JP2003284517A - 麺およびその製造方法 - Google Patents

麺およびその製造方法

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JP2003284517A
JP2003284517A JP2002089988A JP2002089988A JP2003284517A JP 2003284517 A JP2003284517 A JP 2003284517A JP 2002089988 A JP2002089988 A JP 2002089988A JP 2002089988 A JP2002089988 A JP 2002089988A JP 2003284517 A JP2003284517 A JP 2003284517A
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noodle
noodles
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dietary fiber
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JP2002089988A
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Koichi Miyazaki
浩一 宮崎
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 麺を長時間スープ中に放置しても、茹で延び
が生じることはなく、美味しい高品質の麺を提供する。 【解決手段】 生麺を茹でることによって、でんぷんを
含む麺本体2を得、その麺本体2を、多糖類を含む大豆
食物繊維を含む水溶液に浸漬し、またはその水溶液を噴
霧し、被膜3を形成する。この被膜3は、麺本体2が過
剰に水分を吸収することを抑制する。麺本体2は、内層
6が一対の外層7,8でサンドイッチされた3層構造を
有し、内層6は、生地にアルギン酸が添加される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラーメン(中華
麺)、うどん、そばなどの麺に関し、その麺の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】ラーメンは、うどんに比べて調理後の延
びが大きく、調理後に放置されたり、食べる際に必要以
上に時間を要してしまう場合には麺が延び切ってしま
い、味や食感が非常に低下してしまう。このような麺が
延びてしまう茹で延びといわれる主原因は、麺がスープ
を過剰に吸収してしまうことにより、その結果、麺が膨
張してぶよぶよとなり、いわゆる腰のない状態に変化し
て強度が非常に低下するからである。
【0003】或る先行技術は、内層を一対の外層でサン
ドイッチした3層構造を有し、内層の麺強度を高めるた
めに、小麦粉では蛋白質含量の割合が高い強力粉を内層
に使用したり、あるいは、強力粉に蛋白質のグルテンを
含有させて内層の強度の向上を図ろうとしている。麺強
度を維持するために、小麦粉や蛋白成分であるグルテン
あるいは卵白等の添加量を高めていくと、麺本来の風味
が低下していき、かつ、麺質となる食感がただ硬いだけ
のものとなっていく。
【0004】他の先行技術は特開平9−220063で
ある。この先行技術では、麺が茹で延びするのを防止す
るために蛋白架橋酵素を用いて麺強度の低下を抑え、さ
らに、ゼラチン等により表面に被膜を形成してスープ、
すなわち水分が浸入してくることを食い止めて、延びを
防止しようとする。この先行技術では、蛋白架橋酵素に
よりグルテンを架橋強化して麺強度すなわち腰を高めて
はいるものの、この酵素を使用すると、硬さだけが際立
ってしまい、しなやかさに欠ける食感となってしまう。
ゼラチンの被膜は、麺の表面からの水分の浸入を期待ど
おりに抑制することはできず、また、ゼラチンを使用し
た場合による不快な獣風味が発生するので、好ましいも
