JPH09111670A - 透湿防水性布帛の製造方法 - Google Patents

透湿防水性布帛の製造方法

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JPH09111670A
JPH09111670A JP26516495A JP26516495A JPH09111670A JP H09111670 A JPH09111670 A JP H09111670A JP 26516495 A JP26516495 A JP 26516495A JP 26516495 A JP26516495 A JP 26516495A JP H09111670 A JPH09111670 A JP H09111670A
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fabric
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cloth
permeable
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JP26516495A
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Kenichi Kamemaru
賢一 亀丸
Mamoru Shinomiya
守 四宮
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透湿性能および防水性能に優れ,かつ着用快
適性に優れたソフトな風合の透湿防水性布帛の製造方法
を提供する。 【解決手段】 平均粒径が1μm以下で,N,N−ジメ
チルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/10
0g以上の無機微粉末を1重量%以上含有させたポリウ
レタン樹脂主体の合成重合体溶液を用いて,布帛上に湿
式コーティング法により湿式製膜し,その樹脂膜面に接
着剤を非連続状態で塗布面積35〜55%にて塗布した
後,その塗布面に布地のラミネートを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,優れた透湿防水性
能を有するとともに,優れた着用快適性を有する透湿防
水性布帛の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透湿性と防水性を併せもつ透湿防水性布
帛は,身体からの発汗による水蒸気を衣服外へ放出し,
雨が衣服内に入るのを防ぐ機能を有しており,これらの
機能を付与するために,ポリアミノ酸ウレタン樹脂,ポ
リウレタン樹脂,ポリテトラフルオロエチレン樹脂等を
布帛にコーティングまたはラミネートしたものがよく知
られている。これらは,スポーツ衣料や防寒衣料等に使
用され,その中でも特に激しい運動に伴う発汗量の比較
的多いスポーツ用の衣料分野に多く用いられており,ス
キーやアスレチック分野では必要不可欠な素材となって
いる。
【0003】このような従来の透湿防水性布帛として
は,樹脂層が有孔のものと無孔のものが知られており,
一般に樹脂層が有孔のとき優れた透湿性能は得やすい
が,防水性能は高々0.2〜0.3kgf/cm2 程度しか得ら
れず,一方,樹脂層が無孔のときは優れた防水性能は得
やすいが,透湿性能はほとんどないか,多くても400
0g/m2 ・24hrs 程度のものしか得られていない。
このような欠点を補うために,繊維布帛上にまず有孔の
高透湿性樹脂層を形成し,その上に無孔の樹脂層を薄く
形成して,優れた透湿性能と防水性能を得る方法が試み
られており,この方法では優れた防水性能が得られるも
のの,透湿性能は高々3000〜5000g/m2 ・2
4hrs 程度のものしか得られていない。
【0004】そこで本発明者らは,特開平6−2721
68号公報にて,平均粒径が1μm以下で,かつ,N,
N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリット
ル/100g以上の無機微粉末を1重量%以上含有せし
めたポリウレタン樹脂被膜を形成するコーティング布帛
の加工方法を提案し,透湿度7000g/m2 ・24hr
s ,防水性能0.6kgf/cm2 以上の透湿防水性布帛を得
ることに成功した。しかしながら,このように優れた透
湿性能を有するものであっても,裏地なしで着用する
と,コーティング面が直接肌に接することが多く,激し
