JP3615197B2 - チルド流通タイプの麺類およびその製造方法 - Google Patents

チルド流通タイプの麺類およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チルド流通タイプの麺類とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
チルド流通タイプの麺類は、その製造方法から、α化処理していない生麺と、α化処理した茹で麺、蒸し麺があるが、いずれも喫食時において炊いて調理するのが一般的である。しかし、炊いて調理するのは簡便性に欠けるとともに、鍋等の調理器具も必要である。特にコンビニエンスストア等で弁当等と一緒に売られるようなチルド流通タイプの麺の場合には、簡便性はきわめて重要なファクターであり、例えばカップ入り即席麺やLL麺(生タイプ即席麺)のように、炊いて調理せずに、熱湯を注加するだけで喫食できるような商品が求められていた。
【0003】
現在、コンビニエンスストア等で売られているチルド流通タイプの麺においては、炊いて調理することを必要としない、茹でたざるそばや冷麺等の商品も一部に市販されている。しかし、これらの商品はそのまま喫食することが可能なように、茹で処理されて充分にα化されており、しかも茹で後の時間が経過しているために、麺線が茹で伸びして腰がない食感で、消費者の味覚を満足させる品質のものではなかった。また、このような麺は、麺線を茹で処理しているために、水分含量が高く保存性の悪いものであった。
【0004】
一方、麺類の保存性を向上させるための技術として、麺線を包装体に密封包装した後、加熱処理する技術が知られている。しかし、密封包装する麺線がα化処理されていない生麺線の場合には、喫食時に麺線を炊いて調理する必要があり、炊かずに調理、喫食することができるような技術は知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、炊いて調理しなくても喫食できるチルドタイプの麺類、例えば、麺線に熱湯を注加した後、しばらく放置し、該注加した熱湯を捨てて、再び熱湯を注加するか、あるいは再び熱湯を注加する代わりに冷水等にさらすだけで喫食することが可能な(本発明では、一旦注加した熱湯を捨てた後に喫食し得るこのような調理方法を「2タッチ調理」という)、簡便性が高く、しかも食感の良いチルド流通タイプの麺を得ることを第一の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上掲の課題を解決すべく発明されたものであり、その要旨とするところは、チルド流通タイプの麺類の製造方法であって、以下の工程、
a:原料粉に、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸エステルのいずれか一つ以上を添加する工程、b:後工程eの加熱処理後の麺線pHが6.0〜8.0になるように、原料粉に必要に応じてアルカリ剤を添加する工程、c:原料粉を加水混練し、製麺して生麺線を得る工程、d:生麺線をα化せずに包装体に密封包装する工程、e:密封包装した包装体ごと85℃〜100℃で10分〜60分間加熱処理する工程、
のa〜eの各工程を含むチルド流通タイプの麺類の製造方法である。
【0007】
ここで、工程bの「必要に応じてアルカリ剤を添加する」とは、工程eの加熱処理後の麺線pHがアルカリ剤を加えないと6.0〜8.0にならない場合には当該pHになるように必須に、一方、アルカリ剤を加えなくともpHが6.0〜8.0になる場合には当該pHを外れない範囲で任意に添加する、という意味である。
【0008】
本発明の方法によれば、包装体から麺線を取り出した後、麺線に熱湯を注加して、注加した熱湯を捨て、次いで再び熱湯を注加するだけで喫食することのできる麺類、すなわち2タッチ調理可能なチルドタイプの麺を得ることができる。
【0009】
加熱処理後の麺線pHが8.0より高いと麺線は生っぽくなり、加熱条件が85℃より低かったり、10分より短くてもやはり麺線は生っぽく、調理感が不足した麺となる。一方、加熱条件が100℃より高かったり60分より長いと麺線表面が結着したり、ゴリゴリした食感の悪い麺質になる。本発明において特に好ましい加熱条件としては、90℃〜95℃で20分〜30分とするのが最もよく、これらの範囲とすることで、2タッチ調理によっても麺線はしなやかで、調理感のある麺とすることができる。
【0010】
