JP6038371B1 - 包装済み茹で麺の製造方法及び製造機 - Google Patents

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Abstract

【課題】麺の変性がなく、食味の保持され、菌汚染が生じず、切断されにくく、かつ、麺のコシや食感が、従来の茹で麺に比して良い新たな包装済み茹で麺を、製造環境を清浄空気で陽圧に保持したりクリーンルームを用いることせず、水の使用量と排水量を大幅に削減しながら提供する【解決手段】ボイル槽の沸騰直前の水または沸騰水の中に生めんを投入して麺を茹で、次いで茹でられた麺を取り出した後にチラー水を掛け流して麺表面のぬめりを洗い流し、さらにpH調製水に浸漬し、水切り後に麺を包装容器内に充填密封して包装済み茹で麺とし、その後に、包装容器ごと麺芯温が6℃〜10℃になるまで冷却する方法により包装済み茹で麺を製造する。さらに、前記方法を用いる装置において、前記ボイル槽の沸騰直前の水または沸騰水の中に生めんを投入し、麺を茹でる処理から麺を包装容器内に充填するまでを、ボイル槽由来の略飽和状態の水蒸気存在下にて行う。【選択図】 図1

Description

この発明は、包装済み茹で麺の製造方法、包装済み茹で麺製造機および包装済み茹で麺に関するものである。
従来の包装済み茹で麺は、製麺された生めん(主原料の小麦粉等の穀物類と水を混ぜて捏ね、できた生地を線状に形成したもの。)を、ボイル処理で茹でた後に大量の水で水洗して冷却し、水分を切るなどした後、袋などの包装容器に包装したものである。うどん、そば、中華麺などとして、包装済み茹で麺は提供可能なところ、包装前に十分に茹でられて澱粉質がアルファ化しているので、購入後は、包装容器から茹で麺を取り出し、お湯でさっと軽く温め戻すなどするだけで、簡便に短時間に調理が完了するものである。
一方、乾麺や生麺は、家庭で茹で上げるにも長時間を要するばかりか、麺を茹でて冷水で締めた後にザルにあげて水分を切ってからも直ちに引き続き調理に供する必要がある。水分を切った麺をそのままに放置しておくと、麺どうしがくっつき易く、また麺のコシも失われてしまうなどするので、予め他の調理の進行状況に合わせて茹で上げの作業開始タイミングを調節することが必要であり、時間的な自由度に欠ける。そこで、包装済み茹で麺は、軽く温め戻して洗うなどして用いる簡便さから、消費者に手軽に利用されている。
これらの包装済み茹で麺では、麺のくっつきを防止するよう、麺の素材となる小麦粉の種類や組合せを工夫してみたり、塩などの添加剤やpH調整剤などの成分組成や残存水分量の至適化などが試行されている。しかしながら、それらの対策は完全なものではなく、流通している包装済み茹で麺は、袋から取り出してお湯に入れて温め戻しを行う際に、実際には、麺どうしがくっついて塊状になることが多く、それらを菜箸などでほぐす際には麺が切れ易く、短くなってしまうなどしている。このように、従来の包装済み茹で麺は、消費者に対する魅力的な商品としての訴求力が若干不足している。そこで、新たな包装済み茹で麺を投入する際には、飛躍的な販売増につながるような、更なる工夫が求められている。
製造する側にとってみると、従来の包装済み茹で麺は、製品毎に麺の素材となる小麦粉の種類や組合せの選択が求められ、塩などの添加剤やpH調整剤などの各成分組成を麺毎に至適化してノウハウ化する必要があるなどしているので、製造時には、製品毎に残存水分量を細かく調整したり、製造ラインを組み換えるか製造ラインを複数用意する必要が生じてしまうなどしており、製造コストが押しあがるほか、柔軟にラインを切り換えにくいことから、消費者の好みの変化や要望をキャッチアップした迅速的確な製品開発や製品リニューアルを所望のタイミングで行うことが難しい状況にあり、より実施しやすい改善が求められていた。
また、従来の包装済み茹で麺は、麺をボイルし、さらに水洗冷却し、pH調整した後、速やかに包装される工程を経ることによって製造されるところ、この包装済み茹で麺の製造工程のうち、特にボイルから包装までの工程において、微生物やカビなどに茹で麺がさらされると、包装容器内に微生物やカビが混入される可能性が高く、さらには一連の流通から消費までの過程における管理条件、たとえば温度状況などによっては、混入した微生物やカビが著しく増殖するなどしてしまうことがありえる。店舗や消費者の管理状況はまちまちであり、必ずしも厳密な管理が期待できるとは限らないことから、トラブルを避けるには、かなり余裕をもった品質管理が要請されるところ、こうした混入があると、リスクが増しやすく、品質保持上の懸念があった。
上記懸念に対し、従来は、茹で麺を包装した後に、さらに包装容器毎、さらに加熱殺菌処理を加える手法が用いられていた。しかしながら、微生物やカビの増殖を抑制するのに十分な程度にまで加熱殺菌を行うとなれば、ある程度長時間の熱を茹で麺に付与することにならざるを得ないことから、茹で麺が包装容器のなかで変性しやすくなり、食味が落ちるなどの問題が生じている。また、ボイル後水洗冷却して麺を締めることにより麺にコシを与え食感を高めていても、包装後にさらなる加熱殺菌処理をするならば、麺のコシが弱くなるなどして食感が劣る不具合も生じてしまう。これらの問題を回避するため、麺の素材となる小麦粉の変更、添加剤やpH調整剤の添加、茹で時間、洗浄時間、加熱時間などについての至適化を行うなど、数多くの工夫が試行されているが、いまだ解決に至っておらず、製造コストの上昇を伴うことなく、安定的な改善手法が求められていた。
汚染防止の観点から、ボイルから包装までの全ての工程を清浄度の高いクリーンルーム下にて行い、微生物やカビの混入を防止する方法が提案されている(特許文献1を参照)。しかしながら、清浄度の高いクリーンルームにおいて、麺のボイル、洗浄冷却、包装までの全工程が実施可能とした大量生産に対応した大型設備を導入するには、事実上工場を新設するか、既存工場の構造を根本的に変更しなければならず、さらには通常のHACCPにおける衛生管理を大幅に上回るクリーンルームの環境維持には厳格な管理運用も必要となる。そこで、固定費の格段な上昇を招き、恒常的に製造コストが上昇してしまうなどするので、競争力ある工業生産としての実用性の観点からは、現実的とはいえないものである。
そこで、清浄度の高いクリーンルームを設置することなく包装済み茹で麺の製造を可能にするため、包装済み茹で麺の製造装置において、麺を洗浄し冷却する装置および麺を包装する装置に対して包装装置側からダクトを介して清浄空気を供給しそれら装置内が陽圧に保持されるようにした、茹で麺装置が提案されている(特許文献2を参照)。上記の装置では、包装装置側から、専用の装置で処理した微生物や塵埃が除去された清浄空気供給し続けることで、陽圧環境を維持することにより、微生物やカビの混入を防止している。ただし陽圧にするには密閉性が高くなることから、以下のようにメンテナンス性に難があった。
まず、一般的に茹で麺の製造装置内は、定期的に洗浄するなどメンテンナンスをする必要がある。装置内には、水分や麺が飛散しやすいところ、特に茹で汁や冷却水は塩分やぬめりを伴うことから、汚染や装置故障を誘発しやすく、こまめに遅滞なく装置内を洗浄しなければならない。また、製造する麺の種類が変わる場合には、既に製造していた麺の成分が次の製造工程に混入することを避ける要請も高いので、確実に防止しようとすれば、装置内を十分に分解清浄し、従前に製造していた成分のキャリーオーバーを防止する必要がある。
しかしながら、上記特許文献2に記載の装置は、包装済み茹で麺を製造する各装置内を陽圧に保持するように、各装置を密閉構造のものとし、さらにそれらをダクトで連結した構造のものとしているため、装置を組み上げたままで洗浄することが難しく、高度衛生管理を必要とする食品の生産現場における衛生管理に関連する標準的な作業手順の策定にも支障があるので、さらなる工夫が求められていた。
また、特許文献1および特許文献2に記載の包装済み茹で麺の製造工程及び従来の製造工程では、麺を茹でるための水に加えて、茹で上がった麺を、洗浄冷却の処理をしている。すると、製麺過程で大量の水が必要となる。大量生産が行われる工場において包装済み茹で麺が生産される場合には、その量は一日あたり300tにも及ぶとされている。このような大量の水を必要とするとなれば、日配食品である包装済み茹で麺を日々生産し続けるためには、安定した品質の水を大量に確保しうる工場立地は限られてくる。さらに、上水道の確保のみならず、排水にも配慮が必要となる。使用した300tにも及ぶ大量の水が産業排水として毎日排出され続けるところ、この排水には麺成分に由来する塩分やぬめり等が含まれているので、pHや塩などをそのままに排出するわけにはいかない。製造者は、工場内に専用の浄化処理施設を併設のうえ、環境基準を満たす状態にまで排水を浄化するなどして、環境負荷が高まることの無いように十分に配慮しなければなない。しかしながら、その排水処理量が多いので、必要とされる排水浄化処理施設も大型化せざるを得ず、製造コストをさらに押し上げていた。
このように、従来提案されてきた包装済み茹で麺や、その製造方法ならびに製造装置は、消費者および製造者の所望する包装済み茹で麺としての優れた調理特性、簡便性、食味、食感、安全性を提供することには未だ十分には対応できておらず、また、大量生産時の包装済み茹で麺の汚染防止・品質維持、生産コスト削減、工場設営の自由度の確保、高度衛生管理を必要とする食品の生産現場における衛生管理に関連する作業手順の策定の容易化、水源と排水処理設備の問題等において、いずれも満足できるものにはなっておらず、これらの点を網羅的に改善することが強く望まれていた。
