JP2002068364A - シール部材、密封容器及びそのシール方法 - Google Patents
シール部材、密封容器及びそのシール方法Info
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Abstract
蓋体等の操作中断のおそれがなく、繰り返し開閉しても
シール性を損ねたり、物品の汚染を招くのを抑制防止す
ることができるとともに、容器本体又は蓋体と共に洗浄
しても十分洗浄でき、清浄性等に優れ、しかも、乾燥作
業の短縮等を図れるシール部材、密封容器及びそのシー
ル方法を提供する。 【解決手段】 容器本体1を閉鎖する蓋体11の外周
に、エンドレスの嵌合保持溝16を切り欠き形成する。
そして、容器本体1と蓋体11の間に介在するシール部
材20を、嵌合保持溝16に嵌入されるエンドレス部2
1と、エンドレス部21の外周コーナ部から容器本体1
の開口正面外方に斜めに伸長し、容器本体1の開口正面
9の接触面との間に略鋭角を形成する突片22と、エン
ドレス部21の表面に突出形成されて嵌合保持溝16の
区画内面16aに接触する一対の嵌合リブ23とから構
成する。
Description
クリーンな状態で収納するシール部材、密封容器及びそ
のシール方法に関するものである。より詳しくは、半導
体ウェーハ、マスクガラス、液晶セル、記録媒体等の破
損し易く汚染を嫌う精密基板の収納、輸送、精密基板を
加工・処理する加工装置に対する位置決めや加工装置間
の搬送、貯蔵に使用されるシール部材、密封容器及びそ
のシール方法に関するものである。
収納容器には、様々なタイプの容器があるが、その一例
として、半導体部品の生産に使用される密封容器があげ
られる。半導体部品の生産に関する半導体ウェーハ、マ
スクガラス等の精密基板は、半導体デバイスの厳しい価
格競争に伴い精密基板の歩留まり向上によるコストダウ
ンを目的として精密基板の大口径化(例えば、300m
mないし400mm以上)が検討されている。同時に、
半導体回路は益々微細化が進められ、DRAMのデザイ
ンルール(加工最小線幅)も0.25μmから0.18μ
mあるいはそれ以下に移行しつつあり、精密基板の加工
される工場はもとより、精密基板の運搬時に使用される
容器に関しても益々高度なクリーン度が要求されてきて
いる。
密基板の加工に必要な局所だけを高度にクリーンな環境
とするとともに、密封容器に複数枚の精密基板をクリー
ンな状態で気密収納し、幾つかのクリーンな環境間で密
封容器を搬送する方法(SMIFと略称されている)が提
案されている。このような方法を実現するため、精密基
板を汚染させることなく自動的に搬送することができ、
しかも、加工装置に直接アクセスすることのできる密封
容器の開発が進められている。
的に示すように、正面が開口した容器本体1と、この容
器本体1の開口正面9を開閉する着脱自在の蓋体11
と、これら容器本体1と蓋体11との間に介在されてク
リーンな環境を維持するシール部材20等とから構成さ
れている。このシール部材20には、断面円形を呈した
Oリングからなるスクイズタイプ(圧縮型)の他、図15
や図16に示すタイプがある。
ムやエラストマーを用いてエンドレスに成形されてい
る。このシール部材20は、同図に示すように、蓋体1
1の外周面の嵌合保持溝16に嵌入される変形可能なエ
ンドレス部21と、このエンドレス部21の裏面外周側
に切り欠き形成されて蓋体11との間に隙間を区画形成
する断面略矩形の凹部25と、エンドレス部21の表面
外周側に縦に突出成形されて容器本体1の開口正面内周
に接触する変形可能な突部26とから構成されている。
このようなシール部材20は、複数枚の精密基板を整列
収納した容器本体1の開口正面9に蓋体11が嵌合され
ると、エンドレス部21の一部と断面略ピン形の突部2
