポリマーが透湿性に優れ
た極性基を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂の場合に
は、透湿性に優れた極性基を有するノルボルネン系オリ
ゴマーやシクロペンテン系オリゴマー(又はそれらの水
添物)を添加することは、費用対効果の面であまり効果
的ではないが、一方、ベースポリマーが透湿性に劣る極
性基を有しない熱可塑性ノルボルネン系樹脂の場合に
は、透湿性に優れた極性基を有するノルボルネン系オリ
ゴマーやシクロペンテン系オリゴマー(又はそれらの水
添物)を添加することは効果的であって望ましい。
【0081】その際、上記極性基としては、ハロゲン基
(塩素基、臭素基、フッ素基)、水酸基、カルボン酸
基、エステル基、アミノ基、無水酸基、シアノ基、シリ
ル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基などが例
示されるが、これらに限定されるものではない。これら
の中でも、脱保護により反応性を与えることのできる置
換基としては、エステル基や無水酸基が好ましい。
【0082】こうした極性基を有するノルボルネン系オ
リゴマーやシクロペンテン系オリゴマーの製法として
は、例えば、極性基を有するノルボルネン系モノマーの
メタセシス重合による方法と、ノルボルネン系モノマー
の極性基含有連鎖移動剤存在下でのメタセシス重合によ
る方法とがある。
【0083】上記極性基を有するノルボルネン系モノマ
ーとしては、特に限定されないが、例えば、一般式
(5)で表わされる化合物を用いることができる。
【0084】
【化5】
【0085】ここで、一般式(5)の式中、R〜R
12は独立であり、水素原子、炭素数1〜10の炭化水
素基または一価の有機基であって、そのうち少なくとも
一つが極性基であり、m=0〜2である。極性基として
は、例えば、カルボキシル基、水酸基、カルボキシル
基、アミノ基、アミド基又はシリル基などから選ばれる
活性水素を有する官能基であることが好ましい。
【0086】一般式(5)で表される極性基を有するノ
ルボルネン系モノマーの具体例としては、例えば、5−
ノルボルネン−2−メタノール、ノルボネオール、ex
o−2−ノルボニルフォルメート、5−ノルボルネン−
2−endo,3−exo−ジカルボキシリックアシ
ド、5−ノルボルネン−2,2−ジメタノール等が挙げ
られる。
【0087】一方、上記極性基含有連鎖移動剤として
は、不飽和結合と極性基を有する化合物が用いられ、極
性基含有連鎖移動剤を用いることにより分子量を制御す
ることができる。連鎖移動剤中の不飽和結合部分は重合
時に反応し、最終的にオリゴマーの片末端または両末端
に付加するため、定量的に極性基が導入できる。また、
連鎖移動剤の添加量によって得られるノルボルネン系オ
リゴマーやシクロペンテン系オリゴマーの分子量を制御
することができる。
【0088】この場合の連鎖移動剤としては、不飽和結
合と極性基とが存在すれば、特に構造は限定されない。
不飽和結合と極性基を有する連鎖移動剤としては、例え
ば、一般式(6)に示す構造の化合物が挙げられる。
【0089】
【化6】
【0090】ここで、一般式(6)の式中、R13、R
14は独立であり、特にその構造は限定されないが、炭
化水素基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシ
リル基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。少なくと
も一方が活性水素を含む官能基、もしくはそれ以外の官
能基である。
【0091】一般式(6)の具体的化合物としては、ア
リルアセテート、アリルアルコール、酢酸ビニル、2−
ブテン−1,4−ジオール、cis−1,4−ジアセト
キシ−2−ブテン、アクリル酸、メタクリル酸、アクロ
レイン、アクリロニトリル、塩化ビニル、マレイン酸、
フマル酸等が挙げられる。上記極性基を有するノルボル
ネン系モノマーをメタセシス重合してオリゴマーを合成
する場合でも、不飽和結合を有する鎖状化合物を連鎖移
動剤として用いることにより分子量を制御することがで
きる。
【0092】本発明で用いる極性基を有するノルボルネ
ン系オリゴマーやシクロペンテン系オリゴマー中の極性
基としては、活性水素を含む官能基が好ましい。その構
造は限定されないが、少量で透湿性や密着性を改善する
ために、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド
基、シリル基等が含まれることが特に好ましい。
【0093】本発明のオレフィン系化合物(B)の配合
量は、ベースポリマー(A)100重量部に対して、通
