JP5396010B2 - 透湿性防水布帛およびその製造方法 - Google Patents

透湿性防水布帛およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5396010B2
JP5396010B2 JP2007158709A JP2007158709A JP5396010B2 JP 5396010 B2 JP5396010 B2 JP 5396010B2 JP 2007158709 A JP2007158709 A JP 2007158709A JP 2007158709 A JP2007158709 A JP 2007158709A JP 5396010 B2 JP5396010 B2 JP 5396010B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
moisture
urethane resin
permeable waterproof
waterproof fabric
fabric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007158709A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008307813A (ja
Inventor
秀樹 茶谷
泰尚 嶋野
耕治 中出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Komatsu Seiren Co Ltd
Original Assignee
Komatsu Seiren Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Komatsu Seiren Co Ltd filed Critical Komatsu Seiren Co Ltd
Priority to JP2007158709A priority Critical patent/JP5396010B2/ja
Publication of JP2008307813A publication Critical patent/JP2008307813A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5396010B2 publication Critical patent/JP5396010B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)

Description

本発明は、透湿性防水布帛およびその製造方法に関する。
透湿性防水布帛は、湿気を通過させるが、雨等の水の浸入を防止する素材として、合羽、スキーウエアー、ウインドブレーカーをはじめ、テント、靴材等といった身の回りの様々な物品に使用されている。
透湿性防水布帛としては、例えば、繊維布帛の少なくとも片面にポリウレタン重合体の樹脂溶液をコーテイングし、湿式凝固して得られた微多孔質膜を有するコーテイング加工布(特許文献1参照)、繊維布帛の片面に無孔質のウレタン樹脂皮膜を貼り合わせて得られた透湿性防水布帛(特許文献2参照)等が知られている。
従来、微多孔質膜を形成する際には、皮膜の透湿性を高めるため、炭酸カルシウムの微粒子が広く用いられている。炭酸カルシウムは、安価であり、繊維布帛に塗布したウレタン樹脂を水に浸漬して凝固させる際に、ウレタン樹脂中に含まれるN、N−ジメチルホルムアミド等の溶剤と、水との置換を促す作用がある。これにより、微多孔質構造の形成が促進され、透湿性が向上する。
ところで、透湿性防水布帛を用いた衣服を着用する場合、激しい運動条件下では、透湿性防水布帛の内側(身体側)の皮膜の表面に、汗または汗からの蒸気による結露水などの水分が付着し、この水分が着用者の肌に転着して、快適さが損なわれることがある。特にこの現象は、透湿性がほとんどない防水布帛を用いた衣服において顕著に見受けられる。
透湿性防水布帛の透湿性の度合いは、透湿度で表すことができる。透湿度の測定方法には、塩化カルシウム法(JIS L1099−1993A−1法)、あるいは酢酸カリウム法(JIS L1099−1993B−1法)の2種類の方法があり、目的によって使い分けられている。塩化カルシウム法で得られる透湿度は、衣服の内側の湿度低減の指標となる。一般に、塩化カルシウム法で測定された透湿度が高いほど、湿度の低減効果が高いとされている。また、酢酸カリウム法で得られる透湿度は、衣服の内側の水分の結露低減の指標となる。一般に、酢酸カリウム法で測定された透湿度が高いほど、衣服の内側の結露を低減する効果が高いとされている。そして、両方がともに高い値を示すほど、着用者によってより快適であるといえる。