6とがそれぞれ変形するとともに、凹部25が圧縮力を
制御し、容器本体1の開口正面全域をシールする。
上のようにシール部材20が各種のゴムやエラストマー
を用いて単に成形され、寸法精度が出にくく、変形しに
くいので、容器本体1の開口部が大きくなるに従い、開
口正面内周にシール部材20を均一に当接させてシール
するのがきわめて困難になるという問題がある。特に、
容器本体1の開口正面9のコーナ部では、異なる二方向
からの圧力や寸法誤差のため、シール性の著しい低下を
招くこととなる。
の潰し量を大きく設定すれば良いが、蓋体11の開閉装
置の仕様を標準化するに当たっては、装置及び密封容器
の保護のため、蓋体11の開閉装置には必要以上の押し
付け力が作用しないように上限値が設定されている。し
たがって、シール部材20の反発力がこれよりも大きく
なると、シール部材20の反発力により蓋体11の開閉
装置に必要以上の負荷が作用し、蓋体11の操作中断の
おそれがある。また、図15等のタイプのシール部材2
0は突部26がシール機能を発揮するが、この突部26
は、内外いずれにも変形し、どの方向に撓むかが不特定
なので、突部26の撓み方向が本来の方向とは逆になる
場合、その部分のシール性にむらが生じるという問題が
ある。
を密封容器からローディングし、加工後にアンローディ
ングするので、密封容器の蓋体11が頻繁に繰り返し開
閉操作されることとなる。したがって、繰り返し開閉操
作の中でシール部材20が位置ずれし、容器本体1と蓋
体11の嵌合保持溝16との間でシール部材20が強く
潰されて必要以上に変形することが少なくない。また、
容器本体1の開口正面9を蓋体11で閉鎖する際、シー
ル性を損ねたり、シール部材20が部分的に擦れ合い、
樹脂粉やパーティクルを発生させて精密基板の汚染を招
くという問題も生じる。
器の清浄性を確保するため、容器本体1又は蓋体11に
嵌合された状態で洗浄されているが、図15等のタイプ
の場合、凹部25の洗浄性が悪く、十分に洗浄すること
ができずに水滴Wが残存するおそれがある。よって、清
浄性や水切り性に欠け、しかも、乾燥作業が非常に遅延
することとなる。
器本体の開口面内周等を略均一にシールすることがで
き、蓋体等の自動開閉等の操作中断のおそれがなく、繰
り返し開閉操作してもシール性を損ねたり、物品の汚染
を招くのを抑制防止することができるとともに、例え容
器本体又は蓋体と共に洗浄しても十分に洗浄することが
でき、清浄性や水切り性に優れ、しかも、乾燥作業の短
縮等を図ることのできるシール部材、密封容器及びその
シール方法を提供することを目的としている。
いては、上記課題を達成するため、被嵌合体の開口面と
嵌合体との間に介在してこれらの内部からの漏れ、外部
からの侵入を防ぐ弾性変形可能なものであって、エンド
レス部と、このエンドレス部から先端部が外周外方向に
略斜めに伸びる屈曲可能な突片と、該エンドレス部の表
裏の少なくとも一方に凹み形成又は突出形成される嵌合
手段とから構成したことを特徴としている。なお、上記
突片の先端部に球形突起を設けることができる。
し、この複数の嵌合リブのうち、上記被嵌合体の開口面
あるいは上記嵌合体の嵌合保持部の奥側に位置する嵌合
リブよりも開口側に位置する嵌合リブの高さを高くする
ことができる。また、上記突片を圧縮方向の内向きに湾
曲させ、この突片の湾曲部分と上記被嵌合体の接触面あ
るいは上記嵌合体の接触面とを接触させることもでき
る。
記課題を達成するため、嵌め合わせて閉鎖するものであ
って、上記容器本体の開口面内周と上記蓋体の外周のい
ずれか一方に嵌合保持部を切り欠き形成し、上記シール
部材を、上記嵌合保持部に嵌められるエンドレス部と、
このエンドレス部から上記容器本体の開口面外方に略斜
めに伸びるとともに、上記蓋体の接触面あるいは該容器
本体の開口面の接触面との間に略鋭角を形成する屈曲可