のではない。
【0005】したがって先行技術では、茹で延びしない
麺の開発が継続されているものの、まだまだ不充分であ
り、長時間放置しても茹で延びを抑えられる満足した高
品質の麺の開発は成功していないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スー
プおよび水などに長時間浸漬されて放置されても、茹で
延びせず、美味しい高品質の麺を提供し、その麺の製造
方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、でんぷんを含
む麺本体の外周面に、多糖類を含む大豆食物繊維を含む
被膜を形成することを特徴とする麺である。
【0008】本発明に従えば、でんぷんを含む麺本体
は、でんぷんを含む生麺を茹でることによって得られ、
この茹で後の食感が優れており、また冷凍麺の解凍後の
食感が優れており、特に弾力性である腰の強さおよび硬
さを、長時間にわたって維持することができる。たとえ
ば麺を長時間スープおよび水の中に放置しても、茹で延
びを防止し、茹で延びが生じない美味しい高品質の麺が
実現される。
【0009】多糖類を含む大豆食物繊維というのは、た
とえば豆腐、大豆蛋白を製造した際に副生するオカラを
原料とする。オカラの中には、その30%程度以上の水
溶化できる多糖類が含まれる。多糖類を含む大豆食物繊
維は、オカラに水を加え、弱酸性の条件下で、熱水で抽
出後、精製、殺菌、乾燥の工程を経て、粉体として製造
される物質であってもよい。このような多糖類を含む大
豆食物繊維に含まれる水溶性大豆多糖類のうち、ガラク
トース46%、アラビノース23%、ガラクツロン酸1
8%などが占める。水溶性大豆多糖類の食物繊維含量
は、AOAC法で約70%であり、たとえば30%以上
の高濃度の水溶液を得ることができ、低粘性であり、熱
安定性が優れ、本発明に好適にする。多糖類を含む大豆
食物繊維は、たとえば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
製商品名ビストップND−10Aなどとして商業的に入
手可能である。
【0010】麺本体の外周面に形成される被膜を、多糖
類を含む大豆食物繊維を含む組成とすることによって、
麺本体の表面に多糖類分子が吸着し、スープ、水を保持
することができる厚い水和層を形成する。これによって
水が麺本体に吸収されることが抑制され、麺を長時間ス
ープ中に放置しても、茹で延びが生じることはない。被
膜は、多糖類を含む大豆食物繊維だけでなく、さらに他
の物質を含んでもよい。
【0011】本発明に従えば、前記被膜は、生麺である
でんぷんを含む麺本体の外周面に形成されてもよい。こ
のような被膜を有する生麺を茹でると、生麺が膨張し、
その結果、多糖類を含む大豆食物繊維を含む被膜に亀裂
が生じ、麺本体にスープ、水が吸収されやすくなってし
まう。本発明では、茹で後のでんぷんを含む麺本体に前
述の被膜が形成されることが、好ましい。
【0012】本発明は、ラーメン、うどん、そばなどの
麺に関連して広範囲に実施することができる。
【0013】また本発明は、麺本体は、内層と、内層を
覆う外層とを含み、内層は、外層よりも硬いことを特徴
とする。
【0014】また本発明は、麺本体は、内層が一対の外
層でサンドイッチされる3層構造を有することを特徴と
する。
【0015】本発明に従えば、麺本体を構成する内層の
少なくとも一部分を外層で覆い、この内層を、外層より
も硬く構成し、これによって麺本体に水が吸収されて
も、腰および硬さを維持し、優れた食感を得ることがで
きる。
【0016】麺本体は、サンドイッチによる3層構造で
あってもよいが、芯となる内層の全ての外周面を外層で
覆う構成であってもよい。
【0017】また本発明は、内層は、生地にアルギン酸
が添加されることを特徴とする。また本発明は、内層
と、内層を覆う外層とを含み、内層は、生地にアルギン
酸が添加されることを特徴とする麺である。
【0018】また本発明は、アルギン酸は、内層の0.
