JP2003306870A - 引裂強力の優れた透湿防水性コーティング布帛 - Google Patents

引裂強力の優れた透湿防水性コーティング布帛

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JP2003306870A
JP2003306870A JP2002109245A JP2002109245A JP2003306870A JP 2003306870 A JP2003306870 A JP 2003306870A JP 2002109245 A JP2002109245 A JP 2002109245A JP 2002109245 A JP2002109245 A JP 2002109245A JP 2003306870 A JP2003306870 A JP 2003306870A
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Yoshiaki Kijima
由明 來島
Kiyoshi Nakagawa
清 中川
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Unitika Fibers Ltd
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Unitika Fibers Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透湿性と防水性はもちろんのこと、従来のコ
ーティング布帛では不可能であった優れた引裂強力をも
有する透湿防水性コーティング布帛を提供する。 【解決手段】 繊維布帛上に、第1層としてアクリル樹
脂とポリウレタン樹脂との混合樹脂からなる乾燥樹脂膜
質量が8g/m2 未満の無孔質膜、第2層としてポリウ
レタン樹脂を主体とする乾燥樹脂膜質量が8〜25g/m
2 の微多孔質膜を形成している引裂強力の優れた透湿防
水性コーティング布帛。この布帛は、 20kPa以上の耐
水圧と、4000g/m2 ・24hrs 以上の透湿度を有する
ことが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、雨衣、外衣、登山
衣等の各種衣料用として用いられる透湿防水性能の優れ
たコーティング布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透湿性と防水性を併せ持つ透湿防水布帛
は、身体からの発汗による水蒸気を衣服外へ放出する機
能と、雨が衣服内に進入するのを防ぐ機能を有してお
り、これらの機能を付与するために、糸を高密度に織り
込んだ高密度織物や、ポリウレタン系樹脂、ポリアミノ
酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポ
リテトラフルオロエチレン樹脂などを布帛にコーティン
グ又はラミネートしたものがよく知られている。これら
は、スポーツ衣料や防寒衣料などに使用され、その中で
も運動に伴う発汗量の比較的多いスポーツやアウトドア
衣料分野に多く用いられており、スキー、アスレチッ
ク、登山分野では必要不可欠な素材となっている。
【0003】近年、携帯性の面などから素材の軽量化が
図られ、基材に使用される原糸構成が78デシテックス以
下と細くなってきており、この基材で透湿防水布帛を構
成した場合、引裂強力が問題視されている。このような
状況の中で、一般的にコーティングタイプは、繊維布帛
に樹脂液をダイレクトに塗布する性質上、ラミネートタ
イプ、特に非全面接着タイプに比較して、引裂強力に対
しかなり不利な面を有しており、たとえ繊維布帛に撥
水、目潰しを行って樹脂液の浸透を抑えたとしても、あ
るいは樹脂風合いをソフトにしたとしても、一定レベル
の防水性、例えば20kPa 以上の耐水圧を所望する場合、
通常樹脂塗布量が20g/m2 以上の厚塗りが必要となる
ため、引裂強力の極端な低下を招く結果となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑みて行われたもので、優れた引裂強力と透湿防
水性能とを有する引裂強力の優れた透湿防水性コーティ
