JP2002262796A - 包装麺類およびその製造方法 - Google Patents
包装麺類およびその製造方法Info
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Abstract
方法を提案する。特に、ウェットタイプの包装麺類にお
いて、一般家庭や流通段階での長期間の保存において
も、中華麺臭が強く、かつ風味を長期間保持しながら、
褐変等の麺質の劣化のない、従来にない麺類を得る。 【解決手段】 麺類の製造工程において、酸素を透過し
ないかもしくはほとんど透過しない包装体に、麺線とと
もにアルカリ剤を密封包装するかまたは麺線表面にアル
カリ剤を処理した麺線を密封包装し、包装体のまま加熱
処理して麺線pHを8.1〜9.7とする工程を有する
麺類の製造方法であって、前記加熱処理以前の工程で、
麺線にアスコルビン酸またはエリソルビン酸もしくはこ
れらの塩のうち、いずれか一つ以上を含有させる。
Description
麺臭の発現、増強方法に関する。特に本発明は、密封包
装されたウェットタイプの麺類(乾麺、即席麺以外の麺
類)、とりわけ室内での一般的な保存状態で長期保存可
能なウェットタイプの麺類において、麺線がアルカリ性
でありながら褐変しておらず、また、以降の保存過程に
おいてもほとんど褐変せず、それでいて強い中華麺風味
を有する麺類とその製造方法に関する。
まま、室内での一般的な保存状態(冷蔵や冷凍を行なわ
ずに室内や流通過程で保存される状態で、具体的には0
℃から35℃程度)で数ヶ月以上の長期保存を可能にす
る方法としては、従来より主として次の2つの方法が用
いられている。その一つは、麺線を包装体に密封包装し
て湿熱下120℃で4分に相当する以上の条件(ボツリ
ヌス菌の芽胞を死滅させる条件)で高温高圧殺菌処理す
る、いわゆるレトルト麺の製造法である。もう一つは、
麺線に酸液等の静菌剤を処理した後密封包装して、10
0℃程度で加熱処理を行ない静菌性を持たせた、いわゆ
るLL麺(生タイプ即席麺)の製造法である。
も、その製造法を中華麺に用いる場合には問題があっ
た。すなわち、前者のレトルト麺の場合は、麺線pHを
アルカリ性にして加熱殺菌処理すると、麺線が褐色に変
色(褐変)してしまい、いわゆる「カン焼け」と呼ばれ
る現象を生じ、商品価値のないものとなってしまう。一
方、後者のLL麺の場合は、麺線pHが4.8以下に保
たれていなければ保存性を維持できないため、製品のp
Hを酸性にする必要があり、従って、麺線がアルカリ性
であることによって得られる中華麺らしい風味を得るこ
とができなかった。
がら室内での一般的な保存状態で長期保存が可能で、し
かも製品のpHがアルカリ性である中華麺を得る方法と
して、次のような方法が提案されている。すなわち、麺
に120℃4分以上の高温高圧で殺菌処理を行った後、
無菌的に麺線にアルカリ剤を吸着させて、麺線pHをア
ルカリ性に調整する方法であり、具体的には特開平8-38
084号や特開平8-112070号等にその方法が提案されてい
る。しかし、実際にこれらの方法に従って、アルカリ性
の麺を製造して長期保存すると、夏場の保存等、保存温
度が概ね30℃を超える環境下では、保存中に麺線が徐
々に褐変し、特異な焦げ臭が発生して味もえぐくなり、
「カン焼け」と同じ様な現象が生じて、商品価値のない
ものとなってしまった。
うに、麺線がアルカリ性でありながら、夏場の保存にお
いても麺線の褐変、劣化が進まない条件を検討した。そ
の結果、麺線のpHを酸性〜中性として加熱殺菌処理し
た後に、麺線pHを8.5〜9.7の範囲に調整すれ
ば、保存中の褐変をほとんど防ぐことができ、中華麺臭
もある程度感じられる麺とすることができた。しかし、
本格的な生中華麺と比較すると、中華麺臭は満足できる
レベルにはなく、さらに強い中華麺臭を褐変が起こらな
い条件で増強、向上する方法が希求された。
本発明の課題とするところは、従来にない中華麺臭の増
強方法を提案すること、特にウェットタイプの包装麺類
において、一般家庭や流通段階での長期間の保存におい
ても、中華麺臭が強く、かつ風味を長期間保持しなが
ら、褐変を起こしにくく麺質が劣化しない、従来にない
麺類を得ることである。
解決すべく発明されたものであり、その要旨とするとこ
ろは、包装麺類の製造方法であって、酸素透過度10cc
/m2・24hr・atm以下の包装体(この透過量は0または非常
に低いものであり、以下本発明では「酸素低透過性の包
装体」という)に、麺線とともにアルカリ剤を密封包装
するかまたは麺線表面にアルカリ剤を処理した麺線を密
封包装し、密封包装後包装体のまま加熱処理して麺線p
Hを8.1〜9.7とする工程を含み、かつ、前記加熱
処理以前の工程で、麺線にアスコルビン酸またはエリソ
ルビン酸もしくはこれらの塩のうち、いずれか一つ以上
(以下、本発明ではこれらを「アスコルビン酸類」とい
い、ナトリウム塩等各種塩を含む)を含有させた包装麺
類の製造方法である。この工程を含む麺類の製造方法に
よれば、中華麺臭を増強することができ、特に、麺線形
成以降の工程でアルカリ剤を処理した場合でも、中華麺
臭を有する麺類を得ることができる。
の包装体に密封包装する麺としては、生麺、蒸し麺、茹
で麺等いずれの麺も使用できるが、特に密封包装前に無
菌化、静菌化したウェットタイプの麺が好ましい。例え
ば、包装体に密封包装する麺線を、予め湿熱下120℃
で4分以上またはこれに相当する以上の効力で殺菌処理
した麺線とすれば、麺線を無菌化することができ、ウェ
ットタイプの麺でありながら室内での一般的な保存状態
で長期間の保存が可能となる。そしてこのような麺にお