い運動に伴って発汗量が多くなると,発汗による水蒸気
を衣服外に放出しきれなくなり,結露によるベタツキが
発生して,着用時の不快感が高まりやすかった。上記対
策として,縫製時,裏地にメッシュ等を使用している場
合も多いが,縫製が非常に煩雑になる等の欠点を有して
いた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,このような
現状に鑑みて行われたもので,縫製時に裏地を用いるこ
となく,着用時に直接肌と接触しても違和感のない,着
用快適性に優れた風合のソフトな透湿防水性布帛を得る
ことを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は,上記目的を達
成するもので,次の構成よりなるものである。すなわ
ち,本発明は,「繊維布帛上に,平均粒径が1μm以下
で,かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が20
0ミリリットル/100g以上の無機微粉末を1重量%
以上含有させたポリウレタン樹脂主体の合成重合体の溶
液を塗布し,湿式製膜する第1工程,上記塗布面に接着
剤を非連続状態で塗布面積35〜55%にて塗布する第
2工程,該接着剤塗布面に布地をラミネートする第3工
程よりなることを特徴とする透湿防水性布帛の製造方
法」を要旨とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下,本発明について詳細に説明
を行う。本発明で用いられる繊維布帛としては,ナイロ
ン6やナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊
維,ポリエチレンテレフタレートで代表されるポリエス
テル系合成繊維,ポリアクリロニトリル系合成繊維,ポ
リビニルアルコール系合成繊維,トリアセテート等の半
合成繊維あるいはナイロン6/木綿,ポリエチレンテレ
フタレート/木綿等の混合繊維からなる織物,編物,不
織布等を挙げることができる。
【0008】本発明では,上記の繊維布帛に撥水剤処理
を施したものを用いてもよい。これは,製造時に樹脂溶
液の布帛内部への浸透を防ぐための一手段である。この
場合の撥水剤としては,パラフィン系撥水剤やポリシロ
キサン系撥水剤,フッ素系撥水剤等の公知のものでよ
く,その処理も,一般に行われているパディング法,ス
プレー法等の公知の方法で行えばよい。特に良好な撥水
性を必要とする場合にはフッ素系撥水剤を使用し,例え
ば,アサヒガード730(旭硝子株式会社製,フッ素系
撥水剤エマルジョン)を5%の水分散液でパディング
(絞り率35%)した後,160℃で1分間の熱処理を
行う方法等によって行えばよい。
【0009】本発明では,まず,上記繊維布帛上に,第
1工程として平均粒径が1μm以下で,かつN,N−ジ
メチルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/1
00g以上の無機微粉末を1重量%以上含有させたポリ
ウレタン樹脂主体の合成重合体の溶液を塗布し,湿式製
膜を行う。
【0010】本発明で用いられる無機微粉末としては,
通常の湿式粉砕法やボールミル粉砕法等で微粉化された
無機微粉末や,ハロゲン化金属の気相酸化法,燃焼加水
分解法,電弧法等の乾式法によって得られる金属酸化物
微粉末を挙げることができ,中でもこれらの方法により
製造される二酸化ケイ素微粉末を代表として挙げること
ができる。これらの方法により得られた微粉末は,一般
的に粒径が0.05μm以下であると同時に,非常に多い
N,N−ジメチルホルムアミド吸着量を有し,合成重合
体樹脂溶液中に添加せしめる無機微粉末として好適であ
る。さらに,該微粉末の表面を疎水性に改質したものを
用いれば,漏水性の面から見てより一層好適であり,ま
た,該微粉末は,実質的に無孔である方が好ましい。
【0011】ここでいうN,N−ジメチルホルムアミド
吸着量とは,無機微粉末5gをガラス平板上に置き,
N,N−ジメチルホルムアミドを1滴滴下するごとにス
テンレス製のへらを用いて練り合わせる作業を繰り返
し,N,N−ジメチルホルムアミドの1滴で急激に軟ら
かくなる直前までに要したN,N−ジメチルホルムアミ
ドの体積(単位:ミリリットル)を意味しており,JI
S K−5101の煮あまに油の代わりにN,N−ジメ
チルホルムアミドを用いたものである。
【0012】本発明で用いられる無機微粉末は,その平
均粒径が1μm以下であることが必要で,かつN,N−
