JP4111683B2 - 包装麺類およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、麺類における中華麺臭の発現、増強方法に関する。特に本発明は、密封包装されたウェットタイプの麺類(乾麺、即席麺以外の麺類)、とりわけ室内での一般的な保存状態で長期保存可能なウェットタイプの麺類において、麺線がアルカリ性でありながら褐変しておらず、また、以降の保存過程においてもほとんど褐変せず、それでいて強い中華麺風味を有する麺類とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウェットタイプの麺類を水分含量の高いまま、室内での一般的な保存状態(冷蔵や冷凍を行なわずに室内や流通過程で保存される状態で、具体的には0℃から35℃程度)で数ヶ月以上の長期保存を可能にする方法としては、従来より主として次の2つの方法が用いられている。その一つは、麺線を包装体に密封包装して湿熱下120℃で4分に相当する以上の条件(ボツリヌス菌の芽胞を死滅させる条件)で高温高圧殺菌処理する、いわゆるレトルト麺の製造法である。もう一つは、麺線に酸液等の静菌剤を処理した後密封包装して、100℃程度で加熱処理を行ない静菌性を持たせた、いわゆるLL麺(生タイプ即席麺)の製造法である。
【0003】
しかし、これらいずれの製造法においても、その製造法を中華麺に用いる場合には問題があった。すなわち、前者のレトルト麺の場合は、麺線pHをアルカリ性にして加熱殺菌処理すると、麺線が褐色に変色(褐変)してしまい、いわゆる「カン焼け」と呼ばれる現象を生じ、商品価値のないものとなってしまう。一方、後者のLL麺の場合は、麺線pHが4.8以下に保たれていなければ保存性を維持できないため、製品のpHを酸性にする必要があり、従って、麺線がアルカリ性であることによって得られる中華麺らしい風味を得ることができなかった。
【0004】
そこで近年、ウェットタイプの麺でありながら室内での一般的な保存状態で長期保存が可能で、しかも製品のpHがアルカリ性である中華麺を得る方法として、次のような方法が提案されている。すなわち、麺に120℃4分以上の高温高圧で殺菌処理を行った後、無菌的に麺線にアルカリ剤を吸着させて、麺線pHをアルカリ性に調整する方法であり、具体的には特開平8-38084号や特開平8-112070号等にその方法が提案されている。しかし、実際にこれらの方法に従って、アルカリ性の麺を製造して長期保存すると、夏場の保存等、保存温度が概ね30℃を超える環境下では、保存中に麺線が徐々に褐変し、特異な焦げ臭が発生して味もえぐくなり、「カン焼け」と同じ様な現象が生じて、商品価値のないものとなってしまった。
【0005】
そこで本発明者らは、中華麺臭を有するように、麺線がアルカリ性でありながら、夏場の保存においても麺線の褐変、劣化が進まない条件を検討した。その結果、麺線のpHを酸性〜中性として加熱殺菌処理した後に、麺線pHを8.5〜9.7の範囲に調整すれば、保存中の褐変をほとんど防ぐことができ、中華麺臭もある程度感じられる麺とすることができた。しかし、本格的な生中華麺と比較すると、中華麺臭は満足できるレベルにはなく、さらに強い中華麺臭を褐変が起こらない条件で増強、向上する方法が希求された。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上の問題点に対して本発明の課題とするところは、従来にない中華麺臭の増強方法を提案すること、特にウェットタイプの包装麺類において、一般家庭や流通段階での長期間の保存においても、中華麺臭が強く、かつ風味を長期間保持しながら、褐変を起こしにくく麺質が劣化しない、従来にない麺類を得ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上掲の課題を解決すべく発明されたものであり、その要旨とするところは、包装麺類の製造方法であって、
酸素透過度10cc/m2・24hr・atm以下の包装体(この透過量は0または非常に低いものであり、以下本発明では「酸素低透過性の包装体」という)に包装体内の酸素濃度が低くなるようにして、麺線とともにアルカリ剤を密封包装するかまたは麺線表面にアルカリ剤を処理した麺線を密封包装し、密封包装後包装体のまま加熱処理を行って、加熱処理後の包装体内の酸素量を製品の麺重量100g当り常温で0.1ml以下、かつ麺線pHを8.1〜9.7とする工程を含む包装麺類の製造方法である。この工程を含む麺類の製造方法によれば、中華麺臭を増強することができ、特に麺線形成以降の工程でアルカリ剤を処理した場合でも、中華麺臭を有する麺を得ることができる。
【0008】