常は0.01〜100重量部、好ましくは0.01〜1
5重量部、さらに好ましくは3〜10重量部である。配
合量が0.01重量部未満であると、オレフィン系化合
物の添加効果が出ないので好ましくない。一方、100
重量部を超えると、得られる樹脂組成物の耐熱性、成形
性が低下する。
【0094】また、上記オレフィン系化合物(B)の配
合量は、得られた熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物が
耐熱性や成形性を保持するために、別の尺度から規定す
ると、ベースポリマー(A)との配合によって生じるガ
ラス転移温度の低下を20℃以内に維持できる範囲内に
することが望ましい。ガラス転移温度の低下が20℃を
上回ると、ノルボルネン系樹脂が本来備える耐熱性が損
なわれ、光学フィルム等としての用途において、その使
用範囲が大幅に制限されるので好ましくない。
【0095】3.その他の添加剤 本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物には、必須
成分である前述のベースポリマー(A)およびオレフィ
ン系化合物(B)以外に、本発明の目的を損なわない範
囲で任意成分である、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑
剤、帯電防止剤などの、他の公知の添加剤を配合するこ
とができる。酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ
−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−ジオ
キシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチル
ジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]メタン、紫外線吸収剤としては、例えば、
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0096】4.熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物 本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物は、ベース
ポリマー(A)に所定量のオレフィン系化合物(B)
を、さらには、所望に応じて前述した任意成分を配合す
ることにより調製される。
【0097】得られた熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成
物は、押出成形や射出成形などの溶融成形を可能にする
ために、溶融粘度およびガラス転移温度の面で、以下の
物性値をもつことが必要である。第一の点では、280
℃での溶融粘度は、フローテスタでの測定値で、通常3
000Pa・s以下、より好ましくは1000Pa・s
以下であることが望ましい。280℃での溶融粘度が3
000Pa・sを上回ると、成形性が低下することがあ
り、成形温度を上げて溶融粘度を下げようとすると樹脂
の劣化が生じることがあるため好ましくない。
【0098】また、230℃での溶融粘度は、通常10
0〜13000Pa・s、より好ましくは200〜10
000Pa・s、さらに好ましくは300〜8000P
a・sであることが望ましい。230℃での溶融粘度が
100Pa・s未満であると、樹脂組成物の耐熱性が低
くなることがあり、また粘度が低すぎるために押出成形
がしにくくなるので好ましくない。230℃での溶融粘
度が13000Pa・sを上回ると粘度が高すぎて成形
性が悪くなることがあり好ましくない。
【0099】さらに、第二の点では、ガラス転移温度
は、通常100〜190℃、より好ましくは120℃〜
170℃の範囲であることが望ましい。ガラス転移温度
が100℃未満になると、樹脂組成物から成形して得ら
れるフィルム等の成形品の耐熱性が不十分となることが
あるため好ましくない。一方、ガラス転移温度が190
℃を上回ると成形が高温でないとできなくなるため、樹
脂の劣化につながることがあるので好ましくない。
【0100】5.成形品又は光学フィルム 本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物は、公知の
成形手段、とりわけ、例えば、押出成形、射出成形、圧
縮成形等の溶融成形手段を用いて、成形品を作成するこ
とができる。また、キャスト成形法によってもフィルム
を製造することができる。また、作製された成形品の表
面に、無機化合物、シランカップリング剤などの有機シ
