JP2022027502A - 加熱殺菌済みチルド中華麺及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、10℃以下の冷蔵で長期間保存しても食感の劣化が抑制された加熱殺菌済みチルド中華麺及びその製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】加熱殺菌済みチルド中華麺にα-グルコシルトランスフェラーゼを添加することにより解決する。α-グルコシルトランスフェラーゼは、耐熱性があることが好ましく、含有量としては、主原料粉1kgに対して240~2400Uとなるように添加することが好ましく、冷蔵保存中の食感劣化が抑えられる。【選択図】なし
Description
本発明は、加熱殺菌済みチルド中華麺及びその製造方法に関する。
従来、蒸しまたは茹で処理により麺線を加熱し、加熱殺菌処理した、冷蔵(10℃以下の低温)で保存可能な加熱殺菌済みチルド麺が存在している。これらの麺は、簡単に茹でて喫食するタイプや、水でほぐして喫食するタイプ、ほぐし液でほぐした後、調味液をつけてそのまま喫食するタイプ、調味液のみでほぐしてそのまま喫食するタイプなどがある。
これらの麺は、冷蔵後短期間に澱粉の老化が進行しやすく、つるみが失われ、食感が硬脆く、ぼそぼそするなどといった課題があり、賞味期限が比較的短く設定されている。これらを改善する技術が開示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。これらの方法は、チルド麺の老化によるつるみや食感の劣化の改善技術として優れた方法であるが不十分であり、風味がよく、長期間の冷蔵保存にも耐え、賞味期限を大幅に延長できるほど優れた方法ではなかった。
本発明は、冷蔵で長期間保存しても食感の劣化が抑制された加熱殺菌済みチルド中華麺及びその製造方法を提供することを課題とする。
従来、エーテル化リン酸架橋澱粉などの加工澱粉を添加することにより、加熱殺菌済みチルド麺の冷蔵保存におけるつるみや食感の老化が抑えられることが知られているが、これらの加工澱粉は、つるみや弾力などの食感が小麦粉本来食感と異なっており、また、風味の点で劣るといった課題があった。冷蔵で長期間保存するためには、大量の加工澱粉が必要となり、これらの加工澱粉を多く含む加熱殺菌済みチルド中華麺は風味や食感に欠けるものであった。そこで、従来よりも長く冷蔵で長期間保存されても、老化が抑えられ、中華麺の風味や食感に優れた加熱殺菌済みチルド中華麺を開発すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち、α-グルコシルトランスフェラーゼを含有することを特徴とする加熱殺菌済みチルド中華麺である。
また、本発明に係る加熱殺菌済みチルド中華麺はα-グルコシルトランスフェラーゼが主原料粉1kgに対して240U~2400U含むことが好ましい。
また、本発明に係る加熱殺菌済みチルド中華麺は、麺のpHが8.0~10.5であることが好ましい。
また、本発明に係る加熱殺菌済みチルド中華麺の製造方法としては、主原料粉1Kgに対してα-グルコシルトランスフェラーゼを240~2400U添加し、麺生地を作製した後、常法により製麺し、生麺を作製する製麺工程と、前記製麺工程で作製した前記生麺を蒸しまたは茹で処理により加熱する加熱工程と、前記加熱工程で加熱した蒸し麺または茹で麺を包材に密封し、60~100℃で10~50分間加熱殺菌する加熱殺菌工程と、を含むことが好ましい。
本発明により、冷蔵で長期間保存しても食感の劣化が抑制された加熱殺菌済みチルド中華麺及びその製造方法を提供することを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
1.麺原料配合
本発明に係る加熱殺菌済みチルド中華麺の主原料粉としては、小麦粉、大麦粉及び米粉等の穀粉、並びに馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉及びコーンスターチ等の各種澱粉が挙げられ、単独で使用しても、または混合して使用してもよい。前記澱粉として、生澱粉、α化澱粉、並びにアセチル化澱粉、エーテル化澱粉及び架橋澱粉等の加工澱粉を使用することもできる。
本発明に係る加熱殺菌済みチルド中華麺の主原料粉としては、小麦粉、大麦粉及び米粉等の穀粉、並びに馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉及びコーンスターチ等の各種澱粉が挙げられ、単独で使用しても、または混合して使用してもよい。前記澱粉として、生澱粉、α化澱粉、並びにアセチル化澱粉、エーテル化澱粉及び架橋澱粉等の加工澱粉を使用することもできる。