なお、この製造方法において酸素低透過性の包装体に密封包装する麺としては、生麺、蒸し麺、茹で麺等いずれの麺も使用できるが、特に密封包装前に無菌化、静菌化したウェットタイプの麺が好ましい。例えば、包装体に密封包装する麺を、予め湿熱下120℃で4分以上またはこれに相当する以上の効力で殺菌処理した麺線とすれば、麺線を無菌化することができ、ウェットタイプの麺でありながら室内での一般的な保存状態で長期間の保存が可能となる。そして、このような麺においては、保存中も褐変を起こしにくく、しかも保存中も中華麺臭を維持することができる。従来、室内で長期保存できるウェットタイプの麺類においては、充分な中華麺臭を有するものはなかったが、本発明においてはこのような麺類においても中華麺臭を付与できる。
【0009】
なお、前述のような高温高圧で殺菌処理を施す場合は、殺菌処理時のカン焼けを防止するために、殺菌処理時のpHを低く調整して処理するのが好ましい。具体的には、殺菌処理前の麺線pHを3.5〜8.0程度の酸性から略中性域、さらに好ましくは、pH4.5〜7.0程度に調整して殺菌処理を行うことで殺菌処理時のカン焼けを防止できる。
【0010】
また、前述した本発明の製造工程において、アルカリ剤を処理した後に包装体に密封包装したまま加熱処理する(以下、本発明ではアルカリ剤処理後に行われるこのような加熱処理を「二次加熱処理」という)際の加熱条件が、70〜100℃、好ましくは80〜100℃とすることで、二次加熱処理時のpHをある程度高くしても褐変しにくく、しかも中華麺臭の強い麺とすることができる(pHは二次加熱処理後のpHで9.7程度まで可能で、pHを高く設定できることで中華麺臭をより強いものとすることができる)。
【0011】
また、本発明において前記包装体内の酸素量が低くなるようにして密封包装する方法としては、密封包装時に該包装体内の空気を窒素ガス等の不活性ガスとして封入するか、およびまたは密封包装時に麺線とともに脱酸素剤を同封する方法が、簡単で効果も高い。そして、この方法によって二次加熱処理後の包装体内の酸素量を製品の麺重量100g当り常温で0.1ml以下とする。
【0012】
また、本発明は具体的には次のa〜eの工程によって製造することで、中華麺臭が増強され、かつ褐変等品質劣化の少ない保存性の高い包装麺類が得られる。すなわち、
a:原料粉から生麺線を製造する工程
b:生麺線をそのままかまたはα化処理した後に、酸素透過度10cc/m2・24hr・atm以下の包装体に包装体内の酸素量が低くなるようにして密封包装する工程
c:密封包装した麺線を包装体ごと湿熱下120℃で4分以上またはこれと同等の効力で殺菌処理する工程
d:殺菌処理後包装体内の麺線に無菌的にアルカリ剤を処理する工程
e:アルカリ剤処理後包装体ごと二次加熱処理する工程
のa〜eの各工程を含むことによって、包装体内の酸素量を製品の麺重量100g当り常温で0.1ml以下、かつ麺線pHが8.1〜9.7とする包装麺類の製造方法である。
【0013】
この方法によって製造される麺は、麺線が殺菌されており、一般的な室内の保存状態で数ヶ月以上の長期保存が可能である。この場合、工程bにおいて麺線に酸処理を行って、麺線pHを酸性〜略中性にしておけば、cの殺菌処理時にカン焼けが起こりにくく好ましい。また、工程dにおいて無菌的にアルカリ液を封入する方法としては、滅菌した注射器等によって無菌のアルカリ液を包装体内に注入する方法等が可能である。
【0014】
さらに本発明は、具体的には次の工程で製造されても良い。
A:原料粉から生麺線を製造する工程
B:生麺線をそのまま、またはα化処理した後、湿熱下120℃で4分以上またはこれと同等の効力で殺菌処理する工程
C:殺菌処理後麺線に無菌的にアルカリ剤を処理する工程
D:アルカリ剤を処理と同時にまたは処理した後に、麺線を無菌的に酸素透過度10cc/m2・24hr・atm以下の包装体で包装体内の酸素濃度が低くなるようにして密封包装する工程
E:密封包装された包装体ごと二次加熱処理する工程
のA〜Eの各工程を含むことによって、包装体内の酸素量が製品の麺重量100g当り常温で0.1ml以下、かつ麺線pHが8.1〜9.7とする包装麺類の製造方法。
【0015】
この方法によっても、中華麺臭を有しながら、麺線が殺菌されているために、一般的な室内の保存状態で数ヶ月以上の長期保存が可能な麺を得ることができる。本方法の場合においても、工程Bにおいて殺菌処理する際の麺のpHを酸性〜略中性に調整しておくことで、殺菌時にカン焼けが起こりにくくなり好ましい。また、本方法の工程CまたはDにおいて無菌的にアルカリ剤を処理する方法としては、殺菌処理した麺にDの包装工程以前の工程でアルカリ剤をまぶす、アルカリ液を噴霧する、あるいはアルカリ液に浸漬する、もしくは包装体内にアルカリ液を入れておいてこれに麺を充填して密封する等の方法(複数選択可)が可能である。
【0016】
また、前記a〜e、A〜Eの2つの本発明の具体的な製造方法において、工程eまたはEの二次加熱処理の条件を80℃〜100℃とすると、カン焼けを起こしにくく、二次加熱時のpHを高めに設定することができる(pHが高いほうが中華麺臭が強く好ましい)。
【0017】
