JP5183980B2 - 防水布帛およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、防水布帛およびその製造方法に関する。
透湿性防水布帛は、湿気を通過させるが、雨等の水の浸入を防止する素材として、合羽、スキーウエアー、ウインドブレーカーをはじめ、テント、靴材等といった身の回りの様々な物品に使用されている。
透湿性防水布帛としては、例えば、繊維布帛の片面に無孔質のウレタン樹脂皮膜を貼り合わせて得られた防水布帛(特許文献1参照)等が知られている。
ところで、透湿性防水布帛を用いた衣服を着用する場合、激しい運動条件下では、透湿性防水布帛の内側(身体側)の無孔質膜面上に、汗または汗からの蒸気による結露水等の水分が付着し、この水分が着用者の肌に転着して、快適さが損なわれることがある。特にこの現象は、透湿性がほとんどない防水布帛を用いた衣服において顕著に見受けられる。
透湿性防水布帛の透湿性の度合いは、透湿度で表すことができる。透湿度の測定には、主に酢酸カリウム法(JIS L1099−1993B−1法)が用いられる。一般に、酢酸カリウム法で測定された透湿度が高いほど、衣服の内側の結露を低減する効果に優れる。
このような結露を低減する効果に優れた透湿性防水布帛としては、水膨潤性の無孔質膜を有する透湿性防水布帛が知られており、幅広く実用化されている。
国際公開第99/20465号パンフレット
ところで、人間の肌の表面は弱酸性に維持されている。肌の表面が弱酸性に維持されることにより、細菌の増殖の抑制効果、皮膚の蛋白質をひきしめる効果等があるとされている。ゆえに、人の肌にpH4.0未満の酸性あるいはpH7.0を超えるアルカリ性の水分が付着すると、肌の酸性度のバランスが崩れ、肌ストレスや肌荒れの原因となる恐れがある。
同時に、このような透湿性防水布帛には、激しい運動によって生じる衣服内の湿気を衣服の外部に速やかに放出し、かつ、衣服の内側に結露した水分を速やかに吸収して衣服の外部に放出する高い透湿性を備えていることが望まれる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであって、透湿性防水布帛を含めた防水布帛において、衣服の内側の湿度および結露を低減することで優れた透湿性を示し、かつ湿潤時に人の肌に優しいpH4.0〜7.0を維持する防水布帛およびその製造方法を目的とする。
前記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
繊維布帛の少なくとも片面に、無孔質膜と樹脂皮膜を有する樹脂層が形成された防水布帛であって、前記無孔質膜に、ウレタン樹脂と、両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子とが含まれ、前記樹脂皮膜は前記微粒子を含まない無孔質であり、湿潤時にpH4.0〜7.0を示すことを特徴とする防水布帛。
前記無孔質膜を形成するウレタン樹脂100質量部に対し、前記微粒子が0.5〜50質量部含まれることが望ましい
前記微粒子の平均粒子径が、0.05〜5μmであることが望ましい
酢酸カリウム法による透湿度が15000g/m2・24hrs以上であることが望ましい
耐水圧が100kPa以上であることが望ましい
離型紙上に、両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子を含むウレタン樹脂溶液を塗布して無孔質膜を形成し、該無孔質膜上に前記微粒子を含まない無孔質の樹脂皮膜を形成した後、ウレタン系接着剤を塗布し、この上に繊維布帛を貼り合わせることを特徴とする防水布帛の製造方法。
本発明の防水布帛によると、湿潤時に人の肌に優しいpH4.0〜7.0を維持できる。また、無孔質膜が水膨潤性を有するウレタン樹脂である場合には、優れた透湿性も発揮する。
本発明の防水布帛の製造方法によると、湿潤時に人の肌に優しいpH4.0〜7.0を維持できる防水布帛を製造できる。
本発明の防水布帛は、繊維布帛の少なくとも片面に、無孔質膜を有する樹脂層が形成された防水布帛であって、前記無孔質膜に、ウレタン樹脂と、両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子とが含まれ、湿潤時にpH4.0〜7.0を示すことを特徴とする。