通常、加熱調理済みチルド中華麺は、焼きそばやラーメンなどの喫食時に再加熱する場合と、冷やし中華、冷やしラーメンなどの再加熱せずに喫食するものがあるが、老化が激しい場合や賞味期限を延ばすためにエーテル化リン酸架橋澱粉などの加工澱粉が使用されている。特に、再加熱せずに喫食する場合は、すぐに喫食できるように予め十分調理されるため、澱粉の糊化が進んでおり、澱粉が老化しやすく、老化を抑えるために大量の加工澱粉を使用する必要がある。加工澱粉の使用は、中華麺の風味や食感に影響を及ぼすが、本件発明によれば、使用する加工澱粉の添加量を少なくし、風味、食感を改善することや、同一の加工澱粉の添加量であっても、より老化が抑えられることにより、賞味期限を延長することができる。
その他の副原料粉として全卵粉、卵白粉などの卵粉、アルギン酸、焼成カルシウムやカルシウム製剤などの粉末物を添加することができる。
麺原料粉以外のその他麺原料として、本発明では、中華麺の製造において一般に使用されている食塩やアルカリ剤、リン酸塩類、麺質改良剤、食用油脂、pH調整剤、乳化剤、酵素、増粘剤、プロタミンなどの抗菌剤、カロチン色素等の各種色素及び保存料等を添加することができる。これらは、練り水に溶かすか懸濁させて添加すればよい。本発明においては、かんすいと呼ばれるアルカリ剤やリン酸塩類及び焼成カルシウムを用いて、加熱殺菌済みチルド中華麺のpHが8.0~10.5となるように調整することが好ましい。加熱殺菌済みチルド中華麺のpHが8.0未満であると中華麺としての風味が弱く、保存性に欠け、pHが10.5を超えるとα-グルコシルトランスフェラーゼによる効果が得られにくく、添加量を多くする必要がある。
本発明に係る加熱調理済みチルド中華麺は、α-グルコシルトランスフェラーゼを含む。本発明に係るα-グルコシルトランスフェラーゼは、澱粉を3糖程度単位で切断した後に別の糖鎖に転移する作用を持つ酵素であり、4‐α-グルカノトランスフェラーゼなどが挙げられる。本発明に係るα-グルコシルトランスフェラーゼは、耐熱性があることが好ましく、好ましくは麺中において80℃30分の加熱殺菌処理を行っても失活しないものが好ましい。
α-グルコシルトランスフェラーゼの添加方法としては、主原料粉に粉体混合しても、練り水に溶解してもよい。練り水に溶解する場合は、練り水のpHが11以上となることがあり、長時間練り水中で保存されると酵素の力価が弱くなるため、練り水作製後できる限り早く使用することが好ましい。
本発明に係るα-グルコシルトランスフェラーゼの添加量としては、主原料粉1kgに対して、240~2400Uとなるように添加することが好ましい。α-グルコシルトランスフェラーゼの添加量が少ないと酵素による効果が少なく、多すぎると麺の食感が柔らかくなるため好ましくない。
2.製麺工程
本発明に係る麺生地(ドウ)の作製方法は、常法に従って行えばよい。すなわち、バッチミキサー、フロージェットミキサー、真空ミキサー等で、主原料粉と副原料粉を混合した粉体と練り水とが均一に混ざるように混捏すればよく、そぼろ状のドウを作製すればよい。
本発明に係る麺生地(ドウ)の作製方法は、常法に従って行えばよい。すなわち、バッチミキサー、フロージェットミキサー、真空ミキサー等で、主原料粉と副原料粉を混合した粉体と練り水とが均一に混ざるように混捏すればよく、そぼろ状のドウを作製すればよい。
次いで作製したドウから生麺を作製する。作製方法としては、常法に従って行えばよく、エクストルーダ等を用いてドウを押し出して生麺を作製する方法や、ドウをロールにより粗麺帯とした後、複合等により麺帯化し、さらにロールにより複数回圧延し、所定の麺帯厚とした後、切刃と呼ばれる切出しロールにより麺帯を切出し、生麺を作製する方法が挙げられる。麺帯を作製してから生麺を作製する場合、エクストルーダを用いて麺帯を作製した後、圧延、切出しを行ってもよく、また、複数の麺帯を合わせて多層構造を持つ麺帯を作製した後、圧延、切出しを行ってもよい。エクストルーダ等を用いて押出し麺帯又は押出し麺線を作製する場合は、減圧下で行うことが好ましい。
3.加熱工程
作製した生麺を容易に喫食できるように蒸し処理または茹で処理により生麺を加熱し、蒸し麺または茹で麺を作製する。蒸し処理としては、例えば、飽和蒸気を噴出させた蒸気庫内に麺線5~15分程度通過されることで調理する方法が挙げられる。このとき、加熱効率を上げるため、蒸し機庫内において、スプレーや浸漬などにより麺線に水分を補給しながら加熱してもよい。また、茹で処理としては、茹で湯の温度が90℃以上なるように調整された茹で槽に生麺を60秒~180秒程度浸漬させることで調理する方法が挙げられる。茹で処理の方が蒸し処理よりも加熱度合いが高いため、本発明においては、蒸し処理の方が加熱による酵素失活が抑えられ好ましい。