また、前記a〜e、A〜Eの2つの本発明の具体的な製造方法において、工程bまたはDの密封包装した包装体内の酸素濃度が低くなるようにして密封包装する方法としては、具体的には、密封包装時に包装体内の空気を窒素ガス等の不活性ガスとして密封するか、およびまたは密封包装時に麺線とともに脱酸素剤を同封して密封する方法が例示できる。そして、二次加熱処理後の包装体内の酸素量が、製品の麺重量100g当り常温で0.1ml以下の状態とする。
【0018】
さらに本発明は、室内での一般的な保存状態において長期保存が可能な、包装体に密封包装された形態のウェットタイプの麺類、好ましくは中華麺であって、該麺類の麺線pHが8.1〜9.7であり、かつ麺線を密封包装する包装体が酸素低透過性(酸素透過度10cc/m2・24hr・atm以下)の包装体であり、さらに包装体内の酸素量が製品の麺重量100g当り常温で0.1ml以下の状態である、中華麺臭を有することを特徴とする包装麺類である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、製造工程に順じて本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明に用いられる麺は、製麺の常法によって製造することができる。すなわち、小麦粉に必要に応じて穀粉や澱粉を加えて主原料とし、これに必要に応じて、かんすい、アルカリ剤、食塩、グルテン、卵白、増粘多糖類、色素等の副原料を添加し、練り水(練り水に前記副原料等を溶解させておいても良い)を加えて混練した後、押し出して麺線とするか、圧延して麺帯とした後これを切り出して麺線とする。商品の品名を「中華麺」と表示するためには原料にかんすいを添加する。
【0021】
また、以降の工程で麺線に高温高圧での殺菌処理を施す場合には、高温高圧下における麺線の保形性を向上させるために、原料にアルギン酸類(アルギン酸またはその塩やエステル類)をアルカリ剤とともに添加しておくこともできる。この場合、アルギン酸類を添加した麺線を高温高圧での殺菌処理する前に、酸液もしくはカルシウムを含む液に浸漬しておくことによって、殺菌時における麺線の保形性を格段に向上できる。
【0022】
本発明においては、押し出し又は切り出しによって得た生麺線をそのまま使用することもできるが、好ましくはα化処理した麺線を用いる。α化処理した麺線は生麺線を茹で又は蒸しによってα化処理したものが用いられる他、乾麺や即席麺を茹で戻した茹で麺等も使用可能である。α化処理した麺線を用いる場合、後の工程で行われる少なくとも1回以上の加熱処理によって、α化がさらに進むので、α化度を低めに設定したり、水分含量が低めになるようにα化処理しておくことが望ましい。
【0023】
本発明では、上記生麺線またはα化処理した麺線を、好ましくは高温高圧で殺菌処理する。当該殺菌処理は湿熱下120℃で4分以上またはこれに相当する以上の条件(≒F0=4以上)で殺菌するのが好ましく、これによって食中毒菌及びその芽胞をほぼ全て死滅させて商業的に無菌状態とし、この無菌状態を維持することによって、室内での一般的な保存状態においても数ヶ月以上の保存を可能にすることができる。
【0024】
一般に麺線を加熱殺菌処理すると、とりわけ密閉した包装体に入れて高温高圧で殺菌処理すると、麺線がアルカリ性の場合、麺線が褐色に変色して、味もえぐくなり商品化できないものとなる(カン焼けする)。そこで、加熱殺菌前の麺線pHは中性から好ましくは酸性域に調整するのが好ましく、そのためには加熱殺菌処理前に麺線を酸液に浸漬、あるいは麺線に酸液を噴霧する等の処理を行って、麺線pHを調整しておくことが望ましい。特に、麺原料にかんすいやアルカリ剤を添加する場合には、麺線pHはアルカリ性になることが多いので、pHが概ね8を超えるような場合には、加熱殺菌処理前に酸液処理を行う必要がある。この場合、好ましいpHとしては、3.5〜8.0の酸性から略中性、特に好ましくは4.5〜7.0とする。
【0025】
本発明において、殺菌処理を120℃で4分以上あるいはそれに近い高温高圧の状態で行う場合は、その手順に関して、次の2つの方法を採用することができる。すなわち、包装体に密封包装した後に殺菌処理する方法と、包装体に密封包装せずに殺菌処理した後無菌的に包装体(酸素低透過性の包装体)に密封する方法である。
【0026】
前者の方法としては、例えば、麺線を個食にカットした後包装体に充填、密封包装し、これを蒸気殺菌機、もしくは熱水加熱式のレトルト装置等で高温高圧で殺菌処理する。この方法の場合、麺線を包装体に密封して加熱殺菌を行うため、麺、包装体とも同時に殺菌され、従って、包装体を別途殺菌する必要はなく、また、無菌下での麺線の取り扱い作業等、難しい作業を行う必要がない。この方法は、装置が簡略で、取り扱い易い点で有利である。
【0027】
