JP2001064876A - 保温性布帛およびその用途 - Google Patents

保温性布帛およびその用途

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JP2001064876A
JP2001064876A JP34951699A JP34951699A JP2001064876A JP 2001064876 A JP2001064876 A JP 2001064876A JP 34951699 A JP34951699 A JP 34951699A JP 34951699 A JP34951699 A JP 34951699A JP 2001064876 A JP2001064876 A JP 2001064876A
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Yasunao Shimano
泰尚 嶋野
Munehide Yamaguchi
宗英 山口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 あらゆる布帛に対し、あらゆる場面におい
て、優れた保温性を発揮できる汎用性があり、実用性の
高い保温性布帛と、この布帛を用いた防寒用衣服を提供
する。さらに、保温性布帛の結露防止性を向上させ、ス
ポーツ衣料等の用途における着用時の快適性を保つよう
改良する。 【解決手段】 保温性布帛は、布帛に吸水性樹脂微粒子
を付与してなり、吸湿ないし吸水による温度上昇が0.
5℃以上であり、防寒用衣服は少なくとも一部に上記保
温性布帛を用いてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保温性に優れた布
帛とこれを用いた防寒用衣服に関する。さらに詳しく
は、保温性が望まれている衣料、カーテン、布団類、保
温または保冷用のカバー等に利用できる保温性布帛とこ
れを用いた防寒用衣服に関するものである。
【0002】
【従来の技術】保温性布帛については、これまで、いろ
いろな提案がされてはいるが、いずれも、以下に述べる
ように、種々の問題があった。第1の方法は、太陽光な
どからの赤外線を吸収する材料を布帛に付着させて保温
性を高める方法であり、具体的には、カーボンブラック
や着色金属炭化物(例えば、炭化ジルコニウム)などの
赤外線吸収剤を繊維に練り込んだり、塗布したりする方
法である。しかし、この方法で製造した保温性布帛は、
太陽光があるときにのみ未加工布帛と比べて暖かい。太
陽光があるときに暖かいことは当然であり、しかも、太
陽光があるときに保温性を付与する必要性は低く、実用
性に欠ける。
【0003】第2の方法は、パラフィン類などの相変化
材料をマイクロカプセル化し樹脂バインダーで布帛に固
着して保温性を発揮させる方法である(特開平5−15
6570号公報等参照)。相変化材料は、溶融するとき
に吸熱して環境温度を低下させ、固化するときに発熱し
て環境温度を上昇させて、保温性を発揮する。しかし、
この方法で製造した保温性布帛は、相変化材料の吸熱容
量、発熱容量が小さいため、相変化材料を大量に使用す
る必要があり、布帛の持つ手触りを硬くして、商品価値
を低下させる。
【0004】第3の方法は、布帛にデッドエアーを形成
することにより、空気の対流による熱の損失を防ぎ、保
温性を高める方法である。具体的には、毛布などのよう
に、起毛、立毛によりデッドエアーを形成する方法、中
空繊維を使用してデッドエアー層を形成する方法があ
る。しかし、前者の方法には、布帛の素材や用途の特性
から、起毛、立毛状態を作ることが困難なものが多く、
デッドエアーを形成できる布帛の種類がかなり限定され
てしまうという問題がある。中空繊維を使用する方法
は、糸の製造段階から商品設計が必要であり、製造コス
トが高くなり、加工も複雑であって、汎用的でない。
【0005】また、例えば特開平9−59872号公報
等に記載のアクリロニトリル系繊維は、高吸湿性であ
り、湿気を吸うと発熱するため、保温性に優れることが
知られている。しかし、このアクリロニトリル系繊維
は、吸湿性に優れているがゆえに、湿気を吸うと、繊維
表面が膨潤し、触るとヌルみがあり、これだけでは繊維
製品としての商品価値を失ってしまう。そこで、このア
クリロニトリル系繊維を、絹、綿、羊毛、ポリエステ
ル、アクリル、ナイロン、レーヨンなどと混紡、混繊し
て、吸湿性の必要な布団綿等として使用する試みがなさ
れている。しかし、この混紡方法では、その改善効果が
いまだ十分でないほか、このアクリロニトリル系混紡繊
維を用いて織物を得る場合には、中空繊維と同様に、糸
の製造段階から商品設計が必要であり、製造コストが高
くなり、加工も複雑であるため、この方法もやはり汎用
的でない。
【0006】ところで、保温性布帛の使用が望まれる用
途の一つとしてスポーツ衣料があるが、スポーツ衣料に
用いる布帛の場合、透湿性が不十分であると、激しい運
