JPH10215803A - 新規麺類およびその製造方法 - Google Patents

新規麺類およびその製造方法

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JPH10215803A
JPH10215803A JP9024085A JP2408597A JPH10215803A JP H10215803 A JPH10215803 A JP H10215803A JP 9024085 A JP9024085 A JP 9024085A JP 2408597 A JP2408597 A JP 2408597A JP H10215803 A JPH10215803 A JP H10215803A
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真一 塚本
Shohei Matsuyama
昌平 松山
Yachio Tsuchida
八千雄 土田
Masao Ueda
雅夫 上田
Norikazu Asao
紀和 浅尾
Yoshio Nobuyasu
良夫 延安
Mitsuyuki Tabuchi
満幸 田渕
Nobuyuki Akamatsu
伸行 赤松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 喫食時に熱湯注加や、炊く、煮る等の加熱調
理を行わずに喫食可能な品質を備えた麺類を提供する。 【解決手段】 穀粉を含み/含まず、かつ澱粉および熱
凝固性蛋白素材を含む原料中で製造される麺類であっ
て、原料中の澱粉、熱凝固性蛋白素材および穀粉の合計
乾燥重量の75〜97重量%をリン酸架橋化工澱粉とし、ま
た3〜20重量%を熱凝固性蛋白素材とした麺類とその製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リン酸架橋加工澱
粉を含む原料から製造した麺類ならびに麺状の菓子類と
これらの製造方法に関する。 具体的には、リン酸架橋
化工澱粉を含む原料を用いて製造した、茹で麺、蒸し
麺、チルド麺、冷凍麺、ロングライフ麺、レトルト麺等
の水分含量の高い麺類、もしくは麺形状を有する葛切り
様の菓子類とこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】日本
人の食生活において、喫食頻度の高い夏季用食品とし
て、冷麺、冷や麦、そうめん、ざるうどん、ざるそば等
の冷麺類が挙げられる。 これら冷麺類は、一般に、消
費者が喫食時に一旦麺を加熱調理した後、改めて冷却し
て喫食に供するものが大半である。
【0003】しかしながら、加熱および冷却という2つ
の調理工程を必要とするため、使用者に繁雑感を与える
ものであり、喫食時に加熱調理や熱湯注加による再加熱
(以下、単に『再加熱』と称する)を必要としない麺類
の開発が望まれている。
【0004】ところが、小麦粉を主たる原料として得ら
れた麺は、一般的に、水分含量が高い場合、短期間の内
に麺の老化が進行して、ボソボソした不快な食感の麺に
なってしまう。 この麺の老化は小麦澱粉の老化に起因
するものであることから、特殊な改良澱粉を用いること
で、老化を防止して麺の保存性を高めたり、緩慢な再加
熱条件でも湯戻りの早い麺の開発がされてきた。 とこ
ろが、これら冷麺類は、澱粉の老化の進行を凍結によっ
て実質的に停止できる冷凍麺等を除けば、日配品や、せ
いぜい1週間程度の保存が可能なチルド製品の麺類に限
定されており、優れた耐老化性と長期保存性を有し、か
つ喫食時に再加熱が不要な麺類は未だに実現されていな
い。
【0005】特開昭61−5754号は、再加熱調理を必要と
しない麺、すなわち、「α化度80%以上、膨潤度10以上
のα化小麦澱粉、もしくはこの澱粉に2〜15%の分離蛋
白質を加えて乾燥させて調製した、水で復元可能な即席
麺」を開示している。 この先行技術は、乾燥処理によ
る水分含量の減少によって麺の老化を遅らせることを意
図するものであり、よって、水分含量が多い場合は、通
常のα化澱粉を用いても、経時的に急速に澱粉の老化が
進むことになり、従って水分含量の多い麺には適用でき
ないという問題点がある。
【0006】また、水分含量の高い麺に耐老化性を付与
する技術として、特開昭59− 71658号に、「架橋度0.01
〜 1.0、かつ膨潤度 0.5〜 2.0mlの架橋エーテル化澱粉
を原料粉に添加した麺の製造法」が開示されており、そ
の効果として、麺の耐老化性の向上と茹で延びの抑制が
述べられている。 さらに、特開平6−169714号および
特開平6−181709号には、「加工澱粉(アセチル澱粉、
ヒドロキシプロピル澱粉)および 145メッシュの篩を通
過する所定量の小麦粉を含む主原料と、グルテン、卵白
および天然ガムを副原料に用いたLL麺(ロングライフ
麺)の製造法」が開示されており、この発明によれば、
寒冷期の保存時における解凍・凍結による麺の品質劣化
の防止が図れる旨が述べられている。 しかし、いずれ
の方法によっても、耐老化性の改善は認められるもの
の、長期保存を行った場合でも、加熱処理せずに喫食可
能な麺質とするまでには至っていない。
【0007】さらに、特開平3−143361号には、「原料
中に7〜17%のグルテンが存在し、小麦粉と澱粉の割合
が95:5〜0:100 であり、加工澱粉と架橋加工澱粉の
割合が8:2〜2:8である原料を用いた麺類の製造
法」が開示されている。 この先行技術は、食味の改
善、特に熱湯処理後の麺の食味劣化の改善を目的として
いるものであり、再加熱せずに喫食可能な冷凍麺への適
用に関する発想は全く認識されていない。 また、長期
