JP2002013076A - 結露防止性に優れた透湿防水布帛 - Google Patents

結露防止性に優れた透湿防水布帛

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JP2002013076A
JP2002013076A JP2000191153A JP2000191153A JP2002013076A JP 2002013076 A JP2002013076 A JP 2002013076A JP 2000191153 A JP2000191153 A JP 2000191153A JP 2000191153 A JP2000191153 A JP 2000191153A JP 2002013076 A JP2002013076 A JP 2002013076A
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fiber
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fine powder
fabric
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Yoshiaki Kijima
由明 來島
Kiyoshi Nakagawa
清 中川
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Unitika Fibers Ltd
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Unitika Fibers Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 布帛のコーティング面やラミネート面に水分
が結露しにくく、着用時にべとつき感のないドライな感
触を維持できる透湿防水布帛を提供する。 【解決手段】 吸放湿性成分と繊維形成性ポリマーから
なる合成繊維であって、25℃×60%RH環境下で平
衡水分率に達した前記合成繊維を34℃×90%RH環
境下に30分間放置したときの吸湿性が1.5質量%以
上、34℃×90%RH環境下で平衡水分率に達した前
記合成繊維を25℃×60%環境下に30分間放置した
ときの放湿性が2質量%以上である吸放湿性合成繊維を
少なくとも一部に用いて構成されている繊維布帛であっ
て、該繊維布帛上にポリウレタン樹脂主体の合成重合体
よりなる樹脂層が形成されていることを特徴とする結露
防止性に優れた透湿防水布帛。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、着用時にべとつき
感のないドライな感触を維持できる透湿防水布帛に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】透湿性能と防水性能を併せ持つ透湿防水
布帛は、身体からの発汗による水蒸気を衣服外に放出
し、雨が衣服内に浸入するのを防ぐ機能を有しており、
これらの機能を付与するために、糸を高密度に織り込ん
だ高密度織物やポリアミノ酸ウレタン樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等を布帛にコ
ーティングまたはラミネートしたものがよく知られてい
る。これらは、スポーツ衣料や防寒衣料等に使用され、
その中でも運動に伴う発汗量の比較的多いスポーツやア
ウトドア衣料分野に多く用いられており、スキー、アス
レチック、登山分野では必要不可欠な素材となってい
る。しかしながら、着用中に環境温度が低下した場合、
身体からの発汗による大量の水蒸気がコーティング面や
ラミネート面に結露し、べたつき感や冷え感を生じると
いう問題があった。
【0003】このような結露による不快感を解消する対
策として、ウインドブレーカーやスキーウエア等を縫製
する際に、コーティング層やラミネート層が肌と直接接
触することのないように、コーティング層やラミネート
層側に裏地としてメッシュ等を用いる場合が多いが、こ
れらの裏地を使用すると縫製が煩雑になり、しかも裏地
を使用する分コストアップとなっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な現状に鑑みて行われたものであり、コーティング層や
ラミネート層の樹脂面が結露しにくく、樹脂面に直接肌
が接しても、べたつき感や冷え感を感じにくく、ドライ
な感触を維持できうる透湿防水布帛を得ることを目的と
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。すなわち、本発明は、「吸放湿性成分と繊維形成性
ポリマーからなる合成繊維であって、25℃×60%R
H環境下で平衡水分率に達した前記合成繊維を34℃×
90%RH環境下に30分間放置したときの吸湿性が
1.5質量%以上、34℃×90%RH環境下で平衡水
分率に達した前記合成繊維を25℃×60%RH環境下
に30分間放置したときの放湿性が2質量%以上である
吸放湿性合成繊維を少なくとも一部に用いて構成されて
いる繊維布帛であって、該繊維布帛上にポリウレタン樹
脂主体の合成重合体よりなる樹脂層が形成されているこ
とを特徴とする結露防止性に優れた透湿防水布帛。」、
「吸放湿性成分がポリアルキレンオキサイドとポリオー
ルおよび脂肪族ジイソシアネート化合物との反応によっ
て得られたポリアルキレンオキサイド変性物である請求
項1記載の結露防止性に優れた透湿防水布帛。」、「吸
放湿性合成繊維が吸放湿性成分を芯部に含有する芯鞘型
複合繊維である請求項1又は2記載の結露防止性に優れ
た透湿防水布帛。」、「結露量が10g/m2・15分以
下である請求項1乃至3記載の結露防止性に優れた透湿
防水布帛。」、「樹脂層が平均粒径が0.1μm以下
で、かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が30
0ミリリットル/100g以上の疎水性二酸化珪素微粉
末または該疎水性二酸化珪素微粉末と最大粒径10μm
以下の親水性を有する無機微粉末を含有した有孔樹脂層
である請求項1乃至4記載の結露防止性に優れた透湿防
水布帛。」、ならびに「樹脂層が平均粒径が0.1μm
以下で、かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が
300ミリリットル/100g以上の疎水性二酸化珪素
