JP3980209B2 - ウェットタイプの麺類の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食感が改良されたウェットタイプの麺類、具体的には、高濃度の塩溶液での麺線の茹で処理を経て得られた、常温または冷蔵保存で数日間から数ヶ月間の保存が可能なウェットタイプの麺類、ならびにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ウェットタイプの麺類とは、α化処理した麺を乾燥させないで流通させるタイプの麺類であって、そのα化の方法(茹で処理または蒸し処理)の違いによって、通常、茹で麺と蒸し麺に分けられる(茹で処理と蒸し処理の双方を併用する場合もある)。 また、このようにして得た麺を凍結させて得た冷凍麺や、静菌処理を実施または実施せずにチルド流通に供されるチルド麺、そして、麺線を密封包装した後に加熱することで常温での長期保存性を付与したLL麺、レトルト麺、アセプティック麺等もウェットタイプの麺類に属する。
【0003】
ところで、市場で日配品として販売されている「茹で麺」や「蒸し麺」と称される麺は、生の麺線(麺生地を切り出し/押し出して麺線状にしただけの麺)を茹で処理または蒸し処理してα化した麺であって、その保存期間は数日程度である。 一方で、これら茹で麺や蒸し麺を冷蔵保存するタイプの「チルド麺」には、これら茹で麺や蒸し麺をそのままで、または、さらにアルコール等の静菌剤で処理したもの、さらには、後述のLL麺の製法においてその殺菌条件を緩和して得たもの等があり、これらは、冷蔵下で数日〜1ヶ月程度の保存期間を有するものが一般的である。
【0004】
また、ロングライフ麺または生タイプ即席麺とも呼ばれている「LL麺」とは、α化した麺線を酸液処理して麺線pHを所定値以下にまで下げた後に、密封包装して加熱殺菌して得られた、常温での長期保存が可能な麺類であり、前出の酸液処理に代えて、他の薬液(例えば、アルコールやグリシン溶液)による麺線の処理工程を経て得られた麺類もある。
【0005】
その他に、α化した麺線を密封包装して加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)して得られた、常温での長期保存が可能な麺類である「レトルト麺」や、無菌状態の茹で麺や蒸し麺を無菌包装してなる、長期保存が可能な「アセプティック麺」などもある。
【0006】
このように、ウェットタイプの麺類には様々な態様のものがあるが、これら麺類の麺線は、通常、水分含量が高くウェットな状態(湿潤状態)であるため、保存中もしくは加熱殺菌中に麺線水分が麺線内で均衡化して麺線のコシが経時的に喪失し、いわゆる「伸びた」状態の麺線となってしまう欠点があった[但し、ウェットタイプの麺類であっても、冷凍麺の麺線にあっては、水分が凍結して麺線組織内に固定されている(麺線内で水分は移行しない)ので、冷凍麺に於いては麺線内部の水分勾配に起因する問題は生じない]。
【0007】
このようなウェットタイプの麺類に於ける欠点を改良し、麺線にコシと硬さを付与する多くの技術が提案されている。 最も一般的な技術として、製麺原料に、グルテン等の蛋白素材、増粘剤、あるいは小麦蛋白等に作用する酵素類を添加する方法等があるが、これら方法は麺線の水分含量を調節するものではないので、麺線中心部の水分含量が低いことによってもたらされる(茹で麺の茹で上げ直後の)硬い食感や、コシのある食感にははるかに及ばないものであった。
【0008】
一方、麺線の水分含量を調節して麺線にコシや硬さを付与するための技術も幾つか提案されている。 例えば、麺線を半茹で状態にとどめた後に密封包装して加熱処理する方法(特開昭52−51045号)や、麺線水分含量を30〜50重量%に調整して麺線をレトルト殺菌する方法(特開昭58−862号)等があるが、これらは、いずれも麺線の水分含量を低く抑えることで食感を改良することを意図するものである。 しかし、これら先行技術は、茹で時間を短縮化したり、製麺時の加水量を減らすことで水分含量の低減を図っているものであるが、本発明者らがこれら先行技術を再現して得た実験結果によると、麺線を茹で処理すると麺線水分含量はすぐに上昇してしまい、中華麺等の細麺の場合(特に、麺線厚2mm以下、切り刃15番以上の切り刃)に至っては、ほんの5秒程度の茹で処理で、麺線の水分含量は麺線のコシを喪失するのに充分なまでに上昇してしまった。 従って、水分含量の少ない状態の麺を得るには、麺線を茹で処理せずに軽く蒸すか、茹でた麺線を乾燥させて水分含量を下げるか、あるいは乾麺を茹で戻す等の方法を用いる必要があり、従って、細麺の場合、通常の茹で処理によって麺線の水分含量を調節することは非常に困難であった。
【0009】
一方、麺線が太い(太麺の)場合や、乾麺を茹で戻す場合、あるいは茹で処理せずに麺線を軽く蒸し処理する場合においては、水分含量を低く調整することは可能ではあるが、水分含量を低く調整するための茹で処理または蒸し処理の時間管理は容易ではない。 しかも、これらの方法で麺線の水分含量を低く調整した場合は、麺線のα化が不十分で、喫食時に良く炊いて調理しないと麺線自体に粉質感(粉っぽさ)が残り、また、弾力性を欠いた、いわゆる調理感のない麺になる問題点があった。 この調理感のない食感は、特に熱湯注加によって喫食するタイプのカップ入りの麺(例えば、カップ入りLL麺)にて顕著に発生していた。