保存後においても、再加熱せずに喫食できるまでの麺質
には至らないものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これら従
来技術での問題点に鑑みて、加熱調理せずに喫食可能
で、かつ、長期保存でき、しかも長期保存による品質の
劣化がほとんどみられない麺類を実現すべく、麺類の原
料の選定とその配合バランスについて鋭意研究を行い、
再加熱せずに喫食可能な、食味食感の優れた麺類を実現
するに至ったのである。
【0009】すなわち、本発明の要旨とするところは、
穀粉を含み/含まず、かつ澱粉および熱凝固性蛋白素材
を含む原料から製造される麺類において、該原料中の澱
粉、熱凝固性蛋白素材および穀粉の合計乾燥重量の75〜
97重量%をリン酸架橋化工澱粉、また該合計乾燥重量の
3〜20重量%を熱凝固性蛋白素材としたことを特徴とす
る麺類とその製造方法にある。 また、本発明を冷麺類
に適用することで、喫食時に加熱調理せずに喫食するこ
とが可能となる。
【0010】本発明は、麺類、特に冷して食べる麺類
(以下、単に『冷麺類』と称する)において、喫食時に
熱湯注加による湯戻しや、炊く、煮る等の加熱調理(再
加熱)を必要としない麺質を有する冷麺類への適用にお
いて特に有用である。
【0011】本明細書で使用するロングライフ麺(以
下、単に『LL麺』と称する)の語は、茹でた麺および
/または蒸した麺を、酸処理した後に、密封包装した状
態で加熱殺菌された麺であり、かつ常温での長期保存性
が付与された麺を指す。
【0012】なお、本明細書で以下に使用する『主原
料』の語は、リン酸架橋化工澱粉と熱凝固性蛋白素材を
必須的に含み、さらに必要に応じて、通常、麺の原料と
なる各種澱粉、小麦粉等の穀粉およびこれらの混合物を
含んだ原料を指す。 また、食塩、砂糖、増粘剤、アル
カリ剤、色素、栄養補助剤等、通常の麺製造において、
任意に少量添加するものは、『副原料』と称する。
【0013】本発明者らは、各種澱粉、熱凝固性蛋白素
材(グルテン等)、穀粉(小麦粉等)からなる主原料を
用いて製造される麺において、小麦粉等の穀粉を少量添
加に止めるか、あるいは穀粉の使用を取り止め、そし
て、澱粉、特に、リン酸架橋化工澱粉、好ましくはリン
酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉および/またはリン酸架
橋アセチル澱粉(リン酸架橋酢酸エステル化澱粉)を主
原料粉の75〜97重量%、好ましくは80〜97重量%の量に
調整した主原料を用いることで、再加熱せずに喫食可能
な麺質が得られることを知見したのである。 さらに、
本発明に従って、主原料粉中に3〜20重量%、好ましく
は8〜15重量%のグルテン等の熱凝固性蛋白素材を添加
することで、通常の小麦粉から製造される麺と同等以上
の良好な製麺性と食感を有する麺を得ることができる。
【0014】また、本発明によれば、麺の老化を抑制す
るために、麺をLL麺やレトルト麺に加工することで、
常温でも数ヶ月間の保存が可能となり、さらに、数ヶ月
にわたる長期保存の後でも、再加熱せずにそのまま、も
しくは軽く水洗するだけで冷麺として喫食できる。
【0015】さらに、本発明によれば、LL麺やレトル
ト麺の製造工程を利用して、数ヶ月間にわたって保存が
可能な、葛切り様の食品(麺線形状の冷製菓子類)を製
造することも可能である。
【0016】
【発明の実施の態様】以下、本発明を、冷麺類の製造法
に従って詳細に説明する。
【0017】まず、本発明の主原料には、リン酸架橋化
工澱粉、グルテン等の熱凝固性蛋白素材が必須原料とし
て用いられ、また、必要に応じて小麦粉等の穀粉やリン
酸架橋化工澱粉以外の澱粉が配合される。 後出の実施
例にて述べる通り、これら主原料中、リン酸架橋化工澱
粉は、乾燥重量比で、75〜97重量%、好ましくは80〜97
重量%を添加し、そして、熱凝固性蛋白素材は、乾燥重
量比で、3〜20重量%を添加する。 従って、その他の
澱粉や小麦粉等の穀粉をさらに添加する場合、これら追
加原料の量を主原料中、乾燥重量比で、約20重量%以下
に抑える必要がある。 しかし、小麦粉等の穀粉、未化
工の澱粉、あるいは生澱粉をα化して得た澱粉等は老化
が早いために、添加しないか、あるいは可能な限り少量
の添加に止めるべきである。 また、リン酸架橋化工澱
粉としては、リン酸架橋エーテル化澱粉とリン酸架橋エ
ステル化澱粉が使用でき、好ましくは、リン酸架橋ヒド
ロキシプロピル澱粉またはリン酸架橋アセチル澱粉のい
ずれか、もしくは双方を混合して用いる。
【0018】リン酸架橋エーテル化澱粉およびリン酸架
橋エステル化澱粉とは、リン酸基を介して一部の澱粉の
水酸基同士が結合して架橋化し、かつ、前者(リン酸架
橋エーテル化澱粉)の場合には、一部の澱粉の水酸基に
エーテル結合によって、後者(リン酸架橋エステル化澱
粉)の場合にはエステル結合によって、官能基を置換・
付加したものである。 そして、リン酸架橋ヒドロキシ
プロピル澱粉とは、リン酸架橋を有し、一部水酸基をエ
ーテル結合によってヒドロキシプロピル基に置換された
澱粉であり、一方、リン酸架橋アセチル澱粉とは、リン
酸架橋を有し、エステル結合によって一部水酸基をアセ
チル基に置換(酢酸エステル化)した澱粉である。
【0019】本発明に用いるリン酸架橋化工澱粉のエー
テル化/エステル化の化工度としては、化工度が特に低
くない限り、通常市販されているものでも使用できる。
具体的には、置換度(DS)としては、耐老化性の観点か
らすれば高い方が好ましいが、置換度(DS)が高過ぎると
糊状を呈して、取扱性が悪くなるので、具体的にはDS=
0.07前後のもので十分である。 本発明の場合、DS=0.