特開2005−253460号公報 特開2011−50611号公報
本発明が解決しようとする課題は、生めんを茹でた包装済み茹で麺において、麺が余計な変性をしにくく、食味が保たれ、微生物やカビ等の汚染による品質低下を招きにくく、さらに、容器から取り出した茹で麺を軽く温め戻して締める際に麺どうしがくっつきにくく切断されにくい、かつ、その後の麺のコシや食感が、従来の茹で麺に比して良いという、複数の新たな優れた特性を有する、新たな包装済み茹で麺を提供することである。
また、本発明が解決しようとする課題は、上記に加え、上記の新たな包装済み茹で麺の製造において、包装済み茹で麺製造機を清浄度の高いクリーンルーム内に装置したり、製造機内を清浄空気で陽圧に保持せずとも、茹で麺の微生物汚染による品質低下の懸念が生じず、包装済み茹で麺製造時の水の使用量ならび排水量を従来の製造方法に比して大幅に削減するとともに、排水処理設備を従来よりも小規模なものとすることを可能とし、さらに、製造機内を十分に清浄することを容易にし、高度衛生管理を必要とする食品工場などの生産現場における衛生管理に関連する各種の標準作業手順を簡便なものとすることを可能にした、包装済み茹で麺を製造する手段を提供することである。
そして、本発明が解決しようとする更なる課題は、上記製造手段により、包装済み茹で麺の製造コストを下げつつ、包装済み茹で麺の製造に伴う環境負荷を大きく減じるとともに、消費者の動向を踏まえた迅速的確な製品開発や製品リニューアルを所望のタイミングで行うことを容易にし、かつ、工場の設営場所や上記製造手段の工場内での設置場所の選択の自由度をも高めることにある。
本発明は上記の課題を解決しうる、新たな包装済み茹で麺、および、新たな包装済み茹で麺の製造方法ならびに包装済み茹で麺の製造機を提供するものである。
上記の課題を解決するための本発明の第1の手段は、
(i)ボイル槽の沸騰直前の水または沸騰水の中に生めんを投入し、麺を茹でる処理を行う工程、
(ii)前記の麺を沸騰直前の水または沸騰水から取り出した後、当該麺に1℃〜10℃のチラー水を掛け流して麺表面のぬめりを洗い流す処理を行う工程、
(iii)前記の麺を、50℃〜80℃に保持したpH調製水に浸漬する処理を行う工程、
(iv)前記の麺の水切り処理を行う工程、
(v)任意に、前記の麺に油を添加する処理を行う工程、
(vi)前記の麺を包装容器内に充填して密封し、包装済み茹で麺とする工程、
(vii)前記の包装済み茹で麺を、麺芯温が6℃〜10℃になるまで冷却する工程、
とを有することを特徴とする、包装済み茹で麺の製造方法である。
生めんとは、うどん、そば、中華麺、焼きそば麺、パスタ、冷麺、米粉麺などの、小麦粉・大麦粉・そば粉・米粉等の穀物類を主原料とし、これらに水を混ぜて捏ねてできた生地を線状に形成したものをいう。生めんは、かん水や塩分等が加味されているものでもよい。
上記の課題を解決するための本発明の第2の手段は、上記(vii)の冷却する工程が、包装済み茹で麺を室温の空気で冷却して麺芯温を40℃とした後、さらに冷蔵室で冷却し麺芯温を6℃〜10℃とする工程からなることを特徴とする、本発明の第1の手段に記載の包装済み茹で麺の製造方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第3の手段は、(vii)の冷却する工程が、包装済み茹で麺に冷水を掛け急速冷却して麺芯温を20℃〜30℃とした後に、さらに冷蔵室で冷却し麺芯温を6℃〜10℃とする工程からなることを特徴とする、本発明の第1の手段に記載の包装済み茹で麺の製造方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第4の手段は、(i)〜(v)の工程を、ボイル槽由来の温度60℃以上で湿度95%以上の略飽和状態の水蒸気存在下において行うことを特徴とする、本発明の第1〜第3のいずれか1に記載の手段の包装済み茹で麺の製造方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第5の手段は、生めんが、うどん、そば、中華麺、または、焼きそば麺であることを特徴とする、本発明の第1〜第4のいずれか1に記載の手段の包装済み茹で麺の製造方法である。
上記の課題を解決するための本発明の第6の手段は、生めんの製麺機構と、生めんの加熱処理機構と、加熱処理された麺を包装容器に袋詰めする包装機構とからなる、連続処理式の包装済み茹で麺製造機であって、
前記生めんの加熱処理機構は全体が外殻に覆われており、
その外殻の内部には、沸騰直前の水または沸騰水により生めんを茹でるためのボイル槽部、1℃〜10℃のチラー水を噴出するチラー水噴出口部、槽内に50℃〜80℃に保持したpH調製水を有するpH調整浸漬槽部と、任意に油添加部を少なくとも順に備え、さらに任意にチラー水噴出口部の下方にチラー水回収槽部と回収済みチラー水をボイル槽部の槽内へ環流させるオーバーフロー部を備えており、
さらに、麺を区分け搬送するためのピボッテドバケットコンベヤが前記各部を縦断するようにして配されており、
外殻のボイル槽側の上端部には、ボイル槽内へ生めん製麺機で製麺された生めんを投入する落し口が開口しており、
外殻の他端部下方には、ピボッテドバケットコンベヤ内を搬送された加熱処理後の麺を包装容器に投入させるための排出口が開口しており、
ボイル槽部の発生蒸気は外殻内に充満可能であることを特徴とする、
連続処理式の包装済み茹で麺製造機である。
上記の課題を解決するための本発明の第7の手段は、前記ピボッテドバケットコンベヤの搬送面上には、その搬送方向と交差する仕切り送り板が上方に向けて間隔を空けて複数立ち上げられていることを特徴とする、本発明の第6の手段に記載の連続処理式の包装済み茹で麺製造機である。
上記の課題を解決するための本発明の第8の手段は、さらに、包装済み茹で麺の冷却機構を有することを特徴とする、本発明の第6または第7のいずれか1に記載の手段の連続処理式の包装済み茹で麺製造機である。
上記の課題を解決するための本発明の第9の手段は、前記包装済み茹で麺の冷却機構が、包装済み茹で麺を空冷及び/又は水冷する機構を有することを特徴とする、本発明の第8の手段の連続処理式の包装済み茹で麺製造機である。
上記の課題を解決するための本発明の第10の手段は、前記生めんの加熱処理機構の外殻上部に開閉可能な排気ダクトを設けたことを特徴とする、本発明の第6〜第9いずれか1に記載の手段の連続処理式の包装済み茹で麺製造機である。
上記の課題を解決するための本発明の第11の手段は、前記生めんが、うどん、そば、中華麺、または、焼きそば麺であることを特徴とする、本発明の第6〜第10のいずれか1に記載の手段の連続処理式の包装済み茹で麺製造機である。
上記本発明の第1〜第5の手段を、包装済み茹で麺の製造方法として新たに採用し、それら手段の製造方法を実施することが可能な、本発明の第6〜第11の手段の包装済み茹で麺製造機を新たに採用することにより、生めんを用いた包装済み茹で麺において、麺が余計な変性をしにくく、食味が保たれるとともに、微生物やカビ等の汚染による品質低下を招きにくくなるという、優れた効果を得ることが可能となった。さらには、容器から取り出した茹で麺を軽く温め戻す際には、麺どうしがくっつきにくく切断されにくいという優れた効果が得られるとともに、その後の麺のコシや食感が、従来の茹で麺に比して良くなるという、優れた効果を得ることが可能となった。そして、そのような複数の新たな優れた特性を有する、新たな包装済み茹で麺を製造し消費者に提供することが可能となった。
また、上記本発明の第1〜第5の手段を、包装済み茹で麺の製造方法として新たに採用し、それら手段の製造方法を実施することが可能な、本発明の第6〜第11の手段の包装済み茹で麺製造機を新たに採用することにより、包装済み茹で麺の製造装置を清浄度の高いクリーンルーム内に装置したり、製造装置内を清浄空気で陽圧に保持せずとも、茹で麺の微生物汚染による品質低下の懸念が生じないという、優れた効果を得ることが可能となった。さらには、上記各手段により、包装済み茹で麺製造時の水の使用量ならび排水量を、従来の製造方法に比して、大幅に削減することを可能とする優れた効果が得られるとともに、排水処理設備を従来よりも小規模なものとすることをも可能とする優れた効果が得られるようになった。そしてさらに、上記各手段により、製造装置内を十分に清浄することを容易になるという優れた効果が得られ、高度衛生管理を必要とする食品工場などの生産現場における衛生管理に関連する各種の標準作業手順を簡便なものとすることをも可能とする優れた効果が得られるようになった。
またさらに、上記本発明の第1〜第5の手段を、包装済み茹で麺の製造方法として新たに採用し、それら手段の製造方法を実施することが可能な、本発明の第6〜第11の手段の包装済み茹で麺製造機を新たに採用することにより、包装済み茹で麺の製造コストを下げるという優れた効果が得られ、それと同時に、包装済み茹で麺の製造に伴う環境負荷を大きく減じるという優れた効果をも得ることができた。そしてさらに、上記各手段により、消費者の動向を踏まえた迅速的確な製品開発や製品リニューアルを所望のタイミングで行うことを容易にするという優れた効果を得られ、さらには、工場の設営場所や上記製造手段の工場内での設置場所の選択の自由度が高まるという優れた効果をも得ることができた。
本発明の包装済み茹で麺製造機の構成を説明する図である。 本発明の包装済み茹で麺製造機における、ピボッテドバケットコンベヤ(pivoted bucket conveyor)のバケットの構造を説明する図である。
