JP2001240752A - 透湿防水布帛用樹脂組成物 - Google Patents

透湿防水布帛用樹脂組成物

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JP2001240752A JP2000053655A JP2000053655A JP2001240752A JP 2001240752 A JP2001240752 A JP 2001240752A JP 2000053655 A JP2000053655 A JP 2000053655A JP 2000053655 A JP2000053655 A JP 2000053655A JP 2001240752 A JP2001240752 A JP 2001240752A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】経時増粘がなく、コーティング時の塗布量異
常、塗布むら、カスレ等の問題のない透湿防水布帛用樹
脂組成物を提供する。 【解決手段】高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子、非水系ベ
ース樹脂溶液及び架橋剤とを含有する透湿防水布帛用樹
脂組成物であり、経時増粘値が1.5以下である透湿防
水布帛用樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は雨衣、登山、アスレ
チック、スキー、スノーボード、ゴルフ等のスポーツ衣
料、紳士、婦人服、コート類等のカジュアルウェア及び
各種外衣、冷凍庫、冷蔵庫などで作業するユニホーム等
各種衣料用として用いられる吸湿発熱、衣服内湿度低
減、結露防止効果を持つ透湿防水布帛用に用いられる樹
脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】保温性が要求される繊維製品には冬季に
使用する一般衣料(スーツ、コート等)、防寒衣料(ジャ
ンパー等)、またスキーなどの冬季スポーツ衣料ならび
に冷凍庫、冷蔵庫などで作業するユニフォーム等があ
り、保温性向上のために繊維集合体の繊維径を細くして
デッドエア層を増やすことや、繊維にセラミックスや金
属を練り込み遠赤外線の効果を期待する方法などが種々
提案されている。保温性を向上させる方法としては、例
えば繊維にセラミックスや金属を練り込む方法として
は、特開昭63−105107号公報の繊維製品の製造
方法や特開平7−331584号公報の防ダニ用遠赤外
線放射繊維等のように繊維に遠赤外線を放射するセラミ
ックス及び金属を練り込む方法が提案されている。しか
しながら、これらの方法はセラミックス及び金属を練り
込むことにより原糸の強力が低下したり、原糸が着色し
たりする欠点がある。コーティング剤やラミネート樹脂
の中にセラミックスや金属を添加する方法としては、特
開昭60−162641号公報の保温効果の優れたシー
ト状素材や特開昭63−35887号公報のコーティン
グ布帛、特開平1−183579号公報のセラミックス
をコーティングした布または紙製品などが開示されてい
る。しかし、これらの方法では保温性は得られるが添加
剤の吸放湿性に由来する衣服内湿度低減、結露防止効果
は得られていなかった。一方、透湿防水衣料の着用時の
蒸れを防止し、結露防止性を高める方法としては、特開
昭56−17256号公報、特開昭56−20679号
公報の防水シート、特開昭60−52675号公報の吸
放湿性防水シート、特開昭60−110440号公報、
特開昭60−126386号公報の非通気性吸放湿性防
水シート、特開昭1−77530号公報の結露防止性防
水シート、特開平7−9631号公報の透湿性防水布
帛、特開平3―97970号公報の吸放湿性防水コーテ
ィング布帛等が開示されている。しかし、これらは結露
防止性を狙ったものであり、発熱効果を狙ったものでは
なかった。そこで、以前に本発明者らは、高吸放湿吸湿
発熱性の微粒子を繊維布帛に透湿性樹脂を接着剤として
付着させることによって、人体から放出される汗を吸湿
して発熱し、併せて高い吸放湿性により衣服内湿度低
減、結露防止効果を持つ透湿防水布帛を得る方法により
本問題の解決を図った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の透湿防水布帛を
得る方法において、本高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子を
ベース樹脂中に添加した樹脂組成物を基布に付与する際
に、樹脂の基布に対する剥離強力を高め、洗濯耐久性を
上げるために架橋剤を樹脂組成物中に添加することがあ
る。ところがこの際、トリレンジイソシアネート系の架
橋剤を用いると、架橋剤添加より数時間程度は問題ない
が、さらに時間が経つと樹脂組成物の経時増粘が起こ
り、例えばコーティングの際に塗布量の異常、塗布む
ら、カスレ等の問題を引き起こすことがわかった。さら
にその際、樹脂組成物に対し溶媒を添加することで粘度
を合わせても上記現象は抑制されないことも明らかにな
った。そこで本発明は、高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子
