JP2004256939A - 撥水性布帛およびそれを用いた衣料 - Google Patents

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Masaru Haruta
勝 春田
Takenori Furuya
武徳 古谷
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Abstract

【課題】耐久性に優れた高い撥水性を有する布帛を提供すること。
【解決手段】撥水処理された布帛であって、該布帛表面に高さが0.01〜10.0μmの凸部を有することを特徴とする撥水性布帛。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は布帛に関し、特に、優れた撥水性を有する布帛およびそれらをもちいてなる衣料に関する。
【0002】
【従来の技術】
布帛をフッ素系撥水剤やシリコーン系撥水剤で処理して撥水性を付与することはよく知られており、種々の洗濯耐久性向上検討が実施されている。具体的には、シリコーン系撥水剤を使用し洗濯耐久性のある撥水性布帛が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、シリコーン系撥水剤やフッ素系撥水剤で変性した熱可塑性樹脂を布帛に塗布することにより、耐久性のある撥水性布帛が得られることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
これらは洗濯耐久性の向上が主な狙いであり、洗濯数十回後でも撥水性を維持することを目的に検討されたものである。
【0004】
【特許文献1】
特公昭61−9432号公報(第1頁)
【0005】
【特許文献2】
特開平9−195169号公報(第1−2頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
衣料用の撥水性布帛において、洗濯耐久性は重要な機能ではあるが、スキーウエアや雨衣等は数日間着用した後に洗濯するのが一般的である。例えば、雨の中で長時間着用した時の撥水耐久性や、ゴルフ等で降雨状況に応じ雨衣を着脱する場合には、撥水性を長時間にわたり維持することが求められる。しかし、この点に着眼した検討は、なされていないのが現状である。すなわち、撥水耐久性が高く、かつ洗濯耐久性の高い撥水布帛の開発が望まれていた。
【0007】
本発明の目的は、高度な撥水性を長時間保持し、かつ洗濯耐久性の高い布帛およびそれらをもちいた衣料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、本発明は以下の構成をとる。すなわち、本発明は、撥水処理された布帛であって、該布帛表面に高さが0.01〜10.0μmの凸部を有することを特徴とする撥水性布帛をその骨子とする。
【0009】
また、別の本発明は、撥水処理された布帛であって、該布帛表面に0.01〜10.0μmの微粒子が固着されたことを特徴とする撥水性布帛をその骨子とする。さらに、これらの撥水性布帛を用いた衣料である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、表面に凸部を有し、該凸部の高さが0.01〜10.0μmである布帛である。
【0011】
本発明に使用する繊維は特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド繊維の如き合成繊維、アセテート繊維の如き半合成繊維、綿や麻や羊毛の如き天然繊維を単独で、または2種以上を混合して使用できる。
【0012】
また、布帛の形態としては特に限定されず、織物、編物、不織布等、目的に応じていずれの形態でも使用できるが、撥水性布帛としてアウター衣料に用いる場合は、織物が好ましく用いられる。
【0013】
本発明において、繊維の断面形状は特に限定されず、円形、楕円形、三角形、異形等のいずれの断面形状の繊維でも問題なく使用できる。
【0014】
本発明において、布帛表面に凸部を有するとは、布帛の表面に突起を有することである。凸部の高さは0.01〜10.0μmであることが必要であり、好ましくは、0.05〜1.0μmの範囲である。高さが0.01μm未満では十分な撥水性能が得られないため好ましくない。また、10.0μmを越えると洗濯や摩耗で簡単に脱落したり、粗硬なざらついた表面タッチになるため好ましくない。
