JP3834123B2 - 透湿防水性コーティング布帛及びその製造方法 - Google Patents

透湿防水性コーティング布帛及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、雨衣、外衣、登山衣等の各種衣料用として用いられる透湿性能および防水性能の優れたコーティング布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
透湿性と防水性を併せ持つ透湿防水布帛は、身体からの発汗による水蒸気を衣服外へ放出する機能と、雨が衣服内に進入するのを防ぐ機能を有しており、これらの機能を付与するために、糸を高密度に織り込んだ高密度織物や、ポリウレタン系樹脂、ポリアミノ酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等を布帛にコーティングまたはラミネートしたものが良く知られている。これらはスポーツ衣料や防寒衣料等に使用され、その中でも運動に伴う発汗量の比較的多いスポーツやアウトドア衣料分野に多く用いられており、スキー、アスレチック、登山分野では必要不可欠な素材となっている。このような従来の透湿防水布帛の中で、高密度織物タイプは十分な透湿性能を有してはいるが、防水性能は高々0.1kgf/cm2 程度であり、樹脂層を有するタイプの内、樹脂層が有孔のものは一般に優れた透湿性能を得やすいが、防水性能は0.2〜0.3kgf/cm2 程度しか得られず、一方、樹脂層が無孔のものは優れた防水性能は得やすいが、透湿性能はほとんどないか、多くても4000g/m2 ・24hrs程度のものしか得られていない。
【0003】
このような欠点を補うために、繊維布帛上にまず有孔の高透湿性樹脂層を形成し、その上に無孔の樹脂層を薄く形成して、優れた透湿性能と防水性能を得る方法が試みられており、この方法では優れた防水性能が得られるものの、透湿性能は高々3000〜5000g/m2 ・24hrs程度のものしか得られていない。
そこで本発明者らは、特開平6−280163号公報にて、平均粒径が1μm以下で、かつ、N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/100g以上の無機微粉末を1重量%以上含有せしめたポリウレタン樹脂皮膜を形成するコーティング布帛の加工方法を提案し、透湿度7000g/m2 ・24hrs以上、防水性能0.6kgf/cm2 以上の透湿防水性布帛を得ることに成功した。
しかしながら、運動に伴う発汗を衣服外にスムーズに放出するには、透湿量が多い方が好ましく、水中や豪雨の中で着用するには、防水性が高い方が好ましい事から、より高性能な透湿防水布帛が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑みて行われたもので、高い防水性能とより多い透湿性能を両立させ、着用快適性に優れた高性能の透湿防水布帛を得ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するもので、次の構成よりなるものである。すなわち本発明は「繊維布帛上にポリウレタン樹脂主体の合成重合体からなる有孔の樹脂層を有し、該樹脂層の断面方向にハニカムスキンコア構造の空洞部と微細空洞部が存在し、ハニカムスキンコア構造の空洞部の長径が1 〜40μmで、その面積比率が50〜70%、個数が(2〜10)×103 個/mm2 であり、且つ、該樹脂層の断面全体に存在する微細空洞部の長径が1μm以下で、その面積比率が1〜20%、個数が(1〜30)×105 個/mm2 であり、0.6〜2.5kgf/cm2 の耐水圧と8000〜12000g/m2 ・24hrsの透湿度を有することを特徴とする透湿防水性コーティング布帛」および「上記コーティング布帛を構成するポリウレタン樹脂主体の有孔の樹脂層上にポリウレタン樹脂主体の合成重合体からなる実質的に無孔の樹脂層を有し、2.5〜8kgf/cm2 の耐水圧と5000〜9000g/m2 ・24hrsの透湿度を有することを特徴とする透湿防水性コーティング布帛」
【0006】
