JP3075581U - 撥水性保温織物 - Google Patents

撥水性保温織物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 寒季などにおける降雪時、降雨時、霧発生時
などの低温で、かつ水分が当る状態や湿気があるときに
着用する外衣料用の織物として、外部からの水の滲み込
みを防ぎ、内側においては積極的保温機能のある、二つ
の機能をあわせ持つ織物を案出する。 【解決手段】 表面と裏面とが異なる糸で構成されてい
る二重織物組織とし、表面の構成糸である表糸は、フッ
ソ系樹脂の皮膜を有する繊維による糸とし、裏面の構成
糸である裏糸は、湿潤発熱性ポリアクリレート系繊維の
混紡糸が織物組織として総合的に混用されている構成と
し、表面は撥水性に、裏面は身体からの発汗などの水分
を利用して発熱する積極的保温性を発揮する織物とし
た。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、繊維の機能と織物組織との相乗的作用で、新たな総合的複合機能を 発揮するための考案である。
【0002】
【従来の技術】
雨具用織物、コート用織物あるいはスポーツウエア用織物など、雨水などの水 の滲み込みを防止する手段として水の浸入を完全に防ぐ防水加工布があるが、発 汗などで体が蒸れるという欠陥があるため、織物表面を撥水性にして水が浸入し 難くする手段がある。これらの手段として織物の表面にシリコン系樹脂、あるい はフッソ系樹脂などの撥水性合成樹脂などのコーティングにより、これら樹脂の 皮膜を形成させることによって撥水性機能を与えることは公知である。
【0003】 一方、防寒衣料用布地などの積極的保温を目的として、高い吸湿性と吸湿発熱 性がある合成繊維の利用が行われている。元来、羊毛や綿には吸湿発熱性がある ことは、「日本繊維機械学会公開講座配布資料;産業資材と機能繊維;羊毛・水 に濡れると発熱する秘密,p.5(1984.7.6)」などで公知であり、発 熱の主な機構は水分の吸着発熱現象であるとされている。
【0004】 ポリアクリレート系合皮繊維の一つである塩型カルボキシル基導入架橋アクリ ル系合成繊維がその分子構造によって理想状態では、通常の羊毛の発熱性(48 0J/g繊維質量程度)の大凡2倍以上(1450J/g程度)の吸湿発熱性が あることが知られていて、これら湿潤発熱性合成繊維が積極的保温機能の必要な 用途に用いられている。これらの使い方は特許公報;特公平7−59762、特 許公報;特開平10−46457号などに開示されていて公知である。しかるに 、何れの公知技術も撥水性ならびに積極的保温おのおのの単独の技術であり、単 一の織物で表側に撥水機能、裏側に湿潤発熱機能という両機能をもつ織物の提供 が望まれている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
冬季などの寒期における降雪時、降雨時、霧発生時などのときに着用する外衣 料用の布地として水分を通さないゴムびき織物などの防水布があり、織物の表面 全体を防水性にするためゴムや軟質樹脂で織物の織り目を塞いでしまうので、こ れを用いた外衣料は着用において外からの水分の浸透は防ぐけれども、通気性が ないので発汗などによる水分で蒸れるという欠点があった。
【0006】 これに対しシリコン系樹脂やフッソ系樹脂の皮膜を繊維表面にもつ糸を用いた 織物は、撥水性の皮膜形成は個々の繊維表面であり、皮膜が織り目を塞いでいな いために繊維集合体としての機能はそのままであり、通気性を失わないで撥水性 を与えることができる。しかしながら反面、防水布と異なり通気性があるのでこ れを用いた外衣料を着用すると外部の冷たい空気が身体に至り寒気を意識するこ とがある。
【0007】 また、湿潤発熱性繊維の混用織物を用いた衣料の着用は、身体の表面から発生 する水蒸気や発汗による湿潤によって発熱し、暖かさと保温性を与えるが、外部 からの冷えた水分の滲み込みによってせっかくの発熱が冷やされてしまうことに なるなどの問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
