JP6767386B2 - 熱処理米粉の製造方法及び麺類の製造方法 - Google Patents

熱処理米粉の製造方法及び麺類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、いわゆる乾熱処理を利用した熱処理米粉の製造方法、及び該製造方法によって製造された熱処理米粉を用いた麺類等の食品の製造方法に関する。
近年、小麦によるアレルギー症が問題となり、小麦に代わる材料が要望されている。また、米の消費拡大の観点から、米粉の食品への加工技術が注目され多くの取り組みがなされている。こうした観点等から、小麦粉の代わりに米粉を使用した米粉麺類が提案されている。また、米粉を主原料とした麺類としてビーフンが知られている。米粉麺類の課題の1つとして、製麺性が低いことが挙げられる。即ち、米粉には小麦粉のようにグルテンが含まれていないため粘着力が不足し、小麦粉を原料としたときと同様に製麺しても、生地がつながりにくく、麺線として成形することが困難である。そこで、例えばビーフンの製造においては、米粉に蒸気や湯を加えながら混捏することで、米粉を一部糊化させながら製麺する方法が採用されているが、斯かる方法でも麺線の成形性には改良の余地があり、また食感についても、硬さと粘弾性とのバランスが悪く、ぼそつきやべたつきの多いものとなっていた。
このように、米粉のみを水で捏ねた生地からでは製麺性及び食感の良好な麺類を製造することが困難であることから、製麺に米粉を利用する場合には、米粉のみならず、小麦粉等を併用することが従来行われている。例えば特許文献1には、米粉100%で製造されているビーフンの冷凍耐性を向上し、電子レンジ解凍後数時間経過後においても解凍直後とほぼ同等の食感を保持し得るようにする目的で、タピオカ澱粉を米粉の5〜15重量%用いることが記載されている。
また特許文献2には、米粉麺類の煮崩れ防止及び食感の向上を目的として、原料として用いる米粉に湿熱処理を施すことが記載されており、具体的には、品温120〜150℃の範囲で5〜30分間湿熱処理した米粉を原料とすることが記載されている。特許文献2でいう「湿熱処理」とは、飽和水蒸気、熱水又は過熱蒸気等を熱媒体として高湿度雰囲気例えば湿度70%以上の雰囲気で対象物を加熱する方法であり(特許文献2の〔0009〕)、要は、水分が意図的に添加された環境下で原料米粉を加熱する処理である。
特開2001−186854号公報 特開2013−172674号公報
近年、米粉を用いて製造された食品について、冷蔵又は冷凍耐性を有することが要望されている。即ち例えば、米粉を用いて製造された米粉麺を冷凍状態で長期間保存した後、これを解凍して喫食したときに、モチモチとした粘弾性がありべたつきの少ない良好な食感が得られるものが要望されている。しかし、冷蔵又は冷凍耐性に優れる食品の製造を可能とする米粉は未だ提供されていない。
本発明の課題は、冷蔵又は冷凍耐性に優れる食品の製造方法、及び該食品を製造可能な熱処理米粉の製造方法を提供することに関する。
本発明は、原料米粉を雰囲気温度60〜80℃の水分無添加の環境下に6〜72時間置く工程を有する熱処理米粉の製造方法である。
また本発明は、前記の本発明の製造方法によって製造された熱処理米粉を用いた食品の製造方法である。
本発明によれば、冷蔵又は冷凍耐性に優れる食品、及び該食品を提供可能な熱処理米粉が得られる。即ち例えば、本発明の製造方法によって製造された熱処理米粉を用いて製造された食品の一例である、麺類(米粉麺類)は、製麺性が良好で、しかも冷蔵又は冷凍耐性を有し、加熱調理直後のみならず、加熱調理後に冷蔵又は冷凍保存した後であっても、硬さと粘弾性とのバランスが良く、ぼそつきやべたつきが少なく、食感が良好である。
