JP6927916B2 - 調理済みチルド中華麺の製造方法 - Google Patents
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本発明に係る外層麺原料粉及び内層麺原料粉としては、主な麺原料粉として、小麦粉、エーテル化リン酸架橋澱粉及びグルテンを含む。上記以外のその他の麺原料粉として、生澱粉またはエーテル化リン酸架橋澱粉以外の加工澱粉、全卵粉、卵白粉などの卵粉、アルギン酸、カルシウム製剤などの可溶性でない粉末物を添加することができる。その他の麺原料粉は、各層の麺原料粉の総重量に対して10重量%以下となるように添加することが好ましい。また、アルギン酸を添加することにより、麺自体の食感が絞まり、食感やほぐれ、つるみが良くなり、経時的な老化感が押されられるため、アルギン酸を添加することが好ましく、添加量としては、麺原料粉の全体の重量に対して0.2〜1重量%の範囲で添加することが好ましい。
本発明に係る外層麺原料粉の配合としては、外層麺原料粉の総重量に対し、小麦粉を35〜60重量%、エーテル化リン酸架橋澱粉を25〜50重量%、グルテンを5〜15重量%配合することが好ましい。外層麺帯の小麦粉が少ないと、麺らしい食感や風味が得られにくく、多すぎると、老化防止のためのエーテル化リン酸架橋澱粉の添加量が少なくなり老化しやすくなる。したがって、より好ましい小麦粉の配合量は、麺原料粉の総重量に対し、45〜55重量%の範囲である。外層麺帯のエーテル化リン酸架橋澱粉は、25重量%以上添加することが老化防止のために好ましい。しかしながら、添加し過ぎると小麦粉の配合量が少なくなり、製麺性を出すためのグルテンの配合量が増え、風味が悪くなり、食感が柔らかく、ほぐれが悪くなる。より好ましくは30〜40重量%の範囲で添加することが好ましい。エーテル化リン酸架橋澱粉はグルテンを含まないため、そのままでは、製麺性や食感が悪くなるため、グルテンを添加することが好ましく、添加量としては、外層麺原料粉の総重量に対して5〜15重量%添加することが好ましい。
本発明に係る内層麺原料粉の配合としては、内層麺原料粉の総重量に対し、小麦粉を0〜20重量%、エーテル化リン酸架橋澱粉を60〜80重量%、グルテンを15〜25重量%であることが好ましい。内層麺帯の小麦粉の配合が増加すると、食感が硬くなり、麺が老化し易くなるため、好ましくなく、20重量%以下、より好ましくは、5%以下、さらに好ましくは小麦粉自体を配合しない方が好ましい。風味に関しては、内層の小麦粉を無くしたとしても外層由来の小麦により十分良好な風味を感じることができる。内層麺帯のエーテル化リン酸架橋澱粉に関しては、添加量が多い方が老化が抑えられるため、より好ましくは70〜80重量%の範囲で添加することが好ましい。グルテンに関しては、エーテル化リン酸架橋澱粉の添加量に合わせて製麺性、食感を出すために、内層麺原料粉の総重量に対して15〜25重量%の範囲で添加量を調製すればよい。
上記原料を用いて、外層、内層の各層の麺生地(ドウ)を作製する。麺生地の作製方法としては、常法により作製すればよく、例えば、バッチミキサー、フロージェットミキサー、真空ミキサー等で、原料が均一に混ざるように混捏する方法が挙げられる。特に好ましくは、密度感を出し、食感の劣化を抑制する上で真空ミキサーによりミキシングすることが好ましい。真空ミキサーの真空度としては−400mmHg以下の減圧下で行うことが好ましい。
次いで作製したドウから麺帯を作製する。
次いで作製した三層麺帯から麺線を作製する。麺線の作製方法としては、三層麺帯をロールにより数回に分けて徐々に求める麺帯厚に圧延した後、切刃ロールと呼ばれるロールにより麺帯を切断するか、包丁刃等により麺帯を切り出すことにより麺線を作製する。