能な突片と、上記エンドレス部の表裏の少なくとも一方
に凹み形成又は突出形成されて上記嵌合保持部の区画内
面に接触する嵌合手段とから構成したことを特徴として
いる。なお、上記シール部材を、フッ素ゴム組成物を用
いて形成することが好ましい。
上記課題を達成するため、容器本体と、この容器本体の
開口面を着脱自在に閉鎖する蓋体と、これら容器本体の
開口面内周と蓋体の外周のいずれか一方に切り欠き形成
される嵌合保持部と、この嵌合保持部に嵌められて該容
器本体と該蓋体との間に介在する弾性変形可能なシール
部材とを用いて密封容器をシールする方法であって、上
記シール部材を、上記嵌合保持部に嵌められるエンドレ
ス部と、このエンドレス部から伸びる屈曲可能な突片
と、該エンドレス部の表裏の少なくとも一方に凹み形成
又は突出形成されて上記嵌合保持部の区画内面に接触す
る嵌合手段とから構成し、上記蓋体の閉鎖時に上記シー
ル部材の突片を上記容器本体の開口面外方に略斜めに伸
ばしてこの突片と上記蓋体の接触面あるいは該容器本体
の開口面の接触面との間に略鋭角を形成させ、該シール
部材の突片を該容器本体の開口面外方に向け屈曲させて
シールすることを特徴としている。
斜めには、厳密な意味の斜めと、おおよそ斜めと認めら
れる傾きが含まれる。この場合、湾曲部分を一部に含ん
でも良い。球形突起には、球形と認められる突起と、お
およそ球形と認められる突起とが含まれる。また、嵌合
リブは、断面三角形状、半円形、半楕円形、半小判形、
台形等に形成したり、単数複数に適宜増減することがで
きる。略鋭角には、厳密な意味の鋭角と、おおよそ鋭角
と認められる角度とが含まれる。また、容器本体の開口
面は、正面、上面、側面等のいずれでも良い。蓋体は、
容器本体の開口面の形状に応じ、略矩形、略円形、略小
判形等に形成される。さらに、密封容器は、半導体ウェ
ーハ、マスクガラス、液晶セル、記録媒体等を主に収納
するが、なんらこれに限定されるものではない。例え
ば、密封容器に家庭用品、機械部品、電気電子部品、耐
環境性物品等の各種物品を単数複数収納しても良い。
ト、箱、機械部品、輸送容器、容器等からなる被嵌合体
の開口面を機械部品、蓋体等からなる嵌合体で塞ぐ等す
る場合には、被嵌合体あるいは嵌合体に設けられた嵌合
保持溝等の嵌合保持部にシール部材を嵌め、シール部材
の突片をエンドレス部の外周外方向に向ける。そして、
被嵌合体の開口面に嵌合体を嵌め合わせ、シール部材の
突片を被嵌合体の開口面外方に略斜めに向けるととも
に、突片又はその延長線と被嵌合体の開口面の接触面若
しくは嵌合体の接触面との間に略鋭角を形成させるよう
にし、シール部材の突片を被嵌合体の開口面外方に向け
撓ませれば、被嵌合体の開口面を嵌合体でシールするこ
とができる。
レス部の表面内周側や外周側に嵌合リブを一つではな
く、複数形成すれば、保持力を分散することができる。
したがって、一本当たりの保持力をリブが単数の場合に
比べて小さく設定できるようになるので、リブの潰し代
の高さを小さくでき、装着が困難になることがない。ま
た、嵌合保持部にシール部材を嵌めやすく、しかも、密
封度を向上させることができる。
ば、物品を収納した容器本体の開口面を蓋体で閉鎖する
場合には、容器本体あるいは蓋体の嵌合保持部にシール
部材を嵌め、シール部材の突片を外周外方向に向ける。
そして、容器本体の開口面に蓋体を嵌め合わせ、シール
部材の突片を容器本体の開口面外方に略斜めに向けると
ともに、突片又はその延長線と容器本体の開口面の接触
面若しくは蓋体の接触面との間に略鋭角を形成させるよ
うにし、シール部材の突片を容器本体の開口面外方に向
け撓ませれば、容器本体の開口面を蓋体で気密状態にシ
ールすることができる。さらに、請求項6記載の発明に
よれば、フッ素ゴム組成物を用いてシール部材を形成す
るので、シール部材の寸法を高精度にしたり、比較的簡