繊維布帛の素材としては、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン、アセテート、レーヨン、ポリ乳酸等の化学繊維、または、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維やこれらの混繊、混紡、交織品等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、繊維布帛は織物、編物、不織布等、いかなる形態であってもよい。さらに、繊維布帛には、染色、捺染をはじめ、制電加工、撥水加工、抗菌防臭加工、制菌加工、紫外線遮蔽加工等を施してあってもよい。
樹脂層を形成する無孔質膜の厚みは、1〜50μm程度が好ましく、3〜30μmがより好ましい。無孔質膜の厚みが1μm未満であると、防水性が低下する。50μmを超えると、得られる防水布帛の風合が硬くなる。
無孔質膜はウレタン樹脂を主体に形成されている。ウレタン樹脂は、エーテル系、エステル系、エーテル・エステル系いずれであってもよいが、エーテル系、エーテル・エステル系が好ましい。
エーテル系、エーテル・エステル系のウレタン樹脂は、水膨潤性を有するウレタン樹脂である。水膨潤性を有するウレタン樹脂は、着用時に衣服内に生じた汗などの水滴を吸収し易いことから、湿潤時にpH4.0〜7.0を安定して示しやすく、かつ優れた透湿性を有している。
水膨潤性を有するウレタン樹脂は、ウレタン樹脂を構成するポリオール成分がポリエチレンエーテルグリコール基を含むことから親水性を示し、水と接触すると、樹脂中に水を吸収して膨潤する性質を有する。したがって、水膨潤性を有するウレタン樹脂を用いた防水布帛は、結露した水分が無孔質膜の中に吸収されるため、結露が生じにくくなる。
なお、無孔質膜を有する樹脂層を繊維布帛の少なくとも片面に形成させる際に、樹脂層と、繊維布帛とを接着剤を用いて貼り合せる場合には、その接着剤についても、親水基を有するエーテル系、エーテル・エステル系のウレタン系接着剤を用いるのが好ましい。このような水膨潤性のウレタン樹脂および、ウレタン系接着剤は市販品を入手することができる。
両性金属の酸化物および/または前記二酸化ケイ素の微粒子の平均粒子径は、0.05〜5μmであることが好ましい。微粒子の平均粒子径が前記範囲を下回ると、微粒子の製造が困難であり、平均粒子径が前記範囲を超えると、耐水圧が低下する原因となる。ここで、両性金属とは、酸にもアルカリにも反応する金属のことをいい、アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛が挙げられる。
両性金属の酸化物の微粒子としては、酸化亜鉛や酸化アルミニウムが市販されている。酸化亜鉛は湿潤時に弱酸性を示しにくいため、酸性を示す酸化アルミニウム(Al)の微粒子が好ましい。
酸化アルミニウムの微粒子は、1μm以下の平均粒子径を有する市販品があり、本発明ではそれら市販品を用いてもよい。酸化アルミニウムの微粒子には、湿式法、乾式法で製造されたものがあるが、本発明ではどちらを用いてもよい。なお、酸化アルミニウムの微粒子は凝集していることが多いため、無孔質膜に均一に分散させるために、ジメチルホルムアミド溶剤、ビヒクルとしてのウレタン樹脂、分散剤等を配合し、ディパーサー等でプレミックスし、さらに、サンドミル、三本ロールミル、ビーズビル等で粉砕し、平均粒子径を0.05〜5μmに調製したものを使用するのが好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子は市販されており、本発明ではそれら市販品を用いてもよい。二酸化ケイ素の微粒子には、湿式法、乾式法で製造されたものがあるが、本発明ではどちらを用いてもよい。
また、二酸化ケイ素の微粒子には、無孔質系と多孔質系が存在するが、本発明では無孔質系が好ましく用いられる。
また、二酸化ケイ素の微粒子の表面は親水性であってもよく、メチル基、トリメチルシリル基、ジメチルシリコーン基等で疎水化処理されていてもよい。
なお、二酸化ケイ素の微粒子は凝集していることが多いため、無孔質膜に均一に分散させるために、酸化アルミニウムの微粒子の調製と同様に、二酸化ケイ素の微粒子をジメチルホルムアミド溶剤等に分散したものを使用するのが好ましい。
