JP2001245618A - 冷凍麺の製造方法 - Google Patents

冷凍麺の製造方法

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JP2001245618A
JP2001245618A JP2000059372A JP2000059372A JP2001245618A JP 2001245618 A JP2001245618 A JP 2001245618A JP 2000059372 A JP2000059372 A JP 2000059372A JP 2000059372 A JP2000059372 A JP 2000059372A JP 2001245618 A JP2001245618 A JP 2001245618A
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noodle
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material powder
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JP2000059372A
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Koichi Miyazaki
浩一 宮崎
Kiyoshi Toma
潔 当麻
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 緩慢解凍による冷凍麺の食感および風味の低
下を防止する。 【解決手段】 内層用原料粉に含まれる小麦粉の種類を
外層用原料粉に含まれる小麦粉の種類よりも蛋白質含量
の多い異なる種類に選び、内層用および外層用原料粉を
用いて、内層用および外層用麺帯をそれぞれ製造し、内
層用麺帯を2枚の外層用麺帯で挟んで圧延して3層麺帯
を製造し、さらに圧延し麺線に切り出し糊化した後、凍
結して冷凍麺を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷凍麺の製造方法
に関し、特に室温での自然解凍または冷蔵温度帯でのチ
ルド解凍などを施して食に供される冷凍麺の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】麺類は、生麺類、茹で麺類、半生麺類、
乾燥麺類、冷凍麺類、蒸し麺類等に分類される。茹で麺
類は、チルド温度帯(冷蔵温度帯)で保管され、コンビ
ニエンスストアおよび量販店などで多く販売されてい
る。この茹で麺類には、チルド温度帯での保存中に麺類
の澱粉が老化し、風味および食感の低下が生じやすいと
いう問題がある。また冷凍麺などに比べて日もちが悪い
ので、作り貯めができず需要の急激な増大に対応が困難
であるという問題がある。
【0003】これに対して、近年需要の伸びの目覚まし
い冷凍麺は冷凍温度帯で保存されるので、保存中の品質
低下が少なく、日もちが良好である。したがって、作り
貯めが可能であり、需要の変化に対応できる。この冷凍
麺を食に供するには、解凍が必要である。解凍は、熱湯
解凍、蒸気解凍および電子レンジ解凍など急速解凍によ
って行われる。このように冷凍麺には解凍のための設備
が必要であり、解凍作業に手間がかかり、加熱コストが
かかるという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記冷凍麺の問題、す
なわち解凍設備を要するという問題は、冷凍麺を室温で
の自然解凍または冷蔵庫でのチルド解凍(以後、これら
を総称して「緩慢解凍」と呼ぶ)を行うことによって解
消される。しかしながら、従来の冷凍麺を緩慢解凍する
と、食感が著しく低下し、かつ風味も劣化したボソボソ
の麺となり、食に耐えない状態になるという問題があ
る。さらに麺同士がくっつき、ほぐれにくくなるという
問題もある。
【0005】特開平11−69950号公報には、この
ような冷凍麺の緩慢解凍による品質低下の解消を目的と
して、粒径106μm以下のそば粉と、澱粉と、グルテ
ンとを用いてα化したそばを製造した後、凍結する冷凍
そばの製造方法が開示されている。しかしながら、この
先行技術に対する本発明者らの調査によれば、この細か
い粒径のそば粉を用いた冷凍そばの製造方法では、後述
のように麺断面の中心の硬さを表面の硬さよりも硬くす
ることが困難であり、緩慢解凍による品質低下を充分に
防止することはできない。したがって、緩慢解凍したと
きにも、品質低下の生じない冷凍麺は未だ開発されてい
ないのが現状である。
【0006】本発明の目的は、緩慢解凍を行っても食感
および風味の低下がなく、かつほぐれの良好な冷凍麺の
製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、小麦粉を含む
内層用および外層用原料粉を用いて内層用および外層用
麺帯をそれぞれ製造し、内層用麺帯を2枚の外層用麺帯
で挟んで圧延して3層麺帯を製造し、さらに圧延し麺線
に切り出し糊化した後、凍結する冷凍麺の製造方法にお
いて、内層用原料粉に含まれる小麦粉に強力粉を用い、
外層用原料粉に含まれる小麦粉に準強力粉または中力粉
を用いることを特徴とする冷凍麺の製造方法である。
【0008】また本発明は、小麦粉を含む内層用および
外層用原料粉を用いて内層用および外層用麺帯をそれぞ
れ製造し、内層用麺帯を2枚の外層用麺帯で挟んで圧延
して3層麺帯を製造し、さらに圧延し麺線に切り出し糊
化した後、凍結する冷凍麺の製造方法において、内層用
原料粉に含まれる小麦粉に準強力粉を用い、外層用原料
粉に含まれる小麦粉に中力粉を用いることを特徴とする
冷凍麺の製造方法である。
【0009】本発明に従えば、内層用原料粉に含まれる
小麦粉の種類は外層用原料粉に含まれる小麦粉の種類よ
りも蛋白質含量の多い、換言すれば強い生地を作ること
のできる異なる種類に選ばれるので、これらの原料粉を
用いて製造された3層構造を有する冷凍麺を緩慢解凍し
ても、麺断面の中心の硬さを表面の硬さよりも硬くする
ことができる。これによって、麺を弾力および腰のある
食感の良好な状態にすることができるので、緩慢解凍に
よる食感の低下を補うことができる。したがって、緩慢
解凍を行っても食感の良好な冷凍麺を製造することがで