以下先ず、本発明の熱処理米粉の製造方法について説明する。斯かる製造方法において熱処理対象物である原料米粉としては、食品に利用可能な米粉として市場に流通しているものを特に制限なく用いることができ、例えば、一般的に食用に供される白米を粉砕したものが挙げられる。原料米粉としては通常、加熱等の処理が施されていない未処理の原料米粉を用いるが、α化された原料米粉を用いることもできる。また本発明においては、米粉の原料となる米は特に制限されず、例えば、アミロースの含有量がほぼ0質量%の米であるもち米を用いることやアミロース含量の高いインディカ種うるち米などを用いることも可能であるが、特に麺類(米粉麺類)を製造する場合は、調理後の食感が軟らかすぎず、適度な硬さがより確実に得られるようにする観点から、アミロース含量が15〜25質量%の米が好ましい。アミロース含量15〜25質量%の米としては、ジャポニカ種うるち米を用いることができ、具体的な米品種としては例えば、「あさひの夢」等を挙げることができる。米のアミロース含量は、ヨウ素親和力測定法、ヨウ素呈色比色法、ペーパークロマトグラフィー、ゲルろ過法等により測定することができる。
本発明の熱処理米粉の製造方法は、原料米粉を雰囲気温度60〜80℃の水分無添加の環境下に6〜72時間置く工程を有する。斯かる工程は、原料米粉を熱伝導障壁を介して熱媒体で間接的に加熱するいわゆる乾熱処理である。本発明で実施する原料米粉の乾熱処理には、原料米粉に直接熱風を吹き付けて加熱する処理、原料米粉を電磁波で加熱する処理等の、直接加熱処理は含まれない。原料米粉の乾熱処理において、雰囲気温度が低すぎる又は処理時間が短すぎると、所望の効果が十分に得られないおそれがあり、逆に、雰囲気温度が高すぎる又は処理時間が長すぎると、原料米粉が焦げる等の不都合が生じるおそれがある。原料米粉の乾熱処理において、雰囲気温度は好ましくは65〜75℃であり、処理時間は好ましくは12〜48時間である。
原料米粉の乾熱処理は、例えば、容器内に原料米粉が存在する状態で、原料米粉に水分を加えずに、容器の外から原料米粉を加熱することによって実施することができる。乾熱処理中は、基本的に原料米粉は静置した状態とし、特に原料米粉を攪拌する必要は無いが、乾熱処理中に原料米粉を攪拌しても構わない。乾熱処理で使用する熱媒体(容器を直接加熱する熱媒体)としては、例えば、過熱水蒸気、熱水、熱風等を用いることができる。また、乾熱処理に使用する原料米粉の収容容器は、熱伝導性を有するものであれば良く、また密閉可能でなくても良い。原料米粉の乾熱処理に好適な容器の一例として、水蒸気バリア性の高い密閉可能な容器が挙げられ、具体的には例えば、ポリエチレン等の樹脂製袋が挙げられる。
本発明の製造方法によって製造された熱処理米粉(以下、「特定熱処理米粉」ともいう)は、必要に応じ二次加工して種々の食品用途に用いることができ、例えば、麺類、天ぷら粉ミックス、ベーカリーミックス等の原料として用いることができる。特定熱処理米粉を用いて食品を製造する場合、全原料における特定熱処理米粉の含有量は、食品の用途等に応じて適宜選択すれば良く特に制限されないが、好ましくは15〜100質量%の範囲で調整できる。
以下、特定熱処理米粉を原料として用いた食品の製造方法について、その好ましい一実施態様である麺類(米粉麺類)の製造方法に基づいて説明する。尚、以下の米粉麺類の製造方法に関する説明は、特定熱処理米粉を含有する原料を用いて麺類以外の他の食品を製造する場合にも適宜適用できる。
本実施態様の米粉麺類の製造方法は、特定熱処理米粉を含有する生地原料を用いて調製した生地を押出製麺する工程を有する。生地原料における特定熱処理米粉の含有量は、生地原料の全質量に対して、好ましくは5〜85質量%、さらに好ましくは40〜60質量%である。生地原料における特定熱処理米粉の含有量が少なすぎると、冷蔵又は冷凍耐性の向上といった所望の効果が十分に得られないおそれがあり、特定熱処理米粉を使用する意義に乏しい。また、生地原料における特定熱処理米粉の含有量が多すぎると、製麺性及び食感が著しく低下するおそれがある。
生地原料には、特定熱処理米粉以外の他の穀粉類が含有されていても良い。他の穀粉類としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉等の小麦粉の他、特定熱処理米粉以外の米粉、ライ麦粉、コーンフラワー、大麦粉、そば粉、豆粉、はとむぎ粉、ひえ粉、あわ粉等の穀粉;タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉等の澱粉及びその加工澱粉等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これら特定熱処理米粉以外の他の穀粉類はα化されていても良い。