従来の炭酸カルシウムを添加した透湿性防水布帛においては、塩化カルシウム法による衣服の内側の湿度の低減効果に優れたものが幾つか見受けられるが、酢酸カリウム法による衣服の内側の結露の低減効果に優れた透湿性防水布帛は見受けられなかった。したがって、両方の透湿性を満足することのできる透湿性防水布帛が求められていた。
ところで、人間の肌の表面は弱酸性に維持されている。肌の表面が弱酸性に維持されることにより、細菌の増殖の抑制効果、皮膚の蛋白質をひきしめる効果等があるとされている。また、人の肌にpH4.0未満の酸性あるいはpH7.0を超えるアルカリ性の液体が付着すると、肌の酸性度のバランスが崩れ、肌ストレスや肌荒れの原因となる恐れがある。ゆえに、人の肌は弱酸性を維持することが望ましい。したがって、ウレタン樹脂皮膜が形成された透湿性防水布帛において、汗などの水分が、微多孔質皮膜の成分を抽出してpH4.0未満の酸性やpH7.0を超えるアルカリ性になることは、人の肌にとっては好ましくない。透湿性防水布帛の皮膜の表面は、湿潤時、弱酸性であることが望ましい。
特開昭55−80583号公報 国際公開第99/20465号パンフレット
しかしながら、従来の炭酸カルシウムを含んだ透湿性防水布帛を用いた衣服を着用する場合、汗等の水分が蓄積したときや、衣服の内側に水分が結露して付着したときには、炭酸カルシウムがアルカリ性であるため、水分のpHは弱アルカリ性となり、この水分が肌に転着すると肌荒れの原因となる恐れがあった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、衣服の内側の湿度および結露を低減することで優れた透湿性を示し、かつ湿潤時に人の肌に優しいpH4.0〜7.0を維持する透湿性防水布帛およびその製造方法を目的とする。
前記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
繊維布帛の少なくとも片面に、微多孔質膜を有するウレタン樹脂皮膜が形成された透湿性防水布帛であって、前記微多孔質膜中に、平均粒子径が0.05〜5μmの両性金属の酸化物の微粒子が含まれ、湿潤時にpH4.0〜7.0を示すことを特徴とする透湿性防水布帛。
前記微多孔質膜を形成するウレタン樹脂100質量部に対し、前記微粒子が0.5〜100質量部含まれることが望ましい
耐水圧が100kPa以上であり、塩化カルシウム法による透湿度が5000g/m2・24hrs以上であり、酢酸カリウム法による透湿度が8000g/m2・24hrs以上であることが望ましい
前記微多孔質膜上に、さらに無孔質膜が形成されていることが望ましい
繊維布帛に、平均粒子径が0.05〜5μmの両性金属の酸化物の微粒子が分散したウレタン樹脂溶液を塗布した後、水に浸漬し、ウレタン樹脂を凝固させることを特徴とする透湿性防水布帛の製造方法。
本発明の透湿性防水布帛の製造方法によると、衣服の内側の湿度および結露を低減することで優れた透湿性を示し、かつ湿潤時に人の肌に優しいpH4.0〜7.0を維持する透湿性防水布帛を提供できる。
本発明の透湿性防水布帛によると、衣服の内側の湿度および結露を低減することで優れた透湿性を示し、かつ湿潤時に人の肌に優しいpH4.0〜7.0を維持できる。
本発明の透湿性防水布帛は、繊維布帛の少なくとも片面に微多孔質膜を有するウレタン樹脂皮膜が形成されており、この微多孔質膜中に、両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子が含まれ、湿潤時にpH4.0〜7.0を示すことを特徴とする。
繊維布帛の素材としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、アセテート、レーヨン、ポリ乳酸等の化学繊維、または、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維やこれらの混繊、混紡、交織品等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、繊維布帛は織物、編物、不織布等、いかなる形態であってもよい。さらに、繊維布帛には、染色、捺染をはじめ、制電加工、撥水加工、抗菌防臭加工、制菌加工、紫外線遮蔽加工等を施してあってもよい。
ウレタン樹脂皮膜は、少なくとも前記微多孔質膜を含んでいる。微多孔質膜は、透湿性と防水性とを繊維布帛に付与できる膜であればよく、その空孔の大きさ、形状、分布状態等については特に限定されない。透湿性および防水性の観点からは、微多孔質膜の表面に孔径約1μm以下の微細孔を有し、微多孔質膜の内部には孔径10〜50μm程度の空孔を有し、空孔の壁面には孔径約1μm以下の微細孔を有し、これら微細孔によって空孔同士が互いに連通した構造を有した微多孔質膜が好ましい。