1〜3.0%であることを特徴とする。
【0019】本発明に従えば、内層の生地にアルギン酸
が微量添加され、たとえば内層の0.1〜3.0%添加
され、これによって麺線の強度を、茹で延びを生じるこ
となく、長時間にわたって維持することができるととも
に、腰および硬さが適切であり、しかもしなやかさが保
たれ、優れた高品質の食感を得ることができる。本発明
の麺は、アルギン酸を含まなくてもよい。また本発明の
麺は、生地にアルギン酸が添加された内層と、アルギン
酸が添加されていない外層とを含み、前記被膜は形成さ
れていなくてもよい。
【0020】本発明に従えば、3層構造麺の内層に微量
のアルギン酸を添加することにより、前述の先行技術に
おいて、酵素でしか麺線強度を維持できなかった問題が
解決され、その結果、違和感の生じない美味しい食感の
麺を製造できるようになる。このように、内層にアルギ
ン酸を添加した3層構造麺において、熱処理後に大豆食
物繊維によって被膜を麺本体の外表面に付着させること
で、茹で延びしない美味しい麺類を製造することが可能
となる。
【0021】アルギン酸が内層の0.1%未満では、茹
で延びの抑制効果が不充分である。アルギン酸が内層の
3.0%を超えると、それ以上の量のさらにアルギン酸
を加えても、茹で延びの効果は向上されない。
【0022】麺類を製造する過程、特に麺本体の構造を
サンドイッチ状の3層構造化し、さらに熱処理後におい
て、麺線表面に大豆食物繊維を含む被膜を付着させるこ
とによって、麺本体へのスープ、水の吸収を抑制でき、
麺強度を維持できる高品質な麺を製造できる。
【0023】また本発明は、生麺を熱処理してでんぷん
を含む麺本体を製造する麺本体製造ステップと、前記麺
本体を、多糖類を含む大豆食物繊維が混入された水溶液
に浸漬する被膜形成ステップとを含むことを特徴とする
麺の製造方法である。
【0024】また本発明は、生麺を熱処理してでんぷん
を含む麺本体を製造する麺本体製造ステップと、前記麺
本体に、多糖類を含む大豆食物繊維が混入された水溶液
を噴霧する被膜形成ステップとを含むことを特徴とする
麺の製造方法である。
【0025】本発明に従えば、生麺を茹でるなどして熱
処理することによって麺本体はでんぷんを含み、この麺
本体を、水溶液に浸漬し、またはスプレーなどの手法で
噴霧し、多糖類を含む大豆食物繊維を含む被膜を麺本体
の外周面に形成する。
【0026】また本発明は、前記水溶液は、多糖類を含
む大豆食物繊維を、1〜30%含むことを特徴とする。
【0027】本発明に従えば、水溶液中の多糖類を含む
食物繊維は、1〜30%含む。1%未満では、麺本体の
被膜が不充分であり、茹で延びの抑制が不充分である。
30%を超えて添加しても、茹で延びの抑制効果は、ほ
とんど変わらない。
【0028】また本発明は、被膜形成ステップは、少な
くとも生麺を茹でた後の水洗と同時、または氷水を用い
る冷却と同時、または生麺を茹でた後の水洗後、または
氷水を用いる冷却後のいずれかで行うことを特徴とす
る。
【0029】本発明に従えば、図4に関連して後述され
るように、水洗によって茹で後の麺本体のぬめりを除
き、または氷水を用いる冷却によって麺本体が締まり、
肌が滑らかとする。このような水洗と同時に、または氷
水を用いる冷却と同時に、被膜を形成する。水溶液は、
水洗および氷水として、これらの水に麺本体を浸漬し
て、被膜を形成する。
【0030】また図7に関連して後述されるように、前
述の水洗または冷却の後に、麺本体に前記水溶液がスプ
レーの手法で噴霧されるなどして、被膜が形成されても
よい。
【0031】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のラーメンの麺1
を示す断面図である。この麺1は、αでんぷんを多く含
む麺本体2の外周面に、被膜3が形成される。被膜3
は、多糖類を含む大豆食物繊維を含む。大豆食物繊維は
水に容易に溶解でき、最大30%程度溶解することが可
能である。大豆食物繊維の主成分は、細胞壁多糖類であ
り、この中には30%程度水溶化できる多糖類が含まれ
ている。多糖類の主な構成糖としては、前述のようにガ
