JP2005105493A - 保温・保冷性布帛および衣服 - Google Patents

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泰尚 嶋野
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Abstract

【課題】 あらゆる布帛に対し、あらゆる場面において、優れた保温・保冷性を発揮できる汎用性があり、熱緩衝性物質の液化によるべとつきを抑えた保温性の高い保温・保冷性布帛とこれを用いた衣服を提供することにある。
【解決手段】 繊維布帛基材の少なくとも片面に40℃のニュートン粘度が1万Pa・s〜1000万Pa・sである熱緩衝性物質を付与してなる保温・保冷性布帛を提供するものである。また、熱緩衝性物質が樹脂バインダーにより繊維布帛に少なくとも片面に付与されている。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、保温・保冷性が望まれている衣料、カーテン、布団類、保温または保冷用のカバー等に利用できる保温・保冷性布帛とこれを用いた保温・保冷性衣服に関する。
保温・保冷性布帛を得るための手段については、以下に述べるように、これまでいろいろな提案がされているが、いずれにおいても種々の問題があった。
すなわち、第1の方法は、太陽光などからの赤外線を吸収する材料を布帛に付着させて保温性を高める方法であり、具体的にはカーボンブラックや着色金属炭化物(例えば、炭化ジルコニウム)などの赤外線吸収剤を繊維に練り込んだり、塗布したりする方法である。しかし、この方法で製造された保温性布帛は、太陽光があるときにのみ未加工布帛と比べて暖かいというものであるが、太陽光があるときに暖かいことは当然であり、しかも太陽光があるときに保温性を求める必要性は低く、実用性に乏しいという問題がある。
第2の方法は、パラフィン類などの相変化材料をマイクロカプセル化し、樹脂バインダーにより布帛に固着させて保温性を発揮させる方法である(例えば、特許文献1参照)。相変化材料は、溶融するときに吸熱して環境温度を低下させ、固化するときには発熱して環境温度を上昇させて、保温性を発揮するものであるが、マイクロカプセルは一般的に耐溶剤性が低いものが多いため、布帛に付与する際に用いられる溶剤の種類等条件が制限されることがある。また、マイクロカプセルを用いずに布帛に相変化物質を付与すると衣服内の温度が上昇し、相変化物質が溶融すると、相変化物質が布帛表面に滲み出しべとつきなどが発生する。
第3の方法は、布帛にデッドエアーを形成することにより、空気の対流による熱損失を防ぎ、保温性を高める方法である。具体的には、毛布などのように、起毛、立毛によりデッドエアーを形成する方法、中空繊維を使用してデッドエアー層を形成する方法がある。しかしながら、前者の方法には、布帛の素材や用途の特性から、起毛、立毛状態を作ることが困難なものが多く、デッドエアーを形成できる布帛の種類がかなり限定されてしまうという問題がある。中空繊維を使用する方法では、糸の製造段階から商品設計が必要であり、製造コストが高くなり、加工も複雑であって、汎用的でないという問題がある。
また、例えば、特開平9−59872号公報(特許文献2)等に記載のアクリロニトリル系繊維は、高吸湿性であり、湿気を吸うと発熱するため、保温性に優れることが知られている。しかし、このアクリロニトリル系繊維は、吸湿性に優れているがゆえに、湿気を吸うと、繊維表面が膨潤し、触るとヌルみがあり、それだけを用いたのでは繊維製品としての商品価値がほとんどない。そこで、このアクリロニトリル系繊維を、絹、綿、羊毛、ポリエステル、アクリル、ナイロン、レーヨン繊維などと混紡、混繊して、吸湿性の必要な布団綿等として使用する試みがなされている。しかし、この混紡方法では、その改善効果がいまだ十分でないほか、このアクリロニトリル系混紡繊維を用いて織物を得る場合には、中空繊維の場合と同様に、糸の製造段階から商品設計が必要であり、製造コストが高くなり、加工も複雑であるため、この方法もやはり汎用的ではない。