いては、保存中も褐変を起こしにくく、しかも保存中も
中華麺臭を維持することができる。従来、室内で長期間
保存できるウェットタイプの麺類においては、充分な中
華麺臭を有するものはなかったが、本発明においてはこ
のような麺においても中華麺臭を付与できる。
処理を施す場合には、殺菌時のカン焼けを防止するため
に、殺菌処理時のpHを低く調整して処理するのが好ま
しい。具体的には、殺菌処理前の麺線pHを3.5〜
8.0程度の酸性から略中性域、さらに好ましくは、p
H4.5〜7.0程度に調整して殺菌処理を行うことで
殺菌処理時のカン焼けを防止できる。
て、アルカリ剤を処理した後に包装体に密封包装したま
ま加熱処理する(以下、本発明ではアルカリ剤処理後に
行われるこのような加熱処理を「二次加熱処理」とい
う)際の加熱条件が、70〜100℃、好ましくは80
〜100℃とすることで、二次加熱処理時のpHをある
程度高くしても褐変しにくく、しかも中華麺臭の強い麺
とすることができる(pHは二次加熱処理後のpHで
9.7程度まで可能で、pHを高く設定できることで中
華麺臭をより強いものとすることができる)。
類の合計(二次加熱処理の時点までに麺線に処理される
量であって、最終的に麺線に含有される量)が、製品の
麺線重量すなわち、本発明の製造方法によって製造され
た最終形態の麺における(包装体や具剤等を含まない)
重量に対して、500ppm〜10000ppmとすること
で、中華麺臭が良く発現され、褐変等の問題も少ない。
程によって製造することで、中華麺臭が増強され、かつ
褐変等品質劣化の少ない保存性の高い包装麺類が得られ
る。すなわち、 a:原料粉から生麺線を製造する工程 b:生麺線をそのままかまたはα化処理した後に、酸素
低透過性の包装体に密封包装する工程 c:密封包装した麺線を包装体ごと湿熱下120℃で4
分以上またはこれと同等の効力で殺菌処理する工程 d:殺菌処理後包装体内の麺線に無菌的にアルカリ剤を
処理する工程 e:アルカリ剤処理後包装体ごと二次加熱処理し、麺線
pHを8.1〜9.7にする工程 のa〜eの各工程を有する麺類の製造方法であって、ア
スコルビン酸類を、(x)工程aにおいて原料粉に添加
するか、または(y)工程bにおいて麺線の密封包装前
に麺線に付着させるか、もしくは(z)工程dにおいて
アルカリ剤の処理と同時にまたは前後して無菌的に麺線
に付着させるか、xyzのうち何れか一つ以上の方法に
よって、麺線に含有させる包装麺類の製造方法である。
殺菌されており、一般的な室内の保存状態で数ヶ月以上
の長期保存が可能である。この場合、工程bにおいて麺
線に酸処理を行って、麺線pHを酸性〜略中性にしてお
けば、cの殺菌処理時にカン焼けが起こりにくくなり好
ましい。また、工程dにおいて無菌的にアルカリ液を封
入する方法としては、滅菌した注射器等によって無菌の
アルカリ液を包装体内に注入する方法等が可能である。
工程で製造されても良い。 A:原料粉から生麺線を製造する工程 B:生麺線をそのままかまたはα化処理した後に、湿熱
下120℃で4分以上またはこれと同等の効力で殺菌処
理する工程 C:殺菌処理後麺線に無菌的にアルカリ剤を処理する工
程 D:アルカリ剤の処理と同時にまたは処理した後に、麺
線を無菌的に酸素低透過性の包装体に密封包装する工程 E:包装体ごと二次加熱処理し、麺線pHを8.1〜
9.7にする工程 のA〜Eの各工程を有する麺類の製造方法であって、ア
スコルビン酸類を、(X)工程Aにおいて原料粉に添加
するか、または、(Y)工程Bにおいて殺菌処理するま
での間に麺線に付着させるか、もしくは(Z)工程Cま
たはDにおいて麺線を包装体に密封包装するまでの間に
無菌的に麺線に付着させるか、XYZのうち何れか一つ
以上の方法によって、麺線に含有させる包装麺類の製造
方法である。
ら、麺線が殺菌されているために、一般的な室内の保存
状態で数ヶ月以上の長期保存が可能な麺を得ることがで
きる。本方法の場合においても、工程Bにおいて殺菌処
理する際の麺のpHを酸性〜略中性に調整しておくこと
で、殺菌時にカン焼けが起こりにくく好ましい。また、
本方法の工程CまたはDにおいて無菌的にアルカリ剤を
処理する方法としては、殺菌処理した麺にDの包装工程
以前の工程でアルカリ剤をまぶす、アルカリ液を噴霧す
る、あるいはアルカリ液に浸漬する、もしくは包装体内
にアルカリ液を入れておいてこれに麺を充填して密封す
る等の方法(複数選択可)が可能である。
の具体的な製造方法において、工程eまたはEの二次加
熱処理の条件を80℃〜100℃とすると、カン焼けを
起こしにくく、二次加熱時のpHを高くすることができ
る(pHが高いほうが中華麺臭が強く好ましい)。
の具体的な製造方法において、麺線に含有させるアスコ
ルビン酸類の合計量(二次加熱時にまでに麺線に処理さ
れる量であって、最終的に麺線に含有される量)が、製
品の麺線重量、すなわち本発明の製造方法によって製造
された最終形態の麺における(包装体や具剤等を含まな
い)重量に対して、500ppm〜10000ppmとするこ
とで、中華麺臭が良く発現され、褐変等の問題も少な
い。
態において長期保存が可能な、包装体に密封包装された
形態のウェットタイプの麺類、好ましくは中華麺であっ
て、該麺類の麺線pHが8.1〜9.7であり、麺線に
アスコルビン酸類を製品の麺線重量に対して500pp
m〜10000ppm含有し、かつ麺線を密封包装する
包装体が酸素低透過性(酸素透過度10cc/m2・24hr・atm
以下)であり、中華麺臭を有することを特徴とする麺類
である。
詳細に説明する。