【0015】
凸部の形状は特に限定されず、例えば、円錐状、円柱状、多角錐状、多角柱状、半球状等いずれの形状でも用いることができる。
【0016】
本発明において、布帛50μm四方に凸部が5個以上存在することが好ましい。5個未満では撥水性に及ぼす効果が低下し、所望の撥水度が得られない可能性がある。凸部は、撥水性効果の観点では多い程好ましいが、衣料に用いる場合は表面タッチ、風合い等の観点から任意に設定することができる。好ましくは50μm四方に10〜100個である。
【0017】
布帛表面に凸部を形成させる方法は特に限定されず、例えば、プラズマ処理によるエッチッング、溶出成分を添加紡糸した繊維を用い、布帛から該成分を溶出させることにより、凸部を形成させる方法等を用いることができるが、微粒子を用いるのが安価で、かつ効率がよいため好ましい。特に、バインダー等で、繊維表面に微粒子を固着させて凸部を形成させる方法が簡便であり好ましい。
【0018】
本発明において、使用する微粒子は、粒径が0.01〜10.0μmの範囲にあることが必要である。0.05〜1.0μmの範囲にあることが、撥水性と手触り等の観点から、好ましい。
【0019】
微粒子の成分としては、例えば、酸化アルミニウム、シリカ、酸化ジルコニウム等の酸化物、炭化珪素、炭化ジルコニウム等の炭化物、フッ化グラファイト等の侵入型化合物から成る無機微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等から成る有機微粒子等を単独もしくは混合して用いることができる。
【0020】
本発明に使用する微粒子は、疎水性微粒子であることが撥水性向上の観点から好ましい。
【0021】
疎水性を示す微粒子とは、水との接触角が90°以上の組成物から成る微粒子であり、具体例としては、例えばシリカの水酸基に代表される親水性官能基を、例えばメチル基等に代表される親油性官能基でマスクした疎水性シリカ微粒子やポリテトラフルオロエチレン微粒子等を挙げることができる。
【0022】
本発明において、微粒子の量は、布帛に対し、0.1〜3.0g/mの範囲内であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜2.0g/mの範囲である。0.1g/m未満では、十分な撥水性能が得られない可能性があり、また、3.0g/mを越えると、表面の感触が低下傾向となる。
【0023】
本発明においては、布帛は撥水処理されている必要がある。撥水処理されていることにより、本発明の目的とする高度な撥水性を得ることができる。好ましくは、JIS規格L−1092(雨試験ブンデスマン法)による降雨1時間後の撥水度が4級以上である。本JISでは降雨10分後の撥水度を測定する規定であるが、本発明の目的は、長時間の着用期間中に高度な撥水性を維持することが目的であり、1時間降雨後の撥水度が4級以上である必要がある。本ブンデスマン法の1時間の降雨量は600mmであり、しかも雨粒は約0.07mlの水滴であり、熱帯地方のスコール以上の豪雨である。撥水処理された布帛を使用し、布帛表面に0.01〜10.0μmの凸部を有することで、上記規格を満足する長時間の降雨耐久性に優れた撥水性布帛が得られるのである。
【0024】
本発明において布帛を撥水処理する方法は特に限定されないが、例えば、布帛を撥水剤でパッディングした後、熱固着させる方法を挙げることができる。
【0025】
ここで、撥水剤の種類は特に限定されないが、例えば、オルガノポリシロキサン等を用いたシリコーン系撥水剤、パーフルオロポリオキシアルキル系化合物、パーフルオロポリオキシアルキレン系化合物等を用いたフッ素系撥水剤等が好ましく使用される。シリコーン系撥水剤は単独で用いることができるが、フッ素系撥水剤を併用もしくはフッ素系撥水剤を単独で用いた方が撥油性も高くなり汚れ付着による撥水性低下が少なく、特に好ましい。
【0026】