ジメチルホルムアミド吸着量が200ミリリットル/1
00g以上であることが必要であり,さらには,その平
均粒径が0.1μm以下で,かつ250ミリリットル/1
00g以上のN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量を
有するものであれば,本発明の効果の点でより一層好ま
しい。平均粒径が1μmを超えると,得られるコーティ
ング布帛の透湿膜の微細孔径が大きくなりすぎて防水性
能を低下させるので好ましくなく,また,N,N−ジメ
チルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/10
0g未満では,透湿膜の微細孔の数が少なくなり,高透
湿性能が得られないので好ましくない。
【0013】本発明に用いる無機微粉末は,後述のポリ
ウレタン樹脂主体の合成重合体に対し1重量%以上用い
ることが必要であり,好ましくは3重量%以上用いるの
がよい。1重量%未満では,得られるコーティング布帛
の透湿膜の微細孔数が少なくなり,高透湿性能が得られ
ない。また,無機微粉末は,必ずしも高純度なものであ
る必要はなく,不純物として他の無機物質,例えば,顔
料,充填剤等が含有されていても何ら差し支えない。
【0014】本発明のポリウレタン樹脂主体の合成重合
体とは,ポリウレタン成分を50〜100重量%含むも
のをいい,その他の合成重合体としては,例えば,ポリ
アクリル酸,ポリ塩化ビニル,ポリスチレン,ポリブタ
ジエン,ポリアミノ酸等やこれらの共重合体等を50重
量%未満の範囲で含んでいればよく,勿論,フッ素やシ
リコン等で変性した化合物も本発明で使用できる。
【0015】ポリウレタン樹脂自体は,ポリイソシアネ
ートとポリオールを反応せしめて得られる共重合体であ
り,イソシアネート成分として芳香族ジイソシアネー
ト,脂肪族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネ
ートの単独またはこれらの混合物を用い,例えば,トリ
レン2,4−ジイソシアネート,4,4'−ジフェニルメタ
ンジイソシアネート,1,6−ヘキサンジイソシアネー
ト,1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等を用い,
また,ポリオール成分としては,ポリエーテルポリオー
ル,ポリエステルポリオールを用い,ポリエーテルポリ
オールは,ポリエチレングリコール,ポリプロピレング
リコール,ポリテトラメチレングリコール等を用い,ポ
リエステルポリオールは,エチレングリコール,プロピ
レングリコール等のジオールとアピジン酸,セバチン酸
等の2塩基酸との反応生成物やカプロラクトン等の開環
重合物を用いる。
【0016】この第1工程で得られる湿式コーティング
布帛の性能としては,後の工程で行うラミネートによっ
て防水性能がよくなる反面,透湿性能が低下することを
勘案して,耐水圧0.6kgf/cm2 以上,透湿度8000
g/m2 以上のものが得られるようにコーティングを行
う必要があり,そのためには,樹脂被膜重量が5g/m
2 以上,好ましくは10g/m2 以上になるように塗布
量を調節してコーティングを行うとよい。
【0017】ポリウレタン樹脂主体の合成重合体溶液を
繊維布帛に塗布するに際しては,通常のコーティング
法,例えば,ナイフコータ,コンマコータ,リバースコ
ータ等を用いて適宜コーティングを行えばよい。
【0018】本発明では,樹脂層と繊維布帛間の耐剥離
性を向上させる目的で,樹脂や繊維布帛との親和性の高
い化合物を併用してもよく,その化合物としてイソシア
ネート化合物を併用するとよい。イソシアネート化合物
としては,トリレン2,4−ジイソシアネート,ジフェニ
ルメタンジイソシアネート,イソフォロンジイソシアネ
ート,ヘキサメチレンジイソシアネートまたはこれらの
ジイソシアネート類3モルと,活性水素を含有する化合
物(例えば,トリメチロールプロパン,グリセリン等)
1モルとの付加反応によって得られるトリイソシアネー
ト類が使用できる。上記のイソシアネート類は,イソシ
アネート基が遊離した形のものであっても,あるいはフ
ェノール,メチルエチルケトオキシム等を付加させるこ
とにより安定させ,その後の熱処理によりブロックを解
離させる形のものであってもよく,作業性や用途等によ
り適宜使い分ければよい。
【0019】イソシアネート化合物を使用する際の使用
量としては,ポリウレタン樹脂主体の合成重合体に対し