02〜0.15程度のものが使用でき、好ましくは、DS=0.04
〜0.13のもの、さらに好ましくは、DS=0.06〜0.10のも
のを用いる。
【0020】また、リン酸架橋化工澱粉の架橋度は、特
に高い架橋度は必要とされず、一般的に市販されている
架橋化工澱粉の架橋度でよい。 ただ、架橋度が低すぎ
ると麺線に適度の堅さを付与できず、耐老化性も十分で
ない。 通常、架橋化工澱粉の架橋度は数値化が困難で
あるが、架橋度として 0.003%〜1%の範囲が一般的な
ものと思われる。
【0021】いずれにしても、上掲した条件を概ね満た
すものであれば、市場においてリン酸架橋エーテル化澱
粉、リン酸架橋エステル化澱粉として市販・流通されて
いるものでも、本発明において使用可能である。 この
ような市販のリン酸架橋化工澱粉としては、現在のとこ
ろ、例えば、松谷化学(株)製「ハマユリ(商品
名)」、(株)ホーネンコーポレーション製「TPO-8
(商品名)」および「ATP-37(商品名)」、日澱化学
(株)製「デリカM9(商品名)」等がある。
【0022】なお、麺の耐老化性の改善に着目すれば、
リン酸架橋化工澱粉として、リン酸架橋ヒドロキシプロ
ピル澱粉の添加量を多くする方が有利である。
【0023】また、リン酸架橋化工澱粉であれば、α化
したものを用いることもできる。
【0024】製麺性を考慮した場合、α化澱粉を用いる
ことで、麺線の繋がりを良くすることができ、熱凝固性
蛋白素材の添加量を減らすことができる。 α化澱粉の
量としては、熱凝固性蛋白素材の添加量にもよるが、乾
燥重量比で、主原料中の3〜20重量%、好ましくは5〜
15重量%のα化澱粉を添加することで製麺性を向上させ
ることができる。
【0025】また、本発明のリン酸架橋化工澱粉の由来
原料としては、馬鈴薯、タピオカ、トウモロコシ、小麦
粉、米、豆類、葛等のいずれを原料とすることも可能で
あり、異なる種に由来する澱粉を混合したものを用いる
ことも可能である。 なお、麺の製造を目的とする場
合、食感の点でタピオカ由来のものが最も優れており、
次いで馬鈴薯等の根茎系由来の澱粉が好ましい。
【0026】本発明では、製麺性、食感等を調整するた
めに熱凝固性蛋白素材を添加する。本明細書でいう『熱
凝固性蛋白素材』とは、グルテン(グルテン分画物のグ
ルテニンまたはグリアジンの単独または混合使用を含
む)、卵白、乳清タンパク、大豆タンパク等の加熱によ
ってゲル化する食品用蛋白素材を指す。 これら蛋白素
材を添加しないと、麺帯を切り刃で麺線状に切り出すこ
とは困難になり、また麺線を得たとしても、蒸し工程又
は茹で工程、あるいはLL麺やレトルト麺製造における
殺菌工程で麺線が麺の形状を維持できずにダンゴ状にな
る。 熱凝固性蛋白素材の添加量は、主原料中、乾燥重
量として、3〜20重量%、好ましくは8〜15重量%とす
る。 グルテン、卵白、乳清タンパクは、それぞれ添加
した場合に食感に微妙な違いがあるが、グルテンにより
得られる食感が麺類としては一番好ましい。 製麺性に
対する効果はそれぞれほぼ同様であるため、これら素材
を同程度の量だけ添加できる。 さらに、これら熱凝固
性蛋白素材を複数種混合して用いることで、食感を調整
することもできる。
【0027】その他、主原料として必要に応じて使用で
きる原料として、前述したように、リン酸架橋化工澱粉
以外の澱粉、小麦粉等の穀粉がある。 これらの最大添
加量は、前述した理由から、主原料中、乾燥重量比で、
約20重量%以下、特に、再加熱を必要としない冷麺類を
得る場合は、小麦粉等の穀粉や、生澱粉、未化工のα化
澱粉は添加しないか、添加するとしても10重量%以下の
添加量とすることが望ましい。
【0028】澱粉としてはこの他、化工澱粉、すなわ
ち、官能基を付加したエーテル化澱粉、エステル化澱
粉、架橋澱粉の他、酵素処理澱粉、そして、これら澱粉
のα化澱粉等が使用可能である。 また、穀粉としては
小麦粉の他、そば粉、米粉等が使用可能である。 エー
テル化澱粉、エステル化澱粉等の化工澱粉の場合、約20
重量%程度までの添加であれば、相応の耐老化性を有す
る麺質が得られる。
【0029】主原料に対して、副原料を必要に応じて添
加する。 副原料としては、増粘剤、食塩、砂糖、アル
カリ剤、色素、栄養補助剤等が使用可能である。 増粘
剤としては、アルギン酸、キサンタンガム、ローカスト
ビーンガム、カラギナン等多くの種類の増粘剤の添加が
可能で、目的の麺質に合わせて適宜選択できる。 砂糖
は、一般に麺類には添加されないが、葛切り様の菓子な
ど、甘味を伴う食品を本発明に従って得ようとする場合
には、必要量を用いる。
【0030】主原料と副原料を含む原料を水と混練する
場合、添加する水の量は主原料粉の重量に対して30〜60
重量%程度、好ましくは、小麦粉から製造される通常の
麺より、やや水分含量を高くする。 なお、副原料の添
加方法としては粉体で主原料に添加しても、水に溶解し
て練り水として添加しても良い。
【0031】混練して得られた混練物を圧延して麺帯と
した後、切り出して、または押し出し等によって麺線と
する。 次いで、該麺線を蒸煮または茹でてα化する。
蒸煮または茹でる時間は、使用原料の組成、麺線の太
さ等によって異なるが、通常の小麦粉を主体とする麺の
蒸煮または茹で時間よりも一般に短くする。 これは小
麦粉等に比べて、澱粉のα化が早いことによる。 しか
しながら、小麦粉主体の一般的な麺類よりも、澱粉のα
化度が高くなるように麺線を蒸煮または茹で、水分含量
が高くなるように時間設定するのが良い。 具体的に
は、茹でた後の麺線の水分含量は、好ましくは60〜80%