微粉末または該疎水性二酸化珪素微粉末と最大粒径10
μm以下の親水性を有する無機微粉末を含有した有孔樹
脂層と該有孔樹脂層上に最大粒径10μm以下の親水性
を有する無機微粉末を0〜10質量%含有させた無孔樹
脂層からなる請求項1乃至4記載の結露防止性に優れた
透湿防水布帛。」を要旨とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の繊維布帛を構成する吸放湿性合成繊維
は、吸放湿性成分と繊維形成性ポリマーとで構成された
繊維である。この合成繊維は、25℃×60%RH環境
下で平衡水分率に達した前記合成繊維を34℃×90%
RH環境下に30分間放置したときの吸湿性が1.5質
量%以上、34℃×90%RH環境下で平衡水分率に達
した前記合成繊維を25℃×60%RH環境下に30分
間放置したときの放湿率が2質量%以上の吸放湿性を有
している必要がある。
【0007】ここで、34℃×90%RHの温湿度条件
は、初夏から盛夏にかけて人が衣服を着用しているとき
の人体と衣服の間の温湿度状態に概ね相当するものであ
り、25℃×60%RHの温湿度条件は、年間を通じて
概ね平均的な温湿度状態や室内環境を想定したものであ
る。したがって、25℃×60%RH環境下で平衡水分
率に達した合成繊維を34℃×90%RH環境下に30
分間放置したときの吸湿性が1.5質量%以上、好まし
くは2.5質量%以上であることにより、後述する布帛
は人体から排出される汗の水蒸気をすばやく吸湿するこ
とができる。また、34℃×90%RH環境下で平衡水
分率に達した合成繊維を25℃×60%RH環境下に3
0分間放置したときの放湿性が2質量%以上、好ましく
は3質量%以上であることにより、後述する布帛はいっ
たん吸湿した繊維内部水分を、通常、衣服内の空間より
温湿度の低い衣服外の空間へとすばやく放湿することが
できる。
【0008】実際には、合成繊維は人体から排出される
水蒸気の汗を吸湿しながら同時に衣服外へと放出するの
で、吸湿性と放湿性を別々に測定することは困難である
が、ここでは前記の吸湿性および放湿性の定義でその指
標とした。前述したように、本発明の吸放湿性合成繊維
は、吸湿性が1.5質量%以上で、放湿性が2質量%以
上である必要があるが、放湿性が吸湿性と同等かまたは
高いことが好ましい。
【0009】前記の吸放湿性能は、本発明の吸放湿性合
成繊維に用いられる吸放湿性成分によってもたらされる
ものであるが、吸放湿性成分としては、前述の吸放湿性
能を満足し、色調変化の少ないものであればよい。好ま
しくは、ポリアルキレンオキサイドとポリオールおよび
脂肪族ジイソシアネート化合物との反応によって得られ
るポリアルキレンオキサイド変性物である。特に、次の
群からそれぞれ1種以上選ばれた化合物の反応により得
られた変性物が繊維形成性ポリマーと同時に溶融紡糸が
可能である点からも好ましい。
【0010】ポリアルキレンオキサイドとしてはポリエ
チレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドおよび両
者の共重合体、ポリオールとしてはエチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなど
のグリコール類、脂肪族ジイソシアネートは、ここでは
脂環族ジイソシアネートも含むが、ジシクロヘキシルメ
タン−4,4´−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメ
チレンジイソシアネートなどが挙げられる。ここで、芳
香族成分を含むジイソシアネートを用いると、紡糸時の
着色または得られた繊維の経時的な黄変がみられるので
好ましくない。
【0011】本発明に用いられる繊維形成性ポリマーと
しては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン
46などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、
ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレートなどのポリエステル、ポリエチレンやポリプロ
ピレンなどのポリオレフィンやこれらの共重合ポリマー
などが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。しかしながらこれらの中でも、後述するコーティン
グ樹脂層を繊維布帛上に形成せしめる観点から染料移行
昇華のないポリアミドを用いることが好ましい。また、
繊維形成性ポリマーには艶消し剤、紫外線吸収剤、顔
料、光安定剤、耐熱剤などの添加剤を添加しても差し支
えない。
【0012】本発明の合成繊維は、吸放湿性成分と繊維
形成性ポリマーから構成されてなるが、形態としては、
例えば、吸放湿性成分と繊維形成性ポリマー成分が均
一、あるいは不均一にブレンドされた繊維、両者が独立
に存在する芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型、一方
の成分が他方の成分によって複数に分割された多分割型
など各種のコンジュゲート繊維、吸放湿性成分と繊維形
成性ポリマーのブレンド物を1成分とし、これと繊維形
成性ポリマーとのコンジュゲート繊維などが挙げられ
る。
【0013】吸放湿性成分は、繊維の内層および/また
は外層のいずれに配してもよいが、衣料用途に用いる場
合は、吸放湿性成分を繊維表面に露出させることなく、
内層(芯部)に配することが、吸湿時のぬめり感や染色
斑の発生がなく、染色堅牢度も低下しないので特に好ま
しい。
【0014】本発明における吸放湿性成分と繊維形成性
ポリマーの構成比率としては、前記の吸湿性と放湿性を
同時に満足するように設定すればよく、また目的や用途
に応じて決定すればよい。例えば、吸放湿性成分として
前述のポリアルキレンオキサイド変性物を用いる場合、
繊維質量に対して2〜50質量%の範囲が好ましい。
【0015】また、吸放湿性合成繊維の単糸繊度は、一
般に0.1〜22デシテックスの範囲が好ましいが、特
に限定されるものではなく、断面形状についてもどのよ
うな形状であってもよい。さらに、本発明の吸放湿性合
成繊維は、マルチフィラメントの長繊維として使用する
ことがコストの面で好ましいが、短繊維化して紡績糸と
して用いることも可能である。
【0016】本発明の繊維布帛は上記吸放湿性合成繊維
を少なくとも一部使用したものであり、上記吸放湿性合