と架橋剤とを含有していても経時増粘の度合いが小さく
て、工業生産に好適な樹脂組成物を提供しようとするも
のである。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは鋭
意検討の結果、上記問題は下記に定義する経時増粘値に
より定量的に評価でき、この値が1.5以下を示す樹脂
組成物は上記問題を引き起こさないことを見出した。ま
た、樹脂組成物の経時増粘を抑えられる架橋剤系も見出
すことができた。すなわち、本発明は上記課題を解決す
るための次の構成より成るものである。 1.高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子、非水系ベース樹脂
溶液及び架橋剤とを含有する透湿防水布帛用樹脂組成物
であり、経時増粘値が1.5以下である透湿防水布帛用
樹脂組成物。
【0005】2. 架橋剤がヘキサメチレンジイソシア
ネート系あるいはブロックドイソシアネート系の架橋剤
である前記1に記載の透湿防水布帛用樹脂組成物。 3.高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子の相対湿度(RH)6
5%での水分率が25%以上であり、初期吸湿速度が
0.6%/分以上であり、初期放湿速度が0.6%/分
以上であり、かつ吸水量比が0.4以上10未満である
前記1〜2記載の透湿防水布帛用樹脂組成物。 4.高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子がニトリル基を有す
るビニルモノマーを50重量%以上よりなる高ニトリル
系重合体にヒドラジン処理により架橋構造を導入し、加
水分解により残存しているニトリル基の1.0mmol/g
以上を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せ
しめたものであるか又は/及びポリスチレン系、ポリア
クリロニトリル系、ポリアクリルエステル系、ポリメタ
アクリルエステル系のいずれかの重合体にスルホン酸
基、カルボン酸基、リン酸基あるいはそれらの塩が導入
され、かつ架橋性ビニル化合物で架橋されたものである
前記1〜3に記載の透湿防水布帛用樹脂組成物。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明に用いるベース樹脂として
は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリアミド樹脂等、またはこれらの樹脂
の混合物等があるが、非水系溶媒の樹脂溶液であればい
ずれの樹脂でも良い。非水系溶媒としては、特に限定さ
れないが、トルエン、メチルエチルケトン及びこれらの
混合溶媒などが挙げられる。
【0007】本発明における架橋剤は、前記のベース樹
脂と架橋可能なイソシアネート系の架橋剤であり、ヘキ
サメチレンジイソシアネート系あるいはブロックドイソ
シアネート系の架橋剤が樹脂組成物の経時安定性の点で
好ましい。
【0008】高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子をベース樹
脂に添加し、さらに樹脂組成物に対し架橋剤を配合した
後の樹脂組成物の経時増粘の有無は、例えばコーティン
グの際に規定量以上の塗布量、塗布むら、カスレ等の問
題発生の有無を左右する非常に重要な要件であり、下記
で規定する経時増粘値が1.5以下であることが必須で
あり、1.4以下が好ましく、1.3以下がさらに好ま
しい。また塗布時の粘度は布帛への浸透性、塗布時より
乾燥までの樹脂の流れ出し抑制、樹脂組成物の機台への
ポンプによる輸送性等の観点より、4〜30Pa・sが
適当であり、より好ましくは5〜20Pa・sである。
【0009】本発明に用いる繊維布帛(基布)として
は、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリロニト
リル系等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の半合成
繊維、木綿、シルク、ウール等の天然繊維からなる、織
物、編物、不織布などが含まれる。また上記の基布に他
の後加工、例えば撥水加工等を施しておいても良い。
【0010】本発明における高吸放湿吸湿発熱性有機微
粒子としては、吸湿性が高く、かつ放湿性を有し、なお
かつ吸湿した際に発熱を示す有機微粒子であり、相対湿
度(RH)65%での水分率が25%以上の高吸湿性であ
り、初期吸湿速度が0.6%/分以上、好ましくは、
0.8%/分以上の高吸湿速度であることが優れた吸湿
発熱性を得るために必要である。水分率は好ましくは、
30%以上、より好ましくは40%以上であり、初期吸
湿速度は好ましくは0.6%/分以上、より好ましくは
0.8%/分以上、更に好ましくは1.0%/分以上の
有機微粒子である。
【0011】但し、本粒子の吸水量が大きすぎる場合、
樹脂膜の膨潤、粒子の脱離等が発生するため、上記の吸
湿性、放湿性に加え粒子の吸水量比(絶乾した粒子の重
量(A)及び該粒子に純水を添加して24時間放置後、
余分の水をデカンテーションで除いた後の全体の重量
(B)を測定し、(B−A)/Aから求める)が0.4
以上でありかつ10未満であることが必要であり、0.
