JP3342002B2 - 吸湿発熱、衣服内湿度低減及び結露防止性を有する透湿防水布帛 - Google Patents

吸湿発熱、衣服内湿度低減及び結露防止性を有する透湿防水布帛

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JP3342002B2 JP30418199A JP30418199A JP3342002B2 JP 3342002 B2 JP3342002 B2 JP 3342002B2 JP 30418199 A JP30418199 A JP 30418199A JP 30418199 A JP30418199 A JP 30418199A JP 3342002 B2 JP3342002 B2 JP 3342002B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は雨衣、登山、アスレ
チック、スキー、スノーボード、ゴルフ等のスポーツ衣
料、紳士、婦人服、コート類等のカジュアルウェア及び
各種外衣、冷凍庫、冷蔵庫などで作業するユニホーム等
各種衣料用として用いられる吸湿発熱、衣服内湿度低
減、結露防止効果を持つ透湿防水布帛に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】保温性が要求される繊維製品には冬季に
使用する一般衣料(スーツ、コート等)、防寒衣料(ジ
ャンパー等)、またスキーなどの冬季スポーツ衣料なら
びに冷凍庫、冷蔵庫などで作業するユニフォーム等があ
り、保温性向上のために繊維集合体の繊維径を細くして
デッドエア層を増やすことや、繊維にセラミックスや金
属を練り込み遠赤外線の効果を期待する方法などが種々
提案されている。保温性を向上させる方法としては、例
えば繊維にセラミックスや金属を練り込む方法として
は、特開昭63−105107号の繊維製品の製造方法
や特開平7−331584号の防ダニ用遠赤外線放射繊
維等のように繊維に遠赤外線を放射するセラミックス及
び金属を練り込む方法が提案されている。しかしなが
ら、これらの方法はセラミックス及び金属を練り込むこ
とにより原糸の強力が低下したり、原糸が着色したりす
る欠点がある。コーティング剤やラミネート樹脂の中に
セラミックスや金属を添加する方法としては、特開昭6
0−162641号の保温効果の優れたシート状素材や
特開昭63−35887号のコーティング布帛、特開平
1−183579号のセラミックスをコーティングした
布または紙製品などが開示されている。しかし、これら
の方法では保温性は得られるが添加剤の吸放湿性に由来
する衣服内湿度低減、結露防止効果は得られていなかっ
た。一方、透湿防水衣料の着用時の蒸れを防止し、結露
防止性を高める方法としては、特開昭56−17256
号、特開昭56−20679号の防水シート、特開昭6
0−52675号の吸放湿性防水シート、特開昭60−
110440号、特開昭60−126386号の非通気
性吸放湿性防水シート、特開昭1−77530号の結露
防止性防水シート、特開平7−9631号の透湿性防水
布帛、特開平3―97970号の吸放湿性防水コーティ
ング布帛等が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法では結露防
止性は得られるが、吸湿による発熱を積極的に利用する
ことは行われておらず、両者を兼ね備えた布帛を実用化
するには至っていなかった。そこで本発明者らは、高吸
放湿吸湿発熱性の微粒子に注目し、本微粒子を繊維布帛
に対し透湿性樹脂を接着剤として固着させることによっ
て、人体から放出される汗などの湿気を吸湿して発熱
し、併せて高い吸放湿性により衣服内湿度低減、結露防
止効果を持つ透湿防水布帛を開発するに至ったのであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するための次の構成より成るものである。すなわち、本
発明は、 1.繊維布帛の少なくとも片面に、高吸放湿吸湿発熱性
有機微粒子を含有してなる樹脂層を有する布帛であり、
該布帛が下記の吸湿発熱温度差(T)を示し、且つ衣服
内湿度が70%RH以下で、結露量が23g/m2 以下
であることを特徴とする吸湿発熱及び結露防止性を有す
る透湿防水布帛。 T=T(サンプル)−T(ブランク)≧1(℃) T(サンプル):上記樹脂層を有する布帛を絶乾し、絶
乾状態のまま32℃に調温した後、32℃、相対湿度7
0%の環境に置いた際の10秒後の樹脂層面の表面温
度。 T(ブランク):上記サンプルと同一材質、目付の基布
で高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子を含有しない樹脂層を
有する布帛を絶乾し、絶乾状態のまま32℃に調温した
後、32℃、相対湿度70%の環境に置いた際の10秒
後の樹脂層面の表面温度。
【0005】2. 前記Tが2℃以上である上記第1に
記載の吸湿発熱、衣服内湿度低減及び結露防止性を有す
る透湿防水布帛。 3.高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子の20℃、65%RH
での初期吸湿速度が0.8%/分以上であり、20℃、
90%RHから20℃、40%RHでの初期放湿速度が0.
