JP6469503B2 - 千切りキャベツの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、千切りキャベツの製造方法に関する。
<背景技術の説明>
近年の食生活の多様化とヘルシー志向を反映し、生野菜をそのまま野菜サラダとした加工品の需要が急増している。これに伴い野菜を繊切り状態に細断したものも市場へ大量に提供されるようになってきている。また、これらの細断野菜を洗浄し衛生的に処理するために種々の装置が提案されている。
例えば、洗浄液を貯留した水槽の中に内部を空胴とした羽根付ドラムを配設し、水槽内で、野菜等の洗浄対象物から分離した浮遊異物を捕捉しながら野菜を洗浄する装置が特許文献1に記載されている。この装置は洗浄液を殺菌水に変更することで殺菌処理装置として転用して使用されている。
また、他の洗浄装置として水を貯留した貯留槽に複数の透孔を底部と側壁に形成したバケットを反転可能にして複数個配列し、バケットを反転させることでバケット内に収納した被洗浄物(食材)を隣接するバケットへ順次受渡していくことにより被洗浄物を洗浄する装置が特許文献2に記載されている。この装置もまた、水を殺菌水に代えることにより、殺菌装置として使用され得るものである。それ故に加工場ではしばしば殺菌用として用いられている。
<特許文献1の説明>
しかしながら、上記特許文献1の装置は、例えば細断(繊切り)野菜の殺菌装置として使用すると、回転する羽根付ドラム部や水槽内のいたる処にすり切れた野菜のコビリつきが発生し、そのものが殺菌不足や過剰殺菌物となって混入するため野菜全体を均等な殺菌品として得ることは困難であった。また、羽根の回転によって野菜に必要以上の物理的ダメージ(損傷)を与え製品価値を落とすものであった。
<特許文献2の説明>
また、特許文献2に記載されている装置は野菜の殺菌用として使用すると、殆どの野菜は殺菌処理されるが、バケット内で殺菌水に浮かぶ野菜の表面が殺菌水から突出し、この部分が殺菌時間の不足品となるため、野菜全体としては殺菌不足品が混入したものとなる。これを避けるため殺菌時間を長くすると、野菜の一部に過剰な殺菌品が生じ、このことにより、保存期間中に変色等の傷みが生じ易くなるという別の問題が生ずることになる。
<特許文献3の説明>
また、上述した特許文献1及び2記載の装置はいずれも大がかりであり、殺菌処理後の装置の洗浄作業等に人手がかかり煩わしいものであったため、特許文献3に、細断した野菜に必要以上のダメージを与えることなく、野菜全体を過不足なく均等に殺菌処理できる取り扱い容易で安価な細断野菜の殺菌処理装置が提案されていた。
<要望される技術>
しかしながら、特許文献1、2同様、特許文献3に記載された装置においても、殺菌液が入った水槽に投入されたカット野菜が、攪拌翼やバブリングによって対流を起こして殺菌される。この際、殺菌液の対流によってカット野菜同士が接触して野菜に傷がつき、野菜から水溶性の栄養成分が流出するという欠点があった。また、前記特許文献3に記載された装置では、野菜1kg当たり20L程度の水と、6〜10分程度の殺菌時間を要する。
特開2003−9833号公報 特許2622094号公報 特開2008−131874号公報
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、殺菌工程におけるカットした野菜へのダメージ、及び、野菜からの水溶性の栄養成分の流出を抑制でき、また、少量の殺菌液でもカットした野菜をまんべんなく殺菌できる千切りキャベツの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の千切りキャベツの製造方法は、(A)キャベツを千切りして千切りキャベツを得るステップと、(B)前記千切りキャベツを殺菌するステップと、を含む千切りキャベツの製造方法であって、前記(A)のステップにおいて、幅が0.2mm〜5.0mmとなるように前記キャベツを千切りし、前記(B)のステップにおいて、前記千切りキャベツに殺菌液を散布することで前記千切りキャベツを殺菌し、前記殺菌液の使用量が、前記千切りキャベツ1kg当たり1.0L〜10.0Lであることを特徴とする。