作製した麺線を容易に喫食できるように蒸し処理または茹で処理により麺線を蒸煮し、予め調理しておく。蒸し処理としては、例えば、飽和蒸気を噴出させた蒸気庫内に麺線5〜15分程度通過されることで調理する方法が挙げられる。また、茹で処理としては、茹で湯の温度が90℃以上なるように調整された茹で槽に麺線を60秒〜300秒程度浸漬させることで調理する方法が挙げられる。本件発明については、麺原料粉としてアルギン酸を使用する場合は、茹で処理により調理することが好ましく、茹で湯にカルシウム塩を0.25〜3g/L程度添加することが好ましい。そうすることで、麺線のほぐれが良く、老化によるつるみや食感の劣化が抑えられる。
次いで、調理した麺線を水洗する。水洗することにより、表面のぬめりをとり、麺線を冷却し、引き締める。水洗する方法としては、4〜20℃程度の水槽に調理した麺線を浸漬させる方法が挙げられる。このとき、水槽を複数槽用意し、段階的に麺線を水洗冷却することができる。また、水槽中にエアを噴出させることにより、麺線を動かしながら水洗、冷却できる。
次いで、水冷した麺線を所定重量ずつ、ポリエチレンやポリプロピレン等から成る包装フィルムに密封包装する。密封することで、後述する加熱殺菌工程で殺菌した後、外部からの新たな菌の付着を防止することができる。また、このとき、麺線の結着防止のため、ほぐれ剤を添加することができる。ほぐれ剤としては、各種使用できるが、大豆由来の水溶性ヘミセルロースやアラビアガム、キサンタンガムなどの水溶液がほぐれ効果が高く、また、風味の面でも好ましい。ほぐれ剤の添加量としては、包装する麺線の重量に対して5〜15重量%添加することが好ましい。
次いで包装工程で包装フィルムに密封した包装麺を60〜100℃の温度で加熱殺菌する。加熱殺菌の方法としては、例えば、60〜100℃となるように飽和水蒸気で調整した加熱殺菌庫に10〜50分間加熱殺菌する。加熱殺菌は、高温であると短時間の加熱で済むが、糊化が進み、食感にムラが出たり、ほぐれが悪くなるため、好ましくは、80℃未満で行うことが好ましい。また、低温過ぎると時間がかかるため、さらに好ましくは、70〜78℃で25〜40分程度加熱殺菌することが好ましい。
次いで加熱殺菌工程で殺菌した包装麺を冷却する。冷却方法は、特に限定はなく、冷水をシャワーして冷却する方法や自然放置、送風や冷風を当てて冷却する方法などにより冷却した後、10℃以下の低温庫に入れて麺線を冷却すればよい。
冷却した包装麺は、包装した液体スープや薬味等を添付してさらに容器や袋に包装して調理済みチルド中華麺製品とすることができる。
(試験例1)
エーテル化リン酸架橋澱粉(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉)770g、グルテン225g、焼成カルシウム5gからなる麺原料粉1Kgに、食塩10g、かんすい製剤12g炭酸ナトリウム5:炭酸カリウム4:重合リン酸塩1)、カロチン色素4、トレハロース10gを400mlの水に溶解した練り水を加え、4分間混捏した後、−500mmHgの減圧下で8分間混捏し、ドウを作製した。
麺原料粉の配合を小麦粉450gエーテル化リン酸架橋澱粉(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉)400g、グルテン145g、焼成カルシウム5gとする以外は、試験例1の方法に従って調理済みチルド中華麺サンプルを作製した。
麺原料粉の配合を小麦粉700gエーテル化リン酸架橋澱粉(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉)200g、グルテン95g、焼成カルシウム5gとする以外は、試験例1の方法に従って調理済みチルド中華麺サンプルを作製した。
外層麺帯を試験例3の麺帯とし、厚みを6mmに圧延して、半分に切断した。内層麺帯を試験例1の麺帯とし、外層二枚に内層を挟む形でロール圧延し、圧着して三層麺帯を作製した。作製した三層麺帯は、試験例1の方法に従って調理済みチルド中華麺サンプルを作製した。