本発明において、布帛に微粒子を固着する際に、バインダーとして疎水性樹脂使用することが好ましい。疎水性樹脂としては、、微粒子を繊維表面に担持する必要があることから、熱可塑性樹脂に、樹脂固形分100重量部に対して、シリコーン系撥水剤および/またはフッ素系撥水剤30〜100重量部、とポリイソシアネート系架橋剤5〜30重量部を混合したこと疎水性樹脂が好ましく使用できる。また、布帛に塗布した場合に水との接触角が90°以上に加工できる樹脂であれば任意に用いることができるが、樹脂固形分100重量部に対し30〜100重量部のシリコーン系撥水剤および/またはフッ素系撥水剤を混合または共重合させることが好ましい。30重量部未満では十分な撥水性能が得にくく、また、100重量部を越えると、風合いが硬化したり、色斑が発生する可能性が生じる。これらのシリコーン系撥水剤および/またはフッ素系撥水剤としては溶剤可溶タイプだけでなく、熱可塑性樹脂に均一に分散が可能なものであれば使用することができる。また、シリコーン系撥水剤を単独で用いることができるが、フッ素系撥水剤を併用もしくはフッ素系撥水剤を単独で用いた方が撥油性も高くなり汚れ付着による撥水性低下が少なく特に好ましい。
【0027】
また、熱可塑性樹脂の撥水性向上と繊維表面との接着性を向上させるために、疎水性樹脂中にポリイソシアネート系架橋剤の添加が有効である。ポリイソシアネート系架橋剤の量が5重量部未満では、十分な接着性が得られない可能性が生じ、また、30重量部を越えると、風合いが硬化する傾向となる。ポリイソシアネート系架橋剤としては特に限定されないが、例えば、トリレン・ジイソシアネート系あるいはヘキサメチリン・ジイソシアネート系のポリイソシアネート系架橋剤が挙げられる。
【0028】
疎水性樹脂中に使用する熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂やウレタン樹脂が好ましく用いられる。
【0029】
本発明の撥水性布帛は、例えば、撥水処理した布帛を用い、疎水性樹脂中に上述の微粒子を添加し、フローティングナイフコーター等で布帛に塗布し乾燥することで得られるが、これらに限定されず、いずれの加工方法を用いてもよい。繊維の段階で凸部を形成させ、それを布帛にする方法も用いることができるが、生産性の点から、布帛形成後に凸部を形成する方法が好ましく使用される。
【0030】
繊維表面に微粒子を疎水性樹脂で固着することにより布帛の表面に微細な凸部が付与できる。フィルム等の平らな面に撥水加工した場合と織物等の様に表面に凹凸のある面に撥水加工した場合では、同じ組成の撥水加工でも凹凸のある面に撥水加工した布帛の方が水の接触角が高くなり撥水性が高くなることは従来より知られており、次式により説明されている。
r×cosθ=cosθ’ (Wenzelの式)
r:真の表面積/見かけの表面積
θ:真の水の接触角
θ’:見かけの水の接触角
Q1cosθ1+Q2cosθ2=cosθ’ (Cassieの式)
Q1、Q2:成分1、2が表面を占める割合
θ1、θ2:成分1、2の真の水の接触角
すなわち、Wenzelの式は、水との接触角が90°以上の撥水性表面の場合、表面を粗くするほど撥水性が高くなることを示している。
【0031】
また、Cassieの式は、撥水性表面の凹部に空気層がトラップされることで、より水の接触角が高くなることを示している。
【0032】
本発明はこの原理を応用したものであり、布帛の表面を疎水化し、布帛表面に凸部を形成することにより、一層高度な撥水性が得られるのである。
【0033】
本発明においては、布帛の片面に透湿防水性皮膜を積層することもできる。透湿防水性皮膜の積層面は特に限定されないが、好ましくは凸部を形成した面と反対の面である。
【0034】
透湿防水性皮膜に使用する樹脂については特に限定されないが、例を挙げると、ポリエステル共重合系、ポリエーテル共重合系、あるいはポリカーボネート共重合系のポリウレタン樹脂、シリコーン、フッ素、アミノ酸等を共重合したポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、合成ゴム、ポリ塩化ビニルの如きビニル系樹脂等を好ましく用いることができる。透湿性を付与させるためには、例えば、以下の3つの方法等がある。
(1)透湿性を有するウレタンを主成分とする無孔質皮膜を形成する。
(2)ウレタンを主成分とする微多孔質皮膜を形成する。
(3)ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする微多孔皮質膜を形成する。