考案者は、寒季などの降雪時、降雨時、霧発生時などの寒くて湿気がある場合 に着用する外衣料用織物において、外部からの水分の浸透を防ぎ、内側つまり身 体側では身体の表面から発生する水分の吸着発熱を利用する積極的な保温機能を 発揮する構成とする着想に至った。かようにすれば身体が外からの水分によって 湿ることを防ぎ、身体からの水分による積極的保温機能が妨げられることがない 。
【0009】 この目的を達成するために鋭意検討の結果、表面と裏面とが実質的に異なる糸 で構成されている二重織物において、表面側構成糸である表糸を構成する繊維の 表面はフッソ系樹脂の皮膜を有し、裏面側構成糸である裏糸は湿潤発熱性ポリア クリレート系繊維の混紡糸が総合的に混用されていることを特徴とする織物の考 案に至った。さらに、加えて表糸の構成繊維に4%以上のフッソ樹脂繊維を混紡 していることを特徴とする織物である。かような構成とすれば、二重織物の構造 の特徴である2枚の織物を組織的に貼り合わせて1枚の織物のようした構造であ るので、織物の中間に微細な空気の層ができ、裏側の湿潤発熱性の繊維からの発 生熱が放散しにくいことにもなる。
【0010】
【考案の実施の形態】
二重織物には、経緯二重織物、経二重織物および緯二重織物がある。本考案は 表側に現れる表糸と、裏側に現れる裏糸とが実質的に異なるリバーシブルともい われる二重織の組織を用いるが、実質的にリバーシブル組織であれば前記二重織 物組織の何れを用いてもよい。本考案でいう実質的にリバーシブルであるとは、 表糸は実質的に表面に、裏糸は実質的に裏面に現れる組織を言い、例えば表側と 裏側とを接結するためとか、小さな模様を組織するためなど、表側に裏糸が微小 部分に現れたり、裏側に表糸が微小部分現れたりすることは実質的リバーシブル であるということを妨げない。かような織り組織において、例えば表糸として黒 色糸を用い裏糸として赤色糸を用いれば、織物の表面は黒色に裏面は赤色になり 、ここでいう実質的とはこのように表面は殆ど表糸が現われ、裏面は殆ど裏糸が 現わていることを指す。
【0011】 図1は本考案の織物である経緯二重織物組織の一例であり、織物のたて方向の 一部の断面模型略図を示す。白抜き太線で示す1は表側を構成する表経糸、白抜 き丸で示す2は同じく表緯糸で、両者はフッソ系樹脂皮膜で覆われている繊維で 構成されている糸である。つまり表側組織3の糸はフッソ系樹脂皮膜で覆われて いる繊維で構成されている。また、太線で示す4は裏側を構成する裏経糸、黒丸 で示す5は裏緯糸であり、その両者からなる裏側の組織6は湿潤発熱性ポリアク リレート系繊維の混紡糸を含む組織を示す。7は表側組織3と裏側組織6を接結 部8で接結して一つの織物として一体化している経接結糸である。接結糸は、織 物面に現れないように、表経または裏経が浮いている真下で、各々表緯または裏 緯と組織している。
【0012】 図2は本考案の織物である経緯二重織物組織の別の一例であり、織物たて方向 の一部の断面模型略図を示す。白抜き太線で示す9は表側を構成する表経糸、白 抜き丸で示す10は同じく表緯糸で、両者はフッソ系樹脂皮膜で覆われている繊 維で構成されている糸である。つまり表側の組織11の糸はフッソ系樹脂皮膜で 覆われている繊維で構成されている。また、太線で示す12は裏側を構成する裏 経糸、黒丸で示す13は裏緯糸であり、その両者からなる裏側の組織14は湿潤 発熱性ポリアクリレート系繊維の混紡糸を含む組織を示す。15は表側組織11 と裏側組織14を裏経糸が表緯糸と組織して接結部15の如く接結していて一つ の織物として一体化している。つまり、図2の場合は図1の如く別な接結糸を用 いずに、裏経糸が部分的に接結糸の役割をしている組織の例である。