ング布帛を提供することを技術的な課題とするものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するもので、次の構成を要旨とするものである。 (1) 繊維布帛上に、第1層としてアクリル樹脂とポリウ
レタン樹脂との混合樹脂からなる乾燥樹脂膜質量が8g
/m2 未満の無孔質膜、第2層としてポリウレタン樹脂
を主体とする乾燥樹脂膜質量が8〜25g/m2 の微多孔
質膜を形成してなることを特徴とする引裂強力の優れた
透湿防水性コーティング布帛。 (2)20kPa以上の耐水圧と、4000g/m2 ・24hrs 以
上の透湿度を有することを特徴とする上記(1) 記載の引
裂強力の優れた透湿防水性コーティング布帛。 (3) 上記(1) 記載の透湿防水性コーティング布帛の微多
孔質膜からなる第2層上に、第3層としてポリウレタン
樹脂を主体とする乾燥樹脂膜質量が1〜10g/m 2 の無
孔質膜を形成してなることを特徴とする引裂強力の優れ
た透湿防水性コーティング布帛。 (4)100k Pa以上の耐水圧と、3000g/m2 ・24hrs
以上の透湿度を有することを特徴とする上記(3) 記載の
引裂強力の優れた透湿防水性コーティング布帛。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
を行う。本発明で用いられる繊維布帛としては、ナイロ
ン6やナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊
維、ポリエチレンテレフタレート(PET)で代表され
るポリエステル系合成繊維、ポリアクリルニトリル系合
成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維、トリアセテ
ートなどの半合成繊維あるいはナイロン6/木綿、PE
T/木綿等の混合繊維からなる織物、編物、不織布など
を挙げることができる。
【0007】本発明では、上記の繊維布帛に撥水剤処理
を施したものを用いてもよい。これは、透湿防水布の製
造時に樹脂溶液の布帛内部への浸透を防ぐための一手段
である。この場合の撥水剤としては、パラフィン系撥水
剤やポリシロキサン系撥水剤、フッ素系撥水剤などの公
知のものを使用すればよく、その処理も、一般に行われ
ているパディング法、スプレー法など公知の方法でよ
く、特に良好な撥水性を必要とする場合にはフッ素系撥
水剤を使用し、例えばアサヒガード730(旭硝子株式
会社製、フッ素系撥水剤エマルジョン)を5%の水分散
液でパディング(絞り率35%)した後、160℃で1
分の熱処理を行う方法などによって行えばよい。
【0008】本発明の布帛では、上記繊維布帛上に第1
層としてアクリル樹脂とポリウレタン樹脂との混合樹脂
からなる乾燥樹脂膜質量が8g/m2 未満、好ましくは
1〜5g/m2 の無孔質膜が形成されている。
【0009】この第1層の形成は、アクリル樹脂とポリ
ウレタン樹脂との混合樹脂からなる合成重合体溶液を乾
燥樹脂膜質量が8g/m2 未満となるように塗布し、乾
燥により樹脂膜を形成させる乾式製膜を行うのが好まし
い。乾燥樹脂膜質量が8g/m2 以上になると、樹脂量
が多くなって基布内部への樹脂浸透が大きくなること
で、基布内部との密着性の向上などによる引裂強力の低
下、並びに透湿性の低下を招くので好ましくない。繊維
布帛に塗布するに際しては、ナイフコータ、リバースコ
ータなどのコーティング法、あるいはグラビアコーティ
ング法、プリント法などの一般的な塗布方式を用いて行
えばよい。
【0010】第1層を形成するアクリル樹脂は、主とし
てアクリル酸、メタクリル酸、又はこれらの誘導体の重
合体からなっていれば何れでもよく、例えばアクリル酸
メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのア
クリル酸エステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル、メタリル酸ブチルなどのメタクリル酸エステル
を主成分とした重合体を用いる。
【0011】また、ポリウレタン樹脂は、ポリイソシア
ネートとポリオールを反応せしめて得られる共重合体で
あり、イソシアネート成分として芳香族ジイソシアネー