って製造することができる。すなわち、小麦粉に必要に
応じて穀粉や澱粉を加えて主原料とし、これに必要に応
じて、かんすい、アルカリ剤、食塩、グルテン、卵白、
増粘多糖類、色素等の副原料を添加し、練り水(練り水
に前記副原料等を溶解させておいてもよい)を加えて混
練した後、押し出して麺線とするか、圧延して麺帯とし
た後これを切り出して麺線とする。商品の品名を「中華
麺」と表示するためには原料にかんすいを添加する。
菌処理を施す場合には、高温高圧下における麺線の保形
性を向上させるために、原料にアルギン酸類(アルギン
酸またはその塩やエステル)をアルカリ剤とともに添加
しておくこともできる。この場合、アルギン酸類を添加
した麺線を高温高圧で殺菌処理する前に、酸液もしくは
カルシウムを含む液に浸漬しておくことによって、殺菌
時における麺線の保形性を格段に向上できる。
類を処理することが必須であるが、後工程の二次加熱処
理時までに処理されるアスコルビン酸類の量が、製品の
麺線重量に対して500〜10000ppmになるよう
に麺線に処理することが好ましく、原料の混練時にこれ
らを添加することができる。原料への添加方法として
は、主原料と一緒に粉体で添加しても、練り水に添加し
て液体で添加してもよい。また、添加量は後の別の工程
でアスコルビン酸類を処理する場合には、二次加熱処理
までに処理する合計量が、製品の麺線重量に対して50
0〜10000ppmになるように添加するのがよい。
によって得た生麺線をそのまま使用することもできる
が、好ましくはα化処理した麺線を用いる。α化処理し
た麺線は生麺線を茹で又は蒸しによってα化処理したも
のが用いられる他、乾麺や即席麺を茹で戻した茹で麺等
も使用可能である。α化処理した麺線を用いる場合、後
の工程で行われる少なくとも1回以上の加熱処理によっ
て、α化がさらに進むので、α化度を低めに設定した
り、水分含量が低めになるようにα化処理しておくこと
が望ましい。
ルビン酸類を添加することで麺線にアスコルビン酸類を
処理することができる。また、α化処理後に別途、麺線
にアスコルビン酸類を処理することもでき、その場合に
はアスコルビン酸類を含む液に浸漬するか、あるいは噴
霧して麺線に処理する等の方法が可能である。なお、ア
スコルビン酸類の添加量は、最終的に原料の添加の項で
説明した量になるように麺線に処理するのが望ましい。
は生麺線を、好ましくは高温高圧で殺菌処理する。当該
殺菌処理は湿熱下120℃で4分以上またはこれに相当
する以上の条件(≒F0=4以上)で殺菌するのが好ま
しく、これによって食中毒菌及びその芽胞をほぼ全て死
滅させて商業的な無菌状態とし、この無菌状態を維持す
ることによって、室内での一般的な保存状態においても
数ヶ月以上の保存を可能にすることができる。
け密閉した包装体に入れて高温高圧で加熱処理すると、
麺線がアルカリ性の場合、麺線が褐色に変色して、味も
えぐくなり商品化できないものとなる(カン焼けす
る)。そこで、加熱殺菌前の麺線pHは中性から好まし
くは酸性域に調整するのが好ましく、そのためには加熱
殺菌処理前に麺線を酸液に浸漬、あるいは麺線に酸液を
噴霧する等の処理を行って、麺線pHを調整しておくこ
とが望ましい。特に、麺原料にかんすいやアルカリ剤を
添加する場合には、麺線pHはアルカリ性になることが
多いので、pHが概ね8を超えるような場合には、加熱
殺菌処理前に酸液処理を行う必要がある。この場合、好
ましいpHとしては、3.5〜8.0の酸性から略中
性、特に好ましくは4.5〜7.0とする。この酸液処
理の酸液に酸性のアスコルビン酸、エリソルビン酸を添
加、使用することもでき、この場合、製品の中華麺臭増
強効果とともにカン焼け防止の効果も同時に期待され
る。
分以上あるいはそれに近い高温高圧の状態で行う場合
は、その手順に関して、次の2つの方法を採用すること
ができる。すなわち、包装体に密封包装した後に加熱殺
菌する方法と、包装体に密封包装せずに加熱殺菌した後
無菌的に包装体(酸素低透過性の包装体)に密封する方
法である。
にカットした後包装体に充填、密封包装し、これを蒸気
殺菌機、もしくは熱水加熱式のレトルト装置等で高温高
圧で殺菌処理する。この方法の場合、麺線を包装体に密
封して加熱殺菌を行うため、麺、包装体とも同時に殺菌
され、従って、包装体を別途殺菌する必要はなく、ま
た、無菌下での麺線の取り扱い作業等、難しい作業を行
う必要がない。この方法は、装置が簡略で、取り扱い易
い点で有利である。
トレーや、後工程で密封包装する包装体中に開封状態で
充填し、開封したまま蒸気庫内で高温高圧で殺菌処理し
た後、無菌状態の庫内あるいは無菌状態のクリーンブー
ス等に移して、包装体に密封包装する等の方法である。
この方法を採用する場合は、殺菌した麺を無菌的に包装
するための特別な装置等が必要であり、また、細菌汚染
等の可能性から、取り扱いに注意が必要である。しかし
ながら、得られた製品の品質は前者の方法による製品に
比較して非常に優れたものとすることができる。
は、高温高圧での加熱殺菌時に麺線が狭い包装体内に密
閉されていないために、包装体内の気体が緩衝せず、加
熱に要する昇温が早いために、殺菌時間が短縮化できる
ためである。すなわち、後者の方法を採用することで、
麺線への余分な熱負荷を減らすことができ、従ってカン
焼けが起こりにくく、レトルト臭も抑制され、加熱によ
る劣化の少ない麺とすることができる。特に、この方法
において、蒸気での加熱殺菌に先駆けて、蒸気庫内の空
気を真空ポンプ等で積極的に脱気し、その後加熱蒸気を
庫内に導入して高温高圧で殺菌する方法を採れば、昇温
時間をさらに短縮でき、さらに品質の良い麺を得ること
