JPH07258976A - 透湿性防水布帛の製造方法 - Google Patents

透湿性防水布帛の製造方法

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JPH07258976A
JPH07258976A JP7413994A JP7413994A JPH07258976A JP H07258976 A JPH07258976 A JP H07258976A JP 7413994 A JP7413994 A JP 7413994A JP 7413994 A JP7413994 A JP 7413994A JP H07258976 A JPH07258976 A JP H07258976A
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cloth
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fine powder
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JP7413994A
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Tsunekatsu Furuta
常勝 古田
Kenichi Kamemaru
賢一 亀丸
Mamoru Shinomiya
守 四宮
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた透湿性能と防水性能を兼ね備えながら
ソフトな風合を有する透湿性防水布帛を,コーティング
法によって製造する方法を提供する。 【構成】 繊維布帛上に,塗布面積が10〜70%にな
るように水溶性物質を,微細な非塗布部を均一に残しつ
つ,塗布し,次にその塗布面に無機微粉末を含有させた
ポリウレタン樹脂主体の合成重合体溶液を塗布した後,
水中に浸漬して樹脂層の湿式凝固を行うとともに,水溶
性物質を溶出・除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,優れた透湿性能と防水
性能を兼ね備えたソフトな風合を有する透湿性防水布帛
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より,透湿性防水布帛の製造方法と
して,ラミネート法による製造方法とコーティング法に
よる製造方法がよく知られている。そのうちコーティン
グ法により透湿性防水布帛を得る方法としては,湿式法
および乾式法があり,いずれの方法においても,ラミネ
ート法に比べれば比較的優れた透湿性能が得られるが,
乾式法では,洗濯による耐水圧低下が大きく,湿式法で
は,コーティング用樹脂として通常N,Nジメチルホル
ムアミド等の極性アミド溶媒を主溶剤としているため,
揮発性が低く,しかも布帛へコーティング樹脂溶液が浸
透しやすく,風合が硬くなったり,場合によっては布帛
表面,すなわちコーティング裏面への樹脂洩れが生じた
りする原因となっており,上記欠点の解消が望まれてい
る。
【0003】また,一般的に,樹脂層が有孔のとき,優
れた透湿性能は得やすいが,防水性能は不十分となりや
すく,逆に,樹脂層が無孔のときには,優れた防水性能
は得やすいが,透湿性能は不十分となりやすい。例えば
ポリウレタン樹脂の湿式コーティング加工法により得ら
れるコーティング布帛は,元来防水性能は優れている
が,透湿性能が不十分なので,透湿性能を向上させるた
めにアニオン系界面活性剤,ノニオン系界面活性剤,親
水性高分子等を併用するのが常である。しかし,得られ
るコーティング布帛の透湿性能は十分ではなく,かつ防
水性能をかなり低下させ,結果として両者ともに十分な
性能を満足させることができていない。
【0004】そこで,本発明者らは,先に特開平5−2
22677号公報において,繊維布帛上にポリウレタン
樹脂主体の合成重合体からなる有孔の樹脂層を有し,該
樹脂層中に実質的に無孔で平均粒径が0.1μm以下の無
機微粉末を1%以上含有させた高透湿,高耐水圧性能を
有する透湿防水性布帛を提案した。この布帛は,透湿
性,防水性については優れた性能を兼ね備えていたが,
無機微粉末を含有させているため,風合がやや硬くなる
欠点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上述の現状