単に変形させることができる。また、一般的に優れた耐
熱性、耐油性、耐薬品性等を得ることができるし、使用
時に有機成分の揮発量が少なく、収納物が汚染するのを
防止することができる。
ましい実施形態を説明すると、本実施形態における密封
容器は、図1ないし図6に示すように、フロントオープ
ンボックスタイプの容器本体1の開口正面9に、略矩形
の蓋体11を弾性変形可能なエンドレスのシール部材2
0を介し着脱自在に嵌合して密封閉鎖するようにしてい
る。
ーボネートやポリプロプピレン等の各種合成樹脂を使用
して透明又は不透明の略立方形に成形され、円形を呈し
た複数枚の精密基板2を所定のピッチで上下に並べて収
納する。この容器本体1の底面の前部両側と後部中央と
には、図示しない精密基板加工装置に対して位置決め手
段として機能するVグルーブがそれぞれ突出形成され、
この複数のVグルーブに板形のボトムプレート3が着脱
自在に嵌合保持される。このボトムプレート3は、基本
的には平面略Y字に成形され、左右に分かれた前部両側
と後部中央とには、Vグルーブの周囲に嵌合する誘導部
4がそれぞれ形成されている。
うに、別部品であるサイドレール5やマニュアルハンド
ル6がそれぞれ選択的に着脱自在に装着され、容器本体
1の上面中心部には、図示しない搬送ロボットに把持さ
れるロボティックフランジ7が選択的に着脱自在に装着
されている。また、容器本体1の内部左右両側面には、
棚形の支持部8が容器本体1に一体に形成、又は着脱自
在に装着され、この一対の支持部8間に複数枚の精密基
板2が所定のピッチで水平に整列支持される。容器本体
1の開口正面9は、図5ないし図7に示すように、段付
きに傾斜成形されて外側に徐々に拡開し、蓋体11の閉
鎖時に蓋体11が円滑、迅速に嵌合するようガイドとし
て機能する。容器本体1の開口正面9における内周面上
下には図1に示すように、左右に位置する係止穴10が
それぞれ凹み形成されている。
して相互に対向嵌合する裏面プレート12と表面プレー
ト13とを備え、これら裏面プレート12と表面プレー
ト13の間にはラッチ機構14が内蔵されており、この
ラッチ機構14が容器本体1に蓋体11が嵌合する際、
各係止穴10に出没可能な係止爪15を係合させ、密封
容器の気密状態を確保する。蓋体11の外周面には図5
ないし図7に示すように、凹部からなるエンドレスの嵌
合保持溝16が実質的に切り欠き形成され、外周面の上
下には図1に示すように、左右に位置する係止爪15用
の出没孔17がそれぞれ穿孔形成されている。裏面プレ
ート12には略棚形のリテーナ18が着脱自在に装着さ
れ、このリテーナ18が複数枚の精密基板2の前部周縁
を弾発的に支持する。また、表面プレート13の左右に
はラッチ機構14用の操作孔19がそれぞれ穿孔形成さ
れている。
トマー、フッ素ゴム、EPDM、NBR等を使用して6
0°〜90°(JIS 6253に準拠して測定)程度の
硬度に成形されている。このシール部材20の材料とし
ては、加熱時の有機ガス成分の発生量が少なく、精密基
板2に対する悪影響が小さいフッ素ゴムが最も好まし
い。シール部材20は、図2ないし図4に示すように、
嵌合保持溝16に嵌入される断面略矩形のエンドレス部
21と、この弾性変形可能なエンドレス部21の全外周
コーナ部から表面外方、あるいは容器本体1の開口正面
外方に斜めに伸長するとともに、容器本体1の開口正面
9の接触面との間に略鋭角を形成する屈曲可能な突片2
2と、エンドレス部21の表面内周側に並べて突出形成
され、嵌合保持溝16の区画内面16aに圧接する弾性
変形可能な一対の嵌合リブ23とを備えている。
基本的には枠形に形成され、四隅部がそれぞれ丸く面取
り形成されている。突片22は、図3や図4に示すよう
に、根元部から先端部にかけて徐々に細くなるよう断面