ができる。
ては、前記各殺菌処理の工程において処理する方法も例
示できる。具体的には、殺菌処理前に麺線をアスコルビ
ン酸類を含む液に浸漬する、あるいは殺菌に際して麺線
表面にアスコルビン酸類をまぶす、もしくは、殺菌時に
麺線が入れられた包装体や庫内トレーにアスコルビン酸
類を含む液を添加しておく等の方法が可能である。
た後に、又は殺菌処理を行わずに、麺線にアルカリ剤を
処理し、次いで二次加熱処理して、麺線pHが最終的に
(二次加熱処理を経た時の麺線pH)8.1〜9.7、
好ましくは8.5〜9.5になるように調整する。そし
て、このように麺線pHを調整するためのアルカリ剤の
処理方法としては、次のような方法が例示できる。
高温高圧で殺菌処理する方法を採用した場合には、殺菌
後の密封された包装体内に注射器等によってアルカリ剤
を注入する方法が考えられる。また、包装体を2室を有
する包装体として、一方の室に麺線を、他方の室にアル
カリ剤を充填しておいて、加熱殺菌後に包装体内の2室
を隔てる隔壁を取り除いて、アルカリ剤を処理する方法
等も例示できる。なお、これらの方法においてアルカリ
剤と一緒にアスコルビン酸類を添加しておくこともでき
る。
用する場合、あるいは、前述のように殺菌処理を包装体
に密封包装しない状態で処理した場合には、麺線を密封
包装する前に、麺をアルカリ液に浸漬する、或いはアル
カリ液やアルカリ剤を麺線表面に噴霧して処理する、さ
らには、密封包装する包装体内にアルカリ液やアルカリ
剤を麺の充填と同時にまたは前後して添加して処理する
等の方法が可能である。
菌処理を行い、これによって麺線が無菌状態になってい
る場合には、この作業を蒸気殺菌機の庫内やクリーンブ
ース等の無菌下で行い、かつ使用するアルカリ剤や包装
体を全て滅菌処理しておくことで、無菌的に密封するこ
とができ、その場合製品の保存期間を数ヶ月以上にする
ことができる。本方法においても、アルカリ剤と一緒に
アスコルビン酸類を添加して麺線にアスコルビン酸類を
処理することができる。なお、アスコルビン酸類の処理
はアルカリ剤の処理と一緒である必要は必ずしも無く、
アルカリ剤の処理と前後して別工程でアスコルビン酸類
の処理を行ってもよい。
はそれ以外の方法によって、麺線にアルカリ剤とアスコ
ルビン酸類を処理する。そして、添加するアルカリ剤の
量としては、包装体に密封された麺線が、次の二次加熱
処理を行った後のpHで、pH8.1〜9.7、好まし
くは8.5〜9.5になるようにアルカリ剤の量を調整
する。なお、ここでアルカリ剤とは、当該技術分野で慣
用されるアルカリ剤で、かんすいを含むほか、焼成カル
シウム等の使用も可能である。
は、pH8.1以下では中華麺臭がほとんど得られず、
一方pH9.7以上になると、次の二次加熱処理時、も
しくは一般家庭や流通段階における保存時(特に夏季)
に麺線が褐変してしまう可能性が高いためである。な
お、当該pHの範囲であれば、中華麺風味が得られ、か
つ褐変、変質等を起こさない麺とすることができるが、
中華麺風味はpHが高い方が強く、従って好ましくはp
Hを8.5〜9.5とするのが良い。
を処理し、二次加熱処理後の麺線pHを前述の範囲に調
整すること以外に、麺線を酸素低透過性の包装体に密封
して二次加熱処理する必要がある。酸素低透過性の包装
体とは、先述したように酸素を全く透過しないものだけ
でなく、非常にわずかに透過するもの、すなわち、酸素
透過度10cc/m2・24hr・atm以下、さらに好ましくは1cc
/m2・24hr・atm以下の包装体とすればよい。LL麺に通常
用いられているパウチは、一般に酸素透過度が20cc/m
2・24hr・atm程度あるために、中華麺臭が維持できず、そ
れどころか二次加熱処理終了直後でも中華麺臭の向上効
果が得られない。
プのものでは、アルミフィルム、アルミナ蒸着フィル
ム、シリカ蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム
等を使用したものがあり、容器タイプのものでは、エバ
ール樹脂とポリプロピレンを複合させた容器や金属性容
器等各種のものがある。
装体に麺線を密封包装する際に包装体内の空気を窒素ガ
ス等の不活性ガスに置換する、もしくは密封包装時に麺
線と一緒に脱酸素剤を同封してもよい。これによって中
華麺臭がさらに増強される場合がある。
れた状態で二次加熱処理を行うが、二次加熱処理の温度
は、包装体内の麺に負荷される温度で70〜100℃程
度、好ましくは80〜100℃程度になるように行う。
二次加熱温度が100℃以上になると、麺線を前記pH
に調整したとしても麺線が二次加熱時に褐変する可能性
があり、80℃以下では中華麺臭が発現しにくい。二次
加熱処理にかける時間は蒸気庫を用いる場合、庫内の状
態が100℃で20分、80℃で40分程度がよく、二
次加熱処理後は自然冷却、急速冷却して本発明の包装麺
類とする。なお、二次加熱処理の方法としては、包装体
ごと熱湯に浸漬する方法や包装体ごと蒸気庫で加熱する
方法が好ましい。
製造するが、製造された包装麺は、そのまま、あるいは
さらに外包材、外容器等に包装されて商品となる。製品
は中華麺臭を有するので、製品形態としては、中華麺と
するのが好ましいが、中華麺と表示する場合には麺原料
にかんすいを添加する。
が熱湯注加タイプのワンタッチ麺の場合は、包装体から
麺線を取り出して丼等に移すか、あるいは、包装体が容
器を兼ねている場合は容器を開口して、これに熱湯を注
加して喫食する。一方、商品形態が炊き麺の場合には、
包装体から麺線を取り出し、鍋等で調理した後喫食す