さらに、麺線を蒸し処理すると、麺線にウェーブが付く場合があり、特に、うどんやスパゲティ等にこの技術を応用した場合には、製品の外観が悪くなる問題点もあった。
【0010】
以上のように、本発明は、ウェットタイプの麺類において、製麺原料に特殊な素材を添加せずとも、麺線に適度な硬さとコシを付与でき、とりわけ、中華麺等の細麺でも麺線の水分含量の調整を可能とし、これによって、好ましい食感の麺を得ることを発明の目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上掲の課題を解決すべく発明されたものであって、その要旨とするところは、麺線を高濃度の塩濃度の塩溶液で茹で処理する工程を経て製造された、ウェットタイプの麺類、ならびにその製造方法にある。 特に、本発明は中華麺等の細い麺線や、麺線をα化処理した後にさらに加熱殺菌を経て製造される、LL麺やレトルト麺等の長期保存可能なタイプの密封包装麺に対して、特に有用な技術である。
【0012】
すなわち、本発明の方法とは、冷凍麺を除くウェットタイプの麺類の麺線を、塩濃度が15%(w/v)〜飽和濃度、好ましくは、20%(w/v)〜飽和濃度の塩溶液(茹で液)で該麺線を茹で処理する工程を含むウェットタイプの麺類の製造方法に関し、具体的には、(a) 製麺原料に水を加えて混練して麺生地を調製し、(b) 該麺生地を押し出しまたは圧延した後に切り出して麺線を得、および(c) 該麺線を15%(w/v)〜飽和濃度の塩濃度の塩溶液で茹でてα化処理する、工程を含むウェットタイプの麺類の製造方法にある。
【0013】
本発明での茹で液に利用できる塩(類)としては、水に溶解可能な、中性に近い水溶性塩が好ましく、特に、食塩および/または有機酸塩、具体的には、食塩、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウムおよびこれらの混合物(混合塩)などが好ましい。
【0014】
また、麺線を塩溶液で茹でた後に麺線を水洗することで麺の食味を改良できる。
また、麺線を塩溶液で茹でる工程の前および/または後に、麺線の茹で工程または蒸し工程を追加することで、麺線のα化度を高め、調理感をさらに向上させることができる。
【0015】
また、前記製造工程(a)〜(c)の後に、α化処理した麺線を密封包装して加熱殺菌処理する工程を加え、さらに同工程において、α化処理した麺線を密封包装する前に、任意に、酸液処理または静菌作用を有する薬液(例えば、アルコールやグリシンの溶液)で麺線を処理することで、保存期間の長いウェットタイプの麺類とすることができる。 このような長期保存に供するウェットタイプの麺類の場合、加熱殺菌工程を経ることで、通常は、麺線のコシが喪失する傾向が顕著であるが、本発明の方法によれば、このような不都合の解消が期待される。
【0016】
さらに、製麺原料にアルギン酸とアルカリ剤を加え、かつ、α化処理した麺線を酸液処理する工程を導入することで、より強靱なコシのある、食感の良好な麺を得ることができる。
【0017】
ところで、本発明における麺線の茹で処理とは、高温(澱粉の糊化温度以上の温度)の塩溶液に麺線を浸漬処理するものであって、好ましくは、80℃以上の温度の塩溶液に麺線を浸漬する。
【0018】
なお、本発明の方法はウェットタイプの麺類であれば何れにも適用できるが、中華麺等の細い麺線、具体的には麺厚が2.0mm以下の麺に適用することで、従来困難であった細い麺線についてもその水分含量を低く抑えることができる。
【0019】
このように、本発明によれば、麺線の水分含量を低くすることができるので、ウェットタイプの麺であっても、硬く、かつ自然なコシが付与された麺線を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本明細書において使用する「ウェットタイプの麺」または「ウェットタイプの麺類」の語には、冷凍麺は含まれない。 これはすなわち、冷凍麺の麺線中に含まれる水分は凍結状態にあるため、冷凍麺の麺線内で水分が移動することはなく、よって、冷凍麺にあっては、ウェットタイプの麺類に特有の麺線内部の水分勾配(水分移行)に起因する前述した不都合は生じ得ないことによる。 よって、本明細書において使用する「ウェットタイプの麺」または「ウェットタイプの麺類」からは、特に断りのない限り、冷凍麺は除外される。
【0021】
また、チルド麺の中にはα化を施さずに得た生の麺(切り出し麺等の狭義の生麺)をそのまま包装するものもあるが、本発明はα化処理したウェットタイプの麺類用の麺線に対して適用されるものであることから、狭義の生麺のチルド麺は、本明細書において使用する「チルド麺」の語から除外される。
【0022】