人の肌にpH4.0未満の酸性あるいはpH7.0を超えるアルカリ性の液体が付着すると、肌の酸性度のバランスが崩れ、肌ストレスや肌荒れの原因となる恐れがあるが、本発明の防水布帛は、無孔質膜に前記微粒子を含んでいるため、無孔質膜の表面が、湿潤時に人の肌に優しいpH4.0〜7.0を示すことができる。これは、前記微粒子が湿潤状態で弱酸性の性質を有するためと考えられる。
前記微粒子の含有量は、無孔質膜を形成するウレタン樹脂100質量部に対し、質量比で0.5〜50質量部が好ましい。より好ましくは、1〜50質量部である。前記範囲内であれば、防水布帛に付着した水分がpH4.0〜7.0を示しやすい。
樹脂層は、無孔質膜のみを有していてもよいが、前記微粒子を含まない樹脂皮膜との多層構造であってもよい。なお、多層構造の樹脂層が形成された防水布帛の場合、無孔質膜と、前記微粒子を含まない樹脂皮膜のどちらが表層であってもよいが、樹脂層の表面をpH4.0〜7.0に維持する観点からは、無孔質膜が表層であるのが好ましい。
前記微粒子を含まない樹脂皮膜としては、ウレタン樹脂皮膜、ポリテトラフルオロエチレン樹脂皮膜、ポリエステル樹脂皮膜、ポリアミド樹脂皮膜を挙げることができる。中でも、得られる防水布帛の透湿性、湿潤時にpH4.0〜7.0を示しやすいことから、水膨潤性を有したウレタン樹脂皮膜が好ましい。なお、前記微粒子を含まない樹脂皮膜は、無孔質であってもよく、多孔質であってもよい。
無孔質膜のみを有した樹脂層が形成された防水布帛において、耐水圧が100kPa程度で不十分である場合、微粒子を含まない水膨潤性のウレタン樹脂皮膜をさらに積層することによって、例えば、200kPa以上の十分な耐水圧を得ることができる。
樹脂層の表面には、意匠性の価値の向上、滑り性の向上等を目的として、グラビア柄模様、スリット模様等の模様を有していてもよい。模様は、樹脂層の全面に設けられていてもよいが、意匠性や滑り性が必要な箇所等に対して、点状、線状、局所的に設けられていてもよい。
本発明の防水布帛は、透湿性も有する透湿性防水布帛であるとよく、酢酸カリウム法による透湿度が15000g/m・24hrs以上であるとよい。透湿度が15000g/m・24hrs以上であると、衣服として用いた場合にムレを抑制するとともに、万が一、繊維布帛が湿潤した場合においても、pH4.0〜7.0に安定して保つことができる。なお、本発明の防水布帛の酢酸カリウム法による透湿度の上限は、用いる繊維布帛の種類、樹脂層の構成によっても異なるが、50000g/m・24hrs程度である。ここで、酢酸カリウム法による透湿度とは、JIS L1099−1993B−1法にて測定した値を24時間当りの透湿量に換算したものをいう。
また、本発明の防水布帛は、防水性の指標となる耐水圧が100kPa以上であるとよい。また、本発明の防水布帛の耐水圧の上限は、繊維布帛の種類、樹脂層の構成等によって異なるが、400kPa程度が目安である。なお、耐水圧はJIS L1092−1998耐水度試験(静水圧法)B法(高水圧法)に準じて測定することができる。水圧をかけることにより試験片が伸びる場合には、試験片の上にナイロンタフタ(2.54cm当りのたて糸とよこ糸の密度の合計が210本程度のもの)を重ねて、試験機に取り付けて測定を行う。
次に、本発明の防水布帛の製造方法を説明する。
透湿性防水布帛を含めた本発明の防水布帛の製造方法は、離型紙上に、両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子を含むウレタン樹脂溶液を塗布した後、ウレタン系接着剤を塗布し、この上に繊維布帛を貼り合わせることを特徴とする。
本発明の防水布帛の製造方法として、さらに詳しくは、ドライラミネート法と、ウエットラミネート法が例示できる。
ドライラミネート法は、まず、両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子を含むウレタン樹脂溶液を離型紙上に塗布し、乾燥させて、無孔質膜を形成する。次いで、得られた無孔質膜上に、ウレタン系接着剤を塗布し、乾燥させる。さらに、繊維布帛と貼り合わせ、熱圧着することで、繊維布帛の表面に樹脂層を有した防水布帛を製造する。