動条件下で発汗が多くなった際に衣服内が水蒸気で満た
され、やがて結露を起こし、着用者の不快感が増すとい
った問題があった。そこで、スポーツ衣料用布帛には透
湿防水性のコーティングやラミネートを施すことが知ら
れている。しかし、既存のアクリル樹脂コーティング布
帛、ウレタン樹脂コーティング布帛では、上述の結露問
題に対して、必ずしも満足する結果が得られていないの
が現状である。そのため、スポーツ衣料用の布帛におい
ては、より高い結露防止性が常に求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、あらゆる布帛に対し、あらゆる場面において、優れ
た保温性を発揮できる汎用性があり、実用性の高い保温
性布帛と、この布帛を用いた防寒用衣服を提供すること
にある。さらに、保温性布帛の結露防止性を向上させ、
スポーツ衣料等の用途における着用時の快適性を保つよ
う改良することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために種々検討し実験を重ねた結果、布帛に吸
水性樹脂微粒子を付与することにより、その吸水性ない
し吸湿性の程度を調節して、保温性を大幅に向上させ、
さらに結露防止性をも改良できることを見いだし、本発
明を完成した。
【0009】したがって、本発明にかかる保温性布帛
は、布帛に吸水性樹脂微粒子を付与してなり、吸湿ない
し吸水による温度上昇が0.5℃以上である。本発明に
かかる防寒用衣服は、少なくとも一部に上記本発明にか
かる保温性布帛を用いてなる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、布帛とは、少な
くとも保温性を付与する対象となる布帛を意味し、布帛
でありさえすれば、その種類は問わない。したがって、
布帛を構成する繊維の種類としては、ポリエステル、ナ
イロン、アクリルなどの合成繊維、レーヨン、アセテー
トなどの再生、半合成繊維、綿、羊毛、絹などの天然繊
維やこれらの複合したものが使用可能であり、特に限定
されるものではない。その形態としては、織物、編物、
不織布等が挙げられ、布帛の厚み、目付、外観などに制
限はない。使用する布帛は、必要に応じ、染色加工等が
施されていてもよい。
【0011】本発明の保温性布帛は、布帛に吸水性樹脂
微粒子を付与したものである。吸水性樹脂微粒子を付与
することによって、良好な結露防止性を保ちつつ、保温
性を向上させることができる。ここで、吸水性樹脂微粒
子とは、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル
酸、アクリロニトリル等のアクリル系モノマーを架橋重
合して得られる微粒子が一般的であるが、デンプン系の
吸水性樹脂の微粒子、セルロース系の吸水性樹脂の微粒
子など、アクリル系以外の汎用の吸水性樹脂の微粒子も
使用でき、吸水性樹脂の種類は特に限定されるものでは
ない。本発明において用いられるこれらの吸水性樹脂微
粒子は、それ自体は水に不溶性であり、吸水性のみなら
ず、吸湿性も高いものである。さらに、吸水性樹脂微粒
子は放湿性をも有することが好ましい。
【0012】吸水性樹脂微粒子の吸水性の程度は、特に
限定されないが、下記数1式の方法により測定される値
で100〜100000%、好ましくは100〜100
00%程度が好ましい。また、吸水性樹脂微粒子の吸湿
性の程度は、特に限定されないが、下記数2式の方法に
より測定される値で10〜10000%、好ましくは1
00〜1000%程度が好ましい。
【0013】
【数1】
【0014】
【数2】
【0015】アクリル系吸水性樹脂微粒子の製造法に
は、例えば、1)アクリル酸またはそのナトリウム塩を
重合して、まず、直鎖状ポリマーを得た後、架橋剤で後
架橋する方法、2)アクリル樹脂またはそのナトリウム
塩と架橋性モノマーを同時に共重合する方法があり、
2)の共重合方法には、2−1)水溶液重合法、2−
2)逆相懸濁重合法がある。
【0016】本発明で用いる吸水性樹脂微粒子は、いず
れの方法で得られた吸水性樹脂の微粒子であっても良い
が、その粒子径は20μm以下が好ましく、20μm以
下であっても細かいほど良い。吸水性樹脂微粒子には、
−COO- やNa+ などのイオンが高濃度で存在してお
り、そのイオン濃度は水分や汗や湿気中の−COO-
Na+ などのイオン濃度と比べると十分に高いため、吸
水性樹脂微粒子と水分、汗、湿気との間に浸透圧が生じ
る。その結果、水分、汗、湿気が吸水性樹脂微粒子の内
部に吸収される。カルボキシル基(−COO- )とその
塩は水との親和性が高いので、この親和力によっても水
分、汗、湿気が吸水性樹脂微粒子に吸収される。
【0017】激しい運動条件下で着用するスポーツウェ
アー等において、衣服内部で発生する水蒸気の量に比較
して、外部に放出する量が不足すると、衣服内は水蒸気
で飽和するが、本発明の保温性布帛はその吸湿吸水機能