これに対して、後者の方法は、麺線を庫内トレーや、後工程で密封包装する包装体中に開封状態で充填し、開封したまま蒸気庫内で高温高圧で殺菌処理した後、無菌状態の庫内あるいは無菌状態のクリーンブース等に移して、包装体に密封包装する等の方法がある。この方法を採用する場合は、殺菌した麺を無菌的に包装するための特別な装置等が必要であり、また、細菌汚染等の可能性から、取り扱いに注意が必要である。しかしながら、得られた製品の品質は前者の方法による製品に比較して非常に優れたものとすることができる。
【0028】
後者の方が製品の品質が優れている理由は、高温高圧での加熱殺菌時に麺線が狭い包装体内に密閉されていないために、包装体内の気体が緩衝せず、加熱に要する昇温が早いために、殺菌時間が短縮化できるためである。すなわち、後者の方法を採用することで、麺線への余分な熱負荷を減らすことができ、従ってカン焼けが起こりにくく、レトルト臭が抑制され、加熱による劣化の少ない麺とすることができる。特に、この方法において、蒸気での加熱殺菌に先駆けて、蒸気庫内の空気を真空ポンプ等で積極的に脱気し、その後加熱蒸気を庫内に導入して高温高圧で殺菌する方法を採れば、昇温時間をさらに短縮でき、さらに品質の良い麺を得ることができる。
【0029】
本発明では、上述のように麺を殺菌処理した後に、又は殺菌処理を行わずに、麺線にアルカリ剤を処理し、次いで二次加熱処理して、麺線pHが最終的に(二次加熱処理を経た後の麺線pH)8.1〜9.7、好ましくは8.5〜9.5になるように調整する。そして、このように麺線pHを調整するためのアルカリ剤の処理方法としては、次のような方法が例示できる。
【0030】
例えば、前工程として前述の密封包装後に高温高圧で殺菌処理する方法を採用した場合には、殺菌後の密封された包装体内に注射器等によってアルカリ剤を注入する方法が考えられる。また、包装体を2室を有する包装体として、一方の室に麺線を、他方の室にアルカリ剤を充填しておいて、加熱殺菌後に包装体内の2室を隔てる隔壁を取り除いて、アルカリ剤を処理する方法等も例示できる。
【0031】
また、麺線を殺菌処理していないものを使用する場合、あるいは、前述のように殺菌処理を包装体に密封包装しない状態で処理した場合には、麺線を密封包装する前に、麺をアルカリ液に浸漬する、或いはアルカリ液やアルカリ剤を麺線表面に噴霧して処理する、さらには、密封包装する包装体内にアルカリ液やアルカリ剤を麺の充填と同時にまたは前後して添加して処理する等の方法が可能である。
【0032】
なお、麺線を密封包装せずに高温高圧で殺菌処理を行い、これによって麺線が無菌状態になっている場合には、この作業を蒸気殺菌機の庫内やクリーンブース等の無菌下で行い、かつ使用するアルカリ剤や包装体を全て滅菌処理しておくことで、無菌的に密封することができ、その場合製品の保存期間を数ヶ月以上にすることができる。
【0033】
本発明では、上述の方法によって、あるいはそれ以外の方法によって、麺線にアルカリ剤を処理する。そして、添加するアルカリ剤の量としては、包装体に密封された麺線が、次の二次加熱処理を行った後のpHで、pH8.1〜9.7、好ましくは8.5〜9.5になるようにアルカリ剤の量を調整する。なお、ここでアルカリ剤とは、当該技術分野で慣用されるアルカリ剤で、かんすいを含むほか、焼成カルシウム等の使用も可能である。
【0034】
麺線pHを8.1〜9.7に調整する理由は、pH8.1以下では中華麺臭がほとんど得られず、一方pH9.7以上になると、次の二次加熱処理時、もしくは一般家庭や流通段階における保存時(特に夏季)に麺線が褐変してしまう可能性が高いためである。なお、当該pHの範囲であれば、中華麺風味が得られ、かつ褐変、変質等を起こさない麺とすることができるが、中華麺風味はpHが高い方が強く、従って好ましくはpHを8.5〜9.5とするのが良い。
【0035】
本発明ではpHを前述の範囲に調整すること以外に、麺線を酸素低透過性の包装体に酸素の量を極めて少なくして密封し二次加熱処理する点が重要である。酸素低透過性の包装体とは、先述したように酸素を全く透過しないものだけでなく、非常にわずかに透過するもの、すなわち、酸素透過度10cc/cm2・24hr・atm以下、さらに好ましくは1cc/cm2・24hr・atm以下の包装体とすれば良い。LL麺に通常用いられているパウチは、一般に酸素透過度が20cc/cm2・24hr・atm程度あるために、中華麺臭が維持できず、それどころか二次加熱処理終了直後でも中華麺臭の向上効果が得られない。
【0036】
酸素透過度の低い包装体としては、袋タイプのものでは、アルミフィルム、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等を使用したものがあり、容器タイプのものでは、エバール樹脂とポリプロピレンを複合させた容器や金属性容器等各種のものがある。
【0037】