微多孔質膜の厚みは、10〜100μm程度が好ましい。微多孔質膜の厚みが10μm未満では、防水性が低下する。微多孔質膜の厚みが100μmを超えると、得られる透湿性防水布帛の風合が硬くなる。
微多孔質膜を形成するウレタン樹脂としては、湿式法等により所望の微多孔質膜を形成することができれば特に限定されないが、例えば、エーテル系、エステル系、エーテル・エステル系、ポリカーボネート系等のウレタン樹脂を挙げることができる。中でも、湿式法にて製造した際に、良好な微多孔質膜を形成することのできるエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子の平均粒子径は、0.05〜5μmが好ましい。微粒子の平均粒子径が前記範囲を下回ると、ウレタン樹脂が凝固する際に水の浸入が遅く、ふくらみの不充分な微多孔質膜になり、平均粒子径が前記範囲を超えると、微多孔質膜のふくらみは増すが、耐水圧が低下する。ここで、両性金属とは、酸にもアルカリにも反応する金属のことをいい、アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛が挙げられる。
両性金属の酸化物の微粒子としては、酸化亜鉛や酸化アルミニウムが市販されているが、酸化亜鉛は湿潤時に弱酸性を示しにくいため、酸性を示す酸化アルミニウム(Al)の微粒子が好ましい。
酸化アルミニウムの微粒子は、1μm以下の平均粒子径を有する市販品があり、本発明ではそれら市販品を用いてもよい。酸化アルミニウムの微粒子には、湿式法、乾式法で製造されたものがあるが、本発明ではどちらを用いてもよい。なお、酸化アルミニウムの微粒子は凝集していることが多いため、ウレタン樹脂への均一な分散、混合を行うために、ジメチルホルムアミド溶剤、ビヒクルとしてのウレタン樹脂、分散剤等を配合し、ディパーサー等でプレミックスし、さらに、サンドミル、三本ロールミル、ビーズビル等で粉砕し、平均粒子径を0.05〜5μmに調製したものを使用するのが好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子は市販されており、本発明ではそれら市販品を用いてもよい。二酸化ケイ素の微粒子には、湿式法、乾式法で製造されたものがあるが、本発明ではどちらを用いてもよい。また、二酸化ケイ素の微粒子の表面は、親水性であってもよく、メチル基、トリメチルシリル基、ジメチルシリコーン基等で疎水化処理されてあってもよい。
なお、二酸化ケイ素の微粒子は凝集していることが多いため、ウレタン樹脂への均一な分散、混合を行うために、酸化アルミニウムの微粒子の調製と同様に、二酸化ケイ素の微粒子をジメチルホルムアミド溶剤等に分散したものを使用するのが好ましい。
本発明の透湿性防水布帛は、微多孔質膜中に両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子を含んでいるため、衣服の内側の湿度および結露が低減され、優れた透湿性を示す。これらの微粒子は塩化カルシウム法で得られる透湿度および酢酸カリウム法で得られる透湿度の両方を向上させるため、水分の結露の低減効果を発揮すると推測される。
人の肌にpH4.0未満の酸性あるいはpH7.0を超えるアルカリ性の液体が付着すると、肌の酸性度のバランスが崩れ、肌ストレスや肌荒れの原因となる恐れがあるが、本発明の透湿性防水布帛は、微多孔質膜中に前記微粒子を含んでいるため、微多孔質膜の表面に付着した水分が、湿潤時に人の肌に優しいpH4.0〜7.0を示すことができる。これは、前記微粒子が水分に抽出されると、水分が弱酸性の性質を有するためと考えられる。
前記微粒子の含有量は、微多孔質膜を形成するウレタン樹脂100質量部に対し、0.5〜100質量部であることが好ましい。より好ましくは1〜50質量部である。前記範囲内であれば、透湿性防水布帛に付着した水分がpH4.0〜7.0を示しやすい。さらには、塩化カルシウム法で測定される衣服の内側の湿度の低減効果、酢酸カリウム法で測定される衣服の内側の水分の結露の低減効果といった2種類の透湿性が、ともに優れた透湿性防水布帛を得ることができる。
微多孔質膜を有するウレタン樹脂皮膜は、微多孔質膜のみであってもよいが、防水性を向上させる目的で、微多孔質膜の表面に無孔質膜が積層されたウレタン樹脂皮膜であってもよい。また、透湿性を向上させる観点からは、微多孔質膜の表面に水膨潤性のウレタン樹脂からなる無孔質膜が積層されたウレタン樹脂皮膜であってもよい。