成繊維を100%使用してもよく、またポリアミド繊
維、ポリエステル繊維等の他の繊維との交編、交織ある
いは吸放湿性合成繊維と他の繊維からなる混繊糸を用い
た布帛であってもよい。ここで、他の繊維を使用する際
の混合率については、本発明の目的である結露防止性を
阻害しない範囲であればよく、本発明では特に限定しな
い。
【0017】本発明では、上述の吸放湿性合成繊維を少
なくとも一部に用いて構成した繊維布帛上にポリウレタ
ン樹脂主体の合成重合体よりなる樹脂層を形成せしめ
る。ここで、本発明では上記の繊維布帛に撥水剤処理を
施したものを用いてもよく、これは、透湿防水布帛の製
造時に樹脂溶液の布帛内部への浸透を防ぐための一手段
である。この場合の撥水剤としては、パラフィン系撥水
剤やポリシロキサン系撥水剤、フッ素系撥水剤などの公
知のものを使用すれば良く、その処理も、一般に行われ
ているパディング法、スプレー法など、公知の方法でよ
く、特に良好な撥水性を必要とする場合にはフッ素系撥
水剤を使用し、例えば、アサヒガード730(旭硝子株
式会社製、フッ素系撥水剤エマルジョン)を5%の水分
散液でパディング(絞り率35%)した後、160℃で
1分間の熱処理を行う方法などによって行えばよい。
【0018】本発明で用いるポリウレタン樹脂主体の合
成重合体とは、ポリウレタン成分を50〜100質量%
含むものをいい、その他の合成重合体としては、例え
ば、ポリアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、
ポリブタジエン、ポリアミノ酸等やこれらの共重合体な
どを50質量%未満の範囲で含んでいても良く、勿論、
フッ素やシリコンなどで変性した化合物も本発明で使用
できる。
【0019】ここで用いるポリウレタン樹脂とは、ポリ
イソシアネートとポリオールを反応せしめて得られる共
重合体である。イソシアネート成分として芳香族ジイソ
シアネート、脂肪族ジイソシアネートおよび脂環族ジイ
ソシアネートの単独またはこれらの混合物を用い、例え
ば、トリレン2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジ
イソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネ
ート等を主成分として用い、必要に応じ3官能以上のイ
ソシアネートを使用しても良い。
【0020】また、ポリオール成分としては、ポリエー
テルポリオール、ポリエステルポリオールを挙げること
ができ、具体的にはポリエーテルポリオールとしては、
例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール等が用いられ、
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレング
リコール、プロピレングリコール等のジオールとアジピ
ン酸、セバチン酸などの2塩基酸との反応生成物やカプ
ロラクトン等の開環重合物を用いることができる。
【0021】樹脂層の形成に際しては、繊維布帛に樹脂
溶液を直接コーティングする、いわゆるダイレクト・コ
ーティング方式によって布帛に樹脂層を形成してもよ
く、またあらかじめ離型紙上に樹脂溶液をコーティング
して製膜し、これを布帛とラミネートする、いわゆるラ
ミネート方式によって布帛に樹脂層を形成してもよい。
【0022】ダイレクト・コーティング方式には、湿式
製膜法と乾式製膜法があり、湿式製膜法では、極性有機
溶剤を混合して使用するが、ここで用いる極性有機溶剤
としては、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、ジメチルスルホキサイド、N−メチルピロ
リドン、ヘキサメチレンホスホンアミドなどを挙げるこ
とができる。
【0023】また、乾式製膜法では、揮発性有機溶剤お
よび水を使用するが、ここで用いる揮発性有機溶剤とし
ては、ケトン類や芳香族炭化水素類があり、ケトン類と
してはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン等、芳香族炭化水素類としてはトルエン、キシ
レン等を挙げることができる。
【0024】樹脂層を形成する際に、樹脂層と繊維布帛
との耐剥離性を向上させる目的で、ダイレクト・コーテ
ィング法では樹脂溶液中に、ラミネート法ではバインダ
ーに、樹脂および繊維布帛との親和性の高い化合物を併
用してもよく、その化合物としてイソシアネート化合物
が好適に使用できる。イソシアネート化合物としては、
トリレン2,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン
ジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネートまたは、これらのジイソ
シアネート類3モルと、活性水素を含有する化合物(例
えば、トリメチロールプロパン、グリセリン等)1モル
との付加反応によって得られるトリイソシアネート類が
使用できる。上記のイソシアネート類は、イソシアネー
ト基が遊離した形のものであっても、あるいはフェノー
ル、ラクタム、メチルケトンなどで付加ブロック体を形
成させ、熱処理によって解離させる形のものであっても
よく、作業性や用途などにより適宜使い分ければよい。
【0025】樹脂溶液をダイレクト・コーティング法に
より繊維布帛上に塗布するには、通常のコーティング
法、例えば、ナイフコータやコンマコータ等を用いたコ
ーティング法等により行えばよい。また、ラミネート法
では、樹脂溶液を離型紙上にナイフオーバーロールコー
タ等を用いてコーティングし、乾式製膜後、ポリウレタ
ン系接着剤にて繊維布帛にラミネートすればよい。
【0026】本発明において、防水性をさらに向上させ
る目的で、得られたコーティング布帛やラミネート布帛
に撥水処理を行ってもよい。撥水処理に際しては、前述
のような一般に実施されている公知の撥水処理法を採用
すればよい。
【0027】上述の製膜法のうち、繊維布帛に結露防止
性、透湿性、防水性をバランスよくかつ高度に付与する
方法として、ダイレクト・コーティング法が好ましく、
中でも樹脂層として、ポリウレタン樹脂に平均粒径が
0.1μm以下で、かつN,N−ジメチルホルムアミド
の吸着量が300ミリリットル/100g以上の疎水性
二酸化珪素微粉末を含有せしめ、湿式製膜法により得ら
れた有孔樹脂層や該有孔樹脂層上に無孔質層を乾式製膜