また、二次加熱処理の際に包装体内の酸素濃度が低くなるように密封包装する方法としては、密封時の包装体内の空気を窒素等の不活性ガスに置換して密封する方法、密封時の雰囲気環境を窒素等の不活性ガスに置換しておく方法、包装体に麺線を密封包装する際に脱酸素剤を同封する方法等が可能である。ここで不活性ガスとしては特に窒素が好ましいが、窒素以外に二酸化炭素、ヘリウム、脱酸素化した空気等が使用でき、脱酸素剤としては例えば商品名「エージレス」等が使用可能である。これによって、二次加熱処理した後の酸素量が製品の麺重量100g当り常温で0.1ml以下の状態とする。この酸素量は、一般的なLL麺等のパウチ入り麺の場合に当てはめて考えた場合、そのパウチ内の含気中、酸素濃度が約0.1〜0.2%以下の状態である。
【0038】
次に、酸素低透過性の包装体に密封包装された状態で二次加熱処理を行うが、二次加熱処理の温度は、包装体内の麺に負荷される温度で70〜100℃程度、好ましくは80〜100℃程度になるように行う。二次加熱温度が100℃以上になると、麺線を前記pHに調整したとしても麺線が二次加熱時に褐変する可能性があり、80℃以下では中華麺臭が発現しにくい。二次加熱処理にかける時間は蒸気庫を用いる場合、庫内の状態が100℃で20分、80℃で40分程度がよく、二次加熱処理後は自然冷却、急速冷却して本発明の包装麺類とする。なお、二次加熱処理の方法としては、包装体ごと熱湯に浸漬する方法や包装体ごと蒸気庫で加熱する方法等が好ましい。
【0039】
本発明では、上述のようにして包装麺類を製造するが、製造された包装麺は、そのまま、あるいはさらに外包材、外容器等に包装されて商品となる。製品は中華麺臭を有するので、商品形態としては、中華麺とするのが好ましいが、中華麺と表示する場合には麺原料にかんすいを添加する。
【0040】
本発明による製品の喫食方法は、商品形態が熱湯注加タイプのワンタッチ麺の場合は、包装体から麺線を取り出して丼等に移すか、あるいは、包装体が容器を兼ねている場合は容器を開口して、これに熱湯を注加して喫食する。一方、商品形態が炊き麺の場合には、包装体から麺線を取り出し、鍋等で調理した後喫食する。その他、電子レンジ調理等各種調理喫食方法も適用可能である。
【0041】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて、以下に具体的に説明するが、本発明は、これら実験例、実施例の開示に基づいて限定的に解釈されるべきでない。
【0042】
実験例1(酸素濃度による影響)
小麦粉800gに澱粉200gを粉体混合し、これに、かんすい(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム=2:1)1g、ポリリン酸ナトリウム1g、クチナシ色素1gを溶解した練り水350mlを加えてミキサーで15分間混練してドウを形成した。これを圧延機で1.5mmに圧延し、角刃20番で切り出して麺線とし、約2分間蒸し器で蒸して、次いで1食分110gずつにカットした。カットした麺線を5%乳酸水溶液6.5gとともにステンレス製の開口カップに充填し、麺線pHを約5.0に調整した。
【0043】
次いで、麺を充填した開口カップを蒸気殺菌庫に入れて庫内の空気を一旦真空ポンプで排出し、ほぼ真空状態とした後、加熱蒸気を注入して品温130℃で2分間(F0≒14)高温高圧で加熱殺菌を行った。殺菌終了後直ちに庫内の蒸気を排出して急速冷却し、滅菌した無菌のクリーンブース内に無菌性を維持したまま開口カップごと排出した。
【0044】
前記クリーンブース内において滅菌した酸素透過度0.2cc/m2・day・atmのアルミナ蒸着パウチ(アルミナ蒸着PET12μm/延伸ナイロン15μm/未延伸ポリプロピレン60μm、サイズ140×160mm)内に、前記殺菌した麺と滅菌した5%炭酸ナトリウム溶液26gを無菌的に充填し、パウチ内の空気を窒素ガスに(酸素含量を変えながら)置換し、パウチ内の体積を約170ml前後としてシーラーで密封包装した。なお、比較のため窒素ガス置換しないものと、窒素ガス置換したが通常のLL麺用パウチ(延伸ナイロン25μm/未延伸ポリプロピレン40μm、サイズ140×160mm、酸素透過度20cc/m2・day・atm)で密封したものを同様に作成した。
【0045】
これらを二次加熱処理として、前記包装体に密封したまま庫内温度85℃で30分間蒸気で加熱処理した。その後、室温程度まで冷却して製品とした。この時の麺線pHを測定すると全てのサンプルがpH約9.2であり、製品重量(パウチ重量を除く)を測定したところ140g〜143gであった。また、この時の包装体内の酸素濃度を酸素分析計(商品名:LC−700F 東レエンジニアリング社製)によって測定し、包装体内における麺(製品)100g当りの酸素量を計算した。
【0046】
この包装麺を室内にて一日保存した後、包装体より麺塊を丼容器に移し、熱湯300mlを加えて箸でほぐし、外観を観察した後パネラー5人にて試食を行った。結果は表1に示すが、表の通り酸素量が製品の麺重量100g当り常温で0.1ml以下の状態でかんすい臭の増強効果が見られ、0.05ml以下で特に強い効果が見られた。
【0047】
【表1】
Figure 0004111683
【0048】