並びに、「繊維布帛上に、平均粒径が1μm以下で、かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/100g以上の無機微粉末を1重量%以上含有させたポリウレタン樹脂主体の合成重合体、および該ポリウレタン樹脂主体の合成重合体と凝固価の異なるポリウレタン樹脂主体の合成重合体の混合樹脂溶液を塗布し、湿式製膜することを特徴とする耐水圧0.6〜2.5kgf/cm2 、透湿度8000〜12000g/m2 ・24hrsの透湿防水性コーティング布帛の製造方法」および「繊維布帛上に、平均粒径が1μm以下で、かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/100g以上の無機微粉末を1重量%以上含有させたポリウレタン樹脂主体の合成重合体、および該ポリウレタン樹脂主体の合成重合体と凝固価の異なるポリウレタン樹脂主体の合成重合体の混合樹脂溶液を塗布、湿式製膜し、しかる後に、ポリウレタン樹脂主体の合成重合体からなる実質的に無孔の樹脂を固形分換算で2〜15g/m2 塗布し、乾式製膜することを特徴とする耐水圧2.5〜8kgf/cm2 、透湿度5000〜9000g/m2 ・24hrsの透湿防水性コーティング布帛の製造方法」を要旨とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明を行う。
本発明で用いられる繊維布帛としては、ナイロン6やナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊維、ポリエチレンテレフタレートで代表されるポリエステル系合成繊維、ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維、トリアセテート等の半合成繊維あるいはナイロン6/木綿、ポリエチレンテレフタレート/木綿等の混合繊維からなる織物、編物、不織布などを挙げることができる。
【0008】
本発明では、上述の繊維布帛に撥水剤処理を施したものを用いても良い。
これは、透湿防水布の製造時に樹脂溶液の布帛内部への浸透を防ぐための一手段である。この場合の撥水剤としては、パラフィン系撥水剤やポリシロキサン系撥水剤、フッ素系撥水剤などの公知のものを使用すれば良く、その処理も、一般に行われているパディング法、スプレー法など、公知の方法で行えばよい。特に良好な撥水性を必要とする場合には、フッ素系撥水剤を使用し、例えば、アサヒガード730(旭硝子株式会社製、フッ素系撥水剤エマルジョン)を5%の水分散液でパディング(絞り率35%)した後、160℃で1分の熱処理を行う方法などによって行う。
【0009】
本発明で用いるポリウレタン樹脂主体の合成重合体とは、ポリウレタン成分を50〜100重量%含むものをいい、その他の合成重合体としては、ポリアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアミノ酸等やこれらの共重合体などを50重量%未満の範囲で含んでいても良く、勿論、フッ素やシリコンなどで変性した化合物も本発明で使用できる。
【0010】
ポリウレタン樹脂自体は、ポリイソシアネートとポリオールを反応せしめて得られる共重合体であり、イソシアネート成分として芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネートの単独またはこれらの混合物を用い、例えば、トリレン2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等を主成分として用い、必要に応じ3官能以上のイソシアネートを使用してもよい。また、ポリオール成分としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールを用い、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を用い、ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジオールとアジピン酸、セバチン酸などの2塩基酸との反応生成物やカプロラクトン等の開環重合物を用いる。
【0011】