6以上4未満がより好ましい。
【0012】また放湿性に関しては、20℃、90%RH
から20℃、40%RHでの初期放湿速度が0.6%/分
以上であることが吸収した水分の放散による衣服内湿度
低減、結露防止の観点より重要であり、好ましくは0.
8%/分以上、更に好ましくは1.0%/分以上であ
る。
【0013】なお、初期吸湿速度とは、70℃×12時
間の真空乾燥後、20℃×65%RHの雰囲気中に10分
間放置した時の水分率を求め、1分間当たりの水分率の
増加率によって求められるものであり、初期放湿速度と
は20℃、90%RHでの24時間調湿後、20℃、4
0%RHの雰囲気に移し10分間放置した時の水分率を求
め、1分間当たりの水分率の減少率によって求められる
ものである。
【0014】高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子は、架橋構
造を有し、かつスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基
あるいはそれらの塩などの極性基を有するものであり、
その例としては、ニトリル基を有するビニルモノマーが
50重量%以上よりなる高ニトリル系重合体にヒドラジ
ン処理により架橋構造を導入し、窒素含有量の増加を
1.0〜15.0重量%として、残存しているニトリル基
の1.0mmol/g以上を加水分解により塩型カルボキシ
ル基に化学変換せしめたものやポリスチレン系、ポリア
クリロニトリル系、ポリアクリルエステル系、ポリメタ
アクリルエステル系のいずれかの重合体でスルホン酸
基、カルボン酸基、リン酸基あるいはそれらの塩が導入
され、ジビニルベンゼンあるいはトリアリルイソシアヌ
レートなどの架橋性ビニルモノマーで架橋されたものな
どが挙げられる。
【0015】高ニトリル系重合体とは、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル
などのニトリル基を有するビニルモノマーが50重量%
以上重合されてなる重合体であり、ニトリル基がヒドラ
ジン系化合物によって架橋することができるものであ
る。モノマーは、アクリロニトリルがコストの点で好ま
しく、共重合されるモノマーとしては、ニトリル基を有
するビニルモノマーと共重合できるモノマーであれば限
定されない。
【0016】ヒドラジン系化合物としては、水加ヒドラ
ジン、硫酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硝酸ヒドラジ
ンなどのヒドラジンの塩類、グアニジン、メラミンなど
のヒドラジン誘導体である。
【0017】ポリスチレン系、ポリアクリロニトリル
系、ポリアクリルエステル系、ポリメタアクリルエステ
ル系の重合体とは、それぞれスチレン、アクリル酸エス
テル、メタアクリル酸エステルを主体とし、スルホン酸
基、カルボン酸基、リン酸基あるいはそれらの塩などの
極性基を導入できるビニルモノマー及び重合体中に架橋
構造を導入できるビニルモノマーが共重合されたもので
ある。極性基の導入及び架橋構造の導入は、重合段階又
は重合体の後処理のいずれでもよい。架橋構造の導入に
好適な化合物は、ジビニルベンゼンあるいはトリアリル
イソシアヌレートである。
【0018】共重合されるモノマーの例としては、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸などの不飽和カルボ
ン酸類及びこれらの塩、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸エ
ステル類、メチルビニルケトンなどの不飽和ケトン類、
酢酸ビニルなどのビニルエステル類、メチルビニルエー
テルなどのビニルエーテル類、アクリルアミド類、ビニ
ルスルホン酸、スチレンスルホン酸などの不飽和スルホ
ン酸及びこれらの塩、メチルスチレンなどのスチレン化
合物アリルアルコール類ビニルピリジンなどの塩基性ビ