(2)本発明の千切りキャベツの製造方法は、(1)の構成において、殺菌時間が10秒以上300秒以下であることを特徴とする。
(3)本発明の千切りキャベツの製造方法は、(1)又は(2)の構成において、前記(B)のステップにおいて、前記千切りキャベツを静置した状態で殺菌することを特徴とする。
(4)本発明の千切りキャベツの製造方法は、(1)〜(3)のいずれかの構成において、前記(A)のステップの前に前記キャベツを殺菌するステップをさらに含むことを特徴とする。
(5)本発明の千切りキャベツの製造方法は、(1)〜(4)のいずれかの構成において、前記(B)のステップで殺菌された前記千切りキャベツの一般生菌数が、1×10〜1×10CFU/gであることを特徴とする。
(6)本発明の千切りキャベツの製造方法は、(1)〜(5)のいずれかの構成において、製造から3日後の千切りキャベツに含まれるビタミンCの減少率が、製造直後の千切りキャベツに対して25%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、千切りキャベツを、上述した背景技術のように対流を起こさない状態(静置)で殺菌するので、千切りキャベツへのダメージが少なく、また、噴射(スプレー)によって殺菌液がまんべんなく散布されるので、少量の殺菌液でも効率よく殺菌することができる。また、少量の殺菌液を散布することで千切りキャベツを殺菌できるので、栄養成分の流出を抑えることができる。
以下、千切りキャベツを用意する段階から本発明を詳細に説明する。
<前殺菌処理の説明―1>
まず、千切り前のキャベツに対し、殺菌剤水溶液に接触させて前殺菌処理を行っても良い。この処理の目的は、千切り工程及びその後の殺菌工程からなる後工程に至る前に、十分に殺菌しておくことである。ここで、殺菌の対象となる菌としては、代表的には土壌由来の雑菌であって、キャベツに付着してその鮮度を低下させたりする菌等を挙げることができる。
<前殺菌処理の説明―2>
従って、本工程の殺菌処理では、十分な殺菌効果が得られる種々の殺菌剤を使用する。ここで、十分な殺菌効果が得られる殺菌剤の殺菌力(比較的強い殺菌力)のレベルは、厚生労働省監修の食品衛生検査指針(微生物編、116〜123頁、2004年:発行所:社団法人日本食品衛生協会、発行人;玉木武)に準拠して測定した一般生菌数を指標とすることができる。具体的には、一般生菌数が1×10CFU/g未満である場合を意味する。
<前殺菌処理の説明―3>
このような比較的強い殺菌力を示す殺菌剤としては、次亜塩素酸塩水溶液、次亜塩素酸水、水酸化物、焼成カルシウムなどのアルカリ剤の水溶液や、塩酸等の鉱酸の水溶液、有機酸、有機過酸等の殺菌剤が挙げられる。具体的には、次亜塩素酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、焼成カルシウムおよび塩酸からなる群より選択される少なくとも一種の水溶液を使用することが好ましい。なお、二種以上の殺菌剤水溶液を併用することもできる。このような殺菌剤の中でも、風味の点から次亜塩素酸塩水溶液、特に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を好ましく使用することができる。
<前殺菌処理の説明―4>
前殺菌処理の処理内容は、殺菌剤水溶液と千切り前のキャベツとを接触させることであり、具体的には、殺菌剤水溶液に千切り前のキャベツを浸漬することや、殺菌剤水溶液を千切り前のキャベツにスプレーすること等を挙げることができる。ここで、千切り前のキャベツとしては、芯などの不可食部を取り除いたものを適用することができ、例えば、芯を取り除いたホールキャベツ、それを二等分や四等分にカットしたもの、あるいはホールキャベツから切り離した葉、を適用することもできる。また、前殺菌処理する前に予め水洗しておいてもよい。