る。その他、電子レンジ調理等各種調理喫食方法も適用
可能である。
説明するが、本発明は、これら実験例、実施例の開示に
基づいて限定的に解釈されるべきでない。
影響) 小麦粉800gに澱粉200gを粉体混合し、これに、
かんすい(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム=2:1)1
g、ポリリン酸ナトリウム1g、クチナシ色素1gを溶
解した練り水350mlを加えてミキサーで15分間混
練してドウを形成した。これを圧延機で1.5mmに圧
延し、角刃20番で切り出して麺線とし、約2分間蒸し
器で蒸して、次いで1食分110gずつにカットした。
カットした麺線を5%乳酸水溶液6.5gとともにステ
ンレス製の開口カップに充填し、麺線pHを5.0に調
整した。
菌庫に入れて庫内の空気を一旦真空ポンプで排出し、ほ
ぼ真空状態とした後、加熱蒸気を注入して品温130℃
で2分間(F0≒14)高温高圧で加熱殺菌を行った。
殺菌終了後直ちに庫内の蒸気を排出して急速冷却し、滅
菌した無菌のクリーンブース内に無菌性を維持したまま
開口カップごと排出した。
素透過度0.2cc/m2・day・atmのアルミナ蒸着パウチ
(アルミナ蒸着PET12μm/延伸ナイロン15μm
/未延伸ポリプロピレン60μm、サイズ140×16
0mm)内に、前記の殺菌した麺と濃度を段階的に変更
した(表1参照)アスコルビン酸ナトリウムを含むか、
または含まない無菌の5%炭酸ナトリウム溶液26gと
を無菌的に充填し、開口部をヒートシールした。
に密封したまま庫内温度85℃で30分間蒸気で加熱処
理した。その後、室温程度まで冷却し製品とした。この
時の麺のpHを測定したところ、いずれのサンプルも約
9.1であり、製品重量は140〜143gであった。
この包装麺を室内にて一日保存した後、包装体より麺塊
を丼型容器に移し、熱湯300mlを加えて箸でほぐ
し、パネラー5人にて試食を行った。
ン酸ナトリウムの濃度が200ppm程度から効果が現
れだし、500〜10000ppmで高い効果が見られ
た。中華麺臭に関する効果の差は500ppm以上添加
することで、あまり大きな差は認められなかった。な
お、10000ppmではアスコルビン酸自身の作用に
よって若干褐色化する傾向が見られたため、10000
ppm以下の添加とするのが良いように思われた。
例1のアルミナ蒸着パウチにクリーンブース内で、前記
殺菌処理した麺とアスコルビン酸ナトリウムの量を1食
当り0.14g(麺重量に対して1000ppm)と
し、かつ炭酸ナトリウムの濃度を段階的に変更した(表
2参照)滅菌済み水溶液26gとともに、無菌的に充填
し、開口部を熱シールした。
行い、同様の方法で試験した。結果は表2に示すが、効
果はpH8.4から現れ、好ましくは9.0〜9.5程
度においてかんすい臭が強く認められ、しかもカン焼け
が無いか、ほとんど見られなかった。pH9.7を超え
るとカン焼けが見られ始め、本実験方法による麺の場
合、製品としてはpH9.7程度が商品化できる限度と
思われた。
菌処理した後添加した水溶液(26g)のアスコルビン
酸ナトリウムの量を0.14g(麺重量に対して100
0ppm)とし、アルカリ剤の炭酸ナトリウムの濃度を
2.2%とした麺において、二次加熱温度を100℃3
0分に変更して、同様の方法で試験を行った。その結
果、この麺の二次加熱処理後の麺線pHは8.1であ
り、弱いながらも中華麺臭の増強が感じられた。二次加
熱温度を100℃前後まで上げれば、pHが8.1程度
でも中華麺臭が発現することが確認された。
例1のアルミナ蒸着パウチにクリーンブース内で、前記
の殺菌した麺と水溶液の炭酸ナトリウムの濃度を9%と
し、さらにアスコルビン酸ナトリウムの量を1食当り
0.7g(麺重量に対して5000ppm)とした滅菌
済み水溶液26gを無菌的に充填し、開口部を熱シール
した。
処理を行い、同様の方法で試験した。なお、本実験にお
いてアスコルビン酸ナトリウムに代えて、アスコルビン
酸、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸、ミッ
クストコフェロール、カテキンを用いて同様にその効果
を確認した。
酸ナトリウム以外でもアスコルビン酸、エリソルビン
酸、及びその塩にも効果が見られた。しかし、アスコル
ビン酸類と同様に還元作用を持つミックストコフェロー
ルやカテキンには同様の効果は見られなかった。なお、
本実験におけるアスコルビン酸ナトリウム、エリソルビ
ン酸ナトリウムのカン焼けの程度は、商品化可能な程度
である。
該麺を実験例1のアルミナ蒸着パウチにクリーンブース
内で、炭酸ナトリウムの濃度を5%とし、アスコルビン
酸ナトリウムの量を1食当り0.14g(麺重量に対し
て1000ppm)とした滅菌済み水溶液26gととも
に無菌的に充填し、開口部を熱シールした。
封したまま、二次加熱処理の温度を60℃、70℃、8
5℃、100℃として30分間蒸気庫内で加熱し、以下
実験例1と同様の方法で試験した。
で、100℃のものでわずかに褐色化が認められた程度
で、その他はカン焼けが見られなかった。中華麺臭は、
60℃では中華麺臭の増強が見られなかったが、70℃
では、わずかながら中華麺臭の向上が見られ、85℃、
100℃では十分に感じられた。
異) 実験例1と同様に高温高圧での殺菌処理を行った後、実
験例1のアルミナ蒸着パウチを、酸素透過度が0のアル
ミパウチ、0.5cc/m2・day・atm、または1.0cc/m2・d
ay・atmのシリカ蒸着パウチ(シリカ蒸着PET12μm
/延伸ナイロン15μm/LLDPE60μm)、3.