により、飽和水分を吸収して結露を防止する。すなわ
ち、布帛の透湿性が向上し、結露を防止する作用がある
のである。
【0018】吸水性樹脂微粒子は、吸湿吸水したとき発
熱するので、保温性をも発揮することができる。吸水性
樹脂微粒子が吸湿吸水したときに発熱するのは、溶解
熱、すなわち、カルボキシル基、特にその塩が吸湿吸水
した水分と水素結合することによるファンデルワールス
力が吸着熱として発現することによると言われている。
本発明の保温性布帛は、吸湿ないしは吸水による温度上
昇が0.5℃以上であるものである。温度上昇が0.5
℃以上となるようにするには、吸水性樹脂微粒子の発熱
量や布帛の種類によっても異なるが、吸水性樹脂微粒子
の布帛への付与量を0.1〜30g/m2とすることが好
ましく、さらに好ましくは0.1〜10g/m2、最も好
ましくは0.5〜2g/m2とするのがよい。0.1g/
m2未満では十分な保温性を得ることが困難であり、ま
た、吸水性樹脂微粒子を30g/m2を越えて布帛に付与
しても、保温効果は大きくは上がらず、反対に得られた
保温性布帛の吸水性樹脂付与面が水に濡れた場合、膨潤
してヌルみが発生する可能性が大きくなる傾向がある。
【0019】さらに、本発明の保温性布帛は、結露量が
15g/m2・hr以下であることが好ましい。結露量が1
5g/m2・hr以下となるようにするには、吸水性樹脂微
粒子の発熱量や布帛の種類によっても異なるが、吸水性
樹脂微粒子の布帛への付与量を0.1〜30g/m2とす
ることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜10g/
m2、最も好ましくは0.5〜2g/m2とするのがよい。
0.1g/m2未満では十分な結露防止性を得ることが困
難であり、また、吸水性樹脂微粒子を30g/m2を越え
て布帛に付与すると、反対に得られた保温性布帛の吸水
性樹脂付与面が水に濡れた場合、膨潤してヌルみが発生
する可能性が大きくなる傾向がある。
【0020】本発明において、吸水性樹脂微粒子は樹脂
で布帛に固定されていることが好ましい。この固定用樹
脂(バインダー樹脂)としては、ウレタン樹脂、アクリ
ル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などを挙げ
ることができるが、アクリル樹脂やウレタン樹脂が特に
好ましい。結露防止の目的のためには、樹脂そのものの
透湿性の高いものが良い。
【0021】具体的には、例えば、吸水性樹脂微粒子
と、必要に応じて以下に述べるその他の微粒子と、バイ
ンダー樹脂とからなる樹脂組成物を、布帛の片面にコー
ティング層やラミネート層等の樹脂塗膜層として付着さ
せればよい。布帛に付着させる樹脂塗膜層の形態として
は、無孔質状であっても良く、多孔質であっても良い
が、高い保温性と優れた結露防止性とを得るためには、
吸水性樹脂微粒子がなるべく、水分、汗、湿気と接触で
きる状態となっていることが好ましい。そのような意味
で、吸水性樹脂微粒子に比べてバインダー樹脂の割合を
減らしたり、バインダー樹脂皮膜が多孔質となりやすい
もの、バインダー樹脂皮膜が透湿性を有しているものが
良い。
【0022】前記樹脂塗膜層にこのような性能を付与す
るために、バインダー樹脂中にアミノ樹脂微粒子を含ま
せるのが良い。具体的にはアクリル樹脂やウレタン樹脂
中にアミノ樹脂の微粒子を含ませるのが良い。アミノ樹
脂微粒子は、樹脂塗膜層を多孔質にするとともに、その
親水性により、樹脂塗膜層の透湿性を高め、布帛に樹脂
塗膜層を施したことによる結露防止性の低下を防ぐこと
ができる。
【0023】アミノ樹脂微粒子のアミノ樹脂としては、
熱または触媒等による硬化を終了した樹脂であり、水、
アルコール類、ケトン類、エステル類、芳香族類、その
他の溶媒に溶解しないアミノ樹脂を用いる。アミノ樹脂
は、例えば、各種アミノ化合物とホルムアルデヒドとの
縮合反応によって得られる樹脂であって、尿素とホルム
アルデヒドとの縮合物である尿素ホルマリン樹脂、メラ
ミンとホルムアルデヒドの縮合物であるメラミンホルマ
リン樹脂、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドの縮合
物であるベンゾグアナミンホルマリン樹脂等の微粒子で
あり、好ましくは尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマ
リン樹脂およびこれらの混合物のうちから選ばれる微粒
子である。特に、アミノ樹脂はその一部がアルコール変
性されているものが好ましい。アミノ樹脂微粒子は、硬
化前のアミノ樹脂を微粒子化した後に硬化させたもので
も、硬化後に物理的な粉砕をして微粒子化したもので
も、あるいは、他の方法で微粒子化したものでも良く、
微粒子化の方法は限定されるものではない。
【0024】アミノ樹脂微粒子としては、通常、平均粒
子径0.1〜50μm(好ましくは0.5〜30μ