<前殺菌処理の説明―5>
前殺菌処理の処理条件は、使用する殺菌剤水溶液の種類、殺菌すべきキャベツの種類や大きさ等に応じて適宜決定することができる。例えば、殺菌剤水溶液として次亜塩素酸塩水溶液、例えば、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使用し、キャベツを浸漬させる場合、次亜塩素酸塩水溶液中の次亜塩素酸塩濃度は、低すぎると殺菌効果が十分でなく、高すぎると植物細胞へのダメージが大きくなりすぎる傾向があるので、好ましくは10〜500ppm、より好ましくは30〜400ppm、特に好ましくは100〜200ppmに設定する。また、次亜塩素酸塩水溶液のpHは、低すぎると植物細胞へのダメージが大きく、高すぎると殺菌効果が不十分となる傾向があるので、好ましくは4〜10、より好ましくは6〜9に設定する。次亜塩素酸塩水溶液に殺菌すべき千切り前のキャベツを浸漬させる際の温度は、低すぎると植物細菌への凍結障害の可能性があり、高すぎると細菌数の増大及び褐変の促進が生じる傾向があるので、好ましくは0〜50℃、より好ましくは0〜15℃である。また、浸漬時間は、短すぎると殺菌効果が不十分であり、長すぎると植物細胞へのダメージが大きくなる傾向があるので、好ましくは1〜20分、より好ましくは2〜10分である。
<殺菌剤水溶液の説明―1>
また、殺菌剤水溶液として水酸化アルカリ水溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液を使用し、キャベツを浸漬させる場合、水酸化アルカリ水溶液中の水酸化アルカリ濃度は、低すぎると殺菌効果が十分でなく、高すぎると植物細胞へのダメージが大きくなりすぎる傾向があるので、好ましくは10〜40000ppm、より好ましくは100〜20000ppm、特に好ましくは100〜10000ppmに設定する。また、水酸化アルカリ水溶液のpHは、低すぎると植物細胞へのダメージが大きく、高すぎると殺菌効果が不十分となる傾向があるので、好ましくは11〜13.5、より好ましくは11〜13に設定する。水酸化アルカリ水溶液に殺菌すべき千切り前のキャベツを浸漬させる際の温度は、低すぎると植物細菌への凍結障害の可能性があり、高すぎると細菌数の増大及び褐変の促進が生じる傾向があるので、好ましくは0〜50℃、より好ましくは0〜15℃である。また、浸漬時間は、短すぎると殺菌効果が不十分であり、長すぎると植物細胞へのダメージが大きくなる傾向があるので、好ましくは1〜20分、より好ましくは2〜10分である。
<殺菌剤水溶液の説明―2>
また、殺菌剤水溶液として焼成カルシウム水溶液を使用し、キャベツを浸漬させる場合、焼成カルシウム水溶液中の焼成カルシウム濃度は、低すぎると殺菌効果が十分でなく、高すぎると植物細胞へのダメージが大きくなりすぎる傾向があるので、好ましくは10〜40000ppm、より好ましくは100〜10000ppm、特に好ましくは100〜1000ppmに設定する。また、焼成カルシウム水溶液のpHは、低すぎると植物細胞へのダメージが大きく、高すぎると殺菌効果が不十分となる傾向があるので、好ましくは11〜13.5、より好ましくは11〜13に設定する。焼成カルシウム水溶液に殺菌すべき千切り前のキャベツを浸漬させる際の温度は、低すぎると植物細菌への凍結障害の可能性があり、高すぎると細菌数の増大及び褐変の促進が生じる傾向があるので、好ましくは0〜50℃、より好ましくは0〜15℃である。また、浸漬時間は、短すぎると殺菌効果が不十分であり、長すぎると植物細胞へのダメージが大きくなる傾向があるので、好ましくは1〜20分、より好ましくは2〜10分である。
<殺菌剤水溶液の説明―3>