リコン化合物、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、メラニ
ン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂
などからなるハードコート層を形成することができる。
ハードコート層の形成手段としては、熱硬化法、紫外線
硬化法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレー
ティング法などの公知の方法を挙げることができる。こ
れによって、成形品の耐熱性、光学特性、耐薬品性、耐
磨耗性および透湿性などを向上させることができる。
【0101】本発明の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成
物の用途は、限定されるものでなく、広い範囲にわたっ
て使用することができ、例えば、受像転写シートや各種
フィルム、シート等を中心とした光学用表示材(例え
ば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、プラズマデ
ィスプレイなど)、一般カメラ用レンズ、ビデオカメラ
用レンズ、望遠鏡レンズ、眼鏡レンズ、レーザビーム用
レンズなどのレンズ類、光学式ビデオディスク、オーデ
ィオディスク、文書ファイルディスク、メモリディスク
などの光ディスク類、光ファイバーなどの光学材料など
がある。さらに、各種電子機器筺体、窓ガラス、プリン
ト基板、封止剤、無機または有機化合物のバインダーな
どとして好適に使用することができる。
【0102】これらの中でも、本発明の熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂組成物の特徴である、成形性、耐熱性に優
れるという点を最大限に活かした用途は、位相差フィル
ム、偏光板保護フィルム等の光学フィルムである。
【0103】本発明の光学フィルムは、コスト面から、
押出成形法により製造されるが、厚さは通常10〜30
0μmであり、従来の光学フィルムに較べ、以下に示す
ように、全光線透過率、引き裂き強度およびヘイズの面
で極めて優れている。
【0104】フィルムの全光線透過率は、通常60〜1
00%、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは
80〜100%の範囲である。全光線透過率が60%を
下回ると、光学フィルムとしての使用範囲が限定される
ことがあるので好ましくない。
【0105】また、フィルムの引き裂き強度は、0.1
N以上である。引き裂き強度が0.1N未満であると、
フィルムとしての使用範囲が限定されることがあり、特
に10μ以下の薄膜の場合にはその傾向が顕著となる。
【0106】さらに、本発明の光学フィルムは、ヘイズ
が20%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましく
は5%以下である。ヘイズが20%を上回ると、フィル
ムとしての使用範囲が限定されることがあるので好まし
くない。
【0107】以上述べたように、本発明の熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂組成物は、光学的用途だけでなく各種用
途に広く用いることができるので非常に有用である。
【0108】
【実施例】本発明を、以下に実施例を挙げて更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定される
ものではない。なお、実施例で用いた物性の測定方法
は、次の通りである。
【0109】(1)GPCによる分子量の測定:東ソー
(株)社製HLC−8020とオートサンプラーAS−
8020、データ解析SC−8020、カラムShod
ex社製K−806L(2本使用)を用い、測定条件と
して、流量が1ml/min、オーブン温度が40℃、
屈折計温度が40℃、試料濃度が約0.1wt%、試料
注入量が300μl、溶媒がクロロホルム、標準試料が
標準ポリスチレンとして測定した。
【0110】(2)軟化温度:CFT−500C島津フ
ローテスタを用い、次の条件で測定した。 押出圧力:0.9806MPa(精度;設定値の±1%以内) 加熱方式:電熱式 500W シリンダー温度:昇温速度 6℃/分(制御精度±0.2℃) ストローク:測定範囲 15mm 検出器 直線型ポテンショメータ(測定精度±0.5%) 分解能 0.01mm 試料量:最大1.5cm3 シリンダー:直径11.329+0.005/0mm ピストン直径:11.282+0.002/0mm 標準ダイ:直径1.0±0.01×長さ10.0±0.005mm