きる。
【0010】また本発明は、前記内層用および外層用原
料粉には、化工澱粉が5〜40%配合されることを特徴
とする。
【0011】本発明に従えば、外層用および内層用原料
粉に老化しにくいように化工された化工澱粉が過不足な
く配合されるので、緩慢解凍を行っても澱粉の老化を抑
制することができる。これによって、風味の低下が抑制
されるので、緩慢解凍を行っても風味の良好な冷凍麺を
製造することができる。
【0012】また本発明は、前記内層用原料粉中の化工
澱粉の配合量が外層用原料粉中の化工澱粉の配合量より
も多いことを特徴とする。
【0013】本発明に従えば、内層用原料粉中の化工澱
粉の配合量が外層用原料粉中の化工澱粉の配合量よりも
多いので、麺同士の接触する外層領域では化工澱粉の配
合量が少なくなる。化工澱粉は配合量が多くなるほど風
味を向上させるけれども、澱粉同士をくっつきやすくさ
せて麺をほぐれにくくさせる。これによって、麺同士の
接合が抑制されるので、ほぐれのよい麺を製造すること
ができる。また内層部分における化工澱粉の配合量が多
くなるので、内層部分の風味を向上させることができ
る。この結果、全体として風味がよくほぐれもよい麺を
製造することができる。
【0014】また本発明は、前記内層用原料粉には、グ
ルコマンナンが0.020〜1.0%配合されることを
特徴とする。
【0015】本発明に従えば、内層用原料粉にはグルコ
マンナンが過不足なく配合されており、グルコマンナン
はその粘性によって生地を強化する性質を有するので、
緩慢解凍を行っても麺断面の中心の硬さを表面の硬さよ
りも高くすることができる。これによって、麺を全体と
して弾力および腰のある食感の良好な状態にすることが
できるので、緩慢解凍による食感の劣化を補うことがで
きる。したがって、緩慢解凍を行っても食感の良好な冷
凍麺を製造することができる。
【0016】また本発明は、前記内層用および外層用原
料粉には、そば粉が配合されており、前記外層用原料粉
中のそば粉の配合量と、内層用原料粉中のそば粉の配合
量との差が0〜15%であることを特徴とする。
【0017】本発明に従えば、外層用原料粉中のそば粉
の配合量と内層用原料粉中のそば粉の配合量との差が過
不足なく設定されているので、その差を小麦粉で補え
ば、内層用原料粉中の小麦粉の配合量を外層用原料粉中
の小麦粉の配合量よりも多くすることができる。また内
層用原料粉中の小麦粉は外層用原料粉中の小麦粉よりも
蛋白質含量の多い小麦粉が用いられるので、内層用原料
粉中の蛋白質の量を外層用原料粉中の蛋白質よりも多く
することができる。これによって、緩慢解凍を行っても
麺断面の中心の硬さを表面の硬さよりも硬くすることが
できるので、麺全体として弾力および腰のある食感の良
好な状態にすることができ、緩慢解凍による食感の劣化
を補うことができる。したがって、緩慢解凍を行っても
食感の良好の冷凍麺を製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係わる冷凍麺の製
造工程の前半部分を簡略化して示す図であり、図2は図
1に後続する冷凍麺の製造工程の後半部分を簡略化して
示す図である。図1および図2を参照して本発明の冷凍
麺の製造方法について、すなわち緩慢解凍しても食感お
よび風味の低下がなく、かつほぐれの良好な冷凍麺の製
造方法について詳細に説明する。この冷凍麺は、うど
ん、そば、ラーメン(冷やし中華麺も含む)、蒸し麺、
スパゲッティ、韓国冷麺、盛岡冷麺等の麺類を茹でた
後、凍結し、冷凍保存した麺をいう。本発明の冷凍麺
は、外層/内層/外層の3層構造からなる3層冷凍麺で
あり、内層および外層の麺帯は異なる原料粉を用いてそ
れぞれ製造される。
【0019】ステップa1では、原料粉の準備が行われ
る。原料粉の準備は内層用原料粉と、外層用原料粉とに
分けて行われる。原料粉は、麺類の種類に応じて、たと
えば小麦粉、そば粉、澱粉類、蛋白物質などから選ばれ
る。このうち小麦粉は、主原料粉であり、ほぼ全ての麺
類に含まれる。本発明では、内層用原料粉中の小麦粉に
外層用原料粉中の小麦粉よりも蛋白質含量の多い異なる
種類の小麦粉が選ばれる。したがって、内層用原料粉の
小麦粉に蛋白質含量の最も多い強力粉を用いるときに
は、外層用原料粉の小麦粉に準強力粉または中力粉を用
い、内層用原料粉の小麦粉に準強力粉を用いるときに
は、外層用原料粉の小麦粉に蛋白質含量の少ない中力粉
を用いる。ここで、強力粉、準強力粉および中力粉は、
蛋白質含量によって区分される小麦粉の種類を表し、朝
倉書店発行の「小麦の科学」の定義によれば、表1に示
すように区分される。小麦粉の粒径は、たとえば50〜
100μmである。
【0020】
【表1】
【0021】このように、内層用および外層用原料粉に
含まれる小麦粉の種類を限定したのは、次のような理由
によるものである。図3は、麺の食感が良好である茹で
上げ直後の麺2の断面における水分の分布を模式的に示
す図である。図3では、図解の便宜のために麺断面を円
形で示している。茹で上げ直後の麺断面の水分は、表面
Fの水分が多く、中心Oの水分が少なくなっており、麺
断面には、曲線Wで示すように水分勾配が形成されてい
る。表面の水分A2は、たとえば80%であり、中心の
水分A1は、たとえば50%である。また麺の硬さは、
水分が多くなるほど低下するので、茹で上げ直後の麺は
表面が柔らかく、中心が硬くなっている。したがって、
このような水分勾配に伴う硬さの差が麺の弾力および腰
となって茹で上げ直後の良好な食感をもたらしているも
のと考えられる。
【0022】これに対して、茹で上げ直後の麺を冷凍し
た後、緩慢解凍を行うと麺の食感が著しく低下する。こ
の原因は、緩慢解凍によって麺断面の水分勾配が均一化
され、麺の弾力および腰がなくなることによるものと考
えられる。したがって、緩慢解凍による食感の低下を防
止するには、水分勾配に代わって麺断面の中心が硬く表
面が柔らかくなるように硬さの差を発生させる工夫が必
要である。前述のように、麺を3層麺構造に形成し、内
層用原料粉中の小麦粉に外層用原料粉中の小麦粉よりも
蛋白質含量の多い小麦粉を用いているのは蛋白質含量の
多い小麦粉の方が強くて硬い生地を形成することがで
き、麺断面の中心を表面より硬くすることができるから
である。これによって、後述の実施例1に示すように、