ト、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネー
トの単独又はこれらの混合物を用い、例えば、トリレン
2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネー
ト、1,4−シクロヘキサンジイソシアネートなどを主
成分として用い、必要に応じ3官能以上のイソシアネー
トを使用してもよい。
【0012】また、ポリオール成分としては、ポリエー
テルポリオール、ポリエステルポリオールを用い、ポリ
エーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール等を用い、ポリエステルポリオールとし
ては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコ
ールなどのジオールとアジピン酸、セバチン酸などの2
塩基酸との反応生成物やカプロラクトンなどの開環重合
物を用いる。さらに、本発明では、アクリル樹脂との相
溶性を高めるために上記ポリウレタン樹脂成分にアクリ
ル成分を共重合させた所謂アクリル変性ポリウレタン樹
脂を用いてもよい。上記アクリル樹脂とポリウレタン樹
脂は、溶剤型、W/O型エマルジョン、水溶性のいずれ
のタイプでもよいが、粘性的にはチクソトロピック性の
強い樹脂系が、基布内部への樹脂浸透が少ないので好ま
しい。
【0013】また本発明でいうアクリル樹脂とポリウレ
タン樹脂との混合樹脂とは、アクリル樹脂(A)とポリ
ウレタン樹脂(B)との混合比率(質量比)が(A)/
(B)=95/5〜40/60 の範囲にあることが好ましい。こ
こで、アクリル樹脂の比率が95を超えると、得られるコ
ーティング布帛の引裂強力の向上効果は認められるもの
の、第2層として形成させるポリウレタン多孔質膜との
接着性が弱くなり、高度の防水性が望めなくなるので好
ましくない。また、アクリル樹脂の比率が40より小さい
と、第1層を形成する無孔質膜樹脂が加工中に布帛内部
に深く浸透し、得られるコーティング布帛の引裂強力の
向上が認められない場合があり、好ましくない。
【0014】さらに、上記混合樹脂には、本発明の目的
である引裂強力の向上を阻害しない範囲であれば、その
他の添加物として、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチ
レン、ポリブタジエンなどやこれらの共重合体、フッ素
やシリコンなどで変性した化合物や紫外線吸収剤、耐候
剤、顔料などを使用してもよい。
【0015】上述のアクリル樹脂とポリウレタン樹脂主
体との混合樹脂の溶媒としては、メチルエチルケトン、
酢酸エチル、トルエン、N, N−ジメチルホルムアミド、
イソプロピルアルコール、水など何れでもよいが、用い
る基材内部への樹脂溶液の浸透性、加工コストからみ
て、揮発性の高いメチルエチルケトン、酢酸エチル、ト
ルエンなどを主溶媒とする方が好ましい。
【0016】本発明の布帛では、繊維布帛上に第1層と
してアクリル樹脂とポリウレタン樹脂との混合樹脂から
なる無孔質膜が形成されているが、第1層上に第2層と
してポリウレタン樹脂を主体とする乾燥樹脂膜質量が8
〜25g/m2 、好ましくは10〜20g/m2 の微多孔質膜
が形成されており、布帛の耐水圧が20k Pa以上、透湿
度が4000g/m2 ・24hrs 以上であることが特に好ま
しい。
【0017】この第2層の形成は、上記第1層上にポリ
ウレタン樹脂を主体とする合成重合体溶液を湿式製膜す
るのが好ましい。湿式製膜の際には、ポリウレタン樹脂
を主体とする合成重合体溶液を乾燥樹脂膜質量が8〜25
g/m2 となるように塗布した後、5 〜30℃の水で樹脂
凝固し、30〜80℃の温水で湯洗、乾燥を行い、微多孔膜
を形成すればよい。乾燥樹脂膜質量が8g/m2 未満で
は、20k Pa以上の耐水圧を得ることが困難であり、25
g/m2 を超えると、得られる布帛の引裂強力の低下を
生じやすい。第2層を形成するための樹脂溶液の塗布に
際しては、前述の第1層形成時と同様にナイフコータ、
コンマコータ、リバースコータなどを用いてコーティン
グを行えばよい。
【0018】第2層を形成するために用いるポリウレタ
ン樹脂を主体とする合成重合体は、第1層用と同様のポ
