JP3273144B2 - 透湿性防水布帛 - Google Patents

透湿性防水布帛

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JP3273144B2 JP21953097A JP21953097A JP3273144B2 JP 3273144 B2 JP3273144 B2 JP 3273144B2 JP 21953097 A JP21953097 A JP 21953097A JP 21953097 A JP21953097 A JP 21953097A JP 3273144 B2 JP3273144 B2 JP 3273144B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透湿性防水布帛に
関し、特に優れた透湿性と結露防止性を有する透湿性防
水布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より透湿性防水布帛を得るために、
繊維布帛上にナイフオーバーロールコーターその他のコ
ーティング機を使用してウレタン樹脂溶液を塗工し、水
中で凝固させ、ウレタン樹脂を主成分とする微多孔質膜
を形成することはよく知られている。そして、透湿性防
水布帛の機能向上のため、様々な技術が開発されてきた
が、その目的はJIS L 1099 塩化カルシウム
法(A−1法)による透湿度の向上と同時に耐水圧の向
上を図ることであった。これは、より快適で信頼性の高
い透湿防水性布帛を得るためである。
【0003】しかしながら、繊維学会誌Vol.41,
No.11,p.415〜425(1985)には塩化
カルシウム法による透湿度測定上の下記の問題点が指摘
されている。 被測定試料と蒸気の発生源との間および蒸気の放出
拡散側に空気層があり、蒸気の移動に対して障壁とな
る。
【0004】 塩化カルシウムと被測定試料との距離
は吸湿により経時変化するため、蒸気透過量は時間の経
過とともに減少する。 吸湿剤の容量が小さいため、高透湿性材料の場合に
は測定値が同程度となり、材料間で差別化ができない。 また、快適性との関連において透湿性を評価する場合、
従来はJIS L 1099 A−1法のごとき塩化カ
ルシウム法が評価方法として採用されていたが、ドイツ
・ホーヘンシュタイン研究所により、疑似皮膚モデル
(スキンモデル)を使用した快適性評価法が確立されて
からは、疑似皮膚モデルが実用に近い快適性評価方法と
して評価され、ISO11092としても確立されてい
る。そして、繊維学会誌によれば、このドイツ・ホーヘ
ンシュタイン研究所が確立したスキンモデルによる透湿
抵抗RetとJIS L 1099 B−1法 酢酸カリ
ウム法による透湿度が負の相関関係があることが示され
ている。
【0005】よって、実用に近い快適性評価法としてI
SO11092が認知されていることから同様に相関関
係のあるJIS L−1099 B−1法 酢酸カリウ
ム法も同様に実際の着用快適性を評価する手段として有
効であると考えられる。一方、塩化カルシウム法A−1
法と酢酸カリウム法B−1法における透湿度の間には全
く相関性がない。ここで、酢酸カリウム法における測定
上の特徴を述べると、被測定試料が直接液状の水と接触
しており、酢酸カリウム法ではこの水の被測定試料への
拡散もしくは溶解から蒸発に至る過程の速度を測定して
いることになる。
【0006】従って、このような測定法において高い測
定結果を得るためには、液状の水分を移動させ易い樹脂
の化学構造と微多孔質構造を持たせる必要がある。ま
た、実際の着用時に、雰囲気温度が低下した場合、衣服
の内側には、水滴が発生し、付着する。このような状態
では、いくら一定温度下で著しい透湿性(塩化カルシウ
ム法)を示していても、外気と衣服内との温度差のある
場合には、水滴が発生し、付着する結露現象が生じ、ベ
タツキや体温が奪われるという問題が起こる。
【0007】この結露現象の模擬試験として、たとえ
ば、50℃のお湯を入れたビーカーに被測定試料のウレ
タン面を下にして密閉カバーをし、10℃、65%R.
