JP2001204414A - 包装麺類およびその製造方法 - Google Patents

包装麺類およびその製造方法

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JP2001204414A
JP2001204414A JP2000019665A JP2000019665A JP2001204414A JP 2001204414 A JP2001204414 A JP 2001204414A JP 2000019665 A JP2000019665 A JP 2000019665A JP 2000019665 A JP2000019665 A JP 2000019665A JP 2001204414 A JP2001204414 A JP 2001204414A
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JP2000019665A
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Shinichi Tsukamoto
真一 塚本
Norikazu Asao
紀和 浅尾
Shinji Niwa
慎二 丹羽
Takateru Nakayama
貴照 中山
Hiroshi Iwaki
博志 岩城
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Nissin Food Products Co Ltd
Original Assignee
Nissin Food Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温で数カ月以上保存可能なウェットタイプ
の包装麺類において、麺線がアルカリ性であって、中華
麺臭を有し、一般家庭や流通段階における長期間の保存
においても麺線に褐変等の変質を起こさない麺を得る。 【解決手段】 麺線を包装体に密封包装した後加熱殺菌
処理するか、もしくは、麺線を加熱殺菌処理後無菌下で
包装体に密封包装する包装麺類の製造工程において、加
熱殺菌処理以降の工程で麺線に無菌的にアルカリ剤を吸
着させ、麺線pHを8.5〜9.7、好ましくは9.0
〜9.7に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常温(本発明で言
う「常温」とは、一般家庭や流通段階での一般的な保存
環境における温度を言い、上限としては夏季のやや厳し
い環境を想定して約35℃程度までを含むものとし、化
学実験等で使われる常温「15〜25℃」を指すもので
はない)での長期保存が可能なウェットタイプの包装麺
類において、一般家庭や流通段階での長期間の保存にお
いても変色、劣化せず、かつ中華麺風味を保持できる麺
類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ウェットタイプの麺類を水分含量の高い
まま常温で長期保存させる方法としては、従来より次の
2つの方法が用いられている。その一つは、麺線を包装
体に密封して湿熱下120℃で4分に相当する条件以上
で加圧加熱殺菌処理する、いわゆるレトルト麺の製造法
であり、もう一つは、麺線に酸液等の静菌剤を処理した
後密封して、100℃程度で加熱処理を行ない静菌性を
持たせた、いわゆるLL麺(生タイプ即席麺)の製造法
である。
【0003】しかし、いずれの製造法においても、これ
らの製造法を中華麺に用いる場合には問題があった。す
なわち、LL麺の場合は、麺線pHが4.8以下に保た
れていなければ常温での保存性を維持できないために、
製品のpHを酸性にする必要があり、従って、麺線がア
ルカリ性であることによって得られる中華麺らしい風味
を得ることができなかった。また、レトルト麺の場合
は、麺線pHをアルカリ性にして加熱殺菌処理すると、
麺線が褐色に変色してしまういわゆる「カン焼け」と呼