微多孔質膜を有するウレタン樹脂皮膜の表面には、意匠性の価値の向上、滑り性の向上等を目的として、グラビア柄模様、スリット模様等の模様を有していてもよい。模様は微多孔質膜表面の全面に設けられてもよいが、意匠性やすべり性が必要な箇所等に対して、点状、線状、局所的に設けられていてもよい。
本発明の透湿性防水布帛は、前記微多孔質膜を有するウレタン樹脂皮膜が繊維布帛の片面または両面に形成されている。
微多孔質膜を有するウレタン樹脂皮膜の厚みは、10〜100μmであるとよく、10μm未満では、耐水圧が低く、また、100μmを超えると、得られる透湿性防水布帛の風合が硬くなる。
本発明の透湿性防水布帛は、耐水圧が100kPa以上であるとよい。また、塩化カルシウム法による透湿度が5000g/m・24hrs以上、酢酸カリウム法による透湿度が8000g/m・24hrs以上であるとよい。
本発明の透湿性防水布帛の耐水圧の上限は、繊維布帛の種類、ウレタン樹脂皮膜等によって異なるが、400kPa程度が目安である。透湿性の上限に関しても、繊維布帛の種類、ウレタン樹脂皮膜等によって異なるが、塩化カルシウム法での透湿度は15000g/m・24hrs程度、酢酸カリウム法での透湿度は50000g/m・24hrs程度が目安である。
特に優れた酢酸カリウム法での透湿性が要求される場合には、上述したように、ウレタン樹脂皮膜が、微多孔質膜上の全面に水膨潤性のウレタン樹脂で形成した無孔質膜を積層したものであることが好ましい。水膨潤性のウレタン樹脂としては、エーテル系、エーテル・エステル系のウレタン樹脂が挙げられる。
また、200kPa以上の耐水圧が要求される場合には、上述したように、ウレタン樹脂皮膜が、微多孔質膜の表面に無孔質膜を積層したものであることが好ましい。なお、耐水圧は、JIS L1092−1998耐水度試験(静水圧法)B法(高水圧法)に準じて測定することができる。なお、水圧をかけることにより試験片が伸びる場合には、試験片の上にナイロンタフタ(2.54cm当りのたて糸とよこ糸の密度の合計が210本程度のもの)を重ねて、試験機に取り付けて測定を行う。
次に、本発明の透湿性防水布帛の製造方法を説明する。
本発明の透湿性防水布帛は、繊維布帛に、両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子を含むウレタン樹脂溶液を塗布した後、水に浸漬し、ウレタン樹脂を凝固させることにより製造される。
繊維布帛には、必要に応じて、精練、染色、捺染、制電加工、撥水加工、抗菌防臭加工、制菌加工、紫外線遮蔽加工、カレンダー加工等を施してあってもよい。
繊維布帛に塗布するウレタン樹脂溶液中には、ウレタン樹脂と、両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子とが含まれ、さらに、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を主体とした水溶性の極性有機溶媒が好ましく用いられる。
さらに、ウレタン樹脂溶液中には、顔料等の着色剤、ポリイソシアネート系架橋剤、触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
次いで、このウレタン樹脂溶液を、ナイフコータ、バーコータ、コンマコータ等を用いて繊維布帛に塗布することにより、ウレタン樹脂溶液が塗布された繊維布帛が得られる。
次いで、ウレタン樹脂溶液が塗布された繊維布帛を、水、あるいはDMF等を5〜20%程度含んだ水に浸漬して、ウレタン樹脂を凝固させる。凝固温度は、樹脂膜中に形成される微多孔の孔径を適度に調整する観点から、10〜50℃の範囲が好ましい。
次いで、ウレタン樹脂の脱溶媒を行う。脱溶媒としては水が好ましく、脱溶媒の温度は10〜80℃が好ましい。
脱溶媒した後に90〜150℃で乾燥処理することにより、繊維布帛上に微多孔質膜からなるウレタン樹脂皮膜のみが形成された透湿性防水布帛を得ることができる。その後、必要に応じて、撥水加工や制電加工、抗菌防臭加工、制菌加工、紫外線遮蔽加工等を行ってもよい。
また、微多孔質膜からなるウレタン樹脂皮膜の表面に、意匠性や滑り性の向上のため、さらに他のウレタン樹脂皮膜を全面または部分的に積層して、多層構造のウレタン樹脂皮膜を形成する場合には、微多孔質膜上にグラビアコータ、スクリーン捺染機等を用いて、点状、線状、菱形、その他の柄状にウレタン樹脂溶液を塗布し乾燥すればよい。
ウレタン樹脂で形成された微多孔質膜上に、さらにウレタン樹脂皮膜を全面に付与して多層構造のウレタン樹脂皮膜を形成する方法としては、以下に示す[1]ラミネート法、[2]ダイレクトコーテイング法といった方法を用いればよい。
[1]ラミネート法