特開平5−156570号公報 特開平9−59872号公報
そこで、本発明の課題は、あらゆる布帛に対し、あらゆる場面において、優れた保温・保冷性を発揮できる汎用性があり、熱緩衝性物質の液化によるべとつきを抑えた実用性の高い保温・保冷性布帛と、これらを用いた衣服を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下の保温・保冷性素材を見出し、本発明に到達したものである。
したがって、本発明は、繊維布帛基材の少なくとも片面に40℃のニュートン粘度が1万Pa・s〜1000万Pa・sである熱緩衝性物質を付与してなる保温・保冷性布帛を提供する。
本発明は、また、上記発明の保温・保冷性布帛に付与されている熱緩衝性物質が樹脂バインダーにより繊維布帛の片面に付与されているとよい。
本発明は、また、上記本発明の保温・保冷性布帛に付与されている熱緩衝性物質の粒子径が1μm以上1000μm以下であるとよい。
本発明は、また、上記本発明の保温・保冷性布帛に赤外線吸収剤をも含まれているとよい。
本発明は、さらに、上記発明の保温・保冷性布帛を含む衣服を提供する。
本発明は、また、上記発明の保温・保冷性衣服に裏地を含む保温・保冷性衣服を提供する。
本発明の保温・保冷性布帛を用いて作業用ジャンパー等を製造すれば、作業前や作業後、あるいは作業中に、従来寒いと感じていた環境でも、保温性を発揮し、寒さを防ぐため、より快適な衣服内の環境を作り出すことができる。また、保温性に優れているため、従来ダウンや中綿を用いていた製品に対してもダウンを使用しなかったり、使用量を減らすことが可能となるため、より軽く、ごわつきのない運動性等に優れた衣服等を提供することができる。さらに、熱緩衝性物質の液化を防ぎ、べとつきを抑えるため、より快適な保温・保冷性布帛、衣服を提供できる。
とりわけ、冬の寒い日に部屋の中から外へ出たとき、本発明の衣服を着用していても冷えてはいくが、その冷え方は従来の保温素材と比較して緩やかであり、徐々に冷えていくことによって身体に対する負担が少なく、疲労を抑えることができる。また、寒い環境下で徐々に衣服内温度が低下し、その温度が一定となった最低温度も、同じ厚さの素材と比べ著しく高い。
よって、本発明によれば、製品の重量を軽く、かさも小さくできるため、運動性、携帯性、保温性に優れたスキーウエアーなどの運動用衣服、アノラックなどの作業用ジャンパー、テント、手袋などを提供することができる。
本発明に使用できる繊維布帛基材としては、綿、絹、羊毛などの天然繊維、ポリエステル、ポリアミド、アクリルなどの合成繊維、ジアセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、レーヨンなどの再生繊維やこれらを複合した織物、編物、不織布等が挙げられる。
また、熱緩衝性物質とは、外部の急激な温度変化に対してその温度変化を緩衝することにより人体等への温度による衝撃を和らげることのできるものであり、例えば、固体から液体あるいは液体から固体へと相変化が起こる場合に生じる潜熱を利用し得る物質を挙げることができる。この熱緩衝性物質は、固体から液体あるいは液体から固体へと相変化する場合に生じる潜熱が急激な温度変化から身体を保護することとなる。また、固体から液体のように相の状態に大きな変化がおこるものでなくても、ガラス転移点などの結晶の状態に変化がおこるときの潜熱を利用できるものであってもよい。
本発明においては、40℃のニュートン粘度が1万Pa・s〜1000万Pa・s、より好ましくは100万Pa・s〜1000万Pa・sである熱緩衝性物質が用いられる。これは、n−オクタデカンなどのパラフィンを用いた場合には、衣服などでの着用時に融点以上の高温となった場合、樹脂膜中にn−オクタデカンが取り込まれている状態であっても、n−オクタデカンが粘度の低い液体となり樹脂からしみ出す危険性があり、また、しみださなくても樹脂にべとつきが生じ衣服としての実用性に欠けるものとなる。