作製した生麺を容易に喫食できるように蒸し処理または茹で処理により生麺を加熱し、蒸し麺または茹で麺を作製する。蒸し処理としては、例えば、飽和蒸気を噴出させた蒸気庫内に麺線5~15分程度通過されることで調理する方法が挙げられる。このとき、加熱効率を上げるため、蒸し機庫内において、スプレーや浸漬などにより麺線に水分を補給しながら加熱してもよい。また、茹で処理としては、茹で湯の温度が90℃以上なるように調整された茹で槽に生麺を60秒~180秒程度浸漬させることで調理する方法が挙げられる。茹で処理の方が蒸し処理よりも加熱度合いが高いため、本発明においては、蒸し処理の方が加熱による酵素失活が抑えられ好ましい。
4.加熱殺菌工程
次いで、加熱工程で作製した蒸し麺または茹で麺を15~35cm程度にカットし、必要によりシャワーや浸漬などにより水洗冷却をした後、所定量毎にポリエチレンやポリプロピレン等から成る包装フィルムに密封包装し、加熱殺菌する。
次いで、加熱工程で作製した蒸し麺または茹で麺を15~35cm程度にカットし、必要によりシャワーや浸漬などにより水洗冷却をした後、所定量毎にポリエチレンやポリプロピレン等から成る包装フィルムに密封包装し、加熱殺菌する。
水洗冷却する場合の方法としては、4~20℃程度冷水をシャワーするか、冷水をためた水槽に加熱した麺線を浸漬させる方法が挙げられる。このとき、水槽を複数槽用意し、段階的に麺線を水洗冷却することができる。また、水槽中にエアを噴出させることにより、麺線を動かしながら水洗冷却できる。
次いで、必要により水洗冷却した蒸し麺または茹で麺を所定重量ずつ、ポリエチレンやポリプロピレン等から成る包装フィルムに密封包装し、包装麺とする。このとき、麺線の結着防止のため、ほぐれ剤を添加することができる。ほぐれ剤としては、各種使用できるが、大豆由来の水溶性ヘミセルロースやアラビアガム、キサンタンガムなどの水溶液や食用油脂や乳化油脂などの油脂類を添加することができる。ほぐれ剤の添加量としては、包装する麺線の重量に対して3~15重量%添加することが好ましい。
本発明に係る加熱殺菌の方法としては、密封した包装麺を60~100℃の温度で10~50分加熱殺菌することが好ましい。100℃を超えると耐熱性があるといっても酵素が失活するため好ましくない。60℃未満であると加熱殺菌するための時間が長くかかり食感に影響が出てしまう。加熱殺菌の方法としては、例えば、60~100℃となるように飽和水蒸気で調整した加熱殺菌庫で10~50分間加熱殺菌すればよい。
次いで加熱殺菌した包装麺を冷却する。冷却方法は、特に限定はなく、冷水をシャワーして冷却する方法や自然放置、送風や冷風を当てて冷却する方法などにより冷却した後、10℃以下の低温庫に入れて冷蔵保存すればよい。
5.その他工程
冷却した包装麺は、包装した液体スープや薬味等を添付してさらに容器や袋に包装し、加熱殺菌済みチルド中華麺製品とすることができる。
冷却した包装麺は、包装した液体スープや薬味等を添付してさらに容器や袋に包装し、加熱殺菌済みチルド中華麺製品とすることができる。
加熱殺菌済みチルド中華麺は、10℃以下(0℃以上)のチルド帯と呼ばれる温度帯で冷蔵保存し、販売することができる。本発明に係る加熱殺菌済みチルド中華麺は、通常の製品よりも長期間冷蔵保存しても食感が劣化しにくいため、従来よりも賞味期限を大幅に延長した加熱殺菌済みチルド中華麺の提供することができる。また、老化防止のために使用する加工澱粉の量を減らすことが可能となり、従来よりも風味や食感に優れた加熱殺菌済みチルド中華麺の提供が可能となる。
以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。
<実験1>蒸し中華麺での検討
(実施例1)
小麦粉(中力粉)950g、馬鈴薯澱粉50gからなる麺原料粉1Kgにα-グルコシルトランスフェラーゼ製剤(もちソフト(登録商標)雅:オリエンタル酵母社,240U/g)を1g添加して粉体混合し、食塩10g、かんすい製剤4g(炭酸ナトリウム5:炭酸カリウム4:重合リン酸塩1)、クチナシ色素0.8g、抗菌剤5g(グリシン9:白子たんぱく1)を380mlの水に溶解した練り水(pH11.0)を加え、常圧ミキサーで15分間混捏し、ドウ(麺生地)を作製した。
(実施例1)
小麦粉(中力粉)950g、馬鈴薯澱粉50gからなる麺原料粉1Kgにα-グルコシルトランスフェラーゼ製剤(もちソフト(登録商標)雅:オリエンタル酵母社,240U/g)を1g添加して粉体混合し、食塩10g、かんすい製剤4g(炭酸ナトリウム5:炭酸カリウム4:重合リン酸塩1)、クチナシ色素0.8g、抗菌剤5g(グリシン9:白子たんぱく1)を380mlの水に溶解した練り水(pH11.0)を加え、常圧ミキサーで15分間混捏し、ドウ(麺生地)を作製した。