ラクトース、アラビノース、ガラクツロン酸である。こ
の多糖類は、麺本体2の表面に吸着し、水分を保持でき
る厚い水和層を形成する。これにより、浸入してくる水
分を表面吸着し、麺本体2への吸収を抑制する。この結
果、大豆食物繊維は麺線表面で被膜3として機能する。
【0032】図2は、麺の食感が良好である茹で直後の
麺2の断面における水分濃度の分布を模式的に示す図で
ある。図2では、図解の便宜のために麺断面を円形で示
している。茹で直後の麺断面の水分濃度は、表面Fの水
分濃度が高く、中心Oの水分濃度が低くなっており、麺
断面には、曲線Wで示すように水分勾配が形成されてい
る。表面の水分濃度A2は、たとえば70%であり、中
心の水分濃度A1は、たとえば50%である。また麺の
硬さは、水分濃度が多くなるほど低下するので茹で直後
の麺1は表面が柔らかく、中心が硬くなっている。した
がって、このような水分勾配に伴う硬さの差が麺の弾力
および腰となって茹で直後の良好な食感をもたらしてい
るものと考えられる。
【0033】これに対して、先行技術の麺が茹で延びし
たり、または先行技術の茹でた麺をチルド保存すると、
あるいは茹でた麺を凍結した後、緩慢な解凍を行うと、
麺の食感が著しく低下する。この原因は、前記水分勾配
を駆動力として水分が表面から中心に向かって移動し、
これによって麺断面の水分勾配が均一化され、麺本体2
の弾力および腰が失われることによるものと考えられ
る。したがって食感の低下を防止するには、茹で直後の
水分勾配を維持するように工夫するか、あるいは水分勾
配に代わって麺断面の中心が硬く表面が柔らかくなるよ
うに工夫することが必要である。
【0034】本発明では、被膜3の働きによって麺本体
2に水分が吸収されることを抑制し、したがって茹で直
後の図2に示される水分勾配を維持することができ、こ
れによって食感の低下が防がれる。
【0035】図3は本発明の実施の一形態の製造工程の
前半部分を簡略化して示す図であり、図4は図1に後続
する麺1の製造工程の後半部分を簡略化して示す図であ
る。これらの図3および図4を参照して、本件発明者の
実施例1〜4を併せて述べる。
【0036】(1)第1ステップ(原料の計量) 原料はステンレス鋼製ボール11,12(直径約40c
m、深さ約14cm)に、中力粉である小麦粉3000
(日清製粉(株)社製商品名緑飛龍)g/バッチ分を穀
粉量100重量部として計量する。3層麺5の基本原料
配合割合を表1に示す。この3層麺5は、内層6を、一
対の上下の外層7,8でサンドイッチした構成を有す
る。
【0037】
【表1】
【0038】表1に従い、原料を準備する。内層6用原
料粉には麺強度を高めるためにアルギン酸((株)紀文
フードケミファ社製商品名ダックアシッドA)を製剤量
として穀粉量100重量部に対し0.25〜1.0重量
部混合する。外層7,8の原料は、アルギン酸を添加し
ない以外は、内層6用原料と全て同じとする。
【0039】(2)第2ステップ(ミキシング) 原料のミキシングは、小型の真空ミキサーを用いて実施
した。ミキサーは、マイスター(株)社製のもので、1
バッチ4kgの原料粉をミキシングできる性能の機械を
2台使用した。ミキシング槽の内部寸法は、縦25c
m、横25cm、深さ約35cmのステンレス製構造物
であり、2台とも全く同じ仕様のミキサーである。この
ミキシング槽内に先ほど計量した原料である小麦粉等を
入れ、ミキサーの蓋を閉じ大気圧下で90回転/分の条
件で内層用および外層用原料を5分間ミキシングし粉の
均一混合を行う。ミキシング条件は、一般的な麺業界で
実施されている条件であれば良く、今回は、2段階に分
け実施した。
【0040】第2段ミキシングでは、原料粉の加水を行
うために温度を約15℃程度に設定した水1080g
(穀粉量100重量部に対し36重量部)に予め計量し
ておいたかんすいを穀粉量100重量部に対し、内層お
よび外層それぞれ重量割合で1.3重量部溶解させたも
のを、速度60回転/分で真空ミキシングしている槽の
上部から徐々に注入していった。この第2段ミキシング
の時間は5分間とした。