本発明に用いられるウェットタイプの麺類の麺線としては、常法によって製麺して麺線としたものを用いることができる。 この「常法」とは、小麦粉等の穀粉や澱粉に、必要に応じて、かんすいや食塩、それに増粘剤やグルテン等の蛋白素材、酵素素材、麺質改良剤などや、その他の副原料を添加し、これに水を加えて混練して混練物を得、この混練物(麺生地)を圧延によって麺帯とした後に切り出すか、もしくはこの混練物を押し出して麺線とする方法を指す。 このようにして製麺された麺は狭義の「生麺」と呼ばれ、水分含量は通常30〜40%程度である。 当該製麺工程において、製麺原料の混練や麺帯の形成を減圧下で行ったり、得られた麺帯や麺線を熟成させることで、麺線のコシや食感を向上させることもできる。
【0023】
また、製麺原料にアルカリ剤とアルギン酸を添加し、後工程にて酸液処理したり、あるいは製麺原料にトランスグルタミナーゼや多量のグルテンを添加することによって、麺線のコシをさらに強化することもできる。 また、製麺工程において、複数の麺帯を重ね合わせて多層麺とし、この麺帯の内層に麺線のコシを強化する素材を添加することで、中芯感のある良好な食感の麺とすることもできる。 さらに、この場合でも、製麺原料の混練や麺帯の形成を減圧下で行う方法や、得られた麺線を一旦乾燥させる等の方法によって、麺線のコシや食感を向上させることができる。
【0024】
製麺原料にアルギン酸とアルカリ剤を添加して、後の工程で麺線を酸液処理する方法は、麺線のコシを強化する上で極めて有効な方法であるが、この場合のアルギン酸の添加量としては、水以外の製麺原料1kg当たり約0.5g以上、好ましくは約1g〜約20gとし、また、好ましくは、麺生地pHが約6.5〜約9になるようにアルカリ剤を添加する。 本明細書で使用する「アルギン酸」の語は、アルギン酸の他、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等のアルギン酸塩やアルギン酸のエステル等を含み、これらのいずれもが使用可能である。 同様に、本明細書で使用する「アルカリ剤」の語には、かんすい、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、あるいはこれらの混合物等が包含され、これらのいずれもが使用可能である。
【0025】
本発明はこれら麺線を1食分づつに取り分けた後(麺線の取り分け(玉取り)は、麺線の茹で処理前に限らず、麺線を密封包装するまでの間であれば、何れの時点でも実施できる)、これら麺線を高濃度の塩溶液中で茹でる。 なお、使用する麺線は生の麺線である必要はなく、乾麺や即席麺、あるいはその他加工した麺線や、これらを茹で戻したものでも使用できる。
【0026】
本明細書で使用する「茹でる」の語は、麺線を水溶液中でα化処理する工程を指し、実質的に茹で処理と同等の効果が得られる高温の塩溶液への麺線の浸漬処理も含む。 ちなみに、麺線のα化が全く進まない低い温度の塩溶液に麺線を浸漬しても、本発明の効果はほとんど得られない。 本発明での茹で処理温度としては、所望の麺質を獲得する観点から、澱粉の糊化温度以上、好ましくは80℃以上の温度、特に好ましくは沸騰塩溶液で炊いて処理する。 これは、澱粉の糊化温度以下の温度の塩溶液に麺線を浸したのでは、麺線のα化が進まず、所望の麺質がほとんど得られないためである。 本発明の方法によれば、茹で時間が長くなっても、麺線水分が低く抑えられ、特に、塩濃度が20%(w/v)以上の濃度の塩溶液で麺線を茹で処理すると、長時間茹でても麺線の水分含量はほぼ一定値であるので、麺線の茹で伸びが少なく、また、茹で時間が長くとも、麺のコシが維持できるため、結果として、茹で処理時間の管理が容易になる。
【0027】
本発明で使用できる塩とは、水に15%(w/v)以上溶解する水溶性の塩であって、酸性、アルカリ性の別は特に問わないが、麺の食味や麺質に与える影響を考慮すれば、中性か略中性の塩が好ましい。 本発明において好ましい塩としては、食塩、塩化カリウム等の無機塩、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム等の有機酸塩が使用でき、特に、食塩、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、およびこれらの混合塩などが好ましい。
【0028】
また、本発明にあっては、これらの塩を添加したのと実質的に同様の酸とアルカリの混合、例えば、乳酸と炭酸ナトリウムを茹で液に添加して乳酸ナトリウムとして利用する等の方法も選択できる。 またさらに、2種類以上の塩からなる混合塩を使用すると、各塩が呈する好ましくない味の発現が抑えられるので、使用する塩の組み合わせを注意して選択することで、所望の食味の獲得に至る場合がある。 例えば、本発明における好ましい塩の組み合わせとして、食塩と乳酸ナトリウムからなる混合塩がある。
【0029】
本発明にあっては、茹で液の塩濃度を高濃度、特に、約15%(w/v)〜飽和濃度、好ましくは、約20%(w/v)〜飽和濃度の塩濃度の塩溶液または混合塩溶液が好適に使用される。 混合塩溶液の場合、水に溶けている混合塩全体の塩濃度が、前出の濃度域になるように調整する。 なお、飽和食塩水を塩溶液として用いる場合でも、後工程で水洗工程を経ることで、過剰に塩辛い麺にはならず、また、スープの塩分を減らす手段を別途講ずる等すれば、麺の食味に関する問題点は解消される。
【0030】