リイソシアネートとポリオールを反応せしめて得られる
共重合体でよいが、重合体の溶媒としては、湿式製膜に
適したN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロ
リドンなどの極性有機溶媒を主体とした樹脂溶液とし、
樹脂粘性としてはニュートン粘性に近いものが、樹脂液
の流動性、得られるコーティング品位、透湿防水性能か
らみて、好適に用いられる。
【0019】ここでいうポリウレタン樹脂主体の合成重
合体とは、ポリウレタン樹脂のみからなるものやポリウ
レタン成分を50%以上含むものをいい、ポリウレタン
樹脂以外の合成重合体を含む場合の合成重合体として
は、例えば、ポリアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリス
チレン、ポリブタジエン、ポリアミノ酸などやこれらの
共重合体等が挙げられ、勿論、フッ素やシリコンなどで
変性した化合物も使用することができる。
【0020】本発明において、布帛の透湿性をさらに向
上させたいときは、第2層を形成するさいに使用するポ
リウレタン樹脂溶液に、平均粒径が1μm以下で、かつ
N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が 200ミリリッ
トル/100g以上の無機微粉末を含有させて、湿式製
膜を行うことが好ましい。
【0021】本発明でいう無機微粉末としては、通常の
湿式粉砕法やボールミル粉砕法で微粉化された無機微粉
末や、ハロゲン化金属の気相酸化法、燃焼加水分解法、
電弧法などの乾式法によって得られる金属酸化物微粉末
を挙げることができ、中でもこれらの方法により製造さ
れる二酸化珪素微粉末を代表として挙げることができ
る。これらの方法により得られた微粉末は、一般的に粒
径が0.1μm以下であると同時に、非常に多いN,N
−ジメチルホルムアミド吸着量を有し、合成重合体樹脂
溶液に添加する無機微粉末として好適であり、また、こ
の微粉末は、実質的に無孔であることが好ましい。
【0022】ここでいうN,N−ジメチルホルムアミド
吸着量とは、JIS K−5101の煮あまに油の代わ
りにN,N−ジメチルホルムアミドを用い、無機微粉末
5gをガラス平板状の上に置き、N,N−ジメチルホル
ムアミドを1滴滴下する毎にステンレス製のへらを用い
て練り合わせる作業を繰り返し、N,N−ジメチルホル
ムアミドの1滴で急激に軟らかくなる直前までに要した
N,N−ジメチルホルムアミドの体積(単位:ミリリッ
トル)を無機微粉末 100g当たりに換算した数値であ
る。
【0023】本発明に用いる無機微粉末は、前述のポリ
ウレタン樹脂主体の合成重合体に対し1質量%以上、特
に3質量%以上用いることが好ましく、1質量%未満で
は、得られる樹脂層の微細空洞部の孔数が少なくなり、
高透湿性能が得られない。本発明に用いる無機微粉末
は、他の無機物質や顔料、充填剤などと併用しても何ら
差し支えない。
【0024】本発明では、第1層の好ましくは乾式の無
孔質膜との密着性を向上させ、第2層の好ましくは湿式
の微多孔質膜の樹脂強度を向上させる目的で、第2層を
形成するためのポリウレタン樹脂主体の合成重合体に、
樹脂との親和性の高い化合物を併用することが望まし
く、その化合物としてイソシアネート化合物が好適に使
用できる。
【0025】イソシアネート化合物としては、トリレン
2,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシ
アネート、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、又はこれらのジイソシアネート
類3モルと、活性水素を含有する化合物(例えば、トリ
メチロールプロパン、グリセリンなど)1モルとの付加
反応によって得られるトリイソシアネート類が使用でき
る。上記のイソシアネート類は、イソシアネート基が遊
離した形のものであっても、あるいはフェノール、ラク
タム、メチルケトンなどで付加ブロック体を形成させ、
熱処理によって解離させる形のものであってもよく、作
業性や用途などにより適宜使い分ければよい。
【0026】イソシアネート化合物を使用する際の使用