緩慢解凍を行っても弾力および腰のある食感の良好な冷
凍麺を製造することができる。
【0023】内層用および外層用原料粉には、化工澱粉
を5〜40%配合することが好ましい。化工澱粉は、馬
鈴薯、トウモロコシ、モチトウモロコシ、タピオカ等の
澱粉を、架橋化、エーテル化、エステル化等によって誘
導体化し、老化しにくいように化工された澱粉である。
澱粉の老化は、構成成分であるアミロースの枝が会合
(凝集)することによって生じ、老化した澱粉は保水力
を失う。したがって、化工澱粉は保水性の高い澱粉であ
る。内層用および外層用原料粉に化工澱粉を配合するこ
とが好ましいのは、次の理由による。
【0024】図4は、冷凍麺を冷蔵温度帯でチルド解凍
するときの麺温度の経時的な推移を示すグラフである。
約−18℃で冷凍保管されていた冷凍麺の温度はチルド
解凍される過程で曲線Hで示すように上昇し、−5℃〜
0℃の最大氷結晶生成帯Gに到達する。このゾーンで
は、曲線Iに示すように温度上昇が停滞するので、冷凍
麺の温度が最大氷結晶生成帯Gの温度を超えるには長時
間を要する。最大氷結晶生成帯の温度域を超えると、麺
温度は曲線Jで示すように+5℃のチルド温度まで上昇
してその温度で保持される。澱粉は、最大氷結晶生成帯
でアミロースの枝同士が接近して再凝集しやすくなり、
老化が著しく進行する。また0〜+5℃のチルド温度領
域でも澱粉の老化が進行する。これによって、チルド解
凍された冷凍麺は澱粉の劣化が著しく進行し、風味が著
しく低下する。この現象は、常温での自然解凍を行うと
きでも冷凍麺の温度が最大氷結晶生成帯で停滞するの
で、同様に発生する。したがって、緩慢解凍によって麺
の風味は著しく低下する。
【0025】この風味の低下を防止する有効な方法は、
老化しにくいように化工された化工澱粉を用いることで
ある。化工澱粉は、それ自体老化しにくいばかりでな
く、その高い保水性を小麦粉中に含まれている澱粉にも
作用し、麺全体の澱粉の老化を防止する。前述のように
化工澱粉の配合量の下限値が5%に限定されているの
は、後述の実施例2に示すように5%未満の配合量で
は、麺全体の澱粉の老化を防止することが困難であるか
らである。これに対して化工澱粉の配合量の上限値が4
0%に限定されているのは、上限値を超える化工澱粉を
配合すると粘りが強くなり、麺同士のくっつきが発生し
て麺のほぐれが悪くなるからである。このように、化工
澱粉を内層用および外層用原料粉に過不足なく適正量配
合することによって、緩慢解凍を行っても風味もよくほ
ぐれもよい冷凍麺を製造することができる。
【0026】また、内層用および外層用原料粉に化工澱
粉を5〜40%配合したうえで、前記内層用原料粉中の
化工澱粉の配合量を外層用原料粉中の化工澱粉の配合量
よりも多くすることが好ましい。これによって、麺同士
の接触する外層領域における化工澱粉の配合量を少なく
し、麺同士の接触しない内層領域における化工澱粉の配
合量を多くすることができるので、後述の実施例3に示
すように麺全体の風味を保ちながら、麺のほぐれをよく
することができる。また化工度の異なる2種類以上の化
工澱粉を準備し、化工度の高い化工澱粉を内層用原料粉
中に多く配合し、化工度の低い化工澱粉を外層用原料粉
中に多く配合するように構成してもよい。このように化
工澱粉を内層用および外層用原料粉に配合し、かつ内層
用原料粉中に外層用原料粉中よりも多く配合することに
よって、緩慢解凍を行ってもさらに風味もよく、ほぐれ
もよい冷凍麺を製造することができる。
【0027】前記内層用原料粉にはグルコマンナンを
0.02〜1.0%配合することがさらに好ましい。グ
ルコマンナンは、コンニャクの粉であり、増粘剤として
デザート等に用いられている。グルコマンナンを内層用
原料粉中にのみ配合すれば、その増粘作用によって内層
と外層との間に硬さの差を生じさせ、前述のように緩慢
解凍を行っても弾力および腰のある良好な食感の冷凍麺
を製造することができる。グルコマンナンを外層用原料
粉中にも配合すると、前記硬さの差が消滅するかあるい
は減少するので、弾力および腰のある良好な食感の冷凍
麺を製造することができない。前述のように、グルコマ
ンナンの配合量の下限値が0.02%に限定されている
のは、後述の実施例4に示すように下限値未満の配合量
ではグルコマンナンの増粘効果がほとんど認められない
からであり、グルコマンナンの配合量の上限値が1.0
%に限定されているのは、上限値を超えるグルコマンナ
ンを配合すると、ゴム状の食感になり、食感がかえって
低下するからである。
【0028】前記内層用および外層用原料粉にそば粉を
配合するとき、外層用原料粉中のそば粉の配合量と内層
用原料粉中のそば粉の配合量との差を0〜15%にする
ことが好ましい。この場合、内層用原料粉中のそば粉の
配合量を前記差に相当するだけ減少させ、減少分を小麦
粉によって補うことが好ましい。これによって、内層用
原料粉中の小麦粉の配合量が外層用原料粉中の小麦粉の
配合量よりも多くなるとともに、前述のように内層用原
料粉中の小麦粉は外層用原料粉中の小麦粉よりも蛋白質
含量の多い小麦粉が用いられるので、内層用原料粉中の
蛋白質の配合量を外層用原料粉中の蛋白質の配合量より
も多くすることができる。したがって、緩慢解凍を行っ
ても麺断面の中心の硬さを表面の硬さよりも硬くするこ
とができ、弾力および腰のある食感の良好な冷凍麺を製
造することができる。
【0029】ステップa2では、加水混合処理が行われ
る。この処理工程では、内層用原料粉と外層用原料粉と
が別々に所定量の水を加えて真空ミキサー中で混練され
る。この処理によって、各原料中に小麦粉に由来するグ
ルテンが形成され、このグルテンが麺生地の中で複雑な
網目構造を形成する。ステップa3では、粗麺帯機によ
って複合処理が行われる。
【0030】図5は、粗麺帯機1の構成を簡略化して示
す図である。ミキシングの終了した粒状の麺生地3をト
レー4に入れ、一対の粗圧延ロール5で粗麺帯6に圧延
し、さらに圧延した粗麺帯6を2つ重ねにして再度粗圧
延ロール5で圧延し、1枚の粗麺帯6に複合し、複合し
た粗麺帯6を巻取りロール7で巻取る。粗圧延ロール5
の直径は、たとえば240mmである。これによって、
グルテンの組織が緊密になり、粗麺帯が強靭化する。こ
の工程では、内層用原料粉を用いて内層用粗麺帯が1枚