【0111】(3)溶融粘度:(2)と同様の測定方法
で、230℃と280℃における値を測定した。
【0112】(4)ガラス転移温度:TA Instr
uments(株)社製DSC2920 Modula
ted DSCを用い、下記の温度プログラム条件にお
いて、最終昇温時のガラス転移温度を本発明のガラス転
移温度として測定した。 室温から50℃までを10℃/minで昇温して5分間
等温保持 −50℃から200℃までを10℃/minで昇温して
200℃で5分間保持 200℃から−50℃までを10℃/minで降温して
−50℃で5分間保持 −50℃から200℃までを10℃/minで昇温して
200℃で5分間保持
【0113】(5)全光線透過率:JIS K 715
0に準拠し測定した。
【0114】(6)ヘイズ:JIS K 7150に準
拠し測定した。
【0115】(7)引き裂き強度:JIS K 712
8(直角形)に準拠し測定した。
【0116】(8)外観:得られたフィルムを透過式に
て点状欠陥の数を目視検査(検査面積10m2)し、下
記の基準で評価した。 ◎:3個/m2以下 :4〜9個/m2 ×:10個/m2以上
【0117】[触媒の合成例1]5.57g(9.1m
mol)のRu(p−cymene)Cl2に対して、
18.2mmolのPCy及び9.1mmolのt−
ブチルアセチレンを150mlのトルエンとともに30
0mlのフラスコ中で窒素気流下、7時間反応させた。
反応終了後、トルエンを減圧除去し、THF/エタノー
ル系にて再結晶を行うことにより次の式(7)のルテニ
ウム錯体化合物を合成した。
【0118】
【化7】
【0119】[触媒の合成例2]米国特許第5,83
1,108号の記載の方法に従って次の式(8)のルテ
ニウム錯体化合物を合成した。
【化8】
【0120】[触媒の合成例3]WO99/00396
号の記載の方法に従って次の式(9)のルテニウム錯体
化合物を合成した。
【化9】
【0121】[オリゴマーの合成例1]1−ヘキセン
4.46g(ノルボルネンの1/10モル当量)と前述
の式(7)のルテニウム錯体217mg(ノルボルネン
の1/2000モル当量)とを10mlのトルエンに溶
解させ、それをノルボルネン50gを200mlのトル
エンに溶かした溶液にゆっくりと加え、24時間室温で
反応させた。反応終了後、トルエン/メタノール系にて
3回再沈精製を行った後、乾燥させてオリゴマーを得
た。収率は87%であった。得られたオリゴマーの分子
量測定をGPCにより行った結果、数平均分子量Mn=
1900、分子量分布(Mw/Mn)=1.72(標準
ポリスチレン換算、溶媒クロロホルム)であった。
【0122】上記で得られたオリゴマー10gをトルエ
ン100mlに溶解させ、これにクロロヒドリドカルボ
ニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム[R
uClH(CO)(PPh]10mgを加えて、
オートクレーブにて120℃、20気圧で20時間反応
させた。得られた白濁溶液をメタノール300mlに注
いで白色沈殿物を得た。その後、数回メタノールで洗浄
した後、真空乾燥し、収量9.5gの白色固体の水素添
加オリゴマーを得た。得られたオリゴマーを1H−NM
Rで分析した結果、オレフィン2重結合のピーク(5−
7ppm)が完全に消失していることを確認した。得ら
れた水素添加オリゴマーの物性値を表1に示した。
【0123】[オリゴマーの合成例2]5−ノルボルネ
ン−2−メタノール50gをクロロホルム200mLに
溶解させ、これに前述の式(7)のルテニウム錯体16
6mg(ノルボルネン系モノマーの1/2000モル当
量)と1−ヘキセン5gとを加えて24時間攪拌して反
応させた。生成物をトルエン/メタノール系にて3回再
沈精製を行ってオリゴマーを得た。オリゴマーの収率は
85%であった。得られたオリゴマーの分子量測定をG
PCにより行った結果、数平均分子量Mn=1100、
分子量分布(Mw/Mn)=2.10(標準ポリスチレ
ン換算、溶媒クロロホルム)であった。
【0124】上記で得られたオリゴマー10gをTHF
100mlに溶解させ、これにクロロヒドリドカルボニ
ルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム[Ru
ClH(CO)(PPh]10mgを加えて、オ
ートクレーブにて120℃、15気圧で20時間反応さ
せた。得られた白濁溶液をメタノール300mlに注い
で白色沈殿物を得た。その後、数回メタノールで洗浄し
た後、真空乾燥し、収量9.3gの白色固体の水素添加
オリゴマーを得た。得られたオリゴマーを1H−NMR
で分析した結果、オレフィン2重結合のピーク(5−7