離型紙上にウレタン樹脂溶液を塗布、乾燥し、無孔質膜のウレタン樹脂皮膜を形成した後、このウレタン樹脂皮膜上に接着剤を塗布する。そして、この接着剤を介して、無孔質膜のウレタン樹脂皮膜と、微多孔質膜のウレタン樹脂皮膜とを貼り合わせる。その後、必要に応じて、30〜80℃で4〜100時間程度エージングした後、離型紙を剥離して、多層構造のウレタン樹脂皮膜を得る。
[2]ダイレクトコーテイング法
まず、微多孔質膜のウレタン樹脂皮膜が形成された繊維布帛を、前述の方法で作製する。次に、2層目となる他のウレタン樹脂皮膜となるウレタン樹脂溶液を調製し、ナイフコータやコンマコータ等を用いて微多孔質膜のウレタン樹脂皮膜上に塗布し、乾燥させて、多層構造のウレタン樹脂皮膜を得る。
多層構造のウレタン樹脂皮膜を形成した後、必要に応じて、撥水加工や制電加工、撥水加工、抗菌防臭加工、制菌加工、紫外線遮蔽加工、カレンダー加工を行ってもよい。
このようにして製造される本発明の透湿性防水布帛は、透湿性防水布帛の表面に水分が付着して湿潤した場合でも、表面に付着している水分がpH4.0〜7.0を示す。したがって、この水分が人の肌に転着しても、肌荒れを生じさせる心配がない。
また、本発明の透湿性防水布帛は、優れた透湿性と防水性とを有している。特に、従来の炭酸カルシウムを含んだ透湿性防水布帛では難しいとされていた衣服の内側に生じる結露の低減に優れた効果を発揮する。
本発明の透湿性防水布帛をウインドブレーカー、コート、ジャケット、スキーウエアー、スノーボードウエアー、テント等に用いれば、使用者に快適な環境を提供することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、例中の「部」は質量部で、「%」は質量%である。
以下の実施例における評価は、次の方法で行った。
(透湿性防水布帛のpH)
JIS L1096 8.40.1−1999により測定した。
(透湿度)
塩化カルシウム法:JIS L1099−1993A−1法にて測定した。
酢酸カリウム法:JIS L1099−1993B−1法にて測定した。
なお、塩化カルシウム法、酢酸カリウム法ともに、24時間当りの透湿量に換算した。
(耐水圧)
JIS L1092−1998耐水度試験(静水圧法)B法(高水圧法)に準じた方法で測定した。水圧をかけることにより試験片が伸びて測定しにくい場合には、試験片の上にナイロンタフタ(2.54cm当りのたて糸とよこ糸の密度の合計が210本程度のもの。)を重ねて、試験機に取り付けて測定を行った。
<実施例1>
ナイロンタフタ(繊維太さ:たて糸83デシテックス/72フィラメント、よこ糸83デシテックス/72フィラメント。繊維密度:たて糸114本/2.54cm、よこ糸92本/2.54cm。)を酸性染料でネビー色に染色した。次いで、このナイロンタフタに、フッ素系撥水剤アサヒガ−ドAG710の5%水溶液を用いて撥水加工を行ってから、170℃、圧力(線圧)128kg/cmにてカレンダー加工したものを繊維布帛として用いた。
次いで、前記の繊維布帛の片面に、下記原料を混合した樹脂溶液を、コンマコ−タを用いて0.13mmの厚みになるように塗布した。
[樹脂溶液の原料]
エステル系ポリウレタン樹脂(固形分25%) 100部
DMF 20部
酸化アルミニウム分散品 25部
(平均一次粒子径13nm、分散後の平均粒子径0.4μm、固形分15%)
イソシアネ−ト系架橋剤 2部
次いで、樹脂溶液を塗布した繊維布帛を20℃の水に5分間浸漬して、ウレタン樹脂を凝固させ、さらに、40℃の温水に浸漬して10分間の脱溶媒を行った。
次いで、該繊維布帛を120℃にて3分間乾燥させ、150℃にて1分間セットを行った。このようにして、繊維布帛の片面に酸化アルミニウムを含む厚さ40μmの微多孔質膜からなるウレタン樹脂皮膜が形成された実施例1の透湿性防水布帛を得た。この透湿性防水布帛の透湿度、耐水圧を測定した結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1で用いた樹脂溶液の代わりに、下記の原料を混合した樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の透湿性防水布帛を得た。この透湿性防水布帛の透湿度、耐水圧を測定した結果を表1に示す。
[樹脂溶液の原料]
エステル系ポリウレタン樹脂(固形分25%) 100部
DMF 20部
二酸化ケイ素分散品 25部
(平均一次粒子径16nm、分散後平均粒子径0.3μm、固形分14%)
イソシアネ−ト系架橋剤 2部
<実施例3>