法により形成せしめたもの、あるいは、ポリウレタン樹
脂に平均粒径が0.1μm以下で、かつN,N−ジメチ
ルホルムアミドの吸着量が300ミリリットル/100
g以上の疎水性二酸化珪素微粉末ならびに最大粒径10
μm以下の親水性を有する無機微粉末を含有せしめ、湿
式製膜法により得られた有孔樹脂層や該有孔樹脂層上に
最大粒径10μm以下の親水性を有する無機微粉末を含
有させた無孔質層を乾式製膜法により形成せしめたもの
が特に好ましい。
【0028】本発明で用いる疎水性二酸化珪素微粉末と
しては、通常の湿式粉砕法やボールミル粉砕法で微粉化
された粉末や、ハロゲン化金属の気相酸化法、燃焼加水
分解法、電弧法等の乾式法によって得られる微粉末の表
面に存在しているシラノール基数を、ジメチルジクロロ
シラン等の有機珪素ハロゲン化物やアルコール類と反応
させて減少させることで疎水性に改質したものを挙げる
ことができる。これらの方法により得られた微粉末は、
一般的に粒径が0.05μm以下で、実質的に無孔であ
ると同時に、非常に多いN,N−ジメチルホルムアミド
吸着量を有している。
【0029】ここでいうN,N−ジメチルホルムアミド
吸着量とは、該微粉末5gをガラス平板状の上に置き、
N,N−ジメチルホルムアミドを1滴滴下するごとにス
テンレス製のへらを用いて練り合わせる作業を繰り返
し、N,N−ジメチルホルムアミドの1滴で急激に軟ら
かくなる直前までに要したN,N−ジメチルホルムアミ
ドの体積(単位:ミリリットル)を意味しており、JI
S K−5101の煮あまに油の代わりにN,N−ジメ
チルホルムアミドを用いたものである。
【0030】本発明に用いる疎水性二酸化珪素微粉末
は、前述のポリウレタン樹脂主体の合成重合体に対し3
〜30質量%用いることが好ましく、3質量%未満で
は、得られるコーティング布帛の微細空洞部の孔数が少
なくなり、高透湿性能が得られにくく、30質量%より
多く用いても更なる透湿性能の向上は認められにくく、
かつ樹脂皮膜が脆くなるので好ましくない。
【0031】本発明で用いる親水性を有する無機微粉末
としては、公知の気相法、液相法、オートクレーブ法、
メカノケミカル法等を用いて、酸化アルミニウム、酸化
チタン、シリカゲル、酸化亜鉛、マグネシア等の無機物
の表面をアルコール、有機酸、有機アミン、有機シリル
化合物等で処理し、微粉末の表面を親水化したものであ
り、本発明では特に限定しないが、好ましくは親水性二
酸化珪素系微粉末が用いられる。
【0032】親水性二酸化珪素系微粉末としては、珪酸
ナトリウムを酸で中和する方法や酸性白土を原料として
硫酸で分解する方法等の湿式法により得られる多孔性の
含水珪酸や含水珪酸を主体とした微粉末または前記乾式
法により得られるシラノール基等の親水性基を有した微
粉末を挙げることができる。親水性二酸化珪素微粉末
は、二酸化珪素成分を50質量%以上含んだ微粉末であ
ればよく、例えば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、
酸化アルミニウム等をその他の成分として含んでいても
よく、勿論、他の無機物質や顔料、充填剤などと併用し
ても何ら差し支えない。
【0033】親水性を有する無機微粉末の最大粒径は、
10μm以下であることが必要であり、10μmを越え
ると得られるコーティング布帛の防水性能等に悪影響を
あたえるので好ましくなく、該微粉末の添加量は、前述
のポリウレタン樹脂主体の合成重合体に対し1〜10質
量%用いることが好ましく、1質量%未満では、得られ
るコーティング布帛の結露防止性に乏しく、10質量%
より多く用いても結露防止性の向上が少なくかつコーテ
ィング樹脂が不安定になって作業効率を悪くするので好
ましくない。
【0034】本発明では、上述の疎水性二酸化珪素微粉
末または該疎水性二酸化珪素微粉末と親水性を有する無
機微粉末を含有せしめた有孔樹脂層を繊維布帛上に形成
せしめるが、塗布量は目的とする透湿性、防水性により
適宜決定すればよく、例えば60kPa以上の耐水圧を
得るために、樹脂乾燥皮膜質量が10g/m2以上、好
ましくは15g/m2以上になるように塗布量を調節し
て行えばよい。
【0035】また本発明では、該有孔樹脂層上に親水性
を有する無機微粉末を0〜10質量%含有せしめた無孔
樹脂層を繊維布帛に形成するが、塗布量は所望の防水
性、透湿性により適宜決定すればよく、少なくとも乾燥
樹脂膜質量が0.5g/m2以上15g/m2以下、好ま
しくは1g/m2以上10g/m2以下になるように塗布
量を調節して行えばよい。
【0036】本発明で用いる結露量とは、20℃×60
%RHの環境下で40℃の温水を500ミリリットル入
れたステンレス製カップ(内径及び高さ10cm、厚さ
1mm)に、試料のコーティング面を温水の方向に向け
てゴム製バンドで装着して、10℃×60%RHの環境
下に置き、15分間放置後のコーティング面に付着した
水分量をいう。本発明の透湿防水布帛の結露量は、好ま
しくは10g/m2・15分以下であり、さらに好まし
くは5g/m2・15分以下である。結露量が10g/
2・15分を越えると、着用中に環境温度が低下した
場合、樹脂膜への結露量が多くなり、冷え感やべとつき
感を生じる場合がある。本発明は以上の構成を有するも
のである。
【0037】
【作用】本発明の透湿防水布帛を構成する吸放湿性合成
繊維は、優れた吸放湿性を発現する。一般に透湿防水布
帛は、身体からの発汗による水蒸気を衣服内外の蒸気圧
差により衣服外へ放出しているが、本発明の透湿防水布
帛は、この蒸気圧差の作用に加え、布帛自体が有する上
述の優れた吸湿性能により、衣服内の水蒸気を強制的に
捕捉し、さらに捕捉した水蒸気を優れた放湿性により衣
服外に放出し、透湿性能を助ける作用を有すると思われ
る。その結果、発汗量が多くても、強制的に効率よく水
蒸気を衣服外へ放出し、拡散させるため、衣服内に水分
を蓄えることなく、ベトツキ感のないドライな感触を維
持することができる。
【0038】また、平均粒径0.1μm以下で、かつ
N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が300ミリリ
ットル/100g以上の本発明の疎水性二酸化珪素微粉
末を分散させたポリウレタン樹脂主体の合成重合体を用
いて布帛にコーティングして湿式凝固を行うと、凝固液
である水と樹脂溶剤であるN,N−ジメチルホルムアミ
ドが混和し、樹脂液から溶剤が速やかに離脱していくこ
とにより樹脂の凝固が始まるが、その際、平均粒径0.