ばれる現象を生じ、商品価値のないものとなってしまっ
た。
【0004】そこで近年、常温保存可能で、しかも製品
のpHがアルカリ性である中華麺を得るための方法とし
て、レトルト処理等の加熱殺菌処理を行った後に、無菌
的に麺線にアルカリ剤を吸着させて、麺線pHをアルカ
リ性に調整する技術が提案されている。そのような技術
としては、例えば特開平8-38084号には、隔壁を有する
二空間よりなる包材の一方の空間にアルカリ液を、他方
の空間に中性の麺線を入れてレトルト処理し、その後二
空間を隔てる隔壁を除いて麺線にアルカリ液を吸収させ
る方法が記載されている。また特開平8-112070号には、
高温高圧での殺菌の後に無菌下で、かつ加圧下におい
て、麺線にアルカリ液を吸収させ麺線pHを9.3〜11.0
に調整する技術が記載されている。
【0005】本発明者らも、常温保存が可能なウェット
タイプの包装麺であって、しかも中華麺風味を有する麺
類を得るために、上記のような方法、すなわち、麺線の
加熱殺菌処理以降の工程で、無菌的に麺線にアルカリ剤
を吸着させて麺線pHをアルカリ性にした包装麺を多数
試作してみた。
【0006】しかしながら、このようにして製造した包
装中華麺を、夏季のやや厳しい保存状態を想定して35
℃程度で保存してみたところ、保存中に次第に麺線が褐
色に変色し、いわゆる「カン焼け」と同じ現象が生じ、
風味についても焦げ臭い臭いがし、味もえぐみが強く、
麺類として商品価値の無いものになってしまった。本発
明者らは、この原因が包装体内の酸素によるものではな
いかと考え、無菌的に麺線にアルカリ剤を吸着させて包
装する工程において、封入される気体を窒素に置き換え
て保存処理を行って見たが、結果は同じであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上の問題点に対して
本発明の課題とするところは、常温保存可能なウェット
タイプの包装麺類において、一般家庭や流通段階での長
期間の保存においても、中華麺風味を保持しながら、褐
変を起こさず麺質が劣化しない、従来にない麺類を得る
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上掲の課題を
解決すべく発明されたものであって、その要旨とすると
ころは、生麺線もしくは茹で及び又は蒸した麺線を包装
体に密封包装した後、加熱殺菌処理する工程を有する包
装麺類の製造方法において、該加熱殺菌処理後の工程で
麺線に無菌的にアルカリ剤を処理し、麺線pHを8.5
〜9.7に調整することを特徴とする包装麺類の製造方
法である。また、本発明は、生麺線もしくは茹で及び又
は蒸した麺線を加熱殺菌処理した後、無菌下で包装体に
密封包装する工程を有する包装麺類の製造方法におい
て、該加熱殺菌処理後の工程で麺線に無菌的にアルカリ
剤を処理し、麺線pHを8.5〜9.7に調整すること
を特徴とする包装麺類の製造方法である。
【0009】前記本発明の方法によれば、いずれの方法
においても、常温での長期保存が可能なアルカリ性のウ
ェットタイプの麺類を得ることができ、一般家庭や流通
段階での長期間の保存においても中華麺臭が保持され、
経時的に褐変、変質しない包装中華麺類を得ることがで
きる。なお、加熱殺菌処理した後に無菌下で密封包装す
る後者の製法の方が、麺線間の結着が防止され、麺線表
面のあれも少なく、また麺線にコシのある麺質の良い麺
を得ることができる。
【0010】また、本発明は前記の各包装麺類の製造方
法において、加熱殺菌後のアルカリ剤の処理方法が、密
封包装された包装体内にアルカリ溶液を包装体外から無
菌的に注入する方法である。また、本発明は、麺線を加
熱殺菌処理した後に無菌下で包装体に密封包装する後者
の製法において、加熱殺菌処理後包装体に密封包装する
までの間に、麺線に無菌的にアルカリ液を付着させる包
装麺類の製造方法である。
【0011】なお、包装体外からアルカリ液を無菌的に
