JP3504793B2 - 透湿防水性コーティング布帛及びその製造方法 - Google Patents

透湿防水性コーティング布帛及びその製造方法

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JP3504793B2 JP34628595A JP34628595A JP3504793B2 JP 3504793 B2 JP3504793 B2 JP 3504793B2 JP 34628595 A JP34628595 A JP 34628595A JP 34628595 A JP34628595 A JP 34628595A JP 3504793 B2 JP3504793 B2 JP 3504793B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する利用分野】本発明は透湿防水性コーティ
ング布帛及びその製造方法に関し、更に詳しくは雨衣の
ほか、ウインドブレーカー、スキーウエアー等のスポー
ツウエアーあるいはアスレチックウエアーを始めとする
衣料分野向けに用いた場合、優れた透湿性能及び防水性
能と耐摩耗性を得ることができる透湿防水性コーティン
グ布帛、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より繊維布帛に機能性を付与するた
めに各種のコーティング加工が実施されている。特に防
水性と透湿性が要求される繊維布帛に対しては、ポリウ
レタン樹脂を主体とする樹脂溶液を湿式凝固させて多孔
質皮膜を形成する加工方法が種々提案されている。従来
の透湿防水性コーティング布帛は、主としてポリウレタ
ン樹脂を水に可溶な極性有機溶剤に溶解させたポリウレ
タン樹脂溶液を繊維布帛にコーティングし、これを湿式
凝固させて多孔質皮膜を形成している。
【0003】しかしながら透湿性を向上させようとし
て、多孔質のセル形状を大きくしたり、セルの数を増加
させたりすると耐水圧、即ち防水性が低下してしまう。
また逆に耐水圧(防水性)を向上させようとしてセル形
状を小さくしたり、セルの数が少なくなるようにする
と、今度は透湿度が低下してしまい、結果として両者と
もに十分な性能を満足させるのは困難であった。また、
この他に、耐摩耗性に関しても性能は十分ではなく、そ
の改良が求められていた。本発明は、このような背景か
ら生まれたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ポリ
ウレタン樹脂主体の樹脂組成物を繊維布帛上に湿式凝固
法により塗布する加工方法によって、バランスのとれた
優れた透湿性能及び防水性能を得ることができる透湿防
水性コーティング布帛及びその製造方法を提供すること
にある。更に他の目的は、上記のバランスのとれた優れ
た透湿性能及び防水性能に加え、更に優れた耐摩耗性も
備えた透湿防水性コーティング布帛及びその製造方法を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】しかして、本発明者等
は、湿式凝固法による透湿防水性コーティング布帛の透
湿性能と防水性能をバランス良く向上させて、更に耐摩
耗性の向上を図るために鋭意検討を重ねた結果、ポリウ
レタン樹脂主体の樹脂組成物に無機系ウィスカーを加え
ることによって、布帛にコーティングされた場合、バラ
ンス良く透湿性能と防水性能を向上させることができる
ことを見出し、この知見に基づいて本発明を達成するに
至ったものである。
【0006】即ち、本発明は、無機系ウィスカーを含有
したポリウレタン樹脂主体の樹脂組成物からなる微多孔
層を繊維布帛の少なくとも片面に有する透湿防水性コー
ティング布帛に存する。そして、繊維径が2μm以下
で、結晶の長さが3〜60μmの無機系ウィスカーをポ
リウレタン樹脂主体の樹脂組成物に対して1〜70重量
%含有した樹脂組成物からなる微多孔層を繊維布帛の少
なくとも片面に有する透湿防水性コーティング布帛に存
する。
【0007】そしてまた、繊維径が2μm以下で、結晶
の長さが3〜60μmの無機系ウィスカーをポリウレタ
ン樹脂主体の樹脂組成物に対して1〜70重量%含有
し、さらにセルロース誘導体をポリウレタン樹脂主体の
