JP2001525462A - セグメント式管状反応器中でのエチレンコポリマーの製法及び流動改良剤としての該コポリマーの使用 - Google Patents

セグメント式管状反応器中でのエチレンコポリマーの製法及び流動改良剤としての該コポリマーの使用

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Abstract

(57)【要約】 ラジカル重合開始剤及び場合により分子量調節剤の存在下に冷却された管状反応器中で、1000〜3500バールの範囲の圧力でエチレン及び酢酸ビニルからなる混合物を連続的に重合させるエチレン/酢酸ビニルコポリマーの製法において、重合開始剤を開始時及び管状反応器に沿った複数の位置で配量添加し、かつ管状反応器に沿った反応混合物中の温度変化を、第1の最高温度と重合開始剤の最後の配量との間で最高20℃の範囲にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、その製法、殊にディーゼル燃料
及び軽油のような石油中間留分での流動改良剤としての該コポリマーの使用、並
びにこれらを含有する燃料組成物に関する。
【0002】 エチレン/酢酸ビニルコポリマーは以前から、石油中間留分中の流動改良剤と
して使用されている。その際これらは殊に、EN116により測定される「常温
油こし目詰まり点(Cold Filter Plugging Point)」(CFPP)を低下させる
ために役立つ。エチレン/酢酸ビニルコポリマーの製造は通常、高圧法でのモノ
マーの重合により行われる。
【0003】 US3627838には凝固点改良剤の製法が記載されている。このためにエ
チレン/酢酸ビニル−コポリマーを使用する。エチレン及び酢酸ビニルの反応は
反応器中、138〜171℃の範囲の温度及び48〜137バールの圧力で行わ
れる。
【0004】 DE−A2515805には、エチレンコポリマー、その製法及びこれを含有
する流出油が記載されている。エチレン及び酢酸ビニルの反応はオートクレーブ
中で溶剤としてのシクロヘキサン中で行う。反応の際の温度は約105℃であり
、かつ圧力は約75kp/cm2である。
【0005】 EP−A0007590には、改善された濾過性を有する石油の中間留分が記
載されている。石油留分は例えば、溶剤を用いずに圧力500〜2000バール
及び温度100〜350℃でモノマーから製造されるエチレン/酢酸ビニルコポ
リマーを含有する。このポリマーは酢酸ビニルのようなモノマーと一緒に流動改
良剤として使用される。
【0006】 コポリマーの工業的製造では殊に、攪拌されるオートクレーブが使用される。
再混合されない管状反応器の使用は通常、より不均一な生成物をもたらす。それ
というのも、開始剤配量の後に管状反応器に沿って、より大きな温度ジャンプが
繰り返し生じるためである。得られたコポリマーは通常、広い分子量分布を有す
る。
【0007】 本発明の課題は、石油中間留分中の流動改良剤として有利に使用することがで
きる、狭い分子量分布を有するコポリマーをもたらす、エチレン及び酢酸ビニル
コポリマーを製造するための方法の提供である。
【0008】 この課題は本発明では、ラジカル重合開始剤及び場合により分子量調節剤の存
在下に、冷却された管状反応器中で、1000〜3500バールの範囲、有利に
1200バールの圧力でエチレン及び酢酸ビニルからなる混合物を連続的に重合
させ、その際、重合開始剤を開始時に、かつ管状反応器に沿った複数の位置で配
量導入し、かつ管状反応器に沿った反応混合物中の温度変化を、第1の最高温度
と重合開始剤の最後の配量との間で最高20℃の範囲にする、エチレン/酢酸ビ
ニル−コポリマーの製法の提供により解決される。
【0009】 管状反応器中で、反応混合物の温度を可能な限り狭い範囲に保持する場合に、
有利な特性、殊に狭い分子量分布を有するエチレン/酢酸ビニルコポリマーが得
られることを発見した。
【0010】 反応実施は従って、管状反応器に沿って可能な限り均一に行うべきである。通
常、エチレン及び酢酸ビニルからなるモノマー混合物に管状反応器の前で、重合
開始剤及び場合により分子量調節剤を添加し、かつ管状反応器中で重合させる。
この場合、反応開始時に温度は先ず上昇し、次いで、管状反応器の冷却により低
下する。通常、管状反応器に沿った複数の位置で更に重合開始剤を供給して、管
状反応器中での可能な限り高い変換率を達成する。重合開始剤のそれぞれの配量
導入の後に温度は先ず再び上昇して、次いで、冷却により低下する。管状反応器