また、殺菌剤水溶液として塩酸水溶液を使用し、キャベツを浸漬させる場合、塩酸水溶液中の塩酸濃度は、低すぎると殺菌効果が十分でなく、高すぎると植物細胞へのダメージが大きくなりすぎる傾向があるので、好ましくは10〜40000ppm、より好ましくは10〜10000ppm、特に好ましくは10〜5000ppmに設定する。また、塩酸水溶液のpHは、低すぎると植物細胞へのダメージが大きく、高すぎると殺菌効果が不十分となる傾向があるので、好ましくは2〜5、より好ましくは2〜4に設定する。塩酸水溶液に殺菌すべき千切り前のキャベツを浸漬させる際の温度は、低すぎると植物細菌への凍結障害の可能性があり、高すぎると細菌数の増大及び褐変の促進が生じる傾向があるので、好ましくは0〜50℃、より好ましくは0〜15℃である。また、浸漬時間は、短すぎると殺菌効果が不十分であり、長すぎると植物細胞へのダメージが大きくなる傾向があるので、好ましくは1〜20分、より好ましくは2〜10分である。
<殺菌剤水溶液の説明―4>
また、次亜塩素酸塩水溶液はじめとする上述の殺菌剤水溶液には、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の添加剤、例えば、亜塩素酸ナトリウムを配合してもよい。
<水洗工程の説明>
なお、前殺菌工程で得られた前殺菌処理済みの千切り前のキャベツは、後述の千切り工程に投入する前に、必要に応じて水洗し、更に水切りしてもよい。しかし、本発明に利用するキャベツに、必ずしもこのような洗浄工程を施す必要はなく、必要に応じて行えば良い。
<キャベツの千切りの説明―1>
次に、前殺菌工程で殺菌処理されたキャベツを、例えば、市販のフードスライサーを用いて千切り処理する。この際、キャベツの切断部分に清水を注ぎながら行うと、キャベツの断面と千切りキャベツの切断面とが常に洗浄されるため、千切りキャベツのエグ味を大きく軽減もしくは感じられなくなるようにすることができる。
<キャベツの千切りの説明―2>
本発明において、千切りキャベツの幅を0.2〜5.0mmmにすることが、消費者の需要に応える点、食べやすさの点で好ましい。また、後述する殺菌装置においてもこのような幅を有する千切りキャベツを使用することが効果的である。
<実施形態の説明−1>
以下、上述のように用意した千切りキャベツの殺菌工程について詳細に説明する。
本明細書を通して「殺菌液」又は「殺菌」というのは、汚れをとるための水による洗浄(それを排除するわけではない)よりも、殺菌水又は殺菌水を利用した殺菌を意味する。
<殺菌液の散布工程>
幅が0.2〜5.0mmとなるように千切りしたキャベツを、該千切りキャベツの上方から殺菌液を散布することで殺菌する。
<殺菌液の説明―1>
ここで、散布される殺菌液としては、水道水、次亜塩素酸水、微酸性次亜塩素酸水、オゾン水、有機過酸など挙げることができるが、この段階ではそこまで強い殺菌は求めないという観点から、殺菌液として塩酸水溶液を電気分解した微酸性次亜塩素酸水を使用することが好ましい。なお、水道水には塩素成分が含まれているので、水道水を殺菌液に使用することもできる。
<殺菌液の説明―2>
散布される殺菌液の温度は、10℃以下、好ましくは、2〜5℃である。殺菌液の温度が高すぎると(即ち、10℃を超える温度)千切りキャベツへのダメージが大きく、2℃未満だと熱効率が悪い。この殺菌工程で冷えるので千切りキャベツのもちが良くなるという観点から2〜5℃の温度が好ましい。
<殺菌液の散布>