実験例2(pHによる影響)
実験例1と同様にして高温高圧での殺菌処理を行った後、麺を包装するパウチをアルミナ蒸着パウチ(実験例1と同じ酸素透過度0.2cc/m2・day・atmのパウチ)とし、クリーンブース内で当該パウチに前記の殺菌した麺と、濃度を表2の通り段階的に変えた滅菌済み炭酸ナトリウム溶液26gを無菌的に充填し、パウチ内の空気を窒素ガスに置換し、酸素検知剤(商品名:アイ−C 三菱ガス化学社製)を同封してシーラーで密封した。
【0049】
以降実験例1と同様にして二次加熱処理を行い、同様の方法で試験した。
結果は表2に示すが、効果はpH8.1(表2のデータはpH8.5以上で効果があったことを示しているが、二次加熱温度を100℃にして同様に実験した結果、pH8.1程度から中華麺臭増強の効果が現れることを確認している)から現れ、好ましくは9.0〜9.5においてかんすい臭が強く認められ、しかもカン焼けが無いか、ほとんど見られなかった。pH9.7を超えるとカン焼けが見られ、本実験方法による麺の場合、製品としてはpH9.7程度が商品化できる限度と思われた。なお、パウチ内の酸素濃度は、酸素検知剤によって0.1%以下、すなわち麺重量100g当りの常温での酸素量として約0.05ml以下であることを確認している。
【0050】
【表2】
Figure 0004111683
【0051】
実験例3(二次加熱温度による影響)
実験例1と同様に高温高圧での殺菌処理を行った後、麺を包装するパウチをアルミナ蒸着パウチ(実験例1と同じ酸素透過度0.2cc/m2・day・atmのパウチ)とし、クリーンブース内で当該パウチに前記殺菌した麺と、滅菌済み5%炭酸ナトリウム溶液26gを無菌的に充填し、パウチ内の空気を窒素ガスに置換し、実験例2の酸素検知剤を同封してシーラーで密封した。
【0052】
パウチに密封したまま二次加熱処理の温度を60℃、70℃、85℃、100℃として30分間蒸気庫内で加熱し、以下実験例1と同様の方法で試験した。
結果は、麺線pHは約9.2であり、二次加熱温度100℃30分においてわずかに褐色化が認められた程度であった。中華麺臭に付いては、二次加熱温度が70℃から中華麺臭の増強が感じられ、80℃程度以上が特に好ましいと思われた。なお、パウチ内の酸素量は実験例2同様、酸素検知剤によって麺100g当り常温で約0.05ml以下であることを確認した。
【0053】
実験例4(パウチの酸素透過性による差異)
実験例1と同様に高温高圧で加熱殺菌処理した後、麺を包装するパウチを、酸素透過度が0のアルミパウチ、酸素透過度が0.5cc/m2・day・atm、1.0cc/m2・day・atmのアルミナ蒸着パウチ(アルミナ蒸着PET12μm/延伸ナイロン15μm/LLDPE60μm)、3.0cc/m2・day・atmのアルミナ蒸着パウチ(アルミナ蒸着PET12μm/延伸ナイロン15μm/LLDPE50μm)、酸素透過度が20.0cc/m2・day・atmのLL麺用パウチ(延伸ナイロン25μm/未延伸ポリプロピレン40μm)(いずれもサイズは140×160mm)に変えて、クリーンブース内で当該各パウチに前記殺菌した麺と、滅菌した5%炭酸ナトリウム溶液26gを無菌的に充填し、パウチ内の空気を窒素ガスに置換し、実験例2の酸素検知剤を同封してシーラーで密封した。
【0054】
以降実験例1と同様にして二次加熱処理を行い、同様の方法で試験した。
結果を表3に示すが、酸素透過度の低いアルミナ蒸着パウチや酸素を通さないアルミパウチでは中華麺臭の増強効果が認められたが、LL麺用パウチでは効果が認められなかった。また、特に酸素透過度1.0cc/m2・day・atm以下のものが好ましいことが理解された。なお、パウチ内の酸素量は実験例2同様、酸素検知剤によって麺100g当り常温で約0.05ml以下であることを確認した。
【0055】
【表3】
Figure 0004111683
【0056】
実験例5(脱酸素剤による効果)
実験例1と同様に高温高圧での殺菌処理を行った後、麺を包装するパウチを実験例1と同じアルミナ蒸着パウチ(酸素透過度0.2cc/m2・day・atmのパウチ)とし、クリーンブース内で当該パウチに前記の殺菌した麺と滅菌済み5%炭酸ナトリウム溶液26gを無菌的に充填するとともに、脱酸素剤(酸素吸収量20ml)(商品名:エージレスアイFX-20L 三菱ガス化学社製)と、実験例2の酸素検知剤を同封してシーラーで密封した。
【0057】
以降実験例1と同様にして二次加熱処理を行い、同様の方法で試験した。
結果は、パウチ内の酸素量は、実験例2同様、酸素検知剤によって麺100g当り常温で約0.05ml以下となっており、中華麺臭が十分あり、麺線に褐変等の不具合は見られなかった。従って、脱酸素剤の添加によっても窒素置換の場合とほぼ同様の効果が得られることが解った。
【0058】
実施例1