作製したドウを複合して12mmの麺帯を作製し、ロール圧延にて1.8mmまで麺帯を圧延した後、16番角のロール切刃にて麺帯を切断し、麺線とした。
切断した麺線に対して飽和蒸気400kg/hr流入した蒸気庫(99℃以上)中で水シャワー(6L/min)を2回行い、麺線水分を供給しながら5分間蒸し処理した。蒸し処理した麺線を約20cmでカットし、10℃の冷水に20秒漬けて水洗冷却を行い、十分に麺を冷却した後、150gずつポリエチレンの容器に入れ、サラダ油を5g添加し、シールし密閉した。
密閉包装した麺線を蒸気で85℃に調整した加熱殺菌庫で20分間加熱殺菌した後、送風冷却をして粗熱を取り、10℃以下の低温庫に一晩保管して、加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを作製した(pH8.5)。さらに老化感の評価として加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを10℃以下の冷蔵庫で最長41日間保管した。
(実施例2)
α-グルコシルトランスフェラーゼの添加量を5gとする以外は、実施例1の方法に従って加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを作製した。
α-グルコシルトランスフェラーゼの添加量を5gとする以外は、実施例1の方法に従って加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを作製した。
(実施例3)
α-グルコシルトランスフェラーゼの添加量を10gとする以外は、実施例1の方法に従って加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを作製した。
α-グルコシルトランスフェラーゼの添加量を10gとする以外は、実施例1の方法に従って加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを作製した。
(比較例1)
α-グルコシルトランスフェラーゼを添加しない以外は、実施例1の方法に従って加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを作製した。
α-グルコシルトランスフェラーゼを添加しない以外は、実施例1の方法に従って加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを作製した。
(比較例2)
主原料粉を小麦粉(中力粉)700g、ヒドロキシプロピルエーテル化澱粉300gとする以外は、比較例1の方法に従って加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを作製した。
主原料粉を小麦粉(中力粉)700g、ヒドロキシプロピルエーテル化澱粉300gとする以外は、比較例1の方法に従って加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを作製した。
各試験区のサンプルを調理し、官能評価を行った。調理方法は、各サンプルをフライパンにのせ、水を60ml入れ中火で解しながら1分加熱し、水分が飛んだところで粉末ソース10gを入れ混ぜ、更に中火で1分加熱し、チリチリと焼けた音がしだしたところで火を止めて喫食サンプルとした。
官能評価は、冷蔵保存1日後のサンプルについては食感、風味を評価し、更に食感については、冷蔵保存後15日後、20日後、27日後、32日後、38日後、42日後のサンプルについて評価した。評価については、非常に良好なものを5、良好なものを4、商品として可なものを3、喫食できるが商品として不可なものを2、喫食不可なものを1とした。なお、食感については、1日後のサンプルは、焼きそばとしての食感を評価し、冷蔵保存11日後以降は、麺の切れやすさ、表面のつるみ、表面の硬さ、芯の粘りの無さなど老化感を中心に評価を行った。評価結果について下記表1に記載する。
表1で示すように、通常品である比較例1では、冷蔵1日後の食感、風味は良好であるが、冷蔵15日後から表面の硬さ、芯の粘りの無さいわゆる老化した食感を感じるようになり、冷蔵後27日後では、更に老化した食感が強く、麺切れが発生した。さらに冷蔵保存すると食感が硬脆くなり、麺切れが著しくなった。
それに対し、実施例1~3で示すように、α-グルコシルトランスフェラーゼを添加することによって、冷蔵保存後の老化による食感の劣化を抑えることができた。実施例1~3で示すように、添加量が少ないと加熱殺菌によって酵素が失活するため、酵素の効き目が弱く、添加量を増やすと製造後の食感がねちっこさを感じるようになった。