樹脂組成物に対して1〜50重量%含有した樹脂組成物
からなる微多孔層を繊維布帛の少なくとも片面に有する
透湿防水性コーティング布帛に存する。
【0008】そしてまた、無機系ウィスカーが、窒化チ
タン、窒化ホウ素、炭化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ
素、チタン酸カリウム、酸化亜鉛、アルミナ、ホウ酸ア
ルミニウム、酸化銅の中から選ばれた少なくとも1種類
以上である透湿防水性コーティング布帛に存する。
【0009】そしてまた、ポリウレタン樹脂主体の樹脂
組成物と極性有機溶剤を含んでなる塗布溶液を繊維布帛
に塗布し、ついで凝固浴中に浸漬して凝固させ、しかる
後水洗、乾燥することによりコーティング布帛を製造す
る方法に於いて、塗布溶液としてポリウレタン樹脂主体
の樹脂組成物に対して無機系ウィスカーを分散させた溶
液を使用する透湿防水性コーティング布帛の製造方法に
存する。
【0010】そしてまた、ポリウレタン樹脂主体の樹脂
組成物と極性有機溶剤を含んでなる塗布溶液を繊維布帛
の塗布し、ついで凝固浴中に浸漬して凝固させ、しかる
後水洗、乾燥することによりコーティング布帛を製造す
る方法に於いて、塗布溶液として繊維径が2μm以下
で、結晶の長さが3〜60μmの無機系ウィスカーをポ
リウレタン樹脂主体の樹脂組成物に対して1〜70重量
%分散させた溶液を使用する透湿防水性コーティング布
帛の製造方法に存する。
【0011】そしてまた、ポリウレタン樹脂主体の樹脂
組成物と極性有機溶剤溶液を含んでなる塗布溶液を繊維
布帛に塗布し、ついで凝固浴中に浸漬して凝固させ、し
かる後水洗、乾燥することによりコーティング布帛を製
造する方法に於いて、塗布溶液として繊維径が2μm以
下で、結晶の長さが3〜60μmの無機系ウィスカーを
ポリウレタン樹脂主体の樹脂組成物に対して1〜70重
量%分散させ、さらにセルロース誘導体をポリウレタン
樹脂主体の樹脂組成物に対して1〜50重量%含有させ
た溶液を使用する透湿防水性コーティング布帛の製造方
法に存する。
【0012】
【実施の形態】本発明における透湿防水性コーティング
布帛の特徴は、無機系ウィスカーが、ポリウレタン樹脂
主体の樹脂組成物からなる微多孔層の中で、三次元網目
構造的に分散することにより、ポリウレタン樹脂主体の
樹脂組成物が、本来もっている防水性能をほとんど低下
させることなく、高透湿性の優れたものとなることであ
る。しかも耐摩耗性においても十分な性能を有するもの
となることである。そして、更に上記樹脂組成物にセル
ロース誘導体を含有させることにより、上記性能と同等
か又はそれを上回る性能の樹脂層を得ることができるこ
とである。透湿性能が向上する理由としては、樹脂凝固
初期にできた微多孔層(セル形状)がその後の極性溶媒
の抽出時に潰れるのを、三次元網目構造的に分散した無
機系ウィスカーが、極力防ぐ役割を果たすからと考えら
れる。
【0013】また、これらの無機系ウィスカーが多くの
微多孔壁を貫通することにより、無数の微細孔が発生す
る為と考えられる。一方、耐摩耗性が向上する理由とし
ては、上記無機系ウィスカーが三次元網目構造的に分散
することにより、樹脂皮膜の強度が向上するためと考え
られる。セルロース誘導体は、ポリウレタン樹脂主体の
樹脂組成物が凝固する際に、これがゲル核剤となり、そ
の結果、特に樹脂層と繊維布帛の界面部分や微多孔壁に
極めて細かい微細孔を形成する。
【0014】これにより透湿性が向上するわけである
が、添加するセルロース誘導体の種類や添加量によって
は、耐水圧の低下を招く恐れもあり注意する必要があ
る。またセルロース誘導体は、樹脂層表面のタック、即
ちベタツキ感を低下させるため、耐摩耗性に対しても十
分とはいえないが多少の効果が得られる。つまり、無機
系ウィスカーだけでも高透湿性、防水性のあるしかも耐
摩耗性に優れた樹脂層が得られるが、さらにセルロース
誘導体を併用することにより、透湿性や耐摩耗性を更に
向上させることができるのである。
【0015】本発明におけるポリウレタン樹脂主体の樹
脂組成物は、ポリウレタン樹脂を50〜100重量%含
み、さらにポリウレタン樹脂と混合可能な以下に示すよ
うなその他の樹脂を0〜50重量%含むものをいう。ポ
リウレタン樹脂としては、通常のポリエステル系ポリウ
レタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリカ
ーボネート系ポリウレタン樹脂、またはアミノ酸やシリ
コーン及びフッ素系モノマー等を共重合されてなる変性
ポリウレタン樹脂等の単独あるいはこれらを混合したも
のが使用できる。またその他の樹脂としては、ポリアク
リル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ
エステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコ
ール樹脂などが挙げられ、単独あるいはこれらを混合し
たものが使用できる。
【0016】このポリウレタン樹脂主体の樹脂組成物
は、極性有機溶剤に15〜40重量%の濃度で溶解され
て、極性有機溶剤溶液として使用される。尚、極性有機
溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶剤が用い
られる。本発明における無機系ウィスカーとしては、窒
化チタン、窒化ホウ素、炭化ホウ素、炭化ケイ素、窒化
ケイ素、チタン酸カリウム、酸化亜鉛、アルミナ、ホウ
酸アルミニウム、酸化銅の結晶などを挙げることができ
る。使用に当たってはこれら無機系ウィスカー単独もし
くは2種類以上の併用でもかまわない。
【0017】使用できる無機系ウィスカーの繊維径は2
μm以下で、長さは3〜60μm、より好ましくは5〜
30μmである。無機系ウィスカーの繊維系が2μmを
越えると十分な防水性能が得られないため好ましくな
い。また無機系ウィスカーの長さが3μmより短いと透
湿向上や耐摩耗性に対する寄与が十分でなく、また60
μmより大になると十分な防水性能が得られないため好
ましくない。
【0018】本発明における無機系ウィスカーの添加量
は、ポリウレタン樹脂主体の樹脂組成物に対して1〜7
0重量%、より好ましくは3〜50重量%である。ポリ
ウレタン樹脂主体の樹脂組成物の溶液濃度や無機系ウィ
スカーの種類にもよるが、添加する無機系ウィスカーが
3重量%より少ないと透湿度向上に対する寄与が十分で
なく、また50重量%より大になると、十分な防水性能
が得られないため好ましくない。
【0019】本発明におけるセルロース誘導体として
は、水に不溶の酢酸セルロース、プロピオン酸セルロー
ス等のセルロースエステル類やセルロースエーテル類等
を単独あるいは混合して使用することができる。このセ
ルロース誘導体の添加量は、ポリウレタン樹脂主体の樹
脂組成物に対して1〜50重量%である。ポリウレタン
樹脂主体の樹脂組成物の溶液濃度やセルロース誘導体の
種類にもよるが、添加するセルロース誘導体が1重量%
より少ないと透湿度向上に対する寄与が十分でなく、ま
た50重量%より大きくなると十分な防水性能が得られ
ないため好ましくない。
【0020】本発明における塗布溶液は、ポリウレタン
樹脂主体の樹脂組成物の極性有機溶剤溶液中に繊維径が
2μm以下で、結晶の長さが3〜60μmの無機系ウィ
スカーを分散させた溶液を繊維布帛に塗布するのである
が、この溶液中に他の助剤、例えば着色顔料、撥水剤、
架橋剤または界面活性剤等を必要に応じて添加すること
ができる。塗布溶液の粘度及び固形分濃度は、それぞれ
25℃で3000〜40000センチポイズ(cp
s)、より好ましくは5000〜30000cps、塗
布溶液の15〜50重量%の範囲で使用される。
【0021】本発明における繊維布帛としては、織物、
編物、不織布等であり、その構成繊維素材としては、
綿、麻、羊毛、絹等の天然繊維、レーヨン、アセテート
等の化学繊維、或いはポリアミド、ポリエステル、ポリ
ウレタン、ポリアクリル等の合成繊維が使用でき、それ
らの混紡、交繊品であってもよい。
【0022】本発明における繊維布帛には、塗布加工の
前に前処理として通常の撥水処理加工を施したり、必要
に応じてカレンダー処理を行うことができる。これらの
処理により樹脂溶液が繊維布帛内に深く浸透するのを抑
える事ができ、結果的に風合上もコーティング布帛を柔
らかくする事が可能となる。この場合の撥水剤として
は、パラフィン系撥水剤やシリコーン系撥水剤、フッ素
系撥水剤等の公知のものを使用することができる。しか