なお、原料粉にアルギン酸類(本発明ではアルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸のエステルを総称して「アルギン酸類」という)を添加しないと麺線が結着し、グチャッとした麺となって商品価値が低い。また、添加することによって、腰のあるしっかりとした麺質になり、調理感の向上も見られる。一方、原料にアルギン酸類を添加すると、pHが下がって前記加熱処理後の麺線pHが6.0〜8.0に入らなくなる場合が多く、この場合アルカリ剤の添加が必須である。しかし、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の場合には、pHの低下は少なく、このような場合にはアルカリ剤の添加は必ずしも必要でない。
【0011】
また、本発明は、前記原料粉(小麦粉等穀粉+澱粉)が、エーテル化澱粉、アセチル化澱粉、α化澱粉のいずれか一つ以上の加工澱粉を重量比で20〜50%含む原料粉である前記チルド流通タイプの麺類の製造方法である。
【0012】
本発明の方法において、原料粉に前記加工澱粉を20%以上を用いることで、さらに麺線を生っぽくなく、調理感の高いものとすることができ、一方50%を超えて添加すると、製麺性が悪くなり、麺質が澱粉麺のようになるので、20〜50%の前記加工澱粉を添加するのが良い。
【0013】
前記加工澱粉において、特に添加するのが好ましい加工澱粉としては、エーテル化処理した澱粉またはアセチル化処理した澱粉が上げられるが、置換度の高い、具体的にはDS=0.05以上のエーテル化澱粉が最も好ましい。
【0014】
また、本発明は、前記包装体に密封包装する際の生麺線の水分含量が35%〜38%であることで、より調理感があり、生っぽくない麺とすることができる。これは、通常の生麺の水分含量よりやや高いもので、製造時の加水量で置き換えると、原料粉1kgあたり390ml〜470ml程度であり、ごく一般的な機械製麺の場合の加水量が320ml〜370mlであることに比べると高い。
【0015】
さらに本発明は、包装体から取り出した麺線に熱湯を注加した後、該熱湯を捨て、次いで再び熱湯を注加して喫食する、包装体に密封包装された形態の麺類であって、前記いずれかの方法で製造されたチルド流通タイプの麺類を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、製造工程に順じて本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明に用いられる麺は、製麺の常法によって製造することができる。すなわち、小麦粉に必要に応じて澱粉(各種加工澱粉を含む)、そば粉等穀粉を加えて原料粉(小麦粉等穀粉+澱粉)とし、これに必要に応じて、かんすい、食塩、グルテン、卵白、増粘剤、色素等の添加剤を添加し、練り水(練り水に前記添加剤等を溶解あるいは懸濁させて加えてもよい)を加えて混練した後、押し出して麺線とするか、圧延して麺帯とした後これを切り出して麺線とする。
【0018】
本発明においては原料粉(小麦粉等の穀粉+澱粉)の内、重量比で20%〜50%をエーテル化、アセチル化、α化のいずれか一つ以上の処理が施された加工澱粉とするのがよい。これらの加工澱粉を添加することによって、2タッチ調理で喫食しても生っぽくなく、さらにしなやかで食べやすい食感となる。前記加工澱粉の添加量が50%を超えると、製麺性が悪くなるとともに澱粉麺的な食感になり、20%以下では添加効果は弱い。前記のうち、特に適性のよい加工澱粉としては、加工度の比較的高いエーテル化澱粉、アセチル化澱粉が上げられ、特に、具体的にはDS=0.05以上のエーテル化澱粉が最も好ましい。また、これらのエーテル化、アセチル化、α化の各加工処理の施された澱粉であれば、重複して処理されたものや、他の処理が重複して行なわれた澱粉も使用可能で、例えば、前者の場合アセチル化α化澱粉や、後者の場合エーテル化リン酸架橋澱粉等も適用可能である。
【0019】
本発明では、麺原料にアルギン酸類すなわち、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸エステルのいずれか1つ以上を添加する。アルギン酸塩としてはアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等、アルギン酸のエステルとしてはアルギン酸プロピレングリコールエステル等が使用できる。アルギン酸類を添加することで、後の加熱処理によっても麺線同士が結着せずに、ほぐれのよい麺とすることができ、添加しない場合のようなグチャッとした食感を改良できる。また、アルギン酸類を添加することで、麺線にしっかりとしたコシを付与する効果もある。好ましい添加量としては、アルギン酸量として主原料粉(穀粉+澱粉)に対して重量比で0.5%〜3%、特に好ましくは1%〜3%程度である。