量としては、上記ポリウレタン樹脂主体の合成重合体に
対して0.1〜10質量%の割合で使用することが望ま
しく、使用量が0.1質量%未満では、密着力、強度に
対する効果が少なく、また10質量%を超えると、風合
いが硬化するので好ましくない。
【0027】本発明では、布帛の防水性をさらに高める
ために、第2層の微多孔質膜の上に第3層としてポリウ
レタン樹脂を主体とする乾燥樹脂膜質量が1〜10g/m
2 、好ましくは2〜8g/m2 の無孔質膜を形成するこ
とが好ましく、布帛の耐水圧が100kPa以上、透湿度が
3000g/m2 ・24hrs 以上であることが特に好まし
い。
【0028】第3層を形成するには、第2層である湿式
製膜した樹脂層上に、ポリウレタン樹脂を主体とする合
成重合体溶液で乾燥樹脂膜質量が1〜10g/m2 となる
ように乾式製膜を行う。乾燥樹脂膜質量が1g/m2
満では耐水圧の向上が少なく、100kPa以上の耐水圧を
得ることが困難であり、10g/m2 を超えると、得られ
る布帛の引裂強力の低下を生じやすく、樹脂層が無孔タ
イプなので3000g/m 2 ・24hrs 以上の透湿度が得難
くなる。上記樹脂液の第2層の湿式膜上への塗布に際し
ては、前述と同様のナイフコータなど等を用いて適宜行
えばよい。
【0029】ここで用いるポリウレタン樹脂を主体とす
る合成重合体は、第1層形成用と同様の重合体で、前述
と同様にポリウレタン成分を50〜100質量%含んだ
ものでよい。この重合体の溶媒も、第1層形成時と同様
の揮発性有機溶媒を主体とした樹脂溶液でよいが、薄膜
で耐水圧を向上させる目的から、樹脂層が無孔タイプと
なる溶剤型で、さらに樹脂粘性としては樹脂流動性のよ
いニュートン粘性に近いものが好適に用いられる。
【0030】
【作用】本発明のコーティング布帛が優れた引裂強力を
有する理由は明確ではないが、本発明者らは次のように
推察している。すなわち、引裂強力が低下する要因とし
ては、染色加工中の糸の強度低下、織密度が高くなるこ
とによる風合いの硬化や樹脂加工による糸−糸間の拘束
等が挙げられる。本発明の第2層を形成するために用い
るポリウレタン樹脂を繊維布帛上に直接コーティングす
ることは公知の方法であるが、この場合、ポリウレタン
樹脂が塗工中に繊維布帛内部に深く浸透してしまい、そ
の結果、引裂強力が低下してしまう。
【0031】そこで本発明では、繊維布帛内部に深く浸
透し難い樹脂を予めコーティングしておくことで、引裂
強力の低下を防止するものである。この効果に有用な樹
脂として、チクソトロッピク性の強いアクリル樹脂が挙
げられ、これを用いることで繊維布帛内部への樹脂の浸
透を抑えることが可能となるが、アクリル樹脂と第2層
を形成するポリウレタン樹脂とは接着性が低く、その結
果得られるコーティング布帛の防水性能が、直接繊維布
帛に第2層の形成に用いるポリウレタン樹脂を塗工した
場合に比べて極端に低下するという問題があった。
【0032】本発明ではこの問題を解決するために、第
1層を形成するアクリル樹脂にポリウレタン樹脂を混合
することで、本来アクリル樹脂の持つチクソトロッピク
性に起因する繊維布帛内部への樹脂の浸透抑制効果と、
第2層の形成に用いるポリウレタン樹脂膜との接着強力
を低下させないという効果を併せ持たせることが可能と
なり、引裂強力と透湿防水性の両性能を高度に発現でき
たものと認められる。
【0033】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、実施例における布帛の性能の測定、評価
は、次の方法で行った。 (1) 耐水圧 :JIS L-1092 (高水圧法) (2) 透湿度 :JIS L-1099 (A−1法) (3) 引裂強力:JIS L-1096 D法(ペンジュラム
法)
【0034】実施例1 経糸、緯糸の双方のナイロンマルチフィラメント78デシ
テックス/34フィラメントを用いて、経糸密度 120本/
2.5 cm、緯糸密度90本/2.5 cmのタフタを製織し、
通常の方法により精練を及び染色(日本化薬株式会社
製,Kyanol NavyBlue R 3% Omf)を行った後、エ
マルジョンタイプのフッ素系撥水剤のアサヒガードLS
−317(旭硝子株式会社製)7%水分散液でパディン