特に、製麺性、食感の一層の向上の観点から、生地原料には、小麦粉及びグルテンからなる群から選択される1種以上が含有されていることが好ましい。グルテンとしては、この種の麺類に通常用いられる小麦由来のものを特に制限なく用いることができる。小麦粉の含有量は、生地原料の全質量に対して、好ましくは20〜40質量%、グルテンの含有量は、生地原料の全質量に対して、好ましくは5〜15質量%である。生地原料において斯かる成分の含有量が少なすぎるとこれを使用する意義に乏しく、斯かる成分の含有量が多すぎると、相対的に特定熱処理米粉の含有量が低下することになるため好ましくない。
本実施態様の米粉麺類の製造方法で用いる生地原料には、主原料としての原料粉即ち前述した特定熱処理米粉及び小麦粉その他の穀粉類に加えてさらに、副原料を含有させても良い。副原料としては、例えば、大豆蛋白質、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳等の蛋白質素材;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;食物繊維、膨張剤、乳化剤、かんすい、食塩、糖類、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、デキストリン、アルコール、酵素剤等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。副原料の配合量は、生地原料中の原料粉100質量部に対して、通常0〜30質量部程度である。尚、本発明でいう「原料粉」は、生地の調製に用いられる生地原料のうち、常温常圧下で粉体のものであり、具体的には、米粉、小麦粉等の穀粉及び澱粉が含まれるが、油脂、食塩等は含まれない。
本実施態様において生地の調製は、小麦粉を主体とする一般的な麺類の製造方法における生地の調製方法と同様の方法で行うことができ、具体的には、生地原料に好ましくは水温が10℃以上30℃以下の水(練り水)を加えて非加熱で混捏することによって生地を調製できる。米粉を主体とする一般的な乾燥ビーフンの製造方法においては通常、麺線の形成・維持の観点から、生地原料に水温が90℃以上の湯を加えて混捏するか、又は生地原料を加水加熱しながら混捏することによって生地を調製し、生地に含まれる米粉を積極的にα化させるが、本実施態様においては、生地原料に含まれる澱粉が実質的にα化しないよう、生地原料に加える練り水の温度は前記範囲とし、また生地の混捏中に加熱しないことが好ましい。そうすることによって、製造目的物である米粉麺類の品質がさらに向上し得る。生地原料への加水量は特に制限されないが、通常は生地原料中の原料粉100質量部に対して35〜45質量部程度である。生地原料の混捏は、真空ミキサーなどを用いて減圧下で行っても良い。
本実施態様においては、調製した生地に圧力をかけて押出製麺することによって生麺線を得る。生地を生麺線に成形する方法としては、押出製麺以外に、圧延製麺、ロール製麺、押出製麺などの各種製麺法により、生地に圧力をかけて伸ばして麺帯を得、該麺帯を切り出して生麺線を得る方法もあるが、簡便性の観点から、本実施態様においては押出製麺を採用している。押出製麺は、乾パスタ製造用の一軸押出製麺機や二軸押出製麺機等を用いて常法に従って行うことができ、その際、押出製麺機の麺線の押出部に所望の形状の孔を有するダイスを設置して押出し成形することで、その孔に対応した形状の生麺線が得られる。麺線の断面形状は特に限定されず、方形、円形、楕円形、三角形などの何れの形状であっても良い。
本実施態様の製造方法の製造目的物である米粉麺類は、生麺でも乾麺でも良く、生麺とする場合は、前記の如く押出製麺して得られた生麺線が製造目的物であり、乾麺とする場合は、該生麺線は製造中間体であるから、その製造中間体たる生麺線を熱風乾燥等の公知の乾燥方法によって乾燥すれば良い。尚、米粉を主体とする一般的な乾燥ビーフンの製造方法においては通常、麺線の形成・維持の観点から、生麺線を熱湯中に浸漬するが、本実施態様においては斯かる生麺線の浸漬処理は不要である。