小麦粉800gに澱粉200gを粉体混合し、これに、かんすい(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム=2:1)1g、ポリリン酸ナトリウム1g、クチナシ色素1gを溶解した練り水350mlを加えてミキサーで15分間混練してドウを形成した。これを圧延機で1.5mmに圧延し、角刃20番で切り出して麺線とし、約2分間蒸し器で蒸して、次いで1食分110gずつにカットした。カットした麺線を酸素透過度0.2cc/m2・day・atmのアルミナ蒸着パウチ(アルミナ蒸着PET12μm/延伸ナイロン15μm/未延伸ポリプロピレン60μm、サイズ140×160mm)内に2%炭酸ナトリウム溶液30gとともに充填し、パウチ内の空気を窒素ガスに置換したものと置換しないものを作成し、シーラーで密封包装した。
【0059】
これを二次加熱処理として、前記包装体に密封したまま庫内温度85℃で30分間蒸気で加熱処理した。その後、室温程度まで冷却し製品(チルドタイプ麺)とした。この時の麺線pHを測定するとpH約9.2であった。
【0060】
この包装麺を冷蔵にて一日保存した後、包装体より麺塊を取り出し、熱湯300ml中に入れた鍋中で1分間炊いて調理した後試食した。その結果、パウチ内の空気を窒素置換したものに中華麺臭の増強が確認された。
【0061】
実施例2
小麦粉800gに澱粉200gを粉体混合し、これに、かんすい(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム=2:1)3g、ポリリン酸ナトリウム1g、アルギン酸4g、クチナシ色素1gを溶解した練り水350mlを加えてミキサーで15分間混練してドウを形成した。これを圧延機で1.5mmに圧延し、角刃20番で切り出して麺線とし、約2分間蒸し器で蒸して、次いで1食分110gずつにカットした。カットした麺線を5%乳酸水溶液6.5gとともに酸素透過度0.2cc/m2・day・atmのアルミナ蒸着パウチ(アルミナ蒸着PET12μm/延伸ナイロン15μm/未延伸ポリプロピレン60μm、サイズ140×160mm)に充填し、パウチ内の空気を窒素に置換してシーラーで密封した。
【0062】
パウチに密封包装された麺をパウチごと蒸気滅菌機で庫内温度120℃で30分間加熱殺菌した(製品の負荷はF0≒6)。殺菌終了後自然冷却し、クリーンベンチ内で滅菌した注射器を用いてパウチ内に滅菌した5%炭酸ナトリウム溶液26gを無菌的に注入し、注入孔を塞いだ。これを二次加熱処理として、前記包装体に密封したまま庫内温度85℃で30分間蒸気で加熱処理した。その後、室温程度まで冷却して製品とした。
【0063】
この包装麺を常温にて一日保存した後、包装体より麺塊を丼容器に移し、熱湯300mlを加えて箸でほぐして試食した。その結果、中華麺臭を有し、カン焼けも見られない麺であった。
【0064】
実施例3(保存試験)
小麦粉700gにアセチル化澱粉300gを粉体混合し、これに、かんすい(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム=2:1)3.5g、ポリリン酸ナトリウム1g、アルギン酸4g、クチナシ色素1gを溶解した練り水350mlを加えてミキサーで15分間混練して外層麺帯用ドウを形成した。一方、小麦粉1kgに、かんすい3.5g、ポリリン酸ナトリウム1g、アルギン酸4g、クチナシ色素0.5gを溶解した練り水350mlを加えてミキサーで15分間混練して内層麺帯用ドウを形成した。
【0065】
それぞれのドウを圧延して麺帯とした後、これを複合機で重ね合わせて外層麺帯:内層麺帯:外層麺帯=1:2:1の厚みの麺帯とし、さらに圧延機で1.5mmに圧延し、角刃20番で切り出して麺線とした。この生麺線を、約2分間蒸し器で蒸して、次いで1食分110gずつにカットした。カットした麺線を5%乳酸水溶液6.5gとともにステンレス製の開口カップに充填し、麺線pHを5.0に調整した。
【0066】
次いで、麺を充填した開口カップを蒸気殺菌庫に入れて庫内の空気を一旦真空ポンプで排出し、ほぼ真空状態とした後、加熱蒸気を注入して品温130℃で2分間(F0≒14)加圧加熱殺菌を行った。殺菌終了後直ちに庫内の蒸気を排出して急速冷却し、滅菌した無菌のクリーンブース内に無菌性を維持したまま開口カップごと排出した。
【0067】
前記クリーンブース内において酸素透過度0.2cc/m2・day・atmのアルミナ蒸着パウチ(アルミナ蒸着PET12μm/延伸ナイロン15μm/未延伸ポリプロピレン60μm、サイズ140×160mm)内に前記カップ内の麺と、滅菌し濃度を変えた炭酸ナトリウム+アスコルビン酸ナトリウムの水溶液26g(1食当りの炭酸ナトリウムの量として、1.4g、1.6g、2.5g、3.1g、アスコルビン酸ナトリウムの量として、全サンプル各0.7g)を無菌的に充填し、パウチ内の空気を窒素ガスに置換した後、パウチ内の体積を約170ml前後としてシーラーで密封包装した。
【0068】