ニル化合物アクロレインなどの不飽和アルデヒド類グリ
シジルメタアクリレート、N-メチロールアクリルアミ
ド、ヒドロキシエチルメタアクリレート、トリアリルイ
ソシアヌレート、ジビニルベンゼンなどの架橋性ビニル
化合物などを挙げることができる。
【0019】これらの有機微粒子の極性基の塩として
は、特に限定はなく、その用途に応じて適宜選択でき
る。具体的には、Li、Na、Kなどのアルカリ金属、
Mg、Ca、Baなどのアルカリ土類金属、Cu、Z
n、Al、Ag、Niなどの他の金属、NH4、アミン
などの有機の陽イオンを挙げることができ、これらが混
合されていてもよい。吸湿発熱性の点で、Na、Caが
好ましい。
【0020】高吸放湿吸湿発熱有機微粒子の樹脂添加時
の水分率はベース樹脂が非水系である場合、樹脂の粘度
異常と関係のある重要な要因である。粘度異常を避ける
ためには、樹脂溶液に高吸放湿吸湿発熱有機微粒子を直
接添加する場合においても、また湿式分散等のために一
旦溶剤を多くして粘度を下げた樹脂に高吸放湿吸湿発熱
有機微粒子を添加して分散液を作成する場合において
も、粒子の水分率を20%以下にすることが重要であ
り、16%以下にすることが好ましい。
【0021】高吸放湿吸湿発熱有機微粒子の平均粒径
は、吸湿、放湿速度の向上、また樹脂層からの脱離防
止、布帛のざらつき防止の観点より平均粒径30μm以
下が必要であり、10μm以下が好ましく、5μm以下が
より好ましい。
【0022】なお、高吸放湿吸湿発熱有機微粒子の平均
粒径を低減する方法としては、例えばボールミル、ビー
ズミル、サンドミル、2本、3本ロールミル、ニーダー
などの湿式分散法等があるが、上記粒径が得られるなら
ば本様式に限定されない。つまり、本高吸放湿吸湿発熱
有機微粒子の平均粒径を30μm以下に出来る方法であ
ればいずれの方法を使用してもよい。なお、例えば湿式
分散処理を行う際、分散のために一旦溶剤を多くして粘
度を下げておき、分散完了後溶剤濃度の低い、あるいは
溶剤なしのベース樹脂を添加する事により粉体とベース
樹脂固形分の比、また粘度を目標値に合わせる方法を使
用してもよい。
【0023】本発明の樹脂組成物を基布上に付与する方
法としては、例えばコーティング法があるが、本方法に
限定されない。つまり、パディング法、スプレー法等、
本樹脂組成物を基布上に付与できる方法であればいかな
る方法でも使用できる。また樹脂組成物を一旦離型紙上
にコーティングしておき、布帛と貼り合わせるラミネー
ト法でも良い。この場合は離型紙へのコーティング時に
おける樹脂組成物の粘性改善が課題となる。
【0024】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明は、何らこれらに限定されるものではない。
また、実施例における樹脂の性能の測定、評価は次の方
法で行った。なお、以下で単に部、%と表示したもの
は、重量部、重量%を示す。 経時増粘値:樹脂組成物粘度をTOKIMEC INC製 BL型粘
度計を用い、ローターNo.4、回転数6rpm、温度
20℃で測定し、粘度を必要な値に調整する。次に架橋
剤を粘度調製後の樹脂組成物100部に対し2部添加し
た後、2分間かくはんし、使用前まで静置する。静置後
同様に樹脂組成物の粘度を測定し、下記計算式により経
時増粘値を求めた。経時増粘値=使用前の樹脂組成物粘
度÷架橋剤添加前の樹脂組成物粘度
【0025】高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子の水分率
(%):高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子の重量を測定
し、次に該高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子を70℃で1
2時間真空乾燥した後の重量を測定後、下記計算式によ
り求めた。 水分率(%)=(乾燥前重量−乾燥後重量)÷乾燥前重
量×100