製造され、外層用原料粉を用いて外層用粗麺帯が2枚製
造される。
【0031】ステップa4では、熟成工程が行われる。
この工程では、複合された各粗麺帯が常温で所定時間、
たとえば1時間放置される。これによって、水和され、
粘弾性に富むグルテンの生成が助長され、粗麺帯の生地
が均一化される。また圧延によって加工硬化したグルテ
ンが応力緩和され、粗麺帯が延ばしやすくなる。ステッ
プa5では、連続圧延機によって各粗麺帯6の圧延処理
が行われる。
【0032】図6は、連続圧延機9の構成を簡略化して
示す図である。粗麺帯6は巻出しロール10から巻出さ
れ、第1および第2ロール11,12によって所定の厚
みの麺帯13に圧延される。圧延された麺帯13は、第
2ロール12の出側より手作業で取出される。第1およ
び第2ロール11,12は、それぞれ一対のロールから
成り、その直径は、たとえばいずれも180mmであ
る。この工程では、所定厚みの内層用麺帯が1枚圧延さ
れ、所定厚みの外層用麺帯が2枚圧延される。
【0033】ステップa6では、圧延された各麺帯13
の重合わせが行われる。重合わせは、中心に配置した内
層用麺帯を2枚の外層用麺帯で挟むことによって行われ
る。ステップa7では積層圧延が行われ、ステップa8
では切出しが行われる。この2つの工程は連続して行わ
れる。図6を参照して、重合わされた3枚の麺帯13
は、第1ロール11、第2ロール12および第3ロール
14をこの順序に通過して所定厚みの3層麺帯15に圧
延される。圧延された3層麺帯15は、引き続き切出機
16で所定幅に裁断される。これによって、裁断された
細長い複数の麺線17が製造される。第3ロール14
は、一対のロールから成り、その直径はたとえば120
mmである。圧延ロールは3組に限定されるものではな
い。
【0034】このように、3枚に重合わされた麺帯13
は、3組の圧延ロールによって順次圧延されて3層麺帯
15に形成されるので、3層麺帯15の厚さは段階的に
減厚される。これによって、1回の圧延あたりの厚み減
少量が小さくなるので、摩擦熱の発生量が小さくなり、
表面の肌荒れが防止されて滑らかな表面が得られる。ま
た摩擦熱の発生量が小さいので、たとえばそば粉が配合
されている場合でもそばの香りが失われない。これに対
して、たとえば3層押出しによって3層麺を製造する場
合には、1回の押出しで所定厚みまで減厚されるので、
厚み減少量が大きく、摩擦熱の発生量が大きくなる。し
たがって表面の肌荒れが大きくなり、そばの香りも失わ
れる。
【0035】ステップa9では、生麺の茹で処理が行わ
れる。この工程では、切出された麺線が沸騰水中に所定
時間浸漬される。これによって、生麺が糊化する。ステ
ップa10では、水洗が行われ、茹で上がった麺のぬめ
りが洗い流される。ステップa11では、氷水冷却が行
われる。この処理によって、麺が締まり、肌が滑らかに
なる。ステップa12では、凍結処理が行われる。この
処理は、たとえば−40℃で茹で麺を急速凍結すること
によって行われる。これによって、前記麺断面の水分勾
配が茹で直後の状態のまま保存され、糊化された澱粉の
老化が防止される。凍結処理された麺は冷凍麺と呼ば
れ、たとえば−18℃で保管される。
【0036】以上述べたように、本発明は原料粉の種類
および配合量を内層用原料粉と外層用原料粉とで変える
とともに、圧延によって3層麺を形成するように構成さ
れているので、緩慢解凍しても食感および風味などの品
質低下が生じない3層冷凍麺を容易に製造することがで
きる。
【0037】以下、具体例に基づいて原料粉の種類およ
び配合量の限定理由をさらに詳しく説明する。
【0038】(実施例1〜2)内層用原料粉中の小麦粉
の種類と、外層用原料粉中の小麦粉の種類とが本発明の
条件を満たす実施例の冷凍麺と、本発明の条件から外れ
る比較例の冷凍麺とについて、チルド解凍後の品質を官
能検査によって評価して比較した。
【0039】(1−1)実施例1 (a)内層用麺帯 強力小麦粉(日清製粉製「カメリア」)40%(以後、
重量%を表す)、そば粉(日穀製粉製「千寿」)30
%、化工澱粉(松谷化学製「ゆり8」)30%を穀粉量
として重量割合で100%になるように混合し、それに
穀粉量に対して活性グルテン(グリコ栄養食品製「Aグ
ルSS」)3%、乾燥卵白(太陽化学製「サンキララR
S」)3%、食塩1%を混合し、さらにそれに穀粉量に
対して水40%を加えて、真空ミキサー(マイスター製
テスト機)にて、高速(120rpm)で2分、中速
(80rpm)で5分、低速(40rpm)で6分混練
して内層用生地を製造した。さらに、これを圧延によっ
て粗麺帯に製造し、粗麺帯を圧延して厚み2.5mmの
内層用麺帯を製造した。前記真空ミキサーの真空度は6
00〜700mmHgである。これによって、原料粉中
への空気の混入が阻止される。
【0040】(b)外層用麺帯 準強力小麦粉(日清製粉製「緑飛龍」)40%、そば粉
(日穀製粉製「千寿」)30%、化工澱粉(松谷化学製
「ゆり8」)30%、活性グルテン(グリコ栄養食品製
「AグルSS」)3%、乾燥卵白(太陽化学製「サンキ
ララRS」)3%、食塩1%を混合し、それに水40%
を加えて、以後、内層用麺帯と同じ方法で厚み2.5m
mの外層用麺帯を2枚製造した。
【0041】(c)3層麺帯 内層用麺帯を2枚の外層用麺帯で挟んで重合わせ、重合
わせた3枚の麺帯を圧延して厚み1.4mmの3層麺帯
を製造した。さらに、これを切刃#20角にて切出し、
麺線を製造した。
【0042】(d)冷凍麺 麺線を麺専用茹で釜で、1分30秒茹で、直ちに冷水、
氷水で冷却し、トレーに200gを盛付け、−40℃の
フリーザで急速凍結した。凍結後、トレーより取出し、
ポリエチレン製の袋にて包装し、冷凍保管した。
【0043】(e)評価 冷凍保管した冷凍麺を1週間後、5℃の冷蔵庫で24時
間チルド解凍し、解凍後の麺を試食した。試食は、熟練
パネラー5名で行い、麺の硬さ、麺の弾力性および総合
評価について5段階評価を行った。評価結果を表2に示
す。表2中の数値は、5名の評価点の平均値である。
【0044】(1−2)実施例2 (a)内層用麺帯 準強力小麦粉(日清製粉製「緑飛龍」)40%、そば粉
(日穀製粉製「千寿」)30%、化工澱粉(松谷化学製
「ゆり8」)30%を穀粉量として重量割合で100%
になるように混合し、それに穀粉量に対して活性グルテ