ポリエステルタフタ(繊維太さ:たて糸83デシテックス/72フィラメント、よこ糸83デシテックス/72フィラメント。繊維密度:たて糸114本/2.54cm、よこ糸92本/2.54cm。)を分散染料で青色に染色し、アサヒガ−ドAG710の5%水溶液を用いて撥水加工を行った後、170℃、圧力(線圧)128kg/cmにてカレンダー加工したものを繊維布帛として用いた。
次いで、前記繊維布帛の片面に、下記原料を混合した樹脂溶液を、コンマコータを用いて0.13mmの厚みに塗布した。
[樹脂溶液の原料(1層目を形成する微多孔質膜用)]
エステル系ポリウレタン樹脂(固形分25%) 100部
DMF 20部
酸化アルミニウム分散品 25部
(平均一次粒子径13nm、分散後平均粒子径0.4μm、固形分15%)
イソシアネ−ト系架橋剤 2部
次いで、樹脂溶液を塗布した繊維布帛を20℃の水に2分間浸漬して、ウレタン樹脂を凝固させ、さらに、40℃の温水に6分間浸漬して脱溶媒を行った。
次いで、該繊維布帛を120℃にて3分間乾燥することにより、片面に酸化アルミニウムを含む厚さ40μmの微多孔質膜からなるウレタン樹脂皮膜が形成された繊維布帛を得た。
次いで、離型紙上に、下記原料を混合した樹脂溶液をコンマコ−タを用いて、スリット0.08mmで塗布し、120℃にて乾燥することにより、厚さ7μmのウレタン樹脂からなる無孔質膜を形成した。
[樹脂溶液の原料(2層目を形成する無孔質膜用)]
エ−テル系ポリウレタン樹脂(固形分30%、水膨潤度85%) 100部
メチルエチルケトン 30部
白色顔料 8部
次いで、前記ウレタン樹脂からなる無孔質膜上に、下記に示す接着剤用の樹脂溶液をコンマコ−タを用いてスリット0.07mmで塗布してから、120℃で2分間乾燥した。
[樹脂溶液の原料(1層目と2層目を接着する接着剤用)]
エ−テル・エステル系ポリウレタン樹脂(固形分45%、水膨潤度30%)
100部
トルエン 30部
イソシアネ−ト系架橋剤 9部
有機錫系触媒 1部
接着剤を塗布した無孔質膜上に、さらに、微多孔質膜を形成した繊維布帛の微多孔質膜側の面を重ね合わせ、120℃で熱圧着して貼り合わせた。さらに、60℃にて72時間のエ−ジングを行った後、離型紙を剥離し、多層構造のウレタン樹脂皮膜を形成した実施例3の透湿性防水布帛を得た。この透湿性防水布帛を用いて透湿度、耐水圧を測定した結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1で用いた樹脂溶液の代わりに、下記の原料を混合した樹脂溶液に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1の透湿性防水布帛を得た。この透湿性防水布帛の透湿度、耐水圧を測定した結果を表1に示す。
[樹脂溶液の原料]
エステル系ポリウレタン樹脂(固形分25%) 100部
DMF 20部
炭酸カルシウム分散品 5部
(平均一次粒子径0.7μm、分散後平均粒子径1.0μm、固形分60%)
イソシアネ−ト系架橋剤 2部
Figure 0005396010
(評価)
比較例1の透湿性防水布帛は、表面に付着した水分がアルカリ性を示した。一方、実施例1〜3の透湿性防水布帛は、ウレタン樹脂皮膜に付着した水分が弱酸性を示した。これにより、ウレタン樹脂で形成された微多孔質膜中に両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子を含むことで、人の肌に優しい透湿性防水布帛が得られることが確認された。
また、酢酸カリウム法による透湿度評価において、実施例1〜3の透湿性防水布帛は、比較例1の透湿性防水布帛に比べて、優れた透湿性を示した。特に、実施例3は、酢酸カリウム法において優れた透湿性を示した。これにより、ウレタン樹脂で形成された微多孔質膜中に両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子を含むことで、衣服の内側に生じる結露の低減に特に優れた透湿性防水布帛が得られることが確認された。さらに、透湿性防水布帛のウレタン樹脂皮膜を、微多孔質膜と、水膨潤性に優れたウレタン樹脂からなる無孔質膜とを積層した多層構造とすることで、衣服の内側に生じる結露の低減が顕著に優れた透湿性防水布帛が得られることが確認された。
耐水圧(防水性)に関して、多層構造を有した実施例3の透湿性防水布帛は、特に優れた耐水圧を示した。また、両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子を微多孔質膜中に含むウレタン樹脂で形成された透湿性防水布帛は、充分な防水性を有することが確認された。これにより、ウレタン樹脂皮膜を、微多孔質膜上に無孔質膜を積層した多層構造とすることで、特に優れた耐水圧を有した透湿性防水布帛が得られることが確認された。