て0.1〜10重量%の割合で使用することが望ましい。
使用量が0.1重量%未満であれば,布帛に対する樹脂層
の接着力が低く,また,10重量%を超えると,風合が
硬化する傾向が認められるようになるので好ましくな
い。
【0020】上述のごときポリウレタン樹脂主体の合成
重合体からなる樹脂液を繊維布帛に塗布した後,本発明
では,0〜30℃の水中に0.5〜10分間浸漬して樹脂
分の湿式凝固を行う。以下,40〜60℃の温水中で5
〜15分間の洗浄後,通常の方法で乾燥する。
【0021】本発明において,防水性をさらに向上させ
る目的で,湿式コーティング後にコーティング布帛に撥
水処理を行ってもよい。撥水処理に際しては,前述のよ
うな一般に実施されている公知の撥水処理方法を採用す
ればよい。また,さらに防水性能を向上させたいとき
は,本発明の湿式コーティング層の上に乾燥膜厚が0.5
〜2μm程度の無孔のポリウレタン樹脂層等を形成すれ
ばよい。湿式コーティング層が高耐水圧を有しているた
め,薄膜でも防水性能が相乗的に向上し,かつ透湿性能
の低下も少ない。
【0022】次に,第1工程で得られたコーティング布
帛のポリウレタン樹脂膜面に接着剤を塗布する第2工程
を行う。ここで使用する接着剤としては,従来から公知
の,例えば,酢酸ビニル,塩化ビニル等のビニル系接着
剤,アクリル酸エチル,メタクリル酸ブチル等のアクリ
ル系接着剤,ポリオールとジイソシアネートの付加反応
生成物であるポリウレタン系接着剤,ポリオールとジカ
ルボン酸の縮合反応生成物であるポリエステル系接着
剤,ジアミンとジカルボン酸の縮合反応生成物であるポ
リアミド系接着剤,ブチルゴム接着剤,クロロプレンゴ
ム接着剤等のゴム系接着剤等を使用することができる
が,ポリウレタン系接着剤またはポリエステル系接着剤
を用いると,裏面の布地との接着力が良好で,得られる
透湿防水性布帛の風合も良好となるので好適に用いられ
る。
【0023】従来から,コーティング布帛に接着剤を塗
布して,これに布地をラミネートする方法は一般に行わ
れているが,接着剤を全面に塗布すると,コーティング
布帛の有している透湿性が大きく低下するので,この透
湿性の低下を防ぐために,接着剤を非連続状態,すなわ
ち点状,線状あるいは網目状に塗布することが必要であ
る。
【0024】本発明では,第1工程で得られたコーティ
ング布帛の透湿性を最大限生かすために,接着剤の塗布
をグラビアコーティング法,ロータリー捺染法等によ
り,塗布面積が35〜55%になるように,非連続状態
で点状,線状あるいは網目状に塗布する。塗布面積が3
5%未満では接着強力が弱く,逆に55%を超えると,
透湿性が低下しすぎるので好ましくない。また,接着剤
の塗布量は,裏の布地の接着強力に問題がなければ,で
きる限り少なく塗布する方がコスト面や透湿性の面から
有利である。本発明では,裏の布地の接着強力および透
湿性の保持率を勘案して,塗布量が5〜70g/m2
なるように塗布する。塗布量が5g/m2 未満では,接
着強力が弱く,また,70g/m2 を超えると,透湿性
が低下しすぎるので好ましくない。
【0025】次に,第2工程で塗布した接着剤塗布面に
布地をラミネートする第3工程を行う。本発明で用いら
れるこの布地としては,セルロース系,ナイロン系,ポ
リエステル系,アクリル系等の繊維あるいはこれらの混
合繊維からなる編物,織物,不織布等を挙げることがで
きる。接着剤塗布面に布地をラミネートする方法として
は,接着剤を塗布した後,乾燥し,布地と貼り合わせて
熱プレスするドライラミ法,あるいは,接着剤を塗布し
た後,乾燥させることなく布地と貼り合わせて熱プレス
を行うウェットラミネート法等どのような方法を採用し
てもよいが,布地を貼り合わせた後の熱プレスは,点
状,線状あるいは網目状等に塗布した接着剤を押しつぶ
して透湿度を低下させることがないように,適度なプレ
ス圧を用いる。
【0026】
【作用】平均粒径1μm以下で,かつN,N−ジメチル
ホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/100g
以上の無機微粉末を均一に分散させたポリウレタン樹脂
主体の合成重合体溶液を布帛にコーティングして湿式凝
固を行うと,凝固液である水と樹脂溶媒であるN,N−
ジメチルホルムアミドが混和し,樹脂液から溶媒が速や
かに離脱していくことにより樹脂が凝固するが,その
際,平均粒径が1μm以下で,かつN,N−ジメチルホ
ルムアミドの吸着量が200ミリリットル/100g以