に鑑みて行われたもので,優れた透湿性能と防水性能を
兼ね備えながら,ソフトな風合を有する透湿性防水布帛
をコーティング法で得ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は,上記目的を達
成するもので,次の構成よりなるものである。すなわ
ち,本発明は,「繊維布帛上に,塗布面積率が10〜7
0%になるように水溶性物質を,微細な非塗布部を均一
に残しつつ,塗布する第1工程,該塗布面に平均粒径が
1μm以下で,かつ,N,Nジメチルホルムアミドの吸
着量が200ミリリットル/100g以上の無機微粉末
を1重量%以上含有させたポリウレタン樹脂主体の合成
重合体溶液を塗布する第2工程,湿式製膜とともに水溶
性物質を溶出・除去する第3工程よりなることを特徴と
するソフトな風合を有する透湿性防水布帛の製造方法」
を要旨とするものである。
【0007】以下,本発明について詳細に説明を行う。
【0008】本発明で用いる繊維布帛としては,ナイロ
ン6やナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊維,
ポリエチレンテレフタレートで代表されるポリエステル
系合成繊維,ポリアクリロニトリル系合成繊維,ポリビ
ニルアルコール系合成繊維,トリアセテート等の半合成
繊維,あるいはナイロン6/木綿,ポリエチレンテレフ
タレート/木綿等の混紡繊維から構成された織物,編
物,不織布等を挙げることができる。
【0009】本発明では,これらの繊維布帛に撥水剤処
理を施したものを用いてもよい。この場合,布帛の撥水
性は,JIS L−1096スプレー法にて撥水度90
以上あることが望ましい。用いる撥水剤は,パラフィン
系撥水剤やポリシロキサン系撥水剤,フッ素系撥水剤等
の公知のものでよく,その処理は,一般に行われている
公知の方法で行えばよい。特に良好な撥水性を必要とす
る場合にはフッ素系撥水剤を使用し,例えば,旭硝子株
式会社製のアサヒガード710(フッ素系撥水剤エマル
ジョン)を5%の水溶液でパディング(絞り率35%)
後,160℃にて1分間の熱処理を行う方法等によって
行えばよい。
【0010】本発明では,第1工程として,上述の繊維
布帛上に塗布面積率が10〜70%になるように,水溶
性物質を,微細な非塗布部を均一に残しつつ,塗布す
る。
【0011】本発明で用いる水溶性物質は,水溶性であ
ればどのような物質でもよいが,例えば,澱粉,デキス
トリン,アルギン酸ソーダ等の多糖類,酪酸セルロー
ス,酢酸酪酸セルロース等のセルロースエステル類,メ
チルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチル
セルロース,ヒドロキシエチルセルロース等のセルロー
スエーテル類,キチン,キトサン,ヘパリン等のアミノ
糖類,ゼラチン,アルブミン,グロブリン等の水溶性タ
ンパク質類等の天然水溶性高分子化合物およびそれらの
誘導体,さらに,ポリエーテルポリオール,ポリエステ
ルポリオール,ポリビニルアルコール,ポリアクリルア
ミドのような合成水溶性高分子化合物やポリエチレング
リコールのようなジオール類等の合成水溶性低分子化合
物等を挙げることができる。
【0012】上述の水溶性物質のコーティング樹脂液を
調整するには,公知の方法を用いて行えばよく,樹脂粘
度は,コーティング時の作業性を考えて,1〜4000
0cp(25℃)に調整すればよい。
【0013】この樹脂液を,繊維布帛に塗布面積率が1
0〜70%になるように塗布するには,通常のグラビア
コータや,スクリーン捺染機,フラットスクリーン捺染
機,ロータリースクリーン捺染機等の各種捺染機を使用
して塗布すればよいが,ここで樹脂液を,微細な非塗布
部を均一に残すように塗布するには,グラビアコータの
場合,メッシュ状,線状,波状等の彫刻されたロールを
用い,また,スクリーン捺染機の場合には,メッシュ
状,線状,波状等の柄の形成されたスクリーンを用いる
ことにより,その目的を達成することができる。
【0014】この第1工程で水溶性物質を塗布する目的
は,第2工程で行うコーティングによってポリウレタン
樹脂が繊維布帛全体の目の中へ入り込み,布帛の組織の
動きを妨げ,風合が硬くなるのを防ぐためであり,この
ためには,次式で示される塗布面積率が10〜70%,
望ましくは20〜60%になるように塗布しておく必要
がある。 塗布面積率(%)=(水溶性物質の塗布面積/繊維布帛