に沿った開始剤配量とそれに続く短い冷却帯域との迅速な連続により均一な反応
実施、即ち僅かな温度差が可能であり、これにより狭い分子量分布を有するコポ
リマーが得られることが判明した。
【0011】 有利には、第1の最高温度と最後の重合開始剤の配量添加の間で反応混合物中
の平均最高温度が平均最低温度よりも最高15℃、特に有利には最高10℃上回
るように、所定の冷却下での重合開始剤の各量及び管状反応器に沿っての開始剤
の配量添加場所を選択する。
【0012】 第1の加熱の前に反応混合物は、モノマー混合時の低い温度を有する。重合開
始剤の最後の配量添加の後に、反応混合物を冷却して、生成物を反応器から取り
出すことができる。従って本発明では、第1の加熱、即ち最高温度の第1の達成
と反応混合物の最終冷却の間で、反応混合物中の温度水準を可能な限り一定にす
る。
【0013】 有利には、反応混合物の平均最高温度は230〜250℃、特に有利には23
5〜245℃の範囲である。殊に平均最高温度は約240℃である。平均最低温
度は有利には約230℃である。
【0014】 特に有利には管状反応器中の内部温度は導入の後、反応器の入口で約240℃
±5℃の温度に高まる。次いで、反応混合物を管状反応器の冷却により(有利に
は水冷却により)約230℃±5℃の温度に冷却する。これに続いて、反応混合
物の温度が約240℃±5℃に高まる量で新たな配量導入を行う。反応器の長さ
に応じて、この処理を数回繰り返して、高い変換率を達成する。
【0015】 所望の変換率により、管状反応器に沿った、その場所で重合開始剤を添加する
位置の数を変動させることができる。有利には、管状反応器に沿って2〜6、特
に有利には3〜5カ所で重合開始剤を配量添加する。
【0016】 管状反応器中の圧力は1000〜3500バール、有利には1200〜250
0バールである。
【0017】 管状反応器の内径に対する長さの比は有利には10000〜50000、特に
有利には15000〜30000の範囲である。
【0018】 反応混合物中の酢酸ビニルの割合は有利には15〜45質量%、特に有利には
20〜35質量%である。その際、反応混合物の残りはエチレンよりなる。コポ
リマーは従って有利には、ラジカル形成剤又は分子量調節剤の残分を別にして、
エチレン及び酢酸ビニルから構成される。
【0019】 ラジカル重合開始剤として、任意のラジカル形成剤を使用することができる。
ラジカル分解する、有利には有機過酸化物、空気又は酸素を使用することができ
る。
【0020】 好適なラジカル形成剤の例は有機過酸化物、例えば過酸エステル、過ケタール
(Perketale)及び過炭酸塩である。殊に、t−ブチルペルピバレート及び/又 はt−ブチルペルイソノナノエートを使用する。後者はモル比10:1〜1:1
0、有利には5:1〜1:5、殊に約1:1で使用することができる。
【0021】 使用されたラジカル重合開始剤の量は有利には10〜1000モルppm、特
に有利に20〜100モルppmである。
【0022】 分子量調節剤として任意の好適な分子量調節剤、例えば脂肪族及びオレフィン
系炭化水素、脂肪族アルデヒド等を使用することができる。特に有利には、脂肪
族アルデヒド、殊にプロピオンアルデヒドを使用する。分子量調節剤を有利には
反応混合物に管状反応器前で配量導入する。これを重合開始剤と一緒に管状反応
器に沿った別の位置で配量導入することもできる。
【0023】 本発明により得られたエチレン/酢酸ビニルコポリマーは有利には、分子量の
数平均(Mn)に対する分子量の量平均(Mw)の比Q2.0〜2.5を有する
。公知の方法によって製造されたコポリマーは通常、2.6を上回るQ−値を有
する。本発明のコポリマーの溶融粘度は有利には40〜95cst、特に有利に
は60〜80cstである。その際、溶融粘度はDIN53019により回転粘
度計を用いて120℃で測定する。Q値をゲル透過クロマトグラフィーにより測
定する。
【0024】 公知のコポリマーでは、溶融粘度は120℃で100cstを上回る。より低
い粘度を有する従来公知の生成物は可溶性が劣るか、又は有効性が乏しい。
【0025】 本発明の方法では反応時間は有利には60〜240秒、特に有利には60〜9
0秒である。
【0026】 本発明のコポリマーは、石油留分、殊に石油中間留分、有利に燃料組成物のた
めの非常に有効な流動改良剤である。その場合、殊に、EN116による「常温
油こし目詰まり点」(CFPP)の明らかな低下をこれはもたらす。これに加えて濁り
点もしくは、添加された燃料が濁り始める温度は、添加されていない燃料よりも