【0041】(3)第3ステップ(生地の熟成) ミキシングの終えた内層6および外層7,8用の原料粉
をミキサーより取り出し、ステンレス製トレイ9,10
(縦29cm、横35cm、深さ約6cm)に入れて、
全体を遮光性の袋で覆って10分間熟成させる。これに
よって生地が圧延されやすくなる。
【0042】(4)第4ステップ(粗麺帯化) 麺帯〜圧延〜麺線切り出し作業を実施するために用いた
小型製麺機械は、(株)トム社製の機械で、粗麺帯機お
よび連続圧延機の一連の製造番号9905のものを用い
た。
【0043】図5は、粗麺帯機11の構成を簡略化して
示す図である。混練の終了した粒状の生地13をトレー
14に入れ、一対の粗圧延ロール15で粗麺帯16に圧
延し、さらに圧延した粗麺帯16を二つ重ねにして再度
粗圧延ロール15で圧延し、1枚の粗麺帯16に複合
し、複合した粗麺帯16を巻取りロール17で巻取る。
これによって、グルテン組織が均一になり、粗麺帯が強
靭化する。この工程では、内層用原料粉を用いて、1枚
の内層用粗麺帯16aが製造され、外層用原料粉を用い
て外層用粗麺帯16bが製造される。第6工程では、麺
帯の製造が圧延によって行われる。
【0044】すなわち粗麺帯化にあたり、ミキシングの
終えた麺粒を麺粒トレー14に入れ、ロール呼び径8寸
(直径24cm×長さ15cm)のロール15より押し
出し圧延し、生地化を進める。生地の組織化が不充分で
あるため、出てきた生地を2枚併せて再度8寸ロール1
5より厚み6mm程度で押し出し粗麺帯を作る。最終的
に、この粗麺帯機より出てきた麺(粗麺帯)を自動巻き
取りロール17で巻き取る。
【0045】(5)第5ステップ(麺帯熟成) 巻き取りロール17で巻き取った2個の粗麺帯21,2
2(内層および外層用)を巻いたままで30分間の熟成
を行う。粗麺帯21,22の表面が乾燥しないよう全体
を遮光性の袋で覆っておく。
【0046】(6)第6ステップ(圧延) 図6は、連続圧延機19の構成を簡略化して示す図であ
る。粗麺帯16は、巻出しロール24から巻出され、第
1および第2ロール25,26によって所定の厚みの麺
帯27に圧延される。圧延された麺帯27は、第2ロー
ル26の出側より手作業で取出される。第1および第2
ロール25,26は、それぞれ一対のロールから成り、
その直径は、たとえばいずれも180mmである。この
工程では、所定厚み、たとえば2.3mmの1枚の内層
用麺帯27aが圧延され、所定厚み、たとえば2.3m
mの2枚の外層用麺帯27bが圧延される。
【0047】すなわち粗麺帯機11によって、ある程度
生地化された麺生地16をさらに薄く延ばしていく。圧
延作業に用いた連続圧延機19は6寸→6寸→4寸とロ
ール径が小さくなる組み合わせのロール25〜27を有
し、ロールサイズは、呼称6寸が直径18cm×長さ1
5cm、呼称4寸が直径12cm×長さ15cmのステ
ンレス鋼製対ロールである。
【0048】3層麺をこの機械で製造する場合は、生地
を6寸→6寸と圧延した所で停止し、厚み約2.3mm
程度となった生地を、ここでそれぞれ面棒(内層用およ
び外層用)に巻き取る。
【0049】(7)第7ステップ(3層麺化) 3層構造の麺5にするには、外層7用麺生地を台上に敷
き、次に内層6用生地を同じ長さ約1mで張り合わせ、
最後に外層8用麺生地を再度同じ長さに張り合わせて厚
みが約6.9mm×長さ1m程度になったものをつく
る。
【0050】(8)第8ステップ(再圧延) 予め定める厚みの生地にするために、第7ステップで3
層構造に張り合わされた生地を連続圧延機の第1段目ロ
ール(6寸ロール)から再度薄く延ばしていく。最終段
ロールでは約1.4mm程度の薄い生地31にする。こ
のように第7ステップで3枚に重ね合わされた麺帯は、
3組の圧延ロールによって順次圧延されて3層麺帯に形
成されるので、3層麺帯の厚さは、段階的に減厚され
る。これによって、1回の圧延当りの厚み減少量が小さ
くなるので、摩擦熱の発生量が小さくなり、表面の肌あ
れが防止されて滑らかな表面が得られる。また摩擦熱の
発生量が小さいので、たとえばそば粉が配合されている