の面積)×100 このとき,塗布面積率が10%未満では,水溶性物質の
塗布が不十分で,ソフトな風合のものが得られず,ま
た,塗布面積率が70%を越えると,ポリウレタン樹脂
層と布帛との密着部分が少なくなりすぎて,樹脂の耐剥
離性が悪くなるので好ましくない。水溶性物質の塗布状
態としては,水溶性物質の溶出,除去後のポリウレタン
樹脂層と繊維布帛との接着状態が,点状,線状,点線
状,波状またはこれらの組合せ等の非連続的な状態とな
るように前述の方法で水溶性物質を塗布し,このような
方法を採用することにより,ソフトな風合を有する布帛
を得ることができる。
【0015】次に,本発明では,上述の水溶性物質の塗
布面に,平均粒径が1μm以下で,かつN,Nジメチル
ホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/100g
以上の無機微粉末を1重量%以上含有させたポリウレタ
ン樹脂主体の合成重合体溶液を塗布する第2工程を行
う。
【0016】すなわち,本発明方法においては,ポリウ
レタン樹脂主体の合成重合体の極性有機溶剤溶液中に無
機微粉末を均一分散させて塗布し,次いで,後述の第3
工程で水中に浸漬して樹脂皮膜を形成する,いわゆる湿
式コーティング法により樹脂皮膜を形成するが,本発明
では,特に上記無機微粉末として平均粒径が1μm以下
で,かつN,Nジメチルホルムアミドの吸着量が200
ミリリットル/100g以上の無機微粉末を用い,ポリ
ウレタン樹脂主体の合成重合体に対して1重量%以上用
いる。この微粉末は,上記性能を有する無機物であれば
いずれでも使用でき,また,無機物を微粉化するには,
公知の方法を用いればよい。特に,ハロゲン化金属の気
相酸化法あるいは燃焼加水分解法,電弧法等の乾式法に
よって得られる金属酸化物の微粉末がよく知られてお
り,中でも,上記方法により製造される無機微粉末とし
て二酸化ケイ素微粉末が安価でかつ多量に生産されてい
る。
【0017】これらの方法により得られた微粉末は,一
般的に粒径が0.05μm以下であると同時に,非常に多
いN,Nジメチルホルムアミド吸着量を示し,合成重合
体樹脂溶液中に添加せしめる無機微粉末として好適であ
る。さらに,該微粉末の表面を疎水性に改質したものを
用いれば,コーティング膜の耐漏水性向上の面からみて
より一層好適であり,また,該微粉末は,実質的に無孔
である方が好ましい。
【0018】上述のN,Nジメチルホルムアミド吸着量
とは,無機微粉末5gをガラス平板上に置き,N,Nジ
メチルホルムアミドを1滴滴下するごとにステンレス製
のへらを用いて練り合わせる作業を繰り返し,N,Nジ
メチルホルムアミドの1滴で急激に軟らかくなる直前の
吸着量を意味している。その測定方法は,JIS K−
5101の吸油量測定法に準じて行うが,その際,煮あ
まに油の代わりにN,Nジメチルホルムアミドを用いて
行い,無機微粉末100g当たりのN,Nジメチルホル
ムアミドの吸着量(単位:ミリリットル)で表す。
【0019】本発明で用いる無機微粉末は,その平均粒
径が1μm以下で,かつN,Nジメチルホルムアミド吸
着量が200ミリリットル/100g以上であることが
必要であり,無機微粉末の平均粒径が0.1μm以下でか
つN,Nジメチルホルムアミドの吸着量が300ミリリ
ットル/100g以上のものであれば,本発明の効果の
点でより一層好ましい。平均粒径が1μmを超えると,
得られるコーティング膜の微細孔の孔径が大きくなりす
ぎ,防水性能を低下させるので好ましくなく,また,
N,Nジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリッ
トル/100g未満では,コーティング膜の微細孔の数
が少なくなり,透湿性能があまり向上しないので好まし
くない。
【0020】本発明で用いる無機微粉末の量は,ポリウ
レタン樹脂主体の合成重合体からなる樹脂層に対し,実
質的に均一に1重量%以上含有していることが必要であ
り,さらに好ましくは,3重量%以上含有している方が
よい。1重量%未満では,得られるコーティング膜の微
細孔の数が少なくなりすぎて,透湿性能があまり向上し
ない。無機微粉末は,必ずしも高純度なものである必要
はなく,不純物として他の無機物質,例えば,顔料,充
填剤等が含有されていても何ら差し支えない。
【0021】本発明のポリウレタン樹脂主体の合成重合
体とは,ポリウレタン成分を50〜100重量%含むも