1μm以下で、かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸
着量が300ミリリットル/100g以上の疎水性二酸
化珪素微粉末が均一に分散していると、該微粉末の表面
は他の部分に比べて樹脂溶液中におけるN,N−ジメチ
ルホルムアミドの濃度が高く、いいかえれば、ポリウレ
タン樹脂主体の合成重合体のN,N−ジメチルホルムア
ミドの濃度が低い状態にある。
【0039】このため、湿式凝固過程において、凝固液
である水がまず該微粉末表面のN,N−ジメチルホルム
アミドと置き換わり、その周囲で速やかに凝固が始ま
り、ポリウレタン樹脂特有のハニカムスキンコア構造の
他に、均一に分散している微粉末の周囲で、無数に1μ
m以下の微細孔が発現することで非常にポーラスな形態
となり、十分な透湿性能を有しながら高い防水性能が得
られることとなり、前述の布帛による吸放湿性能と透湿
性能とが相まって高度の結露防止性能を発揮できるもの
と推測している。
【0040】さらに、本発明では樹脂膜に疎水性二酸化
珪素微粉末と親水性二酸化珪素微粉末を均一分散させる
ことで、親水性物質が上記の如くの疎水性二酸化珪素微
粉末の作用によるポーラスな形態になっている樹脂膜中
に部分的に全体層に存在させることで、相乗的に水蒸気
を速やかに放出しやすくして結露防止性を向上させるも
のと推測している。
【0041】また、この有孔樹脂膜の上にさらに無孔樹
脂膜を形成すると、樹脂膜の無孔性故により一層防水性
が向上し、しかもこの無孔樹脂膜中に親水性を有する無
機微粉末が均一分散しているので、優れた結露防止性能
を発揮できるものと推測している。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、実施例における性能の測定と評価は、次の
方法で行った。 (1)ポリアルキレンオキサイド変性物の溶融粘度 測定試料としてポリアルキレンオキサイド変性物1.5
gを用い、フローテスター(島津製作所製CFT−50
0D)を用いて、荷重50Kg/cm2、温度170
℃、ダイ直径1mm、ダイ長さ1mmの条件で測定し
た。
【0043】(2)ポリアルキレンオキサイド変性物の
吸水能(g/g) 純水200ミリリットル中に、秤量したポリアルキレン
オキサイド変性物1gを添加し、24時間撹拌した後、
200メッシュの金網でろ過し、ろ過後のゲルの質量を
吸水能[g(純水)/g(樹脂)]とした。
【0044】(3)吸湿性および放湿性 試料を温度105℃で2時間乾燥して質量W0を測定し
た後、25℃×60%RHの条件下で24時間放置し
て、試料質量W1を測定する。次に、この試料を34℃
×90%RHの条件下に移し、30分後の試料質量W 2
を測定する。続いて、試料をさらに、34℃×90%R
Hの条件下に24時間放置し、試料質量W3を測定した
後、再度25℃×60%RHの条件下に移し、30分後
の試料質量W4を測定する。ここで得られたW0〜W4
を下記式に代入し、吸湿性および放湿性を求めた。 吸湿性(%)=[(W2−W1)/W0]×100 放湿性(%)=[(W3−W4)/W0]×100
【0045】(4)結露量 40℃の温水を500ミリリットル入れたステンレス製
カップ(内径及び高さ10cm、厚さ1mm)に、試料
のコーティング面を温水の方向に向けてゴム製バンドで
装着して、10℃×60%RHの環境下に置き、15分
間放置後の結露状態を肉眼にて観察すると共にコーティ
ング面に付着した水分を測定し結露量とした。
【0046】(5)耐水圧 JIS L-1092(高水圧法)
【0047】(6)透湿度 JIS L-1099(A−1法)
【0048】実施例1 繊維形成性ポリマーとしてm−クレゾール溶媒中で濃度
0.5g/デシリットル、温度20℃にて測定した相対
粘度2.6のナイロン6を83.7質量部と、吸放湿性
成分としてポリエチレンオキサイド、1,4−ブタンジ
オールおよびジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイ
ソシアネートの反応物であるポリエチレンオキササイド
変性物(吸水能35g/g、溶融粘度4000ポイズ)
16質量部、さらに安定剤として1−[2−{3−
(3,5−ジーt−ブチルー4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニルオキシ}エチル]−4{3(3,5−ジー
5−ジーt−ブチルー4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン(SANOLLS2626 三共社株式会社製)
0.3質量部とをドライブレンドした混合物を芯成分、
上記ナイロン6を鞘成分とし、芯成分/鞘成分の質量比
が25/75の芯鞘型複合繊維を溶融紡糸した。その
際、48孔の吐出孔を有する紡糸口金を使用して、紡糸
温度255℃で溶融紡糸し、紡出した糸条に18℃の空
気を吹きつけて冷却し、油剤を付与した後、1300m
/分で捲き取り、2.1倍の延伸を行って、本発明で使
用する芯鞘型吸放湿合成繊維78dtex/48fを得
た。なお、上記のポリエチレンオキササイド変性物は、
特開平6−316623号公報に記載の吸水性樹脂の製
法に準じて合成した。
【0049】ここで、経糸、緯糸の双方に上記吸放湿性
合成繊維78dtex/48fを用いて、経糸密度120
本/2.5cm、緯糸密度90本/2.5cmの平織物を製