程度、一方、蒸した後の麺線の水分含量は、好ましくは
35〜50%程度とする。
【0032】蒸し麺、茹で麺の場合には、蒸煮または茹
でた後に、袋や容器で麺を包装して販売するが、腐敗が
発生するまでの数日間は、再加熱を必要としない麺質を
維持でき、そのまま、あるいは麺線を水で洗いほぐすだ
けで喫食できる。
【0033】一方、チルド麺の場合には、容器や袋に麺
を包装した後、冷蔵温度において流通保存されるため、
前記の蒸し麺、茹で麺と比べて腐敗が発生するまでの期
間が長くなり、2〜3週間程度の流通が可能である。
ただし、この場合でも喫食時に再加熱しなくとも、喫食
できる麺質が維持され、再現される。
【0034】蒸し麺、茹で麺、チルド麺の場合、日配品
程度のものであれば再加熱を必要としない商品も一部で
流通しているが、これら従来の商品は麺線の老化が早い
ことから、できるだけ早く食する必要がある。 この
点、本発明によれば、保存期間は延長され、かつ保存期
間内であれば、麺質/食味の劣化はほとんど認められな
い。
【0035】また、冷凍麺の場合は、茹でまたは蒸した
麺を包装後冷凍するか、もしくは冷凍後包装して商品と
する。 小麦粉を主体とする麺では、茹で上げ時の品質
を維持するために、茹で上げ後できるだけ早く冷凍する
必要があったが、本発明品の場合、麺線の老化がほとん
ど進行しないので、茹で上げ直後に急凍する必要はな
く、冷凍処理が容易である点で有利である。
【0036】麺形状の葛切り様の冷製菓子類も、茹で
麺、蒸し麺、チルド麺、冷凍麺と同様の一連の処理工程
を用いることで製造でき、これについても同様の食品的
効果が期待される。
【0037】LL麺の場合、麺線を茹でおよび/または
蒸した後に、または茹でと同時に、酸液で麺線を処理し
て麺線pHを酸性とする。 酸液は、乳酸、酢酸、クエン
酸等の有機酸の水溶液が好ましく、酸処理後の麺線pHを
6以下、好ましくは4.5 以下とする。 酸処理方法とし
ては、α化時の茹で液槽や別途用意した酸液処理槽にて
麺線を酸処理液に浸漬する方法、または、麺線に酸処理
液を噴霧、塗布等して付着させる方法が好ましい。 酸
処理した麺線は、パウチ等の密封容器に密封包装し、加
熱処理を行うが、麺線のほぐれを良くするために白絞油
等の油脂や、各種ほぐれ改良剤を添加しておくのが望ま
しい。 加熱条件は、麺重量、容器内の含気率等によっ
て異なるが、包装容器の外気温度として95℃で約20分、
110℃で約10分程度の条件が必要とされる。 加熱条件
を通常より強く/高くすれば、酸処理条件をやや弱く/
緩くすることができる。
【0038】さらに、レトルト麺の場合、茹でおよび/
または蒸しを行った後に、パウチ等の密封容器に麺線を
封入し、加圧加熱殺菌を行う。 殺菌条件は通常、被加
熱物温度として 120℃、4分以上の加熱処理を行う。
レトルト麺もLL麺と同様の理由で、ほぐれ剤を添加す
るのが望ましい。
【0039】LL麺およびレトルト麺の場合、常温で6
ヶ月程度は容易に保存できる。 本発明のLL麺および
レトルト麺の場合、6ヶ月程度保存した場合において
も、密封した容器から麺を取り出して、麺を再加熱せず
にそのまま、あるいは麺線を水洗いする(ほぐす)だけ
で、美味しく食することができる。
【0040】麺形状の葛切り様の冷製菓子類の場合、L
L麺およびレトルト麺と同様の製造工程によって製造で
き、LL麺およびレトルト麺と同等の性質を付与するこ
とができる。
【0041】
【実施例】以下に、本発明を実施例に沿って詳述する
が、本発明がこれら実施例の開示に基づいて限定的に解
釈されるべきでないことは勿論である。
【0042】実施例1:澱粉の検討 様々な澱粉を用いてLL麺を製造し、澱粉について検討
を行った。
【0043】下記表1に記載の原料粉(澱粉または小麦
粉 800g)に、α化リン酸架橋アセチル化澱粉(馬鈴薯
由来/DS=0.06)100gとグルテン 100gを加えたものを
主原料(計1000g)とし、食塩20g、かんすい3g、紅
花色素1gからなる副原料を水 450mlに溶かして練り水
とし、これを主原料に添加して、ミキサーで約15分間混
練して麺生地を調製した。
【0044】この麺生地を整形し、圧延ロールによって
麺帯厚を 1.5mmに調整し、角刃20番によって切り出して
麺線とした。 この麺線1食分(100g)を、熱湯で20秒
間茹で、水洗冷却した後、1.5 %乳酸水溶液に45秒間浸
漬して麺線pHを約4とした。次いで、酸処理した麺線1
食分につき油脂5mlを添加して14×16cmのパウチ(中
袋)に密封し、蒸気殺菌庫で、庫内温度97℃で、40分間
加熱殺菌した。
【0045】加熱殺菌した麺を、パウチに密封したまま
冷却し、パウチを封切りして、麺を取り出して試食し、
食感を確認した。 その他のサンプルは、パウチを切ら
ずに密封したまま、10℃で、それぞれ2週間および4週
間保存した後に、パウチを封切りして、麺を冷水で洗い
ながら箸で軽くほぐし、水切りして試食し、麺線のほぐ
れ、耐老化性について評価した。
【0046】その結果を、以下の表1に示した。
【0047】
【表1】
【0048】上記表1に記載の結果から、主原料の90重
量%に相当するリン酸架橋化工澱粉を使用した(α化リ
ン酸架橋アセチル化澱粉を10重量%含む)麺についての
み、全ての評価項目において優れた結果が得られた。
【0049】実施例2:リン酸架橋化工澱粉の検討 リン酸架橋化工澱粉の他にアセチル化澱粉を主原料に添
加し、主原料中のリン酸架橋化工澱粉の必要量について
検討した。
【0050】主原料としてリン酸架橋アセチル化澱粉
(タピオカ由来/DS=0.07) に、比較的耐老化性の良い