【0035】
また、上記(2)または(3)のような微多孔質皮膜に、透湿性を有する無孔質皮膜をさらに積層することもできる。
【0036】
透湿性を有するウレタンを主成分とする無孔質皮膜としては、透湿性を高くするために、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の親水性ポリオールを含有させたものが好ましく使用でき、親水性ポリオールの含有率が10重量%以上50重量%以下のものがより好ましい。特に、膜強度の観点から、主鎖に脂肪族カーボネート系からなるジオールを導入したポリウレタンが好ましい。また、親水性ポリオールを主鎖よりも側鎖に主として含有する構成のものが好ましい。
【0037】
これらの樹脂をメチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、トルエン等の有機溶剤で希釈して離型紙上に塗布し、乾燥することで無孔質皮膜を得ることができる。次いで、その皮膜の上に接着剤としてポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、シリコーン系樹脂等を主成分とする単独樹脂あるいはこれらの混合物の有機溶媒溶液をグラビアロールコーター等で塗工することが好ましい。この際、透湿性発現および風合いの観点から塗工樹脂厚、被覆率、樹脂の種類等を考慮するのが好ましい。
【0038】
被覆率は、高透湿性の樹脂であれば100%被覆の全面接着でも問題はないが、透湿性と接着強力の両立の観点から一般的には40〜80%の被覆率とすることが好ましい。
【0039】
樹脂厚は、接着強力と透湿性の両立の観点から2〜20μm程度が好ましく、樹脂は加工が容易であることからポリウレタン系が好ましい。接着方式は特に限定されず、例えば、ウエットラミネート方式、ドライラミネート方式等を接着剤の特性により使い分ければよい。
【0040】
次いで、接着剤の上に上記で得た撥水加工布帛を積層し圧着することが好ましく行われる。その後、離型紙を剥離することで、布帛の片面に透湿防水性皮膜を積層した製品が得られる。
【0041】
なお、布帛と皮膜の接着性を高めるために、微粒子を添加した疎水性樹脂を布帛の片面に塗布し、乾燥後、塗布面の他の片面に無孔質皮膜を接着して積層するプロセスを採ることが好ましい。
【0042】
ウレタンを主成分とする微多孔質皮膜の場合は、ポリウレタン樹脂をジメチルホルムアミドに溶解させてなるポリウレタン溶液を布帛にコーティングし、これを湿式ゲル化させることにより布帛の片面に透湿防水性皮膜を積層した製品を得ることができる。
【0043】
また、ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする微多孔質皮膜の場合は、例えば、ペースト成形押し出し方法により、約95%以上の結晶化度を有するテトラフルオロエチレン重合体を押し出し、前記成形物より液体減摩剤を、液体減摩剤の蒸発温度より高く、前記重合体の結晶融点より低い温度で乾燥することにより除去し、そして前記重合体の結晶融点より低い温度で1方向以上の方向に延伸することにより得ることができる。
【0044】
上述した接着と同様にして布帛に接着することにより、布帛の片面に透湿防水性皮膜を積層した撥水性布帛が得られる。ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする微多孔質皮膜等の接着性の低い皮膜を用いる場合は、皮膜の片面にコロナ処理や、プラズマ処理を施すことにより接着性を向上できる。
【0045】
本発明は、表地と透湿防水性皮膜からなる2レア(2層)だけでなく、表地と透湿防水性皮膜と裏地を積層した3レア(3層)にも適用できる。裏地は縫い目が目止めテープでシールできるように粗な編地が用いられているのが一般的であるが、本発明においては、使用目的に応じ任意の裏地を使用できる。
【0046】
布帛の片面に透湿防水性皮膜を積層する方法を用いることで、JIS L 1099(A−1法)の透湿度が4,000g/m・24時間以上であり、耐水圧が9.8kpa以上である撥水性布帛を得ることができる。透湿度がこれより低いと着用中に蒸れ感を感じることがあり、また、耐水圧がこれより低いと着用中に衣服内に雨水等が漏水する恐れが生じる。
