JPH10325081A - 透湿防水性コーティング布帛及びその製造方法 - Google Patents

透湿防水性コーティング布帛及びその製造方法

Info

Publication number
JPH10325081A
JPH10325081A JP9130737A JP13073797A JPH10325081A JP H10325081 A JPH10325081 A JP H10325081A JP 9130737 A JP9130737 A JP 9130737A JP 13073797 A JP13073797 A JP 13073797A JP H10325081 A JPH10325081 A JP H10325081A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
moisture
resin
synthetic polymer
polyurethane resin
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9130737A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3834123B2 (ja
Inventor
Tsunekatsu Furuta
常勝 古田
Kenichi Kamemaru
賢一 亀丸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP13073797A priority Critical patent/JP3834123B2/ja
Publication of JPH10325081A publication Critical patent/JPH10325081A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3834123B2 publication Critical patent/JP3834123B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Professional, Industrial, Or Sporting Protective Garments (AREA)
  • Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】雨や水中でも防水性があり、且つ運動を行って
も蒸れ感の少ない透湿防水コーティング布帛が得る。 【解決手段】ポリウレタン樹脂主体の合成重合体からな
る有孔の樹脂層を繊維布帛上に有し、該樹脂層の断面方
向にハニカムスキンコア構造の空洞部と微細空洞部が存
在し、ハニカムスキンコア構造の空洞部の長径が1 〜4
0μmで、その面積比率が50〜70%、個数が(2〜
10)×103 個/mm2 であり、且つ、該樹脂層の断面
全体に存在する微細空洞部の長径が1μm以下で、その
面積比率が1〜20%、個数が(1〜30)×105
/mm2 有する透湿防水コーティング布帛と、該樹脂層上
に実質的に無孔のポリウレタン樹脂主体の合成重合体層
を有する透湿防水性コーティング布帛。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、雨衣、外衣、登山衣等
の各種衣料用として用いられる透湿性能および防水性能
の優れたコーティング布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透湿性と防水性を併せ持つ透湿防水布帛
は、身体からの発汗による水蒸気を衣服外へ放出する機
能と、雨が衣服内に進入するのを防ぐ機能を有してお
り、これらの機能を付与するために、糸を高密度に織り
込んだ高密度織物や、ポリウレタン系樹脂、ポリアミノ
酸系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポ
リテトラフルオロエチレン樹脂等を布帛にコーティング
またはラミネートしたものが良く知られている。これら
はスポーツ衣料や防寒衣料等に使用され、その中でも運
動に伴う発汗量の比較的多いスポーツやアウトドア衣料
分野に多く用いられており、スキー、アスレチック、登
山分野では必要不可欠な素材となっている。このような
従来の透湿防水布帛の中で、高密度織物タイプは十分な
透湿性能を有してはいるが、防水性能は高々0.1kgf/cm
2 程度であり、樹脂層を有するタイプの内、樹脂層が有
孔のものは一般に優れた透湿性能を得やすいが、防水性
能は0.2〜0.3kgf/cm2 程度しか得られず、一方、樹脂
層が無孔のものは優れた防水性能は得やすいが、透湿性
能はほとんどないか、多くても4000g/m2 ・24hrs程
度のものしか得られていない。
【0003】このような欠点を補うために、繊維布帛上
にまず有孔の高透湿性樹脂層を形成し、その上に無孔の
樹脂層を薄く形成して、優れた透湿性能と防水性能を得
る方法が試みられており、この方法では優れた防水性能