H.の雰囲気中に放置して(雰囲気温度の低下)、膜面
に付着する水の量を量る方法で結露性を評価する際、結
露を制御するためには、この付着した水滴を速やかに吸
収して、衣服外に放出する性能が必要となり、この場面
においても酢酸カリウム法での透湿度の大きさが衣服内
の真の快適性に大きく付与する。塩化カルシウム法によ
る透湿性が高いだけでは結露の抑制には効果がない。
【0008】以上のように、従来の塩化カルシウム法に
よる透湿性の向上と同時に耐水圧を向上させることが目
的であった場合には、真の快適性に関係のある酢酸カリ
ウム法による透湿性向上を目指した場合とは異なり、得
られる透湿性防水布帛は実際の着用時に快適なものとは
言い難かった。また、市販されている微多孔質皮膜を得
ることのできるウレタン樹脂は疎水性であるエステル系
ポリウレタン樹脂が多いが、このウレタン樹脂に、親水
性もしくは疎水性の微粒子添加物、たとえば微細なシリ
カ、セルロース粉末を添加することは公知であり、微粒
子の添加により透湿性(酢酸カリウム法および塩化カル
シウム法)の向上には効果がある。
【0009】たとえば、特開平6−272168には、
平均粒径1μm以下で、N,N−ジメチルホルムアミド
の吸着量が200ml/100g以上の無機粉末を1%以
上含有するポリウレタン主体の合成重合体溶液を布帛上
に湿式コーティング法によりコーティングすることによ
り、7,000g/m2 ・24hr以上の透湿性(塩化カ
ルシウム法)と0.6kgf /m2 以上の耐水圧を有する
透湿性防水布帛が示されている。この手法によって得ら
れた透湿性防水布帛の酢酸カリウム法による透湿度を測
定すると、無機粉末未添加のものと比べると向上してい
るが、10,000g/m2 ・24hr以下であり、従来
のものでは15,000g/m2 ・24hr以上の透湿度
を得ることはできない。
【0010】さらに、微粒子の添加は透湿性の向上には
効果があるが、耐水圧の低下、洗濯耐久性の低下および
剥離強度の低下を伴うのが一般的であり、快適性と実用
性を満足させることは困難であった。また、酢酸カリウ
ム法による透湿性向上の方法として、ウレタン樹脂の親
水化があり、その方法としてウレタン樹脂にポリエチレ
ングリーコール基やエチレングリコールとプロピレング
リーコールの共重合体であるプルオロニック基などの親
水基を導入してポリエーテル型のウレタン樹脂を作成す
ることは親水化の手段としては有効であると考えられる
が、水で凝固させる場合には、その凝固速度が遅くな
り、微多孔質構造を形成するには適さない。一般に、こ
のようなポリエーテル型のウレタン樹脂を水中で凝固し
た場合には多孔質構造とならずに、塊状で無孔状の構造
が形成されやすいため、殆ど使用されていないのが現状
である。
【0011】また、より高い透湿性および耐水圧性を得
るために、特公平1−33592には、湿式により得ら
れる微多孔質の樹脂皮膜の上に無孔質の皮膜を付与し、
耐水圧25,000mmH2 O以上、透湿度3,000g
/m2 ・24hrs 以上のウレタン樹脂より得られる透湿
防水布帛が示されているが、この透湿性防水布帛では高
い防水性は得られても、快適な透湿性は得られない。す
なわち、湿式の微多孔質膜の上に特公平1−33592
に開示されたごとき樹脂や疎水性のウレタン樹脂はもち
ろんのこと、親水性ウレタン樹脂であっても通常のウレ
タン樹脂を塗布した場合には、透湿性(酢酸カリウム
法)はかえって低下し、耐水性は向上するものの、快適
性は低下することになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決し、風雨の激しい環境下での作業を行ったり、激
しい運動を行ってもムレや漏水を生じない、信頼性の高
い透湿性と防水性を備える透湿性防水布帛を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、繊維布帛の少なくとも片面に微多孔質膜を
含むウレタン樹脂皮膜が形成された透湿性防水布帛であ
って、酢酸カリウム法による透湿度が15,000g/