これを二次加熱処理として、前記包装体に密封したまま庫内温度85℃で30分間蒸気で加熱処理した。その後、室温程度まで冷却し製品とした。サンプルの一部を開封して、この時の麺線pHを測定するとともに、開封したサンプルを丼容器に移して、熱湯300mlを加えて箸でほぐし、外観を観察した後試食を行った。
【0069】
開封していないサンプルについては、35℃の恒温器で保存し、1週間後、2週間後、1ヶ月後、2ヶ月後にそれぞれ開封して、丼容器に移して、熱湯300mlを加えて箸でほぐし、外観を観察した後試食を行った。
【0070】
結果を表4に示すが、二次加熱後のpHが10の麺では、加熱後に既に褐変しており、1週間後には全く商品価値のないものとなった。一方pHが9.4のものは概ね問題がなく、pH9.6のものは1ヶ月後にはわずかに褐変が見られたが、実際の室内等での保存において連続して1ヶ月間も35℃以上の状態にさらされることはないことを考えると、商品化が可能な範囲であると考えられた。
【0071】
【表4】
Figure 0004111683
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、麺線に褐変等品質の劣化を起こさずに、中華麺臭を発現、強化することができる。特に、該麺類が室内での一般的な保存状態で数ヶ月以上長期保存ができるウェットタイプの包装麺類の場合には、従来の技術では、製造中、あるいは保存中において、褐変やエグ味、焦げ臭等の発生を起こさずに、それでいて中華麺臭を有する麺を得ることはできなかったが、本発明によると、このような麺においても品質の劣化を起こさずに十分な中華麺臭を付与できる。また、この中華麺臭はその保存期間においても保持することができ、しかも、保存中に褐変等の品質劣化が起こりにくいため、長期保存を行う中華麺においては極めて有用である。

Claims (6)

  1. 包装麺類の製造方法であって、酸素透過度10cc/m2・24hr・atm 以下の包装体に包装体内の酸素濃度が低くなるようにして、麺線とともにアルカリ剤を密封包装するかまたは麺線表面にアルカリ剤を処理した麺線を密封包装し、密封包装後包装体のまま包装体内の酸素濃度を低くした状態で80℃以上100℃以下の条件で加熱処理を行って、加熱処理後の包装体内の酸素量を製品の麺重量100g当り常温で0.1ml以下、かつ麺線pHを8.1〜9.7とする、工程を含む包装麺類の製造方法。
  2. 前記酸素透過度10cc/m2・24hr・atm 以下の包装体に密封包装する麺が、湿熱下120℃で4分以上またはこれと同等の効力で殺菌処理した麺線である請求項1記載の包装麺類の製造方法。
  3. 前記包装体内の酸素量が低くなるようにして密封包装する方法が、密封包装時に不活性ガスを該包装体内に封入するか、およびまたは密封包装時に麺線とともに脱酸素剤を同封する方法である請求項1又は2に記載の包装麺類の製造方法。
  4. a:原料粉から生麺線を製造する工程
    b:生麺線をそのままかまたはα化処理した後に、酸素透過度10cc/m2・24hr・atm 以下の包装体に包装体内の酸素量が低くなるように、前記包装体内に不活性ガスを封入するかおよびまたは脱酸素剤を同封して密封包装する工程
    c:密封包装した麺線を包装体ごと包装体内の酸素濃度を低くした状態で、湿熱下120℃で4分以上またはこれと同等の効力で殺菌処理する工程
    d:殺菌処理後包装体内の麺線に無菌的にアルカリ剤を処理する工程
    e:アルカリ剤処理後包装体ごと80℃〜100℃で二次加熱処理する工程
    のa〜eの各工程を含むことによって、包装体内の酸素量が製品の麺重量100g当り常温で0.1ml以下、かつ麺線pHが8.1〜9.7とする包装麺類の製造方法。
  5. A:原料粉から生麺線を製造する工程
    B:生麺線をそのままかまたはα化処理した後に、湿熱下120℃で4分以上またはこれと同等の効力で殺菌処理する工程
    C:殺菌処理後麺線に無菌的にアルカリ剤を処理する工程
    D:アルカリ剤の処理と同時にまたは処理した後に、麺線を無菌的に酸素透過度10cc/m2・24hr・atm 以下の包装体に包装体内の酸素濃度が低くなるように、前記包装体内に不活性ガスを封入するかおよびまたは脱酸素剤を同封して密封包装する工程
    E:密封包装された包装体ごと包装体内の酸素濃度を低くした状態で、80℃〜100℃で二次加熱処理する工程
    のA〜Eの各工程を含むことによって、包装体内の酸素量が製品の麺重量100g当り常温で0.1ml以下、かつ麺線pHが8.1〜9.7とする包装麺類の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の製造方法によって製造された、室内での一般的な保存状態において長期保存が可能なウェットタイプの麺類であって、中華麺臭を有し、前記保存状態において保存褐変しないことを特徴とする包装麺類。
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