【0013】 本考案は経二重織組織でもよく、一組の緯糸に表経と裏経とが組織するもので 、普通の一重の織物の裏にもう一つ余分な経糸が織付ている織組である。織物の 例としては無双丹前地やフレンチバック・サージなどがある。 また、本考案には緯二重織組織も含まれ、一組の経糸に表緯と裏緯とが組織す るもので、一重の織物に別な緯糸が織付いている組織である。織物の例としては リバーシブル織毛布など表と裏とで柄の有無、色違いなどの織物を作るのに利用 されている。このように、各種二重織物構造において、本考案では実質的に表側 に現れる糸を表糸、実質的に裏側に現れる糸を裏糸と称する。表側はその構成繊 維の表面にフッソ系樹脂の皮膜を有する繊維から成る糸を用い、その大部分が表 の外面を構成していることを要す。裏側は裏を構成している組織中に湿潤発熱性 ポリアクリレート系繊維の混紡糸が実質的に混用されていることを要する。実質 的とは、例えば該混紡糸とそれ以外の糸とが交互に組織されていてもよい。
【0014】 表糸の構成繊維であるところの表面にフッソ系樹脂の皮膜を有する繊維に加え て、フッソ系樹脂繊維そのものを混紡した糸を用いた織物について、表側からの 浸入水分の挙動を評価した結果、糸中へ水分の浸入を防ぐ補完作用があることが 分かった。この理由は、フッソ樹脂系繊維が混紡されていると、外から浸入しよ うとする水分を糸の中心部にあるフッソ系樹脂繊維がその繊維自体の高い撥水性 により水分の浸入を防ぎ、フッソ系樹脂皮膜を有する構成繊維を補完しで撥水効 果をさらに高めることが分かった。フッソ系樹脂繊維の糸段階の混用率は多いほ どよいが、質量で4〜5%程度でも効果があることが分かった。 本考案でいうフッソ系樹脂繊維とは、PTFE(ポリ4フッ化エチレン)、P FA(4フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシ基共重合体)、FEP(フッ 化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体)、ETFE(4フッ化エチレン・エ チレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVF(ポリフッ化ビ ニル)などの樹脂による繊維である。
【0015】 本考案では、外側に現れる表組織の糸はフッソ系樹脂皮膜で覆われている繊維 で構成されているが、フッソ系樹脂の皮膜形成はフッソ系樹脂エマルションを利 用する。表組織の繊維種としては、綿繊維(以降、Coと称す)、羊毛繊維(以 降、Wと称す)、アクリル繊維、ポリエステル繊維(以降、PETと称す)、P ET/Co混紡糸などの紡績糸、アクリル、ナイロン、PETなどのフィラメン ト糸やその仮撚加工糸などが用いられる。皮膜形成はフッソ系樹脂エマルション 液中に繊維状の段階か、あるいは糸状の段階で含浸させて繊維に付着加工するか 、または二重織物になってから表側のみにローラー接触方式あるいはスプレー方 式などで付着させ、乾燥後に100℃以上の温度でキュアリングして繊維に皮膜 を形成させる。
【0016】 エマルション状のフッソ系樹脂の一例を揚げれば、コモノマー主鎖にフルオロ カーボンの側鎖をもつフッソ系樹脂で、パーフルオロスルホン酸、パーフルオロ カルボン酸、パーフルオロアルキル基などを含有するアクリル酸エステルや塩化 ビニリデンなどが含まれる。
【0017】 本考案は裏側の組織を構成している組織中に湿潤発熱性ポリアクリレート系繊 維の混紡糸が含まれていることを要する。ポリアクリレートという呼称は、一般 的にはアクリル酸ソーダあるいはそのエステル重合物を指すが、本考案でいう湿 潤発熱性のポリアクリレート系繊維は前者に分類されるもので、塩型カルボキシ ル基が導入されている架橋アクリル系樹脂による親水性の合成繊維で、塩の部分 、重合度、架橋構造などの調整によって繊維としての性能を具備するように設計 している繊維を用いる。本考案で用いる湿潤発熱性繊維は、かようなポリマーに よる湿潤発熱性ポリアクリレート系繊維(以降、WPAと称する)とする。