本発明を実施するための形態について、適宜図面を参照しつつ以下に説明する。
(包装済み茹で麺の製造方法について)
本発明の手段による包装済み茹で麺は、以下の工程を経ることにより、製造することができる。
まず、ボイル槽に清浄な水を投入し、沸騰するように、もしくは沸騰直前の状態(たとえば97℃以上)となるように、投入した水を加熱する。そして、ボイル槽の沸騰直前の水または沸騰水の中に生めんを投入する。たとえば、うどんであれば98℃以上、中華麺または焼きそば麺であれば97℃以上の状態となるようにする。沸騰直前の水で茹でると麺の表面が荒れにくい。生めんは、ボイル槽中に直接投入しても良いが、後の工程に茹で上がった麺を移動させる際に便利なよう、網状のステンレス製メッシュなどにより作られたバケット中にいれ、ボイル槽中に投入することが好ましい。生めんを茹でる際には、バケットを沸騰もしくは沸騰直前の水の中を移動させながら揺らすか、沸騰もしくは沸騰直前の水の中を流動させるなどすることにより、麺表面が傷ついたり麺が切れたりしないようにしつつ、麺が偏り固まらないようにすると良い。
麺を茹でる時間は、使用するうどん、そば、中華麺、焼きそば麺、パスタ、冷麺、米粉麺などの、麺の種類およびその太さに応じて、適宜調節し得る。例えば、太うどん(7番手、幅4.2mm)などでは10〜15分、うどん(11番手、幅2.8mm)では、8〜12分、中華麺では1〜3分、焼きそば麺では1〜3分などの茹で時間をとる。
生めんが茹で上がったら、麺を沸騰直前の水または沸騰水の中から取り出す。そして、当該麺に1℃〜10℃のチラー水を少量掛け流し、麺表面のぬめりを洗い流す。チラー水は1℃〜10℃程度の低温に設定すると、それを麺に掛け流す程度であることから麺表面の温度が適度に下がり、沸騰直前の水または沸騰水の中で加熱されていた麺の温度が過剰に高いまま保持され続けて余熱により麺の中心部が過剰に茹で上がり過ぎることを防ぐことができる。包装済み茹で麺とした際の麺芯温が50℃以下に下がるまで麺の温度を下げてしまうと菌抑制効果が減少するため、チラー水は、そのような温度にまで下がり過ぎない程度に少量掛け流す程度に留める。また、チラー水を掛け流すことでその後麺を浸漬させるpH調製水に麺のぬめりが持ち越されなくなるため、pH調製水の劣化を防止することができる。
掛け流して温度が上昇したチラー水は、麺の下方で回収してから沸騰もしくは沸騰直前の水の中へと再潅流させると、それが排水として外部へと排出されることを防ぐとともに、蒸気となって減少する沸騰直前の水または沸騰水を補充し、さらには水の使用量や水を加熱するために必要なエネルギー量を削減することが同時に可能となるため、好ましい。
次に、前記の麺を、pH調製水に浸漬する処理を行う。pH調製水は、包装済み茹で麺における菌抑制効果や、麺のほぐれ具合の向上を図るため、たとえば、うどんであればpH2.8〜3.2程度、中華麺や焼きそば麺であればpH8.0〜9.0程度とし、50℃〜80℃程度に保持することが好ましい。50℃より下回ると、菌抑制効果が減少してしまい、90℃以上になると麺が固まりやすくなり、包装済み茹で麺を温め戻す際に、麺が切れやすくなるため、好ましくない。
pH調整水に浸漬した後、麺の水切り処理を行う。そして、焼きそば麺は、麺に油を添加する処理を行う。
その後、麺を包装容器内に充填して密封する。
なお、ボイル槽から麺を取り出してから、麺を包装容器内に充填して密封するまでの間の工程を、麺の各種成分が溶け込んだボイル槽由来の温度60℃以上で湿度95%以上の略飽和状態の水蒸気存在下において行うと、包装済み茹で麺における一般生菌、大腸菌群、乳酸菌、真菌などの各種菌の混入を防ぎ、これらの廃熱および蒸気を利用することによって、内部に細菌やカビ等が繁殖しにくい環境下で茹で麺の処理を行い、包装することが可能となるため、包装済み茹で麺への一般生菌、大腸菌群、乳酸菌、真菌などの各種菌の混入や、保管流通時に生じるそれらの菌の増殖のリスクを低減できるので、好ましい。
茹で上げた麺を容器内に包装した、包装済み茹で麺を、麺芯温が6℃〜10℃になるまで冷却する。冷却の手段は任意の手法をとることができ、包装済み茹で麺を、パレット上に並べて配置した後、室温の空気を当てて冷却し、包装済み茹で麺の麺芯温を40℃とした後、さらに冷蔵室で冷却し麺芯温を6℃〜10℃とする手法、または、包装済み茹で麺に冷水を掛け急速冷却して麺芯温を20℃〜30℃とした後に、さらに冷蔵室で冷却し麺芯温を6℃〜10℃とする手法とすることができる。このように、包装済みの茹で麺を包装容器ごと冷却することで、特にうどんなどの麺においては、麺の破断強度が従来製法のものより強く、より麺の粘弾性が高く、麺のコシが強く、噛みごたえのある弾力感を有するものとすることができ、好ましい。
(包装済み茹で麺製造機について)
本発明の包装済み茹で麺製造機は、生めんの製麺機構(1)、生めんの加熱処理機構(2)、包装機構(3)、および包装済み茹で麺の冷却機(4)構の4つの機構を備えており、包装済み茹で麺を連続処理式で製造していく装置である。生めんの製麺機構である自動製麺機は、主原料の穀物粉と水に適宜かん水や食塩を加えて混練した生地を、線状の麺へと製麺する機械であればよく、一般的な機構の自動製麺機が適用可能である。生地を対向する回転ロールで平板状に圧延してから切刃ロールで線切りする線切り法の装置や、生地をシリンダー内に押し込んで孔の開いたダイスから押し出す装置であり、製麺機の出口から連続的あるいは断続的に順次生めんが排出されるものであれば、適用しうる。真空ミキサー(11)で主原料の穀物粉と水に適宜かん水や食塩を加えて混練し、生地コンベヤ(12)にて麺帯複合圧延機(12)にて圧延し、さらに連続麺帯圧延機(14)にて連続麺帯とした後、圧延切出機(15)にて生めんとして切り出す。
そして、製麺機構の自動製麺機で製麺された生めんは、順次、落し口(21a)から加熱処理機構内のボイル槽部(22)の沸騰直前の水または沸騰水に投入されていく。麺は、ボイル槽部を送られる間に沸騰直前の水または沸騰水によって茹であげられ、チラー水(23a)で冷却されてぬめりを流した後、pH調整水(25a)への浸漬を経て、排出口から下方の包装容器内へと投下される。包装容器は、上部が開口し下端が熱封止された筒状のプラスチック樹脂フィルム製であり、包装容器内に茹で麺が投下されると、袋の上端を熱封止して切り離す機構を備えている。
生めんの加熱処理機構(2)は、ステンレス鋼板で周囲を覆うようにして外殻(21)を備えており、内部には、たとえば左から順にボイル槽部(22)、チラー水を噴出するチラー水噴出口部(23)、pH調整浸漬槽部(25)等を配しており、ボイル槽部(22)よりも、チラー水噴出口部(23)は高い位置に位置している。外殻(21)は、内部を清潔に保つために落し口(21a)と排出口(21b)などの一部の開口を除き、周囲を覆うようにしている。単に覆うだけに留まらず、ボイル槽部からの廃熱や排気の蒸気を外殻内に引き込んで装置内に充満させるようにすることで、内部雰囲気を飽和蒸気に近い環境とするものである。たとえば、ボイル槽部の付近は、90℃湿度98%、pH調整浸漬水部の付近でも約60℃湿度97%といった雰囲気とすることができ、これらの廃熱および蒸気を利用することによって、内部に細菌やカビ等が繁殖しにくい高温環境を実現している。なお、落し口(21a)の近傍や排出口(21b)上部などの外殻(21)上部には、開閉可能な排気ダクト(21c)を設けることができる。自動製麺装置を設置する環境の室温は、装置の外殻(21)内よりも温度が低いため、ボイル槽から供給される飽和蒸気由来の露が生じ、装置内に水滴が過剰に付着して、麺の落し口(21a)が湿気る(水滴がつく)ことにより麺が落ちにくくなったり、排出口(21b)上部で結露した水滴が包装機に落ちるなどして、装置が動作不良を起こすことが懸念されるため、排気ダクト(21c)を開けて当該部位近傍の過剰な蒸気を少量排気することで、飽和蒸気由来の水滴の発生を防ぎ、装置のより安定的な運用を可能とすることができる。
生めんの加熱処理機構(2)の内部を長手に走るピボッテドバケットコンベヤ(pivoted bucket conveyor)(26)は、たとえば幅1m×長さ15mのコンベアであり、ピボッテドバケットコンベヤ(26)の搬送面上には、その搬送方向と交差する仕切り送り板が上方に向けて間隔を空けて複数枚立ち上げられている。20cm間隔で搬送面を幅方向に横断する仕切り送り板は、それぞれ幅1m×高さ15cmのステンレス製で、搬送面の幅方向を横断するように垂直に立ち上がっている。そして、コンベアの搬送面の水平高さは、移動するに連れて場所により上下に変動するようになっている。スプロケットで駆動されたチェーンコンベアは、スプロケットの場所で向き、高さを変えながら外殻で覆われた包装済み茹で麺製造機の中を移動していき、チェーンにぶら下がるピボッテドバケットは、チェーンの動きに連動して、搬送される。
まず、ボイル槽部(22)では、ボイル槽部(22)の下方、すなわち液面よりも低い位置をコンベア搬送面はゆっくりと通過しながら、投入された生めんを送りながら茹であげ、ボイル槽部(22)の出口側で搬送面を液面よりも高い位置まで引き上げることで麺を取り出し、チラー水噴出口部(23)でチラー水をシャワーした後、pH調整浸漬槽部(25)の液面より低く位置させることで麺を浸漬させた後、再度搬送面を高くして、水切りをする。その後、焼きそばなどでは任意の工程として油添加部(25c)により油を吹きかけてから、コンベアの端で下方の排出口(21b)に向けて処理後の麺を投下する。