ン(グリコ栄養食品製「AグルSS」)3%、乾燥卵白
(太陽化学製「サンキララRS」)3%、食塩1%を混
合し、さらにそれに穀粉量に対して水40%を加えて、
以後、実施例1と同じ方法で厚み2.5mmの内層用麺
帯を製造した。
【0045】(b)外層用麺帯 中力小麦粉(日清製粉製「赤カメリア」)40%、そば
粉(日穀製粉製「千寿」)30%、化工澱粉(松谷化学
製「ゆり8」)30%を穀粉量として重量割合で100
%になるように混合し、それに穀粉量に対して活性グル
テン(グリコ栄養食品製「AグルSS」)3%、乾燥卵
白(太陽化学製「サンキララRS」)3%、食塩1%を
混合し、さらにそれに穀粉量に対して水40%を加え
て、以後、実施例1と同じ方法で厚さ2.5mmの外層
用麺帯を製造した。
【0046】(c)3層麺帯、冷凍麺および評価 実施例1と同じ方法で3層麺帯、麺線および冷凍麺を製
造し、さらに同じ方法で評価を行った。評価結果を表2
に示す。
【0047】(1−3)比較例1 (a)内層用麺帯 強力小麦粉(日清製粉製「カメリア」)40%、そば粉
(日穀製粉製「千寿」)30%、化工澱粉(松谷化学製
「ゆり8」)30%を穀粉量として重量割合で100%
になるように混合し、それに穀粉量に対して活性グルテ
ン(グリコ栄養食品製「AグルSS」)3%、乾燥卵白
(太陽化学製「サンキララRS」)3%、食塩1%を混
合し、さらにそれに穀粉量に対して水40%を加えて、
以後、実施例1と同じ方法で厚さ2.5mmの内層用麺
帯を製造した。
【0048】(b)外層用麺帯 強力小麦粉(日清製粉製「カメリア」)40%、そば粉
(日穀製粉製「千寿」)30%、化工澱粉(松谷化学製
「ゆり8」)30%を穀粉量として重量割合で100%
になるように混合し、それに穀粉量に対して活性グルテ
ン(グリコ栄養食品製「AグルSS」)3%、乾燥卵白
(太陽化学製「サンキララRS」)3%、食塩1%を混
合し、さらにそれに穀粉量に対して水40%を加えて、
以後、内層用麺帯と同じ方法で厚み2.5mmの外層用
麺帯を製造した。
【0049】(c)3層麺帯、冷凍麺および評価 実施例1と同じ方法で3層麺帯、麺線および冷凍麺を製
造し、さらに同じ方法で5段階評価を行った。評価結果
を表2に示す。
【0050】(1−4)比較例2 (a)内層用麺帯 準強力小麦粉(日清製粉製「緑飛龍」)40%、そば粉
(日穀製粉製「千寿」)30%、化工澱粉(松谷化学製
「ゆり8」)30%を穀粉量として重量割合で100%
になるように混合し、それに穀粉量に対して活性グルテ
ン(グリコ栄養食品製「AグルSS」)3%、乾燥卵白
(太陽化学製「サンキララRS」)3%、食塩1%を混
合し、さらにそれに穀粉量に対して水40%を加えて、
以後、比較例1と同じ方法で厚さ2.5mmの内層用麺
帯を製造した。
【0051】(b)外層用麺帯 強力小麦粉(日清製粉製「カメリア」)40%、そば粉
(日穀製粉製「千寿」)30%、化工澱粉(松谷化学製
「ゆり8」)30%を穀粉量として重量割合で100%
になるように混合し、それに穀粉量に対して活性グルテ
ン(グルコ栄養食品製「AグルSS」)3%、乾燥卵白
(太陽化学製「サンキララRS」)3%、食塩1%を混
合し、さらにそれに穀粉量に対して水40%を加えて、
以後、比較例1と同じ方法で厚さ2.5mmの外層用麺
帯を製造した。
【0052】(c)3層麺帯、冷凍麺および評価 比較例1と同じ方法で3層麺帯、麺線および冷凍麺を製
造し、さらに同じ方法で5段階評価を行った。評価結果
を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】*官能検査の評価 <硬さ> 5:非常に硬い 4:やや硬い 3:適度な硬さ 2:やや柔らかい 1:非常に柔らかい <弾力性> 5:非常に弾力があり、極めて良好 4:かなり弾力があり、良好 3:弾力があり、及第点 2:弾力が弱く、商品価値なし 1:弾力が全くなく、全然ダメ <総合評価> 5:弾力が非常に強く、腰があり、極めて良好 4:腰があり、かなり良好な食感 3:商品として提供可能な食感 2:腰がなく、ただ硬いまたは柔らかいだけで、商品価
値なし 1:弾力が感じられず、ボソボソし、全然ダメ
【0055】表2から実施例1,2は比較例1,2に比
べて弾力性に優れ、食感が良好であることが判る。前述
のように、内層用原料粉中の小麦粉の種類を外層用原料
粉中の小麦粉の種類よりも蛋白質含量の多い種類に限定
したのはこの理由によるものである。
【0056】(実施例3〜7)内層用および外層用原料
粉中の化工澱粉の配合量が本発明の範囲を満たす実施例
3〜7の冷凍麺と、本発明の範囲から外れる比較例3〜
4の冷凍麺とについて、チルド解凍後の品質を官能検査
によって評価して比較した。
【0057】(2−1)内層用麺帯 強力小麦粉(日清製粉製「カメリア」)、そば粉(日穀
製粉製「千寿」)および化工澱粉(松谷化学製エーテル
化澱粉「ゆり8」)を穀粉量として重量割合で100%
になるように混合し、それに穀粉量に対して活性グルテ
ン(グリコ栄養食品製「AグルSS」)3%、乾燥卵白
(太陽化学製「サンキララRS」)3%、食塩1%を混
合した。さらにそば粉を30%に固定し、強力小麦粉と
化工澱粉との比率を表3に示すように変化させ、それぞ
れの配合割合において、最適加水を行い、以後、前記実
施例1と同じ方法で厚み2.5mmの内層用麺帯の製造
を行った。表3中の試料No.2〜No.6は本発明の
範囲を満たす実施例3〜7であり、No.1およびN
o.7は本発明の範囲から外れた比較例3〜4である。
【0058】
【表3】
【0059】(2−2)外層用麺帯 準強力小麦粉(日清製粉製「緑飛龍」)、そば粉(日穀
製粉製「千寿」)および化工澱粉(松谷化学製エーテル
化澱粉「ゆり8」)を穀粉量として重量割合で100%
になるように混合し、それに穀粉量に対して活性グルテ
ン(グリコ栄養食品製「AグルSS」)3%、乾燥卵白
(太陽化学製「サンキララRS」)3%、食塩1%を混
合した。さらにそば粉を30%に固定し、強力小麦粉と
化工澱粉の比率を表4に示すように変化させ、それぞれ
の配合割合において、最適加水を行い、以後、前記実施
例1と同じ方法で厚さ2.5mmの外層用麺帯を製造し
た。表4中の試料No.12〜16は本発明の範囲を満
たす実施例3〜7であり、試料No.11およびNo.