ウエットラミネート法は、ウレタン系接着剤を乾燥せずに繊維布帛を貼り合わせる方法である。すなわち、両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子を含むウレタン樹脂溶液を離型紙上に塗布し、乾燥させ、無孔質膜を形成する。次いで、得られた無孔質膜上に、ウレタン系接着剤を塗布し、該接着剤が乾燥しないうちに、繊維布帛と貼り合わせることで、繊維布帛の表面に樹脂層を有した防水布帛を製造する。
繊維布帛に塗布するウレタン樹脂溶液は、ウレタン樹脂と、両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子とが含まれる溶液である。ウレタン樹脂は、好ましくは水膨潤性のウレタン樹脂が用いられる。さらに、材料の分散性をよくするために、ジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、メチルエチルケトン等を主体とした有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒は1種で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、前記微粒子は、両性金属の酸化物の微粒子または二酸化ケイ素の微粒子を単独で用いてもよく、両方を混合して用いてもよい。
さらに、ウレタン樹脂溶液中には、顔料等の着色剤、ポリイソシアネート系架橋剤、触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
また、ウレタン系接着剤には、好ましくは水膨潤性のウレタン系接着剤が用いられる。
繊維布帛には、必要に応じて、精練、染色、捺染、制電加工、撥水加工、抗菌防臭加工、制菌加工、紫外線遮蔽加工、カレンダー加工等を施してもよい。
ウレタン樹脂溶液を離型紙上に塗布するには、ナイフコータ、バーコータ、コンマコータ等を用いればよい。
樹脂層は、無孔質膜のみであってもよいが、必要に応じて、さらに微粒子を含まない樹脂皮膜を積層して多層構造の樹脂層を形成してもよい。無孔質膜への微粒子を含まない樹脂皮膜の積層は、例えば、無孔質膜上に該樹脂皮膜の樹脂溶液を塗布して、乾燥させることにより形成できる。
樹脂層上への接着剤の塗布には、ナイフコータ、バーコータ、コンマコータ、グラビアコータ等を用いることができる。
また、樹脂層と繊維布帛とを貼り合わせた後に、必要に応じて、撥水加工、制電加工、撥水加工、抗菌防臭加工、制菌加工、紫外線遮蔽加工、カレンダー加工を行ってもよい。
樹脂層の表面に、意匠性や滑り性向上のためグラビア柄模様、スリット模様等の模様を形成する場合には、樹脂層上にグラビアコータやスクリーン捺染機を用いて、点状、線状、菱形等、所望の模様となるようにウレタン樹脂溶液等を塗布して、乾燥させればよい。
このようにして製造される本発明の防水布帛は、防水布帛の樹脂層表面が結露等により湿潤した場合でも、樹脂層表面に付着した水分がpH4.0〜7.0を示す。したがって、この水分が人の肌に転着しても、肌荒れを生じさせる心配がなく、人の肌に優しい。
また、本発明の防水布帛は、優れた防水性に加えて、衣服の内側の湿度および結露を低減する優れた透湿性を有している。
よって、本発明の防水布帛をウインドブレーカー、コート、ジャケット、スキーウエアー、スノーボードウエアー、テント等に用いれば、使用者に快適な環境を提供することができる。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、例中の「部」は質量部である。
以下の実施例における評価は、次の方法で行った。
(防水布帛のpH)
JIS L1096 8.40.1−1999により測定した。
(透湿度)
酢酸カリウム法:JIS L1099−1993B−1にて測定した。
なお、24時間当りの透湿量に換算した。
(耐水圧)
JIS L1092−1998耐水度試験(静水圧法)B法(高水圧法)に準じた方法で測定した。水圧をかけることにより試験片が伸びて測定しにくい場合には、試験片の上にナイロンタフタ(2.54cm当りのたて糸とよこ糸の密度の合計が210本程度のもの。)を重ねて、試験機に取り付けて測定を行った。
また、各実施例で用いたウレタン樹脂の水膨潤度は、次の方法で求められた。
(水膨潤度)