織し、その生機を用いて常法により精練、プレセットを
行い、Suminol Fast Yellow2GP(住友化学株式会社製、
酸性染料)2%omfにて染色した。次いで上記染色布
帛をエマルジョンタイプのフッ素系撥水剤のアサヒガー
ドLS−317(旭硝子株式会社製)7%水分散液でパ
ディング(絞り率35%)し、乾燥後、170℃で30
秒間の熱処理を行った。この後、鏡面ロールを持つカレ
ンダー加工機を用いて、温度170℃、圧力250kP
a、速度30m/分の条件でカレンダー加工を行い、コ
ーティング用の基布を得た。
【0050】次に下記処方1に示す樹脂固形分濃度30
%のポリウレタン樹脂溶液を、ナイフオーバーロールコ
ータを使用して、塗布量150g/m2にて上記コーティ
ング基布に塗布した後、80℃で2分間乾燥を行い、1
50℃、1分間熱処理を行った。さらに、コーティング
面を撥水処理すべくアサヒガードLS−317(旭硝子
株式会社製)の6%水分散液でパディング(絞り率30
%)し、乾燥した後、150℃で40秒間の熱処理を行
い、ダイレクト・コーティング法(乾式製膜法)によ
り、本発明の透湿防水織物布帛(実施例1とする。)を
得た。
【0051】処方1 ハイムレン X−3038 100部 (ポリウレタン樹脂、大日精化工業株式会社製) レザミン X 2部 (イソシアネート化合物、大日精化工業株式会社製) メチルエチルケトン 15部 トルエン 15部 水 40部
【0052】本発明との比較のため、実施例1において
芯鞘型吸放湿合成繊維の芯部分に使用した吸放湿性成分
を省き芯成分をナイロン6のみとする他は、実施例1と
全く同一の方法により比較用の透湿防水布帛(比較例1
とする。)を得た。本発明および比較用の透湿防水布帛
の性能を測定・評価し、その結果を合わせて表1に示し
た。
【0053】
【表1】
【0054】表1より明らかなごとく、本発明の透湿防
水布帛は、透湿性、防水性が非常に良好であり、しかも
結露量が少なく、結露しにくいことがわかる。
【0055】実施例2 繊維形成性ポリマーとしてフェノールとテトラクロロエ
タンの等質量混合溶媒中で濃度0.5g/デシリット
ル、温度25℃にて測定した相対粘度1.38のポリエ
チレンテレフタレートを80質量部と、吸放湿性成分と
してポリエチレンオキサイド、1,4−ブタンジオール
およびジシクロヘキシルメタン−4,4‘−ジイソシア
ネートの反応物であるポリエチレンオキササイド変性物
(吸水能35g/g、溶融粘度4000ポイズ)20質
量部とをドライブレンドした混合物を芯成分、上記ポリ
エチレンテレフタレートを鞘成分とし、芯成分/鞘成分
の質量比が50/50の芯鞘型複合繊維を溶融紡糸し
た。その際、24孔の吐出孔を有する紡糸口金を使用し
て、紡糸温度270℃で溶融紡糸し、紡出した糸条に1
5℃の空気を吹きつけて冷却し、油剤を付与した後、3
500m/分で捲き取り、1.5倍の延伸を行って、本
発明で使用する芯鞘型吸放湿合成繊維56dtex/2
4fを得た。なお、上記のポリエチレンオキササイド変
性物は、特開平6−316623号公報に記載の吸水性
樹脂の製法に準じて合成した。
【0056】上記吸放湿性合成繊維56dtex/24
fフロント糸およびバック糸の両方に用いて、コース密
度55本/2.5cm、ウエール密度41本/2.5c
mのトリコットハーフを製編し、その生機を用いて常法
により精練、プレセット後、Kayalon Polyester Blue2R
-SL(日本化薬工業株式会社製、分散染料)2%omfに
て染色した。次に、下記処方2に示す樹脂固形分25%
のポリウレタン樹脂溶液を、ナイフオーバーロールコー
タを使用して、塗布量65g/m2にて離型紙上に塗布
した後、80℃で3分間の乾燥を行った。
【0057】処方2 ハイムレンNPU−5 100部 (ポリウレタン樹脂、大日精化工業株式会社製) トルエン 20部 イソプロピルアルコール 20部
【0058】上述のようにして形成されたポリウレタン
樹脂層の上に、下記処方3に示すポリウレタン系接着剤
溶液をナイフオーバーロールコータを用いて、塗布量4
5g/m2にて塗布した後、60℃で3分間の乾燥を行
い、これに上記編物を貼り合わせて、90℃、980k
Paの条件にて熱圧着を行った。引き続き、室温にて4
8時間エージング後、離型紙を剥離し、得られたラミネ
ート編物をフッ素系撥水剤アサヒガードLS−317
(旭硝子株式会社製)の5%水分散液でパディング(絞
り率70%)し、その後乾燥、150℃で40秒間の熱
処理を行い、本発明の透湿防水編物(実施例2とす
る。)を得た。
【0059】処方3 クリスボンN−184 100部 (ジオール化合物、大日本インキ化学工業株式会社製) バーノックDN−950 10部 (イソシアネート化合物、大日本インキ化学工業株式会
社製) アクセルT 3部 (触媒、大日本インキ化学工業株式会社製) トルエン 40部
【0060】本発明との比較のため、実施例2において
芯鞘型吸放湿合成繊維の芯部分に使用した吸放湿性成分
を省き芯成分をポリエチレンテレフタレートのみとする
他は、実施例2と全く同一の方法により比較用の透湿防
水編物(比較例2とする。)を得た。本発明2および比
較用2の透湿防水編物の性能を測定、評価しその結果を
合わせて表2に示した。
【0061】
【表2】
【0062】表2より明らかなごとく、本発明の透湿防
水布帛は、透湿性、防水性が非常に良好であり、しかも
結露量が少なく、結露しにくいことがわかる。