17は本発明の範囲から外れた比較例3〜4である。化
工澱粉の配合量は、表3と同一である。
【0060】
【表4】
【0061】(2−3)3層麺帯 内層用麺帯を、化工澱粉の配合量が内層用麺帯と同一の
2枚の外層用麺帯で挟んで重ね合わせ、重ね合わせた3
枚の麺帯を圧延して厚さ1.4mmの3層麺帯および麺
線を製造した。
【0062】(2−4)冷凍麺および評価 実施例1と同じ方法で冷凍麺を製造し、冷凍保管した冷
凍麺を1週間後、5℃の冷蔵庫で24時間チルド解凍
し、試食して官能検査を行った。検査項目は、麺の風
味、麺の食感、麺のほぐれおよび総合評価である。評価
結果を表5に示す。表5中の数値は5名の評価点の平均
値である。
【0063】
【表5】
【0064】*官能検査の評価 <風味> 5:非常に美味しい 4:やや美味しい 3:商品として提供可能な美味しさ 2:まずい 1:非常にまずい <食感> 5:弾力が非常に強く、腰があり、極めて良好 4:腰があり、かなり良好な食感 3:商品として提供可能な食感 2:腰がなく、ただ硬いまたは柔らかいだけで、商品価
値なし 1:弾力が感じられず、ボソボソし、全然ダメ <麺のほぐれ> 5:ほぐれが極めて良好 4:ほぐれがかなり良好 3:ほぐれが良好 2:ほぐれが悪い 1:ほぐれは極めて悪い <総合評価> 5:風味、食感、ほぐれ全てにおいて、極めて良好 4:風味、食感、ほぐれ全てにおいて、かなり良好 3:風味、食感、ほぐれ全てにおいて、良好 2:風味、食感、ほぐれ全てにおいて、悪い 1:風味、食感、ほぐれ全てにおいて、極めて悪い
【0065】表5から、実施例3〜7である試料No.
22〜26は、化工澱粉が過不足なく適正量配合されて
いるので、風味、食感および麺のほぐれとも優れてお
り、総合評価が高いことが判る。これに対して、試料N
o.21の比較例3は化工澱粉を含んでいないので、風
味および食感の評価点が低く、総合評価も低いことが判
る。また試料No.27の比較例4は、化工澱粉の配合
量が多すぎるので、粘りが出て食感が低下するばかりで
なく麺線のくっつきによって麺のほぐれが悪くなり、総
合評価が低いことが判る。前述のように、内層用および
外層用原料粉中の化工澱粉の配合量が5〜40%に限定
されているのはこの理由によるものである。
【0066】(実施例8〜9)内層用および外層用原料
粉中の化工澱粉の配合量がともに本発明の範囲である5
〜40%を満たした上で、内層用原料粉中の化工澱粉の
配合量が外層用原料粉中の化工澱粉の配合量よりも多い
実施例の冷凍麺と、内層用原料粉中の化工澱粉の配合量
が外層用原料粉中の化工澱粉の配合量よりも少ない比較
例の冷凍麺とについて、チルド解凍後の品質を官能検査
によって評価して比較した。
【0067】(3−1)内層用麺帯 前記実施例4〜6の試料No.3,4,5(表3)と同
一の条件で化工澱粉の配合量が10,20,30%であ
る厚さ2.5mmの内層用麺帯をそれぞれ製造した。
【0068】(3−2)外層用麺帯 前記実施例4〜6の試料No.13,14,15(表
4)と同一の条件で化工澱粉の配合量が10,20,3
0%である厚さ2.5mmの外層用麺帯をそれぞれ製造
した。
【0069】(3−3)3層麺帯 内層用麺帯の化工澱粉の配合量と外層用麺帯の化工澱粉
の配合量とが表6に示すような組合わせになるように内
層用麺帯を2枚の外層用麺帯で挟んで重ね合わせ、重ね
合わせた3枚の麺帯を圧延して厚さ1.4mmの3層麺
帯および麺線を製造した。
【0070】
【表6】
【0071】(3−4)冷凍麺および評価 前記実施例1と同じ方法で冷凍麺を製造し、実施例4〜
7と同じ方法で評価した。評価結果を表7に示す。表7
中の官能検査欄の数値は5名の評価点の平均値である。
【0072】
【表7】
【0073】表6および表7から、内層用原料粉中の化
工澱粉の配合量が外層用原料粉中の化工澱粉の配合量よ
りも多い実施例8〜9は、麺の風味、食感およびほぐれ
とも良好であり、総合評価が高いことが判る。これに対
して内層用原料粉中の化工澱粉の配合量が外層用原料粉
中の化工澱粉の配合量よりも少ないか等しい比較例6〜
7は、麺のほぐれが悪く、総合評価が低いことが判る。
【0074】(実施例10〜14) 内層用原料粉中のグルコマンナンの配合量が本発明の範
囲を満たす実施例10〜14の冷凍麺と、本発明の条件
を外れる比較例9〜10の冷凍麺とについて、チルド解
凍後の品質を官能検査によって評価した。
【0075】(4−1)内層用麺帯 強力小麦粉(日清製粉製「カメリア」)40%、そば粉
(日穀製粉製「千寿」)30%、化工澱粉(松谷化学製
「ゆり8」)30%を穀粉量として重量割合で100%
になるように混合し、それに穀粉量に対して活性グルテ
ン(グリコ栄養食品製「AグルSS」)3%、乾燥卵白
(太陽化学製「サンキララRS」)3%、食塩1%を混
合し、さらにグルコマンナンを表8に示すように0%〜
2.0%の範囲で配合し、それに穀粉量に対して水40
%を加えて、以後、実施例1と同じ方法で厚さ2.5m
mの内層用麺帯を製造した。
【0076】(4−2)外層用麺帯 準強力小麦粉(日清製粉製「緑飛龍」)60%、そば粉
(日穀製粉製「千寿」)30%、化工澱粉(松谷化学製
「ゆり8」)10%を穀粉量として重量割合で100%
になるように混合し、それに穀粉量に対して活性グルテ
ン(グリコ栄養食品製「AグルSS」)3%、乾燥卵白
(太陽化学製「サンキララRS」)3%、食塩1%を混
合し、さらにそれに穀粉量に対して水40%を加えて、