離型紙の上にウレタン樹脂溶液を0.08mmの厚みで塗布し、120℃で3分間乾燥し、18時間経過後、得られた無孔質膜を離型紙から剥離し、5×5cmの大きさに切り取って試験片とし、その質量を測定した。次いで、ウレタン樹脂の試験片を、水道水に5分間浸漬した後、取り出して、再度、質量を測定した。そして、水道水に浸漬する前と後における質量の増加率を求めて、水膨潤度とした。ウレタン系接着剤の水膨潤度も同様にして測定した。
<実施例1>
ナイロンタフタ(繊維太さ:たて糸83デシテックス/72フィラメント、よこ糸83デシテックス/72フィラメント。繊維密度:たて糸114本/2.54cm、よこ糸92本/2.54cm。)を酸性染料で黒色に染色した。次いで、このナイロンタフタに、フッ素系撥水剤アサヒガ−ドAG710(旭硝子(株)製)を用いて撥水加工を施し、繊維布帛とした。
次いで、離型紙上に、下記原料を混合した樹脂溶液を、コンマコ−タを用いてスリット0.1mmで塗布し、120℃にて乾燥して、厚さ7μmの無孔質膜を得た。
[樹脂溶液の原料(無孔質膜用)]
エ−テル系ポリウレタン樹脂(固形分30%、水膨潤度85%) 100部
酸化アルミニウム分散品 20部
(平均一次粒子径13nm、分散後平均粒子径0.4μm、固形分15%)
メチルエチルケトン 30部
白色顔料 8部
次いで、無孔質膜上に、下記原料を混合した樹脂溶液(ウレタン系接着剤)を、コンマコ−タを用いてスリット0.08mmで塗布し、120℃で2分間乾燥した。
[樹脂溶液の原料(ウレタン系接着剤用)]
エ−テル・エステル系ポリウレタン樹脂(固形分45%、水膨潤度30%)
100部
トルエン 30部
イソシアネ−ト系架橋剤 9部
有機錫系触媒 1部
次いで、このウレタン系接着剤の塗布面に繊維布帛を重ね合わせてから、熱圧着により貼り合わせ、その後、60℃にて72時間エ−ジングを行った(ドライラミネート法)。
次いで、離型紙を剥離し、無孔質膜を有する樹脂層が形成された実施例1の防水布帛を得た。この防水布帛の透湿度、耐水圧を測定した結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1で用いた無孔質膜用の樹脂溶液の代わりに、下記の原料を混合した無孔質膜用の樹脂溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の防水布帛を得た。この防水布帛の透湿度、耐水圧を測定した結果を表1に示す。
[樹脂溶液の原料(無孔質膜用)]
エ−テル系ポリウレタン樹脂(固形分30%、水膨潤度85%) 100部
二酸化ケイ素分散品 15部
(平均一次粒子径16nm、分散後平均粒子径0.3μm、固形分14%)
メチルエチルケトン 30部
白色顔料 8部
<実施例3>
ポリエステルタフタ(繊維太さ:たて糸83デシテックス/72フィラメント、よこ糸83デシテックス/72フィラメント。繊維密度:たて糸114本/2.54cm、よこ糸92本/2.54cm。)を分散染料で青色に染色した。次いで、このポリエステルタフタに、フッ素系撥水剤アサヒガ−ドAG710(旭硝子(株)製)を用いて撥水加工を施し、繊維布帛とした。
次に、離型紙上に、下記原料を混合した樹脂溶液を、コンマコ−タを用いてスリット0.08mmで塗布し、120℃にて乾燥して、酸化アルミニウムの微粒子を含む厚さ7μmの無孔質膜を形成した。
[樹脂溶液の原料(無孔質膜用)]
エ−テル系ポリウレタン樹脂(固形分30%、水膨潤度85%) 100部
酸化アルミニウム分散品 25部
(平均一次粒子径13nm、分散後平均粒子径0.4μm、固形分15%)
メチルエチルケトン 30部
白色顔料 8部
次いで、無孔質膜上に、酸化アルミニウムの微粒子を含まない下記の原料を混合した樹脂溶液を0.07mmのスリットで塗布して、乾燥させて樹脂皮膜を形成した。
[樹脂溶液の原料(樹脂皮膜用)]
エ−テル系ポリウレタン樹脂(固形分30%、水膨潤度70%) 100部
メチルエチルケトン 30部
白色顔料 8部
次いで、ウレタン系接着剤用の下記原料を混合した樹脂溶液を、コンマコ−タを用いて樹脂皮膜上にスリット0.07mmで塗布し、120℃で2分間乾燥した。
[樹脂溶液の原料(ウレタン系接着剤用)]
エ−テル・エステル系ポリウレタン樹脂 100部
(固形分45%、水膨潤度30%)
トルエン 30部
イソシアネ−ト系架橋剤 9部
有機錫系触媒 1部
このウレタン系接着剤の塗布面に、前記繊維布帛を重ね合わせてから、熱圧着により貼り合わせ、その後、60℃にて72時間のエ−ジングを行った。