【0063】実施例3 実施例2と同一の芯鞘型吸放湿複合繊維56dtex/
24fを経糸、緯糸の双方に用いて、経糸密度150本
/2.5cm、緯糸密度110本/2.5cmのタフタ
を製織し、通常の方法により精練とKayalon Polyester
Blue 2R-SL(日本化薬工業株式会社製、分散染料)2%
omfにて染色を行った後、エマルジョンタイプのフッ
素系撥水剤のアサヒガードLS−317(旭硝子株式会
社製)7%水分散液でパディング(絞り率35%)し、
乾燥後、170℃で30秒間の熱処理を行った。次に、
鏡面ロールを持つカレンダー加工機を用いて、温度17
0℃、圧力250kPa、速度30m/分の条件でカレ
ンダー加工を行い、コーティング用の基布を得た。
【0064】次いで、下記処方4に示す組成で、固形分
濃度22%、粘度10000mPa・s(25℃)のポ
リウレタン樹脂溶液を、コンマコーターを用いて上述の
基布のカレンダー面に塗布量90g/m2にて塗布した
後、直ちに15℃の水中で30秒間浸漬して樹脂分を凝
固させ、続いて50℃の温水で10分間の洗浄後、乾燥
を行い、有孔樹脂層を形成した。なお、この有孔樹脂層
には、無機微粉末が9質量%含有していた。
【0065】処方4 ラックスキン1740−29B 100部 (セイコー化成株式会社製、湿式用ポリウレタン樹脂) レザミンX 1部 (大日精化工業株式会社製、イソシアネート化合物) N,N−ジメチルホルムアミド 40部 AEROSIL R−972 3部 (日本アエロジル株式会社製、平均粒径が約0.016
μm、N,N−ジメチルホルムアミド吸着量が350ミ
リリットル/100gの疎水性二酸化珪素微末)
【0066】次に、コーティング面を撥水処理すべくア
サヒガードLS−317の6%水分散液でパディング
(絞り率30%)し、その後乾燥、170℃で40秒間
の熱処理を行い、ダイレクト・コーティング法(湿式製
膜法)による本発明の透湿防水織物(実施例3とす
る。)を得た。
【0067】実施例4 実施例3の透湿防水織物を用い、有孔樹脂層上に、下記
処方5に示す組成で、固形分濃度25%、粘度2500
mPa・s(25℃)のポリウレタン樹脂溶液を、フロ
ーティングナイフコータを用いて、1m2当たりの塗布量
が16gとなるように塗布した後、100℃で3分間乾
燥し、無孔樹脂膜を形成させ、1m2当たりの乾燥樹脂塗
布量が4.0gの本発明の透湿防水布帛(実施例4とす
る。)を得た。
【0068】処方5 ラックスキンU2514−1 100部 (セイコー化成株式会社製、エーテル型ポリウレタン樹
脂) イソプロピルアルコール 10部 トルエン 15部
【0069】本発明と比較のため、コーティング用布帛
として実施例3に記載の本発明の織物を構成する芯鞘型
吸放湿合成繊維の芯部分に使用した吸放湿性成分を省き
芯成分をポリエチレンテレフタレートのみとして用いる
他は、実施例3および4と全く同一の方法により比較用
の透湿防水織物(比較例3、4とする。)を得た。本発
明および比較用の透湿防水織物の性能を測定・評価し、
その結果を合わせて表3に示した。
【0070】
【表3】
【0071】表3より明らかなごとく、本発明の透湿防
水布帛は、高度の透湿性、防水性を有しながら、しかも
結露量が少なく、結露しにくいことがわかる。
【0072】実施例5 実施例1のコーティング用基布を用い、下記処方6に示
す組成で、固形分濃度25%,粘度11000mPa・
s(25℃)のポリウレタン樹脂溶液を、ナイフオーバ
ーロールコータを用いて上述のカレンダー面に塗布量1
00g/m2にて塗布した後、直ちに15℃の水中で4
0秒間浸漬して樹脂分を凝固させ、続いて50℃の温水
中で10分間の洗浄後、乾燥を行い有孔樹脂層を形成し
た。なお、この有孔樹脂層には、疎水性二酸化珪素微粉
末を14質量%,親水性二酸化珪素系微粉末を4質量%
含有していた。
【0073】処方6 ラックスキン 1740−29B 100部 (セイコー化成株式会社製、エステル型ポリウレタン樹
脂) レザミンX 1部 (大日精化工業株式会社製、イソシアネート化合物) N,N−ジメチルホルムアミド 35部 AEROSIL R−972 5部 (日本アエロジル株式会社製、平均粒径が約0.016
μm、N,N−ジメチルホルムアミド吸着量が350ミ
リリットル/100gの疎水性二酸化珪素微粉末) Nipsil E200 1.5部 {日本シリカ工業株式会社製、粒径が9μm以下(平均
粒子径2.5μm)の含水タイプの親水性二酸化珪素微
粉末}
【0074】次に、コーティング面を撥水処理すべくア
サヒガードLS−317の6%水分散液でパディング
(絞り率30%)し、その後乾燥、170℃で40秒間
の熱処理を行い、ダイレクト・コーティング法(湿式製
膜法)による本発明の透湿防水布帛(実施例5とす
る。)を得た。
【0075】実施例6 実施例5の透湿防水織物の有孔樹脂層上に、下記処方7
に示す組成で、固形分濃度25%,粘度2500mPa
・s(25℃)のポリウレタン樹脂溶液を、フローティ
ングナイフコータを用いて、1m2当たりの塗布量が16
gとなるように塗布した後、100℃で3分間の乾燥し
無孔樹脂層を形成し、本発明の透湿防水布帛(実施例6
とする。)を得た。なお、この無孔樹脂層には、親水性
二酸化珪素系微粉末を5質量%含有し、1m2当たりの
乾燥樹脂塗布量が4.0gであった。
【0076】処方7 ラックスキンU2514−1 100部 (セイコー化成株式会社製、エーテル型ポリウレタン樹