【0020】
本発明では加熱処理後の麺線pHを6.0〜8.0にする必要があり、このpHの範囲に調整するために、アルカリ剤の量を調整して添加する。アルカリ剤を添加せずに当該pHの範囲となる場合には必ずしもアルカリ剤の添加は必須ではない。ここで、アルカリ剤とは中華麺に使用するかんすいを含み、使用可能なアルカリ剤とは、食品添加物に規定されるいわゆる「かんすい」の他、代用かんすいとして使用される水酸化カルシウムやこれを主成分とする焼成カルシウム等も使用できる。本発明では、麺原料にアルギン酸類を添加するが、アルギン酸類を添加するとアルギン酸プロピレングリコールエステル等一部を除き、麺線pHは酸性に振れる場合が多いので、pHを6.0〜8.0に調整するにはアルカリ剤の添加を必要とする場合が多い。また、加熱処理後の麺線pHの最も好ましい値は、7.0〜7.8、およそ7.5前後であるので、当該最適なpHに調整する場合には、通常アルカリ剤の添加を必要とする。
【0021】
加熱処理後の麺線pHを6.0〜8.0にする理由は、pHが8.0を超えると加熱処理時間を長くしても、製品を2タッチ調理で喫食する場合に麺線が生っぽく調理感のない状態になってしまい、またpHが6.0より低くても多少生っぽさが出現し、酸味を感じる麺となってしまうためである。一般に市販されている中華生麺の場合は、麺線pHは8を超えるアルカリ性である。従ってこのような麺線を密封包装して加熱処理しても麺線は生っぽく、喫食に耐えないものとなる。そこで、本発明では、中華麺の場合であっても添加するかんすいの量を減らすか、もしくは、酸性物質を添加する等によって、加熱処理後の麺線pHが6.0〜8.0になるように調整する。
【0022】
また、本発明においては、アルギン酸類に加えて、キサンタンガムを添加することも好ましい。キサンタンガムはアルギン酸ほどではないものの、麺線が結着するのを防止する効果を有し、また、生っぽい食感の改良、麺線のコシの付与等にも効果がある。キサンタンガムの好ましい添加量は、アルギン酸類の添加量にもよるが、原料粉(小麦粉等穀粉+澱粉)に対して重量比で1〜3%程度とするのがよい。
【0023】
なお、前記アルギン酸類、アルカリ剤、キサンタンガム等は、いずれも粉体で直接原料粉に添加しても、また練り水に溶解または懸濁させて原料粉に添加しても、あるいはその両方の手段で原料粉に添加しても良い。
【0024】
さらに本発明においては、麺線の水分含量をやや高めに設定するように加水することが望ましい。通常一般的な製麺の場合においては、澱粉を20%程度添加した場合、粉体原料1kgに対して練り水を320ml程度加水するのが一般的である。この場合、製麺中に水分のロスがあるので、α化前の麺線中の水分含量としては、約31%程度となるが、本発明においてはこれらよりも加水量を上げることでさらに製品の調理感が向上する。
【0025】
α化前の水分含量、すなわち本発明では包装体に密封包装する前の水分含量としては35%以上、特に35%〜38%程度が好ましく、この場合原料への加水量としては、主原料粉1kgに対して390ml〜470mlとする。なお、加水の方法としては、製麺した後に麺線を水に浸漬して膨潤させて使用する方法や、加熱時に麺線と一緒に水を添加する方法等も可能であるが、このような方法で加水すると、製品の麺線が結着したり、麺線表面が溶け出して食感が悪くなるため、混練時の加水率を上げておく方法が望ましい。
【0026】
本発明では、前記のようにして製造した麺線を、生のまま、すなわちα化せずに包装体に密封包装する。密封包装に使用する包装体は、通気性がないか、通気性が低く、以降の加熱条件によっても破袋しない包装体を使用する。具体的には、チルド流通タイプの蒸し焼きそば等に使用されるポリプロピレン製のピロー包装体、LL麺等に使用されるLLパウチ、レトルト食品に用いられるレトルトパウチ、缶詰容器等が好ましい。
【0027】