し撥水剤の種類等によっては、塗布する樹脂の接着強度
を落とす可能性があるため十分に注意する必要がある。
【0023】本発明における塗布方法としては、通常の
コーティング方式、例えばフローティングナイフコー
タ、ナイフオーバーロールコータ、ロールナイフコー
タ、ロールコータ、リバースロールコータ、ダイコー
タ、浸漬塗布等の公知の塗布方法によって塗布する事が
できる。また塗布後の凝固、洗浄条件は、0〜30℃の
水を60%以上、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶剤を4
0%以下含有する凝固浴中に20秒〜15分間浸漬して
樹脂分を凝固させる。しかる後に30〜90℃の温水中
で2〜20分間洗浄を行い、通常の方法にて乾燥する。
前記塗布方法により塗布する樹脂皮膜重量は、塗布され
る繊維布帛の種類にもよるが、5〜70g/m2 の範囲
で塗布することにより、十分な性能を得ることができ
る。
【0024】本発明における塗布加工後のコーティング
布帛には、後処理として通常の撥水処理加工を施すこと
ができる。この処理により防水性を若干向上させ、同時
に、塗布表面のタックを若干低下させることができる。
撥水処理に際しては、前述のような一般に実施されてい
る公知の撥水処理方法で行えばよい。
【0025】
【作用】本発明における透湿防水性コーティング布帛の
特徴は前述のように、無機系ウィスカーがポリウレタン
樹脂主体の樹脂組成物からなる微多孔層の中で三次元網
目構造的に分散することにより、ポリウレタン樹脂主体
の樹脂組成物が本来もっている防水性能をほとんど低下
させることなく、高透湿性でしかも耐摩耗性の優れた樹
脂層が得られ、さらに上記樹脂層中にセルロース誘導体
を含有させることにより、上記性能と同等かまたはそれ
を上回る性能の樹脂層を得ることができることである。
【0026】無機系ウィスカーは、湿式樹脂層の中で三
次元網目構造的に分散することにより、湿式凝固の際に
セルが潰れるのを防ぐ役割を果たすと同時に、多くの微
多孔壁を貫通することにより無数の微細孔が発生し、透
湿性能が向上する。また、これらの無機系ウィスカー
は、微多孔層の皮膜強度を向上させる役割も果たし、結
果として耐摩耗性においても良好な性能が得られる。セ
ルロース誘導体は、ポリウレタン樹脂主体の樹脂組成物
が凝固する際に、これがゲル核剤となり、その結果、特
に樹脂層と繊維布帛の界面部分や微多孔壁に極めて細か
い微細孔を形成し、これにより透湿性がさらに向上す
る。またセルロース誘導体は、樹脂層表面のタックを低
下させる働きもあり、これらの作用により、無機系ウィ
スカーの単独使用の場合よりもセルロース誘導体を併用
することにより透湿性や耐摩耗性を向上させることがで
きるのである。
【0027】
【実施例】実施例によって本発明をさらに具体的に示す
が、実施例における布帛の性能の評価は、下記の方法で
行った。 耐水性 JIS L−1092 B法(高水圧法) 透湿度 JIS L−1099 A−1法(塩化カルシウム法) 耐摩耗性 JIS L−1084 A−1法 45R法に準じて、学振型摩擦堅牢度試験機を使用し、
摩擦布にかなきん3号布を用いて塗布加工された面を荷
重500gで500回と2000回の摩擦を行い、塗布
加工面の状態を観察して次の評価基準で評価した。
【0028】評価基準 5級:剥離は全くなく、初期品と同等 4級:剥離はないが、樹脂皮膜が若干削られている 3級:剥離はないが、樹脂皮膜がかなり削られている 2級:樹脂皮膜がかなり削られて、僅かに剥離が認めら
れる 1級:全面に剥離が認められる
【0029】剥離強度 試験品の樹脂面上に、幅2.5cm 、長さ15cmに裁断したホ
ットメルトテープを150℃、30秒の条件にて経方向
に接着して、JIS L−1089(剥離強さ)に準じ
た方法にて評価した。
【0030】実施例1 経糸が70デニール24フィラメント、緯糸が70デニ
ール34フィラメントで、経糸密度120本/吋、緯糸
密度90本/吋のナイロン6タフタを通常の方法で精
練、染色(ネビー)を行った後、フッ素系撥水剤エマル
ジョンのアサヒガードAG─710(旭硝子株式会社
製)5重量%水溶液でパッディング(絞り率37重量
%)して乾燥後、160℃で1分間の熱処理を行った。