グ(絞り率35%)し、乾燥した後、 170℃で30秒間の熱
処理を行った。次に、鏡面ロールを持つカレンダー加工
機を用いて、温度 170℃、圧力 250kPa、速度30m/
分の条件でカレンダー加工を行い、コーティング用の基
布を得た。
【0035】ここで、第一工程として下記処方1に示す
組成で、固形分濃度15%のアクリル樹脂とポリウレタン
樹脂の混合溶液を、ナイフコータを用いて上述のカレン
ダー面に塗布量13g/m2 にて塗布後、 100℃で1分間
の乾燥により、布帛上に第1層の乾式樹脂膜(乾燥樹脂
膜質量2g/m2 )を形成した。
【0036】 処方1(部は全て質量部) トアアクロンSA-6720 80部 (株式会社トウペ製、溶剤型アクリル樹脂) ラックスキンU2015-11 20部 (セイコー化成株式会社製、溶剤型ポリウレタン樹脂) レザミンX 1部 (大日精化工業株式会社製、イソシアネート化合物) トルエン 25部 酢酸エチル 15部
【0037】続いて上述の乾式樹脂膜面上に、第二工程
として下記処方2に示す組成で、固形分濃度20%のポリ
ウレタン樹脂溶液を、コンマコーターを用いて塗布量80
g/m2 にて塗布した後、直ちに25℃の水中で1分間浸
漬して樹脂分を凝固させ、続いて50℃の温水で5分間
の湯洗後、乾燥を行って第2層である湿式微多孔層(乾
燥樹脂膜質量16g/m2 )を形成し、透湿防水コーティ
ング布帛を得た。
【0038】 処方2(部は全て質量部) レザミンCU4555 100部 (大日精化工業株式会社製、湿式用ポリウレタン樹脂) レザミンX 1部 (大日精化工業株式会社製、イソシアネート化合物) N,N−ジメチルホルムアミド 40部
【0039】実施例2 実施例1の第二工程の湿式膜上に、第三工程として下記
処方3に示す組成で、固形分濃度20%のポリウレタン樹
脂溶液をナイフコータを用いて、塗布量15g/m2 にて
塗布後、 100℃で2分間の乾燥により、樹脂膜(乾燥樹
脂膜質量3g/m2 )を形成し、透湿防水コーティング
布帛を得た。
【0040】 処方3(部は全て質量部) ラックスキンU2524 100部 (セイコー化成株式会社製、乾式用ポリウレタン樹脂) イソプロピルアルコール 10部 トルエン 15部
【0041】実施例3 実施例1の第二工程用の処方2を下記処方4に代える
(固形分濃度は21%)以外は、実施例1と同一の方法に
て透湿防水コーティング布帛を得た。
【0042】 処方4(部は全て質量部) レザミンCU4555 100部 (大日精化工業株式会社製、湿式用ポリウレタン樹脂) レザミンX 1部 (大日精化工業株式会社製、イソシアネート化合物) AEROSIL R-972 2部 (日本アエロジル株式会社製,平均粒径が約 0.016μm,N,N−ジメチルホル ムアミド吸着量が 350ミリリットル/100gの二酸化珪素微末) N,N−ジメチルホルムアミド 40部
【0043】比較例1 実施例1における第一工程を省く以外は、実施例1と同
様の方法により比較用の透湿防水性コーティング布帛を
得た。
【0044】比較例2 実施例1における第一工程の処方1の塗布量を60g/m
2 に変更して樹脂膜(乾燥樹脂膜質量9g/m2 )を形
成する以外は、実施例1と同様の方法により比較用の透
湿防水性コーティング布帛を得た。
【0045】比較例3 実施例1における第二工程の処方2の塗布量を30g/m
2 に変更して湿式微多孔膜(乾燥樹脂膜質量6g/
2 )を形成する以外は、実施例1と同様の方法により
比較用の透湿防水性コーティング布帛を得た。
【0046】比較例4 実施例1における第二工程の処方2の塗布量を 150g/
2 に変更して湿式微多孔膜(乾燥樹脂膜質量30g/m
2 )を形成する以外は、実施例1と同様の方法により比
較用の透湿防水性コーティング布帛を得た。
【0047】比較例5 比較例4の透湿防水性コーティング布帛の湿式微多孔膜
上に、実施例2における第三工程の処方3のポリウレタ
ン樹脂溶液を塗布量60g/m2 に変更して塗布した後、
100℃で3分間の乾燥により乾式無孔膜(乾燥樹脂膜質
量12g/m2 )を形成し、比較用の透湿防水性コーティ
ング布帛を得た。
【0048】比較例6 比較例3の透湿防水性コーティング布帛の湿式微多孔膜
上に、下記処方5のポリウレタン樹脂溶液を用いて、固