2 ・24hr以上であり、結露量が5g/m2・hr以下
であり、耐水圧が8,000mmH2 O以上であることを
特徴とする透湿性防水布帛を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に有用な繊維布帛の素材と
しては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、レーヨン
等の化学繊維、綿、麻、羊毛等の天然繊維やこれらの混
繊もしくは交織品を挙げることができ、特に限定される
ものではない。また、それらの形態としては、織物、編
物、不織布等のいかなるものであってもよい。
【0015】また、本発明の透湿性防水布帛は微多孔質
膜を有するのであるが、従来から、織物の上にウレタン
樹脂のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を塗布し、微
多孔質のウレタン樹脂膜を付与して透湿性防水布帛を形
成することについては公知であり、その透湿性(塩化カ
ルシウム法)や耐水圧を向上させるための、改善手段も
提案されている。
【0016】しかし、先にも述べたように実際の着用快
適性を評価するための酢酸カリウム法による透湿性向上
のための手段についての提案は知られていない。微多孔
質膜の物質の透過性に関しては、微多孔質の構造が関与
することは当然であり、精密ろ過膜の分野において微多
孔質の中空糸が使用され、透過性には膜の空孔率や孔の
大きさや分布、厚みなどが関連していることが記述され
ている(繊維学会誌Vol.49,No.6,p−20
0(1993))。
【0017】透湿性に関しても、当然に、ウレタン樹脂
の微多孔質膜の構造は空孔率が高く、孔が互いに連通し
た構造になると高い透湿性が得られると想定され、種々
の提案がなされている。本発明に有用な微多孔質膜を得
る1つの方法においては、N,N−ジメチルホルムアミ
ドに溶解されたウレタン樹脂を水中に入れることによ
り、N,N−ジメチルホルムアミドと水が置換してウレ
タン樹脂が水中で凝固し、その水の部分がやがて乾燥さ
れて空孔が形成されることにより微多孔質膜が得られる
のであるが、その際微多孔質膜に含まれる水の量(含水
率)は空孔率に比例するはずであることに着目した結
果、含水率と酢酸カリウム法による透湿性には相関関係
があることを見出したものである。すなわち、微多孔質
膜の含水率が高い程、酢酸カルシウム法による透湿性が
高いことを見出したのである。
【0018】微多孔質膜の含水率が170%以上であれ
ば、酢酸カリウム法による透湿性が15,000g/m
2 ・24hr以上となり、快適な防水性布帛が得られる。
この含水率と塩化カルシウム法による透湿度との間には
明確な相関は見られない。この微多孔質皮膜は表面に1
μm以下の微細孔を有し、内部には通常の10〜20μ
mの空孔を有し、その壁部にさらに1μm程度の微細穴
が形成され、互いに連通した構造を有する。
【0019】含水率170%以上の微多孔質膜を得るた
めの好ましい手段としては、微多孔質膜中に粒径20nm
以下の微粒子状酸化アルミニウムを含み、微多孔質膜が
一液型エステル系ポリウレタン樹脂と低重合度エステル
系ポリウレタン樹脂からなるのがよい。本発明で用いら
れる粒経20nm以下の微粒子状酸化アルミニウムは、比
表面積100m2 /g程度のものがよく、その添加量と
してはウレタン樹脂固形分に対し0.5〜30重量部、
好ましくは3〜15重量部であるのがよい。これによっ
て、透湿性を高め、初期の耐水圧を向上させ、洗濯後の
耐水圧を保持せしめることが可能となる。
【0020】含水率170%以上の微多孔質膜の形成に
は一液型ポリウレタン樹脂が用いられ、これは公知の一
液型エステル系ポリウレタン樹脂や一液型エステル系ポ
リウレタン樹脂であってアミノ酸変性されたものやフッ
素を含有するものであってもよく、とくに限定されな
い。また、これらの一液型エステル系ポリウレタン樹脂
に加えて、耐水圧および剥離強度を向上させるために、
低重合度エステル系ポリウレタン樹脂を配合するのがよ
い。ここで、低重合度エステル系ポリウレタン樹脂と