本発明の一実施形態によれば、殺菌は、例えば、千切りキャベツの上方に設けられたスプレー手段などによって殺菌液を散布することで行うことができる。好ましくは、スプレー手段の先端などに設けられた噴射口より殺菌液を散布する。スプレー手段などによる殺菌液の散布範囲は、噴射口を頂点とするピラミッド状であってもよく、円状に広がるようにしても良い。つまり、千切りキャベツの上方から殺菌液を散布できるものであれば、制限なく用いることができる。また、千切りキャベツをより確実に殺菌すべく、互いに重なる散布領域を有するように複数のスプレー手段を設けても良い。また、本発明の一実施形態によれば、殺菌(即ち、殺菌液の散布)は、千切りキャベツを静置した状態で行える。この時、千切りキャベツを適当な搬送手段上に静置した状態で搬送しながら洗浄することができる。搬送手段にて千切りキャベツを搬送しながら殺菌を行なうことで、殺菌時間の短縮による製造効率の向上が期待できる。また、別の実施形態では、千切りキャベツをカゴ等に入れて(静置)殺菌し、その後搬送する。このときには、千切りキャベツの上方だけでなく、下方・横方などから散布することで殺菌を行う。なお、殺菌液を散布してから、清水を散布して殺菌液を洗い流す工程を更に設けても良い。
<千切りキャベツの厚み>
本発明の一実施形態では、千切りキャベツが少量の殺菌液でもまんべんなく殺菌されるように(即ち、殺菌の効率の観点)、千切りキャベツの厚みを20〜100mm、好ましくは、20〜50mmにするといい。また、このように一定の厚みとなるように、殺菌の前に千切りキャベツをほぐしておくといい。
<殺菌液の平均粒度>
千切りキャベツの上方から散布される殺菌液(水滴)の平均粒径は1mm以下で、好ましくは、0.3mm〜0.7mmである。殺菌液の粒径が大きすぎると(即ち、1mm超)噴霧された殺菌液が奥まで届きにくく、粒径が小さすぎても(即ち、0.3mm未満)殺菌液が広がって所定の殺菌効果が得られにくいという観点から決められたものである。
<殺菌液の使用量>
殺菌液の使用量は、千切りキャベツ1kg当たり1L〜10L、好ましくは2L以上6L以下である。千切りキャベツ1kg当たり20L程度の水を要する従来技術(例えば、特許文献3に記載された技術)に比べると著しく殺菌効率が良い。即ち、少量の殺菌液で効率よく千切りキャベツの殺菌を行うことができる。また、殺菌水の中に千切りキャベツの浸漬処理などを行う従来技術に比べて、水溶性の栄養成分(例えば、ビタミンC)が殺菌液に溶けて流れることが抑制される。
<殺菌時間>
本発明によれば、千切りキャベツの殺菌時間は10秒〜300秒、好ましくは10〜180秒であり、6〜10分程度の殺菌時間を要する従来技術に比べて大幅に殺菌時間を短縮できる。よって、千切りキャベツの製造効率の向上が図られる。
<カット野菜の一般生菌数の閾値の説明>
本発明の方法によって殺菌された千切りキャベツの一般生菌数は1×10〜1×10CFU/gの範囲にあり、食用に適した状態といえる。ここで、一般生菌数は、食品衛生検査指針(2007年)に従い、千切りキャベツから採取した試料液を35℃で48時間培養したときの菌数である。
<殺菌システムの参考例>
以下、本発明の殺菌方法(製造方法)に用いられる千切りキャベツの殺菌システム(参考例)を説明する。千切りキャベツの殺菌システムは、千切りキャベツが供給される投入口と、該千切りキャベツを搬送する搬送手段と、殺菌装置と、殺菌済み千切りキャベツが回収される排出口と、を備える。殺菌の前に千切りキャベツを一定の厚みにする必要がある場合には、殺菌装置より上流側にほぐし手段をさらに設けても良い。搬送手段は、例えば、コンベヤーベルトなど移動機能を備えたものである。投入口から供給され、必要に応じて、ほぐし手段によって一定の厚みにされた千切りキャベツは、搬送手段によって殺菌装置が設けられた領域を通って殺菌される。殺菌装置は、1以上のスプレー手段を備える。搬送手段を傾斜面として形成しても良い。例えば、搬送手段は、投入口に近い上流側が低く、排出口に近い下流側が高くなるように傾斜される。このように構成することで、スプレー手段から散布された殺菌液(使用済み殺菌液)はより低く形成された上流側のほうに(即ち、一方方向に)流れ、千切りキャベツは最後に新しい殺菌液と接触するようになる。なお、いったんスプレー手段の噴射口から散布された殺菌液は再び殺菌のために使用されることはない。このように殺菌された殺菌済み千切りキャベツは排出口で回収される。