次いで、包装体に密封包装された生麺は、包装状態のまま加熱する。加熱条件は、85℃〜100℃で10分〜60分、好ましくは90℃〜95℃で20分〜30分程度が望ましい。なお、105℃を超えるような加熱は、麺線同士が結着したり、麺線が硬くゴリゴリした食感になって好ましくない。一方、80℃以下の加熱では麺線が生っぽく調理感がなく、食感の悪い麺となる。また、60分以上加熱すると麺線がべチャッとした柔らかいものになって食感が悪く、10分に満たないような短時間の加熱処理では、麺線は生っぽく喫食に耐えない。加熱の方法としては、包装体ごと蒸気庫に入れて加熱処理するのが良いが、包装体ごと熱湯中に浸漬する等の方法も可能である。
【0028】
本発明では、麺線に直接蒸し処理や茹で処理を行わずに、上述した特定の条件で包装体に密封包装して加熱処理を施し、次いで冷却するが、加熱処理後の麺線のpHは6.0〜8.0になるようにする。この範囲にpHを調整する方法は、前述したように原料に添加するアルカリ剤(かんすいを含む)の量を調整する方法による。なお、本発明において麺線pHを加熱処理後のpHで規定するのは、実験の結果、加熱処理後のpHが本発明の効果に対して相関が高いと考えられるためであり、また、添加するアルカリ剤の種類によって加熱処理の前後におけるpH変化に差があり、加熱処理前のpHでは規定しにくいためである。
【0029】
本発明の方法によって製造された麺は、そのまま、あるいはさらに外包材、外容器等に包装されて商品となる。商品はチルド流通する麺類であって、喫食する際、麺線を包装体から取り出した後容器に入れて熱湯を注加するか、もしくは包装体が容器を兼ねている場合には、包装体の開口部を開封してこれに熱湯を注加し、該注加した熱湯を湯切りして捨てた後、再び熱湯を注加することで喫食可能である。
【0030】
この場合、初めの熱湯注加から湯切りするまでの時間としては、数十秒〜数分程度放置するか、軽く箸でほぐす程度でよく、また、2度目の熱湯注加時に粉末スープ等を添加すれば、スープ入りの麺とすることができる。冷麺やつけ麺の場合には、湯切りした後の麺線に、再度熱湯を注加せずに該湯切りした麺線を必要に応じて水にさらす等した後、タレをかける、もしくはタレに該湯切りした麺線を付けて喫食することもできる。
【0031】
なお、本発明の方法によって製造されたチルド流通タイプの麺は、必ずしもこのような2タッチ調理に限定されず、従来のように炊いて調理することも、また電子レンジによって調理することも可能である。このような従来方法による調理によっても、茹で処理した麺を包装した従来のチルドタイプの麺に比較して、麺に腰があって食感がよく、また保存性も向上している。
【0032】
本発明の適用可能な麺類は、中華麺、和風麺、スパゲティー等いずれの麺にも適用可能であるが、喫食に際して炊いて調理しないために、太い麺の場合には生っぽさが残る場合があり、麺線の細い麺に適用することが好ましい。具体的にはラーメン、そーめん、日本そば等に最もふさわしく、16番以上の切刃で切り出した麺に適用することが好ましい。
【0033】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて、以下に具体的に説明するが、本発明は、これら実験例、実施例の開示に基づいて限定的に解釈されるべきでない。
【0034】
実験例1(麺線pHと、加熱温度の影響)
小麦粉700gとDS=0.1のエーテル化タピオカ澱粉300gを原料粉とし、さらにこの原料粉に10gのアルギン酸を加え、これに練り水として、重合リン酸塩5gとクチナシ色素1g、炭酸ナトリウムを表1の通り1〜10gの5段階として水430mlに溶解させたものを加え、ミキサーで15分間混練した。この麺生地をロール圧延して厚さ1.5mmの麺帯とした後、切り刃22番で切り出して生麺線を得た。
【0035】
該生麺線を1食分100gづつにカットし、LL麺用のパウチ(サイズ:140mm×160mm)に充填して熱シールし、蒸気庫で加熱条件を表1の通り、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃とし、それぞれ30分間加熱処理した。
【0036】
このようにして得た麺を冷却後、約1日チルド温下に放置し、パウチを開口して丼型容器に麺線を移し、300mlの熱湯を加えて箸で軽くほぐした後、直に熱湯を捨て、さらに熱湯300mlを加えて喫食し、官能試験に処した。官能試験は熟練したパネラー5名によって行い、麺質、食感を比較して5段階で評価した。結果を表1に示す。また、製品の水分含量を測定したところ(密封包装しており加熱処理しており、製品の包装体内面に水滴等の付着が認められなかったので、密封包装直前の水分含量も同じと思われる)36.8〜37.3%であった。