投下された麺は、排出口(21b)から包装機構(3)内に配設された、上部が開口し下端が熱封止された筒状のプラスチック樹脂フィルム製の包装容器の中に投下され、その後、袋の上端が熱封止され、包装容器が切り離される。
切り離された包装済み茹で麺は、包装済み茹で麺の冷却機構(4)にて、包装容器ごと冷却される。冷却機構(4)は様々な構成をとることができるが、例えば、包装済み茹で麺を並べるパレットを備え、パレット上に並べた包装済み茹で麺に室温の空気を当て麺芯温が40℃程度になるまで冷却する機構、または、包装済み茹で麺に冷水を掛け急速冷却して麺芯温を20℃〜30℃とする機構と麺芯温を6℃〜10℃まで冷却する冷蔵室を備えたものからなる冷却機構を用いることができる。
また、本発明の連続処理式の包装済み茹で麺製造機(100)は、大量の水を用いて洗浄冷却することなく、チラー水掛け流しとpH調製水への浸漬処理のみを行って包装してさらに冷却するという、水の使用量と排水処理量を共に大幅に削減できるものであるが、さらに、水の使用量と排水処理量を削減する工夫として、チラー水回収槽部(24)に回収された回収済みチラー水(24a)を、オーバーフロー部(24b)からボイル槽部(22)内へ再潅流させる仕組みを設けた。この仕組みを設けたことにより、チラー水を麺の下方に配設したチラー水回収槽部(24)で回収してから、オーバーフロー部(24b)を介して沸騰水中へ投入して再利用することで、それが排水として外部へと排出されることを防ぐとともに、蒸気となって減少する沸騰水を補充し、チラー水が排水として排出されなくするとともに、麺を茹でるために用いる水の使用量を削減することを同時に達成することが可能となった。さらに、回収済みチラー水(24a)に、ピボッテドバケットコンベヤ(26)を通過させる機構を設けることで、回収済みチラー水(24a)の温度を適度に高く保ち、沸騰水を作るために必要なエネルギー量を削減することをも可能とした。
上記に説明した手段の包装済み茹で麺の製造方法および包装済み茹で麺製造機を採用することにより、従来よりも優れた特性を包装済み茹で麺の製造を行うことが可能となり、さらには、包装済み茹で麺の製造において使用する水の量と使用するエネルギー量を顕著に減少させることも同時に可能となる。たとえば、茹でた麺を大量の冷水で洗い流すことを必須とする従来の包装済み茹で麺の製造方法および製造機での水使用量が1日あたり300tである場合には、本発明の手段では茹でた麺を大量の冷水で洗い流す工程を不要としたため、それだけで大幅に水使用量が削減されて1日あたり僅か50t未満で済むこととなる。その結果、水の使用量と処理排水量とが、共に1/6以下へと減少し、その結果、包装済み茹で麺の製造と排水処理に必要な総エネルギー量も大幅に削減され、コストが削減されるのみならず、環境に対して大きく配慮がなされたものとなっている。
以下に、包装済み茹で麺の製造方法に関する各種試験、および、本発明の包装済み茹で麺製造機を製造設置して使用し、包装済み茹で麺を製造した実施例を示す。
本発明の包装済み茹で麺製造機(図1)を製造した。
製造した包装済み茹で麺製造機は、連続処理式の包装済み茹で麺製造機(100)であり、生めんの製麺機構(1)と、生めんの加熱処理機構(2)と、加熱処理された麺を包装容器に袋詰めする包装機構(3)と、包装済み茹で麺の冷却機構(4)からなる。
そして、生めんの製麺機構(1)は、真空ミキサー(11)、生地コンベヤ(12)、麺帯複合圧延機(13)、連続麺帯圧延機(14)および圧延切出機(15)を有している。また、生めんの加熱処理機構(2)は、全体が外殻(21)に覆われており、その外殻(21)の内部には、ボイル槽部(22)、チラー水噴出口部(23)、チラー水回収槽部(24)、pH調整浸漬槽部(25)、油添加部(25c)を順に備えており、これらの各部の下方には、麺を区分け搬送するためのピボッテドバケットコンベヤ(26)が前記各部を縦断するようにして配されている。さらに、外殻(21)のボイル槽側の上端部には、ボイル槽内へ生めん製麺機で製麺された生めんを投入する落し口(21a)が開口しており、外殻(21)の他端部下方には、ピボッテドバケットコンベヤ内を搬送された加熱処理後の麺を包装容器に投入させるための排出口(21b)が開口している。さらに、落し口(21a)の近傍及び排出口(21b)の上方の外殻(21)には、開閉可能な排気ダクト(21c)が設けられている。チラー水回収槽部(24)には、回収されるチラー水(23a)がボイル槽部(22)へと再潅流することが可能となるよう、オーバーフロー部(24b)が配設されている。
製造した包装済み茹で麺製造機では、真空ミキサー(11)、生地コンベヤ(12)、麺帯複合圧延機(13)、連続麺帯圧延機(14)および圧延切出機(15)を有している生めんの製麺機構(1)で製造された生めんは、圧延切出機(15)から圧延され切り出される。そして、製造した包装済み茹で麺製造機は、圧延切出機(15)の下方に配された生めんの加熱処理機構(2)の外殻(21)に設けられた落し口(21a)から、麺を区分け搬送するためのピボッテドバケットコンベヤ(26)の中に入り、加熱処理機構の内部に配されたボイル槽部(22)の沸騰水(22a)の中へと投入される構成となっている。
また、製造した包装済み茹で麺製造機は、生めんの加熱処理機構(2)全体を覆うように外殻(21)を備えたものとすることにより、ボイル槽部(22)にて発生した蒸気は外殻(21)の中に充満可能となっており、さらに、チラー水噴出口部(23)、チラー水回収槽部(24)およびpH調整浸漬槽部(25)は、ボイル槽部(22)よりも上方に位置するように配されていることから、外殻(21)内部には、ボイル槽部(22)にて生めんを茹でる際に発生する蒸気がさらに上方に位置するチラー水噴出口部(23)、チラー水回収槽部(24)、pH調整浸漬槽部(25)、油添加部(26)が配された部位に向かって対流する略飽和状態の蒸気の流れが生じる構成となっている。
さらに、製造した包装済み茹で麺製造機は、落し口(21a)の近傍や排出口(21b)上部などの外殻(21)上部に、開閉可能な排気ダクト(21c)を設け、内部の蒸気を外殻(21)の外に排気することが可能な構成とした。排気ダクト(21c)の先には、回転数を調節可能なファンを設け、強制的に排気することも可能とした。自動製麺装置を設置する環境の室温は、装置の外殻(21)内よりも温度が低いため、ボイル槽から供給される飽和蒸気由来の露が生じ、装置内に水滴が過剰に付着して、麺の落し口(21a)が湿気る(水滴がつく)ことにより麺が落ちにくくなったり、排出口(21b)上部で結露した水滴が包装機に落ちるなどして、装置が動作不良を起こすことが懸念されるが、上記排気ダクト(21c)を設けるた構成をとることにより、排気ダクト(21c)を開けて過剰な蒸気を少量排気することで、麺の落し口や排出口へ蒸気が過剰に侵入しないようにすることで飽和蒸気由来の水滴の発生を防ぎ、装置のより安定的な運用を可能とすることができる。
(包装済み茹で麺における麺の特性の確認−1)
茹で麺は、製麺された生めんを沸騰させた水で十分に茹でるために、麺の主原料である澱粉質が吸水と加熱によって変質し、麺が柔らかくなるとともに、麺表面にはぬめりが生じる。そこで通常、茹で麺は、麺を茹でた際に生じる麺表面のぬめりを取るとともに冷水下でさらに澱粉質を変質させて麺を締め麺に十分な強度やコシを出すために、麺を茹でた後に大量の水で麺を洗浄しながら冷却する。
包装済み茹で麺は、製麺された生めんを沸騰させた水で十分に茹でて茹で麺としたものを包装し、流通後に消費者が茹で麺を温め戻すだけで簡便に調理可能としたものである。そして、生めんを茹でた後の麺は柔らかく麺表面にぬめりがある状態のため、従来の包装済み茹で麺の製造方法においては、製造時に生じた麺表面のぬめりを取とともに麺を締めて麺に十分な強度やコシを出すために、麺を茹でた後に大量の水で麺を洗浄しながら冷却する工程を必要としていた。そのため、従来の包装済み茹で麺の製造においては、水の使用量が大変に多くなるという問題と、それに伴い浄化処理が必要とされる排水の量が極めて多くなり、手間とコストが増大するとともに、上水の手配や排水処理環境を満足させる必要から工場立地に制限がかかるいう問題が生じており、改善が求められていた。
そこで、この問題を根本的に解決すべく、本発明の手段の製造方法並びに製造装置においては、茹でた麺の表面に生じるぬめりを取るとともに冷水下でさらに澱粉質を変質させ麺を締めて麺に十分な強度やコシを出すために必要としていた、茹でた麺を大量の水で洗浄しながら冷却するという、大量に水を使用し、かつ大量に排水する工程を用いることを止めた。そして、本発明においては、この従来の工程に替えて、新たに、茹でた麺を少量のチラー水処理とpH処理水へ浸漬するに留めてすぐに麺を包装し、引き続きその包装された麺を包装容器ごと冷却するという、水の使用量と排出量とを大幅に削減すること実現する新たな工夫を採用することにした。しかしながら、本発明で採用した新たな工夫は、麺を締めて麺に十分な強度やコシを出すために従来必要としていた茹でた麺を大量の水で洗浄しながら冷却するという工程を経ていないため、製造された包装済み茹で麺に十分な強度やコシが出ないことが想定された。
そこでまず、本発明の、茹でた麺を少量のチラー水処理とpH処理水へ浸漬するに留めてすぐに麺を包装し、引き続きその包装された麺を包装容器ごと冷却するという新たな工程を採用した製造方法により製造された包装済み茹で麺と、従来の、茹でた麺を締めて麺に十分な強度やコシを出すために、茹でた麺を大量の水で洗浄し麺表面のぬめりをとりながら冷水下でさらに澱粉質を変質させ麺を締めて麺に十分な強度やコシを出す製造方法により製造された包装済み茹で麺とをそれぞれ製造し、製造直後の包装済み茹で麺における麺の破断強度を比較する試験を実施した。