注入する方法としては、滅菌処理した注射器等で無菌的
にアルカリ液を包装体内に注射する方法等があり、この
方法によれば比較的簡単な方法と装置によって、麺線を
細菌やカビ等に汚染させることなく処理することが可能
である。
【0012】一方、加熱殺菌処理後包装体に密封包装す
るまでの間にアルカリ液を処理する方法としては、当該
加熱殺菌処理を密封包装していない状態で行い、加熱殺
菌によって殺菌した麺に、無菌状態でアルカリ液を噴霧
するか、無菌状態でアルカリ液に浸漬するか、あるいは
麺を密封包装する包装体内に無菌のアルカリ液を添加し
ておいて包装する方法等がある。この方法によれば、ア
ルカリ剤処理のために格別な装置を必要としないだけで
なく、加熱殺菌処理が包装体に密封されていない状態で
行えるために、麺線がダンゴ状に結着しにくく、またレ
トルト臭が抑えられ、食味食感の良い麺とすることがで
きる。
【0013】また、本発明は、前記加熱殺菌処理をF0
=4以上(一般的には、安全性を見てF0>10程度と
するのが好ましい)の加圧加熱殺菌とすることで、製品
形態をレトルト麺とすることができ、これによって静菌
剤等を使用せずに常温で数カ月以上の長期保存が可能と
なる。
【0014】さらに本発明は、中華麺臭を得るために、
アルカリ剤を処理した後の麺線pHを9.0〜9.7に
調整するのが望ましい。
【0015】また、さらに本発明は、前記の生麺線もし
くは茹で及び又は蒸した麺線が、麺線原料にアルカリ剤
を含み、かつ、加熱殺菌処理より以前の工程において麺
線が酸液処理されてpH調整された麺線である包装麺類
の製造方法である。本方法によれば、麺原料にアルカリ
剤を添加してpHがアルカリ性になった麺においても、
加熱殺菌工程前にpHを下げることができるので、麺原
料に添加するアルカリ剤の量を増やすことができる。麺
原料に添加するアルカリ剤の量を増やすことで、麺生地
の製造段階におけるグルテンのネットワークの形成を促
進することができ、麺線のコシが改良される。
【0016】原料へのアルカリ剤の添加による好ましい
麺生地のpH(酸処理前のpH)としては、pH8.5
以上、さらに好ましくは9以上であり、一方、酸液処理
後の麺線pHは、その後の加熱殺菌条件によっても異な
るが、pH8.5以下、好ましくは8以下、さらに好ま
しくは酸性域に調整する。なお、本発明の麺原料にアル
カリ剤としてかんすいを使用することで、製品の品名を
中華麺とすることができる。
【0017】また、本発明は上記のような各種製法によ
って製造された麺類であって、麺線の製造工程におい
て、加熱殺菌処理以降の工程で無菌的にアルカリ剤を吸
着させた、麺線pHが8.5〜9.7の一般家庭や流通
段階での長期間の保存が可能な包装麺類である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる麺は、製麺の
常法によって製造することができる。すなわち、小麦粉
に必要に応じて穀粉や澱粉を加えて主原料とし、これに
必要に応じて、かんすい、アルカリ剤、食塩、グルテ
ン、卵白、増粘類、色素等の副原料を添加し、水を加え
て混練した後、押し出して麺線とするか、圧延して麺帯
とした後これを切り出して麺線とする。
【0019】本発明は中華麺風味を有する麺類の製造を
目的とするものであるが、商品名を中華麺とする必要が
なければ、中華麺風味は本発明の後工程で麺線に処理さ
れるアルカリ剤によっても効果が得られるので、必ずし
も副原料としてかんすいを添加する必要はない。しかし
ながら、中華麺らしい食味、コシのある食感を増強する
ためには、麺原料にかんすい又はアルカリ剤を添加して
おくことが好ましい。なお、このような方法によって麺
線pHが高くなりすぎた場合でも、後述するように、加
熱殺菌処理の前に麺線を酸液処理して麺線pHを調整す
ることで、本発明に使用可能な麺線とすることができ
る。
【0020】なお、本発明で言うアルカリ剤とは、特に