上の無機微粉末が該樹脂溶液中に均一に分散している
と,無機微粉末の表面は他の部分に比べて樹脂溶液中に
おけるN,N−ジメチルホルムアミドの濃度が高く,い
いかえれば,ポリウレタン樹脂主体の合成重合体の濃度
が低い状態にあり,このため,湿式凝固過程において,
凝固液である水がまず無機微粉末表面のN,N−ジメチ
ルホルムアミドと置き換わり,無機微粉末の周囲で速や
かに凝固が始まり,その後に樹脂全体が凝固するので,
結果的に凝固速度が速くなり,ウレタン樹脂特有のハニ
カム構造の他に,1μm以下の微細孔を無数に有する非
常にポーラスな形態となるものと推測している。
【0027】本発明では,形成された微細孔の微細性に
より優れた防水性が発揮されるとともに,無数に存在す
る微細な有孔により高透湿性能が発揮され,高透湿防水
性布帛に特有の着用時に圧力が加わったとき問題が発生
しやすい漏水性に対しても,非常に有効である。このよ
うな透湿防水性コーティング布帛のコーティング樹脂膜
面に接着剤を塗布して布地をラミネートしておくと,布
地に使用している繊維が親水性であればもちろんのこ
と,疎水性であっても,繊維間空隙の毛細管現象により
水や汗等を吸収する能力が作用して,着用中に多量の発
汗や結露を生じても,布地がこれを吸収し,ベタツキ感
がなく,着用快適性に優れた透湿防水性布帛となる。
【0028】
【実施例】以下,実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが,実施例における布帛の性能の測定,評価
は,次の方法で行った。 (1)耐水圧 JIS L−1092(高水圧法) (2)透湿度 JIS L−1099(A−1法) (3)剥離強力 JIS L−1089に準じて裏の布地の剥離強力を測
【0029】(4)風 合 ハンドリングにより,風合を相対的に次の3段階で評価
した。 ○ : 柔 軟 △ : やや硬い × : 硬 い (5)着用快適性 透湿防水性布帛を用いてウィンドブレーカーを縫製し,
被験者に着用させて,10分間の踏台昇降運動を5分間
の休憩をはさんで3回繰り返した後,次の3段階で評価
した。 ○ : ベタツキがなく,快適 △ : 若干湿った感触で,ムレを感じる × : ベタツキがあり,不快
【0030】実施例1 経糸,緯糸の双方にナイロンハイマルチフィラメント7
0デニール/68フィラメントを用いて,経糸密度12
0本/インチ,緯糸密度90本/インチの平織物を製織
し,通常の方法により精練および染色(三菱化成株式会
社製,酸性染料のDiacid Fast Red 3BL 2%owf)を
行った後,フッ素系撥水剤エマルジョンのアサヒガード
710(旭硝子株式会社製)5%水分散液でパディング
(絞り率35%)し,乾燥後,160℃で1分間の熱処
理を行った。次に,鏡面ロールをもつカレンダー加工機
を用いて,温度170℃,圧力30kg/cm2 ,速度20
m/分の条件でカレンダー加工を行い,コーティング用
の基布を得た。
【0031】ここで下記処方1に示す組成で固形分濃度
25%のポリウレタン樹脂溶液を,ナイフオーバーロー
ルコータを用いて上述の基布のカレンダー面に塗布量8
0g/m2 にて塗布した後,ただちに15℃の水中に4
0秒間浸漬して樹脂分を凝固させ,続いて,50℃の温
水中で10分間の洗浄を行って乾燥し,無機微粉末を9.
3%含有する樹脂層を形成した。
【0032】処方1 ラックスキン 1740−29B 100部 (セイコー化成株式会社製,エステル型ポリウレタン樹
脂) レザミン X−100 1部 (大日精化工業株式会社製,イソシアネート化合物) N,N−ジメチルホルムアミド 25部 アエロジル R−972 3部 (日本アエロジル株式会社製,平均粒径0.016μm,
N,N−ジメチルホルムアミド吸着量350ミリリット
ル/100gの疎水性二酸化ケイ素微粉末)
【0033】次に,マングルを用いてコーティング面を
撥水処理すべくアサヒガード710の5%水分散液でパ
ディング(絞り率35%)して乾燥後,160℃で1分
間の熱処理を行い,2層の透湿防水性布帛を得た。ここ
で,透湿防水性布帛のコーティング面に,下記処方2に
示す接着剤溶液をグラビアコータを用いて塗布面積41
%,塗布量20g/m2 にて点状に塗布する第2工程を
行った。
【0034】処方2 ラックスキン UD−4011 100部 (セイコー化成株式会社製,ポリウレタン樹脂2液接着
剤) ラックスキン U−4000 8部 (セイコー化成株式会社製,2液接着剤の硬化剤) ラックスキン UY−5 0.5部 (セイコー化成株式会社製,接着剤促進剤) メチルエチルケトン 50部 N,N−ジメチルホルムアミド 10部