外層麺帯を試験例2の麺帯とし、厚みを6mmに圧延して、半分に切断した。内層麺帯を試験例1の麺帯とし、外層二枚に内層を挟む形でロール圧延し、圧着して三層麺帯を作製した。作製した三層麺帯は、試験例1の方法に従って調理済みチルド中華麺サンプルを作製した。
外層麺帯を試験例2の麺帯とし、厚みを6mmに圧延して、半分に切断した。内層麺帯は、試験例1の配合によりドウを作製した後、エクストルーダーによりー600mmHgの減圧下で押出して真空麺帯を作製した。外層二枚に内層を挟む形でロール圧延し、圧着して三層麺帯を作製した。作製した三層麺帯は、試験例1の方法に従って調理済みチルド中華麺サンプルを作製した。
外層麺帯の麺原料粉の配合を小麦粉450gエーテル化リン酸架橋澱粉(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉)400g、グルテン138g、アルギン酸7g、焼成カルシウム5gとし、内層麺帯の麺原料粉の配合をエーテル化リン酸架橋澱粉(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉)770g、グルテン218g、アルギン酸7g、焼成カルシウム5gとし、茹で処理する茹で湯を0.1重量%塩化カルシウム水溶液とする以外は、試験例6の方法に従って調理済みチルド中華麺サンプルを作製した。
(試験例8〜12)
外層麺原料粉を下記表2の配合とする以外は、試験例7の方法に従って調理済みチルド中華麺サンプルを作製した。作製した調理済みチルド中華麺サンプルは実験1と同様に評価を行った。
(試験例13〜17)
内層麺原料粉を下記表2の配合とする以外は、試験例7の方法に従って調理済みチルド中華麺サンプルを作製した。作製した調理済みチルド中華麺サンプルは実験1と同様に評価を行った。
(試験例18〜20)
外層の厚みを、3mm、4mm、12mm(圧延せず)とする以外は、試験例7の方法に従って調理済みチルド中華麺サンプルを作製した。作製した調理済みチルド中華麺サンプルは実験1と同様に評価を行った。
Claims (4)
- 二枚の外層麺帯に内層麺帯を挟む形で積層して圧延することにより三層麺帯を作製する三層麺帯作製工程と、
前記三層麺帯作製工程で作製した前記三層麺帯を圧延し、切り出して麺線を作製する麺線作製工程と、
前記麺線作製工程で作製した前記麺線を蒸煮により調理する調理工程と、
前記調理工程で調理した前記麺線を水洗する水洗工程と、
前記水洗工程により水洗した前記麺線を包装する包装工程と、
前記包装工程で包装された前記麺線を加熱殺菌する加熱殺菌工程と、
前記加熱殺菌工程で殺菌された前記麺線を冷却する冷却工程と、を含む調理済みチルド中華麺の製造方法であって、
前記外層麺帯は、
外層麺原料粉と、練り水と、を混捏したドウからなる麺帯であり、
前記外層麺原料粉は、前記外層麺原料粉の総重量に対して小麦粉35〜60重量%、エーテル化リン酸架橋澱粉25〜50重量%、グルテン5〜15重量%を含み、
前記内層麺帯は、
内層麺原料粉と、練り水と、を混捏したドウをエクストルーダーにより減圧下で押出した押出し麺帯であり、
前記内層麺原料粉は、前記内層麺原料粉の総重量に対して小麦粉0〜20重量%、エーテル化リン酸架橋澱粉60〜80重量%、グルテン15〜25重量%を含むことを特徴とする調理済みチルド中華麺の製造方法。 - 前記外層麺帯と前記内層麺帯の厚みの比が1:1:1〜1:4:1であることを特徴とする請求項1記載の調理済みチルド中華麺の製造方法。
- 前記内層麺原料粉に小麦粉が含まれないことを特徴とする請求項1または2記載の調理済みチルド中華麺の製造方法。
- 前記外層麺原料粉及び内層麺原料粉にアルギン酸を含み、
前記蒸煮がカルシウム塩を含む水溶液によって前記麺線を茹で処理する方法であることを特徴とする請求項1〜3何れか一項記載の調理済みチルド中華麺の製造方法。
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