「かんすい」と分けて記述していない限り、かんすいを
含むものであり、当該技術分野で慣用的に使用されるア
ルカリ剤である。すなわち、必ずしもアルカリ性のもの
だけではなく、食品衛生法における食品添加物として定
義されている「かんすい」及びかんすいの構成成分と、
かんすいの代替物として市販されている焼成カルシウム
等を含むものである。具体的に上げると、炭酸カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム及びリン酸塩
のカリウム塩又はナトリウム塩(重合リン酸塩を含
む)、卵殻焼成カルシウム、貝殻焼成カルシウム等を一
つもしくは二つ以上含むものである。
【0021】本発明において、加熱殺菌処理前に麺線を
酸液処理する場合には、麺原料に副原料としてアルカリ
剤と共に、特にアルギン酸類を添加するのが望ましい。
アルカリ剤とアルギン酸類を添加して製麺した後に、酸
液処理することで、加熱殺菌後においても麺線形状が維
持され、ほぐれが良く、麺あれの少ない麺とすることが
できる。なお、ここで言うアルギン酸類とはアルギン
酸、アルギン酸の各種塩、あるいはアルギン酸のエステ
ルであり、好ましい添加量は、小麦粉等主原料1kgに
対して1〜20g程度である。また、この場合、当該効
果を得るためには酸処理工程は必須で、酸処理後の麺線
pHを6.8以下に調整する。
【0022】本発明に用いられる麺線は、これらの副原
料を必要に応じて添加した後、加水して混練し、押し出
し、もしくは圧延後切り出しによって麺線とする。な
お、その過程において真空ミキサー、真空麺帯機等を用
いて減圧下で混練又は圧延することもでき、これらの方
法によれば、麺質が緻密になりコシのある麺線とするこ
とができる。また、副原料の添加方法としては、主原料
と共に粉体で添加しても、練り水に懸濁、あるいは溶解
させて添加しても良い。
【0023】本発明に使用する麺線が、生麺線の場合
は、前述のように押し出し又は切り出しによって得た麺
線をそのまま使用することができる。また、茹で及び又
は蒸した麺線を使用する場合は、このような生麺線を茹
で又は蒸しによってα化処理したものが用いられる他、
乾麺や即席麺としたものを茹で戻した茹で麺等も使用可
能である。
【0024】以上のような麺線が本発明において使用可
能であるが、いずれの麺線の場合であっても加熱殺菌処
理直前の麺線pHが、加熱殺菌処理で褐変を起こすよう
なアルカリ性のpHであってはならない。使用可能な麺
線のpHとしては、供される加熱殺菌の条件によって異
なるが、一般的にF0>4の加圧加熱殺菌の場合で、少
なくともpH8.5以下、好ましくは8以下、さらに好
ましくは麺線を酸性域に調整するのがよい。pHが高く
本発明に使用するのに適さない場合は、麺線に酸液処理
を施して麺線pHを調整する。調整するpHの好ましい
範囲は前述した通りであり、供する加熱殺菌による麺線
の褐変が生じない範囲にする。使用する酸液は有機酸の
水溶液や有機酸の油脂分散水溶液等で、これに麺線を浸
漬するか、もしくは、麺線にこれらの液を噴霧する方法
が好ましい。
【0025】なお、前にも述べた通り、酸処理すること
で麺生地に添加できるアルカリ剤の量を増やすことがで
きる。原料にアルカリ剤を多く添加することができれ
ば、麺生地の形成時におけるグルテンのネットワーク形
成を促進することができるので、麺生地のpHを一旦高
くし、その後酸処理してpH調整する工程を取ること
で、麺線のコシが改良された麺とすることができる。こ
の場合、アルカリ剤を添加した麺生地のpHは、好まし
くは8.5以上、更に好ましくは9以上とし、このよう
な麺生地を麺線とした後、加熱殺菌処理する前に酸処理
して、前述のpH域に調整する。なお、麺原料にアルギ
ン酸類を添加した場合は、pHをあまり高くしなくても
コシの改良された麺とすることができ、この場合は麺生
地のpHとしてpH7以上になるようにアルカリ剤を添