ppm)が完全に消失していることを確認した。得られ
た水素添加オリゴマーの物性値を表1に示した。
【0125】[オリゴマーの合成例3]1−ヘキセン
0.558g(ノルボルネンの1/80モル当量)と前
述の式(8)のルテニウム錯体219mg(ノルボルネ
ンの1/2000モル当量)とを10mLのトルエンに
溶解させ、それをノルボルネン50gを200mLのト
ルエンに溶かした溶液にゆっくりと加え、24時間室温
で反応させた。反応終了後、トルエン/メタノール系に
て3回再沈精製を行った後、乾燥させてオリゴマーを得
た。収率は87%であった。得られたオリゴマーの分子
量測定をGPCにより行った結果、数平均分子量Mn=
13000、分子量分布(Mw/Mn)=2.52(標
準ポリスチレン換算、溶媒クロロホルム)であった。
【0126】上記のオリゴマー10gをトルエン100
mlに溶解させ、これにクロロヒドリドカルボニルトリ
ス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム[RuClH
(CO)(PPh]10mgを加えて、オートク
レーブにて120℃、20気圧で20時間反応させた。
得られた白濁溶液をメタノール300mlに注いで白色
沈殿物を得た。その後、数回メタノールで洗浄した後、
真空乾燥し、収量9.9gの白色固体の水素添加オリゴ
マーを得た。得られたオリゴマーを1H−NMRで分析
した結果、オレフィン2重結合のピーク(5−7pp
m)が完全に消失していることを確認した。得られた水
素添加オリゴマーの物性値を表1に示した。
【0127】[オリゴマーの合成例4]アリルアセテー
ト15.5g(ノルボルネンの1/3.5モル当量)と
ノルボルネン50gとを200mLのトルエンに溶解さ
せ、これに前述の式(9)のルテニウム錯体227mg
(ノルボルネンの1/2000モル当量)を加えて、2
4時間室温で反応させた。反応終了後、トルエン/メタ
ノール系にて3回再沈精製を行った後、乾燥させた。生
成物をH−NMRにより分析し、アセトキシ基がポリマ
ー末端に取り込まれていることを、アセトキシ基に隣接
する不飽和結合のプロトンピークの存在により確認し
た。収率は91%であった。得られたオリゴマーの分子
量測定をGPCにより行った結果、数平均分子量Mn=
4600、分子量分布(Mw/Mn)=1.81(標準
ポリスチレン換算、溶媒クロロホルム)であった。得ら
れたオリゴマーの物性値を表1に示した。
【0128】[オリゴマーの合成例5]オリゴマーの合
成例4で得られた生成物25gをトルエン400mLに
溶解させ、これにナトリウムメトキサイドのメタノール
溶液(10wt%)を40g加えて室温で18時間攪拌
した。その後、400mLのメタノールを加えた後、ト
ルエン/メタノール系にて2回再沈精製を行った後、乾
燥させた。得られた生成物を1H−NMR及びIRスペ
クトルで分析した結果、全てのアセトキシ基が水酸基に
変換されていることがわかった。水酸基化過程での収率
は98%であった。得られたオリゴマーの分子量測定を
GPCにより行った結果、数平均分子量Mn=450
0、分子量分布(Mw/Mn)=1.72(標準ポリス
チレン換算、溶媒クロロホルム)であった。得られたオ
リゴマーの物性値を表1に示した。
【0129】[オリゴマーの合成例6]アリルアセテー
ト4.16g(5−エチリデン−2−ノルボルネンの1
/10モル当量)と前述の式(7)のルテニウム錯体
0.068g(5−エチリデンー2−ノルボルネンの1
/5000モル当量)とを10mLのトルエンに溶解さ
せ、それを5−エチリデン−2−ノルボルネン50gを
200mLのトルエンに溶解した溶液にゆっくりと加
え、24時間室温で反応させた。反応終了後トルエン/
メタノール系にて3回再沈精製を行った後、乾燥させて
オリゴマーを得た。収率85%であった。得られたオリ
ゴマーの分子量測定をGPCにより行った結果、数平均
分子量Mn=2200、分子量分布(Mw/Mn)=
1.81(標準ポリスチレン換算、溶媒クロロホルム)
であった。
【0130】上記で得られたオリゴマー10gをトルエ
ン100mLに溶解させ、これにクロロヒドリドカルボ
ニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム[R
uClH(CO)(PPh3)3]10mgを加えて、
オートクレーブにて130℃、20気圧で24時間反応
させた。得られた白濁溶液をメタノール300mLに注
いで白色沈殿物を得た。その後、数回メタノールで洗浄
した後、真空乾燥し、終了9.4gの白色固体の水素添
加オリゴマーを得た。得られたオリゴマーを1H−NM
Rで分析した結果、オレフィン2重結合のピーク(5−