本発明では、上述の樹脂を用いて、樹脂層の断面方向にハニカムスキンコア構造の空洞部と微細空洞部が存在し、ハニカムスキンコア構造の空洞部の長径が1 〜40μmで、その面積比率が50〜70%、個数が(2〜10)×103 個/mm2 であり、且つ、該樹脂層の断面全体に存在する微細空洞部の長径が1μm以下で、その面積比率が1〜20%、個数が(1〜30)×105 個/mm2 である有孔の樹脂層を有せしめ、且つ、0.6〜2.5kgf/cm2 の耐水圧と8000〜12000g/m2 ・24hrsの透湿度という優れた性能を発現させるために、平均粒径が1μm以下で、かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/100g以上の無機微粉末を1重量%以上含有させたポリウレタン樹脂主体の合成重合体と、該ポリウレタン樹脂主体の合成重合体と凝固価の異なるポリウレタン樹脂主体の合成重合体の溶液を混合し、繊維布帛上に塗布し、湿式製膜を行う。
【0012】
本発明で用いられる無機微粉末としては、通常の湿式粉砕法やボールミル粉砕法で微粉化された無機微粉末や、ハロゲン化金属の気相酸化法、燃焼加水分解法や電弧法等の乾式法によって得られる金属酸化物微粉末を挙げることができ、中でもこれらの方法により製造される二酸化ケイ素微粉末を代表として挙げることができる。これらの方法によって得られた微粉末は、一般的に粒径が0.05μm以下であると同時に、非常に多いN,N−ジメチルホルムアミド吸着量を有し、合成重合体樹脂溶液に添加せしめる無機微粉末として好適である。
さらに、この微粉末の表面を疎水性に改質したものを用いれば、漏水性の面からみてより一層好適であり、また該微粉末は、実質的に無孔である方が好ましい。
ここでいうN,N−ジメチルホルムアミド吸着量とは、無機微粉末5gをガラス平板上に置き、N,N−ジメチルホルムアミドを1滴滴下するごとにステンレス製のへらを用いて練り合わせる作業を繰り返し、N,N−ジメチルホルムアミドの1滴で急激に軟らかくなる直前までに要したN,N−ジメチルホルムアミドの体積(単位:ミリリットル)を意味しており、JIS K−5101の煮あまに油の代わりにN,N−ジメチルホルムアミドを用いたものである。
【0013】
本発明に用いる無機微粉末は、前述のポリウレタン樹脂主体の合成重合体に対し1重量%以上用いることが必要であり、好ましくは3重量%以上用いるのがよい。1重量%未満では、得られるコーティング布帛の微細空洞部の孔数が少なくなり、高透湿性能が得られない。
また、無機微粉末は、必ずしも高純度のものである必要はなく、不純物として他の無機物質、例えば顔料、充填剤などが含有されていても何ら差し支えない。
【0014】
本発明では、凝固価の異なる少なくとも2種のポリウレタン樹脂主体の合成重合体を用いるが、凝固価とは該ポリウレタン樹脂主体の合成重合体を溶剤(N,N−ジメチルホルムアミド)で4倍に希釈した樹脂溶液100g中に凝固液である水を少量ずつ攪拌しながら添加し、ゲル化が始まる直前までに要した水の体積を意味するものであり、凝固価の異なる樹脂を混合して使用することにより、微細空洞部の孔数が多くなり、透湿性能が向上するが、あまり凝固価に差があると透湿度の向上と共に耐水圧が低下してくる要因となるので注意が必要である。
凝固価の差は、1.5以内(凝固価大/凝固価小)が望ましい。
【0015】
上記の無機微粉末を含んだポリウレタン樹脂主体の合成重合体と、凝固価の異なるポリウレタン樹脂主体の合成重合体の混合溶液を繊維布帛に塗布するに際しては、通常のコーティング法により、ナイフコーター、コンマコーター、リバースコーターなどを用いて適宜コーティングを行えばよく、塗布量は、耐水圧0.6g/m2以上を得るために、樹脂乾燥皮膜重量が10g/m2以上、好ましくは15g/m2以上になるように塗布量を調節して行う。
本発明では、樹脂層と繊維布帛間の耐剥離性能を向上させる目的で、樹脂および繊維布帛と親和性の高い化合物を併用することが望ましく、その化合物としてイソシアネート化合物が好適に使用できる。
イソシアネート化合物としては、トリレン2,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートまたは、これらのジイソシアネート類3モルと、活性水素を含有する化合物(例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン等)1モルとの付加反応によって得られるトリイソシアネート類が使用できる。
【0016】
上記のイソシアネート類は、イソシアネート基が遊離した形の化合物であっても、あるいはフェノール、ラクタム、メチルケトンなどで付加ブロック体を形成させ、熱処理によって解離させる形のものであっても良く、作業性や用途などにより適宜使い分ければよい。