【0037】
【表1】
Figure 0003615197
【0038】
表1の結果から、加熱処理温度が90℃又は100℃の場合で、加熱後の麺線pHが6.6又は7.6のものが特に良好〜商品化可能なレベルにあった。表1の試験結果から、80℃と90℃の間に効果を生じる境界があると考えられ、本発明における良好な商品を得る条件としては、加熱処理後の麺線pHが6.0〜8.0、加熱温度は85℃〜100℃、特に好ましくは90℃〜95℃程度と考えられた。
【0039】
実験例2(加熱温度と処理時間の影響)
実験例1の配合において、原料に添加する炭酸ナトリウムの量を5.0gとして製麺して、以降実験例1同様にしてLL麺用パウチに麺線100gを封入した後、実験例1と同じく、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃で、それぞれ加熱時間を変更して加熱処理し、加熱処理時間が麺質、食感に与える影響を、実験例1同様に2タッチ調理して、5人のパネラーで評価した。結果を表2に示す。なお、加熱処理後の麺線pHは7.4〜7.6であり、製品麺線の水分=加熱殺菌前の麺線水分は、36.2%〜36.9%であった。
【0040】
【表2】
Figure 0003615197
【0041】
表2の結果から、本発明の良好な商品を得る条件としては、加熱処理温度が90℃又は100℃であれば、10分〜60分、特に好ましくは約90℃において20分〜30分程度が良いものと思われた。
【0042】
実験例3(原料添加物と使用澱粉の影響)
小麦粉700gとタピオカ由来の各種澱粉300g、または澱粉を添加せずに小麦粉1kgを原料粉とし、さらにこの原料粉に10gのアルギン酸又はアルギン酸ナトリウムもしくはキサンタンガムを加えるか又は加えずに(複数種類を加える場合は各10g添加)、重合リン酸塩5gとクチナシ色素1g、炭酸ナトリウム5gまたは2g(pHを合せるためアルギン酸を加えたものは5g、その他のものは2g)を水410ml〜440ml(各配合において最善の添加量)に溶かしたものを練り水として加え、ミキサーで15分間混練した。この麺生地をロール圧延して厚さ1.5mmの麺帯とした後、切り刃22番で切り出して生麺線を得た。
【0043】
該生麺線を1食分100gづつにカットし、LL麺用のパウチ(サイズ:140mm×160mm)に充填して熱シールし、蒸気庫で加熱条件を90℃30分間として加熱処理した。
【0044】
このようにして得た麺を実験例1同様に2タッチ調理して官能試験に処し、麺質、食感を比較して評価した。その結果を表3に示す。なお、pHは6.8〜7.8であった。
【0045】
【表3】
Figure 0003615197
【0046】
表3の結果から、アルギン酸類を添加しないと、グチャッとした柔らかいほぐれの悪い麺となること、加工澱粉を添加することで調理感が格段に向上すること、また澱粉としては置換度の高いエーテル化澱粉が好ましいこと、さらにアルギン酸だけでなくキサンタンガムを添加するとさらに良好な麺となることが理解された。
【0047】
実験例4(澱粉添加量の影響)
小麦粉とDS=0.07のアセチル化タピオカ澱粉を原料粉とし、原料粉中の該澱粉の配合量を0%から、10%ごとに50%まで変更し、さらにこの原料粉1kgに10gのアルギン酸を加え、重合リン酸塩5gと黄色色素1g、炭酸ナトリウム5gを次記の練り水に溶かして添加した。練り水は澱粉の添加量に応じて、澱粉0%に対して360ml、10%に380ml、20%に410ml、30%に440ml、40%に460ml、50%に480mlとし(最適と思われる量)、原料粉に加水した後、ミキサーで15分間混練した。この麺生地をロール圧延して厚さ1.5mmの麺帯とした後、切り刃22番で切り出して生麺線を得た。
【0048】
該生麺線を1食分100gづつにカットし、LL麺用のパウチ(サイズ:140mm×160mm)に充填して熱シールし、蒸気庫で加熱条件90℃で30分間加熱処理した。このようにして得た麺を実験例1同様に2タッチ調理して官能試験に処し、麺質、食感を比較して評価した。なお、pHは6.9〜7.8であった。
【0049】
その結果、澱粉の添加量を増やすほど生っぽさは改善されて調理感のある食べやすい麺となったが、澱粉含量が主原料粉中20%以上でしなやかで食べやすい食感となった。ただし、50%では澱粉麺的食感となり、製麺性も悪くなる傾向が見られた。
【0050】
実験例5(水分含量の影響)