また、本発明においては、高濃度の塩溶液で麺線を茹で処理する工程に加えて、別途、任意に、麺線の蒸し工程や、水または任意の物質を溶解して調製した溶液による麺線の茹で工程を追加することもできる。 このような追加の蒸し工程や茹で工程は、高濃度の塩溶液で麺線を茹でる前または後、あるいは前後双方に導入できる。 なお、本発明による塩溶液での茹で処理の前に追加の蒸し工程を導入すると、麺線のウェーブが固定されてしまうので、麺線にウェーブを付けたくない場合には、塩溶液での茹で処理の前に蒸し工程を追加しない方がよい。
【0031】
本発明に従って高濃度の塩溶液で麺線を茹でた後、もしくは、さらに追加の蒸し工程や茹で工程を経て麺線をα化処理した後に、好ましくは、これら麺線を水洗する。 この水洗作業は、主に、麺線表面の塩や麺線表面のぬめりを洗い流すためのものであり、また、水洗用の水としては、常温の水道水で十分である。 そして、この水洗作業は、α化処理した麺線に水を噴霧またはシャワーするか、あるいはα化処理した麺線を水に浸す方法等が使用できる。
【0032】
上述のようにして製造された茹で麺、または茹で処理および蒸し処理した麺をそのまま流通する場合は、この時点での麺をそのまま包装して製品とすることもできる。 また、この麺を包装および冷蔵して、保存期間が数日間程度のチルド麺として製品化することもできる。
【0033】
続いて、必要に応じて、α化処理した麺線を酸液処理する。 この酸液処理は、LL麺の製造工程にあっては必須工程であり、また、レトルト麺やチルド麺の場合にあっては任意工程である。 ところで、本明細書で使用する「酸液処理」の語は、乳酸、クエン酸、酢酸等の、好ましくは有機酸の水溶液に麺線を浸漬するか、またはこれら有機酸水溶液を麺線に噴霧して処理する工程を指す。 LL麺の場合、酸液処理によって、麺線pHを約4.6以下に調整する必要がある。 なお、酸液処理を麺線の茹で処理後に行なわずに、前掲の塩溶液に有機酸等を添加して調製した酸性の茹で処理液で茹で処理して麺線pHを低下させることもできる。 しかし、塩溶液による茹で処理と同時に酸液処理を行う場合は、使用する塩が有機酸塩等の場合には、酸液処理用の酸と茹で液中の塩が緩衝作用を起こして麺線pHが下がりにくい場合があるので注意を要する。
【0034】
また、保存期間が数日間〜1ヶ月程度のチルド麺等において酸液処理を行う場合は、酸液pHをやや高めの約4.5〜約6程度として酸液処理するのが好ましい。
【0035】
一方、製麺原料にアルギン酸を添加して麺のコシを強化する場合には、所望の麺質を獲得するために、酸液処理して、酸液処理後の麺線pHを約6以下とする必要がある。 なお、上述の酸液処理に代えて、アルコールやグリシン等の溶液(薬液)に麺線を処理することで、保存期間を延ばす方法も使用できる。
【0036】
製品形態がチルド麺の場合で、通常保存期間が数日間から数週間のものは、上述のように麺線を酸液処理または薬液処理した後に、好ましくは、水洗して包装し、商品として流通することもできる。
【0037】
一方、さらに長期保存性を付与する場合には、上記のようにして酸液処理をした麺、または酸液処理をしていない麺を、好ましくは、水洗および包装して包装体ごと加熱殺菌する。 使用する包装体としては、数ヶ月以上の保存期間を有するLL麺や、レトルト麺等の麺類の場合は、密封包装する必要があり、レトルトパウチや、缶詰容器(缶体)の他、加熱殺菌によっても破損せず、また加熱殺菌後に完全に密閉できる構造の容器を使用する。 なお、保存期間が数週間以内のものは、必ずしも完全密封包装する必要はない。 麺線を完全密封して加熱する場合、調理時に麺線のほぐれが悪くなる場合が多いので、好ましくは、密閉時に麺線と一緒に油脂を添加したり、少量のほぐれ改良剤を麺線表面に添加する。 麺線の加熱殺菌処理は、LL麺等の長期保存を行う麺や比較的保存期間の長いチルド麺の場合、通常は常圧下またはやや加圧した条件下で、蒸気殺菌庫で加熱するが、包装体ごと熱湯に浸漬して加熱しても良い。 この際の加熱温度は、85℃で30分以上、通常は、95℃で20分以上行う。 一方、レトルト麺の場合は、加圧下、一般的には、120℃程度で、数分〜十数分程度かけて加熱殺菌を行う。
【0038】
加熱殺菌された密封状態の麺塊は、一般的には、密封包装したまま、もしくは外袋で包装されて、袋入り麺として市場に流通されるか、または密封包装したままスチロール製や紙製のカップ状容器に包装されてカップ麺として市場に流通される。
【0039】
本発明による製品の商品形態としては、ラーメン、焼きそば等の中華麺、うどん、そば、そうめん等の和風麺の他、スパゲティ等の形態にも応用が可能である。 また、本発明の製造方法によって製造されたウェットタイプの麺類は、包装体から取り出して炊いて調理して喫食するタイプ(炊き込みタイプ)や、熱湯注加するだけで喫食可能なタイプ(ワンタッチタイプ)のいずれにも応用できる。
【0040】
本発明の製造方法によるウェットタイプの麺類の水分含量(喫食調理前)は、麺線の太さによって全く異なるが、通常、同様の麺を沸騰水で茹でた場合に比べて、概ね、約2〜約15%程度低い。
【0041】
【実施例】