7ppm)が完全に消失していることを確認した。得ら
れた水素添加オリゴマーの物性値を表1に示した。
【0131】[オリゴマーの合成例7]オリゴマー合成
例5で得られたオリゴマー10gをトルエン100ml
に溶解させ、これにクロロヒドリドカルボニルトリス
(トリフェニルホスフィン)ルテニウム[RuClH
(CO)(PPh3)3]10mgを加えて、オートク
レーブにて120℃、20気圧で20時間反応させた。
得られた白濁溶液をメタノール300mlに注いで白色
沈殿物を得た。その後、数回メタノールで洗浄した後、
真空乾燥し、収量9.5gの白色固体の水素添加オリゴ
マーを得た。得られたオリゴマーを1H−NMRで分析
した結果、オレフィン2重結合のピーク(5−7pp
m)が完全に消失していることを確認した。得られた水
素添加オリゴマーの物性値を表1に示した。
【0132】
【表1】
【0133】実施例1 ゼオノア1600(日本ゼオン社製)からなるベースポ
リマー100重量部に対して、前述の合成例1で得られ
たオリゴマー5重量部を加え、熱可塑性ノルボルネン系
樹脂組成物を調製した。次いでこの樹脂組成物を70℃
×3時間予備乾燥した後、φ50mm、L/D=28の
単軸押出機を用い、コートハンガータイプのTダイ幅5
00mm、250〜295℃の押出温度、冷却ロール温
度120℃、金型温度280℃で押出成形し、幅430
mm、厚み40μmのフィルムを製造した。評価結果を
表2に示した。
【0134】実施例2 アートンD4532G(JSR社製)からなるベースポ
リマー100重量部に対して、前述の合成例2で得られ
たオリゴマー5重量部を加え、熱可塑性ノルボルネン系
樹脂組成物を調製した。次いでこの樹脂組成物を、実施
例1と同様にして押出成形し、幅430mm、厚み40
μmのフィルムを製造した。評価結果を表2に示した。
【0135】実施例3 ゼオノア1600(日本ゼオン社製)からなるベースポ
リマー100重量部に対して、エスコレッツ228F
(トーネックス(株)社製石油樹脂)(数平均分子量5
00、軟化点135℃)10重量部を加え、熱可塑性ノ
ルボルネン系樹脂組成物を調製した。次いでこの樹脂組
成物を110℃×3時間予備乾燥した後、φ50mm、
L/D=28の単軸押出機を用い、コートハンガータイ
プのTダイ幅500mm、240〜285℃の押出温
度、冷却ロール温度120℃、金型温度270℃で押出
成形し、幅430mm、厚み40μmのフィルムを製造
した。評価結果を表2に示した。
【0136】実施例4 ゼオノア1600(日本ゼオン社製)からなるベースポ
リマー100重量部に対して、前述の合成例4で得られ
たオリゴマー2重量部を加え、熱可塑性ノルボルネン系
樹脂組成物を調製した後、シクロヘキサン/トルエン
(1/9)混合溶媒に溶解させて25wt%溶液を作製
した。次いでその溶液をガラス表面に展開し、乾燥させ
ることにより厚さ40μmのフィルムを製造した。評価
結果を表2に示した。
【0137】実施例5 実施例4で用いたオリゴマーに代えて、前述の合成例5
で得られたオリゴマー1.5重量部を用いた以外は、実
施例4と同様の操作を行い、フィルムを得た。評価結果
を表2に示した。
【0138】実施例6 実施例1で用いたオリゴマーに代えて、前述の合成例6
で得られたオリゴマーを用いた以外は、実施例1と同様
の操作を行い、フィルムを得た。評価結果を表2に示し
た。
【0139】実施例7 実施例1で用いたオリゴマーに代えて、前述の合成例7
で得られたオリゴマーを用いた以外は、実施例1と同様
の操作を行い、フィルムを得た。評価結果を表3に示し
た。
【0140】実施例8 実施例3で用いたゼオノア1600(日本ゼオン社製)
をアートンD4532G(JSR社製)に代え、かつエ
スコレッツ228F(トーネックス(株)社製石油樹
脂)(数平均分子量500、軟化点135℃)を10重
量部から25重量部に変更した以外は、実施例3と同様
の操作を行い、フィルムを得た。評価結果を表3に示し
た。
【0141】比較例1 オレフィン系化合物を加えなかった以外は、実施例1と
同様の操作を行い、樹脂組成物からフィルムを得た。評
価結果を表3に示した。
【0142】比較例2 オレフィン系化合物を加えなかった以外は、実施例2と
同様の操作を行い、樹脂組成物からフィルムを得た。評
価結果を表3に示した。
【0143】比較例3 オレフィン系化合物として前述の合成例3で得られたオ
リゴマーを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行
い、樹脂組成物からフィルムを得た。評価結果を表3に
示した。
【0144】
【表2】
【0145】
【表3】
【0146】表2及び表3から明らかなように、本発明