<材料と方法>
発明例として、麺を茹でる工程+麺にチラー水を掛け流す工程+pH調整水への浸漬工程+充填包装工程の後、室温の空気で麺芯温が40℃となるように冷やして粗熱をとり、さらに10℃冷蔵室で冷やす工程を経て、以下の包装済み茹で麺を製造した。
・発明例A:太うどん(7番手、幅4.2mm)
・発明例B:うどん(11番手、幅2.8mm)
・発明例C:中華麺
また、比較例として、従来のように、麺を茹でた後に大量の水で冷却洗浄する工程による製造方法(麺を茹でる工程+大量の水で冷却洗浄する工程+pH調整工程+充填包装工程+91℃のスチームで30分間加熱滅菌する工程+室温の空気で麺芯温40℃冷やして粗熱をとり、さらに10℃冷蔵室で冷やす)で、以下の包装済み茹で麺を製造した。
・比較例A:太うどん
・比較例B:うどん
・比較例C:中華麺
上記製造した包装済み茹で麺を冷蔵室より取り出し、包装容器から茹で麺を取り出す。太うどん(発明例A、比較例A)、うどん(発明例B、比較例B)の場合には、1袋につき任意に麺を3本選んで測定台にのせ、それら麺の破断強度(g)を測定する。中華そば(発明例C、比較例C)の場合には、麺がうどんよりも細いことを考慮し、1袋につき任意に麺を5本選んで測定台にのせ、それら麺の破断強度(g)を測定する。そして、各発明例及び比較例につき、それぞれ5袋を用いて測定し、各破断強度の平均値を算出した。
<結果>
製造直後の包装済み茹で麺における麺の破断強度(g)は、以下の様になった。

(太うどん) 破断強度
発明例A: 450g
比較例A: 432g

(うどん) 破断強度
発明例B: 224g
比較例B: 213g

(中華麺) 破断強度
発明例C: 338g
比較例C: 251g
<考察>
従来は、茹でた後の麺表面のぬめりをとりながら冷水下でさらに澱粉質を変質させ麺を締めて麺に十分な強度やコシを出すよう、茹でた麺を大量の水で洗浄しながら冷却していた。しかし、本発明で採用した新たな工夫は、茹でた麺を大量の水で洗浄しながら冷却するという従来の重要な工程を経ていない。そのため、麺に十分な強度が出ないことが想定されていた。
ところが、今回実施した試験の結果、予想外にも、本発明の、生めんを茹で上げた後に、大量の水を用いて洗浄冷却することなく、チラー水掛け流しとpH調製水への浸漬処理のみを行って包装してさらに冷却するという新たな製造方法により、製造された包装済み茹で麺は、茹でた麺を大量の水で洗浄しながら冷却することにより麺の強度を出していた従来製法のものに比べて、麺の破断強度の点でより強いという、新たな特性を有する包装済み茹で麺が得られていることが判明した。本発明では、茹でた後の麺を澱粉質を冷水下でさらに変質させてはいないため、本発明の手段によって得られた包装済み茹で麺は、従来のものとは質的に異なると考えられる。
本発明の手段は、大量の水を用いて洗浄冷却することなく、チラー水掛け流しとpH調製水への浸漬処理のみを行って包装してさらに冷却するという、水の使用量と排水処理量を共に大幅に削減できるものである。そして、本発明の手段は、包装済み茹で麺の製造において、水の使用量が大変に多くなるという問題と、それに伴い浄化処理が必要とされる排水の量が極めて多くなり、手間とコストが増大するとともに、上水の手配や排水処理環境を満足させる必要から工場立地に制限がかかるいう問題を解決するために、現実的かつ大変有用な手段であることが、今回明らかとなった。そして、この大量の水を用いて洗浄冷却することなく、チラー水掛け流しとpH調製水への浸漬処理のみを行って包装してさらに冷却するという新たな本発明の手段は、従来に比して、麺の破断強度の点でより強いという、新たな特性を有する麺が得られるという、大変有用な手段であることが、明らかとなった。
(包装済み茹で麺における麺の特性の確認−2)
上記試験の結果、従来製法のように麺を茹でた後に大量の冷水で洗浄しながら澱粉質を変質させ麺を締めるのではなく、本発明において加えた、茹でた麺にチラー水を少量掛け流した後にpH調整水に浸漬させるのみで包装容器に充填し、その後に当該包装容器ごと冷却するという新たな工夫の一つによって、予想外にも、包装済みの茹で麺に対して、従来よりも高い破断強度を付与することが可能となることが明らかとなった。
そこで、包装済み茹で麺の製造直後のみならず、流通した包装済み茹で麺を消費者が購入し調理のために温め戻した後において、麺が良好なコシの強さを有しているか確認する試験を実施した。また、本発明において新たに加えた工夫の一つである冷却の手順において、室温の空気で麺芯温40℃に冷やして粗熱をとった後に10℃冷蔵室で冷やす手順に換えて、循環冷却水を用いることでより迅速に冷却する手順を用いたものについても、同様にして包装済み茹で麺を製造し、温め戻した後の茹で麺の各種特性について検討と加えた。
<材料と方法>
以下の試験において、本発明の手段に記載の製造方法および製造装置により製造された包装済み茹で麺と、従来の製造方法および製造装置により製造された包装済み茹で麺とを用い、温め戻し後の麺の破談強度と歪み率の測定を行うことにより、温め戻し後の麺が有する粘弾性の程度を確認することで、麺のコシの強さを評価する。それぞれ、製造後4日目および製造後14日目(すなわち賞味期限日)のものを用いることで、流通した商品を消費者が購入し、実際に利用する時の状態を再現して、検討を行う。
・発明例A
生めんとして太うどん(7番手、幅4.2mm)、および、うどん(11番手、幅2.8mm)を用い、本発明の包装済み茹で麺製造装置を使用し、本発明の、茹で麺を包装した後に、麺芯温を20℃にするよう循環冷水を掛け急速冷却し、さらに10℃で冷蔵する工程を有する包装済み茹で麺製造方法によって、それぞれ包装済み茹で麺を製造し、6℃〜10℃に設定した冷蔵庫内で保管した。
・発明例B
生めんとして太うどん(7番手、幅4.2mm)、および、うどん(11番手、幅2.8mm)を用い、本発明の包装済み茹で麺製造装置を使用し、本発明の、茹で麺を包装した後に、室温の空気で冷却して麺芯温を40℃とし、さらに10℃で冷蔵する工程を有する包装済み茹で麺製造方法によって、それぞれ包装済み茹で麺を製造し、6℃〜10℃に設定した冷蔵庫内で保管した。
・比較例C
生めんとして太うどん(7番手、幅4.2mm)、および、うどん(11番手、幅2.8mm)を用い、従来の製造方法(生めんをボイル後冷水で洗浄冷却してから包装容器に充填し、さらに91℃のスチームで30分間加熱する製造方法)により、それぞれ包装済み茹で麺を製造し、6℃〜10℃に設定した冷蔵庫内で保管した。
6℃〜10℃に設定した冷蔵庫内で保管していた製造後4日目及び製造後14日目(すなわち賞味期限日)の包装済み茹で麺(発明例A、発明例B、および、比較例C)を用い、以下の手順により、麺の破断強度と歪み率の測定を行った。
・茹で麺を包装容器から取り出し、沸騰水に投入し、2分間温め戻しを行う。
・茹で麺のほぐれ具合を確認する。
・沸騰水から麺を取り出し、それを氷水の中に移し、30秒間冷却する。
・氷水から、麺をざるで取り出し、十分に水切りを行う。
・包装済み茹で麺1袋につき任意に麺を5本選び、麺を1本ずつ台に並べた後、せん断用の刃(厚さ5mmのブレード)で上部から押し切り、せん断される直前における茹で麺の歪み率(%)と、茹で麺の破談強度(kg)を測定する。この作業を2袋行い、計10本について測定を行う。
麺の歪み率(%)は、麺へのブレードの食い込みの深さ(単位mm)と麺の厚み(単位mm)を計測することにより評価する。たとえば、麺の厚みが4.0mmで、麺へのブレードの食い込みの深さが2.4mmの場合には、歪み率は(2.4/4.0)x100(%)=60(%)となる。麺の厚みが3.0mmで、麺へのブレードの食い込みの深さが2.4mmの場合には、歪み率は(2.4/3.0)x100(%)=80(%)となる。
せん断される直前における茹で麺の歪み率(%)の数値が小さいものは、麺の粘弾性が低く、すなわち、麺のコシが弱いことを示す。そして、麺の破断強度(kg)の数値は小さいものは、弱い力で茹で麺が切断されてしまうため、噛みごたえのないものとなることを示す。一方、せん断される直前における茹で麺の歪み率(%)の数値が大きいものは、麺の粘弾性が高く、すなわち、麺のコシが強く、弾力感を有することを示す。そして、麺の破断強度(kg)の数値が大きいものは、茹で麺の切断には強い力を要し、噛みごたえのあるものとなる。
さらに、茹で戻した麺の食感を評価する。上記試験と同様にして、冷蔵庫で保管された包装済み茹で麺を温め戻し、それぞれについて、麺の食感と、温め戻し後の水の状態を評価する。
<結果>
包装済み茹で麺における温め戻し後の茹で麺の、せん断される直前における歪み率(%)と麺の破断強度(kg)は、以下の様になった。
Figure 0006038371
その結果、包装済み茹で麺における温め戻し後の茹で麺の、せん断される直前における歪み率(%)を比較したところ、「発明例Aまたは発明例Bを温め戻した後の茹で麺」>「比較例Cを温め戻した後の茹で麺」となることが判明した。
また、包装済み茹で麺における温め戻し後の茹で麺の、破断強度(kg)を比較したところ、こちらも同様に、「発明例Aまたは発明例Bを温め戻した後の茹で麺」>「比較例Cを温め戻した後の茹で麺」となることが判明した。
さらに、上記各試験において、茹で麺を温め戻す際の、麺のほぐれ度合いは、急速に容器を冷却した発明例Aは、室温の空気で徐々に冷却した発明例Bに比して、より良好であった。