8%/分以上である上記第1又は2に記載の吸湿発熱、
衣服内湿度低減及び結露防止性を有する透湿防水布帛。 4.前記高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子がアクリロニト
リルを85%以上含むアクリル系樹脂にヒドラジン処理
により架橋構造を導入し、窒素含有量の増加が1. 0〜
15. 0重量%であり、加水分解により残存しているニ
トリル基量の1.0mmol/g以上を塩系カルボキシル基
に化学変換せしめたものであることを特徴とする上記第
1〜3に記載の吸湿発熱、衣服内湿度低減及び結露防止
性を有する透湿防水布帛。 5.高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子を繊維上に固着する
樹脂が30μmのフィルムで500g /m2・24hr以上
の透湿度を有することを特徴とする上記第1〜4に記載
の吸湿発熱、衣服内湿度低減及び結露防止性を有する透
湿防水布帛。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明に用いる繊維布帛としては、
ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリロニトリル
系等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊
維、木綿、シルク、ウール等の天然繊維からなる、織
物、編物、不織布などが含まれる。
【0007】本発明に用いる吸湿発熱、結露防止、衣服
内湿度低減効果を持つ樹脂層を繊維布帛に付与する方式
としては、コーティング、ラミネート法、またディッピ
ング法や吸尽法などがあるが、上記吸湿発熱、衣服内湿
度低減、結露防止効果が得られるならば本様式に限定さ
れない。つまり、ディッピング法や吸尽法などで布帛に
該樹脂を付与後上記効果を持たない膜をラミネートし、
防水性を得る方法や該樹脂を接着剤として上記効果を持
たない膜をラミネートする方法、また温度上昇と発熱時
間をコントロールするために吸湿発熱、結露防止、衣服
内湿度低減効果を持つ樹脂膜に対し透湿性の低い樹脂を
アンダーコート、トップコートする方法等も本発明に包
含するものとする。また、コーティング、ラミネート法
の製膜法に関してもいわゆる乾式法、湿式法のいずれを
使用しても良い。
【0008】本発明は上記の繊維布帛に撥水剤処理を施
しても良い。これは、布帛に吸湿発熱、衣服内湿度低
減、結露防止効果を持つ樹脂層を例えばコーティングあ
るいはラミネートする際に、コーティングする樹脂また
はラミネート用の接着剤の樹脂溶液が布帛に浸透する程
度を調整するために行われる。撥水剤はフッ素系、パラ
フィン系等の種々の撥水剤が使用できる。但し、シリコ
ーン系撥水剤は膜の剥離を招くため不向きである。また
さらに繊維布帛に上記樹脂を付与後に撥水処理を行うこ
とも可能である。この際はフッ素系、パラフィン系、シ
リコーン系等全ての種類の撥水剤を使用することができ
る。
【0009】本発明では吸湿発熱、衣服内湿度低減及び
結露防止性を有する樹脂層とは透湿性のある樹脂と高吸
放湿吸湿発熱性有機微粒子とが存在する樹脂層を言う。
透湿性のある樹脂とはポリウレタン系樹脂、アクリル系
樹脂、シリコーン樹脂等を言うが、透湿性が500g /
m2・24hr以上ある樹脂であればこれに限らない。また
これらの樹脂は単独使用でも良く、配合して使用するこ
とも可能である。
【0010】本発明で言う高吸放湿吸湿発熱性有機微粒
子としては吸湿性が高く、かつ放湿性を有し、なおかつ
吸湿した際に発熱を示す有機微粒子であれば使用可能で
あるが、20℃、相対湿度(RH)65%での水分率が4
0%以上の高吸湿性であり、初期吸湿速度が0.8%/
分以上の高吸湿速度であることが発熱速度が速く、吸湿
発熱性に優れ好ましい。さらに好ましくは吸湿率が45
%以上、初期吸湿速度は1.0%/分以上の有機微粒子
である。但し本粒子の吸水量が大きすぎる場合、膜の膨
潤、粒子の脱離等が発生するため、上記の吸湿性に加え
粒子の吸水量比(絶乾した粒子の重量(A)及び該粒子