本発明に使用した粒子状の熱緩衝性物質は、布帛使用時の体温付近で軟化はするが液化することを防ぎ、べとつきを抑制するものである。このような熱緩衝性物質は、高分子化された熱緩衝性物質で実現可能である。また、分子内の一部に架橋構造をとっていてもよい。
高分子化された熱緩衝性物質としては、n−ステアリルメタクリレートのようなアクリル酸にパラフィン類を結合させたものを更に複数個結合させ高分子化したものやアクリル樹脂にパラフィン系化合物をグラフト重合させたものなどが挙げられる。また、粒子状物質とするためにはこれらのものにさらに水酸基を有するとよい。
他の熱緩衝性物質としては、水、カルボキシメチルセルロースまたはその塩等、カルボキシビニルポリマー、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、必要に応じて金属類、多価アルコール、さらに必要に応じてグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、界面活性剤などを原料に用いて得られた物質が挙げられ、ゲル化等を行なったものが好ましく用いられる。
上記の熱緩衝性物質は配合して用いられてもよい。
なお、本発明の熱緩衝性物質のニュートン粘度はストレス制御式レオメーターCSL500(キャリメ社:イギリス)を用いクリープ試験より求めたものである。
また、本発明の熱緩衝性物質は粒子状のものが好ましく、粒子は、一定の大きさのものが均一に存在しているものであるよりも種々の粒子径のものが混在しているものであるのが好ましく、さらに、粒子径は1μm以上1000μm以下が好ましく、この粒子径の範囲から外れるものが多少混在していてもよい。ただし、粒子径が大きすぎると風合いが硬くなり、肌触りがざらざらしたものになってしまう。
なお、粒子径は、粒子の電子顕微鏡写真(500倍)を撮り確認した。
また、粒子状の熱緩衝性物質として、熱緩衝性物質をマイクロカプセルに封入し相変化物質が液状になったときの、べとつきの発生など布帛使用上の問題を防ごうとしたものもあるが、マイクロカプセルは耐溶剤性に乏しく、また、マイクロカプセルの壁材としてメラミンが多用されるがホルマリンが発生し健康上好ましくない。
本発明は、繊維布帛基材の少なくとも片面に熱緩衝性物質を付与してなるのであるが熱緩衝性物質は樹脂を介し、繊維布帛基材に付与されていることが好ましい。熱緩衝性物質の付与量は、樹脂固形分100重量部に対し1〜100重量部であるのが好ましい。1重量部未満では、保温性に対する寄与が十分でないことがある。また、100重量部を超えると、熱緩衝性物質の繊維布帛基材への磨耗などに対する強度が低下し、実用性が低下することがある。より好ましくは、樹脂固形分100重量部に対し10〜50重量部の範囲である。
本発明において、熱緩衝性物質を繊維布帛基材に付与するために樹脂バインダーを用いるとよいが、その樹脂バインダーとしては、防水性を有するアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などの樹脂を挙げることができ、また、水系のウレタン樹脂を使用することも可能である。また、上記樹脂中には、熱緩衝性物質の他、下記の赤外線吸収剤をはじめ、架橋剤、顔料、酸化防止剤、耐光向上剤、紫外線吸収剤などを添加してもよい。
かかる樹脂バインダーが付与された保温・保冷性布帛に、耐水圧300mm以上(JIS L 1092 低水圧法)、好ましくは1000mm以上である防水性を付与するとよい。
本発明の保温・保冷性布帛においては、透湿性(JIS L1099)が塩化カルシウム法(A−1法)で2000g/m・24hrs以上であり、酢酸カリウム法(B−1法)で2000g/m・24hrs以上が好ましく、透湿性が塩化カルシウム法で3000g/m・24hrs以上であり、酢酸カリウム法で20000g/m・24hrs以上であるとより好ましい。