アセチル化澱粉(タピオカ由来/DS=0.06) を添加し、
さらにα化リン酸架橋アセチル澱粉 100g(馬鈴薯由来
/DS=0.07) とグルテン 100gを加えて主原料粉とした
(計1000g)。 食塩10g、炭酸ナトリウム3g、紅花
色素1gからなる副原料を水 440mlに溶解して練り水と
し、これを主原料に添加して、ミキサーで約15分間混練
して麺生地を調製した。 この麺生地を整形し、圧延ロ
ールによって麺帯厚を1.45mmに調整し、角刃20番によっ
て切り出して麺線とした。 この麺線1食分 100gを、
熱湯で20秒間茹で、水洗冷却した後、1.5%乳酸水溶液
に40秒間浸漬して麺線pHを約4とした。 次いで、酸処
理した麺線1食分につき油脂5mlを添加して14×16cmの
パウチに密封し、蒸気殺菌庫で庫内温度97℃で40分間加
熱殺菌した。 加熱殺菌した麺を、パウチに密封したま
ま冷却し、パウチを切って取り出して試食し、食感を確
認した。 その他のサンプルは、パウチを切らずに密封
のまま、5℃で、2週間保存した後、パウチを切り、麺
を冷水で洗いながら箸で軽くほぐし、水切りして試食
し、耐老化性について評価した。
【0051】なお、本実施例中の主原料の配合を、α化
リン酸架橋アセチル化澱粉の代わりに馬鈴薯由来のα化
生澱粉 200gとし、これにリン酸架橋アセチル化澱粉を
700g、さらにグルテン 100gを加えた主原料を同時に
調製して製麺を行い、同様に評価した。
【0052】その結果を、以下の表2に示した。
【0053】
【表2】
【0054】上記表2の結果の通り、リン酸架橋アセチ
ル化澱粉 650g以上、すなわち主原料中リン酸架橋化工
澱粉が75重量%(α化リン酸架橋アセチル化澱粉添加分
100gを含む)以上使用した麺において、好ましい製麺
性、耐老化性が認められた。特に、リン酸架橋アセチル
化澱粉 700g以上、すなわち、主原料中リン酸架橋化工
澱粉が重量比で80%以上添加することで、ほぼ満足でき
る食感、製麺性、耐老化性が得られた。
【0055】一方、α化澱粉をリン酸架橋化していない
通常の生澱粉とし、主原料中、20重量%用いた場合、耐
老化性の極めて悪い麺しか得られなかった。
【0056】実施例3:蛋白素材の検討 グルテンの代用物としての他の蛋白素材とその配合量を
について検討した。
【0057】(1) 蛋白素材使用量の下限 リン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉(タピオカ由来、DS
=0.10)870gに、α化リン酸架橋アセチル化澱粉(馬鈴
薯由来、DS=0.06) 100 gとグルテン、卵白粉末、乳清
蛋白抹あるいはグリアジン(グルテン分画物)のいずれ
かの30gを添加し主原料とした(主原料1000gに対して
熱凝固性蛋白素材を3重量%添加)。
【0058】これに、さらにキサンタンガム20gを添加
して粉体混合し、食塩10gを溶かした練り水 500mlを加
え、ミキサーで約15分間混練し、麺生地を調製した。
この麺生地を整形し、圧延ロールによって麺帯厚を2.4m
m に調整し、角刃10番によって切り出して麺線とした。
【0059】この麺線 100g(1食分)を、熱湯で4分
間茹で、水洗冷却して水切りした後、1.5 %乳酸水溶液
に40秒間浸漬して麺線pHを約4とした。 次いで、酸処
理した麺線1食分に油脂3mlを添加して14×16cmのパウ
チに密封し、蒸気殺菌庫で庫内温度97℃で40分間加熱殺
菌した。 加熱殺菌した麺を、パウチに密封したまま冷
却し、5℃の低温で2週間保管後、パウチを切り、箸で
軽くほぐしながら水洗し、試食した。
【0060】製麺はいずれの熱凝固性蛋白を用いても可
能であったが、ロールや切り刃に生地が付着する傾向
と、加熱殺菌後の麺のほぐれが悪くなる傾向が認められ
たことから、α化澱粉の添加や増粘類の添加等によって
製麺性を改良する場合、これらの熱凝固性蛋白素材の添
加量は少なくとも3重量%必要であると思われた。 な
お、2週間後の試食時の食感については、いずれの麺類
も耐老化性を感じなかったが、グルテンまたはグリアジ
ンを使用した麺類が、食感に関して、最も好ましい評価
を得た。
【0061】本実施例においてグルテン等の熱凝固性蛋
白を用いないで製麺を試みたが、圧延、切り出しによる
製麺は極めて困難であった。 そこで、ダイス孔径 1.5
mmのパスタマシンを使用して、押し出しによって麺線と
してみたが、パウチ封入後の加熱殺菌時に麺線が麺の形
状を維持できずにダンゴ状となり、商品価値はすでに喪
失していた。
【0062】(2) 蛋白素材使用量の上限 リン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉(タピオカ由来、DS
=0.10)800gに、グルテンを 200g添加した(主原料10
00gの20重量%)。 これに、食塩20g、炭酸ナトリウ
ム3gおよび紅花色素1gを溶かした練り水480ml を加
え、ミキサーで15分間混練し、麺生地を調製した。 こ
の麺生地を整形し、圧延ロールによって麺帯厚を1.5mm
に調整し、角刃22番によって切り出して麺線とした。
【0063】この麺線 100g(1食分)を、熱湯で20秒
間茹で、水洗冷却して水切りした後、 1.5%乳酸水溶液
に30秒間浸漬して、麺線pHを約4とした。 次いで、酸
処理した麺線1食分につき油脂3mlを添加して14×16cm
のパウチに密封し、蒸気殺菌庫で、庫内温度97℃で、40
分間加熱殺菌した。 加熱殺菌した麺を、パウチに密封
したまま冷却し、5℃の低温で2週間保管後、パウチを
切り、箸で軽くほぐしながら水洗し、水切りして試食し