に純水を添加して24時間放置後、余分の水をデカンテ
ーションで除いた後の全体の重量(B)を測定し、(B
-A)/Aから求める)が 0.4以上であり、かつ10倍未
満であることが好ましく、0.6以上4倍未満がより好
ましい。
【0011】また放湿性に関しては20℃、90%RHか
ら20℃、40%RHでの初期放湿速度が0.8%/分以
上であることが吸収した水分の放散による衣服内湿度低
減、結露防止の観点より好ましく、さらに好ましくは
1.0%/分以上である。
【0012】なお、初期吸湿速度とは70℃×12時間
の真空乾燥後、20℃×65%RHの雰囲気中に10分間
放置した時の水分率を求め、1分間当たりの水分率の増
加率によって求められるものであり、初期放湿速度とは
20℃、90RH%での24時間調湿後、20℃、40%
RHの雰囲気に移し10分間放置した時の水分率を求め、
1分間当たりの水分率の減少率によって求められるもの
である。
【0013】高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子のより具体
的な例としては、塩系カルボキシル基を有し、かつ架橋
構造を有する有機微粒子であり、アクリロニトリルを8
5%以上含むアクリル系樹脂にヒドラジン処理により架
橋構造を導入し、窒素含有量の増加を1.0〜15.0
%とし、加水分解により残存しているニトリル基量の
1.0mmol/g以上を塩系カルボキシル基に化学変換せし
めたアクリル系金属変性粒子などが挙げられる。
【0014】高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子の粒径は吸
湿、放湿速度の向上、また樹脂層からの脱離防止、布帛
のざらつき抑制の観点より平均粒径30μm以下が必要
であり、10μm以下が好ましく、5μm以下がさらに
好ましい。さらに同様の理由により、最大粒径が50μ
m以下が必要であり、20μm以下が好ましく、10μ
m以下がより好ましい。しかし、平均粒径が0.01μ
mより小さくなると、乾燥時及び樹脂添加時の取扱性が
悪くなるため好ましくない。
【0015】高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子の付与量は
保温性と関係のある重要な要素である。保温性の効果を
出すためには、繊維重量に対して1 〜100重量%であ
り、好ましくは10〜50%であり、より好ましくは2
0〜40重量%である。1重量%未満では吸湿発熱、衣
服内湿度低減、結露防止効果に乏しく、50重量%を超
えると外観が不良となり、また膜の強度低下が著しい。
【0016】本発明でいう吸湿発熱性の効果を出すため
には、高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子を含有しない樹脂
層を有する布帛を絶乾し、絶乾状態のまま32℃に調温
した後、32℃、相対湿度70%の環境に置いた際の1
0秒後の基布表面の温度と、上記樹脂層を有する布帛に
同様の操作を行った場合の樹脂層の表面温度との間に1
℃以上の温度差がある必要があり、2℃以上が好まし
い。1℃未満の温度差では実際に布帛に触れることで温
かさを感じることができず、本発明の効果が得られな
い。
【0017】本発明でいう衣服内湿度低減効果を出すた
めには、体感する快適性との関連より後述する評価法で
測定した衣服内湿度が70%以下であることが好まし
く、65%以下がより好ましい。
【0018】本発明でいう結露防止効果を出すために
は、体感する快適性との関連より後述する評価法で測定
した結露量が23g/m2 以下であることが好ましく、
20g/m2 以下であることがより好ましい。
【0019】樹脂層の厚みは、高吸放湿吸湿発熱性微粒
子が繊維に固着できれば特に限定されないが、微粒子を
完全に覆う厚みが耐久性の点で好ましく、微粒子の粒径
に合わせて、2〜50μm程度に調整することが好まし
い。
【0020】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明は何らこれらに限定されるものではない。ま