次に、離型紙を剥離して、前記無孔質膜と、前記樹脂皮膜との多層構造の樹脂層が形成された実施例3の防水布帛を得た。なお、この防水布帛は、無孔質膜が樹脂層の表層側となる。この防水布帛の透湿度、耐水圧を測定した結果を表1に示す。
<実施例4>
無孔質膜およびウレタン系接着剤に用いるウレタン樹脂として、下記の水膨潤性のないウレタン樹脂を配合した樹脂溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4の防水布帛を得た。この防水布帛の透湿度、耐水圧を測定した結果を表1に示す。
[樹脂溶液の原料(無孔質膜用)]
エステル系ポリウレタン樹脂(固形分30%) 100部
酸化アルミニウム分散品 20部
(平均一次粒子径13nm、分散後平均粒子径0.4μm、固形分15%)
メチルエチルケトン 30部
[樹脂溶液の原料(ウレタン系接着剤用)]
エステル系ポリウレタン樹脂(固形分45%) 100部
ジメチルホルムアミド 30部
トルエン 30部
イソシアネ−ト系架橋剤 12部
有機錫系触媒 2部
<比較例1>
実施例1で用いた無孔質膜用の樹脂溶液の代わりに、前記微粒子を含まない下記の原料を混合した無孔質膜用の樹脂溶液に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1の防水布帛を得た。この防水布帛の透湿度、耐水圧を測定した結果を表1に示す。
[樹脂溶液の原料(無孔質膜用)]
エーテル系ポリウレタン樹脂(固形分30%、水膨潤度85%) 100部
メチルエチルケトン 30部
白色顔料 8部
Figure 0005183980
(評価)
比較例1の防水布帛は、表面に付着した水分がpH7.1を示した。一方、実施例1〜4の防水布帛は、その表面に付着した水分がいずれも弱酸性を示した。これにより、無孔質膜中に両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子を含むことで、人の肌に優しい防水布帛が得られることが確認された。特に、二酸化ケイ素を含んだ実施例2はpH6.0を示し、樹脂層が多層構造を有し、酸化アルミニウムの微粒子を含んだ実施例3の防水布帛はpH5.8を示したことから、これらの防水布帛を用いれば、湿潤時に弱酸性となる特に優れた防水布帛が得られることが示唆された。
また、耐水圧においては、各実施例ともに良好であったが、特に、多層構造を有した実施例3の防水布帛は優れた耐水圧を示した。これにより、本発明の防水布帛は優れた防水性を有することが確認され、さらに、高い耐水圧(優れた防水性)を必要とする場合には、樹脂層を多層構造とすることで、特に優れた耐水圧を有した防水布帛を得られることが確認された。

Claims (6)

  1. 繊維布帛の少なくとも片面に、無孔質膜と樹脂皮膜を有する樹脂層が形成された防水布帛であって、前記無孔質膜に、ウレタン樹脂と、両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子とが含まれ、前記樹脂皮膜は前記微粒子を含まない無孔質であり、
    湿潤時にpH4.0〜7.0を示すことを特徴とする防水布帛。
  2. 前記無孔質膜を形成するウレタン樹脂100質量部に対し、前記微粒子が0.5〜50質量部含まれることを特徴とする請求項1に記載の防水布帛。
  3. 前記微粒子の平均粒子径が、0.05〜5μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の防水布帛。
  4. 酢酸カリウム法による透湿度が15000g/m2・24hrs以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防水布帛。
  5. 耐水圧が100kPa以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防水布帛。
  6. 離型紙上に、両性金属の酸化物および/または二酸化ケイ素の微粒子を含むウレタン樹脂溶液を塗布して無孔質膜を形成し、該無孔質膜上に前記微粒子を含まない無孔質の樹脂皮膜を形成した後、ウレタン系接着剤を塗布し、この上に繊維布帛を貼り合わせることを特徴とする防水布帛の製造方法。
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