た。 製麺性は良く、耐老化性も悪くなかったが、麺線
が堅く、硬化感が認められた。 従って、グルテンの添
加量が20重量%以上になると、麺の食感の低下を招き、
好ましくないと考えられた。
【0064】実施例4 本発明に従って、以下の各種麺を製造した。
【0065】(1) 冷凍麺〔中華冷麺タイプ〕 リン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉 790g(タピオカ由
来/DS=0.10) 、α化リン酸架橋アセチル化澱粉90g
(馬鈴薯由来/DS=0.06) 、グルテンを90gおよび卵白
粉20gを添加して主原料とし、これに、食塩10g、かん
すい1g、紅花色素1gを 450mlの水に溶解した練り水
を混合して、15分間ミキサーで混練し麺生地を調製し
た。
【0066】得られた麺生地を圧延ロールで麺帯圧1.45
mmに圧延し、角刃22番で切り出し、約 100gにカットし
た。 次いで、得られた麺線を40秒間茹でた後すぐに、
水洗冷却した。 水切りした後、袋に密封して−20℃の
冷蔵庫に入れて緩慢凍結した。
【0067】1ヶ月保存後、麺を袋から取り出し、ボー
ルに入れて流水解凍しながらほぐして、中華冷麺のつゆ
に浸けて試食したところ、凍結前の食感に匹敵する良好
な食感の美味しい麺であった。
【0068】他方、小麦粉のみを用いて常法に従って製
造した中華麺を、同様に凍結、保存、解凍して試食した
ところ、凍結前の食感に比べてボソボソとした老化した
麺となっていた。
【0069】(2) LL麺〔うどんタイプ〕 リン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉 790g(タピオカ由
来/DS=0.10) 、α化リン酸架橋アセチル化澱粉90g
(馬鈴薯由来/DS=0.06) 、グルテン90gおよび卵白粉
末30gを添加して主原料とし、これに、ローカストビー
ンガム10gを添加して粉体混合した。 この粉体混合物
を、食塩10g、ポリリン酸ナトリウム4gを水に溶解し
た練り水 425mlと共に、15分間ミキサーで混練した。
【0070】得られた麺生地を圧延ロールで2.2mm の麺
帯厚に圧延し、角刃12番で切り出し、一食分約 100gに
カットした。 次いで、得られた麺線を4分30秒間茹で
た後、約2分間水で冷やした。 そして、この麺線を、
1.5%乳酸水溶液に約50秒間浸漬し、麺線pHを約4とし
た。 次いで、麺線を14×16cmのパウチに入れ、白絞油
5gを添加して、含気率をできるだけ小さくして包装、
密封した。 さらに、これを蒸気殺菌庫に入れ、庫内温
度97℃で、40分間加熱処理した。 その後、低温(10
℃)で4週間保存した。 保存後、パウチから麺を取り
出し、即席麺用粉末スープを溶かした熱湯 450mlに入
れ、食したところ、小麦粉を主原料とする通常のLLう
どんに比して、麺質、食感共に遜色のない麺が得られ
た。 特に、麺のつるみ感や、透明感においては通常の
LLうどんより優れていた。
【0071】(3) LL麺〔そうめんタイプ〕 リン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉 790g(タピオカ由
来/DS=0.10) とα化リン酸架橋アセチル澱粉90g(馬
鈴薯由来/DS=0.06) 、これにグルテンを90gと卵白粉
30gを添加して主原料とし、この主原料にキサンタンン
ガム15gをさらに添加して粉体混合した。 この粉体混
合物に、食塩20gを水に溶解して 480mlの練り水とし、
さらに、綿実油10gを添加して、15分間ミキサーで混練
した。
【0072】得られた麺生地を圧延ロールで1.0mm の麺
帯厚に圧延し、丸刃26番で切り出し、一食分約100 gに
カットした。 次いで、得られた麺線を10秒間熱湯で茹
でた後すぐに、約30秒間水で冷やした。 この麺線を
1.5%乳酸溶液に約30秒浸漬し、麺線pHを約4とした。
次いで、麺線を14×16cmのパウチに入れ、白絞油5g
を添加して、含気率をできるだけ少なくして包装、密封
した。 さらに、これを蒸気殺菌庫に入れ、庫内温度90
℃で、60分間加熱処理した。 その後、低温(10℃)
で、4週間保存した。
【0073】保存後、パウチ入りの麺を取り出し、冷水
で約1分間ほぐしたのち、水切りを行い、素麺のたれに
浸けて食したところ、こし、つるみもあり、老化してい
ない麺を得ることができた。 なお、製麺性は非常に良
く、麺のほぐれも良好であった。
【0074】(4) LL麺〔冷製菓子タイプ〕 リン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉 850g(タピオカ由
来/DS=0.10) 、α化リン酸架橋アセチル澱粉 100g
(馬鈴薯由来/DS=0.06) およびグルテン50gを添加し
て主原料とし、この主原料にキサンタンンガム5gを添
加して粉体混合した。 この混合物に、グラニュー糖 2
00g、食塩2gおよび炭酸ナトリウム1gを水に溶解し
て 520mlの練り水とし、ミキサーで15分間、該混合物と
共に混合、混練した。
【0075】得られた混練物をロールで 1.7mm厚の麺帯
に圧延加工し、角刃10番で切り出し、一食分約100 gに
カットした。 次いで、得られた麺線を20秒間熱湯で茹
でた後すぐに、水洗冷却した。 得られた麺を、1.3 %
乳酸溶液に約45秒浸漬し、麺線pHを約4とした。 次い
で、麺線をパウチに入れ、5%アラビアガム水溶液40ml
を添加して、含気率をできるだけ少なくして包装、密封
した。 さらに、これを、蒸気殺菌庫に入れ、庫内温度