m)、吸油量100〜2000ml/100g(好ましく
は150〜500ml/100g)のものが好適に用いら
れる。バインダー樹脂へのアミノ樹脂微粒子の好ましい
配合量は、バインダー樹脂固形分100重量部に対し1
〜300重量部が好ましく、5〜200重量部がより好
ましい。
【0025】布帛が分散染料で染められている場合に
は、分散染料特有の移行昇華の問題を解消するため、バ
インダー樹脂中に、染料吸着剤である合成シリカ微粒子
を含有させることが好ましい。合成シリカ微粒子として
は、粒子径1〜5μm、表面積300〜900m2/g、
吸油量90〜320ml/100gの範囲のものが挙げら
れるが、特に表面積700m2/g以上のものが好まし
い。
【0026】バインダー樹脂への合成シリカ微粒子の好
ましい配合量は、バインダー樹脂固形分100重量部に
対し10〜100重量部が好ましく、40〜60重量部
がより好ましい。吸水性樹脂微粒子に対するバインダー
樹脂の好ましい配合量(アミノ樹脂微粒子や合成シリカ
微粒子を含む場合はアミノ樹脂微粒子や合成シリカ微粒
子の重量はバインダー樹脂重量に含む)は、吸水性樹脂
微粒子1重量部に対し、バインダー樹脂(固形分)1〜
100重量部程度が好ましい。ただし、先に述べたよう
に、樹脂のタイプ(樹脂の種類や付着の状態)に応じて
適切な量を選択する。
【0027】前記樹脂塗膜層に用いる樹脂組成物には、
吸水性樹脂微粒子やバインダー樹脂の他に、架橋剤、酸
化防止剤、触媒、顔料、撥水性化合物等を配合しても良
い。このような樹脂組成物は、例えば、コーティング法
やラミネート法等で布帛に付着させることができる。特
に、コーティング法が好ましく、具体的には、ナイフコ
ーティング法、グラビヤ法などのコーティング方法によ
り付着させることができる。具体的には、例えば、コー
ティングした後、コーティング用樹脂を60℃〜180
℃で乾燥・キュアリングする。必要に応じ、乾燥した後
に、溶剤系撥水剤を含む溶液で処理して、撥水性をより
高めると良い。
【0028】吸水性樹脂微粒子が多量に吸湿吸水したと
きに、高吸湿性のアクリロニトリル系繊維程ではない
が、膨潤し、ヌルみが発生することがあるので、これを
防ぐためには、布帛に撥水性化合物をも付与することが
好ましい。撥水性化合物としては、フッ素系化合物、シ
リコン系化合物などを挙げることができる。これらの撥
水性化合物は、吸水性樹脂微粒子を付与する前、後、同
時のいずれでも付与することができる。吸水性樹脂微粒
子を付与する前後であれば、パット法やグラビア法で付
与でき、吸水性樹脂微粒子と同時であれば前記樹脂組成
物に配合して、付与することができる。このようにする
のは、吸水性樹脂微粒子の表面および/または樹脂塗膜
層表面に撥水性化合物があれば、吸水性樹脂微粒子が必
要以上の水分、汗を吸収することがないからである。
【0029】布帛の保温性をさらに向上させるために
は、デッドエアーを持つ中空微粒子をも布帛に付与する
ことが好ましい。この中空微粒子は、直径1.0μm以
下のものであり、好ましくは直径0.5μm程度のもの
である。この大きさの中空状微粒子は、布帛本体を構成
する繊維の円周数十ミクロンと比較して十分に小さく、
これを布帛に付着させても、布帛本体が本来持つ外観、
厚み、手触りをほとんど変えることなく、布帛本体に保
温性を付与できる。
【0030】中空微粒子は一般に、内部の空孔とシェル
部の空気/ポリマー界面での屈折率の差で光を散乱し
て、白度や不透明度を増す性質があり、遮蔽性のある白
色顔料ではあるけれども、これを布帛本体に付着させて
何ら問題はない。この中空微粒子は、特に限定はされな
いが、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、および/また
は、これらの共重合樹脂などからなるものが好ましく用
いられる。具体的には、ポリスチレン、ポリ−α−メチ
ルスチレンなどのスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メ
チル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸イソ
プロピル、ポリメタクリル酸イソブチル、ポリアクリロ
ニトリル、ポリメタクリロニトリルなどのアクリル系樹
脂の他、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリビニルアルコール、ポリ−o−ビニルベンジル
アルコール、ポリ−m−ビニルベンジルアルコール、ポ
リ−p−ビニルベンジルアルコール、ポリビニルホルマ
ール、ポリビニルアセタール、ポリビニルプロピオナー
ル、ポリビニルブチラール、ポリビニルイソブチラー
ル、ポリビニル−tert−ブチルエーテル、ポリビニ
ルピロリドン、ポリビニルカルバゾール、酢酸セルロー
ス、ポリカーボネート、さらにはこれらの共重合体など
があげられる。