【0047】
上述の方法で得られた繊維表面に粒径が0.05〜10.0μmの微粒子を疎水性樹脂で固着したことを特徴とする撥水性布帛は、微粒子の無いものに比べて水の接触角がより大きくなり高い撥水性能が得られる。
【0048】
本発明の撥水性布帛は、耐久性に優れた撥水性を有しているため、スキー、スケート、スノーボード、アスレチック等のアウトドアスポーツ衣料、雨衣、防寒衣、作業衣や一般生活衣に好適に用いることができる。
【0049】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
[測定方法]
(1)撥水度
JIS規格L−1092(雨試験ブンデスマン法)による。ただし、降雨時間を規定にある10分後と規定よりも長い1時間後に撥水度を測定した。
(2)耐水圧
JIS規格L−1092(B法)による。ただし、伸びのあるサンプルを測定する場合は、JIS規格の各種の染色堅牢度測定用ナイロン添付白布をサンプルの上に重ねて測定した。
(3)透湿度
JIS規格L−1099(A−1法)による。
(4)洗濯
JIS規格L−0217の(番号)103による。
【0051】
[実施例1]
タテ糸およびヨコ糸に77dtex−24フィラメントーナイロン6、丸断面糸を使用した平織物を通常の方法で、精練、染色し、タテ120本/インチ、ヨコ90本/インチに仕上げた。次いで、“アサヒガード”AG710(旭硝子(株)製)3重量部と水97重量部よりなるフッ素系撥水剤で絞り率40%でパッディングし、120℃で乾燥した。その後、下記処方1の粘度3000cps/20℃の溶液をナイフドクターでウエットで40g/mコーティングし、160℃で30分熱処理し、撥水性布帛を得た。
(処方1)
“CRISCOAT” AC80(固形分18%のアクリル樹脂。大日本インキ化学工業(株)製):100重量部
“アサヒガード”AG5690(フッ素系撥水剤、旭硝子(株)製):10重量部
“コロネート”HL(ポリイソシアネート系架橋剤、日本ポリウレタン(株)):3重量部
“サイロホービック” 100(疎水性シリカ微粒子、平均粒径2.7μm、富士 シリシア(株)製):5重量部
トルエン:100重量部
処方1のコーティング面のブンデスマン降雨10分後および1時間後の撥水度は5級であり、布帛表面に水滴の付着が全く認められなかった。得られた測定値を表1に示す。
【0052】
布帛を顕微鏡で観察したところ、1.0〜4.0μmの凸部が観察された。また、微粒子の量は、使用量から約0.92g/mと計算された。
【0053】
[実施例2]
実施例1で得た織物に、実施例1と同様に“アサヒガード”AG710(旭硝子(株)製)3重量部と水97重量部よりなるフッ素系撥水剤で絞り率40%でパッディングし、120℃で乾燥した。その後、下記処方2のポリウレタン溶液を、ナイフオーバーロールコーターにて130g/m の割合で塗工し、ジメチルホルムアミドを10重量%含有した水溶液を凝固液とする浴槽中に30℃3分間浸漬してポリウレタン塗布液を湿式凝固させ、ついで80℃の温水で10分間水洗し、140℃で熱風乾燥し、微多孔質皮膜積層品を得た。
(処方2)
“クリスボン”8166(大日本インキ化学工業(株)製、ポリエステル系ポリウレタン):100重量部
“バーノック”D500(大日本インキ化学工業(株)製、ブロックイソシアネート):1重量部
“サイリシア”#350 (富士シリシア(株)製、多孔質シリカ):5重量部
ジメチルホルムアミド :50重量部
次いで、布帛の微多孔質皮膜積層面とは別の面に実施例1と同様に、処方1の粘度3000cps/20℃の溶液をナイフドクターでウエットで40g/mコーティングし、160℃で30分熱処理し、撥水性透湿防水布帛を得た。
【0054】
処方1のコーティング面のブンデスマン降雨10分後および1時間後の撥水度は5級であり、布帛表面に水滴の付着が全く認められなかった。また、透湿度は8000g/m・24時間であり、耐水圧は70.0kpaであった。得られた測定値を表1に示す。
【0055】
布帛を顕微鏡で観察したところ、1.0〜4.0μmの凸部が観察された。また、微粒子の量は、使用量から約0.92g/mと計算された。
【0056】
[実施例3]