は、公知のエステル系ポリウレタン樹脂であって、分子
量が5万以下のものを言う。
【0021】これらのウレタン樹脂は固形分25〜40
%の極性有機溶媒溶液として得られるが、その配合割合
(一液型エステル系ポリウレタン樹脂:低重合度エステ
ル系ポリウレタン樹脂)は100:5〜50:50(重
量比)の範囲であるのがよい。この範囲外では透湿性は
高いが、耐水圧が低く、剥離強度が低いか、もしくは耐
水圧や剥離強度は高いが透湿性が低い製品となり、実用
性が低くなる。
【0022】次に、微多孔質膜の形成方法について説明
する。ウレタン樹脂溶液を塗布する前に、繊維布帛にウ
レタン樹脂溶液が過度に浸透することを防止するため
に、必要に応じ、塗布前に、繊維布帛に対し撥水処理や
カレンダー処理を行う。次に、ウレタン樹脂溶液を繊維
布帛の少なくとも片面に塗布するわけであるが、ウレタ
ン樹脂溶液に一般に用いられている極性有機溶媒として
はN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ドなどが挙げられる。このウレタン樹脂溶液中にさらに
イソシアネート系架橋剤や白色顔料やその他の公知の添
加剤などを添加してもよい。
【0023】塗布方法としては、ナイフオーバーロール
コーターなどの公知の手段によりウレタン樹脂溶液を繊
維布帛に塗布し、次に水中に浸漬して樹脂を凝固させ、
微多孔質膜を形成させる。この際の凝固浴は水または極
性有機溶媒の水溶液であるのがよく、5〜60℃の水温
で行えばよい。次に、脱溶媒のための湯洗いを20〜8
0℃で行い、エアーオーブンやホットシリンダー等によ
り100〜130℃で乾燥する。
【0024】微多孔質膜の膜厚は10〜40μm程度で
あるのがよく、10μm未満では耐水圧が低く、また4
0μm以上では風合いが硬くなる。さらに、本発明の透
湿性防水布帛は、ウレタン樹脂皮膜において、微多孔質
膜の上に、二液型ポリウレタン樹脂からなり、その皮膜
の水膨潤度が50%以上である無孔質膜が形成されてな
る透湿性防水布帛を含む。このような透湿性防水布帛
は、微多孔質のウレタン樹脂皮膜だけを有するものに比
べて、より高い耐水圧やより大きい表面強度を得る目的
に使用することができる。山岳用などの過酷な条件下で
使用される場合には、このような高い防水性能と快適性
が要求されるからである。
【0025】無孔質の皮膜においては、水蒸気の移動
は、皮膜に対して、水分の吸収→拡散→皮膜からの蒸発
という過程を経るため、水分の吸収性の高いもの程、透
湿度(酢酸カリウム法)は高い値を示すが、その目安と
して、ここでは皮膜を所定時間水に浸漬した後の水を吸
収する重量割合(水膨潤度)を採用し、これと酢酸カリ
ウム法による透湿性とに相関性があることを見出したも
のである。
【0026】水膨潤度が50%未満である無孔質膜を付
与した場合には、微多孔質膜だけの場合より、透湿性は
低下する。しかし、水膨潤度が50%以上である無孔質
膜を供与したときは、微多孔質膜だけの場合より、微多
孔質膜と無孔質膜とを有するウレタン樹脂皮膜の方が酢
酸カリウム法による透湿性をむしろ向上させるのであ
る。
【0027】ここで使用するウレタン樹脂は、二液型
の、ポリエチレングリコール基などで変成し、親水性に
したポリウレタン樹脂であり、無黄変型のものであるの
が好ましい。また、このウレタン樹脂の溶媒はN,N−
ジメチルホルムアミドを10重量%以下の範囲で含むも
のである(N,N−ジメチルホルムアミドを全く含まな
くともよい。)。一液型の親水性ウレタン樹脂の多く
は、樹脂溶液の溶媒中にN,N−ジメチルホルムアミド
を10重量%以上の範囲で含んでおり、すでに形成され
た微多孔質のウレタン樹脂皮膜を溶解し、透湿性の低下
や風合いの硬化を起こすことになり、好ましくない。も
ちろん、親水性の二液型ポリウレタン樹脂であっても、
N,N−ジメチルホルムアミドを全溶媒中10重量%以
上含んでいるウレタン樹脂溶液を用いれば、同様の問題
が生じる。
【0028】無孔質膜の形成方法としては、微多孔質膜
の上に二液型ポリウレタン樹脂溶液をナイフコーターや