加するのがよい。
【0026】本発明に使用する麺線が、茹で及び又は蒸
しによってα化した麺線の場合は、前述のアルギン酸類
を使用した技術を用いた時には通常の茹で麺の水分含量
でもかまわないが、アルギン酸類を用いない場合には、
水分含量が低い方が望ましく、好ましくは水分含量50
%以下、さらに好ましくは40%以下に調整するのが良
く、従って本発明においては、α化処理は水分含量の高
くなる茹で処理を選択するよりも蒸し処理を選択するの
が好ましい。
【0027】このような麺線を本発明においては加熱殺
菌処理して保存性を持たせるが、ここでいう加熱殺菌処
理とは湿熱下約100℃以上での殺菌処理を言う。特
に、本発明においては、当該加熱殺菌処理の方法とし
て、湿熱下120℃で4分に相当する条件以上、すなわ
ち、F0=4以上に当たる加圧加熱殺菌(通常は安全性
を見てF0>10程度)を行って保存性を付与するのが
良い。この方法によれば、製品pHがアルカリ性である
本発明品であっても、存在する細菌、カビ等を滅菌する
ことができ、常温で少なくとも数カ月以上の長期間の保
存が可能となる。
【0028】また、本発明においては、加熱殺菌処理の
手順に関して、次の2つの方法を採用することができ
る。すなわち、包装体に密封包装後加熱殺菌する方法
と、包装体に密封包装せずに加熱殺菌した後無菌的に包
装体に密封する方法である。
【0029】前者の方法としては、麺線を個食にカット
した後レトルトパウチ等に充填、密封包装し、これを蒸
気殺菌機、もしくは熱水加熱式のレトルト装置等で加熱
殺菌処理を行う。この方法の場合、麺線を包装体に密封
して加熱殺菌を行うため、麺、包装体とも同時に殺菌さ
れ、従って、包装体を別途殺菌する必要はなく、また、
無菌下での麺線の取り扱い作業等、難しい作業を行う必
要がない。この方法は、装置が簡略にでき、取り扱い易
い点で有利である。
【0030】これに対し、後者の方法としては、麺線を
個食にカットして又はカットしない状態で、庫内トレー
や後工程で密封包装する包装体に開封状態で充填し、蒸
気庫内で湿熱下加熱殺菌した後、冷却し、無菌状態の庫
内あるいは無菌状態のクリーンブース等に移して包装体
に密封包装する等の方法がある。この方法は、無菌的に
包装するための特別な装置等が必要であり、また、細菌
汚染等の可能性から、取り扱いに注意が必要であるが、
得られた製品の品質は前者の方法による製品に比べて優
れたものとすることができる。
【0031】この方法の方が製品の品質がよい理由は、
麺線が狭い包装体内に密閉されていないために、麺線間
の結着が起こりにくく、また殺菌のために要する昇温時
間が短く、殺菌時間も短いために、レトルト臭が抑制さ
れ、麺線表面のあれが少ない麺とすることができるため
である。特に、本方法において、蒸気での加熱殺菌に先
駆けて蒸気庫内の空気を真空ポンプ等で積極的に脱気
し、その後加熱蒸気を庫内に導入する方法を採れば、昇
温時間をさらに短縮でき、さらに品質の良い麺を得るこ
とができる。
【0032】また、使用する麺線がα化していない生麺
や乾麺の場合や、あるいは茹であるいは蒸した麺線であ
っても、その後の工程で乾燥させた即席麺の場合におい
ては、麺線に水分を付与し、麺線を充分にα化させるた
めに、包装体に密封しない後者の方法で、湿熱下加熱殺
菌するのが望ましい。
【0033】次いで加熱殺菌後の麺にアルカリ剤を無菌
的に処理し、麺線pHを8.5〜9.7、好ましくは
9.0〜9.7に調整するが、その方法としては幾つか
のものがある。例えば、前述の密封包装後に加熱殺菌す
る方法の場合、麺線を密封する包装体を2空間を有する
包装体として、一方の空間に麺線を、他方の空間にアル
カリ液やアルカリ剤を充填しておいて、加熱殺菌処理後
2空間を隔てる隔壁を取り除いて、麺線をアルカリ性に
する方法が例示できる。しかし、この方法は加熱殺菌時
に隔壁が破れる場合があり、大量生産には向きにくい。
【0034】また、麺線を包装体に密封包装せずに加熱