以上、殺菌システムの参考例を説明したが、本発明の千切りキャベツの製造方法は上述した殺菌システムを用いる場合に限定されるものではない。どのような装置、手段、システムを使っても同様の工程を実施できれば十分であると理解すべきである。
<実施例>
[実施例1]
千切り前のキャベツ1kgを、200ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液10Lに2分間浸漬して殺菌処理を行った後、1mm幅にカットした。
カットしたキャベツ1kgを金網板の上に20〜100mmの厚さに広げて載せ、有効塩素濃度60ppmの微酸性次亜塩素酸水2L(pH6.5、水温10℃)を、金網板の上下に設置したスプレーから300秒間で散布し殺菌し、次いで清水を金網版の上下に設置したスプレーから300秒間散布した後、遠心水切り機(DT−2S、(株)大栄製作所)を用いて水切り処理(処理条件:700rpm、30秒間)し、本発明の千切りキャベツを得た。
[実施例2]
千切り前のキャベツ1kgを、200ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液10Lに2分間浸漬して殺菌処理を行った後、1mm幅にカットした。
カットしたキャベツ1kgを、毎分5mで動く搬送ベルト上(幅1m)に20〜100mmの厚さに広げて載せ(搬送方向1mあたりに千切りキャベツが1kg)、搬送手段上の長さ2.5mをカバーするスプレーから有効塩素濃度60ppmの微酸性次亜塩素酸水5L(pH6.5、水温10℃)を30秒間で散布し殺菌した後、実施例1と同様の方法で水切り処理をして、本発明の千切りキャベツを得た。
[比較例1]
千切り前のキャベツ1kgを、200ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に2分間浸漬して殺菌処理を行った後、1mm幅にカットした。
カットしたキャベツを、60ppmの微酸性次亜塩素酸水4L(pH6.5、水温10℃)が入った撹拌槽に移して30秒間浸漬撹拌して殺菌し、次いで清水20Lに浸漬した後、実施例1と同様の方法で水切り処理をして、千切りキャベツを得た。
[比較例2](一般的な処理方法)
1mm幅にカットしたキャベツ1kgを、200ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液4L(pH8.5、水温10℃)が入った撹拌槽に移して300秒間浸漬撹拌して殺菌処理を行った。
殺菌処理を行ったキャベツを、水20Lが入った別の撹拌槽に移し、さらに120秒間浸漬撹拌して殺菌し、次いで清水20Lに浸漬した後、実施例1と同様の方法で水切り処理をして、千切りキャベツを得た。
[試験例1]ビタミンC減少率の測定
実施例1〜4の千切りキャベツについて、製造直後及び製造から3日後のビタミンCを測定し減少率を計算した。測定は、破砕した千切りキャベツを用いて、「小型反射式高度計 RQ-flex」(Merck社)を使用してビタミンC量を測定した。
[試験例2]一般生菌数の測定
実施例1〜4の千切りキャベツについて、製造直後及び製造から3日後の一般生菌数を、食品衛生検査指針(厚生労働省)に準拠する試験方法により測定した。
Figure 0006469503
表1より、キャベツをカット後、スプレー用いて殺菌し製造した千切りキャベツ(実施例1、2)は、対流を起こさない状態(静置)で殺菌するため、千切りキャベツへのダメージが少なく、ビタミンCの減少率が25%以下であった。また、スプレーによって殺菌液が千切りキャベツにまんべんなく散布されるため、少量の殺菌液でも効率よく殺菌できた。特に、10秒以上180秒以下で殺菌した千切りキャベツ(実施例2)は、ビタミンCの減少が大幅に抑えられており、殺菌時間の短縮によって製造効率を向上させることができるとともに、栄養価の高い千切りキャベツを提供することができた。