かなり低い温度である。
【0027】 図1には、本発明のポリマー及び比較ポリマーに関する比較混濁測定が示され
ている。この場合、混濁は、温度T(℃)に対する濁り単位TE/Fで示した。
【0028】 本発明は主要量の燃料及び、流動特性を改善するために有効な量の前記のよう
なコポリマーを含有する燃料組成物にも関する。この場合、有利にはコポリマー
の割合は燃料組成物に対して、0.01〜5質量%、特に有利には0.01〜0
.2質量%、極めて有利には0.01〜0.1質量%である。燃料組成物として
は殊に、中間留分、例えばディーゼル燃料及び軽油がこれに該当する。本発明を
次いで、例により詳述する。
【0029】 例 エチレン/酢酸ビニル−コポリマーの製造 エチレン及び酢酸ビニルの共重合を、長さ500mm及び内径40mmを有す
る連続的に運転する管状反応器中で実施した。この場合、反応圧は一定に150
0バールであった。例EVA1では酢酸ビニルの割合は23質量%、EVA2で
は26質量%、EVA3では30質量%、EVA4では33質量%、比較例V1
では30質量%であった。残量はエチレンに割り当てた。ラジカル形成剤として
、モル比1:1のt−ブチルペルピバレート(TBPP)及びt−ブチルペルイ
ソノナノエート(TBPIN)から成る混合物をイソドデカンに溶かして使用し
た。開始剤の量は50モルppmであった。その際、開始剤を反応器の前で、か
つ管状反応器に沿った3つの場所で同じ割合で配量添加した。分子量調節剤とし
てプロピオンアルデヒドを使用したが、これは、初めの反応混合物に0.8%の
量で配量添加した。
【0030】 反応器中の温度を可動温度計を用いて測定した。次の第1表に、実験した5種
の生成物に関して、管状反応器前の開始温度及び管状反応器の過程で測定された
最高及び最低温度を記載した。生成物EVA1〜EVA4では、付加的な開始剤
配量導入を管状反応器の一定の3つの位置で行った。比較例V1では、反応器の
2カ所の更なる位置で付加的に導入した。それというのも、延長された冷却帯域
で、温度の十分な低下を達成する反応器長さが必要とされたためである。付加的
に、第1表には酢酸ビニル(Vac)の割合、生成物の粘度(Visk)(cs
t)及びQ値を記載した。
【0031】
【表1】
【0032】 燃料組成物 本発明のコポリマーを、市販のヨーロッパ精製品質の石油中間留分である一連
の燃料組成物中で試験した。これらは次の第2表に記載の特性を有した:
【0033】
【表2】
【0034】 10%沸点は、出発混合物の10容量%が留去された温度である。他の記載に
も同様のことが当てはまる。
【0035】 前記の石油留分に、ヘビーソルベントナフサ溶剤中の50%溶液に予め調製し
た前記で得られたエチレン/酢酸ビニルコポリマーEVA1〜EVA4を添加し
た。比較の目的のために、EP−A0007590による市販のコポリマーに相
応し、かつ同様にヘビーソルベントナフサ中50%濃度に調製された比較例V1
により得られたエチレン/酢酸ビニルコポリマーを使用した。
【0036】 中間留分とコポリマーとを温度40℃で攪拌下に混合し、かつ引き続き室温に
冷却した。使用された添加物の量は次の第3表に記載した。加えて、それぞれE
N116により測定された「常温油こし目詰まり点」(CFPP)を記載した。
更なる中間留分での結果を第4表に記載した。
【0037】
【表3】
【0038】 第3及び4表からの結果から、本発明によるコポリマーを添加された中間留分
は、比較添加物を添加された中間留分よりも良好なCFPP応答特性を示すと言
うことが判明した。
【0039】 混濁測定 混濁測定を、Dr.Lange GmbH/DuesseldorfのLTP5型の実験室用混濁測光器
を使用して実施した。この装置は90゜散乱光−二重ビーム法(dual beam meth
od)により混濁度を測定する。液体により全面に散乱して偏光する散乱光を90
゜の角度で測定する。散乱光法での混濁測定は、粒子濃度に正比例し、かつこれ
を混濁単位TE/Fで示した。
【0040】 実施しようとする測定では、元々存在したキュベットの代わりに温度制御可能
な測定セルを使用し、その際、キュベット内容物をその中に設置されたHuber Gm
bH/OfenburgのPT−100温度センサ及び外部マスター制御器FR400、プ ログラム送信器PD420並びにサーモスタットUNISTATを用いて、冷却
速度0.5℃/分にプログラムして冷却することができる。
【0041】 実験したい試料により、50℃の温度でそれぞれキシレン中の1%溶液を製造