実施例1で得た織物に、実施例1同様に”アサヒガード”AG710(旭硝子(株)製)3重量部と水97重量部よりなるフッ素系撥水剤で絞り率40%でパッディングし、120℃で乾燥した。その後、下記処方3の粘度3000cps/20℃の溶液をナイフドクターでウエットで40g/mコーティングし、160℃で30分熱処理し、撥水性布帛を得た。
(処方3)
”CRISCOAT” AC80(固形分18%のアクリル樹脂。大日本インキ化学工業(株)製):100重量部
”アサヒガード”AG5690(フッ素系撥水剤、旭硝子(株)製):10重量部
”コロネート”HL(ポリイソシアネート系架橋剤、日本ポリウレタン(株)):3重量部
KD200AS(ポリテトラフルオロエチレン微粒子配合ディスパージョン固
形分60%、平均粒子径0.3μm、(株)喜多村製):8重量部
トルエン:100重量部
処方3のコーティング面のブンデスマン降雨10分後および1時間後の撥水度は5級であり、布帛表面に水滴の付着が全く認められなかった。得られた測定値を表1に示す。
【0057】
布帛を顕微鏡で観察したところ、1.0〜4.0μmの凸部が観察された。また、微粒子の量は、使用量から約0.92g/mと計算された。
【0058】
[比較例1]
実施例1で得た織物に、実施例1同様に“アサヒガード”AG710(旭硝子(株)製)3重量部と水97重量部よりなるフッ素系撥水剤で絞り率40%でパッディングし、120℃で乾燥した。その160℃で3分間熱処理し比較用撥水性布帛を得た。
【0059】
ブンデスマン降雨10分後の撥水度は5級であつたが、1時間後の撥水度は3級であり、撥水度の降雨耐久性の低いものであった。得られた測定値を表1に示す。
【0060】
[比較例2]
実施例2と同様に加工し、微多孔質皮膜積層品を得た。その後、実施例2の処方1による加工は施さずに、160℃で3分間熱処理し比較用撥水性透湿防水布帛を得た。
【0061】
ブンデスマン降雨10分後の撥水度は5級であつたが、1時間後の撥水度は3級であり、撥水度の降雨耐久性の低いものであった。得られた測定値を表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 2004256939
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、耐久性に優れた撥水性を有する布帛を得ることができ、特に、長時間水にさらされる場合の実用性の高い撥水性能を得ることができる。

Claims (11)

  1. 撥水処理された布帛であって、該布帛表面に高さが0.01〜10.0μmの凸部を有することを特徴とする撥水性布帛。
  2. 布帛50μm四方に、凸部が5個以上存在することを特徴とする請求項1記載の撥水性布帛。
  3. 撥水処理された布帛であって、該布帛表面に0.01〜10.0μmの微粒子が固着されたことを特徴とする撥水性布帛。
  4. 微粒子が疎水性樹脂で固着されたことを特徴とする請求項3記載の撥水性布帛。
  5. 布帛50μm四方に、微粒子が5個以上存在することを特徴とする請求項3または4に記載の撥水性布帛。
  6. 微粒子の量が布帛に対し、0.1〜3.0g/mの範囲内である請求項3〜5のいずれかに記載の撥水性布帛。
  7. 微粒子が疎水性微粒子である請求項3〜6のいずれかに記載の撥水性布帛。
  8. JIS規格L−1092(雨試験ブンデスマン法)による降雨1時間後の撥水度が4級以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の撥水性布帛。
  9. 布帛の片面に透湿防水性皮膜が積層された請求項1〜8のいずれかに記載の撥水性布帛。
  10. JIS L 1099(A−1法)の透湿度が4,000g/m・24時間以上であり、かつ、耐水圧が9.8kpa以上である請求項9に記載の撥水性布帛。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の撥水性布帛を用いてなる衣料。
JP2003046975A 2003-02-25 2003-02-25 撥水性布帛およびそれを用いた衣料 Pending JP2004256939A (ja)

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