一方、キャベツをカットした後、浸漬撹拌によって殺菌し、製造した千切りキャベツ(比較例1、2)は、殺菌液の対流によって千切りキャベツにダメージが加わり、ビタミンCの減少率が25%超となった。また、千切りキャベツを十分に浸漬するために、実施例1、2と比較して大量の殺菌水が必要であった。
[実施例3]
60ppmの微酸性次亜塩素酸水を5ppmのオゾン水に変更し、散布量を6Lとした以外は実施例1と同様の方法で本発明の千切りキャベツを得た。
得られた千切りキャベツの一般生菌数は1×10以下で十分に殺菌されており、千切りキャベツ中のビタミンC減少率も25%以下となり、栄養価の高い千切りキャベツを製造することができた。
[実施例4]
微酸性次亜塩素酸水の噴霧時間を180間秒とした以外は実施例2と同様の方法で、本発明の千切りキャベツを得た。
得られた千切りキャベツの一般生菌数は1×10以下で十分に殺菌されており、千切りキャベツ中のビタミンC減少率も25%以下となり、栄養価の高い千切りキャベツを製造することができた。

Claims (8)

  1. (A)キャベツを千切りして千切りキャベツを得るステップと、
    (B)前記千切りキャベツを殺菌するステップと、
    を含む千切りキャベツの製造方法であって、
    前記(A)のステップにおいて、幅が0.2mm〜5.0mmとなるように前記キャベツを千切りし、
    前記(B)のステップにおいて、搬送手段にて前記千切りキャベツを搬送しながら殺菌液(ただし、オゾン水を除く)を散布することで前記千切りキャベツを殺菌し、
    前記搬送手段が、投入口に近い上流側が低く、排出口に近い下流側が高くなるように傾斜されており、
    前記殺菌液の使用量が、前記千切りキャベツ1kg当たり1.0L〜10.0Lである、千切りキャベツの製造方法。
  2. 請求項1に記載の千切りキャベツの製造方法において、
    殺菌時間が10秒以上300秒以下である、千切りキャベツの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の千切りキャベツの製造方法において、
    前記(B)のステップにおいて、前記千切りキャベツを静置した状態で殺菌することを特徴とする千切りキャベツの製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の千切りキャベツの製造方法において、
    前記(A)のステップの前に前記キャベツを殺菌するステップをさらに含むことを特徴とする千切りキャベツの製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の千切りキャベツの製造方法において、
    前記(B)のステップで殺菌された前記千切りキャベツの一般生菌数が、1×10〜1×10CFU/gであることを特徴とする千切りキャベツの製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の千切りキャベツの製造方法において、
    製造から3日後の千切りキャベツに含まれるビタミンCの減少率が、製造直後の千切りキャベツに対して25%以下である千切りキャベツの製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の千切りキャベツの製造方法において、
    前記(B)のステップにおいて、殺菌される千切りキャベツの厚みが20mm〜100mmであることを特徴とする千切りキャベツの製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の千切りキャベツの製造方法において、
    前記(B)のステップの前に、前記千切りキャベツの厚みが20mm〜100mmとなるように前記千切りキャベツをほぐす工程を含むことを特徴とする千切りキャベツの製造方法。
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