の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物から得られた実施
例1〜8のフィルムは、いずれも、低温成形性に優れる
ばかりでなく、全光線透過率、ヘイズ、引裂強度の面で
も優れたものである。実施例中、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂としてゼオノアを用いたものは、アートンを用い
たものと比較して相対的に低い透湿度を示しているが、
オレフィン系化合物の添加効果は大きい。また、オレフ
ィン系化合物の添加量が比較的少ないもの(実施例1〜
7)は、ガラス転移温度の低下が少なく、それに伴って
透明性、耐熱性、低温成形性等で優れた結果をもたらし
た。これに対し、オレフィン系化合物の添加量が多いも
の(実施例8)は、全光線透過率は高いものの、透明性
が低下し、ヘイズ値が高い値を示した。さらに、オレフ
ィン系化合物に不飽和構造を有する場合(実施例4〜
5)は、やや高いヘイズ値を示した。これは不飽和結合
の成形時の酸化劣化に起因すると考えられる。
【0147】一方、オレフィン系化合物を配合しなかっ
た場合(比較例1及び2)は、溶融粘度が高くなり成形
性に劣り、外観にも劣ったフィルムが得られた。また、
数平均分子量の大き過ぎるオレフィン系化合物を配合し
た場合(比較例3)は、溶融粘度が高くなり成形性に劣
るばかりでなく、光学的性能や外観にも劣ったフィルム
が得られた。
【0148】さらに、特にオレフィン系化合物としてオ
リゴマーを選んだときの添加効果を透湿性の面でみる
と、極性基のあるアートンに配合した場合は(実施例2
/比較例2の対比)、透湿度は105から120にと、
その改善が少しにとどまったのに対して、極性基のある
ゼオノアに配合した場合は(実施例1、4、5〜7/比
較例1の対比)、透湿度は5から13〜51にと、約3
〜10倍の改善が見られた。
【0149】また、同様に、接着性の面からみると、極
性基のあるアートンに配合した場合は(実施例2/比較
例2の対比)、剥離強度は1.42から2.68にと、
その改善が少しにとどまったのに対して、極性基のある
ゼオノアに配合した場合は(実施例1、4、5〜7/比
較例1の対比)、剥離強度は1.08から1.95〜
2.68にと、約2〜2.5倍の改善が見られた。
【0150】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の熱可塑
性ノルボルネン系樹脂組成物は、任意の熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂に特定のオレフィン系化合物を配合するこ
とにより、耐熱性や透明性を損なうことなく、成形性、
透湿性、接着性などが改善し、かつ溶融成形時の熱劣化
や欠陥の発生が抑制される。さらに、本発明の熱可塑性
ノルボルネン系樹脂組成物を溶融成形すると、透明性、
耐熱性、低吸湿性、低複屈折性、成形性、透湿性、接着
性等に優れた成形品、又は位相差フィルム、偏光板保護
フィルム等の光学フィルムが得られるので有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野里 省二 京都市南区上鳥羽上調子町2−2 積水化 学工業株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA14 AA39 AA81 AA85 AA86 AA88 AF16Y AF30Y AH17 BB02 BB05 BB06 4J002 BK001 BK002 CE001 CE002 EA026 FD206 GP00

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるベ
    ースポリマー(A)に、数平均分子量が200〜100
    00で、かつ軟化点が70〜170℃であるオレフィン
    系化合物(B)を配合することを特徴とする溶融成形可
    能な熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ベースポリマー(A)が、極性基を有し
    ないノルボルネン系樹脂であることを特徴とする請求項
    1に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 オレフィン系化合物(B)の数平均分子
    量が、500〜5000であることを特徴とする請求項
    1に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 オレフィン系化合物(B)が、脂環族オ
    レフィン又はその重合体であることを特徴とする請求項