【0018】 裏糸繊維として用いるWPAは一般的に強度的性能が高くないので他繊維、つ まり一般的に使われる繊維、例えばCo、W、アクリル繊維、ナイロン繊維、P ET、PET/Co混紡糸として用い、WPAの混紡率は高いほど発熱性は高く なるが、強度的な観点からおおよそ50%程度以下の混紡とするべきである。 これら混紡糸は裏糸として単独使用でなくてもよく、他繊維糸と引揃え織、交 撚糸利用や交織などの方法で織り組織として総合的に混用してもよい。
【0019】 次に実施例について記す。表用糸の糸である繊維状(ステープル状)でのフッ ソ系樹脂エマルション処理については、W、PETについて行い、パッケージ染 色機(オーバーマイヤー染色機)を用いて染色し、しかる後、フッソ系樹脂とし てパーフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルのエマルションとイソシアネ ート系の架橋剤と浸透剤とで構成する処理液を作り、この液を同染色機を用いて 繊維に含浸させ、遠心脱水機で脱液し適度な液の含有状態にした上、乾燥後して 後、110℃、30分間熱処理した。フッソ系樹脂の付着量は固形分で約0.7 %(計算値)であった。 かようにフッソ系樹脂エマルションの処理を行い繊維表面にフッソ系樹脂の皮 膜を形成した各ステープルを紡績し、W紡績糸;2/48Nm(メートル番手、 48番双糸;417dtex)、PET紡績糸;30/2cc(綿番手、30番 双糸;394dtex)。
【0020】 また、該PETとフッソ系樹脂繊維との混紡糸を1種試作した。フッ素系樹脂 繊維としてはPFA繊維(PFAポリマーによる繊維、以降、PFAと称す)。 この糸は該PET、PFA混紡糸;30/2(綿番手、30番双糸;394dt ex)である。
【0021】 表糸用として糸状でのフッソ系樹脂エマルション処理については、 W紡績糸 ;2/48Nm(メートル番手、48番双糸;417dtex)、PET紡績糸 ;30/2cc(綿番手、30番双糸;394dtex)、Co紡績糸;30/ 2cc。 また、WについてはPFAとの混紡糸;2/48Nmを2種加えた。これらの 糸をハンク状で噴射式糸染め機で各々染色後、フッソ系樹脂としてパーフルオロ アルキル基含有アクリル酸エステルのエマルションとイソシアネート系の架橋剤 と浸透剤とで構成する処理液を作り、この液を同染色機で各糸を含浸させ、マン グルで絞液、乾燥後に110℃、30分間熱処理した。マングル絞液法はフッソ 樹脂エマルション液の場合、糸中の各繊維をバラバラにほぐし、各繊維が相互に 癒着するのを防ぐ効果があることが分かった。フッソ系樹脂の付着量は固形分で 約0.6%(計算値)であった。
【0022】 また裏糸用としては、WPAとWとの混紡糸、WPAとPETとの混紡糸を用 意した。すなわち前者は2/48Nm(メートル番手、48番双糸;417dt ex)、後者は30/2cc(綿番手、30番双糸;394dtex)である。 さらに、織物にしてからフッソ系樹脂エマルション処理を行うための織物試作の 表糸用と、WPA混紡糸との交織法によって混用率を調整するための裏糸用を兼 ねて、W糸;2/48Nm、PET糸;30/2ccの各紡績糸を用意した。 以上の準備した糸について、表1に糸No.、糸種、使用繊維、糸番手、使用 繊維ならびに混用率(質量比)を示す。
【0023】
【表1】
【0024】 次に、表1に示す糸を用いて織物を試作した。組織は経緯二重織物とし、表側 、裏側とも図1に示す如き2/2綾(サージ調織物)とし、接結糸は裏糸と同じ 糸を用いた。試作織物の明細と評価結果を表2に湿す。
【0025】
【表2】
【0026】 表2の左側部分には、表1に示す糸を用いて試作した織物について、織物No .、表糸と裏糸の糸使いを示した。表糸および裏糸の欄の〇囲みNo.は、表1 の糸No.欄の○囲みNo.の行の糸であることを示す。また、裏糸欄に2つの 糸番号がある行は、2つの糸の交織法によって裏側のWPAの総合混用率を調整 したことを示す。 表2の織物No.欄のNo.15、16については、前者は表糸が通常のW紡 績糸(W;100%)、後者は表糸が通常のPET紡績糸(PET;100%) 使いの織物であるが、この織物の表側に織物状でフッソ系樹脂エマルション加工 を織物状で行って、各々の表側の糸を構成している繊維にフッソ系樹脂の皮膜を 形成した織物とし、この各々の織物をNo.15K、16Kとして示した。