略三角形の先細りに突出形成され、エンドレス部21の
幅の0.5倍〜3倍、好ましくは0.7倍〜2倍の範囲
の長さに形成されている。この突片22は、良好な反発
力が得られるよう根元部の肉厚が0.4mm〜2mmの
範囲で形成され、先端部の肉厚が根元部の肉厚の50〜
80%の範囲で形成される。突片22は傾斜して伸長さ
れるが、この突片22の傾斜角度はエンドレス部21の
外周から容器本体1の開口正面9に対して10°〜70
°、好ましくは25°〜45°の範囲とされる。
面略半円形に形成され、嵌合保持溝16の深さよりも高
さが1〜25%程度高くなるよう形成されており、嵌合
保持溝16にエンドレス部21が嵌入される際、1〜2
5%程度の高さ量が潰され、嵌合保持溝16の内部空間
を埋めて強固に保持される。なお、シール部材20の内
側の側壁には図3に示すように、垂直壁又は垂直壁を有
する位置決め用の突起27が形成されるのが好ましい。
この突起27により、シール部材20を嵌合保持溝16
内に正確に位置決めすることができるようになる。こう
した保持機構と位置決め機構により、シール部材20が
嵌合保持溝16内に正確に取り付けられ、位置ずれも抑
制されるので、嵌合保持溝16が好適な状態にシールさ
れる。
整列収納した容器本体1の開口正面9を蓋体11で閉鎖
する場合には、予め蓋体11の嵌合保持溝16にシール
部材20を嵌合し、シール部材20の突片22を外周外
方向に向けておく。こうして準備が整ったら、容器本体
1の開口正面9に蓋体11を精密基板加工装置により嵌
合して容器本体1と蓋体11との間にシール部材20を
挟み、シール部材20の突片22を容器本体1の開口正
面外方に斜めに向けるとともに、突片22又はその延長
線と容器本体1の開口正面9の接触面との間に略鋭角を
形成させるようにする(図5参照)。そして、精密基板加
工装置によりラッチ機構14を施錠操作し、シール部材
20の突片22を容器本体1の開口正面外方に向け屈曲
(図6参照)させれば、容器本体1の開口正面9を蓋体1
1で気密状態にシールすることができる。
本体1の開口正面外方に向け湾曲させ、蓋体11の取り
付け方向(図6の上下方向)にシール部材20を圧縮しな
いようにするので、蓋体嵌合時の負荷を大幅に軽減する
ことができる。また、容器本体1と蓋体11とを円滑に
嵌合させ、蓋体開閉時のトラブルを低減することもでき
る。
素ゴムで単純な形状に簡単に成形することができるの
で、高精度の寸法や変形の容易化が大いに期待できる。
したがって、容器本体1の開口正面内周にシール部材2
0を均一に当接させてシールするのがきわめて容易とな
る。本発明ではシール部材20を形成する突片22を断
面三角形の先細りとしたので、小さな力で変形可能であ
り、しかも、外側に傾斜しているので、適度な反発力が
得られる。このため、例え容器本体1の開口正面9のコ
ーナ部でも、シール性の著しい低下を招くことがない。
定する必要がないので、シール部材20の反発力により
蓋体11の開閉装置に必要以上の負荷の作用することが
なく、蓋体11の操作中断のおそれを有効に解消するこ
とができる。また、突片22が外側に傾斜して指向して
いるので、突片22が内外いずれにも変形することがな
い。したがって、突片22の撓み方向が逆になり、その
部分のシール性にむらが生じるのを有効に防止すること
ができる。
場合でも、実に良好なシールが期待できる。すなわち、
温度変化等により密封容器の内部圧力が外部に比べて高
くなり、内部の気体が外部に押し出される場合には、突
片22が撓む方向にさらに力が加わるので、気体が外部
に漏れやすく、圧力差が比較的短い時間に解消される。
この際、容器本体1の内部の気体が外部に流出するの
で、容器本体1の内部が汚染されることがない。逆に、
密封容器の外部から圧力が加わり、容器本体1の内部に
気体や汚染物等が侵入しようとする場合、撓んでいる方