イソシアネート化合物を使用する際の使用量としては、上記ポリウレタン樹脂主体の合成重合体混合溶液に対して0.1〜10重量%の割合で使用することが望ましく、使用量が0.1重量%未満であれば、布帛に対する樹脂層の接着力があまり向上せず、また10重量%を超えると、風合いが硬化する傾向が認められるようになるので好ましくない。
【0017】
本発明において、防水性をさらに向上させる目的で、湿式製膜後のコーティング布帛に撥水処理を行ってもよい。
撥水処理に際しては、前述のような一般に実施されている公知の撥水処理法を採用すればよい。
このようにして、得られた湿式コーティング布帛のフィルム化した樹脂膜は該樹脂層の断面方向にハニカムスキンコア構造の空洞部と微細空洞部が存在し、ハニカムスキンコア構造の空洞部の長径が1 〜40μmで、その面積比率が50〜70%、個数が(2〜10)×103 個/mm2 であり、且つ、該樹脂層の断面全体に存在する微細空洞部の長径が1μm以下で、その面積比率が1〜20%、個数が(1〜30)×105 個/mm2 である有孔の樹脂層を有している。
本発明では、空洞部の面積比率と個数は、まず試料を1m2 用意し、無作為に縦横方向各々3カ所でサンプリングし、各々の方向で凍結切断後蒸着し、走査型電子顕微鏡を用いて1000倍と10000倍の断面撮影を行い、前者についてはハニカムコア構造の、後者については長径が1μm以下の微細空洞部の個数と面積比率を測定し、6カ所の平均値で表している。
【0018】
本発明では、このようにして得られた湿式コーティング布帛の樹脂層上に、ポリウレタン樹脂主体の合成重合体からなる実質的に無孔の樹脂層を有せしめることにより、より一層防水性が向上した透湿防水性コーティング布帛を得ることができる。
ここで用いるポリウレタン樹脂主体の合成重合体は、前述のごときポリウレタンを50〜100重量%含む樹脂と同様の方法により得られるものであり、前述のコーティング装置を用いて乾式コーティングを行う。
乾式コーティングを行うことにより、実質的に無孔の樹脂層を形成させることができる。
塗布量については、耐水圧2.5〜8kgf/cm2 を得るために、樹脂乾燥皮膜重量が2g/m2以上、好ましくは5g/m2 以上になるように塗布量を調節して行う。
勿論、該樹脂に前述のイソシアネート化合物を併用することができ、その使用量も前述の範囲が好適であり、併用することにより耐溶剤性が向上する。
【0019】
【作用】
平均粒径1μm以下で、かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/100g以上の無機微粉末を均一に分散させたポリウレタン樹脂主体の合成重合体と、凝固価の異なるポリウレタン樹脂主体の合成重合体を均一に分散し、布帛にコーティングして湿式凝固を行うと、凝固液である水と樹脂溶剤であるN,N−ジメチルホルムアミドが混和し、樹脂液から溶剤が速やかに離脱していくことにより樹脂の凝固が始まるが、その際、平均粒径1μm以下で、かつ、N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/100g以上の無機微粉末が均一に分散していると、無機微粉末の表面は他の部分に比べて樹脂溶液中におけるN,N−ジメチルホルムアミドの濃度が高く、言い換えれば、ポリウレタン樹脂主体の合成重合体のN,N−ジメチルホルムアミドの濃度が低い状態にある。
【0020】
このため、湿式凝固過程において、凝固液である水がまず無機微粉末表面のN,N−ジメチルホルムアミドと置き換わり、無機微粉末の周囲で速やかに凝固が始まり、その後に凝固価の低い樹脂の凝固が始まり、最後に凝固価の高い樹脂の凝固が始まるので、ウレタン樹脂特有のハニカムスキンコア構造の空洞部の数が多くなるとともに、1μm以下の微細孔が無機微粉末の周りに無数に発現していることから、非常にポーラスな形態となっており、前記のような凝固形態をとっているため、十分な透湿性能を有しながら防水性能も高くなっているものと推測している。