本発明を、その好適な実施例に基づいて、以下に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例の開示に基づいて限定的に解釈されるべきでない。 なお、実施例相互において、麺線の水分含量と食感の評価に差異が認められるものがあるが、これは所望の食感を発現するために必要な麺線の水分含量の至適値が、麺線の太さによって異なることによる。
【0042】
実施例1:茹で時間と麺線水分含量/麺の食感との関連性の検討
以下の方法に従って、麺線の茹で時間が、麺線(太麺)の水分に与える影響を検討した。
【0043】
小麦粉(準強力粉)800gと澱粉200gからなる原料粉に対して、炭酸ナトリウム1.5gを溶解した練り水350mlを加えて、ミキサーで15分間混練して麺生地を作成した。 この麺生地を、麺帯機に通して圧延し、最終の麺帯厚を3.2mmとし、次いで、この麺帯を角刃9番で切り出して麺線を得た。 そして、この麺線を1食分(100g)づつ取り分け、0%、15%および飽和濃度(理論値:39.8%(w/v))の塩濃度(%(w/v))の食塩水で、1分間または2分間、沸騰状態で茹で処理した。 茹で処理した後に、これら麺塊を30秒間放冷した後、30秒間水道水で水洗し、そして、15g/lの乳酸水溶液に1分間浸漬して麺線pHを4.3前後に調整した。この麺線を、2.5mlの白絞油(ほぐれ改善剤)とともに、14cm×16cmの大きさのレトルト殺菌用パウチに充填密封し、それらを蒸気殺菌庫内で、98℃、35分間加熱殺菌した。
【0044】
そして、得られた各麺線(LL麺)を潰した後、麺線の乾燥重量に基づいて麺線の水分含量を測定した。 また、麺の食感に関する官能検査として、5人のパネラーが、得られた各麺線(塊状:麺塊)を、丼型のスチロール製容器(口径15cm、深さ7cm)に入れ、400mlの熱湯を注いで、箸でほぐして即座に試食した。
【0045】
そして、麺の硬さについて評価してもらい、パネラーの平均的な意見をとりまとめた。 これらの結果を、以下の表1に示した。
【0046】
【表1】
Figure 0003980209
【0047】
表1の結果から明らかなように、茹で液の食塩濃度が高いほど、麺線の水分含量が少なくなり、コシのある硬めの食感になることが認められた。 また、1分間の茹で時間では、水で茹でた場合でもやや柔らかい程度の麺線が得られたが、茹で時間を2分間とすると、麺線が伸びてしまい、1分間の茹で処理時と比較して麺線水分が5%程度上昇していた。 一方、15%(w/v)以上の食塩濃度では、2分間茹で処理しても水分含量に変化は認められず、また、麺線の茹で伸びも無く、好ましい食感が認められた。
【0048】
なお、1分間の茹で処理時間では、いずれの麺線も弾力性が弱く、粉質感が残り、いわゆる調理感の不足が否めなかった。
【0049】
実施例2:茹で時間および茹で液の塩濃度と麺線の食感と水分含量との関係
3種類の太さの麺線に関して、茹で時間と茹で液の塩濃度が、麺線の食感と水分含量に与える影響を、以下の方法によって検討した。
【0050】
小麦粉(準強力粉)800gと澱粉200gからなる原料粉に対して、かんすい1.5gを溶解した練り水350mlを加えて、ミキサーで15分間混練して麺生地を作成した。 この麺生地を、麺帯機に通して圧延し、最終麺帯厚を1.7mm、1.9mmまたは2.1mmとし、次いで、1.7mmの麺帯厚の麺帯を角刃18番(麺線幅1.67mm)で、1.9mmの麺帯厚の麺帯を角刃16番(麺線幅1.88mm)で、そして、2.1mmの麺帯厚の麺帯を角刃14番(麺線幅2.14mm)で、それぞれ切り出して麺線を得た。 そして、これら麺線を1食分(100g)づつ取り分け、沸騰水による、5秒、10秒または20秒間の茹で処理、あるいは沸騰飽和食塩水による10秒間の茹で処理を行って麺線を作成した。 このようにして得られた麺線(塊状:麺塊)を、いずれも30秒間放冷した後、30秒間水冷し、13g/lの乳酸水溶液に30秒間浸漬して、麺線pHを4.0〜4.5に調整した。 これら麺塊を、2.5mlの白絞油(ほぐれ改善剤)とともに、14cm×16cmの大きさのレトルト殺菌用パウチに充填密封し、それらを蒸気殺菌庫内で、98℃、35分間加熱殺菌した。
【0051】
このようにして得らた各麺(LL麺)について、実施例1に記載の手順と同様にして、麺線の水分測定と官能評価を行った。 その結果を、以下の表2に示した。
【0052】
【表2】
Figure 0003980209
【0053】
表2の結果から明らかなように、麺厚2mm以下、切り刃16番以上の切り刃によって得た麺線の場合、沸騰水で茹で処理を行うと、わずか5秒間の茹で処理でも麺線水分含量が上昇してしまい、柔らかくコシがない麺線となった。 従って、切り出し時の麺厚が2mm以下、または切り刃16番以上の切り刃で切り出して得た細い麺(細麺)は、茹で処理時間の調整のみによっては麺線を硬くできないことが明らかとなった。 一方で、沸騰飽和食塩水で茹で処理して得た麺線は、麺線の水分含量を抑えることができ、細麺であっても硬い食感の麺(LL麺)が得られることが判明した。
【0054】
実施例3:茹で液の塩濃度の検討
茹で液の塩濃度に関して、以下の方法によって検討を行った。
【0055】