した。この溶液15mlを50℃で熱制御可能なキュベット中に充填し、かつ3
0℃に冷却した。引き続き、キュベット内容物を冷却速度0.5℃/分で冷却し
、かつ混濁単位を温度に関して記録した。両方とも酢酸ビニル含有率30質量%
であるエチレン/酢酸ビニル−コポリマーEVA3及び比較コポリマーV1を比
較して実験した。
【0042】 結果を図1に記載した。図1から分かるように、EVA3は、V1に対して明
らかに改善された混濁特性を示す:V1では濁り点は0℃であるのに対して、E
VA3を用いると−5℃に低下させることができ、このことは本発明の生成物の
改善された溶解特性をもたらす。
【0043】 意外にも、濁り点の低下及びそれにより低下した結晶核の生成数の低減にも関
わらず、本発明のコポリマーの前記の明らかに改善されたCFPP応答特性が発
見された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のポリマー及び比較ポリマーに関する混濁度比較グラフ。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年2月2日(2000.2.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ペーター ヴェーデル ドイツ連邦共和国 ヴォルムス テオドー ル−ホイス−シュトラーセ 79 (72)発明者 ヴィルヘルム ヴェーバー ドイツ連邦共和国 ノイシュタット マン デルベルクシュトラーセ 40 Fターム(参考) 4J011 AA05 AB02 AB04 BA01 BB05 BB13 BB17 DB17 4J100 AA02P AG04Q CA04 FA03 FA04 FA28

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン/酢酸ビニルコポリマーの製法であって、ラジカル
    重合開始剤及び場合により分子量調節剤の存在下に冷却された管状反応器中で、
    1000〜3500バールの範囲の圧力でエチレン及び酢酸ビニルからなる混合
    物を連続的に重合させる製法において、重合開始剤を開始時及び管状反応器に沿
    った複数の位置で配量添加し、かつ管状反応器に沿った反応混合物中の温度変化
    を、第1の最高温度と重合開始剤の最後の配量添加との間で最高20℃の範囲に
    することを特徴とする、エチレン/酢酸ビニルコポリマーの製法。
  2. 【請求項2】 第1の加熱及び重合開始剤の最後の配量添加の間で、反応混
    合物中の平均最高温度が平均最低温度よりも最大15℃上回るように、重合開始
    剤の各量及び所定の冷却下での管状反応器に沿った配量添加位置を選択する、請
    求項1に記載の製法。
  3. 【請求項3】 平均最高温度が230〜250℃の範囲である、請求項2に
    記載の製法。
  4. 【請求項4】 平均最高温度が約240℃であり、かつ平均最低温度が約2
    30℃である、請求項2又は3に記載の製法。
  5. 【請求項5】 管状反応器に沿って2〜6カ所で重合開始剤を配量添加する
    、請求項1から4までのいずれか1項に記載の製法。
  6. 【請求項6】 管状反応器の内径に対する長さの比が10000〜5000
    0の範囲である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の製法。
  7. 【請求項7】 請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法により製造
    可能な、エチレン/酢酸ビニル−コポリマー。
  8. 【請求項8】 2.0〜2.5の範囲のQ−値及び40〜95cstの範囲
    の120℃での溶融粘度を有する、請求項7に記載のコポリマー。
  9. 【請求項9】 石油中間留分中の流動改良剤としての、請求項7又は8に記
    載のコポリマーの使用。
  10. 【請求項10】 主要量の燃料及び流動特性を改善するために有効な量の請
    求項7又は8に記載のコポリマーを含有する、燃料組成物。
JP2000524335A 1997-12-05 1998-12-01 セグメント式管状反応器中でのエチレンコポリマーの製法及び流動改良剤としての該コポリマーの使用 Expired - Fee Related JP4488463B2 (ja)

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