グラビヤコーターを使用して塗布し、乾燥することによ
って得られる。二液型ポリウレタン樹脂溶液の溶媒とし
ては、N,N−ジメチルホルムアミドの他にメチルエチ
ルケトン、トルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコ
ールなどが挙げられる。これらの溶媒を用い、N,N−
ジメチルホルムアミドの溶剤中の割合を10重量%以下
とする。
【0029】この二液型ポリウレタン樹脂溶液中にイソ
シアネート系架橋剤、炭酸カルシウム、コロイダルシリ
カ、セルロース、プロテイン、PMMA樹脂等の無機あ
るいは有機の微粉末などを添加してもよい。このときの
樹脂膜の厚さは0.1〜10μm程度であるのがよい。
塗布量が多い程耐水圧が向上する。
【0030】塗布方法としては、ナイフコーターやグラ
ビヤコーターを使用することができる。塗布された二液
型ポリウレタン樹脂溶液をエアーオーブンなどにより1
00〜160℃程度で乾燥して、無孔質膜が得られる。
次いで、フッ素系撥水剤、シリコン系撥水剤などを用い
て公知の撥水処理を行い、100〜150℃でしわ取
り、規格調整のため仕上げセットを行うことにより、透
湿性防水布帛が得られる。必要に応じ、撥水処理後、ペ
ーパー処理等を行ってもよい。
【0031】このように、ウレタン樹脂皮膜が微多孔質
膜と水膨潤性を有する無孔質膜層の2層からなる透湿性
防水布帛は、透湿度が低下することなく防水性能が向上
され、酢酸カリウム法で透湿度15,000g/m2
24hrs 以上の性能を有し、さらに耐水圧は20,00
0mmH2 O以上となる。
【0032】
【発明の効果】よって、本発明に係る透湿性防水布帛
は、優れた水蒸気透過性能(酢酸カリウム法による透湿
度)をもっていることにより、身体から発生する水蒸気
を衣服外に素早く放出しかつ衣服内と外気温との差によ
り発生する水滴をも衣服外に放出し、さらに高い防水性
能を有するため漏水を防ぎ、厳しい環境下での作業や、
運動時であっても衣服内がムレたりベトついたりしなく
なり、快適な作業環境下で作業や運動を可能にする。
【0033】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお、例中「部」は重量部を示す。また、本明細書
に述べる皮膜の評価は、次の方法に依った。 A)微多孔質膜の含水率の測定 タイベック(デュポン製PP不織布、厚み0.16mm)
に微多孔質膜を得るためのウレタン樹脂溶液を厚さ0.
12mmで塗り、水で凝固後、50℃の湯で5分間洗っ
た。不織布の上に形成された微多孔質膜を切り取り、不
織布から剥離し、水を含んだままで重量測定した
(W1 )。さらに、この微多孔質膜の乾燥後の重量を測
定した(W0 )。下記式により、含水率を計算した。
【0034】
【数1】
【0035】B)無孔質膜の水膨潤度 離型紙の上にウレタン樹脂溶液を0.08mmの厚さで塗
布し、120℃で3分間乾燥し、18時間経過後、5cm
×5cmの大きさに切り取り、無孔質膜を離型紙より剥離
し、重量を測定した(w2 )。次に、無孔質膜を水道水
に5分間漬けた後取り出して重量を測定し(w3 )、下
記式により水膨潤度を計算した。
【0036】
【数2】
【0037】1)透湿性 JIS L 1099 A−1法(塩化カルシウム法)
およびB−1法(酢酸カリウム法)により測定した。た
だし、表示は24時間に換算して行った。 2)耐水圧 JIS L 1092 B法により測定した。また、洗
濯後の耐水圧の保持率を測定する場合の洗濯方法は、J
IS L 0217 103法を使用し、洗濯前と10
回洗濯後の耐水圧とを比較した。 3)剥離強度 JIS K 6328により測定した。 4)結露性 結露性として40℃の湯が500ml入っている500ml
ビーカーに、樹脂皮膜面(両面が繊維材料の場合は衣服
等で使用する場合の内側)がビーカー内側になるように
試料で覆い、輪ゴムで固定する。このビーカーを10
℃、60%RH条件下の恒温恒湿機中に1時間放置す
る。1時間後における樹脂皮膜面に付着した水滴量を測