さらに、本発明の保温・保冷性布帛は、保温・保冷性の向上の観点から、赤外線吸収剤を含むのが好ましい。赤外線吸収剤を含むとは繊維布帛基材としては、繊維布帛基材を構成する繊維中に赤外線吸収剤を練り込んだものや、繊維や織編物の表面また熱緩衝性物質を繊維布帛基材に付与している樹脂などの表面にバインダー等を介して赤外線吸収剤を付与したものなどが挙げられる。また、先の熱緩衝性物質を繊維布帛基材に付与している樹脂バインダー中に含まれていてもよい。
赤外線吸収剤としては、特に限定はされないが、金属酸化物系微粒子、カーボンブラック、有機化合物の赤外線吸収色素などを用いることができる。これらの赤外線吸収剤のなかでも、金属酸化物系微粒子は、赤外線吸収性能と赤外線反射性能を併せ持つものが多く、特に好ましい。具体的には、アンチモンドープ酸化錫(ATO)や錫ドープ酸化インジウム(ITO)などからなる粒径100nm以下の金属酸化物系微粒子が好ましく用いられる。
このような金属酸化物系微粒子は、可視光線を通過する透明な材料でもあり、素材本体の色相に変化を与えない点でも好ましい。また、一般に黒色顔料として使用されるカーボンブラックも有効な赤外線吸収剤であり、素材の色相が問われない場合や繊維基材の色相が黒、ネビー、エンジなどの濃色である場合に好ましく使用される。
赤外線吸収剤の付与量は、保温・保冷性布帛に対して0.1g/m〜100g/mであるのが好ましい。
次に、本発明の防水保温性布帛の製造方法の一例に従い説明する。例えば、本発明の保温・保冷性布帛は、必要に応じて撥水加工、赤外線吸収剤付与などを行った繊維布帛基材に、熱緩衝性物質を添加した樹脂溶液を直接コートするダイレクトコーテイング法により製造することができる。コーティングの具体的な手法としては、ナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーターなどを用いる方法がある。
塗布する樹脂溶液の量は、溶剤等を含んだウエットの状態において5〜300g/m、より好ましくは5〜200g/mであるのが好ましい。また、樹脂溶液中には、熱緩衝性物質以外に、架橋剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、顔料などの添加剤を添加してもよい。
また、離型紙の上に熱緩衝性物質を含む樹脂溶液を付与し、乾燥して樹脂皮膜を形成した後、ウレタン樹脂などの2液タイプの接着剤やホットメルト接着剤を樹脂皮膜上に塗布し、乾燥した後、熱ロールを用いて繊維布帛基材と貼り合わせるドライラミネート法を用いることもできる。
塗布する樹脂溶液の量は、溶剤等を含んだウエットの状態において10〜300g/m、より好ましくは20〜200g/mであるのが好ましい。また、樹脂溶液中には、熱緩衝性物質以外に、架橋剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、顔料などの添加剤を添加してもよい。
本発明の保温・保冷性布帛は、繊維布帛基材の少なくとも片面に40℃のニュートン粘度が1万Pa・s〜1000万Pa・sである熱緩衝性物質を付与してなるものであるが織物、編物、不織布などの少なくとも片面に、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、四フッ化フルオロエチレンなどのフッ素樹脂などからなる樹脂膜を付与したものを繊維布帛基材として用い、その少なくとも片面に上記熱緩衝性物質を付与したものであってもよい。
本発明は、さらに上記の保温・保冷性布帛を含む衣服を提供する。かかる衣服としては、ジャンパー、アノラック、スキーウエアーやスノーボードウエアー等の防寒用衣服の他にも、ジョギングウエアー、野球用ユニホーム、ラガーシャツ、サッカーユニホームをはじめとするスポーツウエアーやTシャツなどの肌着等の一般用衣服、ならびに一般の作業着や過酷な条件下で用いられる作業着等の衣服が挙げられる。特に、裏地をも有する衣服保温・保冷性布帛に用いられるとよい。
これらの衣服は、暑い環境から寒い環境へまたは寒い環境から暑い環境へ移動した場合等の様々な温度変化に対して優れた緩衝効果を達成することができ、着用者にとって快適なものとなる。
