JP6426362B2 - チルド麺及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明に係るチルド麺には、通常の生麺の製造に使用する原料を使用することができる。麺の主原料粉としては、小麦粉、そば粉、大麦粉及び米粉等の穀粉の他、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ等の各種澱粉、およびそれらをエーテル化、エステル化、酸化、リン酸化等の加工を施した加工澱粉が挙げられ、これらを単独もしくは組み合わせて使用できる。
本発明に係るチルド麺は、麺生地を常法に従って、前記麺原料を混練することによって製造することができる。より具体的には、前記主原料粉に練り水を加え、ついでミキサーを用いて各種材料が均一に混ざるように良く混練して麺生地を作成する。また、ミキサーは、真空ミキサーなどの減圧条件で混錬できるものを使用すると、麺の緻密度が増し、食感が良くなり好ましい。
本発明の表面乾燥工程においては、前記の方法で製造した生麺の表面を素早く気流により乾燥処理する。乾燥方法としては、通常の送風乾燥方法や熱風乾燥方法をとることができ、風速が1〜30m/秒の範囲内のものが適宜使用可能である。また、本発明における乾燥装置としては、通常の乾燥装置が使用でき、例えば、棚式、流動層式、ベルトコンベア式等の乾燥装置が使用できる。このように生麺の表面を素早く乾燥処理することで生麺の表面に乾燥硬化させた膜状組織が形成され、切出し後の生麺線同士の結着や、後述する蒸気加熱殺菌工程での生麺線同士の結着を防止することができ、調理時のほぐれがよくなる。
本発明の包装体密封工程においては、前記表面乾燥工程で表面を乾燥させた生麺を耐熱性のある袋もしくは容器等の包装体に充填し、密封する。上記包装体としては、蒸気加熱殺菌に耐え得る耐熱性を有するものであればすべて使用できる。例えば、ポリプロピレン製の包装体があげられる。
本発明の蒸気加熱殺菌工程においては、前記包装体密封工程において密封された生麺を蒸気加熱殺菌する。殺菌条件としては、麺塊の中心が70℃で10分間相当加熱されるのと同等程度の加熱が加わればよい。具体的には60〜100℃の温度で10〜90分加熱殺菌すればよい。この蒸気加熱殺菌工程においては、病原菌や腐敗菌などの殺菌だけでなく、生麺が部分糊化するため、茹で湯の濁りが抑えられる効果がある。蒸気加熱殺菌の装置としては、スパイラル式や棚式、コンベア式の殺菌庫が挙げられる。また、「生めん」的な食感を得るための好ましい条件としては、60〜80℃の温度で30〜90分程度蒸気加熱殺菌することが好ましい。殺菌温度が80℃を超えると表面が張った蒸し麺的な食感が強くなる。また、60℃を切ると殺菌効率が悪くなり、また殺菌時間も長くなる。また、高温での加熱時間をできるだけ短くする方が「生めん」的な食感を維持しやすく、加熱温度を一定ではなく、何段階かに分けて上げていくことが好ましい。
本発明においては、前記蒸気加熱殺菌工程で殺菌処理した生麺入り包装体を冷却する。冷却方法は特に限定はせず、当業者にとって公知の方法で行えばよい。例えば、スパイラル式やトンネル式の冷却庫があげられる。冷却した生麺入り包装体は、そのまま製品とするか、スープや具材等を添えて別途外包装に密封して製品とすることができる。製造した製品は、ユニットクーラー式冷蔵庫等にて出荷まで保存することができる。
実験1
<乾燥条件の検討(温度)>
(実施例1−1)
中力粉(タンパク質9.2重量%)1000g、グルテン2g、卵白粉末7g、焼成カルシウム5gを粉体混合し、これに食塩15g、かん水5g、クチナシ色素2gを水340mlに溶解した練り水を加え真空ミキサーにて常圧で4分混練後、減圧下で8分混練し麺生地(ドウ)を得た。得られた麺生地を整形、複合して麺帯化し、圧延を繰り返して最終麺帯厚1.50mmの麺帯とした後、切刃16番角で麺線を切り出した。このときの麺線水分は32.9重量%であった。
切り出された麺線を乾燥機にて10℃で風速7m/sにて240秒、乾燥前の麺線の重量に対して1.5重量%減量するまで乾燥する以外は、実施例1−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。
切り出された麺線を乾燥機にて40℃で風速2m/sにて40秒、乾燥前の麺線の重量に対して1.5重量%減量するまで乾燥する以外は、実施例1−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。
切り出された麺線を乾燥機にて70℃で風速3.5m/sにて25秒、乾燥前の麺線の重量に対して1.5重量%減量するまで乾燥する以外は、実施例1−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。
切り出された麺線を乾燥機にて130℃で風速7m/sにて10秒、乾燥前の麺線の重量に対して1.5重量%減量するまで乾燥する以外は、実施例1−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。
中力粉(タンパク質9.2重量%)1000g、グルテン2g、卵白粉末7g、焼成カルシウム5gを粉体混合し、これに食塩15g、かん水5g、クチナシ色素2g、エタノール製剤53g(アルコール51.2重量%、クエン酸ナトリウム0.1重量%、水48.7重量%)、60重量%乳酸ナトリウム15gを水340mlに溶解した練り水を加え、真空ミキサーにて常圧で4分混練後、減圧下で8分混練し麺生地(ドウ)を得た。得られた麺生地を整形、複合して麺帯化し、圧延を繰り返して最終麺帯厚1.50mmの麺帯とした後、切刃16番角で麺線を切り出した。
切り出された麺線を乾燥しない以外は、実施例1−1の方法に従って比較例サンプルを作製した。
乾燥した麺線を蒸気加熱殺菌しない以外は、実施例1−1の方法に従って比較例サンプルを作製した。
<乾燥条件の検討(乾燥度合い)>
(実施例2−1)
切り出された麺線を乾燥機にて20℃で風速7m/sにて20秒、乾燥前の麺線の重量に対して0.5重量%減量するまで乾燥する以外は、実施例1−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。