た、本発明における布帛の性能の測定、評価は次の方法
で行った。
【0021】吸湿発熱温度差:評価する樹脂層を有する
各布帛をそれぞれ絶乾(乾燥条件:120℃、3時間)
したのちデシケーターに入れ、このデシケーターを32
℃、相対湿度70%の環境に10時間以上置くことで布
帛の調温を行い、その後サンプルを取り出して10秒後
の布帛の表面温度を日本電気三栄株式会社製THERM
O TRACER TH3100及びDETECTOR
UNIT TH3100で測定し、下記のT(サンプ
ル)、T(ブランク)の値を求めて、計算式 T= T
(サンプル)−T(ブランク)により吸湿発熱温度差
Tの値を算出した。 単位:℃ T(サンプル):上記樹脂層を有する布帛を絶乾し、絶
乾状態のまま32℃に調温した後、32℃、相対湿度7
0%の環境に置いた際の10秒後の樹脂層を有する面の
表面温度。 T(ブランク):上記サンプルと同一材質、目付の基布
で高吸放湿吸湿発熱性微粒子含有しない樹脂層を有する
布帛を絶乾し、絶乾状態のまま32℃に調温した後、3
2℃、相対湿度70%の環境に置いた際の10秒後の樹
脂層面の表面温度。
【0022】衣服内湿度:特公平1−19098号公報
に示されている衣服内気候シミュレーション装置にて測
定を行った。測定条件は以下の通り。 外部環境温度:8℃、相対湿度55% 風洞部環境:送風機、整流器より8℃、相対湿度55
%の外気を風速1m/secで導入した。 人体条件再現部:(1)擬似皮膚材質:ポリテトラフ
ルオロエチレンフィルム(孔径5μm) (2)擬似皮膚表面温度:37℃ (3)発汗量:200g/m2・hr(模擬皮膚、サン
プル無しでのボックス内水量減少より測定)
【0023】衣服内気候部:試料−模擬皮膚間隔:6
mm 上記吸湿発熱測定と同条件(120℃、3時間)で試料
を絶乾したのちデシケーターに入れ、このデシケーター
を32℃、相対湿度70%の環境に10時間以上置くこ
とで布帛の調温を行い、その後サンプルを取り出して樹
脂層の存在する面を擬似皮膚側に向けて配置し、温湿度
センサーにより衣服内湿度の測定を開始する。本条件で
30分間発汗させ、その後衣服内気候部を取り外し、人
体条件再現部−衣服内気候部に透湿性を持たないフィル
ム(旭化成(株)製 サランラップ)を配置して発汗を
停止し、再度衣服内気候部をセットして30分間の発汗
停止時間を設け、測定を終了する。本測定における最後
の湿度測定値を代表値とし、本測定中の最大の湿度を代
表値とし、本測定の衣服内湿度として表記する。単位:
%RH
【0024】結露量:上記衣服内気候測定の測定終了
後、速やかにサンプルを取り外し、布帛の擬似皮膚側の
面に結露した水滴を拭き取り、拭き取りに使用した布の
重量変化により結露した水の重さを測定し、1m2あた
りの重量に換算して結露量を算出した。単位:g/m2 透湿度:JIS L 1099(A−1法)で測定し
た。単位:g /m2・24hr 耐水圧:JIS L 1092(高水圧法)で測定し
た。単位:kPa
【0025】快適性官能評価:8℃、相対湿度55%の
環境下で、樹脂層を有する布帛をたて20cm×よこ3
0cmに裁断し、樹脂層側を内側として腕に巻き付け、
端をサージカルテープで止める。その後エルゴメーター
TAKEI AERO FITNESS cutieに
て628kJを消費する運動(心拍数設定:127)を
行い、暖かさ及びむれ感から判断した快適性を5段階
(5:快適、4:やや快適、3:普通、2:やや不快、
1:不快)で官能評価した。
【0026】実施例及び比較例 経糸、緯糸の双方にナイロン70d/96fを用い、仕
上がりの密度が経糸126本/2・54cm、緯糸が100本
/2・54cmになるように設計し、ジッガー染色機で酸性染
料で染色して加工用布帛を得た。その後、フッ素系撥水
剤のアサヒガード710(旭硝子社製造)1%owfを
パッド−ドライ法で付与した後、160℃×1分間の熱
処理を行った。次いで、170℃で圧力290N/cm2
の条件でカレンダー処理を行い、コーティング用基布と
した。該布帛と下記の高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子と