0cc/m2・day・atmのアルミナ蒸着パウチ(アルミナ蒸着
PET12μm/延伸ナイロン15μm/LLDPE5
0μm)、20cc/m2・day・atmのLL麺に通常使用され
るパウチ(延伸ナイロン25μm/未延伸ポリプロピレ
ン40μm)(いずれもサイズは140×160mm)
とし、クリーンブース内で実験例1と同様、前記殺菌し
た麺を入れ、5%炭酸ナトリウム溶液にアスコルビン酸
ナトリウムの量を1食当り0.14g(麺重量に対して
1000ppm)とした滅菌済み水溶液26gとともに
無菌的に充填し、開口部を熱シールした。
を行い、同様の方法で試験した。結果を表4に示すが、
酸素透過度が低いアルミパウチ、アルミ蒸着パウチ、シ
リカ蒸着パウチでは中華麺臭の増強効果が得られたが、
LL麺用のパウチでは効果が認められなかった。また、
特に酸素透過度1.0cc/m2・day・atm以下のものが好ま
しいことが理解された。
かんすい(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム=2:1)1
g、ポリリン酸ナトリウム1g、クチナシ色素1gを溶
解した練り水350mlを加えてミキサーで15分間混
練してドウを形成した。これを圧延機で1.5mmに圧
延し、角刃20番で切り出して麺線とし、約2分間蒸し
器で蒸して、次いで1食分110gずつにカットした。
カットした麺線を酸素透過度0.2cc/m2・day・atmのア
ルミナ蒸着パウチ(アルミナ蒸着PET12μm/延伸
ナイロン15μm/未延伸ポリプロピレン60μm、サ
イズ140×160mm)内に炭酸ナトリウム0.6g
を含み、かつアスコルビン酸ナトリウム0.14gを含
む溶液とアスコルビン酸ナトリウムを含まない溶液、そ
れぞれ30gとともに充填し、シーラーで密封包装し
た。
密封したまま庫内温度85℃で30分間蒸気で加熱処理
した。その後、室温程度まで冷却して製品(チルドタイ
プ麺)とした。この時の麺線pHを測定するとpHは約
9.2であった。
装体より麺塊を取り出し、熱湯300ml中に入れた鍋
で1分間炊いて調理した後試食した。その結果、アスコ
ルビン酸ナトリウムを添加したものに中華麺臭の増強効
果が確認された。
かんすい(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム=2:1)3
g、ポリリン酸ナトリウム1g、アルギン酸4g、クチ
ナシ色素1gを溶解した練り水350mlを加えてミキ
サーで15分間混練してドウを形成した。これを圧延機
で1.5mmに圧延し、角刃20番で切り出して麺線と
し、約2分間蒸し器で蒸して、次いで1食分110gず
つにカットした。カットした麺線を5%乳酸水溶液6.
5gとともに酸素透過度0.2cc/m2・day・atmのアルミ
ナ蒸着パウチ(アルミナ蒸着PET12μm/延伸ナイ
ロン15μm/未延伸ポリプロピレン60μm、サイズ
140×160mm)に充填し、シーラーで密封した。
気滅菌機で庫内温度120℃で30分間加熱殺菌した
(製品の負荷はF0≒6)。殺菌終了後自然冷却し、ク
リーンベンチ内で滅菌した注射器を用いてパウチ内に滅
菌した5.5%アスコルビン酸ナトリウム溶液13gと
18%炭酸ナトリウム溶液13gを無菌的に注入し、注
入孔を塞いだ。これを二次加熱処理として、前記包装体
に密封したまま庫内温度85℃で30分間蒸気で加熱処
理した。その後、室温程度まで冷却して製品とした。
装体より麺塊を丼容器に移し、熱湯300mlを加えて
箸でほぐして試食した。その結果、中華麺臭を有し、カ
ン焼けも見られない麺であった。なお、麺線pHは9.