【0031】中空状粒子の中空体積率は、25容量%以
上のものが好ましく用いられ、その構造は、多数の微細
孔を有するもの、単シェル層を形成するもの、多重シェ
ル層を形成するものなどがあげられる。中空体積率と
は、粒子体積に対する中空部分の体積の割合をいう。中
空部分の体積は、特開昭56−32513号公報記載の
ように、中空粒子を炭化水素オイル(nD 1.51)に
浸漬した後に光学顕微鏡で観察することによって測定で
きる。
【0032】中空状粒子は、水系の分散状態や乾燥した
粉末状で容易に入手出来る。保温性布帛を後述の溶剤系
配合組成物を用いて製造する場合は、溶剤に対する不溶
性を持たせるため、架橋型の中空状粒子が好ましく用い
られる。布帛の保温性をさらに向上させるためには、赤
外線吸収剤をも布帛に付与することが好ましい。中空微
粒子に赤外線吸収剤を併用した場合、赤外線吸収剤だけ
を布帛に付与したものに比べ、予想をはるかに越えて、
保温効果が向上する。すなわち、太陽光などの比較的強
い赤外線を吸収し、温度が上昇した布帛の温度を維持し
続けられることに加え、赤外線吸収剤だけではエネルギ
ーの放出が速いために確認できなかった、人体から発せ
られる弱い赤外線も蓄積することができ、保温性を飛躍
的に向上させることができるのである。赤外線吸収剤と
しては、特に限定されないが、金属酸化物系微粒子、カ
ーボンブラック、有機化合物の赤外線吸収色素などを用
いることができる。赤外線吸収剤の中でも特に、金属酸
化物系微粒子は、赤外線吸収性能と赤外線反射性能を合
わせ持つものが多く、好適である。具体的には、アンチ
モンドープ酸化錫(ATO)やスズドープ酸化インジュ
ーム(ITO)などの100nm以下の金属酸化物系微
粒子が好ましく用いられる。このような金属酸化物系微
粒子は、可視光線を透過する透明な材料でもあり、布帛
本体の色相に変化を与えない点でも好ましい。この種の
金属酸化物系微粒子は、水系の分散品やトルエンなどの
溶剤系分散品として入手することができる。一般に黒顔
料として使用されるカーボンブラックも、有効な赤外線
吸収剤であり、塗布だけでなく、繊維に練り込むこと
で、保温性を向上させることも出来る。カーボンブラッ
クの粒子径は、特に限定されないが、黒顔料等に用いら
れている数μm程度の粒子径であればよい。カーボンブ
ラックは、布帛の色相が黒やネービーブルー、エンジ色
などの濃色品である場合に好ましく使用される。カーボ
ンブラックを淡色の薄地布帛本体に付与すると、布帛本
体の色がグレー化する傾向がある。
【0033】中空微粒子および/または赤外線吸収剤の
布帛本体に対する付与量としては、中空微粒子は布帛の
1平方メートル当たり1g以上、30g以下が好まし
く、1g以上、10g以下がより好ましい。赤外線吸収
剤は1平方メートル当たり0.01g以上、10g以下
が好ましい。カーボンブラックを赤外線吸収剤として使
用する場合は1平方メートル当たり0.1g以上、10
g以下付与するとよい。
【0034】中空状粒子や赤外線吸収剤を布帛へ付与す
る手段としては、特に限定はなく、例えば、1)前記吸
水性樹脂微粒子を布帛へ固定する際の樹脂塗膜層となる
樹脂組成物中に、中空状粒子や赤外線吸収剤を配合し、
吸水性樹脂微粒子と同時に付与するか、2)布帛へ吸水
性樹脂微粒子を付与した後、その上からさらに、バイン
ダー樹脂を用いて中空状粒子や赤外線吸収剤を付着させ
るか、3)布帛へ吸水性樹脂微粒子を含む樹脂塗膜層を
塗布する前に、布帛に直接、バインダー樹脂を用いて中
空状粒子や赤外線吸収剤を付着させるか、4)中空状粒
子や赤外線吸収剤を繊維に直接練り込む、等の方法を採
用することができる。
【0035】2)および3)の方法の場合に用いられる
バインダー樹脂は、特に限定されるものではないが、例
えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹
脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、ナイロン樹脂な
どを使用することができる。中空微粒子と赤外線吸収剤
の配合量は、例えば、バインダー樹脂(固形分)100
重量部に対し中空微粒子1〜2000重量部、赤外線吸
収剤1〜200重量部であることが好ましい。このよう
に、中空微粒子および/または赤外線吸収剤と、これら
を布帛に付与するためのバインダー樹脂とからなる配合
組成物は、水系、溶剤系のいずれで構成しても良いが、
入手出来る材料の組成を考えると、水系の方が構成しや
すい。溶剤としては、トルエン、イソプロピルアルコー
ル、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、酢酸
エチルなどが好ましく用いられる。この配合組成物に
は、メラミン系、イソシア糸、エポキシ系などの架橋剤
を併用してもよい。さらに、布帛本体に対する付着性を
向上させる等の目的で、吸水性樹脂微粒子を布帛へ固定