一方、従来製法による比較例Cは、茹で麺を温め戻す際に、麺どうしがくっつく傾向にあり、麺のほぐれ度合いは、発明例A及び発明例Bのものに比して劣っていた。
また、上記本発明の手段により製造された発明例A、発明例Bおよび従来製法により製造された比較例Cの麺について、それぞれの茹で麺を温め戻した後、麺の食感と、温め戻しに用いた水の状態とを評価した。
その結果、本発明の手段により製造された発明例Aおよび発明例Bの麺は、調理後に麺が溶けて柔らかすぎる状態になることもなく、麺の表面に不要なぬめり感がなくて、口当たりがよく、良好な食感が得られていた。また、麺が溶けて温め戻しに用いた水が濁ったり、粉っぽい味になることもなかった。
他方、従来製法により製造された比較例Cの麺は、調理後に麺が溶け出し、本発明の手段により製造された発明例Aおよび発明例Bの麺に比べて、麺表面が若干柔らかな状態となっていた。また、麺どうしがくっつく傾向にあるため、それを十分にほぐす作業を続けると、温め戻しに用いた水が濁り、粉っぽい味になることがあった。
<考察>
これまでに、本願発明の新たな手段により製造した包装済み茹で麺は、従来の製造方法による包装済み茹で麺に比べて、予想外にも、麺の破断強度の点でより強いものとなっていることが明らかとなっていた。そして、今回の実施例3の試験結果から、本願発明の新たな手段により製造した包装済み茹で麺は、従来の製造方法による包装済み茹で麺に比べて、より麺の粘弾性が高く、麺のコシが強く、噛みごたえのある弾力感を有するものとなっていることが、新たに明らかとなった。そしてさらに、本願発明の新たな手段により製造した包装済み茹で麺は、流通後日時を経ても、従来製造方法による包装済み茹で麺よりも、麺の粘弾性が高く、麺のコシが強く、噛みごたえのある弾力感を有する状態が維持されたものとなることが明らかとなった。
また、急速に容器を冷却した発明例Aについては、製造後4日目と製造後14日目(賞味期限)で、破断強度差・歪み率の差が少なく、室温の空気で徐々に冷却した発明例Bに比して、製造後における茹で麺の経時変化がより少ない製造方法であることが判る。これらの結果から、本願発明の新たな手段は、包装済み茹で麺の製造コストが合理的な範囲内のものとなるように、想定する流通期間にあわせて冷却手段及び冷却速度を自在に選択し調節することができる、汎用性の高い手段であることが理解される。なお、水を循環させ再冷却し使用する循環型の冷却装置を用いることで、製造時に使用する水量と排水量をさらに減らすことが可能となり、有用である。
さらに、本願発明の新たな手段により製造した包装済み茹で麺は、従来の製法により製造した包装済み茹で麺に比べて、製造し流通させた後も、温め戻す調理を行った後に、麺が溶けて柔らかすぎる状態になることもなく、麺の表面に不要なぬめり感がなくて、口当たりがよく、良好な食感が得られており、さらには、麺が溶けて温め戻しに用いた水もしくは麺汁が濁ったり、粉っぽい味になりにくいものとなっており、商品としての魅力が、製造し流通させた後も従来以上に高く保持されているものであることが理解される。
(pH調製水への浸漬処理による菌抑制効果)
食品生産時における一般生菌や大腸菌などの各種菌の混入に対する対策としては、加熱殺菌が広く用いられる。従来の包装済み茹で麺の製造方法は、生めんを沸騰水で茹でた後に大量の水により麺を洗浄しながら冷却する工程を必要としていた。そのため、沸騰水で茹でる加熱殺菌が行われるものの、その後大量の水にさらされることから、茹でた後の麺における菌増殖への対策を要しており、上記従来の包装済み茹で麺の製造においては、包装済み茹で麺を、包装容器毎さらに加熱殺菌するか、クリーンルームや清浄空気による陽圧条件下に保持した特殊な製造環境を備え、その中で茹で麺を包装することが必須となっていた。しかし、加熱殺菌による麺品質の低下や、クリーンルームや特殊な製造環境の準備には手間やコストがかかるという問題があり、いずれも改善が求められていた。
生めんを茹でた後に大量の水で洗浄冷却するという工程を廃した本発明の手段においては、生めんを沸騰水で茹で、それと同時に加熱殺菌をした後に、少量のチラー水とpH調整水への浸漬に留め、直ぐに茹で麺を包装容器内に封入するため、一般生菌や大腸菌などの各種菌の混入のリスクが大幅に低減することが期待される。また、pH調整水への浸漬により菌の生育が難しくなることにより、菌抑制効果が発揮されることが期待される。
そこで、茹でた麺をpH調製水へ浸漬処理する工程によって、包装済み茹で麺に高い菌抑制効果が備わる点を検証する。
<材料と方法>
以下のサンプルについて、生めんを沸騰水で茹でた後、温度を調節したpH調製水(pH2.8〜3.2)または水に10秒間浸漬し、包装容器に充填密封し、4℃に冷却して、包装済み茹で麺を製造した。
・太うどん 試験例A:pH調製水(70℃)
試験例B:pH調製水(50℃)
試験例C:pH調製水(90℃)
試験例D:水(70℃)
・うどん 試験例E:pH調製水(70℃)
試験例F:pH調製水(50℃)
試験例G:pH調製水(90℃)
試験例H:水(70℃)
上記で製造された包装済み茹で麺を、商品流通時と同様の10℃に設定したショーケースに保管し、保管当日、保管後5日目、7日目、9日目、14日目、19日目及び21日目に、一般生菌、大腸菌群、乳酸菌、真菌に関する菌検査をそれぞれ実施した。
<結果>
pH調製水(70℃)に10秒間浸漬の処理を行った試験例Aおよび試験例Eは、試験開始後21日目においても、一般生菌、大腸菌群、乳酸菌、真菌の増殖試験結果はすべて陰性であった。包装済み茹で麺における流通時の賞味期限は、通常の冷蔵流通させる仕様のもので一般に製造後4日程度、また、長期冷蔵流通させる仕様のものでも製造後14日程度に設定されていることからみて、上記製造工程は、それを遙かに超えた期間にわたり優れた抗菌性を付与することが可能となると理解される。また、麺表面に付着する菌を大量の清浄な水で洗い流す工程が不要となり、製造における水使用量並びに排水量が大幅に削減された。
pH調製水の温度が下がると、試験開始後9日目の一部サンプルで菌が確認される場合があった(試験例Bと試験例Fの一部)。pH調整水の温度が高い場合には菌増殖が確認されないことから、pH調製水の温度が50℃程度にまで下がると麺芯温が下がり、菌増殖の抑制効果が若干弱まる場合があることが想定される。また、pH調製水の温度がより高い場合には麺が団子状態となった(試験例Cと試験例G)。この状態では、温め戻しを行う際に茹で麺がほぐれにくくなる場合がある。
これに対して、pH調製水ではなく、単なる水(70℃)に浸漬した試験例Dおよび試験例Hでは、5日目には一般生菌のコロニーが10個以上確認されて、また、7日目には乳酸菌のコロニーも確認された。また、それ以降も一般生菌数が増加することが確認された。7麺を浸漬する水の温度を単に高く維持するのみでは、十分な菌抑制効果は期待できないことが明らかとなった。
なお、茹でた麺のぬめりをそのままにpH調製水へ浸漬する工程を繰り返すと、pH調製水へ持ち越される麺のぬめりが増加してpH調製水が劣化しやすくなった。包装済み茹で麺製造機による大量生産時には、pH調製水を頻回に交換することになるため、さらなる工夫が必要とされることが理解できる。
<考察>
本発明の手段による包装済み茹で麺の製造において採用した、包装容器への封入直前に茹でた麺をpH調製水へ浸漬処理するという新たな工夫は、大量の水による洗浄処理並びにコストのかかる特殊な清浄環境を備えた製造装置を使用せずとも、包装後の茹で麺に対して、高い菌抑制効果を付与できるという、優れた効果を発揮する手段であることが明らかとなった。pH調製水への浸漬による効果をより高めるには、包装直後の包装済み茹で麺の麺芯温をある程度高くするよう、pH調製水を50℃以上に保持し、また、麺が団子状態となることを避けるため、pH調製水の温度は高すぎないように設定することが好ましいものと理解される。
(pH調製水への浸漬処理による菌抑制効果)
太うどん、うどんとは麺の組成が異なる、他の生めんに、本発明の包装済み茹で麺製造機を用いても、太うどん、うどんと同様の菌抑制効果や水使用量の削減効果が得られるか検討する。一例として、中華そば、および、焼きそば麺について試験を行った。
<材料と方法>
実施例2に記載の方法と同様にして、中華そば、および、焼きそば麺を用いた包装済み茹で麺を製造した。製造された包装済み茹で麺を、商品流通時と同様の10℃に設定したショーケースに保管し、保管当日、保管後5日目、7日目、9日目、14日目、19日目及び21日目に、一般生菌、大腸菌群、乳酸菌、真菌に関する菌検査をそれぞれ実施した。
<結果>
うどんとは麺の組成が異なる、中華そば、並びに、焼きそば麺を用いても、うどんの場合と同様に、包装済み茹で麺製造21日後において、ほぼ菌の発生は無かったことが確認された。茹でた麺のぬめりをそのままにpH調製水へ浸漬する工程を繰り返すと、pH調製水へ持ち越される麺のぬめりが増加しpH調製水が劣化することも、うどんの場合と同様に確認された。
他方、水への浸漬では、一般生菌、乳酸菌、真菌のコロニーが確認され、高めの温度の水に浸漬するだけでは、十分な菌抑制効果は期待できないことが明らかとなった。
<考察>
本発明の手段による包装済み茹で麺の製造において採用した、包装容器への封入直前に茹でた麺をpH調製水へ浸漬処理するという新たな工夫は、大量の水による洗浄処理並びにコストのかかる特殊な清浄環境を備えた製造装置を使用せずとも、うどん以外の他の包装後の茹で麺に対しても同様に、高い菌抑制効果を付与できるという、優れた効果を発揮する手段であることが明らかとなった。
(pH調製水への浸漬処理による菌抑制効果)