次に、銀面ロールを持つカレンダー加工機を用いて温度
170℃、圧力35Kg/cm2 、速度25m/分の条
件にてカレンダー加工を行い、塗布加工用の布帛を得
た。
【0031】ここで、下記処方1に示す組成の塗布溶液
を、ナイフオーバーロールコータを用いて上記基布のカ
レンダー面に塗布量が約100g/m2(Wet状態)に
なるように均一に塗布した後、直ちに16℃の水槽に1
分間浸漬し、樹脂を凝固させた後、50℃の湯漕に10
分間浸漬して湯洗し、熱風乾燥機にて乾燥した。次にフ
ッ素系撥水剤のディックガードNH−10(大日本イン
キ化学工業株式会社製)5重量%ターペン溶液でパッデ
ィング(絞り率20重量%)して乾燥後、160℃で1
分間の熱処理を行い、本発明の透湿防水性コーティング
布帛を得た。
【0032】 〔処方1〕 レザミンCU−4550 100重量部 (大日精化工業株式会社製、ポリエステル型ポリウレタン樹脂30重量%を含 むジメチルホルムアミド溶液) ティスモ−D(繊維径0.3 〜0.6 μm 、平均繊維長10〜20μm) 5重量部 (大塚化学株式会社製、チタン酸カリウムウィスカー) レザミンX架橋剤 2重量部 (大日精化工業株式会社製、イソシアネート架橋剤) ダイラックカラー L−1500 5重量部 (大日本インキ化学工業株式会社製、白色着色剤) レザミンCUT−30 1重量部 (大日精化工業株式会社製、湿式成膜助剤) ジメチルホルムアミド 30重量部
【0033】実施例2 前記実施例1の処方1においてティスモ−Dを5重量部
から10重量部に増量する他は、実施例1と全く同一の
方法により本発明の透湿防水性コーティング布帛を得
た。
【0034】比較例1 本発明との比較のために、前記実施例1において処方1
からティスモ−Dを除いた他は、実施例1と全く同一の
方法により比較用のコーティング布帛を得た。
【0035】比較例2 本発明との比較のために、前記実施例1の処方1におい
てティスモ−Dに代えて炭酸カルシウム(#400、日
東粉化工株式会社製)を5重量部使用する他は、実施例
1と全く同一の方法により比較用のコーティング布帛を
得た。
【0036】比較例3 本発明との比較のために、前記実施例1の処方1におい
てティスモ−Dに代えてクリスボン アシスター SD
−17B(大日本インキ化学工業株式会社製、酢酸セル
ロース30重量%を含むジメチルホルムアミド溶液)を
5重量部使用する他は、実施例1と全く同一の方法によ
り比較用のコーティング布帛を得た。
【0037】実施例3 前記実施例1の処方1においてクリスボン アシスター
SD−17Bを5重量部追加した他は、実施例1と全
く同一の方法により本発明の透湿防水性コーティング布
帛を得た。実施例1〜3、比較例1〜3で得られたコー
ティング布帛の評価結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】表1に示す結果より明らかなように、本発
明の透湿防水性コーティング布帛はバランスのとれた優
れた耐水圧と透湿度を有するとともに、耐摩耗性におい
ても良好な性能が得られた。また、酢酸セルロース系の
添加剤と併用することにより(実施例3)、無機系ウィ
スカーが少量でも透湿度ならびに耐摩耗性や剥離強度に
おいて良好な性能が得られた。これに対し、比較例1の
コーティング布帛は透湿度が低く、耐摩耗性も劣ってい
た。また、比較例2のコーティング布帛は耐水圧、透湿
度がともに低く、耐摩耗性も劣っていた。さらに、比較
例3のコーティング布帛は剥離強度は高かったが、透湿
度は低かった。
【0040】また、図1乃至図6は実施例及び比較例で
得られた透湿防水性コーティング布帛の皮膜の断面を示
す電子顕微鏡写真である。以下それについて簡単に説明
する。
【0041】図1は、実施例3で得られた本発明の透湿
防水性コーティング布帛における微多孔層皮膜の断面
を、走査型電子顕微鏡で500倍に拡大して撮影した皮
膜の拡大写真である。この拡大写真を観察すると、皮膜
中央部に比較的大きなセル(空孔)が形成されているの
が分かる。これは、三次元網目構造的に分散した無機系
ウィスカーが、湿式凝固時にセルが潰れるのを極力防い
でいるためと考えられる。また皮膜中央部の大きなセル
の壁面には、突き出した無数の無機系ウィスカーを観察