【0026】高吸放湿吸湿発熱有機微粒子の粒径:実施
例あるいは比較例で得られた布帛のコーティング面を1
000倍の電子顕微鏡で撮影し、その写真をたて5cm
×よこ5cmの正方形に分割し、正方形を任意に3箇所
選んで中の粒子の粒径を測定し、平均した。単位:μm
【0027】吸湿発熱温度差:樹脂層を有するサンプル
布帛および高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子を含まない樹
脂層を持つブランク布帛(下記比較例3)をそれぞれ絶
乾(乾燥条件:120℃、3時間)したのちデシケータ
ーに入れ、このデシケーターを、32℃、相対湿度70
%の環境下に10時間以上置くことで布帛の調温を行
い、その後、布帛の取り出し直後から30秒間の布帛の
表面温度を日本電気三栄株式会社製THERMO TR
ACER TH3100及びDETECTOR UNI
T TH3100で測定し、これらの布帛の表面温度の
それぞれの最高温度のT(サンプル)、T(ブランク)
の値を求めて、△T=T(サンプル)−T(ブランク)
により吸湿発熱温度差△Tの値を算出した。 T(サンプル):上記樹脂層を有する布帛を絶乾し、絶
乾状態のまま32℃に調温した後、32℃、相対湿度7
0%の環境下に布帛を置いた直後から30秒間における
布帛の樹脂層を有する面の表面温度の最高温度(℃)。 T(ブランク):ブランク布を絶乾し、絶乾状態のまま
32℃に調温した後、32℃、相対湿度70%の環境下
に布帛を置いた直後から30秒間における布帛の樹脂層
を有する面の表面温度の最高温度(℃)。
【0028】透湿度:JIS L 1099 (A−1
法)で測定した。単位:g/m2・24hr
【0029】耐水圧:JIS L 1092 (高水圧
法)で測定した。単位:Pa
【0030】(1)コーティング用基布の製造 経糸、緯糸の双方にナイロン77dtex/96fを用
い、仕上がりの密度が経糸124本/2.54cm、緯
糸が101本/2.54cmになるように設計し、ジッ
ガー染色機で酸性染料で染色して加工用布帛を得た。そ
の後、フッ素系撥水剤のアサヒガード730(旭硝子社
製造)1%owfをパッド−ドライ法で付与した後、1
65℃×1分間の熱処理を行った。次いで、168℃で
圧力300N/cm2の条件でカレンダー処理を行い、
コーティング用基布とした。
【0031】(2)高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子の製
造 a)高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子1 アクリロニトリル455部、アクリル酸メチル15部、
p−スチレンスルホン酸ソーダ15部及び水1150部
をオートクレーブに入れ、重合開始剤としてジ−tert−
ブチルパーオキサイドを単量体全量に対して0.55%
添加した後、密閉し、次いで攪拌下において151℃の
温度にて25分間重合せしめた後、反応終了後、攪拌を
継続しながら88℃まで冷却し、平均粒子径0.8μm
(光散乱光度計で測定)の原料微粒子の水分散体を得
た。
【0032】この水分散体に浴中濃度が34%になるよ
うにヒドラジンを加え、103℃で3.1時間架橋処理
を行い、続いて浴中濃度が10%となるようにNaOHを加
え、102℃で8時間の加水分解処理を行った後、流水
中で透析、脱塩、乾燥後、高吸放湿吸湿発熱性の微粒子
を得た。該有機微粒子の窒素増加量は3.4%、塩系カ
ルボキシル基4.3mmol/g、65%RH(20℃)の吸
湿率は48%、平均粒子径は51μmであった。
【0033】該有機微粒子を70℃で12時間真空乾燥
後、65%RH(20℃)の雰囲気下に10分間放置後の
吸湿率は10.7%であり、24時間後は48%であっ
た。また、90%RH(20℃)の雰囲気下での24時間
後の吸湿率は79%であり、その後40%RH(20℃)
の雰囲気に移した際、10分後の吸湿率は68%、また