    1に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記脂環族オレフィン又はその重合体
    が、極性基を有する脂環族オレフィン又はその重合体で
    あることを特徴とする請求項4に記載の熱可塑性ノルボ
    ルネン系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記脂環族オレフィン又はその重合体
    が、シクロペンテン環又はノルボルネン環を有する化合
    物であることを特徴とする請求項4又は5に記載の熱可
    塑性ノルボルネン系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記脂環族オレフィン又はその重合体
    が、水添加物であることを特徴とする請求項6に記載の
    熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記極性基を有する脂環族オレフィン又
    はその重合体が、所定のノルボルネン系モノマーをメタ
    セシス重合することによって得られる生成物であること
    を特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の熱可
    塑性ノルボルネン系樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記極性基を有する脂環族オレフィン又
    はその重合体が、所定のノルボルネン系モノマーを官能
    基含有連鎖移動剤の存在下にメタセシス重合することに
    よって得られる生成物であることを特徴とする請求項5
    〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹
    脂組成物。
  10. 【請求項10】 前記極性基が、カルボキシル基、水酸
    基、アミノ基、アミド基又はシリル基から選ばれる活性
    水素を含む官能基であることを特徴とする請求項5〜9
    のいずれか1項に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組
    成物。
  11. 【請求項11】 オレフィン系化合物(B)の配合量
    が、ベースポリマー(A)100重量部に対して0.0
    1〜100重量部であることを特徴とする請求項1に記
    載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 オレフィン系化合物(B)の配合量
    が、ベースポリマー(A)100重量部に対して0.0
    1〜15重量部であることを特徴とする請求項11に記
    載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 オレフィン系化合物(B)の配合量
    が、ベースポリマー(A)との配合によって生じるガラ
    ス転移温度の低下を20℃以内に維持できる範囲内にす
    ることを特徴とする請求項11又は12に記載の熱可塑
    性ノルボルネン系樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 280℃での溶融粘度が3000Pa
    ・s以下、230℃での溶融粘度が100〜13000
    Pa・sであり、かつガラス転移温度が100〜190
    ℃であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1
    項に記載の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれか1項に記載
    の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物を溶融成形してな
    る成形品。
  16. 【請求項16】 請求項1〜14のいずれか1項に記載
    の熱可塑性ノルボルネン系樹脂組成物を押出成形してな
    る光学フィルム。
  17. 【請求項17】 全光線透過率が60〜100%である
    ことを特徴とする請求項16に記載の光学フィルム。
  18. 【請求項18】 引き裂き強度が0.1N以上であるこ
    とを特徴とする請求項16に記載の光学フィルム。
  19. 【請求項19】 ヘイズが20%以下であることを特徴
    とする請求項16〜18のいずれか1項に記載の光学フ
    ィルム。
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