切り出された麺線を乾燥機にて20℃で風速7m/sにて50秒、乾燥前の麺線の重量に対して1.0重量%減量するまで乾燥する以外は、実施例1−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。
切り出された麺線を乾燥機にて20℃で風速7m/sにて100秒、乾燥前の麺線の重量に対して2.0重量%減量するまで乾燥する以外は、実施例1−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。
切り出された麺線を乾燥機にて20℃で風速7m/sにて130秒、乾燥前の麺線の重量に対して2.5重量%減量するまで乾燥する以外は、実施例1−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。
<蒸気加熱殺菌工程の条件検討>
(実施例3−1)
蒸気加熱殺菌条件を60℃90分とする以外は実施例1−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。
蒸気加熱殺菌条件を70℃50分とする以外は実施例1−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。
蒸気加熱殺菌条件を80℃30分とする以外は実施例1−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。
蒸気加熱殺菌条件を90℃20分とする以外は実施例1−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。
<そばの検討>
(実施例4−1)
そば粉303g、準強力粉697g、グルテン6gを混合し、これに食塩10g、保存製剤5g(グリシン1.4g、無水酢酸ナトリウム3g、食塩0.225g、卵白リゾチーム0.025g、リンゴ酸0.5g)を溶解した練り水を340mlを加え常圧ミキサーで15分混練して麺生地(ドウ)を得た。得られた麺生地を整形、複合して麺帯化し、圧延を繰り返して最終麺帯厚1.50mmの麺帯とした後、切刃20番角で麺線を切り出した。このときの麺線水分は33.0重量%であった。
保存製剤をグリシン1.4g、無水酢酸ナトリウム3gとする以外は実施例4−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。作製したチルド麺サンプルを10℃、20℃で14日間保存し、保存性を確認した。
保存製剤をグリシン1.4gとする以外は実施例4−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。作製したチルド麺サンプルを10℃、20℃で14日間保存し、保存性を確認した。
保存製剤を酢酸ナトリウム3gとする以外は実施例4−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。作製したチルド麺サンプルを10℃、20℃で14日間保存し、保存性を確認した。
そば粉303g、準強力粉697g、グルテン6gを混合し、これに食塩10g、アルコール製剤(アルコール51.2重量%、クエン酸ナトリウム0.1重量%、水48.7重量%)30gを水340mlに溶解した練り水を加え常圧ミキサーで15分混練して麺生地(ドウ)を得た。得られた麺生地を整形、複合して麺帯化し、圧延を繰り返して最終麺帯厚1.50mmの麺帯とした後、切刃20番角で麺線を切り出した。
保存製剤を添加しない以外は、実施例4−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。作製したチルド麺サンプルを10℃、20℃で14日間保存し、保存性を確認した。
蒸気加熱殺菌を行わない以外は、実施例4−1の方法に従ってチルド麺サンプルを作製した。作製したチルド麺サンプルを10℃、20℃で14日間保存し、保存性を確認した。
逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記実施形態には種々の段
階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
Claims (5)
- 打ち粉を使用せずに常法により製造した生麺の表面を気流により乾燥処理する表面乾燥工程と、
前記表面乾燥工程で表面を乾燥させた生麺を包装体に密封する包装体密封工程と、
前記包装体密封工程で包装体に密封された生麺を蒸気加熱殺菌処理する蒸気加熱殺菌工程と、を含むチルド麺の製造方法であって、
前記チルド麺が中華麺であり、
前記表面乾燥工程は、乾燥前の生麺の水分が30〜38重量%であり、表面乾燥処理が乾燥前の生麺の重量に対し0.5〜2.0重量%減量するように、10℃以上160℃以下で2〜240秒間行われ、
前記蒸気加熱殺菌工程は、温度60〜80℃で30〜90分間行われることを特徴とするチルド麺の製造方法。 - 前記表面乾燥工程において、乾燥後の水分が29〜36重量%であることを特徴とする請求項1記載のチルド麺の製造方法。
- 前記表面乾燥工程の温度が10℃以上40℃以下であることを特徴とする請求項1または2記載のチルド麺の製造方法。
- 前記表面乾燥工程の温度が20℃以上30℃以下であることを特徴とする請求項1〜3何れか一項記載のチルド麺の製造方法。
- 打ち粉を使用せずに常法により製造した生麺の表面を気流により乾燥処理する表面乾燥工程と、
前記表面乾燥工程で表面を乾燥させた生麺を包装体に密封する包装体密封工程と、
前記包装体密封工程で包装体に密封された生麺を蒸気加熱殺菌処理する蒸気加熱殺菌工程と、を含むチルド麺の製造方法であって、
前記チルド麺がそばであり、
前記生麺の主原料粉にそば粉を使用し、
前記生麺は、グリシンまたは酢酸ナトリウムの少なくとも1つを含有し、
前記表面乾燥工程は、乾燥前の生麺の水分が30〜38重量%であり、表面乾燥処理が乾燥前の生麺の重量に対し0.5〜2.0重量%減量するように、10℃以上160℃以下で2〜240秒間行われ、
前記蒸気加熱殺菌工程は、温度60〜80℃で30〜90分間行われることを特徴とするチルド麺の製造方法。
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