薬剤を使用し、表1及び2の処方でコーティング基布を
得た。なお、薬剤の配合割合を示す部の表記は重量部で
ある。
【0027】(1)高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子の製
造 アクリロニトリル450部、アクリル酸メチル40部、
p −スチレンスルホン酸ソーダ16部及び水118部を
オートクレーブに仕込み、重合開始剤としてジ−tert−
ブチルパーオキサイドを単量体全量に対して0.5%添
加した後、密閉し、次いで攪拌下において150℃の温
度にて20分間重合せしめた後、反応終了後、攪拌を継
続しながら約90℃まで冷却し、平均粒子径2μm(光
散乱光度計で測定)の原料微粒子の水分散体を得た。こ
の水分散体に浴中濃度が35%になるようにヒドラジン
を加え、102℃で2.5時間架橋処理を行い、続いて
浴中濃度が10%となるようにNaOHを加え、102℃で
5時間の加水分解処理を行った後、流水中で透析、脱
塩、乾燥、粉砕後、高吸放湿吸湿発熱性の微粒子を得
た。該有機微粒子の窒素増加量は3.3%、塩系カルボ
キシル基4.3mmol/g、65%RH(20℃)の水分率は
45%、平均粒子径は2μmであった(高吸放湿吸湿発
熱性有機微粒子)。また本粒子を樹脂に添加後、ビック
ケミー・ジャパン製グラインドメーター1510で最大
粒子径を測定したところ、8μmであった。該有機微粒
子を70℃で12時間真空乾燥後、65%RH(20℃)
の雰囲気下に10分間放置後の吸湿率は10%であり、
24時間後は45%であった。また、90%RH(20
℃)の雰囲気下での24時間後の吸湿率は80%であ
り、その後40%RH(20℃)の雰囲気に移した際、1
0分後の吸湿率は68%、また24時間後の水分率は2
5%であり、吸放湿性が確認された。さらに本粒子の吸
水量比は2.5であった。
【0028】(2)加工用薬剤 パラクロンSS−2500(根上工業社製 アクリル樹
脂、固形分20%、溶剤トルエン) パンロンLN (根上工業社製 アクリル樹脂の架橋
剤) ウレタン樹脂A(ポリテトラメチレングリコール(分子
量1000)/ポリエチレングリコール(分子量100
0)/ネオペンチルグリコール/MDI=70/30/
16/63(重量比)、常法にて重合、固形分25%、
溶剤メチルエチルケトン、粘度50Pa・s)
【0029】[実施例1]まず始めに、本実施例で用い
る樹脂の製造を次の方法で行った。パラクロンSS−2
500の原液100部に対し高吸放湿吸湿発熱性有機微
粒子13.3部を加えて均一に混合し、その後トルエン
を加えて希釈し、樹脂全体の粘度を10Pa・sに合わせ
た。次にコーティング直前にパンロンLNを2部添加
し、本樹脂を前記コーティング基布に対し35ミクロン
のクリアランスを持つアプリケーターで塗布し、80℃
で3分間乾燥し、その後130℃で3分間のキュアリン
グ処理をして透湿防水布帛を得た。本透湿防水布に付与
した樹脂層中の高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子の割合は
40%(計算値)である。
【0030】[実施例2]上記実施例の透湿防水布帛の
製造に対し、高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子を5部に変
更する以外は実施例1と全く同一の方法により透湿防水
布帛を得た。本透湿防水布に付与した樹脂層中の高吸放
湿吸湿発熱性有機微粒子の割合は20%(計算値)であ
る。
【0031】[比較例1]上記実施例の透湿防水布帛の
製造に対し、高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子を添加しな
い以外は実施例1と全く同一の方法により透湿防水布帛
を得た。
【0032】[比較例2]本比較例で用いる樹脂の製造
を次の方法で行った。パラクロンSS−2500の原液
100部に対しシリカゲル(NAKAMURA CHE
MICAL製 シリカゲル青(中粒)を平均粒径2.2