実施例4及び実施例5ではpH調製水への浸漬処理時間を10秒とした。しかし、設定される浸漬処理時間が短すぎると、コンベアを用いた浸漬処理を行う機構を用いる包装済み茹で麺製造機などの設計が難しくなる。そこで、浸漬処理時間をより長く設定する余地があるか、検討を行った。
<材料と方法>
太うどん、うどんを用い、pH調製水への浸漬処理時間を50秒に増やす以外は実施例2と同様の工程で、包装済み茹で麺を製造した。製造された包装済み茹で麺を、商品流通時と同様の10℃に設定したショーケースに保管し、保管当日、保管後5日目、7日目、9日目、14日目、19日目及び21日目に、一般生菌、大腸菌群、乳酸菌、真菌に関する菌検査をそれぞれ実施した。
<結果>
pH調製水への浸漬時間を50秒と長くしても、製造後14日目においても、ほぼ菌の発生は無いことが確認された。また、麺の状態は、実施例4のものと同様であったが、pH調製水へ持ち越される麺のぬめりが、より増加していた。
上記試験の結果、pH調製水への浸漬時間を、少なくとも10秒から50秒を超えない程度に設定すれば、菌増殖の抑制及び麺の状態の点で、製造後の包装済み茹で麺に不具合が生じないことが明らかとなった。このように設定することで、包装済み茹で麺製造機におけるコンベアを用いた浸漬処理を行う機構の設計上の自由度が十分に確保されることが理解される。一方、pH調製水へ持ち越される麺のぬめりについては対策を要することが理解される。
(pH調製水へのほぐれ剤の添加)
実施例4において、pH調製水90℃の条件で浸漬処理をすると麺が団子状になり、温め戻しを行う際に麺がほぐれにくくなる現象が発生することが確認された。このような高い温度条件では、包装済み茹で麺を温め戻す際に、麺がくっついて固まったり切れて短くなると想定される。そこで、麺が団子状になりほぐれにくくなる現象を抑制するため、麺のほぐれ剤をさらに添加する余地があるか、検討した。
<材料と方法>
太うどん、うどん、および、中華麺を用い、70℃のpH調製水、90℃のpH調製水、及び、麺のほぐれ剤を加えた90℃のpH調製水を用いる以外は、実施例2と同様の工程で包装済み茹で麺を製造し、10℃ショーケースにて、太うどん、うどんは4日間、中華麺は5日間保管した。麺のほぐれ剤は、水溶性大豆多糖類、アルギン酸、セルロース、または増粘多糖類などを原料とするものを用いた。
1Lの沸騰水中に、包装容器から取り出した茹で麺を投入する。投入20秒後に、麺を菜箸でほぐし(太うどん、および、うどんの場合は、菜箸を10往復させ、中華麺の場合には菜箸を8往復させて、麺をほぐした)。そして、麺を入れた直後、10秒後、20秒後、60秒後、70秒後の茹で麺の状態を、それぞれ確認して記録した。
<結果>
・太うどん、うどん
ボイル後に90℃のpH調製水への浸漬工程のみを加えたものでは、開封前の包装容器に麺が密着してしまっており、団子状となっていた。容器を開封し麺を取り出そうとしても、麺から容器の袋が密着し剥がれにくい状態となっていた。取り出した団子状の麺を沸騰水に入れても、麺どうしがくっついた部分が塊状となって残存した。菜箸でほぐそうとしても、塊はほぐれず、麺が切断され、短くなるものが生じた。
一方、ボイル後に90℃のpH調製水+ほぐれ剤への浸漬工程を加えたものでは、開封前の包装容器への麺の密着はあまりなく、麺をスムーズに取り出すことができた。そして、沸騰水に麺を入れると、すぐに麺がきれいにほぐれた。麺の切断も発生しなかった。本発明の方法は、ほぐれ剤を併用する余地がさらにある、汎用性の高い包装済み茹で麺の製造方法であることが理解される。しかしながら、ほぐれ剤を併用すると、コストが1袋あたり数円増加し利益は減ってしまう。
他方、ボイル後に70℃のpH調製水への浸漬工程のみを加えたものでは、開封前の包装容器への麺の密着はあまりなく、麺をスムーズに取り出すことができた。そして、沸騰水に麺を入れると、すぐに麺がきれいにほぐれた。麺の切断も発生しなかった。本発明の手法は、ほぐれ剤を併用せずとも、低コストで、麺の状態を良好に保つ、優れた製造工程であることが理解される。
・中華麺
ボイル後に、90℃のpH調製水への浸漬工程のみを加えたものでは、開封前の包装容器に麺が密着はさほど無かったが、麺は団子状となっていた。取り出した団子状の麺を沸騰水に入れても、麺どうしがくっついた部分が塊状となって残存した。菜箸でほぐそうとしても、塊はほぐれず、麺が切断され、短くなるものが生じた。
90℃のpH調製水へ浸漬する場合における麺のほぐれ性を改善するため、ほぐれ剤を併用することとし、ボイル後に、90℃のpH調製水+ほぐれ剤への浸漬工程を加えた。そうすると、開封前の包装容器への麺の密着はあまりなく、麺を包装容器からスムーズに取り出すことができた。そして、沸騰水に麺を入れると、すぐに麺がきれいにほぐれた。麺の切断も発生しなかった。
本発明の方法は、ほぐれ剤を併用する余地がさらにある、汎用性の高い包装済み茹で麺の製造方法であることが理解される。しかしながら、ほぐれ剤を併用すると、コストが1袋あたり数円増加し利益は減ってしまう。
そこで、pH調整水の温度を下げ、ボイル後に70℃のpH調製水への浸漬工程のみを加えた。すると、開封前の包装容器への麺の密着はあまりなく、麺をスムーズに取り出すことができた。そして、沸騰水に麺を入れると、すぐに麺がきれいにほぐれた。麺の切断も発生しなかった。本発明の手法は、抗菌性が高い上に、ほぐれ剤を併用せずとも低コストで麺の状態を良好に保つ、優れた製造工程であることが理解される。
(チラー水処理による効果)
上記各実施例により、本発明の手段による包装済み茹で麺の製造において採用した、包装容器への封入直前に茹でた麺をpH調製水へ浸漬処理するという新たな工夫は、大量の水による洗浄処理並びにコストのかかる特殊な清浄環境を備えた製造装置を使用せずとも、包装後の茹で麺に対して、高い菌抑制効果を付与できるという、優れた効果を発揮する手段であることが明らかとなった。しかしながら、茹でた麺のぬめりをそのままにpH調製水への浸漬工程を繰り返すと、持ち越されたぬめりによりpH調製水が早期に劣化し、pH調製水を頻繁に交換しなければならなくなるという問題が生じる。また、茹でた麺のぬめりは、菌が付着する足場となり易く、麺表面からはやめに取り除くことが望まれる。
その対策として、本発明の手段においては、茹でた麺に対してチラー水を少量、直接懸け流す工程を加えることで、麺表面に付着したぬめりを予め減らす工夫を加えることとした。そこで、まず、この工夫を加えた場合における菌抑制効果と茹で麺の温め戻し時の麺のほぐれ性を確認した。
<材料と方法>
生めんとして、うどん、中華麺を用いる。
麺を茹でる工程+麺にチラー水を掛け流す工程+pH調整水への浸漬工程+充填包装+冷却の工程により、以下の包装済み茹で麺を製造し、麺のほぐれ性、および、菌増殖の抑制効果を確認する。
・発明例A(チラー水:3℃20秒、pH調整水:80℃30秒)
・発明例B(チラー水:3℃20秒、pH調整水:75℃30秒)
・発明例C(チラー水:3℃20秒、pH調整水:70℃30秒)
・発明例D(チラー水:3℃20秒、pH調整水:55℃30秒)
・発明例E(チラー水:3℃20秒、pH調整水:50℃30秒)
また、麺を茹でる工程+pH調整水への浸漬工程+充填包装+冷却の工程により、以下の包装済み茹で麺を製造し、麺のほぐれ性、および、菌増殖の抑制効果を確認する。
・比較例F(pH調整水:75℃30秒)
・比較例G(pH調整水:70℃30秒)
・比較例H(pH調整水:55℃30秒)
・比較例I(pH調整水:50℃30秒)
<結果>
うどん、中華麺ともに、チラー水を懸け流す工程を加えた発明例B、発明例C、発明例Dおよび発明例Eは、pH調整水へのぬめり持ち越しが減ることが確認された。温め戻し時の麺のほぐれ性は良好であった。麺肌はきれいで、澱粉の溶け出しもなかった。また、麺を茹でた後の処理温度がより低く設定されている比較例H及び比較例Iについて菌検査を実施したが、製造後14日目においても菌増殖は確認されなかった。
うどん、中華麺ともに、発明例Aは、チラー水3℃を掛け流すことにより、pH調整水へのぬめり持ち越しが減ることが確認された。麺芯温が低下したためか、pH調整水を80℃に保持できなかったが、製造後14日目においても菌増殖は陰性が保持されていた。また、単に温め戻すだけでは麺どうしが密着した部分が若干残ることがあるが、箸でかき混ぜてほぐすと完全にほぐれることが確認された。
これに対し、比較例F〜Iでは、pH調整水へのぬめり持ち越しが生じ、pH調整水を早期に交換する必要があった。
これらの結果から、pH調製水への浸漬工程の直前に、茹でた麺に対して直接チラー水を懸け流して、麺表面に付着したぬめりを減らす工程を加えることは、pH調整水へのぬめり持ち越しを減らし、pH調整水の早期劣化を防止しつつ、包装済み茹で麺において、菌増殖の抑制効果ならびに温め戻し時の麺のほぐれ性を確保するという優れた効果を発揮させるものであることが明らかとなった。少量のチラー水の処理により、菌が付着しやすい足場となり得る麺表面のぬめりが取り除かれるとともに、pH調整水への浸漬により菌の生育が難しくなることにより、菌抑制効果がより高まるものと理解された。
(ボイル槽から発生する蒸気による抗菌効果)