Claims (5)

  1. 繊維布帛の少なくとも片面に、微多孔質膜を有するウレタン樹脂皮膜が形成された透湿性防水布帛であって、前記微多孔質膜中に、平均粒子径が0.05〜5μmの両性金属の酸化物の微粒子が含まれ、湿潤時にpH4.0〜7.0を示すことを特徴とする透湿性防水布帛。
  2. 前記微多孔質膜を形成するウレタン樹脂100質量部に対し、前記微粒子が0.5〜100質量部含まれることを特徴とする請求項1に記載の透湿性防水布帛。
  3. 耐水圧が100kPa以上であり、塩化カルシウム法による透湿度が5000g/m2・24hrs以上であり、酢酸カリウム法による透湿度が8000g/m2・24hrs以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透湿性防水布帛。
  4. 前記微多孔質膜上に、さらに無孔質膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の透湿性防水布帛。
  5. 繊維布帛に、平均粒子径が0.05〜5μmの両性金属の酸化物の微粒子が分散したウレタン樹脂溶液を塗布した後、水に浸漬し、ウレタン樹脂を凝固させることを特徴とする透湿性防水布帛の製造方法。
JP2007158709A 2007-06-15 2007-06-15 透湿性防水布帛およびその製造方法 Active JP5396010B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007158709A JP5396010B2 (ja) 2007-06-15 2007-06-15 透湿性防水布帛およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007158709A JP5396010B2 (ja) 2007-06-15 2007-06-15 透湿性防水布帛およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008307813A JP2008307813A (ja) 2008-12-25
JP5396010B2 true JP5396010B2 (ja) 2014-01-22