する際のバインダー樹脂に用いるような前述の添加剤を
さらに配合しても良い。なお、バインダー樹脂の付与量
は、樹脂固形分基準で、1平方メートル当たり0.1g
以上、30g以下にすることが好ましい。
【0036】本発明の保温性布帛は、衣服の少なくとも
一部に好適に用いることができる。このように、前記保
温性布帛を用いた本発明の防寒用衣服としては、具体的
には、コート、ジャケット、ジャンパー、スキーウエア
ー、登山用ヤッケ、ウインドブレーカー、手袋、靴、肌
着等を挙げることができる。保温性布帛を本発明の防寒
用衣服に用いる方法としては、たとえば、表地または裏
地に限定することなく、使用することができ、防水性能
を有しながら、体から出る湿気を吸収し、結露を防ぎ、
かつ、湿気を吸うことにより、発熱し、保温性を有す
る。
【0037】本発明の保温性布帛は、衣服以外にも、保
温性や結露防止の向上が望まれる用途、たとえば、カー
テン、布団類(布団カバー、布団側地、布団インナー
等)、保温カバー等に用いることができる。
【0038】
【実施例】以下に、実施例により、本発明をより具体的
に説明する。なお、本発明の保温性布帛と未加工の比較
対照布帛の保温性の測定は、以下のように行った。10
cm×10cmの試料を準備し、120℃の熱風オーブン中
に1時間放置する。次に、20℃の雰囲気においた塩化
カルシウムを入れたデシケーター中に試料を入れ放冷す
る。次に温度計に試料を巻きつけ、更にその上にポリエ
ステルポンジ(タテ×ヨコ 2cm×15cm)の袋をかぶ
せ輪ゴムで試料と袋を温度計に固定し、25℃×90%
RHに設定した恒温恒湿器の中に試料をつけた温度計を
入れ、温度上昇を測定した。 測定値は吸水性微粒子を
入れない比較対照での温度上昇を差引いたプラス数値で
表示した。
【0039】温度計は、棒状の接触温度計513E、記
録計AP210(共に安立計器製)を用いた。結露量の
測定は、以下のように行った。40℃のお湯が500m
l入っている500mlビーカーに、吸水性樹脂微粒子
付与面(両面に付与されている場合には衣服等で使用す
る場合の内側)がビーカー内側になるように試料を覆
い、輪ゴムで固定する。このビーカーを10℃、60%
RHの条件下の恒温恒湿器中に1時間放置する。1時間
後における樹脂面に付着した水滴量を測定して、結露量
を求め単位をg/m2・hrに換算した(樹脂面に付着し
た水滴量の測定は、上記恒温恒湿器中に1時間放置後の
試料の重量を測定した後、結露した水滴をろ紙で除去し
試料の重量を測定し、この二つの重量差により得られ
る)。
【0040】赤外線ランプ照射温度上昇測定は、以下の
ように行った。人工気象室内20℃、65%RHの環境
下で、15cm×15cmの試料および基準布を発泡ス
チロールの上に置き、250W赤外線ランプ(ジェブ電
気社製)を用いて赤外線を照射する。試料および基準布
の周辺(前記発泡スチロールの試料および基準布が置い
ていない部分)の表面温度が31℃になったとき、試料
表面および基準布表面の赤外線放射温度をサーモトレー
サー(日本電気三栄(株)製「3102」)にて測定
し、試料の基準布に対する温度差を求める。
【0041】以下の実施例で用いられた吸水性樹脂微粒
子は、いずれも、架橋重合により得られたアクリル系の
吸水性樹脂微粒子である。 (実施例1)ポリエステル100%からなるタフタ織物
(密度76×90本/インチ)を分散染料カヤロンポリ
エステルブラックEX−SF(日本化薬(株)製)を使
用し10%o.w.fの濃度で染色されたものを布帛と
して使用した。アサヒガードAG710(撥水剤、明成
化学(株)製)の5%溶液に生地を浸した後、マングル
で絞り、乾燥して、170度でセットし、撥水加工を行
った。
【0042】保温性付与のために、下記の溶液を用意し
た。なお、アクリル樹脂はブチルアクリレート/エチル
アクリレート/アクリロニトリル/2−ヒドロキシエチ
ルメタクリート(重量比 70:18:10:2)の共
重合体を使用した。 コーティング樹脂配合組成 吸水性樹脂微粒子 10重量部 (エマルジョン、固形分40%) アクリル共重合樹脂のトルエン溶液 100重量部 (固形分20%) 尿素ホルマリン樹脂微粒子 15重量部 (平均粒子径4%μ、吸油量300ml/100g) シリコン系撥水性化合物 10重量部 レザミンD−52 3重量部 (大日精化(株)製、架橋剤) 触媒(錫系触媒) 1重量部 トルエン 10重量部 次に、布帛の片面にナイフコーティング法により、上記
溶液を付与した。次に、120℃で乾燥し、保温性布帛
を得た。
【0043】得られた保温性布帛の性能を結果を表1に
記した。 (比較例1)実施例1と同一の布帛を試験に用いた。コ
ーティング用樹脂組成としては吸水性微粒子と尿素ホル
マリン樹脂を除いた下記のものに変更した。 コーティング樹脂配合組成 アクリル共重合樹脂のトルエン溶液 100重量部 (固形分20%) シリコン系撥水性化合物 10重量部 レザミンD−52 3重量部 (大日精化(株)製、架橋剤) 触媒(錫系触媒) 1重量部 トルエン 10重量部 この樹脂組成物を実施例1と同一の手順でコーティング