殺菌処理し、次いで無菌下で密封包装する方法において
は、密封包装の前に、滅菌されたアルカリ液に無菌下で
加熱殺菌済み麺を浸漬する、或いは加熱殺菌済み麺にア
ルカリ液やアルカリ剤を噴霧する、あるいは、密封包装
する包装体内に無菌のアルカリ液やアルカリ剤を添加し
ておいて処理する等の方法が可能である。この方法によ
れば、麺線を無菌下で密封包装する工程に付随してアル
カリ剤の処理を行うことができ、特別な装置や包装体等
を使用する必要が無く、作業も容易である。
【0035】また、密封包装後加熱殺菌する方法でも、
加熱殺菌後無菌的に密封包装する方法でも、いずれの方
法においても使用可能な方法としては、加熱殺菌後の麺
線が充填された密封包装体内に、直接注射器等によって
滅菌済みのアルカリ液を注入し、次いで、包装体の注入
箇所を無菌的に塞ぐ方法等も例示される。この方法によ
れば、注射器や、注射器の注入された包装体上の注入箇
所についてのみ、細菌汚染に気を付ければよく、比較的
簡単な装置と方法によって無菌的に麺線にアルカリ液を
処理できる。
【0036】本発明では、上述の方法によって、あるい
はそれ以外の方法によって、加熱殺菌後の麺線に無菌的
にアルカリ液やアルカリ剤を処理する。そして、包装体
に密封された麺線が無菌状態でpH8.5〜9.7、好
ましくは9.0〜9.7になるように調整する。なお、
ここで、アルカリ剤とは、前述したと同様に、当該技術
分野で慣用されるアルカリ剤であり、アルカリ液はこれ
らアルカリ剤の水溶液、あるいは懸濁液、分散液であ
る。
【0037】麺線pHを8.5〜9.7に調整する理由
は、pH8.5以下では中華麺臭が得られにくく、一方
pH9.7以上になると、一般家庭や流通段階における
保存時、特に夏季における保存時に麺線が褐変してしま
う可能性がある。なお、当該pHの範囲であれば、中華
麺風味が得られ、かつ褐変、変質等を起こさない麺とす
ることができるが、中華麺風味はpHが高い方が強く、
その点から言えば、好ましくはpHを9.0〜9.7と
する。
【0038】このようにしてpH調整した本発明の包装
麺類は、そのまま、あるいはさらに外包材、外容器等に
包装されて、商品となる。商品形態は、中華麺が好まし
いが、先に述べた通り、麺原料にかんすいを用いないこ
とも可能で、その場合は中華麺と表示しない。
【0039】なお、麺線に処理したアルカリ剤が麺線に
充分に浸透するように、あるいは包装体内の麺線の調理
感を上げてやることを目的とする場合、包装体に密封さ
れたアルカリ剤を処理した麺線を、密封したまま再度加
熱処理に付してやるのが好ましい。この場合の好ましい
処理方法としては、麺線を包装体ごと蒸気庫或いは熱水
中で加熱する方法が好ましく、その加熱温度は麺線が褐
変しない温度で、60〜100℃程度、好ましくは70
〜90℃とするのがよい。
【0040】本発明による製品は中華麺臭を有している
ので、ラーメン、焼きそば、冷麺等に適用するのが好ま
しい。また、その喫食方法は、商品形態が熱湯注加タイ
プのワンタッチ麺の場合は、包装体から麺線を取り出し
て丼等に移すか、あるいは、包装体が容器を兼ねている
場合は容器を開口して、これに熱湯を注加して喫食す
る。一方、商品形態が炊き麺の場合には、包装体から麺
線を取り出し、鍋等で調理した後喫食する。その他、電
子レンジ調理等各種喫食方法が可能である。
【0041】
【実施例】本発明を実施例に基づいて、以下に具体的に
説明するが、本発明は、これら実施例の開示に基づいて
限定的に解釈されるべきでない。
【0042】実験例1 小麦粉1000gに、ポリリン酸ナトリウム1g、食塩10
gを溶解した練り水330mlを加えてミキサーで15分
間混練し、ロール圧延機で圧延して麺帯厚を1.40mmと
し、角刃22番で切り出して麺線とした。この麺線を2
分間蒸し器で蒸して、適当にカットし、麺線160gに
水10gを噴霧して吸収させた。この麺線のpHは6.