小麦粉(準強力粉)800gと澱粉200gからなる原料粉に、かんすい1.5gを溶解した練り水370mlを加え、これをミキサーで15分間混練し、麺生地を作成した。 この麺生地を、麺帯機に通して圧延し、最終麺帯厚を1.4mmとし、これを角刃22番で切り出して麺線を得た。 得られた麺線を1食分(100g)づつ取り分け、0、10、15、20または30%(w/v)の濃度の食塩水で、20秒間沸騰状態で茹で処理した。 このようにして得られた麺線(塊状:麺塊)を、30秒間放冷した後に、30秒間水冷し、15g/lの乳酸水溶液に45秒間浸漬して、麺線pHを約4.0に調整した。 これら麺塊を、2.5mlの白絞油(ほぐれ改善剤)とともに、14cm×16cmの大きさのレトルト殺菌用パウチに充填密封し、それらを蒸気殺菌庫内で、97℃、40分間加熱殺菌した。
【0056】
得られた各麺(LL麺)に関して、実施例1に記載の手順と同様にして、麺線の水分測定と官能評価を行った。 それら結果を、以下の表3に示した。
【0057】
【表3】
Figure 0003980209
【0058】
表3に記載の結果から明らかな通り、細麺の場合、茹で処理を行うと麺線水分が過剰に高くなり、非常に柔らかい食感になっていた。 そこで、15%(w/v)以上、好ましくは20%(w/v)以上の食塩濃度の食塩水で茹で処理すると、麺線の食感が明らかに硬くなり、従来製品に比べて食感の改善が期待される。
【0059】
実施例4:茹で処理温度の検討
茹で処理温度、つまり、茹で液の温度による影響を、以下の方法によって検討した。
【0060】
小麦粉(準強力粉)800gと澱粉200gからなる原料粉に、かんすい1.5gを溶解した練り水350mlを加えてミキサーで15分間混練し、麺生地を作成した。 この麺生地を、麺帯機に通して圧延し、最終麺帯厚を1.4mmとし、角刃22番で切り出して麺線を得た。 得られた麺線を1食分(100g)づつ取り分け、飽和食塩水と水(対照)で、それぞれ20秒間、70、80、90および100℃の各温度で、個別に茹で処理した。
【0061】
このようにして得られた麺線(塊状:麺塊)を、30秒間放冷した後、30秒間水冷し、15g/lの乳酸水溶液に30秒間浸漬して、麺線pHを4.0〜4.5に調整した。
これら麺塊の各々を、2.5mlの白絞油(ほぐれ改善剤)とともに、14cm×16cmの大きさのレトルト殺菌用パウチに充填密封し、それらを蒸気殺菌庫内で、98℃、35分間加熱殺菌した。
【0062】
得られた各麺(LL麺)に関して、実施例1に記載の手順と同様にして、麺線の水分測定と官能評価を行った。 それら結果を、以下の表4に示した。
【0063】
【表4】
Figure 0003980209
【0064】
表4に記載の結果から明らかなように、70〜100℃の範囲の茹で温度にあっては、何れの温度でも、水で茹で処理した麺線は水分含量の高い、柔らかい麺となったが、飽和食塩水で茹で処理した麺線は、いずれの温度(液温)によっても、水分含量が抑えられ、良好な硬さの食感の麺が得られた。 ところで、70℃の飽和食塩水で茹で処理して得た麺線は、密封包装後に加熱処理したにもかかわらず、麺線に粉質感が残存しており、また弾力性が貧弱で、いわゆる調理感が不足した麺であった。 従って、好ましくは、80℃以上の飽和食塩水で茹で処理するのが好ましいと考えられる。
【0065】
実施例5:塩(塩類)の選択
本発明における、食塩以外の塩(類)の利用可能性についても検討を行った。
【0066】
小麦粉(準強力粉)800gと澱粉200gからなる原料粉に、かんすい1.5gを溶解した練り水350mlを加えて、これをミキサーで15分間混練し、麺生地を作成した。 この麺生地を、麺帯機に通して圧延し、最終麺帯厚を1.4mmとし、角刃22番で切り出して麺線を得た。 このようにして得られた麺線を、1食分(100g)づつに取り分け、所定塩濃度の各種茹で液で、20秒間、沸騰状態で茹で処理した。
【0067】
このようにして得られた麺線(塊状:麺塊)を、30秒間放冷した後、30秒間水冷し、15g/lの乳酸水溶液に30秒間浸漬して麺線pHを4.0〜5.5に調整した。 これら麺塊の各々を、2.5mlの白絞油(ほぐれ改善剤)とともに、14cm×16cmの大きさのレトルト殺菌用パウチに充填密封し、それらを蒸気殺菌庫内で、98℃、35分間加熱殺菌した。
【0068】
得られた各麺(LL麺)に関して、実施例1に記載の手順と同様にして、麺線の水分測定と官能評価を行った。 それら結果を、以下の表5に示した。
【0069】
【表5】
Figure 0003980209
【0070】
表5に記載の結果から、塩化カリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、そして、乳酸ナトリウムと食塩からなる混合塩にあっては、いずれの塩(混合塩)によっても、麺線水分を抑えることができ、コシのある食感の良い麺が得られた。
【0071】
実施例6:LL麺(LLスパゲティ)
塩溶液による茹で処理工程の前に、沸騰水による茹で処理工程を含む製造方法によって、LLスパゲティを作成した。
【0072】