97℃で、40分間加熱処理した。 その後低温(5℃)
で、4週間保存した。
【0076】保存後、パウチ入りの麺を取り出し、その
ままほぐした後、餡をかけて食したところ、つるみのあ
る美味しい菓子として食することができた。
【0077】(5) レトルト麺〔ざるうどんタイプ〕 リン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉 750g(タピオカ由
来/DS=0.10) 、α化リン酸架橋アセチル澱粉 100g
(馬鈴薯由来/DS=0.06) 、グルテン 100gおよび卵白
粉40gを添加して主原料とし、この主原料にキサンタン
ンガム10gを添加して粉体混合した。 この粉体混合物
に、食塩10gを水に溶解して 460mlにメスアップして練
り水とし、前出の粉体混合物と共にミキサーで15分間混
練し、麺生地を調製した。 得られた麺生地を、圧延ロ
ールで 2.6mmの麺帯厚に圧延し、角刃10番で切り出し、
一食分約100 gにカットした。
【0078】次いで、得られた麺線を6分間茹でた後す
ぐに、水洗冷却し水切りし、0.7 %乳酸溶液に約30秒浸
漬し、麺線pHを5.5 とした。 次いで、麺線を14×16cm
のパウチに油脂5mlを添加して入れ、含気率をできるだ
け少なくして包装、密封した。 さらに、このパウチ
を、レトルト殺菌庫に入れて、庫内温度 125℃、庫内圧
力2.4kg/cm2 、F値16.8で加熱殺菌した。 冷却後、低
温(5℃)で、2週間保存し、保存後、パウチ入りの麺
を取り出し、箸でほぐしながら冷水でさっと水洗いし、
試食したところ、麺のほぐれ、食感、耐老化性に優れた
麺とすることができた。
【0079】
【発明の効果】本発明によれば、喫食時に熱湯注加や、
炊く、煮る等の加熱調理を行う必要のない、極めて高い
耐老化性を備えた簡便な麺類が提供される。 特に、本
発明の麺類は、熱源のない場所でも、そのまま、もしく
は水でほぐすだけで喫食できるので、冷麺として提供す
る場合、調理の簡便性が際立つのみならず、携帯用にも
便利である。 また、本発明の方法は、従来の製麺方法
にも適用することができる。
【0080】特に、本発明の麺類を、LL麺、レトルト
麺として製造すれば、常温で6ヶ月程度の長期保存が可
能となるばかりでなく、保存の間に麺質の劣化がほとん
どないため、長期保存した後でも、そのまま、もしくは
水で洗ってほぐすだけで喫食できる。
【0081】また、本発明による麺類は、耐老化性が極
めて高いので、麺の保存性が総じて改善される。 さら
に、本発明の方法によれば、麺線の透明感が増し、麺線
のつるみ感も向上する。 特に、冷凍麺の場合、氷温で
の麺線の劣化の問題から、茹で上げ後できるだけ早く凍
結する必要があったが、本発明によれば、かような急速
凍結の処理が不要となるメリットが生じるなど、様々な
作用効果を奏するのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 雅夫 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号 日清食品株式会社内 (72)発明者 浅尾 紀和 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号 日清食品株式会社内 (72)発明者 延安 良夫 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号 日清食品株式会社内 (72)発明者 田渕 満幸 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号 日清食品株式会社内 (72)発明者 赤松 伸行 大阪府大阪市淀川区西中島4丁目1番1号 日清食品株式会社内

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 穀粉を含み/含まず、かつ澱粉および熱
    凝固性蛋白素材を含む原料から製造される麺類であっ
    て、 前記原料中の澱粉、熱凝固性蛋白素材および穀粉の合計
    乾燥重量の75〜97重量%がリン酸架橋化工澱粉であり、
    また3〜20重量%が熱凝固性蛋白素材である、 ことを特徴とする麺類。
  2. 【請求項2】 前記リン酸架橋化工澱粉が、前記合計乾
    燥重量の80〜97重量%を占める請求項1に記載の麺類。
  3. 【請求項3】 前記熱凝固性蛋白素材が、前記合計乾燥
    重量の8〜15重量%を占める請求項1もしくは2に記載
    の麺類。
  4. 【請求項4】 前記リン酸架橋化工澱粉が、リン酸架橋
    ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋アセチル澱粉、お
    よびこれらの組み合わせからなるグループから選択され
    た澱粉である請求項1乃至3のいずれかに記載の麺類。
  5. 【請求項5】 前記リン酸架橋化工澱粉が、0.02〜0.15
    の置換度(DS)を有する澱粉である請求項1乃至4のいず
    れかに記載の麺類。
  6. 【請求項6】 前記リン酸架橋化工澱粉が、0.06〜0.10
    の置換度(DS)を有する澱粉である請求項1乃至4のいず
    れかに記載の麺類。
  7. 【請求項7】 前記熱凝固性蛋白素材が、グルテン、卵
    白、乳清タンパク、およびこれらの組み合わせからなる
    グループから選択された蛋白素材である請求項1乃至6
    のいずれかに記載の麺類。
  8. 【請求項8】 前記麺類が、ロングライフ麺(LL麺)