μm、最大粒径9μmまで粉砕したもの)13.3部を
加えて均一に混合し、その後トルエンを加えて希釈し、
樹脂全体の粘度を10Pa・sに合わせた。次にコーティ
ング直前にパンロンLNを2部添加し、本樹脂を前記コ
ーティング基布に対し35ミクロンのクリアランスを持
つアプリケーターで塗布し、80℃で3分間乾燥し、そ
の後130℃で3分間のキュアリング処理をして透湿防
水布帛を得た。これより、本透湿防水布に付与した樹脂
層中のシリカゲルの割合は40%(計算値)である。
【0033】
【表1】
【0034】上記表1に示す通り、高吸放湿吸湿発熱性
有機微粒子を20%以上添加した水準は、添加していな
い水準に比べ、顕著な吸湿発熱温度差、衣服内湿度及び
結露量低減、透湿向上を示し、快適性に優れるものであ
った。比べてシリカゲルを添加した水準では、多少の効
果は認められたものの、体感できる効果としてはわずか
であった。これはシリカゲルの性能が高吸放湿吸湿発熱
性有機微粒子に比べて低い(相対湿度(RH)65%での
水分率30%、初期吸湿速度0.6%/分、初期放湿速
度0.5%/分)ためと考えられる。なお、シリカゲル
の添加量を80%とした水準についても試作を行った
が、得られた布帛は樹脂に対する粉体の割合が多すぎる
ため、風合が非常に固く、また膜の摩耗耐久性も非常に
劣り、実用に耐えないものであった。
【0035】[実施例3]本実施例で用いる樹脂の製造
を次の方法で行った。ウレタン樹脂Aの原液100部に
対し高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子16.7部を加えて
均一に混合し、その後メチルエチルケトンを加えて希釈
し、樹脂全体の粘度を10Pa・sに合わせた。本樹脂を
前記コーティング基布に対し35ミクロンのクリアラン
スを持つアプリケーターで塗布し、80℃で3分間乾燥
し、その後130℃で3分間のキュアリング処理をして
透湿防水布帛を得た。本透湿防水布に付与した樹脂層中
の高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子の割合は40%(計算
値)である。
【0036】[実施例4]上記実施例の透湿防水布帛の
製造に対し、高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子を6.3部
に変更する以外は実施例3と全く同一の方法により透湿
防水布帛を得た。これより、本透湿防水布に付与した樹
脂層中の高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子の割合は20%
(計算値)である。
【0037】[比較例3]上記実施例の透湿防水布帛の
製造に対し、高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子を添加しな
い以外は実施例3と全く同一の方法により透湿防水布帛
を得た。
【0038】[比較例4]本比較例で用いる樹脂の製造
を次の方法で行った。ウレタン樹脂Aの原液100部に
対し比較例2で使用したシリカゲル16.7部を加えて
均一に混合し、その後メチルエチルケトンを加えて希釈
し、樹脂全体の粘度を10Pa・sに合わせた。次に本樹
脂を前記コーティング基布に対し35ミクロンのクリア
ランスを持つアプリケーターで塗布し、80℃で3分間
乾燥し、その後130℃で3分間のキュアリング処理を
して透湿防水布帛を得た。これより、本透湿防水布に付
与した樹脂層中のシリカゲルの割合は40%(計算値)
である。実施例3、4、比較例3、4の布帛に対する物
性評価結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】実施例1、2、比較例1、2に示す通り、
高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子を20%以上添加した水
準は、添加していない水準に比べ、顕著な吸湿発熱温度
差、衣服内湿度及び結露量低減、透湿向上を示し、快適
性に優れるものであった。一方、シリカゲルを添加した
水準では、多少の効果は認められたものの、体感できる