本発明の包装済み茹で麺製造機は、生めんの加熱処理機構(2)が外殻(21)で覆われた構造を有しており、生めんを茹でる工程、麺にチラー水を掛け流す工程、麺にpH調整水への浸漬工程、および麺を排出口(21b)から包装機構(3)内の包装容器に投下するまでの工程が、全て外殻(21)の内部空間で行われる。この外殻(21)内には、ボイル槽部の生めんを茹でた沸騰水に由来する発生蒸気が充満している。そして、外殻(21)は、左から順にボイル槽部(22)、チラー水を噴出するチラー水噴出口部(23)、pH調整浸漬槽部(25)等を配しており、ボイル槽部(22)よりも、チラー水噴出口部(23)は高い位置に位置していることから、ボイル槽部からの廃熱や排気の蒸気は、まずボイル槽部の上部空間に充満したあと、さらに高い位置に位置しているチラー水を噴出するチラー水噴出口部(23)、pH調整浸漬槽部(25)等を有する部位に向かって自然と上昇しながら、その内部に充満していく。このように、ボイル槽部の上部空間から、より上部に配されるチラー水噴出口部(23)、pH調整浸漬槽部(25)の上部空間へと、飽和蒸気に近い内部雰囲気を保ちながら、蒸気が上昇する流れが生じる。そこで、ボイル槽部の付近の温度及び湿度を測定すると、90℃湿度98%、pH調整浸漬水部の付近でも約60℃湿度97%といった雰囲気となっていることが確認され、ボイル槽部からの蒸気が、外殻(21)内全体に行き渡っていることが良く判る。
このことから、これら外殻(21)内全体に行き渡っている、生めんを茹でた沸騰水に由来する廃熱および蒸気を利用することによって、内部に細菌やカビ等が繁殖しにくい高温環境が実現され、包装済み茹で麺への一般生菌、大腸菌群、乳酸菌、真菌などの菌の混入や増殖が困難な状況にあると予想される。
そこで、本発明の手段の連続処理式の包装済み茹で麺製造機(100)を用いて、太うどんを用いた包装済み茹で麺を製造した場合と、生めんの加熱処理機構(2)部分で行われる工程のみを、通常の室内で手作業にて実施した場合において、包装済み茹で麺への一般生菌、大腸菌群、乳酸菌、真菌などの菌の混入や増殖があるか否かを確認する菌検査を実施した。さらに、通常の室内で手作業にて、従来製法である生めんを茹でた後に大量の水で洗浄冷却するという工程を実施した場合についても比較する試験を行った。
その結果、本発明の手段の連続処理式の包装済み茹で麺製造機(100)を用いて、本発明の手段の方法により包装済み茹で麺を製造した場合には、製造後14日目において菌増殖は陰性が保持されていた。排気ダクト(21c)を開け、過剰な蒸気を一部排出した場合でも、同様に製造後14日目において菌増殖は陰性が保持されていた。
一方、生めんの加熱処理機構(2)部分で行われる工程のみを、通常の室内で手作業にて実施した場合は、一部に一般生菌の増殖が確認され、装置内部を90℃湿度98%、pH調整浸漬水部の付近でも約60℃湿度97%といった雰囲気に保持しながら生めんの加熱処理工程が実施出来る本発明の手段の連続処理式の包装済み茹で麺製造機(100)が、より安定して衛生的に包装済み茹で麺の製造をなし得るものであることが明らかとなった。
他方、通常の室内で手作業にて、従来製法である生めんを茹でた後に大量の水で洗浄冷却するという工程を実施した場合には、製造後5日目で一部に一般生菌の増殖が確認された。従来の生めんを茹でた後に大量の水で洗浄冷却する製造方法に比べ、生めんを茹でた後に大量の水で洗浄冷却する工程を、チラー水処理およびpH調整水への浸漬処理する工程に換えた本発明の手段の包装済み茹で麺の製造方法は、より安定的に菌管理がなされ、衛生的に包装済み茹で麺が製造できるものであることが明らかとなった。
本発明の手段の包装済み茹で麺の製造方法および連続処理式の包装済み茹で麺製造機により、麺が余計な変性をしにくく、食味が保たれるとともに、微生物やカビ等の汚染による品質低下を招きにくくなるという、優れた効果を有するとともに、従来よりも破断強度が高く、温め戻しても麺どうしがくっつきにくく切断されにくいという特性と、麺のコシや食感が、従来の茹で麺に比して良いという、優れた特性を有する、新たな包装済み茹で麺が提供される。
本発明の手段の包装済み茹で麺の製造方法および連続処理式の包装済み茹で麺製造機により、包装済み茹で麺の製造装置を清浄度の高いクリーンルーム内に装置したり、製造装置内を清浄空気で陽圧に保持せずとも、茹で麺の微生物汚染による品質低下の懸念が生じない。そして、本発明の手段の包装済み茹で麺の製造方法および連続処理式の包装済み茹で麺製造機により、包装済み茹で麺製造時の水の使用量ならび排水量を、従来の製造方法に比して大幅に削減し、排水処理設備も従来よりも小規模なものにできる。また、特殊な装置を用いず機器の設置が簡便であることから、製造装置内の清浄が容易となり、高度衛生管理を必要とする食品工場などの生産現場における衛生管理に関連する各種の標準作業手順が、より簡便なものとなる。そして、包装済み茹で麺の製造コストが下がり、それと同時に、包装済み茹で麺の製造に伴う環境負荷が大きく減じられる。そしてさらに、上記各手段により、消費者の動向を踏まえた迅速的確な製品開発や製品リニューアルを所望のタイミングで行うことが容易になり、さらには、工場の設営場所や上記製造手段の工場内での設置場所の選択の自由度が高まる。
1 生めんの製麺機構
2 生めんの加熱処理機構
3 包装機構
4 包装済み茹で麺の冷却機構
11 真空ミキサー
12 生地コンベヤ
13 麺帯複合圧延機
14 連続麺帯圧延機
15 圧延切出機
21 外殻
21a 落し口
21b 排出口
21c 排気ダクト
22 ボイル槽部
22a 沸騰水
22b 蒸気
23 チラー水噴出口部
23a チラー水
24 チラー水回収槽部
24a 回収済みチラー水
24b オーバーフロー部
25 pH調整浸漬槽部
25a pH調整水
25c 油添加部
26 ピボッテドバケットコンベヤ
26a ピボッテドバケット
26b コンベヤ
100 連続処理式の包装済み茹で麺製造機

Claims (10)

  1. (i)ボイル槽の沸騰直前の水または沸騰水の中に生めんを投入し、麺を茹でる処理を行う工程、
    (ii)前記の麺を沸騰直前の水または沸騰水から取り出した後、当該麺に1℃〜10℃のチラー水を掛け流して麺表面のぬめりを洗い流す処理を行う工程、
    (iii)前記の麺を50℃〜80℃に保持したpH調製水に浸漬する処理を行う工程、
    (iv)前記の麺の水切り処理を行う工程、
    (v)任意に、前記の麺に油を添加する処理を行う工程、
    (vi)前記の麺を包装容器内に充填して密封し、包装済み茹で麺とする工程、
    (vii)前記の包装済み茹で麺を、麺芯温が6℃〜10℃になるまで冷却する工程、
    とを有し、(i)〜(v)の工程を、ボイル槽由来の温度60℃以上で湿度95%以上の略飽和状態の水蒸気存在下において行うことを特徴とする、包装済み茹で麺の製造方法。
  2. (vii)の冷却する工程が、包装済み茹で麺を室温の空気で冷却して麺芯温を40℃とした後、さらに冷蔵室で冷却し麺芯温を6℃〜10℃とする工程からなることを特徴とする、請求項1に記載の包装済み茹で麺の製造方法。
  3. (vii)の冷却する工程が、包装済み茹で麺に冷水を掛け急速冷却して麺芯温を20℃〜30℃とした後に、さらに冷蔵室で冷却し麺芯温を6℃〜10℃とする工程からなることを特徴とする、請求項1に記載の包装済み茹で麺の製造方法。
  4. 前記生めんが、うどん、そば、中華麺、または、焼きそば麺であることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の包装済み茹で麺の製造方法。
  5. 生めんの製麺機構と、生めんの加熱処理機構と、加熱処理された麺を包装容器に袋詰めする包装機構とからなる、連続処理式の包装済み茹で麺製造機であって、
    前記生めんの加熱処理機構は全体が外殻に覆われており、
    その外殻の内部には、沸騰直前の水または沸騰水により生めんを茹でるためのボイル槽部、1℃〜10℃のチラー水を噴出するチラー水噴出口部、槽内に50℃〜80℃に保持したpH調製水を有するpH調整浸漬槽部と、任意に油添加部を少なくとも順に備え、さらに任意にチラー水噴出口部の下方にチラー水回収槽部と回収済みチラー水をボイル槽部の槽内へ環流させるオーバーフロー部を備えており、
    さらに、麺を区分け搬送するためのピボッテドバケットコンベヤが前記各部を縦断するようにして配されており、
    外殻のボイル槽側の上端部には、ボイル槽内へ生めん製麺機で製麺された生めんを投入する落し口が開口しており、
    外殻の他端部下方には、ピボッテドバケットコンベヤ内を搬送された加熱処理後の麺を包装容器に投入させるための排出口が開口しており、
    ボイル槽部の発生蒸気は外殻内に充満可能であることを特徴とする、
    連続処理式の包装済み茹で麺製造機。
  6. 前記ピボッテドバケットコンベヤの搬送面上には、その搬送方向と交差する仕切り送り板が上方に向けて間隔を空けて複数立ち上げられていることを特徴とする、請求項に記載の連続処理式の包装済み茹で麺製造機。
  7. さらに、包装済み茹で麺の冷却機構を有することを特徴とする、請求項または請求項のいずれか1項に記載の連続処理式の包装済み茹で麺製造機。
  8. 前記包装済み茹で麺の冷却機構が、包装済み茹で麺を空冷及び/又は水冷する機構を有することを特徴とする、請求項に記載の連続処理式の包装済み茹で麺製造機。
  9. 前記生めんの加熱処理機構の外殻上部に開閉可能な排気ダクトを設けたことを特徴とする、請求項〜請求項のいずれか1項に記載の連続処理式の包装済み茹で麺製造機。
  10. 前記生めんが、うどん、そば、中華麺、または、焼きそば麺であることを特徴とする、請求項〜請求項のいずれか1項に記載の連続処理式の包装済み茹で麺製造機。
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