0であった。
【0043】この麺線170gを1食分40gづつに分
け、レトルト用パウチに充填してパウチをシールして密
封し、熱水置換式のレトルト装置で品温120℃で24
分間(F0=14)加圧加熱殺菌した。
【0044】別に、フィルター滅菌した各種濃度の無菌
の炭酸ナトリウム溶液10g(アルカリ液)を、滅菌し
た注射器で各パウチ内に注入し、注射器の注入口を無菌
的にシールした後麺線をパウチごと良くもみほぐした。
このパウチ入り麺を蒸気式殺菌庫で70℃で30分間加
熱し、麺線にアルカリ液をよく吸収させた。この時の麺
線のpH、麺線水分含量は表1の通り。
【0045】このようにして得たこれら各種pHのパウ
チ入り麺(実施例1,2,3 比較例1,2,3)を、
夏季の一般家庭や流通段階でのやや厳しい保存状態を想
定して35℃の恒温器で6週間保存し、保存後の麺線の
褐変の程度を確認した。また、麺線をパウチから出して
熱湯を注加し、喫食状態として、麺線の中華麺風味を5
人のパネラーによって確認した。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】上記の結果、pH9.8以上では保存によ
って褐変が生じはじめ、pH10以上でははっきりと褐
変した。また、pH10以上では麺線に焦げ臭が付き、
えぐみが増して喫食に耐え得ないものとなった。なお、
pH9.8の麺は喫食可能なレベルのものであったが、
保存期間が長くなるに従って褐変の度合が増すので、さ
らに長い保存によっても商品価値が保たれるとは言い難
く、好ましいpHとしては9.7以下が選択された。一
方、pH8.1の麺線は中華麺風味がほとんど感じられ
なかったが、pH8.5では中華麺臭が感じられ、pH
9.0では明らかであった。
【0048】実験例2 小麦粉700gに澱粉300gとアルギン酸ナトリウム
4gを粉体混合し、これに、かんすい(炭酸ナトリウ
ム:炭酸カリウム=2:1)3.5g、ポリリン酸ナト
リウム1g、卵白粉5g、黄色色素を溶解した練り水3
35ml(pH10.8)を加えてミキサーで15分間
混練しpH7.5のドウを形成した。これを圧延機で
1.35mmに圧延し、角刃22番で切り出して麺線と
し、2分間蒸し器で蒸して、次いで1食分85gずつに
カットした。カットした麺線を1%乳酸水溶液に30秒
間浸漬した後液切りし、pHを5.2に調整した。
【0049】これに白絞め油1gと水5gをまぶした
後、浅底型の開口トレーに1食ずつ入れ、開口したまま
蒸気殺菌庫に入れて庫内の空気を一旦真空ポンプで排出
した後、加熱蒸気を注入して品温130℃で2分間(F
0=14)加圧加熱殺菌を行った。殺菌終了後直ちに庫
内の蒸気を排出して冷却し、これを塩化ベンザルコニウ
ムで滅菌した無菌のクリーンブースにトレーごと排出し
て、滅菌したアルカリ液を添加して麺線pHをアルカリ
性とした。添加したアルカリ液は炭酸ナトリウム水溶液
2%、4%、又は9.5%とし、添加量は20gとし
た。次いで、トレイ開口部を該クリーンブース内で無菌
的に密封シールして、麺線にアルカリ液をよく浸透させ
製品とした。製品の麺線pHは、炭酸ナトリウム2%、
4%を添加したものは、pHがそれぞれ、9.0、9.