Family

ID=40235849

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007158709A Active JP5396010B2 (ja) 2007-06-15 2007-06-15 透湿性防水布帛およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5396010B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6422115B2 (ja) * 2014-09-12 2018-11-14 小松マテーレ株式会社 布帛及びその製造方法
JP6586439B2 (ja) * 2017-07-10 2019-10-02 株式会社シマノ 繊維構造体、及び、衣類
JP7372257B2 (ja) * 2018-10-19 2023-10-31 小松マテーレ株式会社 透湿防水性布帛およびこれを用いた繊維製品
CN110983810A (zh) * 2019-12-29 2020-04-10 利郎(中国)有限公司 一种高透湿透气面料及其制备方法

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58180687A (ja) * 1982-04-12 1983-10-22 セ−レン株式会社 透湿性、防水コ−テイングの加工方法
JPS6045679A (ja) * 1983-08-18 1985-03-12 カネボウ株式会社 繊維製品の防水加工法
JPS61160480A (ja) * 1985-01-07 1986-07-21 東レ株式会社 コ−テイング布帛の製造方法
JP2951442B2 (ja) * 1991-07-15 1999-09-20 ユニチカ株式会社 コーテイング布帛およびその製造方法
JP2615288B2 (ja) * 1991-09-11 1997-05-28 ユニチカ株式会社 透湿防水性コーテイング布帛
JPH06136320A (ja) * 1992-10-26 1994-05-17 Mitsubishi Kasei Corp 透湿防水性被覆成形物の製造法
JPH06272168A (ja) * 1993-03-22 1994-09-27 Unitika Ltd 透湿防水性コーティング布帛
JP3212418B2 (ja) * 1993-06-29 2001-09-25 小松精練株式会社 透湿性防水布帛
JP3550816B2 (ja) * 1995-08-07 2004-08-04 東洋紡績株式会社 肌に優しい快適衣料の製造方法
JP3504793B2 (ja) * 1995-12-13 2004-03-08 セーレン株式会社 透湿防水性コーティング布帛及びその製造方法
JP3273144B2 (ja) * 1997-08-14 2002-04-08 小松精練株式会社 透湿性防水布帛
JP3703697B2 (ja) * 2000-08-25 2005-10-05 小松精練株式会社 pH緩衝性布帛
JP2002067205A (ja) * 2000-08-28 2002-03-05 Unitica Fibers Ltd 結露防止性に優れた透湿防水性積層布帛
JP2002069855A (ja) * 2000-08-28 2002-03-08 Unitica Fibers Ltd 結露防止性に優れた透湿防水性積層布帛の製造方法
JP4783046B2 (ja) * 2005-03-29 2011-09-28 ユニチカトレーディング株式会社 透湿防水性布帛及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008307813A (ja) 2008-12-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4931938B2 (ja) 透湿性防水シート及びその製造方法
JP5463089B2 (ja) 積層布帛およびその製造方法
JP4503096B1 (ja) 透湿防水性布帛およびその製造方法
JP5490785B2 (ja) 透湿防水性布帛およびその製造方法
WO2002012617A1 (fr) Tissu impermeabilise et vetement impermeable
JP6084415B2 (ja) 医療用透湿防水性布帛
JP5396010B2 (ja) 透湿性防水布帛およびその製造方法
JP2004256939A (ja) 撥水性布帛およびそれを用いた衣料
JP5183980B2 (ja) 防水布帛およびその製造方法
US7858009B2 (en) Synthetic leather and method for producing the same
JP2004169233A (ja) 透湿防水性コーティング布帛とその製造方法
JP2009221630A (ja) 透湿防水性布帛
JP5548344B2 (ja) 透湿防水性布帛
JP6422115B2 (ja) 布帛及びその製造方法
JP2007176134A (ja) 透湿性防水布帛
JP7372257B2 (ja) 透湿防水性布帛およびこれを用いた繊維製品
WO2024004784A1 (ja) 透湿防水積層布、その製造方法及びこれを用いた衣服
JP4731351B2 (ja) 透湿性防水布帛およびその製造方法
JP4086475B2 (ja) 透湿性防水布帛
JP2002129479A (ja) ソフト風合いの透湿防水性コーティング布帛の製造方法
WO2023047824A1 (ja) 繊維積層構造体およびその製造方法
JP2003119673A (ja) 透湿防水性コーティング布帛の製造方法
JP2006132033A (ja) 透湿防水性布帛の製造方法
JP2022172876A (ja) 衣料用積層体および感染防止衣料
JPH11105225A (ja) 積層素材およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100401

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111020

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120221

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131008

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131021

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5396010

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250