場合でもそばの香りが失われない。これに対して、たと
えば3層押出しによって3層麺を製造する場合には、1
回の押出しで所定厚みまで減厚されるので、厚み減少量
が大きく、摩擦熱の発生量が大きくなる。したがって表
面の肌あれが大きくなり、そばの香りも失われる。
【0051】(9)第9ステップ(麺線切出し) 今回の麺はラーメン仕様とするために、厚み約1.4m
mになるよう最終ロール(4寸)27間隙を調整し、切
り刃#22(角刃)で1カット約120g程度の重量に
なるよう連続カットして生麺線33を切り出す。
【0052】(10)第10ステップ(茹で作業) 茹で作業は、両端取って付きのステンレス鋼製茹で籠
(縦23cm、横39cm、深さ29cmの網製)を使
用し、1回あたり約1000gで茹で処理を実施した。
沸騰水中の茹で時間は、冷凍麺の標準茹で時間とし、5
0秒とした。
【0053】茹で作業に使用した茹で釜は、マイスター
(株)社製商品名スーパーボイラーIII型(水量約4
5L、30,000kal/h)である。こうして生麺
に多く含まれるβでんぷんが、茹で上げられることによ
ってαでんぷんを多く含む麺本体35が得られる。
【0054】(11)第11ステップ(水洗作業) 水洗いが行われ、茹で上がった麺のぬめりが洗い流され
る。
【0055】(12)第12ステップ(氷水冷却作業) 氷水冷却が行われる。この処理によって麺が締まり、肌
が滑らかになる。
【0056】こうして茹で処理の終えた麺は、麺表面の
ぬめり(でんぷん等)や粗熱除去を目的として行われて
いる前記水洗処理、および麺の腰を出すために行われる
氷水冷却処理を行う。この第11および第2ステップに
おいて、本発明に従う被膜化処理を行う。
【0057】水洗槽37および氷水冷却槽38の中に被
膜剤を溶解させておき、この中で麺線である麺本体35
表面に被膜を付着させる。被膜剤の濃度は1%以上が好
適である。本発明の実施の他の形態では、水洗槽37お
よび氷水冷却槽38のいずれか一方の中にのみ、被膜剤
を溶解させてもよい。水洗槽37は、水道水を貯留した
槽である。氷水冷却槽38は、氷と水との混合物が貯留
された槽である。
【0058】(13)第13ステップ(計量) 被膜処理を終えた麺1食分約200gを、プラスチック
トレイー(縦120mm、横190mm、深さ45m
m)容器に入れる。
【0059】(14)第14ステップ(凍結) 温度がマイナス40℃に設定された急速凍結庫(サンヨ
ー(株)社製商品名BF−EVB120、有効容量39
4L)内に容器を入れ、約1時間凍結させる。
【0060】(15)第15ステップ(保管) 凍結の終えた麺は、袋に入れ脱気を行い約マイナス18
℃に設定された冷凍庫(サンヨー(株)社製商品名MD
F−135型)に1週間保管する。
【0061】(16)第16ステップ(熱湯解凍) 解凍は茹で作業で用いた茹で釜によって、凍結状態の麺
を茹で籠にて解凍する。解凍時間は30秒間(1食)と
した。
【0062】(17)第17ステップ(各種評価) 冷凍庫保管1週間を経過した冷凍麺を取り出し、各種評
価等を実施した。
【0063】図7は、本発明の実施の他の形態の麺の製
造工程の後半部分を示す図である。この図7は、前述の
図4に対応する。図7の実施の形態における製造方法の
前半の工程は、前述の図3と同様である。注目すべきは
この実施の形態では、第10ステップにおいて茹で上げ
られた麺本体35は、第11ステップにおいて水洗槽3
9に浸漬され、第12ステップで氷水冷却槽40に浸漬
される。水洗槽39は、水道水が貯留される。氷水冷却
槽40には、水道水の氷および水が貯留される。これら
の槽39,40には、被膜剤は溶解されてはいない。
【0064】図7の実施の形態では、第12ステップの
次に、第12aステップ(被膜化処理)が実行される。
この被膜化処理では、氷水冷却処理の終えた麺線に、ス
プレー方式により被膜剤を噴霧して付着させる。噴霧さ
れる被膜剤の濃度は1%以上が好適であり、前述と同様
である。その後の第13〜第17ステップは、前述の実
施の形態と同様である。
【0065】評価を実施した項目(1)〜(3)は以下