【0035】続いて,第3工程として,接着剤塗布面に
ナイロンフィラメント20デニール/7フィラメントを
用いたナイロントリコット布を貼り合わせて,80℃,
3分間の乾燥を行い,温度110℃,ニップ圧2.0kg/
cm2 で熱プレスを行って,本発明の着用快適性に優れた
風合がソフトな3層構造の透湿防水性布帛を得た。
【0036】本発明との比較のため,本実施例1におけ
る第1工程で得られた2層構造の透湿防水性布帛を採集
し,比較例1とした。また,本発明との比較のため,本
実施例1における第2工程のグラビアコータを使用せ
ず,ナイフオーバロールコータを用いて塗布面積100
%,塗布量50g/m2 にて塗布する他は,本実施例と
まったく同一の方法により比較用の3層構造の透湿防水
性布帛(比較例2とする。)を得た。さらに,本発明と
の比較のため,本実施例1における第2工程の接着剤の
塗布面積を25%とする他は,本実施例とまったく同一
の方法により比較用の3層構造の透湿防水性布帛(比較
例3とする。)を得た。
【0037】本発明および比較用のコーティング布帛の
性能を測定,評価し,その結果を合わせて表1に示し
た。
【0038】
【表1】
【0039】表1より明らかなように,本発明の透湿防
水性布帛は,平均粒径0.016μmで,かつN,N−ジ
メチルホルムアミドの吸着量が350ミリリットル/1
00gの疎水性二酸化ケイ素微粉末を9.3重量%適用し
たことにより,優れた防水性と透湿性を有しているとと
もに,接着剤をその塗布面積が41%になるように非連
続状態に塗布し,吸水性に優れた布地をラミネートして
いるため,風合がソフトで,着用中に多量の発汗を伴う
運動を行っても,裏の布地が汗を吸収し,ベタツキ感が
なく,着用快適性に優れていた。
【0040】一方,比較例1は,防水性と透湿性に優れ
ているものの,裏の布地を有していないため,着用中に
発汗を伴うような運動を行うと,コーティング面に結露
が発生し,非常に不快なものであった。また,比較例2
は,接着剤を全面に塗布したために,風合が粗硬で,か
つ透湿度が低下してしまい,衣服内が多湿状態となって
ムレを感じるものであった。さらに,比較例3は,接着
剤の塗布面積が不足しているため,裏の布地の剥離強力
が弱く,実用に耐えないものであった。
【0041】実施例2 経糸,緯糸の双方にカチオン染料可染ポリエステル75
デニール/48フィラメントを用いた経糸密度107本
/インチ,緯糸密度92本/インチの平織物(タフタ)
を用意し,これに通常の方法で精練および染色(住友化
学工業株式会社製,カチオン染料のEstrol Brilliant B
lue N−3RL 3%owf)を行った後,フッ素系撥水剤
エマルジョンのアサヒガード710(旭硝子株式会社
製)5%水分散液でパディング(絞り率35%)し,乾
燥後,160℃で1分間の熱処理を行った。次に,鏡面
ロールをもつカレンダー加工機を用いて,温度170
℃,圧力30kg/cm2 ,速度20m/分の条件でカレン
ダー加工を行い,コーティング用の基布を得た。
【0042】ここで下記処方3に示す組成で固形分濃度
26%のポリウレタン樹脂溶液を,ナイフオーバーロー
ルコータを用いて上述の基布のカレンダー面に塗布量8
0g/m2 にて塗布した後,直ちに15℃の水中に40
秒間浸漬して樹脂分を凝固させ,続いて,50℃の温水
中で10分間の洗浄を行った後,乾燥し,無機微粉末を
14.7%含有する樹脂層を形成した。
【0043】処方3 ラックスキン 1740−29B 100部 (セイコー化成株式会社製,エステル型ポリウレタン樹
脂) レザミン X 1部 (大日精化工業株式会社製,イソシアネート化合物) N,N−ジメチルホルムアミド 25部 アエロジル R−974 5部 (日本アエロジル株式会社製,平均粒径0.012μm,
N,N−ジメチルホルムアミド吸着量350ミリリット
ル/100gの疎水性二酸化ケイ素微粉末)
【0044】次に,マングルを用いてコーティング面を
撥水処理すべくアサヒガード710の5%水分散液でパ
ディング(絞り率35%)して乾燥後,160℃で1分
間の熱処理を行い,2層の透湿防水性布帛を得た。ここ
で,透湿防水性布帛のコーティング面に,下記処方4に
示す接着剤溶液をグラビアコータを用いて塗布面積50
%,塗布量25g/m2 にて点状に塗布する第2工程を
行った。
【0045】処方4 クリスボン 4070 100部 (大日本インキ化学工業株式会社製,ポリウレタン系接