市販の乾麺のスパゲティ(商品名:De Cecco Spaghettini n.11、1.65mm、9分茹でタイプ、イタリア製、日清製粉販売)100gを、沸騰水で7分間茹でた後、さらに沸騰した飽和食塩水で1分間茹でて得たスパゲティ用麺線を本発明品とした。 これに対して、同乾麺のスパゲティ100gを、沸騰水で8分間茹でて得たスパゲティ用麺線を対照品とした。 これら両麺線を水道水で30秒間水洗し、水切りした後、10g/lの乳酸溶液に30秒間浸漬し、麺線pHを約4.6に調整した。 そして各麺線を、2.5mlの白絞油(ほぐれ改善剤)とともに、14cm×16cmの大きさのレトルト殺菌用パウチに充填し、それらを蒸気殺菌庫内で、97℃、40分間加熱殺菌した。
【0073】
このようにして得られた麺線(塊状:麺塊)を、放冷した後にパウチから取り出し、実施例1に記載の手順に従って、麺線の水分含量を測定したところ、本発明品の麺線の水分含量は54.3%であり、また、対照品の麺線の水分含量は62.3%であった。 次に、これら各麺塊を、スチロール製の皿形容器(口径17cm、深さ5cm)に入れ、これに400mlの熱湯を注ぎ、すぐにほぐして排湯して食したところ、本発明品による麺線では、食感が硬く、コシがあったが、対照品による麺線は、柔らかく茹で伸びした感じの麺であった。
【0074】
実施例7:レトルト麺(三層麺)
アルギン酸の添加と酸液処理工程を利用して得た三層構造のレトルト麺、すなわち、三層麺の内層用製麺材料へのアルギン酸の添加と麺線の酸液処理工程を経た以下の方法に従って、三層構造のレトルト麺を作成した。
【0075】
小麦粉(準強力粉)800gと澱粉200gからなる原料粉に、かんすい2.0gと食塩20gを溶解した練り水380mlを加え、これをミキサーで15分間混練し、外層用麺生地を作成した。 これとは別に、小麦粉(準強力粉)1000gとアルギン酸5gからなる原料粉に、かんすい4.0gと食塩20gを溶解した練り水350mlを加え、これをミキサーで15分間混練して、内層用麺生地(pH約7.5)を作成した。
【0076】
これら外層用麺生地と内層用麺生地を、真空麺帯機(機内圧:−720mmHg)で押し出して外層用麺帯と内層用麺帯をそれぞれ作成し、外層用麺帯+内層用麺帯+内層用麺帯+外層用麺帯の順で麺帯を重ね、外層用麺帯:内層用麺帯:外層用麺帯=1:2:1の麺帯厚の三層麺帯を得た。 この三層麺帯を圧延ロールに通して圧延して、最終麺帯厚を1.4mmとし、得られた麺帯を角刃22番の切り刃で切り出して麺線を得た。 得られた麺線を1食分(110g)づつ取り分け、飽和食塩水で10秒間沸騰状態で茹で処理して得たレトルト麺用麺線(本発明品)と、沸騰水で10秒間茹で処理して得たレトルト麺用麺線(対照品)をそれぞれ作成した。
【0077】
このようにして得られた麺線(塊状:麺塊)を、30秒間放冷した後、30秒間水道水で水洗し、15g/lの乳酸水溶液に30秒間浸漬して麺線pHを4.6に調整した。
これら麺塊を、2.5mlの白絞油(ほぐれ改善剤)とともに、14cm×16cmの大きさのレトルト殺菌用パウチに充填し、それらを加圧加熱殺菌庫(庫内温度121℃)内で、15分間、加熱殺菌した。
【0078】
得られた麺塊を放冷した後にパウチから取り出し、実施例1に記載の手順と同様にして麺線の水分を測定したところ、本発明品の麺線での水分含量は55.1%であり、また、対照品の麺線での水分含量は58.8%であった。 これら麺塊を、スチロール製の丼型容器(口径15cm、深さ7cm)に入れ、これに400mlの熱湯を注ぎ、すぐにほぐして食したところ、本発明品の方が、硬く、自然なコシが認められた。
【0079】
実施例8:チルド麺
小麦粉(準強力粉)1kgに、かんすい5gを溶解した練り水340mlを加えて、ミキサーで15分間混練して麺生地を作成した。 この麺生地を、麺帯機に通して圧延し、最終の麺帯厚を1.4mmとし、次いで、この麺帯を角刃22番で切り出して麺線を得た。 そして、この麺線を1食分110gづつ取り分け、水または20%の塩濃度(%(w/v))の食塩水で、10秒間沸騰状態で茹で処理した。 茹で処理した後に、水切りした後、30秒間水道水で水洗し、14cm×16cmの大きさの袋に充填した。 そして、得られた各麺線を約5℃で2日間チルド保存した後、麺線を潰して、実施例1に記載の手順と同様にして麺線の水分含量を測定したところ、沸騰した水(沸騰水)で茹でた麺線は水分含量が51.6%であったのに対して、20%(w/v)の塩濃度の食塩水で茹でた麺線は水分含量が42.8%であった。 また、麺の食感に関する官能検査として、5人のパネラーが、各麺線(塊状:麺塊)を、350mlの熱湯を入れた鍋で1分間茹でて食したところ、沸騰水で茹でた麺線は、柔らかい食感であったのに対し、20%(w/v)の塩濃度の食塩水で茹でた麺線は硬くコシがあって良好な食感であった。
【0080】
実施例9:加熱殺菌処理麺
小麦粉(準強力粉)1kgに、かんすい7gを溶解した練り水350mlを加えて、ミキサーで15分間混練して麺生地を作成した。 この麺生地を、麺帯機に通して圧延し、最終の麺帯厚を1.5mmとし、次いで、この麺帯を角刃20番で切り出して麺線を得た。 そして、この麺線を1食分(120g)づつ取り分け、水または20%の塩濃度(%(w/v))の食塩水で、15秒間沸騰状態で茹で処理した。 茹で処理した後に、水切りし、次いで、30秒間水道水で水洗し、2mlの白絞油(ほぐれ改善剤)とともに、14cm×16cmの大きさのパウチに充填密封し、それらを蒸気殺菌庫内で、98℃、35分間加熱殺菌し、密封包装形態の麺を得た。