24時間後の吸湿率は27%であり、吸放湿性が確認さ
れた。
【0034】b)高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子2 メタクリル酸/p−スチレンスルホン酸ソーダ=70/
30の水溶性重合体305部及び硫酸ナトリウム32部
を6600部の水に溶解し、櫂型撹拌機付きの重合槽に
仕込んだ。次にアクリル酸メチル2710部およびジビ
ニルベンゼン305部に2,2'−アゾビスー(2,4−
ジメチルバレロニトリル)15部を溶解して重合槽に仕
込み、400rpmの撹件条件下、62℃で2時間重合
し、重合率89%で平均粒子径50μmのアクリル酸メ
チル/ジビニルベンゼン共重合体を得た。該重合体10
5部を水900部中に分散し、これに102部の苛性ソ
ーダを添加し、89℃、2時間反応を行い、アクリル酸
メチルのメチルエステル部を加水分解することによりカ
ルボキシル基4.3ミリ当量/gを有した架橋重合体を
得た。得られた重合体を水中に分散し、洗浄、脱水、乾
燥し高吸放湿吸湿発熱性の微粒子を得た。
【0035】該有機微粒子の65%RH(20℃)の吸湿
率は46%、平均粒子径は52μmであった。該有機微
粒子を70℃で12時間真空乾燥後、65%RH(20
℃)の雰囲気下に10分間放置後の吸湿率は10.5%
であり、24時間後は50%であった。また、90%RH
(20℃)の雰囲気下での24時間後の吸湿率は80%
であり、その後40%RH(20℃)の雰囲気に移した
際、10分後の吸湿率は69%、また24時間後の吸湿
率は28%であり、吸放湿性が確認された。また本粒子
の吸水量比は2.5であった。
【0036】(3) ベース樹脂 パラクロンSS−2500(根上工業(株)製 アクリ
ル樹脂、固形分20%、溶剤トルエン)
【0037】(4)架橋剤 コロネートL(日本ポリウレタン(株)製 トリレンジ
イソシアネート系架橋剤) コロネートHL(日本ポリウレタン(株)製 ヘキサメ
チレンジイソシアネート系架橋剤)
【0038】[実施例1]上記で製造した高吸放湿吸湿
発熱性有機微粒子を70℃で9時間真空乾燥し、乾燥実
施後、シリカゲルの入ったデシケーターに粉砕後の微粒
子を入れ、冷却した。冷却後の高吸放湿吸湿発熱性有機
微粒子1の粒径は51μm、水分率は9%であった。冷
却後、上記の高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子100部に
対し、トルエン135部を添加し、次にパラクロンSS
−2500の原液113.8部を添加、混合して分散液
を調製した。該分散液1kgに対し、シンマルエンター
プライゼス社製ダイノミルKDL−PILOTを用いて
2時間の分散処理を行った。分散処理中の液温は41
℃、分散液粘度は0.68Pa・sであった。
【0039】分散処理終了後、本分散液100部に対し
パラクロンSS−2500の原液570部、トルエン7
2部を添加してコーティング液を調製した。この時の樹
脂組成物の粘度は9.8Pa・sであった。次にコロネ
ートHLを上記樹脂組成物100部に対し2部添加し、
24時間静置後、再度樹脂組成物の粘度を測定した所、
12.0Pa・sであった。
【0040】本樹脂組成物を前記コーティング基布に対
し40ミクロンのクリアランスを持つアプリケーターで
塗布し、80℃で3分間乾燥し、その後130℃で3分
間のキュアリング処理をして透湿防水布帛を得た。これ
より、本透湿防水布に付与した樹脂層中の高吸放湿吸湿
発熱性有機微粒子の割合(水分なし)は40%と計算さ
れる。得られた布帛を目視で観察したところ、樹脂組成
物の塗布むら、カスレ等は見られなかった。該透湿防水
布の物性を表1に示す。
【0041】[実施例2]上記実施例1において、分散
処理終了後のコーティング液調製の際に加えるトルエン
量を72部から22部とする以外は実施例1と全く同一
の方法により湿式分散処理、コーティング液の調製を実
施した。この時の樹脂組成物の粘度は13.6Pa・s