4、炭酸ナトリウム9.5%を添加したものは、pHが
10.5であり、それぞれ実施例4、実施例5と比較例
4とした。
【0050】これを一般家庭や流通段階での夏季の保存
条件を考慮して、35℃の恒温器で4週間保存した。そ
の結果炭酸ナトリウム2%、4%を用いた実施例4、5
のものは、4週間後においても変色せず、また、焦げ
臭、えぐみ等の発生もなかった。一方、炭酸ナトリウム
9.5%を添加した比較例4のものは、2週間の保存時
で褐変が見られ、4週間後では褐色に変色した。4週間
後の官能検査では、焦げ臭がし、えぐみが強く、喫食に
耐え得るものではなかった。
【0051】なお、本実験による実施例4、5のもの
(炭酸ナトリウム2%、4%を処理したもの)は、4週
間後においても中華麺臭があり、また、実験例1におけ
る実施例3(pH9.4のもの)よりも麺線間の結着が
少なく、ほぐれやすい麺線で、かつ、麺線にコシのあ
り、レトルト臭の少ない好ましいものであった。これは
アルギン酸添加の影響と、加熱殺菌処理を包装体に密封
包装しない状態で行った後に密封包装した製法を採用し
たことが要因であると考えられた。
【0052】
【発明の効果】本発明の方法によって得られた麺は、常
温で数ヶ月以上長期保存が可能なウェットタイプの包装
麺類とすることができる。しかも、麺線がアルカリ性で
あり、中華麺風味を有し、一般家庭や流通段階での長期
間の保存においても、経時的に褐変や焦げ臭、苦味の発
生等の変質を起こさない、本格的な中華麺とすることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中山 貴照 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号 日清食品株式会社内 (72)発明者 岩城 博志 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号 日清食品株式会社内 Fターム(参考) 4B046 LB01 LB04 LB05 LC09 LE18 LG01 LP56 LP67 LQ01 LQ03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生麺線もしくは茹で及び又は蒸した麺線
    を包装体に密封包装した後、加熱殺菌処理する工程を有
    する包装麺類の製造方法において、該加熱殺菌処理後の
    工程で、麺線に無菌的にアルカリ剤を処理し、麺線pH
    を8.5〜9.7に調整することを特徴とする包装麺類
    の製造方法
  2. 【請求項2】 生麺線もしくは茹で及び又は蒸した麺線
    を加熱殺菌処理した後、無菌下で包装体に密封包装する
    工程を有する包装麺類の製造方法において、該加熱殺菌
    処理後の工程で、麺線に無菌的にアルカリ剤を処理し、
    麺線pHを8.5〜9.7に調整することを特徴とする
    包装麺類の製造方法
  3. 【請求項3】 前記アルカリ剤の処理方法が、密封包装
    された包装体内にアルカリ溶液を包装体外から無菌的に
    注入する方法である請求項1又は2に記載の包装麺類の
    製造方法
  4. 【請求項4】 前記アルカリ剤の処理方法が、麺線を加
    熱殺菌処理した後、無菌下で包装体に密封包装するまで
    の間に、麺線に無菌的にアルカリ溶液を付着させる方法
    である請求項2に記載の包装麺類の製造方法
  5. 【請求項5】 前記加熱殺菌処理がF0=4以上の加圧
    加熱処理である請求項1ないし4のいずれかに記載の包
    装麺類の製造方法
  6. 【請求項6】 前記アルカリ剤を処理した後の麺線pH
    が9.0〜9.7である請求項1ないし5のいずれかに
    記載の包装麺類の製造方法
  7. 【請求項7】 前記生麺線もしくは茹で及び又は蒸した
    麺線が、麺線原料にアルカリ剤を含み、かつ、加熱殺菌
    処理の工程の前に麺線が酸液処理されてpH調整された
    麺線である請求項1ないし6のいずれかに記載の包装麺
    類の製造方法
  8. 【請求項8】 前記麺線原料に含まれるアルカリ剤がか
    んすいである請求項7に記載の包装中華麺類の製造方法
  9. 【請求項9】 麺類の製造工程において、加熱殺菌処理
    以降の工程で麺線に無菌的にアルカリ剤を吸着させた、
    麺線pHが8.5〜9.7の長期保存可能な包装麺類
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