JP4571104B2 - 三層麺およびその製造方法 - Google Patents
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また、特許文献2には、麺線の内層に比較して外層の澱粉含有率を相対的に大きくすることにより、製麺性、ほぐし、復元性、食味食感などを改良した多層麺が記載されている。該文献にも、内層と外層の厚さの比については言及されておらず、該文献に図示されている多層麺は、内層の厚さが外層の厚さよりも大きいものである。
また、特許文献3には、蛋白質原料を含有する内層と、澱粉類を外層全体に対して10〜80重量%含有する外層とからなり、内層の厚さが外層の厚さの1.5倍以上である多層麺が記載されている。
しかし、これらの特許文献1〜3に記載されている多層麺は何れも、調理麺の製造後の老化を防止するものではない。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、澱粉類を主体とする原材料を用いて得られる外層と、小麦粉を主体としこれに蛋白質を添加した原材料を用いて得られる内層からなる三層麺であって、外層の厚さと内層の厚さの比率が、外層/内層/外層=1.5〜2.5/1/1.5〜2.5の範囲であり、外層に用いる原材料が、タピオカ澱粉を50〜85質量%およびα化澱粉を5〜15質量%含有することを特徴とする三層麺を提供するものである。
上記タピオカ澱粉としては、エーテル化タピオカ澱粉、エーテル化架橋タピオカ澱粉、アセチル化タピオカ澱粉、アセチル化架橋タピオカ澱粉などを用いることもでき、特に、タピオカ澱粉が、エーテル化タピオカ澱粉またはエーテル化架橋タピオカ澱粉であることが好ましい。
これらのタピオカ澱粉およびα化澱粉に加えて、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦粉澱粉、米澱粉、コーンスターチなどのその他の澱粉類を配合することもできる。
上記の外層用原材料中のタピオカ澱粉の配合量が50質量%未満であると、麺表面が硬い食感となりやすく、タピオカ澱粉の配合量が85質量%を超えると、麺表面が柔らかく、くちゃついた食感となりやすい。
また、上記の外層用原材料中のα化澱粉の配合量が5質量%未満であると、麺表面が硬い食感となりやすく、α化澱粉の配合量が15質量%を超えると、麺表面が柔らかく、くちゃついた食感となりやすい。
上記蛋白質としては、小麦グルテン(例えば小麦グルテン粉末)、卵白、全卵、卵黄、大豆蛋白質などが挙げられ、これらのなかでも、小麦グルテンおよび/または卵白を用いることが好ましい。
上記の内層用原材料中の蛋白質の配合量が3質量%未満であると、調理麺のコシが低くなりやすく、蛋白質の配合量が15質量%を超えると、硬さのみが目立ち、弾力性が乏しくなりやすい。
また、上記の内層用原材料中の小麦粉の配合量が50質量%未満であると、麺に十分な硬さを付与することができず、もろくなってしまう。
内層の厚さに対する外層の厚さの比が1.5未満であると、麺中心部の硬さが目立ちすぎるため、麺表面のソフト感が感じられない。また、内層の厚さに対する外層の厚さの比が2.5を超えると、麺表面が柔らかすぎて、中心の弾力が感じられなくなる。
まず、上記の内層用原材料を加水して混捏し、得られた生地を圧延して内層用シート状生地を調製する。一方、上記の外層用原材料を用いて同様にして、外層用シート状生地2枚を調製する。このとき、上記外層用シート状生地は、その厚さが、上記内層用シート状生地の厚さの1.5〜2.5倍となるように調製する。なお、上記外層用シート状生地の厚さは、好ましくは5〜20mm、より好ましくは5〜10mmであり、上記内層用シート状生地の厚さは、好ましくは3〜13mm、より好ましくは3〜7mmである。
中力小麦粉100質量部および小麦グルテン粉末5質量部からなる原料粉に、かんすい2質量部および水35質量部からなる溶液を加えて減圧(-0.093MPa) 下で混捏し、圧延して、厚さ4mmの内層用シート状生地を得た。また、表1に示す配合の原料粉に、かんすい0.5質量部および水47質量部からなる溶液を加えて減圧(-0.093MPa) 下で混捏し、圧延して、厚さ8mmの外層用シート状生地を得た。
上記外層用シート状生地2枚の間に上記内層用シート状生地を配置して積層し、圧延して、外層と内層の厚比が外層/内層/外層=2/1/2の三層麺帯とした後、#18の切り刃を通して、麺線とし、三層中華麺をそれぞれ得た。
5点 対照品に比べ、表面がソフト、中心にコシがあり、粘弾性のバランスが極めて良好
4点 対照品に比べ、表面がソフト、中心にコシがあり、粘弾性のバランスが良好
3点 対照品(表面がややソフト、中心にややコシがあり、粘弾性のバランスがやや良好)