小麦粉800gにDS=0.07のアセチル化タピオカ澱粉200gを原料粉とし、さらにこの原料粉に10gのアルギン酸を加え、重合リン酸塩5gとクチナシ色素1g、炭酸ナトリウム5gを次の加水量の練り水にそれぞれ溶解して添加した。加水量は350ml、400ml、450ml、500mlとし、加水後ミキサーで15分間混練した。この麺生地をロール圧延して厚さ1.5mmの麺帯とした後、切り刃22番で切り出して生麺線を得た。
【0051】
該生麺線を1食分100gづつにカットし、LL麺用のパウチ(サイズ:140mm×160mm)に充填して熱シールし、蒸気庫で加熱条件90℃で30分間加熱処理した。また、加水量を400mlとしたものにおいて、LL麺用パウチに充填する前に水に浸漬して、麺線の水分含量をさらに上げたサンプルを1点作製した。
【0052】
このようにして得た麺を乾燥減量法によって水分含量を測定し、実験例1同様に2タッチ調理して官能試験に処し、麺質、食感を比較して評価した。その結果を表4に示す。なお、pHは7.1〜7.3であった。
【0053】
【表4】
Figure 0003615197
【0054】
表4の結果から、一般的な製麺の場合よりやや加水量を多くしたほうが、麺質、食感の優れた麺となることが理解された。特に好ましい水分含量は、製品中(本製品の場合包装体に水滴が付くことが無いため、製品の水分含量は密封包装前の生麺線の水分含量に等しい)の水分含量が35%〜38%程度と考えられる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、炊いて調理しなくても熱湯を注加して、該注加した熱湯を捨てるだけで喫食可能とすることができる、2タッチ調理可能な極めて簡便性の高いチルド流通タイプの麺類が製造できる。これによって、即席麺やLL麺に匹敵するような簡便性が得られ、しかも食感は即席麺やLL麺よりも、生麺を茹で戻した麺に近い食感を有する本格的な麺とすることができる。
【0056】
また、本発明の方法によれば、このような2タッチ調理による場合はもちろん、従来のように炊いて調理した場合や、電子レンジ調理した場合でも、従来の茹で処理されたチルドタイプの麺に比較して、コシがあり、茹で伸びしていない食感のよい麺とすることができる。
また、従来のチルドタイプの麺には、茹で処理されたもの以外に生麺を包装したタイプの麺もあるが、生麺を包装体に包装した場合、流通中に包装体内に水滴が結露してこの水滴が麺線に付着し、付着した部分が白けて膨潤してしまう「麺溶け」と呼ばれる外観変化が起こりやすかったが、本発明の麺の場合、このような問題が起こらず、製麺時に麺溶け防止用の打ち粉が必要なく、調理時にスープが白濁する問題もない。
【0057】
また、本発明のチルドタイプの麺は、生麺を包装した後に加熱処理するため、α化(加熱処理)後に包装する麺や生麺を包装した、従来の一般的なチルド流通タイプの麺に比べて、衛生的であり、保存性も向上する。

Claims (5)

  1. チルド流通タイプの麺類の製造方法であって、以下の工程
    a:原料粉に、アルギン酸、アルギン酸塩、アルギン酸エステルのいずれか一つ以上を添加する工程、
    b:後工程eの加熱処理後の麺線pHが6.0〜8.0になるように、原料粉に必要に応じてアルカリ剤を添加する工程、
    c:原料粉を加水混練し、製麺して生麺線を得る工程、
    d:生麺線をα化せずに包装体に密封包装する工程、
    e:密封包装した包装体ごと85℃〜100℃で10分〜60分間加熱処理する工程、
    のa〜eの各工程を含むチルド流通タイプの麺類の製造方法
  2. 前記原料粉が、エーテル化澱粉、アセチル化澱粉、α化澱粉のいずれか一つ以上の加工澱粉を重量比で20〜50%含む原料粉である請求項1に記載のチルド流通タイプの麺類の製造方法
  3. 前記加工澱粉が、DS=0.05以上のエーテル化澱粉である請求項2に記載のチルド流通タイプの麺類の製造方法
  4. 前記包装体に密封包装する時の生麺線の水分含量が、35%〜38%である請求項1から3のいずれかに記載のチルド流通タイプの麺類の製造方法
  5. 包装体から取り出した麺線に熱湯を注加した後、該熱湯を捨て、次いで再び熱湯を注加して喫食する包装体に密封包装された形態の麺類であって、請求項1から4のいずれかに記載の製造方法で製造されたチルド流通タイプの麺類
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