また、このように高性能な透湿防水樹脂の上に薄く無孔の透湿性ウレタン樹脂をコーティングする方法を採用すると、薄い樹脂膜の無孔性故により一層防水性が向上し、しかも樹脂膜の透湿性故に良好な透湿性を保持した透湿防水性コーティング布帛が得られるものと考えている。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、実施例における布帛の性能の測定、評価は、次の方法で行った。
(1)耐水圧
JIS L−1092(高水圧法)
(2)透湿度
JIS L−1099(A−1法)
【0022】
実施例1
経糸、緯糸の双方にナイロンマルチフィラメント110デニール/24フィラメントを用いて、経糸密度76本/インチ、緯糸密度76本/インチのリップストップタフタを製織し、通常の方法により精練及び染色(日本化薬株式会社製、Kayanol Navy Blue R 3%owf )を行った後、エマルジョンタイプのフッ素系撥水剤のアサヒガードLS−317(旭硝子株式会社製)6%水分散液でパディング(絞り率40%)し、乾燥後、160℃で1分間の熱処理を行った。次に、鏡面ロールを持つカレンダー加工機を用いて、温度170℃、圧力30kg/cm2 速度20m/分の条件でカレンダー加工を行い、コーティング用の基布を得た。
【0023】
次にフッ素変性ポリウレタン樹脂(以下F−PU樹脂という。)を次の方法で製造した。ポリテトラメチレングリコール(OH価56.9)1970gと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート504gを90℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た。このウレタンプレポリマー21gと末端に水酸基を導入したフッ化ビニルポリマー21gをN,N−ジメチルホルムアミド/ジオキサン(重量比=7/3)の混合溶媒415gに溶解し、かき混ぜながら2%ジメチルアミン溶液47gを添加し、30℃で5時間反応を行って、粘度39000mPa ・s (25℃)で凝固価7.5ccの淡黄褐色の流動性良好なF−PU樹脂を得た。
【0024】
次に、ラックスキン1740−29B(セイコー化成株式会社製、エステル型ポリウレタン樹脂)100部とアエロジル R−972(日本アエロジル株式会社製、平均粒径0.016μm、N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量350ミリリットル/100gの疎水性二酸化ケイ素微粉末)40部、およびN,N−ジメチルホルムアミド50部を三本ロール機にて均一分散した後、上記ラックスキン1740−29B900部およびN,N−ジメチルホルムアミド200部と均一混合し、粘度19000mPa ・s (25℃)で凝固価9.8ccの無機微粉末を含有させたポリウレタン樹脂(以下、S−PU樹脂という。)を得た。
【0025】
ここで下記処方1に示す組成で固形分25%のポリウレタン系樹脂溶液を、ナイフオーバーロールコーターを用いて上述の基布のカレンダー面に塗布量80g/m2 にて塗布した後、ただちに15℃の水中で40秒間浸漬して樹脂分を凝固させ、続いて、50℃の温水中で10分間の洗浄を行い、引き続き乾燥し、樹脂層を形成した。
処方1
S−PU樹脂 80部
F−PU樹脂 20部
レザミンX−100 1部
(大日精化工業株式会社製、イソシアネート化合物)
次に、コーティング面を撥水処理すべくアサヒガードLS−317の6%水分散液でパディング(絞り率30%)し、その後乾燥、160℃で1分間の熱処理を行い、本発明の透湿防水性コーティング布帛を得た。
【0026】
本発明との比較のため、本実施例の処方1においてF−PU樹脂を除き、その代わりにS−PU樹脂を100部とした他は、本実施例と全く同一の方法により比較用の透湿防水性コーティング布帛(比較例1とする。)を得た。
また本発明との比較のため、本実施例の処方1においてS−PU樹脂を除き、その代わりにラックスキン1740−29Bを80部、N,N−ジメチルホルムアミド25部とした他は本実施例と全く同一の方法により比較用の透湿防水性コーティング布帛(比較例2とする。)を得た。
【0027】
さらに本発明との比較のため、本実施例の処方1においてS−PU樹脂およびF−PU樹脂を除き、その代わりにラックスキン1740−29Bを100部、N,N−ジメチルホルムアミド25部とした他は本実施例と全く同一の方法により比較用の透湿防水性コーティング布帛(比較例3とする。)を得た。