2点 対照品に比べ、表面が硬く、中心にコシが無く、粘弾性のバランスがやや悪い
1点 対照品に比べ、表面が硬く、中心にコシが無く、粘弾性のバランスが極めて悪い
なお、対照品は下記の中華麺である。
中力小麦粉70質量部、タピオカ澱粉30質量部、小麦グルテン粉末3質量部、卵白0.5質量部、かんすい1質量部および水38質量部を減圧(-0.093MPa) 下で混捏し、圧延し、#18の切り刃を通して、麺線の厚みが1.4mmの中華麺を得た。
得られた中華麺を茹で歩留が260%になるように茹でを行い、茹で中華麺を得た。得られた茹で中華麺を24時間冷蔵保存した後、パネラー10人に官能評価させ、その結果を3点とした。
中力小麦粉70質量部、タピオカ澱粉30質量部および小麦グルテン粉末5質量部からなる原料粉に、食塩3質量部および水35質量部からなる溶液を加えて減圧(-0.093MPa) 下で混捏し、圧延して、厚さ5mmの内層用シート状生地を得た。また、表2に示す配合の原料粉に、食塩3質量部および水45質量部からなる溶液を加えて減圧(-0.093MPa) 下で混捏し、圧延して、厚さ7.5mmの外層用シート状生地を得た。
上記外層用シート状生地2枚の間に上記内層用シート状生地を配置して積層し、圧延して、外層と内層の厚比が外層/内層/外層=1.5/1/1.5の三層麺帯とした後、#9の切り刃を通して、麺線とし、三層うどんをそれぞれ得た。
なお、評価基準の対照品は下記のうどんである。
中力小麦粉65質量部、タピオカ澱粉35質量部、小麦グルテン粉末3質量部、食塩5質量部および水38質量部を減圧(-0.093MPa) 下で混捏し、圧延し、#10の切り刃を通して、麺線の厚みが2.2mmのうどんを得た。
得られたうどんを茹で歩留が260%になるように茹でを行い、茹でうどんを得た。得られた茹でうどんを24時間冷蔵保存した後、パネラー10人に官能評価させ、その結果を3点とした。
中力小麦粉45質量部、エーテル化タピオカ澱粉50質量部およびα化澱粉5質量部からなる原料粉に、かんすい1質量部および水47重量部からなる溶液を加えて減圧(-0.093MPa) 下で混捏し、圧延して、厚さ8mmの外層用シート状生地を得た。また、表3に示す配合の原料粉に、かんすい2質量部および水35質量部からなる溶液を加えて減圧(-0.093MPa) 下で混捏し、圧延して、厚さ4mmの内層用シート状生地を得た。
上記外層用シート状生地2枚の間に上記内層用シート状生地を配置して積層し、圧延して、外層と内層の厚比が外層/内層/外層=2/1/2の三層麺帯とした後、#18の切り刃を通して、麺線とし、三層中華麺をそれぞれ得た。
中力小麦粉45質量部、エーテル化タピオカ澱粉50質量部およびα化澱粉5質量部からなる原料粉に、かんすい1質量部および水47重量部からなる溶液を加えて減圧(-0.093MPa) 下で混捏し、圧延して、外層用シート状生地を得た。また、強力小麦粉100質量部および小麦蛋白質5質量部からなる原料粉に、かんすい2質量部および水35質量部からなる溶液を加えて減圧(-0.093MPa) 下で混捏し、圧延して、内層用シート状生地を得た。これらの外層用シート状生地および内層用シート状生地の厚さは、三層中華麺の外層と内層の厚比が表4に示す厚比となるように調製した。
上記外層用シート状生地2枚の間に上記内層用シート状生地を配置して積層し、圧延して、外層と内層の厚比が表4に示す厚比の三層麺帯とした後、#18の切り刃を通して、麺線とし、三層中華麺をそれぞれ得た。
Claims (4)
- 澱粉類を主体とする原材料を用いて得られる外層と、小麦粉を主体としこれに蛋白質を添加した原材料を用いて得られる内層からなる三層麺であって、外層の厚さと内層の厚さの比率が、外層/内層/外層=1.5〜2.5/1/1.5〜2.5の範囲であり、外層に用いる原材料が、タピオカ澱粉を50〜85質量%およびα化澱粉を5〜15質量%含有することを特徴とする三層麺。
- 内層に用いる蛋白質が、小麦グルテンおよび/または卵白である請求項1記載の三層麺。
- タピオカ澱粉が、エーテル化タピオカ澱粉またはエーテル化架橋タピオカ澱粉である請求項1または2記載の三層麺。
- 請求項1〜3の何れかに記載の三層麺の製造方法であって、内層用シート状生地を小麦粉を主体としこれに蛋白質を添加した原材料を用いて調製し、該内層用シート状生地の厚さの1.5〜2.5倍の厚さを有する外層用シート状生地2枚を澱粉類を主体とする原材料を用いて調製し、上記外層用シート状生地2枚の間に上記内層用シート状生地を配置、積層して三層麺とすることを特徴とする三層麺の製造方法。
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