定して結露量を求め、単位をg/m2 ・hrに換算した。 実施例1 下記のウレタン樹脂溶液を準備した。 微多孔質膜用混合樹脂溶液 一液型エステル系ポリウレタン樹脂(固形分30%) 70部 低重合度エステル系ポリウレタン樹脂(固形分40%) 30部 (分子量40,000) N,N−ジメチルホルムアミド 40部 微粒子状酸化アルミニウム 3部 (平均粒径:13nm、比表面積:100g/m2 ) L−6519(白色顔料、大日本インキ製) 3部 コロネートHL 1部 (日本ポリウレタン製イソシアネート)この樹脂溶液よ
り得られた微多孔質膜の含水率は180%であった。
【0038】このウレタン樹脂溶液を用いて透湿性防水
布帛を以下の手順で加工した。ポリエステル織物(糸使
い75デニール、72フィラメント)であって、密度が
縦180本/吋、横94本/吋の平織物を常法により精
練し、染色し、アサヒガードAG710(フッ素系撥水
剤、旭ガラス(株)製)の5%水溶液を織物に含浸さ
せ、マングルで絞り、乾燥した後、150℃で30秒間
熱処理した。
【0039】次に、ナイフオーバーロールコーターを使
用し、上記混合樹脂溶液をコーティングした。これを2
0℃の水中に導き、2分間凝固させた後、50℃で5分
間湯洗いし、130℃のエアーオーブンで乾燥し、樹脂
膜厚40μmの微多孔質膜を得た。次に、アサヒガード
AG690(フッ素系撥水剤、旭ガラス(株)製)を用
いて撥水処理を行い、140℃で仕上げセットを行い、
ペーパー処理し、透湿性防水布帛を得た。得られた透湿
性防水布帛の各種物性を表1に記す。 比較例1 下記ウレタン樹脂溶液を使用した以外は、実施例1と同
様にし、透湿防水布帛を得た。
【0040】 クリスボン8006(大日本インキ製ウレタン樹脂)100部 N,N−ジメチルホルムアミド 40部 L−6519(白色顔料、大日本インキ製) 3部 サイリシア740(富士シリシア製、シリカ) 9部 (平均粒径:3.5μm、比表面積:700g/m2 ) コロネートHL 1部 (日本ポリウレタン製イソシアネート)この樹脂溶液か
ら得られた微多孔質膜の含水率は130%であった。
【0041】得られた透湿性防水布帛の各種物性を表1
に記す。 比較例2 下記ウレタン樹脂溶液を使用した以外は、実施例1と同
様にし、透湿防水布帛を得た。 一液型エステル系ポリウレタン樹脂(固形分30%) 70部 低重合度エステル系ポリウレタン樹脂(固形分40%) 30部 (分子量40,000) N,N−ジメチルホルムアミド 40部 微粒子状疎水性シリカ 3部 (平均粒径:16nm、比表面積:110g/m2 ) L−6519(白色顔料、大日本インキ製) 3部 コロネートHL 1部 (日本ポリウレタン製イソシアネート)この樹脂溶液よ
り得られた微多孔質膜の含水率は160%であった。
【0042】得られた透湿性防水布帛の各種物性を表1
に記す。 比較例3 下記ウレタン樹脂溶液を使用した以外は、実施例1と同
様にし、透湿防水布帛を得た。 一液型エステル系ウレタン樹脂(固形分30%) 70部 低重合度エステル系ポリウレタン樹脂(固形分40%) 30部 (分子量40,000) N,N−ジメチルホルムアミド 40部 サイシリア740(富士シリシア製、シリカ) 9部 (平均粒径:3.5μm、比表面積:700g/m2 ) L−6519(白色顔料、大日本インキ製) 3部 コロネートHL 1部 (日本ポリウレタン製イソシアネート)この樹脂溶液よ
り得られた微多孔質膜の含水率は150%であった。
【0043】得られた透湿性防水布帛の各種物性を表1
に記す。
【0044】
【表1】
【0045】実施例2 微多孔質膜を得るためのウレタン樹脂を下記の処方で配
合した。 微多孔質膜用混合樹脂溶液 一液型エステル系ウレタン樹脂(固形分30%) 70部 低重合度エステル系ウレタン樹脂(固形分40%) 30部 (分子量40,000) N,N−ジメチルホルムアミド 40部 微粒子状酸化アルミニウム 3部 (平均粒径:13nm、比表面積:100g/m2 ) L−6519(白色顔料、大日本インキ製) 3部 コロネートHL 1部 (日本ポリウレタン製イソシアネート)この樹脂溶液よ