6であった。
アスコルビン酸ナトリウム3.6gと9.0g、かんす
い(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム=2:1)3g、ポ
リリン酸ナトリウム1g、アルギン酸4g、クチナシ色
素1gを溶解した練り水350mlを加えてミキサーで
15分間混練しドウを形成した。これを圧延機で1.5
mmに圧延し、角刃20番で切り出して麺線とし、約2
分間蒸し器で蒸して、次いで1食分110gずつにカッ
トした。カットした麺線を5%乳酸水溶液6.5gとと
もにステンレス製の開口カップに充填した。
菌庫に入れて庫内の空気を一旦真空ポンプでほとんど排
出した後、加熱蒸気を注入して品温130℃で2分間
(F0≒14)高温高圧で殺菌した。殺菌終了後直ちに
庫内の蒸気を排出して急速冷却し、滅菌した無菌性を維
持したまま開口カップごとクリーンブース内に排出し
た。クリーンブース内において酸素透過度0.2cc/m2・
day・atmのアルミナ蒸着パウチ(アルミナ蒸着PET 1
2μm/延伸ナイロン 15μm/未延伸ポリプロピレ
ン 60μm、サイズ140×160mm)に、前記開
口カップ内の麺線を充填した。このパウチ内に、滅菌し
たアルカリ剤(炭酸ナトリウム)2.0gを含む水溶液
26gをパウチ内に添加した。
た後、二次加熱処理として、前記包装体に密封したまま
庫内温度85℃で30分間蒸気で加熱処理し、冷却し
た。これらの麺はアスコルビン酸ナトリウムを製品の麺
重量に対して、それぞれ約2000ppmまたは約50
00ppm含有した麺となる。これを室内で1日保存後
パウチを開口して試食した。その結果、何れのサンプル
も強いかんすい臭を有しており、カン焼けもなく好まし
いものであった。なお、麺線のpHは9.5であった。
加) 小麦粉800gに澱粉200gを粉体混合し、これにか
んすい(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム=2:1)3
g、ポリリン酸ナトリウム1g、アルギン酸4g、黄色
色素1gを溶解した練り水350mlを加えてミキサー
で15分間混練しドウを形成した。これを圧延機で1.
5mmに圧延し、角刃20番で切り出して麺線とし、約
2分間蒸し器で蒸して、次いで1食分110gずつにカ
ットした。カットした麺線とともに5%乳酸水溶液6.
5gと5.5%アスコルビン酸溶液13gをステンレス
製の開口カップに充填した。
菌庫に入れて庫内の空気を一旦真空ポンプでほとんど排
出した後、加熱蒸気を注入して品温130℃で2分間
(F0≒14)高温高圧で殺菌した。殺菌終了後直ちに
庫内の蒸気を排出して急速冷却し、滅菌した無菌性を維
持したまま開口カップごとクリーンブース内に排出し
た。クリーンブース内において酸素透過度0.2cc/m2・
day・atmのアルミナ蒸着パウチ(アルミナ蒸着PET 1
2μm/延伸ナイロン 15μm/未延伸ポリプロピレ
ン 60μm、サイズ140×160mm)に、前記開
口カップ内の麺線を充填した。このパウチ内に、滅菌し
たアルカリ剤(炭酸ナトリウム)18%の水溶液13g
をパウチ内に添加した。
た後、二次加熱処理として、前記包装体に密封したまま
庫内温度85℃で30分間蒸気で加熱処理し、冷却し
た。これを室内で1日保存後パウチを開口して試食し
た。その結果、強いかんすい臭を有しており、カン焼け
もなく好ましいものであった。
し、これに、かんすい(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム
=2:1)3.5g、ポリリン酸ナトリウム1g、アル
ギン酸4g、クチナシ色素1gを溶解した練り水350
mlを加えてミキサーで15分間混練して外層麺帯用ド
ウを形成した。一方、小麦粉1kgに、かんすい3.5
g、ポリリン酸ナトリウム1g、アルギン酸4g、クチ
ナシ色素0.5gを溶解した練り水350mlを加えて
ミキサーで15分間混練して内層麺帯用ドウを形成し
た。
これを複合機で重ね合わせて外層麺帯:内層麺帯:外層
麺帯=1:2:1の厚みの麺帯とし、さらに圧延機で
1.5mmに圧延し、角刃20番で切り出して麺線とし
た。この生麺線を、約2分間蒸し器で蒸して、次いで1
食分110gずつにカットした。カットした麺線を5%
乳酸水溶液6.5gとともにステンレス製の開口カップ
に充填し、麺線pHを5.0に調整した。
菌庫に入れて庫内の空気を一旦真空ポンプで排出し、ほ
ぼ真空状態とした後、加熱蒸気を注入して品温130℃
で2分間(F0≒14)加圧加熱殺菌を行った。殺菌終
了後直ちに庫内の蒸気を排出して急速冷却し、滅菌した
無菌のクリーンブース内に無菌性を維持したまま開口カ
ップごと排出した。
0.2cc/m2・day・atmのアルミナ蒸着パウチ(アルミナ
蒸着PET12μm/延伸ナイロン15μm/未延伸ポ
リプロピレン60μm、サイズ140×160mm)内
に前記カップ内の麺と、滅菌し濃度を変えた炭酸ナトリ
ウム+アスコルビン酸ナトリウム溶液26g(1食当り
の炭酸ナトリウムの量として、1.4g、1.6g、
2.5g、3.1g、アスコルビン酸ナトリウムの量と
して、全サンプル0.7g(これは製品中のアスコルビ
ン酸ナトリウムの量としては約5000ppm)を無菌
的に充填し、パウチ内の空気を窒素ガスに置換した後、
パウチ内の体積を約170ml前後としてシーラーで密封
包装した。
密封したまま庫内温度85℃で30分間蒸気で加熱処理
した。その後、室温程度まで冷却し製品とした。サンプ
ルの一部を開封して、この時の麺線pHを測定するとと
もに、開封したサンプルを丼容器に移して、熱湯300
mlを加えて箸でほぐし、外観を観察した後試食を行っ
た。開封していないサンプルについては、35℃の恒温
器で保存し、1週間後、2週間後、1ヶ月後、2ヶ月後