本実施態様の米粉麺類の製造方法は、生地を押出製麺して得られた製造中間体たる麺線を加熱調理した後、必要に応じ水洗い、水切りした後、冷蔵又は冷凍する工程を有していても良い。加熱調理に供する麺線(製造中間体)は、生麺でも乾麺でも良い。従来の米粉麺類は、茹で調理した後に冷蔵又は冷凍処理に付して長期間保存すると、茹で調理直後に喫食した場合と比べて、食感が著しく低下するという課題があるが、本実施態様においては主として、特定熱処理米粉を使用することによって斯かる課題を解決しているので、押出製麺によって得られた麺線に対し、加熱調理した後に冷蔵又は冷凍処理に付すことが可能である。そうして得られた調理済み米粉麺類は、低温にして長期保存が可能であり、その低温状態の調理済み米粉麺類を喫食する際には、電子レンジ等で再加熱するだけで良く、簡便に喫食に供することができる。
本実施態様において、麺線(製造中間体)の加熱調理方法は特に限定されないが、例えば、沸騰水中で2〜10分間程度茹で調理又は蒸煮調理する方法、飽和蒸気中で5〜15分間程度蒸熱調理する方法等が挙げられる。また、加熱調理済みの麺線の冷蔵又は冷凍は、この種の麺類に対して通常行われる冷蔵又は冷凍処理に準じて行うことができる。例えば、加熱調理済みの麺線を、必要に応じて所定の分量、例えば、一人分として150〜300gに分けてトレイ等に盛り付けた後、所望により包装し、冷蔵又は冷凍処理に付すのが好ましい。冷凍処理は急速冷凍、緩慢冷凍の何れでも良い。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例により制限されるものではない。
〔実施例1〜5及び比較例1〜3〕
原料米粉として、日の本穀粉株式会社製「ソワ・デュース」(ジャポニカ種うるち米、アミロース含量19.1質量%)を用いた。原料米粉を水蒸気バリア性のある容器に入れて密封し、その容器を常圧下で所定の雰囲気温度下に所定時間静置することで、原料米粉の乾熱処理を行った。より具体的には、原料米粉をポリエチレン製袋に入れて密封し、その袋を、常圧で所定温度に設定された恒温器の庫内に静置して所定時間放置した。こうして得られた熱処理米粉を口径1.0mmの篩に通した。
(調理済み冷凍麺類の製造)
各実施例及び比較例の熱処理米粉を用いて麺類(米粉麺類)を製造した。具体的には、さらに小麦粉(日清製粉株式会社製強力粉「ミリオン」)を用いた下記表1に示す配合の原料粉のみからなる生地原料100質量部に対して、練り水として25℃の水38質量部を加え混練して生地を得、得られた生地を、パスタ製造用の押出製麺機を用いて−600mmHgの減圧条件下で押出し圧100kgf/cm2で麺線に押出し、太さ1.8mmの生麺線を得た。
得られた生麺線を沸騰水で約1分30秒間茹で調理し(茹で歩留まり200%)、湯から取り出して約15℃の水で30秒間水洗いした後、水切りし、−40℃で急速冷凍して、調理済み冷凍麺類を得、これを庫内温度−20℃の冷凍庫に保存した。
〔試験例〕
各実施例及び比較例の調理済み冷凍麺類を、−20℃の冷凍庫に保存開始してから48時間後に取り出し、電子レンジで喫食可能な状態になるまで加熱解凍し、その解凍した調理済み麺類の食感を、10名のパネラーに下記評価基準により評価してもらった。その結果(10名のパネラーの平均点)を下記表1に示す。
(食感の評価基準)
5点:適度な硬さと粘弾性が十分にあり、べたつきがなく、非常に良好。
4点:適度な硬さと粘弾性があり、べたつきが少なく、良好。
3点:ある程度軟らかさと粘弾性があり、べたつきは少なめであり、やや良好。
2点:やや軟らかすぎるか若しくはやや硬すぎ、又はべたつきがあり、不良。
1点:軟らかすぎるか若しくは硬すぎ、又はべたつきが強く、非常に不良。
Figure 0006767386

Claims (2)

  1. 加熱調理後に冷蔵又は冷凍される生麺用の熱処理米粉の製造方法であって、
    原料米粉を雰囲気温度60〜80℃の水分無添加の環境下に6〜72時間置く工程を有し、
    前記原料米粉のアミロース含量が15〜25質量%である、熱処理米粉の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法によって製造された熱処理米粉を用いた、麺類の製造方法であって、
    前記熱処理米粉を用いて製造された生麺線を加熱調理した後、冷蔵又は冷凍する工程を有する、麺類の製造方法
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