することができる。一方、繊維布帛側に近い皮膜の下層
部や中央部のセル壁面には、無機系ウィスカーやセルロ
ース誘導体の効果により、極めて細かい微細孔が形成さ
れているのを観察することができる。これらの微細孔に
より高い透湿度と同時に、優れた防水性も得られるので
ある。
【0042】図2は、実施例3で得られた本発明の透湿
防水性コーティング布帛側における微多孔層皮膜の断面
(皮膜中央部)を、走査型電子顕微鏡で6000倍に拡
大して撮影した皮膜の拡大写真である。この拡大写真を
観察すると、無機系ウィスカーやセルロース誘導体の効
果により、セルの壁面に無数の微細孔が形成されている
のが分かる。
【0043】図3は、実施例3で得られた本発明の透湿
防水性コーティング布帛における微多孔層皮膜の断面
(皮膜中央部)を、走査型電子顕微鏡で6000倍に拡
大して撮影した皮膜の拡大写真である。この拡大写真を
観察すると、皮膜中に無機系ウィスカーが含有されてい
る状態がよく分かる。また図2と同様に無機系ウィスカ
ーやセルロース誘導体の効果により、セルの壁面に無数
の微細孔が形成されているのが分かる。
【0044】図4は比較例1で得られた比較用のコーテ
ィング布帛における樹脂層皮膜の断面を、走査型電子顕
微鏡で500倍に拡大して撮影した皮膜の拡大写真であ
る。この拡大写真を観察すると、皮膜中央部に形成され
ているセルは比較的小さいものであることが分かる。ま
た、各セルの壁面には微細孔は存在していない。一方、
皮膜と繊維布帛の界面部分には一部微細孔が存在する
が、繊維布帛側に近い皮膜の下層部には微細孔は存在し
ていない。また、下層部の壁が厚くなっているのが分か
る。このような皮膜の場合、優れた防水性は得られやす
いが、高い透湿度は得られない。
【0045】図5は、比較例1で得られた比較用のコー
ティング布帛における樹脂層皮膜の断面(皮膜中央部)
を、走査型電子顕微鏡で6000倍に拡大して撮影した
皮膜の拡大写真である。この拡大写真を観察すると、皮
膜中央部の壁面に、微細孔は全く存在していないのが分
かる。
【0046】図6は、比較例2で得られた比較用のコー
ティング布帛における樹脂層皮膜の断面を、走査型電子
顕微鏡500倍に拡大して撮影した皮膜の拡大写真であ
る。この拡大写真を観察すると、図4と同様に皮膜中央
部に形成されているセルは比較的小さく、また各セルの
壁面や繊維布帛側に近い皮膜の下層部に、微細孔は存在
していないことが分かる。しかし、皮膜全体に分散して
いる炭酸カルシウムのために、数は少ないがセルの壁面
に比較的大きな穴が開いているのが分かる。このような
皮膜の場合、防水性は大きく低下する反面、透湿度はさ
ほど向上しない。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、バランスのとれた優れ
た透湿性能及び防水性能を有する透湿防水性コーティン
グ布帛を得ることができる。さらに本発明のコーティン
グ布帛は、耐摩耗性においても優れた性能を有してい
る。そのため、雨衣のほか、ウインドブレーカー、スキ
ーウエアー等のスポーツウエアーあるいはアスレチック
ウエアーを始めとする衣類の分野に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例3で得られた本発明の透湿防水
性コーティング布帛における微多孔層皮膜の断面を、走
査型電子顕微鏡で500倍に拡大して撮影した皮膜の拡
大写真である。
【図2】図2は、実施例3で得られた本発明の透湿防水
性コーティング布帛における微多孔層皮膜の断面(皮膜
中央部)を、走査型電子顕微鏡で6000倍に拡大して
撮影した皮膜の拡大写真である。
【図3】図3は、実施例3で得られた本発明の透湿防水
性コーティング布帛における微多孔層皮膜の断面(皮膜
中央部)を、走査型電子顕微鏡で6000倍に拡大して
撮影した皮膜の拡大写真である。
【図4】図4は比較例1で得られた比較用のコーティン
グ布帛における樹脂層皮膜の断面を、走査型電子顕微鏡
で500倍に拡大して撮影した皮膜の拡大写真である。
【図5】図5は、比較例1で得られた比較用のコーティ
ング布帛における樹脂層皮膜の断面(皮膜中央部)を、
走査型電子顕微鏡で6000倍に拡大して撮影した皮膜