脂) イソプロピルアルコール 10部 トルエン 15部 Nipsil E200 1.5部 {日本シリカ工業株式会社製、粒径が9μm以下(平均
粒子径2.5μm)の含水タイプの親水性二酸化珪素微
粉末}
【0077】本発明と比較のため、コーティング用基布
帛として実施例1に記載の本発明の織物を構成する芯鞘
型吸放湿合成繊維の芯部分に使用した吸放湿性成分を省
き芯成分をナイロン6のみとして用いる他は、実施例5
および6と全く同一の方法により比較用の透湿防水布帛
(比較例5、6とする。)を得た。本発明および比較用
の透湿防水織物の性能を測定・評価し、その結果を合わ
せて表4に示した。
【0078】
【表4】
【0079】表4より明らかなごとく、本発明の透湿防
水織物は、高度の透湿性、防水性を有しながら、しかも
結露量が少なく、結露しにくいことがわかる。また、結
露防止性向上のために、コーティング樹脂膜に含有した
親水性二酸化珪素微粉末の効果により、比較例5および
6の透湿防水織物においても、十分な結露防止性能を発
揮しているが、比較例に用いたナイロン6から成る織物
を、芯鞘型吸放湿合成繊維から成る織物に代えた本発明
の透湿防水布帛は、芯鞘型吸放湿合成繊維による吸放湿
効果と親水性二酸化珪素微粉末による効果とが相まっ
て、さらに高い結露性を有していることがわかる。
【0080】
【効果】本発明によれば、吸放湿性が良好で、しかもコ
ーティング膜やラミネート膜に結露しにくく、ドライな
感触を維持できる透湿防水布帛が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04B 21/00 D04B 21/00 B 4L048 D06M 11/79 D06M 101:34 // D06M 101:34 11/15 Fターム(参考) 4F100 AA01B AA20B AH02 AH03 AK48 AK51A AK51B AK54A BA02 DE01B DG01A DG11A DG12 DJ03B EH46 GB72 JB05B JB06B JD04 JD14B JD15A JD16A YY00A YY00B 4L002 AA05 AA07 AB02 AB05 AC00 CA01 DA03 EA00 EA03 FA01 4L031 AA20 AB32 BA20 DA08 DA21 4L033 AA08 AB05 AC03 AC07 CA50 DA03 4L041 AA07 AA08 AA19 BA02 BA05 BA21 BC02 BD14 BD20 CA06 CA21 CA35 DD01 DD03 DD14 DD18 4L048 AA24 AA28 AA54 AB07 AC15 CA07 CA08 CA11 DA03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸放湿性成分と繊維形成性ポリマーから
    なる合成繊維であって、25℃×60%RH環境下で平
    衡水分率に達した前記合成繊維を34℃×90%RH環
    境下に30分間放置したときの吸湿性が1.5質量%以
    上、34℃×90%RH環境下で平衡水分率に達した前
    記合成繊維を25℃×60%RH環境下に30分間放置
    したときの放湿性が2質量%以上である吸放湿性合成繊
    維を少なくとも一部に用いて構成されている繊維布帛で
    あって、該繊維布帛上にポリウレタン樹脂主体の合成重
    合体よりなる樹脂層が形成されていることを特徴とする
    結露防止性に優れた透湿防水布帛。
  2. 【請求項2】 吸放湿性成分がポリアルキレンオキサイ
    ドとポリオールおよび脂肪族ジイソシアネート化合物と
    の反応によって得られたポリアルキレンオキサイド変性
    物である請求項1記載の結露防止性に優れた透湿防水布
    帛。
  3. 【請求項3】 吸放湿性合成繊維が吸放湿性成分を芯部
    に含有する芯鞘型複合繊維である請求項1又は2記載の
    結露防止性に優れた透湿防水布帛。
  4. 【請求項4】 結露量が10g/m2・15分以下である
    請求項1乃至3記載の結露防止性に優れた透湿防水布
    帛。
  5. 【請求項5】 樹脂層が平均粒径が0.1μm以下で、
    かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が300ミ
    リリットル/100g以上の疎水性二酸化珪素微粉末ま
    たは該疎水性二酸化珪素微粉末と最大粒径10μm以下
    の親水性を有する無機微粉末を含有した有孔樹脂層であ
    る請求項1乃至4記載の結露防止性に優れた透湿防水布
    帛。
  6. 【請求項6】 樹脂層が平均粒径が0.1μm以下で、
    かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が300ミ
    リリットル/100g以上の疎水性二酸化珪素微粉末ま
    たは該疎水性二酸化珪素微粉末と最大粒径10μm以下
    の親水性を有する無機微粉末を含有した有孔樹脂層と該
    有孔樹脂層上に最大粒径10μm以下の親水性を有する
    無機微粉末を0〜10質量%含有させた無孔樹脂層から
    なる請求項1乃至4記載の結露防止性に優れた透湿防水
    布帛。
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