が得られるものの、透湿性能は高々3000〜5000
g/m2 ・24hrs程度のものしか得られていない。そこで本
発明者らは、特開平6−280163号公報にて、平均
粒径が1μm以下で、かつ、N,N−ジメチルホルムア
ミドの吸着量が200ミリリットル/100g以上の無
機微粉末を1重量%以上含有せしめたポリウレタン樹脂
皮膜を形成するコーティング布帛の加工方法を提案し、
透湿度7000g/m2 ・24hrs以上、防水性能0.6kgf/
cm2 以上の透湿防水性布帛を得ることに成功した。しか
しながら、運動に伴う発汗を衣服外にスムーズに放出す
るには、透湿量が多い方が好ましく、水中や豪雨の中で
着用するには、防水性が高い方が好ましい事から、より
高性能な透湿防水布帛が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑みて行われたもので、高い防水性能とより多い
透湿性能を両立させ、着用快適性に優れた高性能の透湿
防水布帛を得ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するもので、次の構成よりなるものである。すなわち
本発明は「繊維布帛上にポリウレタン樹脂主体の合成重
合体からなる有孔の樹脂層を有し、該樹脂層の断面方向
にハニカムスキンコア構造の空洞部と微細空洞部が存在
し、ハニカムスキンコア構造の空洞部の長径が1 〜40
μmで、その面積比率が50〜70%、個数が(2〜1
0)×103 個/mm2 であり、且つ、該樹脂層の断面全
体に存在する微細空洞部の長径が1μm以下で、その面
積比率が1〜20%、個数が(1〜30)×105 個/
mm2 であり、0.6〜2.5kgf/cm2 の耐水圧と800
0〜12000g/m2 ・24hrsの透湿度を有することを特
徴とする透湿防水性コーティング布帛」および「上記コ
ーティング布帛を構成するポリウレタン樹脂主体の有孔
の樹脂層上にポリウレタン樹脂主体の合成重合体からな
る実質的に無孔の樹脂層を有し、2.5〜8kgf/cm2
耐水圧と5000〜9000g/m2 ・24hrsの透湿度を有
することを特徴とする透湿防水性コーティング布帛」
【0006】並びに、「繊維布帛上に、平均粒径が1μ
m以下で、かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量
が200ミリリットル/100g以上の無機微粉末を1
重量%以上含有させたポリウレタン樹脂主体の合成重合
体、および該ポリウレタン樹脂主体の合成重合体と凝固
価の異なるポリウレタン樹脂主体の合成重合体の混合樹
脂溶液を塗布し、湿式製膜することを特徴とする耐水圧
0.6〜2.5kgf/cm2 、透湿度8000〜12000g/
2 ・24hrsの透湿防水性コーティング布帛の製造方法」
および「繊維布帛上に、平均粒径が1μm以下で、かつ
N,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリ
ットル/100g以上の無機微粉末を1重量%以上含有
させたポリウレタン樹脂主体の合成重合体、および該ポ
リウレタン樹脂主体の合成重合体と凝固価の異なるポリ
ウレタン樹脂主体の合成重合体の混合樹脂溶液を塗布、
湿式製膜し、しかる後に、ポリウレタン樹脂主体の合成
重合体からなる実質的に無孔の樹脂を固形分換算で2〜
15g/m2 塗布し、乾式製膜することを特徴とする耐
水圧2.5〜8kgf/cm2 、透湿度5000〜9000g/
2 ・24hrsの透湿防水性コーティング布帛の製造方法」
を要旨とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
を行う。本発明で用いられる繊維布帛としては、ナイロ
ン6やナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊
維、ポリエチレンテレフタレートで代表されるポリエス
テル系合成繊維、ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポ
リビニルアルコール系合成繊維、トリアセテート等の半
合成繊維あるいはナイロン6/木綿、ポリエチレンテレ
フタレート/木綿等の混合繊維からなる織物、編物、不
織布などを挙げることができる。
【0008】本発明では、上述の繊維布帛に撥水剤処理
を施したものを用いても良い。これは、透湿防水布の製
造時に樹脂溶液の布帛内部への浸透を防ぐための一手段
である。この場合の撥水剤としては、パラフィン系撥水
剤やポリシロキサン系撥水剤、フッ素系撥水剤などの公
知のものを使用すれば良く、その処理も、一般に行われ
ているパディング法、スプレー法など、公知の方法で行
えばよい。特に良好な撥水性を必要とする場合には、フ
ッ素系撥水剤を使用し、例えば、アサヒガード730
(旭硝子株式会社製、フッ素系撥水剤エマルジョン)を
5%の水分散液でパディング(絞り率35%)した後、
160℃で1分の熱処理を行う方法などによって行う。
【0009】本発明で用いるポリウレタン樹脂主体の合