した。次に、120℃で乾燥し、保温性布帛を得た。
【0044】得られた保温性布帛の性能を結果を表1に
記した。 (実施例2)ナイロン100%からなるタフタ織物(密
度76×90本/インチ)を酸性染料三井ナイロブラッ
クGL(三井バーディシュ製)を使用し1%o.w.f
の濃度で染色されたものを布帛として使用した。
【0045】アサヒガードAG710の5%溶液に生地
を浸した後、マングルで絞り、乾燥して、170度でセ
ットし、撥水加工を行った。機能性付与のために、下記
の溶液を用意した。なお、アクリル樹脂はブチルアクリ
レート/エチルアクリレート/アクリロニトリル/2−
ヒドロキシエチルメタクリート(重量比 70:18:
10:2)の共重合体を使用した。
【0046】 コーティング樹脂配合組成 吸水性樹脂微粒子 10重量部 (エマルジョン、固形分40%) アクリル共重合樹脂のトルエン溶液 100重量部 (固形分20%) 尿素ホルマリン樹脂微粒子 15重量部 シリコン系撥水性化合物 10重量部 レザミンD−52 3重量部 (大日精化(株)製、架橋剤) 触媒(錫系触媒) 1重量部 A−514−5S 0.5重量部 (大日本インキ(株)製、カーボンブラック) トルエン 10重量部 次に、布帛の片面にコーティング法により、上記溶液を
付与した。次に、120℃で乾燥し、保温性布帛を得
た。
【0047】得られた保温性布帛の性能を結果を表1に
記した。 (比較例2)実施例2と同一の布帛を試験に用いた。
コーティング用樹脂組成としては吸水性微粒子を除いた
下記のものに変更した。 コーティング樹脂配合組成 アクリル共重合樹脂のトルエン溶液 100重量部 (固形分20%) 尿素ホルマリン樹脂微粒子 15重量部 シリコン系撥水性化合物 10重量部 レザミンD−52 3重量部 (大日精化(株)製、架橋剤) 触媒(錫系触媒) 1重量部 A−514−5S 0.5重量部 (大日本インキ(株)製、カーボンブラック) トルエン 10重量部 この樹脂組成物を実施例2と同一の手順でコーティング
した。次に、120℃で乾燥し、保温性布帛を得た。
【0048】得られた布帛の性能を結果を表1に記し
た。 (実施例3)ナイロン100%からなるタフタ織物(密
度85×120本/インチ)を酸性染料イルガランネビ
ーブルーB(チバスペシャリティーケミカルズ製)を使
用し2%o.w.fの濃度で染色されたものを布帛とし
て使用した。
【0049】アサヒガードAG710の5%溶液に生地
を浸した後、マングルで絞り、乾燥して、170度でセ
ットし、撥水加工を行った。機能性付与のために、下記
ウレタン系コーティング樹脂組成物を用意した。 アクアキープ 5重量部 (住友精化製、吸水性樹脂微粒子、粒子径15ミクロン) HMP−17A 100重量部 (三洋化成製、透湿性ウレタン樹脂、固形分30%) 尿素ホルマリン樹脂微粒子 15重量部 ジメチルホルムアミド 20重量部 メチルエチルケトン 10重量部 NH−10 3重量部 (大日本インキ製、溶剤撥水剤) 次に、布帛の片面にナイフコーティング法により、上記
組成物を付与し、120℃で乾燥し、保温性布帛を得
た。その性能測定結果を表1に記した。 (比較例3)実施例3と同一の布帛を試験に用いた。た
だし、コーティング樹脂組成は吸水性樹脂微粒子を省い
た組成に変更した。
【0050】実施例3と同一手順により、コーティング
布帛を得た。実施例で得られた保温性布帛と同時に行っ
た吸水性樹脂微粒子を含まないコーティング樹脂組成で
処理した比較例の布帛の性能比較を行った。その性能測
定結果を表1に記した。 (実施例4)ポリエステル100%からなるタフタ織物
(密度76×90本/インチ)を分散染料カヤロンポリ
エステルブラックEX−SF(日本化薬(株)製)を使
用し10%o.w.fの濃度で染色されたものを布帛と
して使用した。
【0051】アサヒガードAG710の5%溶液に生地
を浸した後、マングルで絞り、乾燥して、170度でセ
ットし、撥水加工を行った。機能性付与のために、下記
の溶液を用意した。なお、アクリル樹脂はブチルアクリ
レート/エチルアクリレート/アクリロニトリル/2−
ヒドロキシエチルメタクリート(重量比 70:18:
10:2)の共重合体を使用した。
【0052】樹脂配合組成として吸水性樹脂微粒子、ア
ミノ樹脂(尿素ホルマリン樹脂)微粒子に加えて分散染
料の移行昇華防止のため、吸着剤として合成シリカを併
用した。 コーティング樹脂配合組成 吸水性樹脂微粒子 10重量部 (エマルジョン、固形分40%) アクリル共重合樹脂のトルエン溶液 100重量部 (固形分20%) 尿素ホルマリン樹脂微粒子 10重量部 (平均粒子径4%μ、吸油量300ml/100g) サイリシア470 5重量部 (富士シリシア製、合成シリカ、表面積 700m2/g) シリコン系撥水性化合物 10重量部 レザミンD−52 3重量部 (大日精化(株)製、架橋剤) 触媒(錫系触媒) 1重量部 トルエン 10重量部 次に、布帛の片面にナイフコーティング法により、上記