以後、内層用麺帯と同じ方法で厚さ2.5mmの外層用
麺帯を製造した。
【0077】(4−3)3層麺帯、冷凍麺および評価 実施例1と同じ方法で3層麺帯、麺線および冷凍麺を製
造し、冷凍保管した冷凍麺を1週間後、5℃の冷蔵庫で
24時間チルド解凍し、解凍後の麺を試食した。試食は
熟練パネラ5名で行い、麺の硬さ、麺の弾力性、ゴム状
食感および総合評価について5段階評価を行った。評価
結果を表8に示す。表8中の数値は5名の評価点の平均
値である。表8中の試料No.41〜45は、本発明の
範囲を満たす実施例10〜14であり、試料No.40
〜48は本発明の範囲を外れる比較例9〜10である。
【0078】
【表8】
【0079】*官能検査の評価 <ゴム状食感> 5:ゴム状食感が非常に弱く、麺には非常に好ましい 4:ゴム状食感がやや弱い 3:ゴム状食感が弱い 2:ゴム状食感が強い 1:ゴム状食感が非常に強く、麺には非常に好ましくな
い <総合評価> 5:弾力が非常に強く、腰があり、極めて良好 4:腰があり、かなり良好な食感 3:商品として提供可能な食感 2:腰がなく、ただ硬いまたは柔らかいだけで、商品価
値なし 1:弾力が感じられず、ボソボソし、全然ダメ
【0080】表8から、内層用原料粉中のグルコマンナ
ンの配合量が本発明の範囲内である試料No.41〜4
5の実施例10〜14は、硬さ、弾力性およびゴム状食
感とも良好であり、総合評価が高いことが判る。これに
対して内層用原料粉中のグルコマンナンの配合量が本発
明の範囲から外れる試料No.46〜48の比較例8〜
10は、総合評価が低いことが判る。特に、内層用原料
粉中のグルコマンナンの配合量が高い試料No.46,
47の比較例8〜9はゴム状の食感が強く、ゴム状食感
の評価点が非常に低い。前述のように、内層用原料粉中
のグルコマンナンの配合量が0.020〜1.0%に限
定されているのは、この理由によるものである。
【0081】(実施例15〜18)内層用および外層用
原料粉中にそば粉を含むとき、外層用原料粉中のそば粉
の配合量と内層用原料粉中のそば粉の配合量との差が本
発明の範囲を満たす実施例15〜18の冷凍そばと、本
発明の範囲を外れる比較例11〜12の冷凍そばとにつ
いてチルド解凍後の品質を官能検査によって評価した。
【0082】(5−1)内層用麺帯 強力小麦粉(日清製粉製「カメリア」)と、そば粉(日
穀製粉製「千寿」)と、化工澱粉(松谷化学製「ゆり
8」)との和を穀粉量として100%とし、化工澱粉を
30%に固定し、そば粉の配合を表9に示すように17
〜32%の範囲で配合し、それに穀粉量に対して活性グ
ルテン(グリコ栄養食品製「AグルSS」)3%、乾燥
卵白(太陽化学製「サンキララRS」)3%、食塩1%
を混合し、さらにそれに穀粉量に対して水40%を加え
て、以後、実施例1と同じ方法で厚さ2.5mmの内層
用麺帯を製造した。
【0083】(5−2)外層用麺帯 準強力小麦粉(日清製粉製「緑飛龍」)と、そば粉(日
穀製粉製「千寿」)と、化工澱粉(松谷化学製「ゆり
8」)との和を穀粉量として100%とし、化工澱粉を
30%に固定し、そば粉の配合を表9に示すように27
〜37%の範囲で配合し、それに、穀粉量に対して活性
グルテン(グリコ栄養食品製「AグルSS」)3%、乾
燥卵白(太陽化学製「サンキララRS」)3%、食塩1
%を混合し、さらにそれに穀粉量に対して水40%を加
えて、以後、実施例1と同じ方法で厚さ2.5mmの外
層用麺帯を製造した。
【0084】(5−3)3層麺帯 内層用麺帯のそば粉の配合量と外層用麺帯のそば粉の配
合量とが表9に示すような組合わせになるように内層用
麺帯を2枚の外層用麺帯で挟んで重ね合わせ、重ね合わ
せた3枚の麺帯を圧延して厚さ1.4mmの3層麺帯お
よび麺線を製造した。
【0085】(5−4)冷凍麺および評価 前記実施例1と同じ方法で冷凍麺を製造し、冷凍保管し
た冷凍麺を1週間後、5℃の冷蔵庫で24時間チルド解
凍し、解凍後の麺を試食した。試食は熟練パネラ5名で
行い、麺の硬さ、麺の弾力性、そばの香り、麺断面の色
調および総合評価について5段階評価を行った。評価結
果を表9に示す。表9中の数値は5名の評価点の平均値
である。表中の試料No.51〜54は、本発明の範囲
を満たす実施例15〜18であり、試料No.55,5
6は本発明の範囲を外れた比較例11〜12である。
【0086】
【表9】
【0087】*官能検査の評価 <そばの香り> 5:香りが非常に強い 4:香りがかなり強い 3:香りが強い 2:香りがやや弱い 1:香りが非常に弱い <色調> 5:麺断面の色の差がない 4:麺断面の色の差がややあるが違和感なし 3:麺断面の色の差があるが違和感なし 2:麺断面の色の差がやや大きく違和感あり 1:麺断面の色の差が非常に大きい <総合評価> 5:弾力・香りが非常に強く、麺断面の色の差がなく、
極めて良好 4:腰・香りがあり、かなり良好な食感、麺断面の色調
に違和感なし 3:腰・香り・麺断面の色調とも商品として提供可能 2:腰がなく、香りが弱く、麺断面の色調に違和感あ
り、商品価値なし 1:弾力がなく、麺断面の色の差も非常に大きく、香り
もなく全然ダメ
【0088】表9から、外層用原料粉中のそば粉の配合
量と、内層用原料粉中のそば粉の配合量との差が本発明
の範囲を満たす試料No.51〜54の実施例15〜1
8は、硬さ、弾力性、そばの香りおよび麺断面の色調と
も良好であり、総合評価が高いことが判る。これに対し
て前記差が本発明の範囲から上限側に外れた試料No.