のとおりである。 (1)官能評価:予め選定されたパネラー8名によって
試食を行い、茹で延びの品質評価判定基準(5段階評価
法)により評価した。 (2)水分吸収量:解凍直後および20分後の麺をサン
プリングし、これを乾燥機中で乾燥させた初期水分量と
20分後水分量から水分過剰吸収量算出する。乾燥条件
は、温度135℃で3時間乾燥させる。 (3)破断強度:麺の硬さは(株)山電製レオメータ
(RE−33005にて破断強度を算出した。測定は5
回実施した測定値を平均化し、その平均値で各条件の検
討を行った。測定条件は麺の長さを約50mm、圧縮率
95%、測定速度0.5mm/秒の条件で実施した。
【0066】比較例1および実施例1〜4を述べる。 (比較例1)比較例となる単層麺の原料配合割合を表2
に示す。
【0067】
【表2】
【0068】この表2の配合は、本発明の3層構造とす
る麺5の外層7,8の配合と同じである。
【0069】この単層麺を比較の基準として、次に述べ
る実施例1〜4における製造麺と比較検討を行った。解
凍後の麺は、どんぶり中に醤油系スープを入れて、20
分間放置し途中経過および20分後の分析評価により検
討を行った。
【0070】官能評価結果を表3に示す。比較例の麺は
解凍後10分で早くも延びが多くなり、味も悪く、5段
階評価点で2点となり、最終20分後では非常に延びが
多く、極めて不良となり、味も悪く、喫食不可レベルの
品質評価となった。
【0071】
【表3】
【0072】次に、解凍後20分間での水分すなわちス
ープの過剰吸収量を測定した結果、図8に示されるよう
に比較例1では11%となった。
【0073】麺の力学的硬さ試験の1つである破断荷重
試験を行った結果、図9に示されるように比較例1では
20分後の麺強度は約35gであった。
【0074】(実施例1)前述の第1ステップにおいて
内層6の原料に含まれるアルギン酸は、0.25重量部
である。前述の図3〜図6の各工程で、麺が製造され
た。
【0075】内層6の生地にアルギン酸を0.25%添
加して製造した3層構造麺の各種評価を行った。
【0076】官能評価試験では、延びに関して10分後
でもかなり延び少なく良好であり、評点4点であった。
【0077】最終20分後では、やや延びが生じてお
り、ほぼ良好品質であるが、評点では3点であった。
【0078】水分過剰吸収率は、7.0%であった。こ
れは、比較例と比べかなり改善されていた。破断荷重値
では、幾分機械的強度は向上し、約38gとなった。
【0079】(実施例2)前述の第1ステップにおいて
内層6の原料に含まれるアルギン酸は、0.50重量部
である。
【0080】官能評価試験では、20分後でもかなり延
びを抑えることが可能となり、評点で4点であった。
【0081】水分過剰吸収率は、5.5%であった。こ
れは、比較例1よりも効果向上を示した。
【0082】破断荷重値では、約45gとなり麺強度も
向上した。特に、内層側に硬さ(芯)が残存しているこ
とが官能的に感じることができた。
【0083】(実施例3)前述の第1ステップにおいて
内層6の原料に含まれるアルギン酸は、0.75重量部
である。
【0084】
【表4】
【0085】官能評価試験では、20分経過してもかな
り延びが少なく、効果を確実に感じる品質を示した。芯
部の硬さを維持しており、評点で4点であった。
【0086】水分過剰吸収率は、5.2%であった。破
断荷重は大きく向上し、約65gであった。
【0087】(実施例4)前述の第1ステップにおいて
内層6の原料に含まれるアルギン酸は、1.00重量部
である。
【0088】官能評価試験では、かなり延びが少なく良
好であった。しかし、芯部が硬すぎる結果を示した。延
びは抑制されているものの、食感的に芯部が硬い評価に
なった。
【0089】水分過剰吸収率は、5.0%であり、添加
量を増加させてもあまり抑制は進まなかった。
【0090】破断値は、約86gと大きく向上した。こ
れは、内層側に添加したアルギン酸の効果であり、延び
抑制に非常に良い添加物であることが判明した。
【0091】本発明は、麺が茹で上げられた後、0〜5