溶液を付与した。次に、120℃で乾燥し、保温性布帛
を得た。
【0053】得られた保温性布帛の性能を結果を表1に
記した。 (実施例5)実施例2にて得られた保温性布帛に対し、
吸水性樹脂微粒子を付与した面に、下記の配合組成物を
グラビアロールを使用して7g/m2 塗布した後、12
0℃で乾燥し、保温性布帛を得た。
【0054】得られた保温性布帛の性能を結果を表1に
記した。 配合組成物 水系アクリル樹脂 7.0重量% (新中村化学製「EX628」固形分40%) アクリル/スチレン共重合微粒子の水分散液 85.0重量% (中空微粒子径0.45μm、中空率50%、固形分40%) ATO水分散液 8.0重量% (金属酸化物系微粒子径50nm以下、固形分15%)
【0055】
【表1】
【0056】(実施例6)実施例1で得られた保温性布
帛を表地に用い、ボリエステルのタフタを裏地に用いた
ジャンバーを作製した。気温5℃の状態で、このジャン
バーを着用し、30分間運動を行い、その後安静にし
た。その結果、運動時にムレ感がほとんどなく、表地お
よび裏地はぬれず、安静にしていても寒くはなかった。 (比較例4)実施例1で得られた保温性布帛の代わりに
比較例1で得られた布帛を用いた以外は、実施例6と同
様にして、ジャンバーを作製した。気温5℃の状態で、
このジャンバーを着用し、30分間運動を行い、その後
安静にした。その結果、運動時にムレ感があり、結露し
た汗により裏地までぬれてしまった。さらに、安静時は
非常に寒かった。
【0057】
【発明の効果】本発明にかかる保温性布帛は、布帛の厚
み、目付、外観に制限がないので、あらゆる布帛に適用
することができ、しかも、赤外線の有無等に関わらずあ
らゆる場面において優れた保温性を発揮することができ
る。また、本発明の保温性布帛は、加工前の布帛本体に
比べ、外観、厚み、手触りがほとんど変化しないため、
用途が限定されず、汎用性に優れている。
【0058】本発明の防寒用衣服は、人体などから出て
くる湿気(汗)やその湿気が衣服内で結露した水を吸収
し衣服外に放出することにより快適性を保ち、さらに発
熱することにより優れた保温性を発揮し、快適性に優れ
た衣服となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A41D 31/00 504 A41D 31/00 504A B32B 5/30 B32B 5/30 Fターム(参考) 4F100 AA20B AA20H AK01B AK01H AK25B AK35B AK35H AK41A AK51B AR00A AR00B AR00H AS00B BA02 BA10A BA10B CA30A DE01B DE01H DE04B DE04H DG11A DG12A GB72 JB06A JB06B JB06H JD10B JD14B JD15B JD15H JJ02 JL07 YY00 4L033 AC07 AC15 CA06 CA18 CA36 CA50 CA59 CA70

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】布帛に吸水性樹脂微粒子を付与してなり、
    吸湿ないし吸水による温度上昇が0.5℃以上である、
    保温性布帛。
  2. 【請求項2】前記吸水性樹脂微粒子がバインダー樹脂に
    よって布帛に固着されている、請求項1に記載の保温性
    布帛。
  3. 【請求項3】前記バインダー樹脂がアクリル樹脂および
    ウレタン樹脂のうちの一方である、請求項2に記載の保
    温性布帛。
  4. 【請求項4】前記バインダー樹脂がアミノ樹脂微粒子を
    も含む、請求項2または3に記載の保温性布帛。
  5. 【請求項5】前記バインダー樹脂が合成シリカ微粒子を
    も含む、請求項2から4までのいずれかに記載の保温性
    布帛。
  6. 【請求項6】布帛に撥水性化合物をも付与してなる、請
    求項1から5までのいずれかに記載の保温性布帛。
  7. 【請求項7】布帛に直径1.0μm以下の中空微粒子を
    も付与してなる、請求項1から6までのいずれかに記載
    の保温性布帛。
  8. 【請求項8】布帛に赤外線吸収剤をも付与してなる、請
    求項1から7までのいずれかに記載の保温性布帛。
  9. 【請求項9】結露量が15g/m2・hr以下である、請求
    項1から8までのいずれかに記載の保温性布帛。
  10. 【請求項10】少なくとも一部に、請求項1から9まで
    のいずれかに記載の保温性布帛を用いた防寒用衣服。
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