向に突片22をさらに押圧するので、シール性が増すこ
ととなり、外部から気体が内部に流入しづらくなる。し
たがって、外部から気体(図6の矢印参照)が内部に流入
し、精密基板2が汚れるのを有効に防止することが可能
となる。
に一対の嵌合リブ23が強く圧接して位置決めし、抜け
にくくするので、例え蓋体11が頻繁に繰り返し開閉操
作されても、シール部材20の位置ずれすることがな
い。よって、容器本体1と蓋体11の嵌合保持溝16と
の間でシール部材20が強く潰されて必要以上に変形し
たり、シール性を損ねたり、あるいはシール部材20が
部分的に擦れ合い、樹脂粉やパーティクルを発生させて
精密基板2の汚染を招くことがない。さらにまた、密封
容器の清浄性を確保するため、容器本体1又は蓋体11
にシール部材20を嵌合した状態で洗浄する場合でも、
シール部材20の露出領域に袋状の凹部25がなんら存
在しないので、全部分を十分に洗浄することができ、水
滴Wが残存するおそれがない。よって、清浄性や水切り
性を著しく向上させ、しかも、乾燥作業の短縮が大いに
期待できる。
すもので、この場合には、容器本体1の開口正面9にお
けるシール部材20との接触部分9aを開口方向に突出
形成し、エンドレス部21の表面外周側から屈曲可能な
突片22を外周外方向に斜めに突出させるようにしてい
る。容器本体1の接触部分9aは、突片22の撓み時の
湾曲形状に合致するよう開口正面9の段差部付近に一部
湾曲して形成され、蓋体11の閉鎖時に突片22の根元
部付近に略対向する。突片22は、直線状に突出させて
も良いし、僅かに湾曲させた状態で突出させても良い。
その他の部分については、上記実施形態と同様であるの
で説明を省略する。
の作用効果が期待でき、しかも、容器本体1の接触部分
9aが突片22の撓み時の湾曲形状に対応してガイド機
能を発揮するので、シール部材20に外圧が作用する場
合、突片22の撓み方向を確実に特定することができ
る。したがって、シール性能をさらに向上させ、精密基
板2の汚染防止を確保できるのは明らかである。
すもので、この場合には、エンドレス部21の内周面側
から屈曲可能な突片22を断面略釣り針形に湾曲させて
外周外方向に斜めに折り返し突出させ、エンドレス部2
1の表面外周側に一対の嵌合リブ23を並べて突出形成
するようにしている。その他の部分については、上記実
施形態と同様であるので説明を省略する。本実施形態に
おいても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、上
記第1、第2の実施形態を採用することができない場合
にきわめて有意義である。
すもので、この場合には、容器本体1の開口正面内周
に、エンドレスの嵌合保持溝16を断面略L字形の区画
片を介し実質的に切り欠き形成し、この凹部からなる嵌
合保持溝16にシール部材20を嵌入するようにしてい
る。その他の部分については、上記実施形態と同様であ
るので説明を省略する。本実施形態においても上記実施
形態と同様の作用効果が期待でき、上記第1、第2、第
3の実施形態を採用することができない場合に有意義で
ある。
の実施形態を示すもので、この場合には、エンドレス部
21の全外周コーナ部から突片22をやや湾曲させなが
ら斜めに伸長し、この突片22の先端部に一体的な球形
突起28を膨出形成し、エンドレス部21の表面内周側
には、傾きの異なる略三角形の嵌合リブ23a・23b
を並べて突出形成するようにしている。
てR3〜10mmの曲率半径で湾曲形成される。また、
球形突起28は、好ましくはR0.3〜0.8mmの範
囲の曲率半径で形成される。また、嵌合リブ23a・2
3bは、図10や図13に示すように、表面から内側面
にかけて傾斜面が形成され、エンドレス部21の表面内
側に位置する嵌合リブ23aが低く(例えば、高さ0.