効果としてはわずかであった。なお、本樹脂の場合でも
シリカゲルの添加量を80%とした水準について試作を
行ったが、得られた布帛は同じく樹脂に対する粉体の割
合が多すぎるため、風合が非常に固く、また膜の摩耗耐
久性も非常に劣り、実用に耐えないものであった。
【0041】
【発明の効果】本発明の透湿防水布帛は、高吸放湿吸湿
発熱性の微粒子を繊維布帛に透湿性樹脂を介して固着さ
れているため、微粒子が湿気を吸収することは阻害され
ず、吸湿して発熱するので、発熱保温、衣服内湿度低
減、結露防止効果を発揮することができる。さらには、
放湿性にも優れるため、繰り返しこれらの効果を利用す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−209541(JP,A) 特開 平7−48779(JP,A) 特開 平6−10268(JP,A) 特開 平5−132868(JP,A) 特開 平5−78979(JP,A) 特開 昭51−125683(JP,A) 特開 平11−247069(JP,A) 特開 平11−279953(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 15/00 - 15/715

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維布帛の少なくとも片面に、高吸放湿
    吸湿発熱性有機微粒子を含有してなる樹脂層を有する布
    帛であり、該布帛が下記の吸湿発熱温度差(T)を示
    し、且つ衣服内湿度が70%RH以下で、結露量が23
    g/m2 以下であることを特徴とする吸湿発熱及び結露
    防止性を有する透湿防水布帛。 T=T(サンプル)−T(ブランク)≧1(℃) T(サンプル):上記樹脂層を有する布帛を絶乾し、絶
    乾状態のまま32℃に調温した後、32℃、相対湿度7
    0%の環境に置いた際の10秒後の樹脂層面の表面温
    度。 T(ブランク):上記サンプルと同一材質、目付の基布
    で高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子を含有しない樹脂層を
    有する布帛を絶乾し、絶乾状態のまま32℃に調温した
    後、32℃、相対湿度70%の環境に置いた際の10秒
    後の樹脂層面の表面温度。
  2. 【請求項2】 前記Tが2℃以上である請求項1に記載
    の吸湿発熱、衣服内湿度低減及び結露防止性を有する透
    湿防水布帛。
  3. 【請求項3】 高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子の20
    ℃、65%RHでの初期吸湿速度が0.8%/分以上であ
    り、20℃、90%RHから20℃、40%RHでの初期放
    湿速度が0.8%/分以上である請求項1又は2に記載
    の吸湿発熱、衣服内湿度低減及び結露防止性を有する透
    湿防水布帛。
  4. 【請求項4】 前記高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子がア
    クリロニトリルを85%以上含むアクリル系樹脂にヒド
    ラジン処理により架橋構造を導入し、窒素含有量の増加
    が1. 0〜15. 0重量%であり、加水分解により残存
    しているニトリル基量の1. 0mmol/g以上を塩系カル
    ボキシル基に化学変換せしめたものであることを特徴と
    する請求項1〜3に記載の吸湿発熱、衣服内湿度低減及
    び結露防止性を有する透湿防水布帛。
  5. 【請求項5】 高吸放湿吸湿発熱性有機微粒子を繊維上
    に固着する樹脂が30μmのフィルムで500g /m2
    24hr以上の透湿度を有することを特徴とする請求項1
    〜4に記載の吸湿発熱、衣服内湿度低減及び結露防止性
    を有する透湿防水布帛。
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