のをいい,その他の合成重合体としては,例えば,ポリ
アクリル酸,ポリ塩化ビニル,ポリスチレン,ポリブタ
ジエン,ポリアミノ酸等やこれらの共重合体等を50重
量%未満の範囲で含んでいてもよく,勿論,フッ素やシ
リコン等で変性した化合物も本発明で使用できる。
【0022】ポリウレタン樹脂は,イソシアネートとポ
リオールを反応せしめて得られる共重合体であり,イソ
シアネート成分として,芳香族ジイソシアネート,脂肪
族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネートの単
独またはこれらの混合物を用い,例えばトリレン2,4−
ジイソシアネート,4,4'−ジフェニルメタンジイソシ
アネート,1,6−ヘキサンジイソシアネート,1,4−シ
クロヘキサンジイソシアネート等を用い,また,ポリオ
ール成分としては,ポリエーテルポリオール,ポリエス
テルポリオールを用い,ポリエーテルポリオールは,ポ
リエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポ
リテトラメチレングリコール等を用い,ポリエステルポ
リオールは,エチレングリコール,プロピレングリコー
ル等のジオールとアジピン酸,セバチン酸等の2塩基酸
との反応生成物やカプロラクトン等の開環重合物を用い
る。
【0023】本発明方法では,樹脂層と繊維布帛間の耐
剥離性を向上させる目的で,樹脂や繊維布帛との親和性
の高い化合物を併用してもよく,その化合物としてイソ
シアネート化合物を併用するとよい。イソシアネート化
合物としては,2,4−トリレンジイソシアネート,ジフ
ェニルメタンジイソシアネート,イソフォロンジイソシ
アネート,ヘキサメチレンジイソシアネートまたはこれ
らのジイソシアネート類3モルと活性水素を含有する化
合物(例えば,トリメチロールプロパン,グリセリン
等)1モルとの付加反応によって得られるトリイソシア
ネート類が使用できる。上記のイソシアネート類は,イ
ソシアネート基が遊離した形のものであっても,あるい
はフェノール,メチルエチルケトオキシム等を付加させ
ることにより安定させ,その後の熱処理によりブロック
を解離させる形のものであっても,いずれでも使用で
き,作業性や用途等により適宜使い分ければよい。
【0024】イソシアネート化合物を使用する際の使用
量としては,ポリウレタン樹脂主体の合成重合体に対し
て0.1〜10重量%の割合で使用することが望ましい。
使用量が0.1重量%未満であれば,布帛に対する樹脂層
の接着力が低く,また,10重量%を超えると,風合が
硬化する傾向が認められるようになるので好ましくな
い。
【0025】上記無機微粉末を含むポリウレタン樹脂主
体の合成重合体溶液は,通常のコーティング法,例え
ば,ナイフコータ,コンマコータ,リバースコータ等を
用いて適宜コーティングを行えばよい。コーティング塗
布量としては,目的とする耐水圧や繊維布帛のコーティ
ング面の平滑性や通気度(JIS L−1096法)に
より異なるが,一般的に乾燥樹脂皮膜重量が5g/m2
以上,好ましくは10g/m2 以上になるように塗布量
を調節してコーティングを行うとよい。
【0026】次に第3工程として,ポリウレタン樹脂主
体の合成重合体溶液を塗布したコーティング布帛を0〜
30℃の水中に0.5〜10分間浸漬して樹脂分の湿式製
膜を行い,続いて,30〜60℃で5〜20分間の湯洗
を行い,湿式製膜を完結させるとともに,第1工程で塗
布した水溶性物質を溶出・除去する。水溶性物質を溶出
・除去するに際しては,酵素を用いて分解・溶出する方
法,有機酸,無機酸,界面活性剤等の水溶液を用いて溶
出する方法,水もしくは湯を用いて洗浄・溶出する方法
等,用いられている水溶性物質や布帛の用途等によって
適宜選択すればよい。
【0027】本発明の最も効率的な実施態様は,第1工
程で塗布した水溶性物質を乾燥,固化することなく,塗
布後直ちにその塗布面に無機微粉末を含有させたポリウ
レタン樹脂主体の合成重合体溶液を塗布することであ
る。このようにすると,第3工程として水溶性物質を溶
出・除去するための特別な処方を必要とせず,これを通
常のポリウレタン樹脂のコーティング後の製膜,湯洗工
程と共用することができるので,非常に有利である。し
かし,第1工程で付与した水溶性物質を乾燥,固化した
後,第2工程を行っても,何ら問題はない。
【0028】本発明は,以上の構成よりなるものであ
り,本発明によれば,ソフトな風合を有し,かつ優れた