比較例2で示すように、エーテル化リン酸架橋澱粉であるヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉を添加することで、冷蔵保存中の老化による食感劣化を抑制できるが、製造後の風味や食感がヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉を添加していない比較例1と比べて劣り、また、実施例1~3と比べても商品限界を早く迎えた。これは、α-グルコシルトランスフェラーゼが麺全体の澱粉に作用するのに対し、比較例2では、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉以外の小麦粉由来の澱粉が老化していくためと考えられた。老化を防止し、賞味期限を延長するためには、さらに小麦粉の添加量を減らしてヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉の添加量を増加することが考えられるが、製造後の風味や食感が比較例2よりもさらに劣ることが予想される。
<実験2>茹で中華麺(冷やし中華)での検討
実験1の蒸し中華麺は、調理時に再加熱があるため、加熱工程による澱粉の糊化度合いが低いが、加熱工程による澱粉の糊化や水分量が高い喫食時に再加熱しないタイプの茹で中華麺(冷やし中華)でも同様の効果があるか検証した。
実験1の蒸し中華麺は、調理時に再加熱があるため、加熱工程による澱粉の糊化度合いが低いが、加熱工程による澱粉の糊化や水分量が高い喫食時に再加熱しないタイプの茹で中華麺(冷やし中華)でも同様の効果があるか検証した。
(実施例4)
小麦粉(中力粉)550g、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉450g、からなる主原料粉1kgにグルテン140g、焼成カルシウム5g、アルギン酸5g、卵黄粉末10g、α-グルコシルトランスフェラーゼ製剤(もちソフト(登録商標)雅:オリエンタル酵母社,240U/g)を5g添加して粉体混合し、食塩8g、かんすい製剤12g(炭酸ナトリウム5:炭酸カリウム4:重合リン酸塩1)、カロチン色素4g、トレハロース10gを400mlの水に溶解した練り水を加え、4分間混捏した後、-500mmHgの減圧下で8分間混捏し、ドウを作製した。
小麦粉(中力粉)550g、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉450g、からなる主原料粉1kgにグルテン140g、焼成カルシウム5g、アルギン酸5g、卵黄粉末10g、α-グルコシルトランスフェラーゼ製剤(もちソフト(登録商標)雅:オリエンタル酵母社,240U/g)を5g添加して粉体混合し、食塩8g、かんすい製剤12g(炭酸ナトリウム5:炭酸カリウム4:重合リン酸塩1)、カロチン色素4g、トレハロース10gを400mlの水に溶解した練り水を加え、4分間混捏した後、-500mmHgの減圧下で8分間混捏し、ドウを作製した。
作製したドウを複合して12mmの麺帯を作製し、ロール圧延にて1.35mmまで麺帯を圧延し、20番角のロール切刃にて麺帯を切断し、麺線とした後、約25cmとなるようにカットし生麺を作製した。
次いで、0.1重量%塩化カルシウム水溶液を沸騰させた茹で湯で作製した生麺を2分30秒茹で処理し、10℃の冷水に30秒漬けて水洗を2回行い、十分に麺を冷却した後、140gずつポリエチレンの容器に入れ、大豆由来の水溶性ヘミセルロース5重量%、キサンタンガム0.25重量%水溶液からなるほぐれ剤を10g充填し、シールし密閉した。
密閉包装した麺線を蒸気で75℃に調整した加熱殺菌庫で30分間加熱殺菌した後、送風冷却をして粗熱を取り、10℃以下の低温庫に1日保管して、加熱殺菌済みチルド中華麺サンプル(冷やし中華)を作製した。さらに老化感の評価として加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを10℃以下の冷凍庫で最長18日間保管した。(pH10.5)
(実施例5)
小麦粉の添加量を775g、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉225gとする以外は、実施例4の方法に従って加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを作製した。
小麦粉の添加量を775g、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉225gとする以外は、実施例4の方法に従って加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを作製した。