また、本発明の保温・保冷性素材および布帛は、衣服以外にも、優れた保温・保冷性や結露防止性が望まれる用途、例えば、カーテン、布団類(布団カバー、布団側地、布団インナー等)、保温カバー、手袋等にも用いることができる。
以下、実施例により、本発明をさらに説明する。
本発明における保温・保冷性に関するメカニズムについてはよく解析されていない部分がある。保温性の評価に関しては、従来からASTMによる方法やJIS L1096による方法が提案されているが、実際の着用における保温性と前者の器具を用いたモデル的な測定の間には相関が認められなかった。したがって、本発明における保温・保冷性は、以下に述べるように人間が実際に着用し、その時の衣服内の温度変化を測定した結果に基づくものである。
衣服内の測定方法は、ガーメント(1枚もの(裏地や中綿のないもの)のカッパ)として、本発明の保温・保冷性布帛と、比較として熱緩衝性物質を添加しない樹脂を生地にコーティングした布帛(以下、ブランクという)とを左右対称になるように縫製したものを使用する。
温度センサーを、直接皮膚の上に貼るのではなく、下着とフリースを着用した上に貼付し、その上からガーメントを着用する。温度センサーを直接皮膚の上に貼ると体温を測定してしまうことになり、保温性の評価にならなくなる。
センサーの貼付位置は背中肩胛骨付近に左右対称とする。人間の体温は場所によって異なる。これは、赤外線カメラで人体の背中付近を撮影するとわかるが、同じ肩胛骨付近であってもかなりばらつきがあるので、センサーは、左右に8個ずつ、合計16個使用し、8個のセンサーの示す平均値をそのときの温度とし、5秒おきに計測して、データを収集した。試験回数を重ねるなかで、人体を使用した試験であっても再現性のあるデータを収集することができた。また、センサーとしては、熱電対を使用している。
また、本発明における保温性は蓄熱性によるものと考えられるので、室温が30℃の部屋で、ブランク、保温・保冷性布帛とも温度をほぼ一定にした後、室温が10℃の部屋に移し、1時間にわたりその温度変化を測定した。温度変化が小さく、測定時の温度がより高い場合に保温性が高いと判断できる。また、保温性があっても短時間で比較対象のブランクとの温度差がなくなってしまう場合や、逆に保温性を狙った水準がブランクより温度が下がってしまうケースもあった。そこで、1時間測定したのち、測定時間中の最大温度差(=保温・保冷性素材を用いた側の温度−ブランク側の温度)と1時間後の温度差(=保温・保冷性素材を用いた側の温度−ブランク側の温度)を保温性の指標とした。
(実施例1)
ポリエステルツイル(たて密度171本/2.54cm、よこ密度84本/2.54cm、たて糸、よこ糸とも111デシテックス/50フィラメント)を分散染料でブルー色に染色し、アサヒガードAG710の5%水溶液を用いて撥水加工を行なったものを繊維基材として用いた。
次に、下記組成の樹脂溶液を準備した。
樹脂溶液組成
ウレタン系樹脂(固形分30%、有機溶剤70%) 100部
(有機溶剤:ジメチルホルムアミド14%、メチルエチルケトン56%)
メチルエチルケトン 30部
微粉状熱緩衝性物質 10部(出光テクノファイン製 出光ポリマーCP)
40℃でのニュートン粘度 273万Pa・s、粒子径 1〜40μm

ここで用いたウレタン系樹脂は、エーテル−エステル系ポリウレタン樹脂を主体とするものであった。
上記樹脂溶液をナイフコーティング装置を使用して、上記繊維布帛基材の片面に50g/mの量で塗布した後、乾燥を行なった。次に、溶剤系撥水剤のアサヒガードAG5690の5%ミネラルターペン溶液を用いて撥水加工を行い、保温・保冷性布帛を得た。
この保温・保冷性布帛とブランクを用い、1枚もの(裏地や中綿のないもの)のガーメントを製造し、ブランク部分と保温・保冷性布帛部分との温度差を比較した。その結果、最大温度差は2.0℃、1時間後のそれは0.8℃であることがわかった。
なお、ブランクとして熱緩衝性物質を含まない樹脂をコーティングした布帛を次のように用意した。