透湿性能と防水性能を兼ね備えた透湿性防水布帛を得る
ことができる。
【0029】
【作 用】本発明のごとく,繊維布帛上に,塗布面積率
が10〜70%になるように水溶性物質を,微細な非塗
布部を均一に残しつつ,塗布した後,その塗布面にポリ
ウレタン樹脂を塗布すると,ポリウレタン樹脂は,予め
塗布されたその部分で水溶性物質にさえぎられて繊維布
帛全体に浸透することがなく,このような状態で水溶性
物質を溶出・除去すると,ポリウレタン樹脂と繊維布帛
の密着部分が互いに非連続状態で存在するようになり,
組織の自由度が増して動きやすくなるため,組織体全体
としての透湿性防水布帛がソフトな風合を有するものと
なる。
【0030】また,本発明のごとく,平均粒径が1μm
以下で,かつN,Nジメチルホルムアミドの吸着量が2
00ミリリットル/100g以上の無機微粉末を均一に
分散させたポリウレタン樹脂主体の合成重合体溶液を布
帛にコーティングして湿式凝固を行うと,凝固液である
水と樹脂溶媒であるN,Nジメチルホルムアミドが混和
し,樹脂液から溶媒が速やかに離脱していくことにより
樹脂が凝固するが,その際に,平均粒径が1μm以下
で,かつN,Nジメチルホルムアミドの吸着量が200
ミリリットル/100g以上の無機微粉末が該樹脂溶液
中に均一に分散していると,無機微粉末の表面は他の部
分に比べて樹脂溶液中におけるN,Nジメチルホルムア
ミドの濃度が高く,いいかえれば,ポリウレタン樹脂主
体の合成重合体の濃度が低い状態にあり,このために,
湿式凝固過程において,凝固液である水がまず無機微粉
末表面のN,Nジメチルホルムアミドと置き替わり,無
機微粉末の周囲で速やかに凝固が始まり,その後に樹脂
全体が凝固するので,結果的に凝固速度が速くなり,ポ
リウレタン樹脂特有のハニカム構造の他に,1μm以下
の微細孔を無数に有する非常にポーラスな形態となる。
この形成された微細孔の微細性により優れた防水性能が
発揮されるとともに,無数に存在する微細な有孔により
高透湿性能が発揮されるようになる。
【0031】本発明では,無数に形成された微細孔によ
り透湿性能が向上しているので,高透湿性防水布帛に特
有の,着用時に圧力が加わったとき問題が発生しやすい
漏水性に対しても非常に有効である。さらに,本発明の
無機微粉末は,樹脂層の表層から下層まで全体に均一に
存在しているので,樹脂層表面はポリウレタン樹脂特有
のぬめり感を消し,ドライタッチにするとともに,樹脂
層全体の耐摩耗性と樹脂膜強度が向上する。
【0032】
【実施例】次に,実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが,実施例におけるコーティング布帛の性能の
測定,評価は,下記の方法で行った。 (1)耐水圧 JIS L−0217(103法)による洗濯試験前後
の試料を,JISL−1092(高水圧法)により測定
した。 (2)透湿度 JIS L−1099(A−1法)による。 (3)摩耗強力 JIS L−1084(A−1法)による。 (4)撥水度 JIS L−1096(スプレー法)による。 (5)風 合 ハンドリングにより,相対的に次の3段階評価を行っ
た。 ○ : 柔らかい △ : やや硬い × : 硬
【0033】実施例1 本実施例では,水溶性物質としてポリエチレングリコー
ル(第一工業製薬株式会社製のポリエチレングリコール
〔PEG #400〕)を用い,次の方法により本発明
の透湿性防水布帛を製造した。
【0034】まず基布として,経糸,緯糸の双方にナイ
ロン70デニール/34フィラメントを用いた経糸密度
120本/インチ,緯糸密度90本/インチの平織物
(タフタ)を用意し,これに通常の方法で精練および酸
性染料による染色を行った後,フッ素系撥水剤エマルジ
ョンのアサヒガード710(旭硝子株式会社製)5%水
溶液でパディング(絞り率35%)し,160℃にて1
分間の熱処理を行った。次に,鏡面ロールをもつカレン
ダー加工機を用い,温度160℃,圧力30kg/cm,速
度20m/分の条件にてカレンダー加工を行い,コーテ
ィング用の基布を得た。
【0035】ここで第1工程として,固形分濃度100
%,粘度15cp/25℃のポリエチレングリコールを,
塗布面積率が30%になるようにメッシュ状に彫刻され
たグラビアコータを用いて,上記基布の裏面側に塗布量
6g/m2 にて塗布した。
【0036】次に,第2工程として,上記塗布面に下記