55の比較例11は、麺断面にそばによる色の違いが出
て違和感があるので、色調の評価点が低く、総合評価が
低いことが判る。また前記差が本発明の範囲から下限側
に外れた試料No.56の比較例12は、そばの香りが
やや弱く、総合評価が低いことが判る。前述のように前
記差が0〜15%に限定されているのはこの理由に因る
ものである。
【0089】
【発明の効果】以上のように請求項1および2記載の本
発明によれば、内層用原料粉に含まれる小麦粉の種類が
外層用原料粉に含まれる小麦粉の種類よりも蛋白質含量
の異なる種類に選ばれるので、これらの原料粉を用いて
製造された3層構造を有する冷凍麺を緩慢冷凍しても、
麺断面の中心の硬さを表面の硬さよりも硬くすることが
できる。したがって、緩慢解凍を行っても食感の良好な
冷凍麺を製造することができる。
【0090】また請求項3記載の本発明によれば、外層
用および内層用原料粉に化工澱粉が過不足なく配合され
ているので、緩慢解凍を行っても澱粉の老化を抑制する
ことができる。これによって、風味の低下が抑制される
ので、緩慢解凍を行っても風味の良好な冷凍麺を製造す
ることができる。
【0091】また請求項4記載の本発明によれば、内層
用原料粉中の化工澱粉の配合量が外層用原料粉中の化工
澱粉の配合量よりも多いので、麺同士の接触する外層領
域では化工澱粉の配合量が少なくなる。これによって、
麺同士の接合が抑制されるので、ほぐれの良い麺を製造
することができる。また内層部分における化工澱粉の配
合量が多くなるので、内層部分の風味を向上させること
ができる。この結果全体として風味が良く、ほぐれの良
い冷凍麺を製造することができる。
【0092】また請求項5記載の本発明によれば、内層
用原料粉にはグルコマンナンが過不足なく配合されてお
り、グルコマンナンはその粘性によって生地を強化する
性質を有するので緩慢解凍を行っても麺断面の中心の硬
さを表面の硬さよりも高くすることができる。これによ
って緩慢解凍を行っても食感の良好な冷凍麺を製造する
ことができる。
【0093】また請求項6記載の本発明によれば、外層
用原料粉中のそば粉の配合量と内層用原料粉中のそば粉
の配合量との差が過不足なく設定されているので、その
差を小麦粉で補えば、内層用原料粉中の蛋白質の量を外
層用原料粉中の蛋白質の量よりも多くすることができ
る。これによって、緩慢解凍を行っても麺断面の中心の
硬さを表面の硬さよりも硬くすることができるので、緩
慢解凍を行っても食感の良好な冷凍麺を製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわる冷凍麺の製造工程の前半部分
を簡略化して示す図である。
【図2】図1に示す冷凍麺の製造工程の後半部分を簡略
化して示す図である。
【図3】麺の食感が良好である茹であげ直後の麺2つの
断面における水分の分布を模式的に示す図である。
【図4】冷凍麺を冷蔵温度帯でチルド解凍するときの麺
温度の経時的な推移を示すグラフである。
【図5】粗麺帯機1の構成を簡略化して示す図である。
【図6】連続圧延機9の構成を簡略化して示す図であ
る。
【符号の説明】
1 粗麺帯機 5 粗圧延ロール 6 粗麺帯 9 連続圧延機 11 第1ロール 12 第2ロール 13 麺帯 14 第3ロール 15 3層麺帯 16 切出機 17 麺線

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小麦粉を含む内層用および外層用原料粉
    を用いて内層用および外層用麺帯をそれぞれ製造し、内
    層用麺帯を2枚の外層用麺帯で挟んで圧延して3層麺帯
    を製造し、さらに圧延し麺線に切り出し糊化した後、凍
    結する冷凍麺の製造方法において、 内層用原料粉に含まれる小麦粉に強力粉を用い、外層用
    原料粉に含まれる小麦粉に準強力粉または中力粉を用い
    ることを特徴とする冷凍麺の製造方法。
  2. 【請求項2】 小麦粉を含む内層用および外層用原料粉
    を用いて内層用および外層用麺帯をそれぞれ製造し、内
    層用麺帯を2枚の外層用麺帯で挟んで圧延して3層麺帯
    を製造し、さらに圧延し麺線に切り出し糊化した後、凍
    結する冷凍麺の製造方法において、 内層用原料粉に含まれる小麦粉に準強力粉を用い、外層
    用原料粉に含まれる小麦粉に中力粉を用いることを特徴
    とする冷凍麺の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記内層用および外層用原料粉には、化
    工澱粉が5〜40%配合されることを特徴とする請求項
    1または2記載の冷凍麺の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記内層用原料粉中の化工澱粉の配合量
    が外層用原料粉中の化工澱粉の配合量よりも多いことを
    特徴とする請求項3記載の冷凍麺の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記内層用原料粉には、グルコマンナン
    が0.020〜1.0%配合されることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の冷凍麺の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記内層用および外層用原料粉には、そ
    ば粉が配合されており、 前記外層用原料粉中のそば粉の配合量と、内層用原料粉
    中のそば粉の配合量との差が0〜15%であることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の冷凍麺の製造
    方法。
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Cited By (7)

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