ポリエステルツイル(たて密度171本/2.54cm、よこ密度84本/2.54cm、たて糸、よこ糸とも111デシテックス/50フィラメント)を分散染料でブルー色に染色し、アサヒガードAG710の5%水溶液を用いて撥水加工を行なったものを繊維基材として用いた。
次に、下記組成の樹脂溶液を準備した。
樹脂溶液組成
ウレタン系樹脂(固形分30%、有機溶剤70%) 100部
(有機溶剤:ジメチルホルムアミド14%、メチルエチルケトン56%)
メチルエチルケトン 30部
ここで用いたウレタン系樹脂は、エーテル−エステル系ポリウレタン樹脂を主体とするものであった。
上記樹脂溶液をナイフコーティング装置を使用して、上記繊維布帛基材の片面に50g/mの量で塗布した後、乾燥を行なった。次に、溶剤系撥水剤のアサヒガードAG5690の5%ミネラルターペン溶液を用いて撥水加工を行ないブランク用布帛を得た。
(比較例1)
熱緩衝性物質を出光ポリマーCPに変え、n−オクタデカンを用いた以外は実施例1と同様にし保温・保冷性布帛を得た。
この保温・保冷性布帛で、1枚もの(裏地や中綿のないもの)のガーメントを製造し、着用した。その後、30℃の部屋にいたところ膜面がべとつきはじめ、不快であった。べとつきの原因は液化したn−オクタンであると思われる。
n−オクタデカンのクリープ試験でのニュートン粘度を測定を試みたところ40℃ではn−オクタデカンは溶けて溶液状のためクリープ試験はできず、同じストレス制御式レオメーターCSL500(キャリメ社:イギリス)を用い粘度測定を行ったところ6.036×10−3であった(CASSON UP CURVE)。
(実施例2)
ポリエステルツイル(たて密度171本/2.54cm、よこ密度84本/2.54cm、たて糸、よこ糸とも100デニール/50フィラメント)を分散染料でブルー色に染色し、アサヒガードAG710の5%水溶液を用いて撥水加工を行なったものを繊維基材として用いた。
次に、下記組成の樹脂溶液を準備した。
樹脂溶液組成
ウレタン系樹脂(固形分30%、有機溶剤70%) 100部
(有機溶剤:ジメチルホルムアミド14%、メチルエチルケトン56%)
メチルエチルケトン 30部
微粉状熱緩衝性物質 10部
(出光テクノファイン性 出光ポリマーCP)
40℃でのニュートン粘度 273万Pa・s、粒子径 1〜40μm
さらに赤外線吸収剤としてATO微粒子トルエン分散液(金属酸化物系微粒子径50nm以下、固形分55%)を7.5重量部を添加した。ここで用いたウレタン系樹脂は、エーテル−エステル系ポリウレタン樹脂を主体とするものであった。
上記樹脂溶液をナイフコーティング装置を使用して、上記繊維布帛基材の片面に50g/mの量で塗布した後、乾燥を行なった。次に、溶剤系撥水剤のアサヒガードAG5690の5%ミネラルターペン溶液を用いて撥水加工を行ない保温・保冷性布帛を得た。
この構成体の保温性は、ブランクと比較して、最大温度差で3.0℃、1時間後で1.5℃であった。
ブランクとして、微粒子状熱緩衝性物質および赤外線吸収剤を含まない樹脂溶液を用いた以外は、上記保温性布帛と同一の繊維基材及び方法でブランク用布帛を得た。

Claims (6)

  1. 繊維布帛基材の少なくとも片面に40℃のニュートン粘度が1万Pa・s〜1000万Pa・sである熱緩衝性物質を付与してなる保温・保冷性布帛。
  2. 熱緩衝性物質が樹脂バインダーにより繊維布帛の少なくとも片面に付与されている請求項1記載の保温・保冷布帛。
  3. 熱緩衝性物質の粒子径が1μm以上1000μm以下である請求項1または2記載の保温・保冷性布帛。
  4. 赤外線吸収剤をも含む請求項1〜3記載の保温・保冷性布帛。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載した保温・保冷性布帛を含む衣服。
  6. 裏地をも有する請求項5記載の衣服。
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