り得られた皮膜の含水率は180%であった。
【0046】このウレタン樹脂溶液を用いて透湿性防水
布帛を以下の手順で加工した。ナイロンタフタ織物(縦
糸70デニール/68フィラメント、緯糸70デニール
/68フィラメント)であって、密度が縦123本/
吋、横本87本/吋の平織物を常法により精練し、染色
し、アサヒガードAG710(フッ素系撥水剤、旭ガラ
ス(株)製)の5%水溶液を織物に含浸させ、マングル
で絞り、乾燥した後、150℃で30秒間熱処理した。
【0047】次に、ナイフオーバーロールコーターを使
用し、上記混合樹脂溶液をコーティングした。これを2
0℃の水中に導き、2分間凝固させた後、50℃で5分
間湯洗いし、130℃のエアーオーブンで乾燥し、樹脂
膜厚40μmの微多孔質膜を得た。さらに、得られた微
多孔質ウレタン膜の上に無孔質ウレタン皮膜を以下の手
順で付与した。
【0048】先ず、下記の無孔質膜用ウレタン樹脂溶液
を準備した。 二液型ポリウレタン樹脂(固形分30%) 100部 トルエン 50部 イソプロピルアルコール 50部 コロネートHL 1部 (日本ポリウレタン製イソシアネート)この樹脂溶液か
ら得られた皮膜の水膨潤度は60%であった。
【0049】このウレタン樹脂溶液をナイフコーターを
用いて、50g/m2 の量で塗布し、120℃で乾燥
し、無孔質膜を得た。次に、アサヒガードAG690
(フッ素系撥水剤、旭ガラス(株)製)を用いて撥水処
理を行い、140℃で仕上げセットを行い、ペーパー処
理し、透湿性防水布帛を得た。得られた透湿性防水布帛
の各種物性を表2に記す。 比較例4 得られる皮膜の水膨潤度が5%である下記の無孔質膜用
ウレタン樹脂溶液を用いた以外は、実施例2と同様に
し、透湿性防水布帛を得た。 無孔質膜用ウレタン樹脂溶液 Y−210 100部 (大日精化製、透湿用一液型ウレタン樹脂) メチルエチルケトン 80部 得られた透湿性防水布帛の各種物性を表2に記す。
【0050】
【表2】
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−272168(JP,A) 特開 平6−313275(JP,A) 特開 平6−123077(JP,A) 特開 平7−9631(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 15/564

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維布帛の少なくとも片面に微多孔質膜
    を含むウレタン樹脂皮膜が形成された透湿性防水布帛で
    あって、酢酸カリウム法による透湿度が15,000g
    /m2 ・24hr以上であり、結露量が5g/m2 ・hr以
    下であり、耐水圧が8,000mmH2 O以上であること
    を特徴とする透湿性防水布帛。
  2. 【請求項2】 微多孔質膜の含水率が170%以上であ
    る、請求項1記載の透湿性防水布帛。
  3. 【請求項3】 微多孔質膜が粒径20nm以下の微粒子状
    酸化アルミニウムを含み、かつ、一液型エステル系ポリ
    ウレタン樹脂と低重合度エステル系ポリウレタン樹脂か
    らなる、請求項1または2記載の透湿性防水布帛。
  4. 【請求項4】 微多孔質膜上に二液型ポリウレタン樹脂
    からなり、水膨潤度が50%以上である無孔質膜が付与
    されており、酢酸カリウム法による透湿性が15,00
    0g/m2 ・24hr以上であり、結露量が5g/m2
    hr以下であり、耐水圧が20,000mmH2 O以上であ
    る、請求項1記載の透湿性防水布帛。
  5. 【請求項5】 無孔質膜が、無黄変型の二液型ポリウレ
    タン樹脂の溶剤溶液であって、その溶剤組成に含まれる
    N,N−ジメチルホルムアミドが10重量%以下である
    溶液から形成されたものである、請求項4記載の透湿性
    防水布帛。
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