    である請求項1乃至7のいずれかに記載の麺類。
  9. 【請求項9】 前記麺類が、冷麺類である請求項1乃至
    8のいずれかに記載の麺類。
  10. 【請求項10】 前記冷麺類が、喫食時に熱湯注加また
    は加熱調理せずに喫食できる麺類である請求項9に記載
    の麺類。
  11. 【請求項11】 穀粉を含み/含まず、かつ澱粉および
    熱凝固性蛋白素材を含む原料から製造される菓子類であ
    って、 前記原料中の澱粉、熱凝固性蛋白素材および穀粉の合計
    乾燥重量の75〜97重量%がリン酸架橋化工澱粉であり、
    また3〜20重量%が熱凝固性蛋白素材である、 ことを特徴とする菓子類。
  12. 【請求項12】 前記菓子類が、麺線形状の冷製菓子類
    である請求項11に記載の菓子類。
  13. 【請求項13】 麺類の製造方法であって、以下の工
    程、すなわち; (a) 穀粉を含み/含まず、かつ澱粉および熱凝固性蛋白
    素材を含む原料と水とを混練して混練物を調製し、(b)
    前記混練物を圧延後に切り出すか、または前記混練物を
    押し出しによって、麺線を調製し、および(c) 前記麺線
    を茹でおよび/または蒸してα化する、 工程を含む麺類の製造方法であって、 前記原料中の澱粉、熱凝固性蛋白素材および穀粉の合計
    乾燥重量の75〜97重量%がリン酸架橋化工澱粉であり、
    また3〜20重量%が熱凝固性蛋白素材である、 ことを特徴とする麺類の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記リン酸架橋化工澱粉が、前記合計
    乾燥重量の80〜97重量%を占める請求項13に記載の麺類
    の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記熱凝固性蛋白素材が、前記合計乾
    燥重量の8〜15重量%を占める請求項13もしくは14のい
    ずれかに記載の麺類の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記リン酸架橋化工澱粉が、リン酸架
    橋ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋アセチル澱粉、
    およびこれらの組み合わせからなるグループから選択さ
    れた澱粉である請求項13乃至15のいずれかに記載の麺類
    の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記リン酸架橋化工澱粉が、0.02〜0.
    15の置換度(DS)を有する澱粉である請求項13乃至16のい
    ずれかに記載の麺類の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記リン酸架橋化工澱粉が、0.06〜0.
    10の置換度(DS)を有する澱粉である請求項13乃至16のい
    ずれかに記載の麺類の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記熱凝固性蛋白素材が、グルテン、
    卵白、乳清タンパク、およびこれらの組み合わせからな
    るグループから選択された蛋白素材である請求項13乃至
    18のいずれかに記載の麺類の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記麺類の製造方法が、以下の工程、
    すなわち;(d) α化と同時もしくはα化後に麺線を酸処
    理して麺線のpHを酸性とし、(e) 前記酸処理した麺線を
    パウチ等の容器に密封包装し、および(f) 前記密封容器
    ごと加熱処理する、 工程をさらに含む請求項13乃至19のいずれかに記載の麺
    類の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記麺類が、冷麺類である請求項13乃
    至20のいずれかに記載の麺類の製造方法。
  22. 【請求項22】 菓子類の製造方法であって、以下の工
    程、すなわち; (a) 穀粉を含み/含まず、かつ澱粉および熱凝固性蛋白
    素材を含む原料と水とを混練して混練物を調製し、(b)
    前記混練物を圧延後に切り出すか、または前記混練物を
    押し出しによって、麺線を調製し、および(c) 前記麺線
    を茹でおよび/または蒸してα化する、 工程を含む菓子類の製造方法であって、 前記原料中の澱粉、熱凝固性蛋白素材および穀粉の合計
    乾燥重量の75〜97重量%がリン酸架橋化工澱粉であり、
    また3〜20重量%が熱凝固性蛋白素材である、ことを特
    徴とする菓子類の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記菓子類の製造方法が、以下の工
    程、すなわち;(d) α化と同時もしくはα化後に麺線を
    酸処理して麺線のpHを酸性とし、(e) 前記酸処理した麺
    線をパウチ等の容器に密封包装し、および(f) 前記密封
    容器ごと加熱処理する、 工程をさらに含む請求項22に記載の菓子類の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記菓子類が、麺線形状の冷製菓子類
    である請求項22もしくは23に記載の菓子類の製造方法。
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