であった。次にコロネートHLを上記樹脂組成物100
部に対し2部添加し、24時間静置後、再度粘度を測定
した所、この時の粘度は16.3Pa・sであった。本
樹脂組成物を前記コーティング基布に対し40ミクロン
のクリアランスを持つアプリケーターで塗布し、80℃
で3分間乾燥し、その後130℃で3分間のキュアリン
グ処理をして透湿防水布帛を得た。得られた布帛を目視
で観察したところ、樹脂組成物の塗布むら、カスレ等は
見られなかった。該透湿防水布の物性を表1に示す。
【0042】[実施例3]上記実施例2において、高吸
放湿吸湿発熱性有機微粒子1を高吸放湿吸湿発熱性有機
微粒子2とする以外は実施例2と全く同一の方法により
湿式分散、コーティング液の調製を実施した。この時の
樹脂組成物の粘度は13.8Pa・sであった。次にコ
ロネートHLを上記樹脂組成物100部に対し2部添加
し、4時間静置後再度粘度を測定した所、この時の粘度
は15.2Pa・sであった。本樹脂組成物を前記コー
ティング基布に対し40ミクロンのクリアランスを持つ
アプリケーターで塗布し、80℃で3分間乾燥し、その
後130℃で3分間のキュアリング処理をして透湿防水
布帛を得た。得られた布帛を目視で観察したところ、樹
脂組成物の塗布むら、カスレ等は見られなかった。該透
湿防水布の物性を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】[比較例1]上記実施例1と全く同一の方
法により湿式分散処理、コーティング液の調製を実施し
た。この時の樹脂組成物の粘度は実施例1と同じく9.
8Pa・sであった。次にコロネートLを上記樹脂組成
物100部に対し2部添加し、4時間静置後再度粘度を
測定した所、既に粘度は15.8Pa・sまで上昇して
いた。本樹脂組成物を前記コーティング基布に対し40
ミクロンのクリアランスを持つアプリケーターで塗布
し、80℃で3分間乾燥し、その後130℃で3分間の
キュアリング処理をして透湿防水布帛を得た。得られた
布帛を目視で観察したところ、樹脂組成物の塗布むら、
カスレの現象が観察された。該透湿防水布の物性を表2
に示す。
【0045】[比較例2]吸湿発熱温度差評価用のブラ
ンク布帛の製造を次の方法で行った。パラクロンSS−
2500の樹脂100部に対しトルエンを25部添加し
てコーティング液を調製した。この時の樹脂の粘度は1
0Pa・sであった。次にコロネートLを上記コーティ
ング液100部に対し2部添加し、24時間静置後再度
粘度を測定した所、この時の粘度は11.8Pa・sで
あった。本樹脂を前記コーティング基布に対し40ミク
ロンのクリアランスを持つアプリケーターで塗布し、8
0℃で3分間乾燥し、その後130℃で3分間のキュア
リング処理をして布帛を得た。得られた布帛を目視で観
察したところ、樹脂組成物の塗布むら、カスレ等は見ら
れなかった。該透湿防水布の物性を表2に示す。
【0046】[比較例3]上記比較例1において、高吸
放湿吸湿発熱性有機微粒子1を高吸放湿吸湿発熱性有機
微粒子2とする以外は比較例1と全く同一の方法により
湿式分散処理、コーティング液の調製を実施した。この
時の樹脂組成物の粘度は9.9Pa・sであった。次に
コロネートLを上記樹脂組成物100部に対し2部添加
し、4時間静置後再度粘度を測定した所、既に粘度は1
7.0Pa・sまで上昇していた。本樹脂組成物を前記
コーティング基布に対し40ミクロンのクリアランスを
持つアプリケーターで塗布し、80℃で3分間乾燥し、
その後130℃で3分間のキュアリング処理をして透湿
防水布帛を得た。得られた布帛を目視で観察したとこ
ろ、樹脂組成物の塗布むら、カスレの現象が観察され
た。該透湿防水布の物性を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】表1及び2に示すように、経時増粘値の小
さい実施例1による透湿防水布は比較例1の透湿防水布
に対し、塗布むら、カスレ等がなく、塗布量異常がない