【0027】 No.15K、16Kの織物の表側へのフッソ系樹脂エマルション加工はロー ラー・コーティング法によった。つまり、下部をフッソ系樹脂エマルション加工 液中に漬けた回転グラビアロールの上表面に走行する織物を接触させて付着させ たものである。織物の裏側への加工液の浸入を回避するためマングルでの絞液は 行わなかった。フッソ系樹脂としては、パーフルオロアルキル基含有アクリル酸 エステルのエマルションとイソシアネート系の架橋剤と浸透剤とで構成した加工 液とした。 フッソ系樹脂の付着量は固形分で約0.6%(計算値)であった。
【0028】 表2の右側には、織物の評価結果として織物の「表側撥水性」、織物の「裏側 上昇温度」を掲げた。「表側撥水性」の評価方法は、JIS L1092;19 98,6.2,はっ水度試験(スプレー試験)によった。なお、級数は高いほど 撥水性が良好となっている。また、「表側上昇温度」の評価方法は、絶乾状態で 温度20℃の織物を、雰囲気において温度20℃、相対湿度90%の場所に移し たときの放射温度上昇値を最大値で示したものである。温度測定はサーモグラフ ィー(NEC三栄会社製)により、測定条件は波長8〜13μm、放射率は1と した。
【0029】 表2によると、表側の撥水性は、W糸使いが4〜5級、PET、Co糸が4級 程度、 W/PFA混紡糸使いが5級、PET/PFA混紡糸使いが4〜5級で あり、PFAが4%程度でも混紡されていると撥水性が向上することが分かった 。 フッソ系樹脂エマルション加工のときの繊維の形態のステープル状、糸状、織 物状間には撥水性に大きな差異はなかった。
【0030】 表2における裏側上昇温度については、上昇温度が1.5℃以上を「通常繊維 より積極的保温性がある」と判定すると、WPAの総合混用率で大凡10%程度 以上が積極的保温性があるということが分かった。表側の撥水性と裏側の湿潤発 熱性との相互関係については、表側の撥水性の高いNo.1と5に比較して、表 側の撥水性が低いNo.15と16が、裏側の湿潤発熱性のWPA混用率が前者 と同様なのにも係わらず上昇温度が低いことを示した。この理由はNo.15、 16については、表側に撥水性がないので、外気の水分が表側から浸透し裏側を 冷却せしめたことと、表側に裏側から表側に至った水分が表側に吸着され、表側 から蒸発するので気化熱として熱が奪われることの理由で上昇温度が低くなるも のと考えられる。
【0031】 次に実用評価として、表2の織物No.1、2、3、5、6、15、16の7 種についてヤッケを縫製し着用評価を行った。評価の方法は人工気象室で17℃ で微風(3m/s)、霧雨状態の環境で官能評価検討を行った。この環境は人が 通常の綿の長袖アンダーシャツ着用の上に通常のポリエステルのヤッケを着用し て、寒さと湿り気を感じる程度の環境である。評価は各試料による試作ヤッケを 個別に各3名に着用してもらい、人工気象室に入って15分後の官能評価の平均 的な感じでの評価である。
【0032】 織物No.1、2、3、4、5、6については表側の撥水性は満足の行くレベ ルであり、霧雨はヤッケ表面で水玉状になり、内部に染み込むことはなく、寒さ を感じることもなく裏側の保温感も良好で暖かいという評価であった。 織物No.15、16については、No.1、5と同様に裏側組織にWPAが 混用されているのにもかかわらず寒さと湿り気を感じた。この原因は織物No. 15、16は表側の撥水性が不十分であったため、次第に湿り気を感じるように なり暖かい感じが損なわれものであったとの評価であった。
【0033】 以上のことから、本考案は表糸の構成する繊維がフッソ系樹脂繊維の皮膜に覆 われていて撥水性があり、水分が浸透し難いので外気の湿り気を感じさせず、裏 側では人体から発生する湿分で裏側組織に混紡されている湿潤発熱性ポリアクリ レート系繊維の吸着熱が効果的に寄与して積極的保温性を保っているものである ことが実証された。