8mm)、エンドレス部21の表面外側に位置する嵌合
リブ23bが高くなるよう突出形成されている。その他
の部分については、上記実施形態と同様であるので説明
を省略する。
の作用効果が期待でき、突片22の先端部に球形突起2
8を膨出形成し、直線的で成形が困難なナイフエッジ部
分を省略するようにしているので、成形の容易化が大い
に期待できる。また、突片22の先端部が丸い球形突起
28であるから、容器本体1と繰り返し接触するシール
部材20の先端部からパーティクルが発生するのを少な
くすることができる。
縮方向に対して内向きに湾曲させ、この湾曲形状に沿っ
て突片22を撓ませる(同図の矢印参照)ようにしている
ので、容器本体1との摩擦抵抗を大幅に減少させること
ができる。この結果、蓋体開閉の抵抗を低減することが
できるので、小さな圧縮力で確実にシールすることがで
き、蓋体11の開閉トラブルをきわめて有効に抑制防止
することができる。さらに図13に示すように、組立時
に奥側となる内側に位置する嵌合リブ23aを低く(h
1)、組立時に開口手前側となる外側に位置する嵌合リ
ブ23bを高く(h2)なるよう配設しているので、組立
時には嵌合保持溝16にシール部材20を円滑に嵌合す
ることができる。
ブ23a、23bは、略三角形の突起であり、それぞれ
の内外の角度29a・29bの間に、29a<29bの
関係がある。したがって、蓋体11の嵌合後には、嵌合
リブ23a、23bの先端部が嵌合溝16の開口方向に
倒れて圧接し、開口部への引き抜き方向に対して逆目状
となり、抜けにくくすることができる。よって、使用時
にきわめて位置ずれしにくい構造を得ることができる。
機構14を内蔵したが、このラッチ機構14は、クラン
プや係止部品等の他の係止機構に置き換えることができ
る。また、枠形のシール部材20を示したが、なんらこ
れに限定されるものではなく、中空を形成する円形、楕
円形、多角形等のシール部材20でも良い。エンドレス
部21も断面略矩形ではなく、断面略小判形等とするこ
とができる。さらに、嵌合保持溝16の区画内面16a
に凸部を単数複数形成するとともに、エンドレス部21
の表面内外周のいずれかに嵌合手段として凹部を単数複
数形成し、これら凸部と凹部とを嵌合させるようにして
も良い。
例と共に説明する。 1.密封容器のシール性の確認試験 実施例 300mmの精密基板(シリコンウェーハ)2を25枚収
納する工程内搬送用、精密基板収納用のシール部材20
をフッ素ゴムを用いて図2ないし図4の形状に形成し、
このシール部材20を密封容器に嵌入し、シール性の確
認試験を実施した。
した。具体的には、容器本体1の背面下部に貫通孔を穿
孔してこの貫通孔にはフレキシブルホースからなる配管
30を接続し、この貫通孔と配管30との隙間をシーラ
ント剤で封止した。容器本体1の開口正面9には、シー
ル部材20付きの蓋体11を嵌合して閉鎖した。また、
配管30には圧力計31を設置するとともに、配管30
の自由端部には密封容器の内部を加圧する加圧装置32
と、密封容器の内部を減圧するポンプ装置とを開閉バル
ブ33を介して接続した。そしてその後、密封容器の内
部を加圧(2×104Pa加圧時)して開閉バルブ33を
閉じた場合と、密封容器の内部を減圧(−2×104Pa
加圧時)して開閉バルブ33を閉じた場合との圧力差の
変動を圧力計31で測定し、シール性を確認して結果を
表1にまとめた。
成し、実施例と同様の確認試験を実施し、結果を表1に
まとめた。
分を3cmに切断し、これを押し潰すときの潰し量とそ
のときの反発力とを(株)島津製作所製の精密万能試験機
(商品名:オートグラフ)で測定し、結果を表2にまとめ
た。 比較例 実施例同様、シール性の確認試験で使用したシール部材
20の直線部分を3cmに切断し、これを押し潰すとき
の潰し量とそのときの反発力とを上記精密万能試験機で
測定し、結果を表2にまとめた。
の開口面内周等を略均一にシールすることができるとい