着剤) クリスボン CL−2 18部 (大日本インキ化学工業株式会社製,架橋剤) クリスボンアクセル HR 2部 (大日本インキ化学工業株式会社製,架橋促進剤) クリスボンアシスター AD−81 5部 (大日本インキ化学工業株式会社製,添加剤) トルエン 20部
【0046】続いて,第3工程として,接着剤塗布面に
ナイロンフィラメント17デニール/7フィラメントを
用いたナイロントリコット布を貼り合わせて,80℃,
3分間の乾燥を行い,温度110℃,ニップ圧2.0kg/
cm2 で熱プレスを行って,本発明の着用快適性に優れた
風合がソフトな3層構造の透湿防水性布帛を得た。
【0047】本発明との比較のため,本実施例2におけ
る第1工程で得られた2層構造の透湿防水性布帛を採集
し,比較例4とした。また,本発明との比較のため,本
実施例2において第2工程のグラビアコータによる接着
剤の塗布面積を32%とする他は,本実施例とまったく
同一の方法により比較用の3層構造の透湿防水性布帛
(比較例5とする。)を得た。さらに,本発明との比較
のため,本実施例2における第2工程の接着剤の塗布面
積を60%とする他は,本実施例とまったく同一の方法
により比較用の3層構造の透湿防水性布帛(比較例6と
する。)を得た。
【0048】本発明および比較用のコーティング布帛の
性能を測定,評価し,その結果を合わせて表2に示し
た。
【0049】
【表2】
【0050】表2より明らかなように,本発明の透湿防
水性布帛は,平均粒径0.012μmで,かつN,N−ジ
メチルホルムアミドの吸着量が350ミリリットル/1
00gの疎水性二酸化ケイ素微粉末を14.7重量%適用
したことにより,優れた防水性と透湿性を有していると
ともに,接着剤をその塗布面積が50%になるように非
連続状態に塗布し,吸水性に優れた布地をラミネートし
ているため,風合がソフトで,着用中に多量の発汗を伴
う運動を行っても,裏の布地が汗を吸収し,ベタツキ感
がなく,着用快適性に優れていた。
【0051】一方,比較例4は,防水性と透湿性に優れ
ているものの,裏の布地を有していないため,着用中に
発汗を伴うような運動を行うと,コーティング面に結露
が発生し,非常に不快なものであった。また,比較例5
は,接着剤の塗布面積が少なく,裏の布地の剥離強力が
弱いものであった。さらに,比較例6は,接着剤の塗布
面積が多すぎて,風合が硬く,しかも透湿度が低下して
しまい,着用時に衣服内が多湿状態となってムレを感じ
るものであった。
【0052】
【発明の効果】本発明方法によれば,優れた透湿防水性
能を有し,しかも着用快適性に優れたソフトな風合の透
湿防水性布帛を製造することができる。本発明の透湿防
水性布帛は,コーティング面が直接肌に接することがな
く,特に着用中に多量の発汗を伴うような運動を行って
も,結露によるベタツキが発生せず,着用快適性に優れ
たものである。このような特性により,本発明の透湿防
水性布帛は,アウトドア用,特にマウンテンウェア等に
好適に用いられる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維布帛上に,平均粒径が1μm以下
    で,かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が20
    0ミリリットル/100g以上の無機微粉末を1重量%
    以上含有させたポリウレタン樹脂主体の合成重合体の溶
    液を塗布し,湿式製膜する第1工程,上記塗布面に接着
    剤を非連続状態で塗布面積35〜55%にて塗布する第
    2工程,該接着剤塗布面に布地をラミネートする第3工
    程よりなることを特徴とする透湿防水性布帛の製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100331722B1 (ko) * 1999-07-14 2002-04-09 고경찬 다기능성 원단
JP2002227011A (ja) * 2001-01-29 2002-08-14 Shimano Inc レジャーウェア

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KR100331722B1 (ko) * 1999-07-14 2002-04-09 고경찬 다기능성 원단
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