【0034】
【考案の効果】
本考案は上記の通り構成されているので、次に記載する効果を奏する。 (1)本考案の織物を用いて外着衣料とすれば、寒季などにおける降雪時、降雨 時、霧発生時などの寒くて湿気があるときに外部からの水の滲み込みを防ぎ、内 側、つまり身体側では身体の表面から発生する水蒸気や発汗の湿分を利用して発 熱して積極的保温を行うので、かような寒くて湿気がある不快な環境時に着用者 が快適な状態を維持することができる。 (2)ゴムびき布、ポリウレタンコーティング布などの防水布を用いた外衣は、 外からの水分の浸透は防ぐけれども、発汗による蒸れなどで不快になる欠点があ る。 本考案によればフッソ系樹脂の皮膜形成は個々の繊維であり、糸や織物が繊維 集合体の特徴のままで、織組織の織目がそのままであることなど、織物の機能特 徴を失ってなく、通気性が普通の織物の如くであるので、防水布衣料などに伴う 欠点なしに裏側の湿潤発熱を利用した積極的保温効果を示す。 (3)二重織物の構造の特徴である2枚の織物を貼り合わせて1枚の織物のよう した構造であるので、織物の中間に微細な空気の層があり、裏側の湿潤発熱性繊 維の湿潤発生熱が放散しにくい効果がある。 (4)本考案は二重織物の特性つまり、表組織と裏組織とを実質的にほぼ独立に できることを利用して、織物の表側を構成する糸に撥水性の皮膜を形成した繊維 を用い、裏側には湿潤発熱性の繊維の混紡糸を用いて、お互いに影響し合うこと なしに一つの織物にしたことに特徴があり、なんら新規な設備によらずにドビー などを備えた普通の織機で簡単に製造できるので安価で経済的である。 以上、本考案は寒くて湿気があるときなどの戸外や水上スポーツ衣料、水上作 業用衣料、雪上作業用衣料などその応用範囲が広く、その機能の有用性とともに 経済性があり衣料分野の新しい展開に寄与するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】接結糸を有する経緯二重織物の断面模型略図
【図2】裏糸の一部を接結糸とした経緯二重織物の断面
模型略図
【符号の説明】
1 表経糸 2 表緯糸 3 表側組織 4 裏経糸 5 表緯糸 6 裏側組織 7 接結糸 8 接結組織部 9 表経糸 10 表緯糸 11 表側組織 12 裏経糸 13 裏緯糸 14 裏側組織 15 接結組織部

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表側と裏側とが実質的に異なる糸で構成
    されている二重織物において、表側構成糸である表糸の
    構成繊維がフッソ系樹脂で覆われていて、裏側構成糸で
    ある裏糸は湿潤発熱性ポリアクリレート系繊維の混紡糸
    が総合的に混用されていることを特徴とする織物。
  2. 【請求項2】 裏側の構成糸における湿潤発熱性ポリア
    クリレート系繊維の総合的な混用率が10%以上である
    ことを特徴とする請求項1記載の織物。
  3. 【請求項3】 表糸の構成繊維に4%以上のフッソ樹脂
    繊維が混紡されていることを特徴とする請求項1記載の
    織物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR200471464Y1 (ko) * 2012-02-13 2014-02-24 파 이스턴 뉴 센츄리 코포레이션 온열 직물
JP2014077209A (ja) * 2012-10-10 2014-05-01 Ayaha Kk 炭素繊維強化複合材用織物およびその製造方法
CN115198537A (zh) * 2022-07-19 2022-10-18 北京七特丽装饰材料有限公司 一种防热水渗透的壁布产品制作方法

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