の拡大写真である。
【図6】図6は、比較例2で得られた比較用のコーティ
ング布帛における樹脂層皮膜の断面を、走査型電子顕微
鏡500倍に拡大して撮影した皮膜の拡大写真である。 0
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−222677(JP,A) 特開 昭59−204981(JP,A) 特開 平6−2278(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D06M 11/00 - 11/84 D06M 15/00 - 15/72

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機系ウィスカーを含有したポリウレタ
    ン樹脂主体の樹脂組成物からなる微多孔層を繊維布帛の
    少なくとも片面に有することを特徴とする透湿防水性コ
    ーティング布帛。
  2. 【請求項2】 繊維径が2μm以下で、結晶の長さが3
    〜60μmの無機系ウィスカーをポリウレタン樹脂主体
    の樹脂組成物に対して1〜70重量%含有した樹脂組成
    物からなる微多孔層を繊維布帛の少なくとも片面に有す
    ることを特徴とする透湿防水性コーティング布帛。
  3. 【請求項3】 繊維径が2μm以下で、結晶の長さが3
    〜60μmの無機系ウィスカーをポリウレタン樹脂主体
    の樹脂組成物に対して1〜70重量%含有し、さらにセ
    ルロース誘導体をポリウレタン樹脂主体の重合体に対し
    て1〜50重量%含有した樹脂組成物からなる微多孔層
    を繊維布帛の少なくとも片面に有することを特徴とする
    透湿防水性コーティング布帛。
  4. 【請求項4】 無機系ウィスカーが、窒化チタン、窒化
    ホウ素、炭化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン
    酸カリウム、酸化亜鉛、アルミナ、ホウ酸アルミニウ
    ム、酸化銅の中から選ばれた少なくとも1種類以上であ
    ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記
    載の透湿防水性コーティング布帛。
  5. 【請求項5】 ポリウレタン樹脂主体の樹脂組成物と極
    性有機溶剤を含んでなる塗布溶液を繊維布帛に塗布し、
    ついで凝固浴中に浸漬して凝固させ、しかる後水洗、乾
    燥することによりコーティング布帛を製造する方法に於
    いて、塗布溶液としてポリウレタン樹脂主体の樹脂組成
    物に対して無機系ウィスカーを分散させた溶液を使用す
    ることを特徴とする透湿防水性コーティング布帛の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 ポリウレタン樹脂主体の樹脂組成物と極
    性有機溶剤を含んでなる塗布溶液を繊維布帛に塗布し、
    ついで凝固浴中に浸漬して凝固させ、しかる後水洗、乾
    燥することによりコーティング布帛を製造する方法に於
    いて、塗布溶液として繊維径が2μm以下で、結晶の長
    さが3〜60μmの無機系ウィスカーをポリウレタン樹
    脂主体の樹脂組成物に対して1〜70重量%分散させた
    溶液を使用する事を特徴とする透湿防水性コーティング
    布帛の製造方法。
  7. 【請求項7】 ポリウレタン樹脂主体の樹脂組成物と極
    性有機溶剤溶液を含んでなる塗布溶液を繊維布帛に塗布
    し、ついで凝固浴中に浸漬して凝固させ、しかる後水
    洗、乾燥することによりコーティング布帛を製造する方
    法に於いて、塗布溶液として繊維径が2μm以下で、結
    晶の長さが3〜60μmの無機系ウィスカーをポリウレ
    タン樹脂主体の樹脂組成物に対して1〜70重量%分散
    させ、さらにセルロース誘導体をポリウレタン樹脂主体
    の樹脂組成物に対して1〜50重量%含有させた溶液を
    使用する事を特徴とする透湿防水性コーティング布帛の
    製造方法。
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