【0081】
そして、得られた各麺線を常温下で2日間保存した後に、麺線を潰して、実施例1に記載の手順と同様にして麺線の水分含量を測定したところ、沸騰した水(沸騰水)で茹でた麺線は水分含量が56.0%であったのに対し、20%(w/v)の塩濃度の食塩水で茹でた麺線は水分含量が51.7%であった。 また、麺の食感に関する官能検査として、5人のパネラーが、各麺線(塊状:麺塊)を丼に入れ、400mlの熱湯を注加して、ほぐして食したところ、沸騰水で茹でた麺線は、柔らかい食感であったのに対し、20%(w/v)の塩濃度の食塩水で茹でた麺線は硬くコシがあって良好な食感であった。
【0082】
【発明の効果】
このように本発明によると、ウェットタイプの麺類において、麺線を硬く、コシのあるものとすることができる。
【0083】
また、本発明によれば、麺線の水分含量を抑えられて麺線の伸びが防止されるので、増粘類や蛋白素材、あるいは酵素剤等を製麺原料に添加して麺線のコシを維持する従来の方法に比べて、自然な食感の麺を得ることができる。
【0084】
特に、これまで、麺線が中華麺等の細い麺線である場合、茹で時間を調節して、麺線の水分含量を低く抑えることは困難であったが、本発明はこのような細い麺線にあっても容易に水分含量を低くでき、また、麺線に自然なコシを付与することができる。 例えば、麺厚が2.0mm以下、もしくは、切り刃16番以上の切り刃で切り出した麺線は、茹で時間の短縮化だけでは麺線の水分含量を低く抑えることはできなかったが、本発明の方法によれば、麺線の水分含量が低減できるなど、細い麺線に対しては、本発明は極めて有用である。
【0085】
また、太麺に対して本発明の方法を適用することで、茹で処理中に麺線の水分含量が過剰に高くなることが避けられ、麺線の水分含量の調節のための茹で時間の管理が極めて容易になる。
【0086】
さらに、LL麺、レトルト麺等の、麺線を密封包装した後に加熱殺菌するタイプの麺類では、加熱殺菌によって麺線の水分含量が一気に均衡化し、かつ麺線中心部まで同程度にα化されてしまうことから、コシのある(硬い)麺線は得られにくかったが、これらの麺線に本発明の方法を適用すれば、このような麺線でも、硬く、コシのあるものにすることができる。
【0087】
また、茹で時間を短縮したり、軽い蒸しによって麺線の水分含量を低く抑えていた従来の製造方法によって得られた麺類と比較して、本発明の方法によって得られたウェットタイプの麺類は、麺線の調理感を向上せしめ、麺線の弾力感の欠如や粉質感をも解消する。
【0088】
また、本発明の方法において、製麺原料にアルギン酸とアルカリ剤を添加し、塩溶液での茹で処理後または茹で処理中に麺線を酸液処理する工程をさらに組み込むことで、さらにコシの強化されたウェットタイプの麺類を得ることができる。

Claims (6)

  1. 冷凍麺を除くウェットタイプの麺類の製造方法であって、以下の工程、すなわち;
    (a) 製麺原料に水を加えて混練して麺生地を調製し、
    (b) 該麺生地を押し出し、または圧延した後に切り出して麺線を得、
    (c) 該麺線を塩の濃度が15%(w/v)〜飽和濃度の塩溶液で茹でてα化処理する、および
    (d) α化処理した麺線を水洗する、工程を含み、
    前記塩が食塩である、ウェットタイプの麺類の製造方法。
  2. 冷凍麺を除くウェットタイプの麺類の製造方法であって、以下の工程、すなわち;
    (a) 製麺原料に水を加えて混練して麺生地を調製し、
    (b) 該麺生地を押し出し、または圧延した後に切り出して麺線を得、
    (c) 該麺線を塩の濃度が15%(w/v)〜飽和濃度の塩溶液で茹でてα化処理する、および
    (d) α化処理した麺線を水洗する、工程を含み、
    前記塩が、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、およびこれらの混合物からなるグループから選択される、ウェットタイプの麺類の製造方法。
  3. 前記工程(c)の前および/または後に、麺線の茹で工程または麺線の蒸し工程をさらに含む請求項1又は2に記載のウェットタイプの麺類の製造方法。
  4. 前記製造方法が、前記工程 (d)の後に、前記α化処理した麺線を密封包装した後に麺線を加熱殺菌処理する工程をさらに含む請求項1乃至3いずれかに記載のウェットタイプの麺類の製造方法。
  5. 前記製麺原料が、アルギン酸およびアルカリ剤を含み、かつ前記α化処理した麺線を密封包装する前に酸液処理する工程をさらに含む請求項4に記載のウェットタイプの麺類の製造方法。
  6. 前記塩溶液が、80℃以上の温度の塩溶液である請求項1乃至5のいずれかに記載のウェットタイプの麺類の製造方法。
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