形分濃度17%のポリウレタン樹脂溶液をナイフコータを
用い、塗布量5g/m2 にて塗布して乾式無孔膜(乾燥
樹脂膜質量 0.9g/m2 )を形成し、比較用の透湿防水
性コーティング布帛を得た。
【0049】 処方5(部は全て質量部) ラックスキンU2524 100部 (セイコー化成株式会社製、乾式用ポリウレタン樹脂) イソプロピルアルコール 15部 トルエン 30部 実施例1〜3及び比較用1〜6のコーティング布帛の性
能を測定し、その結果を併せて表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】表1から明らかなように、実施例1〜3で
得られた透湿防水コーティング布帛は、優れた防水性と
透湿性を有しているにもかかわらず、優れた引裂強力を
も有していた。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、透湿性と防水性はもち
ろんのこと、従来のコーティング布帛では不可能であっ
た優れた引裂強力をも有する透湿防水性コーティング布
帛が提供され、この布帛は、軽量で着用快適性に優れた
雨衣、外衣、登山衣等の各種衣料用として好適なもので
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06N 3/14 DAA D06N 3/14 DAA Fターム(参考) 4F055 AA27 BA13 CA14 DA08 EA05 EA22 FA10 FA15 GA02 4F100 AH05 AK25B AK46 AK51B AK51C AL05B BA03 BA07 BA10A BA10C DG01A DG03 DG11A DJ10B DJ10C EJ17 EJ172 EJ82 EJ822 EJ86 EJ862 GB72 JD04 JD05 JK03 YY00B YY00C 4L033 AA02 AA05 AA07 AA08 AA10 AB04 AC15 CA18 CA50

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維布帛上に、第1層としてアクリル樹
    脂とポリウレタン樹脂との混合樹脂からなる乾燥樹脂膜
    質量が8g/m2 未満の無孔質膜、第2層としてポリウ
    レタン樹脂を主体とする乾燥樹脂膜質量が8〜25g/m
    2 の微多孔質膜を形成してなることを特徴とする引裂強
    力の優れた透湿防水性コーティング布帛。
  2. 【請求項2】 20kPa以上の耐水圧と、4000g/m2
    24hrs 以上の透湿度を有することを特徴とする請求項
    1記載の引裂強力の優れた透湿防水性コーティング布
    帛。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の透湿防水性コーティング
    布帛の微多孔質膜からなる第2層上に、第3層としてポ
    リウレタン樹脂を主体とする乾燥樹脂膜質量が1〜10g
    /m2 の無孔質膜を形成してなることを特徴とする引裂
    強力の優れた透湿防水性コーティング布帛。
  4. 【請求項4】 100kPa以上の耐水圧と、3000g/m2
    ・24hrs 以上の透湿度を有することを特徴とする請求
    項3記載の引裂強力の優れた透湿防水性コーティング布
    帛。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007160518A (ja) * 2005-12-09 2007-06-28 Hiramatsu Sangyo Kk 防水透湿性布帛
JP2010000697A (ja) * 2008-06-20 2010-01-07 Unitica Fibers Ltd 透湿防水性布帛
JP2014065226A (ja) * 2012-09-26 2014-04-17 Unitika Trading Co Ltd 医療用透湿防水性布帛
JP2015172263A (ja) * 2014-03-12 2015-10-01 ユニチカトレーディング株式会社 透湿防水布帛

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