℃の冷蔵温度域で保存されるチルド保存された後、食に
供されるとき、あるいは凍結された麺が冷蔵温度で解凍
されてチルド解凍された後、食に供されるとき、あるい
は凍結された麺が冷蔵温度で解凍されてチルド解凍され
た後、食に供されるとき、あるいは凍結された麺が室温
で自然解凍されて食に供されるときにおいても、茹で上
げられた麺が直ちに食に供されるときに比べて、食感お
よび風味が低下することが抑制され、優れた食感および
風味を得ることができる。
【0092】
【発明の効果】本発明によれば、麺を長時間スープなど
の水中に放置しても、多糖類を含む大豆食物繊維を含む
被膜によって、麺本体内に過剰な水が吸収されることが
抑制され、茹で延びを防止することができるようにな
り、延びが生じない腰および硬さを長時間にわたって維
持することができる美味しい高品質の麺が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラーメンの麺1を示す断面図である。
【図2】麺の食感が良好である茹で直後の麺2の断面に
おける水分濃度の分布を模式的に示す図である。
【図3】本発明の実施の一形態の製造工程の前半部分を
簡略化して示す図である。
【図4】図1に後続する麺1の製造工程の後半部分を簡
略化して示す図である。
【図5】粗麺帯機11の構成を簡略化して示す図であ
る。
【図6】連続圧延機19の構成を簡略化して示す図であ
る。
【図7】本発明の実施の他の形態の麺の製造工程の後半
部分を示す図である。
【図8】本件発明者の実験結果における麺のスープ吸収
量を示す図である。
【図9】本件発明者の実験結果の破断荷重試験を示すで
ある。
【符号の説明】
1 麺 2 麺本体 3 被膜 6 内層 7,8 外層 11 粗麺帯機 13 生地 14 トレー 15 粗圧圧延ロール 17 巻取りロール 19 連続圧延機

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 でんぷんを含む麺本体の外周面に、多糖
    類を含む大豆食物繊維を含む被膜を形成することを特徴
    とする麺。
  2. 【請求項2】 麺本体は、内層と、内層を覆う外層とを
    含み、 内層は、外層よりも硬いことを特徴とする請求項1記載
    の麺。
  3. 【請求項3】 麺本体は、内層が一対の外層でサンドイ
    ッチされる3層構造を有することを特徴とする請求項2
    記載の麺。
  4. 【請求項4】 内層は、生地にアルギン酸が添加される
    ことを特徴とする請求項1〜3のうちの1つに記載の
    麺。
  5. 【請求項5】 内層と、内層を覆う外層とを含み、 内層は、生地にアルギン酸が添加されることを特徴とす
    る麺。
  6. 【請求項6】 アルギン酸は、内層の0.1〜3.0%
    であることを特徴とする請求項4または5記載の麺。
  7. 【請求項7】 生麺を熱処理してでんぷんを含む麺本体
    を製造する麺本体製造ステップと、 前記麺本体を、多糖類を含む大豆食物繊維が混入された
    水溶液に浸漬する被膜形成ステップとを含むことを特徴
    とする麺の製造方法。
  8. 【請求項8】 生麺を熱処理してでんぷんを含む麺本体
    を製造する麺本体製造ステップと、 前記麺本体に、多糖類を含む大豆食物繊維が混入された
    水溶液を噴霧する被膜形成ステップとを含むことを特徴
    とする麺の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記水溶液は、多糖類を含む大豆食物繊
    維を、1〜30%含むことを特徴とする請求項7または
    8記載の麺の製造方法。
  10. 【請求項10】 被膜形成ステップは、少なくとも生麺
    を茹でた後の水洗と同時、または氷水を用いる冷却と同
    時、または生麺を茹でた後の水洗後、または氷水を用い
    る冷却後のいずれかで行うことを特徴とする請求項7ま
    たは8記載の麺の製造方法。
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