また本発明との比較のため、本実施例の処方1においてF−PU樹脂を除き、その代わりにラックスキン1740−29A(セイコー化成株式会社製、ポリアミノ酸ウレタン共重合樹脂、凝固価5.8cc)を20部とした他は本実施例と全く同一の方法により比較用の透湿防水性コーティング布帛(比較例4とする。)を得た。
本発明および比較用のコーティング布帛の性能を測定し、その結果を合わせて表1に示した。
【0028】
【表1】
Figure 0003834123
【0029】
表1より明らかなごとく、本発明の透湿防水性コーティング布帛は、ハニカムスキンコア構造の空洞部と微細空洞部の面積比率および空洞部の数が多く、耐水圧と透湿度も高度にバランスしており、従来にない良好な性能を有していることが判る。
【0030】
実施例2
上記実施例1における本発明および比較例1のコーティング布帛のコーティング面上に、固形分30%のラックスキン144(セイコー化成株式会社製、ポリウレタン系樹脂)を、ナイフオーバーロールコーターを用いて、塗布量が1m2 当りそれぞれ10g、17g、33g、50gとなるように塗布した後、ただちに80℃の乾燥機に5分間投入して、樹脂層を形成させ、その後、120℃の乾燥機に5分間投入し、完全な乾燥皮膜を形成させ、乾燥無孔樹脂塗布量が1m2 当り各々3g、5g、10g、15gの本発明及び比較用の透湿防水性コーティング布帛を得た。
本発明及び比較用のコーティング布帛の性能を測定し、その結果を合わせて表2に示した。
【0031】
【表2】
Figure 0003834123
【0032】
表2より明らかなごとく、本発明の透湿防水性コーティング布帛は、耐水圧と透湿度が高度にバランスしており、従来にない良好な性能を有していることが判る。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、高度の防水性を有しながら、従来にない高い透湿性を有する透湿防水性コーティング布帛を得ることができる。

Claims (4)

  1. 繊維布帛上にポリウレタン樹脂主体の合成重合体からなる有孔の樹脂層を有し、該樹脂層の断面方向にハニカムスキンコア構造の空洞部と微細空洞部が存在し、ハニカムスキンコア構造の空洞部の長径が1〜40μmで、その面積比率が50〜70%、個数(2〜10)×103 個/mm2 であり、且つ該樹脂層の断面全体に存在する微細空洞部の長径が1μm以下で、その面積比率が1〜20%、個数が(1〜30)×105 個/mm2 であり、0.6〜2.5kgf/cm2 の耐水圧と8000〜12000g/m2 ・24hrsの透湿度を有することを特徴とする透湿防水性コーティング布帛。
  2. 請求項1のポリウレタン樹脂主体の有孔の樹脂層上にポリウレタン樹脂主体の合成重合体からなる実質的に無孔の樹脂層を有し、2.5〜8kgf/cm2 の耐水圧と5000〜9000g/m2 ・24hrsの透湿度を有することを特徴とする透湿防水性コーティング布帛。
  3. 繊維布帛上に、平均粒径が1μm以下で、かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/100g以上の無機微粉末を1重量%以上含有させたポリウレタン樹脂主体の合成重合体、および該ポリウレタン樹脂主体の合成重合体と凝固価の異なるポリウレタン樹脂主体の合成重合体の混合樹脂溶液を塗布、湿式製膜することを特徴とする耐水圧0.6〜2.5kgf/cm2 透湿度8000〜12000g/m2 ・24hrsの透湿防水性コーティング布帛の製造方法。
  4. 繊維布帛上に、平均粒径が1μm以下で、かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/100g以上の無機微粉末を1重量%以上含有させたポリウレタン樹脂主体の合成重合体、および該ポリウレタン樹脂主体の合成重合体と凝固価の異なるポリウレタン樹脂主体の合成重合体の混合樹脂溶液を塗布、湿式製膜し、しかる後にポリウレタン樹脂主体の合成重合体からなる実質的に無孔の樹脂を固形分換算で2〜15g/m2 塗布し、乾式製膜することを特徴とする耐水圧2.5〜8kgf/cm2 、透湿度5000〜9000g/m2 ・24hrsの透湿防水性コーティング布帛の製造方法。
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