(比較例3)
α-グルコシルトランスフェラーゼを添加しない以外は、実施例1の方法に従って加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを作製した。
α-グルコシルトランスフェラーゼを添加しない以外は、実施例1の方法に従って加熱殺菌済みチルド中華麺サンプルを作製した。
各試験区の調理済みチルド中華麺サンプルに冷やし中華用のたれを40ml加え、よくほぐした後、喫食し、官能評価を行った。官能評価は、冷蔵保存1日後のサンプルについては食感、風味について評価し、更に食感については、冷蔵保存後4日後、10日後、18日後のサンプルについて評価した。評価結果を下記表2に示す。
茹で中華麺(冷やし中華)の通常品である比較例3は、加熱調理が無く、糊化度が高いため、老化しやすく、老化防止のためヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉を主原料粉の半分弱使用している。そのため、中華麺の風味は弱く、表面がべたつき、食感もヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉由来の柔らかい食感を感じる。商品限界も冷蔵後10日後であった。
それに対し、実施例4で示すように、α-グルコシルトランスフェラーゼを添加することにより、冷蔵保存1日後の風味、食感は変わらないが、表面のべたつきが無く、ほぐれが良好であり、また老化の進行も抑えられ、商品限界も冷蔵後18日後まで伸びた。
実施例5で示すように、老化防止のために添加しているヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉を比較例3に対して半減した場合でも、α-グルコシルトランスフェラーゼを添加することにより、冷蔵保存1日後の風味、食感が良くなり、商品限界も比較例3とほぼ同等となった。
Claims (4)
- α-グルコシルトランスフェラーゼを含有することを特徴とする加熱殺菌済みチルド中華麺。
- α-グルコシルトランスフェラーゼが主原料粉1kgに対して240U~2400U含むことを特徴とする請求項1記載の加熱殺菌済みチルド中華麺。
- 前記低温殺菌済み中華麺のpHが8.0~10.5であることを特徴とする請求項1または2記載の加熱殺菌済みチルド中華麺。
- 主原料粉1Kgに対してα-グルコシルトランスフェラーゼを240~2400U添加し、麺生地を作製した後、常法により製麺し、生麺を作製する製麺工程と、
前記製麺工程で作製した前記生麺を蒸しまたは茹で処理により加熱する加熱工程と、
前記加熱工程で加熱した蒸し麺または茹で麺を包材に密封し、60~100℃で10~50分間加熱殺菌する加熱殺菌工程と、を含むことを特徴とする加熱殺菌済みチルド中華麺の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2021/025542 WO2022024691A1 (ja) | 2020-07-31 | 2021-07-07 | 加熱殺菌済みチルド中華麺及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020130292 | 2020-07-31 | ||
JP2020130292 | 2020-07-31 |
Publications (1)
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JP (1) | JP2022027502A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7181429B1 (ja) * | 2022-03-17 | 2022-11-30 | 日清製粉株式会社 | 再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み麺類の製造方法 |
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2021
- 2021-07-05 JP JP2021111200A patent/JP2022027502A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7181429B1 (ja) * | 2022-03-17 | 2022-11-30 | 日清製粉株式会社 | 再加熱されずに喫食される冷蔵調理済み麺類の製造方法 |
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