う効果がある。また、蓋体等にシール部材を使用する場
合、蓋体等の操作中断のおそれがなく、例え繰り返し開
閉操作してもシール性を損ねたり、物品の汚染を招くの
を抑制防止することが可能になる。さらに、例え容器本
体又は蓋体等と共に洗浄しても、良好に洗浄することが
でき、清浄性や水切り性を向上させ、しかも、乾燥作業
の短縮等が期待できる。
施形態を示す概略分解斜視説明図である。
ール方法の実施形態におけるシール部材を示す正面図で
ある。
施形態における容器本体にシール部材付きの蓋体を嵌合
する状態を示す部分断面説明図である。
部分断面説明図である。
2の実施形態を示す部分断面説明図である。
3の実施形態を示す部分断面説明図である。
4の実施形態を示す部分断面説明図である。
第5の実施形態におけるシール部材を示す断面説明図で
ある。
体を嵌合する状態を示す部分断面説明図である。
部分断面説明図である。
ある。
実施例を示す断面説明図である。
分断面説明図である。
分断面説明図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 被嵌合体の開口面と嵌合体との間に介在
してこれらの内部からの漏れ、外部からの侵入を防ぐ弾
性変形可能なシール部材であって、 エンドレス部と、このエンドレス部から先端部が外周外
方向に略斜めに伸びる屈曲可能な突片と、該エンドレス
部の表裏の少なくとも一方に凹み形成又は突出形成され
る嵌合手段とから構成したことを特徴とするシール部
材。 - 【請求項2】 上記突片の先端部に球形突起を設けた請
求項1記載のシール部材。 - 【請求項3】 上記嵌合手段を複数の嵌合リブとし、こ
の複数の嵌合リブのうち、上記被嵌合体の開口面あるい
は上記嵌合体の嵌合保持部の奥側に位置する嵌合リブよ
りも開口側に位置する嵌合リブの高さを高くした請求項
1又は2記載のシール部材。 - 【請求項4】 上記突片を圧縮方向の内向きに湾曲さ
せ、この突片の湾曲部分と上記被嵌合体の接触面あるい
は上記嵌合体の接触面とを接触させるようにした請求項
1ないし3いずれかに記載のシール部材。 - 【請求項5】 容器本体の開口面に、着脱自在の蓋体を
弾性変形可能なシール部材を介し嵌め合わせて閉鎖する
密封容器であって、 上記容器本体の開口面内周と上記蓋体の外周のいずれか
一方に嵌合保持部を切り欠き形成し、上記シール部材
を、上記嵌合保持部に嵌められるエンドレス部と、この
エンドレス部から上記容器本体の開口面外方に略斜めに
伸びるとともに、上記蓋体の接触面あるいは該容器本体
の開口面の接触面との間に略鋭角を形成する屈曲可能な
突片と、上記エンドレス部の表裏の少なくとも一方に凹
み形成又は突出形成されて上記嵌合保持部の区画内面に
接触する嵌合手段とから構成したことを特徴とする密封
容器。 - 【請求項6】 上記シール部材を、フッ素ゴム組成物を
用いて形成した請求項5記載の密封容器。 - 【請求項7】 容器本体と、この容器本体の開口面を着
脱自在に閉鎖する蓋体と、これら容器本体の開口面内周
と蓋体の外周のいずれか一方に切り欠き形成される嵌合
保持部と、この嵌合保持部に嵌められて該容器本体と該
蓋体との間に介在する弾性変形可能なシール部材とを用
いて密封容器をシールする方法であって、 上記シール部材を、上記嵌合保持部に嵌められるエンド
レス部と、このエンドレス部から伸びる屈曲可能な突片
と、該エンドレス部の表裏の少なくとも一方に凹み形成
又は突出形成されて上記嵌合保持部の区画内面に接触す
る嵌合手段とから構成し、上記蓋体の閉鎖時に上記シー
ル部材の突片を上記容器本体の開口面外方に略斜めに伸
ばしてこの突片と上記蓋体の接触面あるいは該容器本体
の開口面の接触面との間に略鋭角を形成させ、該シール
部材の突片を該容器本体の開口面外方に向け屈曲させて
シールすることを特徴とする密封容器のシール方法。
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