処方1のコーティング樹脂液を,ナイフオーバーロール
コータにて,乾燥樹脂皮膜重量が20g/m2 になるよ
うに塗布した。
【0037】処方1 ラックスキン 1740−29B 100部 (セイコー化成株式会社製,エステル型ポリウレタン樹
脂) レザミン X−100 1部 (大日精化工業株式会社製,イソシアネート化合物) N,Nジメチルホルムアミド 30部 アエロジル R−974 3部 (日本アエロジル株式会社製,平均粒径0.012μm,
N,Nジメチルホルムアミド吸着量350ミリリットル
/100gの疎水性二酸化ケイ素微粉末)
【0038】続いて,第3工程として,布帛を15℃の
水中に1分間浸漬してポリウレタン樹脂コーティング層
の湿式製膜を行った後,布帛を50℃の温水中で10分
間処理して湿式製膜を完成させるとともに,第1工程で
塗布したポリエチレングリコールを完全に溶出・除去し
て乾燥し,本発明の透湿性防水布帛を得た。
【0039】本発明との比較のため,本実施例において
布帛表面へのポリエチレングリコールの塗布工程(第1
工程)を省くほかは,本実施例とまったく同一の方法に
より比較用の透湿性防水布帛(比較例1)を得た。
【0040】本発明および比較用のコーティング布帛の
性能を測定,評価し,その結果を合わせて表1に示し
た。
【表1】
【0041】表1より明らかなように,本発明方法で製
造した透湿性防水布帛は,優れた耐水圧と透湿度を有す
るとともに,非常にソフトな風合を有していた。また,
撥水性,耐摩耗性も良好なものであった。
【0042】実施例2 本実施例では水溶性物質としてポリビニルアルコール
(ユニチカ株式会社製,以下PVAという。)を用い,
次の方法により本発明の透湿性防水布帛を製造した。
【0043】まず,基布として,経糸,緯糸の双方にポ
リエステル75デニール/36フィラメントを用いた,
経糸密度95本/インチ,緯糸密度80本/インチの平
織物(タフタ)を用意し,これに通常の方法で精練およ
び分散染料による染色を行った後,フッ素系撥水剤エマ
ルジョンのアサヒガード710(旭硝子株式会社製)5
%水溶液でパディング(絞り率35%)し,170℃に
て1分間の熱処理を行った。次に鏡面ロールをもつカレ
ンダー加工機を用い,温度170℃,圧力40kg/cm,
速度20m/分の条件にてカレンダー加工を行い,コー
ティング用の基布を得た。
【0044】ここで第1工程として,固形分濃度15
%,粘度6000cp/25℃のポリビニルアルコール水
溶液を,実施例1で使用したグラビアコータ(塗布面積
率30%のメッシュ状の彫刻)を用いて,上記基布の裏
面側に塗布量8g/m2 にて塗布した。
【0045】以下,前記実施例1の第2工程以降とまっ
たく同一の方法により本発明の透湿性防水布帛を製造し
た。
【0046】本発明との比較のため,本実施例において
布帛表面へのポリビニルアルコールの塗布工程(第1工
程)を省くほかは,本実施例とまったく同一の方法によ
り比較用の透湿性防水布帛(比較例2)を得た。
【0047】本発明および比較用のコーティング布帛の
性能を測定,評価し,その結果を合わせて表2に示し
た。
【表2】
【0048】表2より明らかなように,本発明方法で製
造した透湿性防水布帛は,優れた耐水圧と透湿度を有す
るとともに,非常にソフトな風合を有していた。また,
撥水性,耐摩耗性も良好なものであった。
【0049】
【発明の効果】本発明方法によれば,優れた透湿性能と
防水性能を兼ね備え,しかもソフトな風合を有する透湿
性防水布帛を製造することができる。本発明のコーティ
ング布帛は,その優れた性能から,特に雨衣,外衣等の
衣料に適した素材となる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維布帛上に,塗布面積率が10〜70
    %になるように水溶性物質を,微細な非塗布部を均一に
    残しつつ,塗布する第1工程,該塗布面に平均粒径が1
    μm以下で,かつ,N,Nジメチルホルムアミドの吸着
    量が200ミリリットル/100g以上の無機微粉末を
    1重量%以上含有させたポリウレタン樹脂主体の合成重
    合体溶液を塗布する第2工程,湿式製膜とともに水溶性
    物質を溶出・除去する第3工程よりなることを特徴とす
    るソフトな風合を有する透湿性防水布帛の製造方法。
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