にそれぞれ開封して、丼容器に移して、熱湯300ml
を加えて箸でほぐし、外観を観察した後試食を行った。
10の麺では、加熱後に既に褐変しており、1週間後に
は全く商品価値のないものとなった。一方pHが9.4
のものは概ね問題がなく、pH9.6のものは1ヶ月後
にはわずかに褐変が見られたが、実際の室内等での保存
において連続して1ヶ月間も35℃以上の状態にさらさ
れることはないことを考えると、商品化が可能な範囲で
あると考えられた。
化を起こさずに、中華麺臭を発現、強化することができ
る。特に、該麺類が室内での一般的な保存状態で数ヶ月
以上長期保存ができるウェットタイプの包装麺類の場合
には、従来の技術では、製造中、あるいは保存中におい
て、褐変やエグ味、焦げ臭等の発生を起こさずに、それ
でいて中華麺臭を有する麺を得ることはできなかった
が、本発明によると、このような麺においても品質の劣
化を起こさずに十分な中華麺臭を付与できる。また、こ
の中華麺臭はその保存期間においても保持することがで
き、しかも保存中の褐変等の品質劣化が起こりにくいた
め、長期保存を行う中華麺においては極めて有用であ
る。
Claims (9)
- 【請求項1】 包装麺類の製造方法であって、酸素透過
度10cc/m2・24hr・atm以下の包装体に、麺線とともにア
ルカリ剤を密封包装するかまたは麺線表面にアルカリ剤
を処理した麺線を密封包装し、密封包装後包装体のまま
加熱処理して麺線pHを8.1〜9.7とする工程を含
み、前記加熱処理以前の工程で、麺線にアスコルビン酸
またはエリソルビン酸もしくはこれらの塩のうち、いず
れか一つ以上を含有させた包装麺類の製造方法。 - 【請求項2】 前記酸素透過度10cc/m2・24hr・atm以下
の包装体に密封包装する麺線が、湿熱下120℃で4分
以上、またはこれと同等の効力で殺菌処理した麺線であ
る請求項1記載の包装麺類の製造方法。 - 【請求項3】 前記包装体のまま加熱処理する加熱条件
が80℃以上100℃以下である請求項1または2に記
載の包装麺類の製造方法。 - 【請求項4】 前記麺線に含有させたアスコルビン酸ま
たはエリソルビン酸もしくはこれらの塩の合計が、製品
の麺重量に対して500ppm〜10000ppmとなるよう
に含有させる請求項1ないし3のいずれかに記載の包装
麺類の製造方法。 - 【請求項5】 a:原料粉から生麺線を製造する工程 b:生麺線をそのままかまたはα化処理した後に、酸素
透過度10cc/m2・24hr・atm以下の包装体に密封包装する
工程 c:密封包装した麺線を包装体ごと湿熱下120℃で4
分以上またはこれと同等の効力で殺菌処理する工程 d:殺菌処理後包装体内の麺線に無菌的にアルカリ剤を
処理する工程 e:アルカリ剤処理後包装体ごと二次加熱処理し、麺線
pHを8.1〜9.7にする工程 のa〜eの各工程を有する麺類の製造方法であって、ア
スコルビン酸またはエリソルビン酸もしくはこれらの塩
の何れか一つ以上を、工程aにおいて原料粉に添加する
か、または工程bにおいて麺線の密封包装前に麺線に付
着させるか、もしくは工程dにおいてアルカリ剤の処理
と同時にまたは前後して無菌的に麺線に付着させるか、
何れか一つ以上の方法によって、麺線に含有させる包装
麺類の製造方法。 - 【請求項6】 A:原料粉から生麺線を製造する工程 B:生麺線をそのままかまたはα化処理した後に、湿熱
下120℃で4分以上またはこれと同等の効力で殺菌処
理する工程 C:殺菌処理後麺線に無菌的にアルカリ剤を処理する工
程 D:アルカリ剤の処理と同時にまたは処理した後に、麺
線を無菌的に酸素透過度10cc/m2・24hr・atm以下の包装
体に密封包装する工程 E:包装体ごと二次加熱処理し、麺線pHを8.1〜
9.7に調整する工程 のA〜Eの各工程を有する麺類の製造方法であって、ア
スコルビン酸またはエリソルビン酸もしくはこれらの塩
の何れか一つ以上を、工程Aにおいて原料粉に添加する
か、または工程Bにおいて殺菌処理するまでの間に麺線
に付着させるか、もしくは工程Cまたは工程Dにおいて
麺線を包装体に密封包装するまでの間に無菌的に麺線に
付着させるか、何れか一つ以上の方法によって、麺線に
含有させる包装麺類の製造方法。 - 【請求項7】 前記工程eまたはEの二次加熱処理が8
0〜100℃で加熱する処理である請求項5または6に
記載の包装麺類の製造方法。 - 【請求項8】 前記麺線に含有させたアスコルビン酸ま
たはエリソルビン酸もしくはこれらの塩の合計量が、製
品の麺重量に対して500ppm〜10000ppmで
ある請求項5ないし7のいずれかに記載の包装麺類の製
造方法。 - 【請求項9】 室内での一般的な保存状態において長期
保存が可能な、包装体に密封包装された形態のウェット
タイプの麺類であって、該麺類の麺線pHが8.1〜
9.7であり、麺線にアスコルビン酸またはエリソルビ
ン酸もしくはこれらの塩の何れか一つ以上を含有し、か
つ麺線を密封包装する包装体が酸素透過度10cc/m2・24
hr・atm以下の包装体であり、中華麺臭を有することを特
徴とする包装麺類。
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JP2001068286A JP4111684B2 (ja) | 2001-03-12 | 2001-03-12 | 包装麺類およびその製造方法 |
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- 2001-03-12 JP JP2001068286A patent/JP4111684B2/ja not_active Expired - Fee Related
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