ため塗布量が少ないにもかかわらず耐水圧に優れている
ことがわかる。また架橋剤をトリレンジイソシアネート
系よりヘキサメチレンジイソシアネート系とすることで
本特性を得られる時間が大幅に延長されることがわか
る。また比較例1に対し塗布時の樹脂組成物粘度をほぼ
同等とした実施例2においても、実施例1と同等の効果
が得られていることから、経時増粘値が大きいことが上
記問題を引き起こす原因となっていることがわかる。さ
らに実施例3と比較例2の比較においても実施例1と同
等の効果が得られていることから、高吸放湿吸湿発熱性
有機微粒子2を使用した系でも上記の高吸放湿吸湿発熱
性有機微粒子1を使用した場合と同様の効果が見られる
ことがわかる。
【0049】
【発明の効果】本発明で得られる透湿防水布帛用樹脂組
成物は、高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子と架橋剤を含有
しているにもかかわらず、経時増粘値が1.5以下で経
時安定性に優れ、該樹脂組成物を用いると、塗布むら、
カスレ等の品位の低下がなく、かつ高性能の透湿防水布
帛を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 33/04 C08L 33/04 33/18 33/18 D06M 15/233 D06M 15/233 15/263 15/263 15/31 15/31 (72)発明者 西田 良祐 岡山県邑久郡長船町土師122−2 Fターム(参考) 4J002 BC02X BC12X BG00W BG02X BG09X BG10X CF00W CK02W CL00W CP03W ER006 FA00X FD146 GH00 4J034 DF01 DL01 DM01 DP18 HA07 HC03 HD01 RA03 RA05 RA07 RA09 4L033 AB04 AC07 CA13 CA18 CA26 CA50

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子、非水系ベ
    ース樹脂溶液及び架橋剤とを含有する透湿防水布帛用樹
    脂組成物であり、経時増粘値が1.5以下であることを
    特徴とする透湿防水布帛用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】架橋剤がヘキサメチレンジイソシアネート
    系あるいはブロックドイソシアネート系の架橋剤である
    ことを特徴とする請求項1に記載の透湿防水布帛用樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子の相対湿度
    (RH)65%での水分率が25%以上であり、初期吸湿
    速度が0.6%/分以上であり、初期放湿速度が0.6
    %/分以上であり、かつ吸水量比が0.4以上10未満
    であることを特徴とする請求項1〜2記載の透湿防水布
    帛用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子が、ニトリ
    ル基を有するビニルモノマーが50重量%以上よりなる
    高ニトリル系重合体にヒドラジン処理により架橋構造を
    導入し、残存しているニトリル基の1.0mmol/g以上
    を加水分解により塩型カルボキシル基に化学変換せしめ
    たものであるか又は/及びポリスチレン系、ポリアクリ
    ロニトリル系、ポリアクリルエステル系、ポリメタアク
    リルエステル系のいずれかの重合体にスルホン酸基、カ
    ルボン酸基、リン酸基あるいはそれらの塩が導入され、
    架橋性ビニル化合物で架橋されたものであることを特徴
    とする請求項1〜3に記載の透湿防水布帛用樹脂組成
    物。
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