成重合体とは、ポリウレタン成分を50〜100重量%
含むものをいい、その他の合成重合体としては、ポリア
クリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリブタジ
エン、ポリアミノ酸等やこれらの共重合体などを50重
量%未満の範囲で含んでいても良く、勿論、フッ素やシ
リコンなどで変性した化合物も本発明で使用できる。
【0010】ポリウレタン樹脂自体は、ポリイソシアネ
ートとポリオールを反応せしめて得られる共重合体であ
り、イソシアネート成分として芳香族ジイソシアネー
ト、脂肪族ジイソシアネートおよび脂環族ジイソシアネ
ートの単独またはこれらの混合物を用い、例えば、トリ
レン2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシア
ネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等を
主成分として用い、必要に応じ3官能以上のイソシアネ
ートを使用してもよい。また、ポリオール成分として
は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール
を用い、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコール等を用い、ポリエステルポ
リオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール等のジオールとアジピン酸、セバチン
酸などの2塩基酸との反応生成物やカプロラクトン等の
開環重合物を用いる。
【0011】本発明では、上述の樹脂を用いて、樹脂層
の断面方向にハニカムスキンコア構造の空洞部と微細空
洞部が存在し、ハニカムスキンコア構造の空洞部の長径
が1〜40μmで、その面積比率が50〜70%、個数
が(2〜10)×103 個/mm2 であり、且つ、該樹脂
層の断面全体に存在する微細空洞部の長径が1μm以下
で、その面積比率が1〜20%、個数が(1〜30)×
105 個/mm2 である有孔の樹脂層を有せしめ、且つ、
0.6〜2.5kgf/cm2 の耐水圧と8000〜1200
0g/m2 ・24hrsの透湿度という優れた性能を発現させる
ために、平均粒径が1μm以下で、かつN,N−ジメチ
ルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/100
g以上の無機微粉末を1重量%以上含有させたポリウレ
タン樹脂主体の合成重合体と、該ポリウレタン樹脂主体
の合成重合体と凝固価の異なるポリウレタン樹脂主体の
合成重合体の溶液を混合し、繊維布帛上に塗布し、湿式
製膜を行う。
【0012】本発明で用いられる無機微粉末としては、
通常の湿式粉砕法やボールミル粉砕法で微粉化された無
機微粉末や、ハロゲン化金属の気相酸化法、燃焼加水分
解法や電弧法等の乾式法によって得られる金属酸化物微
粉末を挙げることができ、中でもこれらの方法により製
造される二酸化ケイ素微粉末を代表として挙げることが
できる。これらの方法によって得られた微粉末は、一般
的に粒径が0.05μm以下であると同時に、非常に多い
N,N−ジメチルホルムアミド吸着量を有し、合成重合
体樹脂溶液に添加せしめる無機微粉末として好適であ
る。さらに、この微粉末の表面を疎水性に改質したもの
を用いれば、漏水性の面からみてより一層好適であり、
また該微粉末は、実質的に無孔である方が好ましい。こ
こでいうN,N−ジメチルホルムアミド吸着量とは、無
機微粉末5gをガラス平板上に置き、N,N−ジメチル
ホルムアミドを1滴滴下するごとにステンレス製のへら
を用いて練り合わせる作業を繰り返し、N,N−ジメチ
ルホルムアミドの1滴で急激に軟らかくなる直前までに
要したN,N−ジメチルホルムアミドの体積(単位:ミ
リリットル)を意味しており、JIS K−5101の
煮あまに油の代わりにN,N−ジメチルホルムアミドを
用いたものである。
【0013】本発明に用いる無機微粉末は、前述のポリ
ウレタン樹脂主体の合成重合体に対し1重量%以上用い
ることが必要であり、好ましくは3重量%以上用いるの
がよい。1重量%未満では、得られるコーティング布帛
の微細空洞部の孔数が少なくなり、高透湿性能が得られ
ない。また、無機微粉末は、必ずしも高純度のものであ
る必要はなく、不純物として他の無機物質、例えば顔
料、充填剤などが含有されていても何ら差し支えない。
【0014】本発明では、凝固価の異なる少なくとも2
種のポリウレタン樹脂主体の合成重合体を用いるが、凝
固価とは該ポリウレタン樹脂主体の合成重合体を溶剤
(N,N−ジメチルホルムアミド)で4倍に希釈した樹
脂溶液100g中に凝固液である水を少量ずつ攪拌しな
がら添加し、ゲル化が始まる直前までに要した水の体積
を意味するものであり、凝固価の異なる樹脂を混合して
使用することにより、微細空洞部の孔数が多くなり、透
湿性能が向上するが、あまり凝固価に差があると透湿度
の向上と共に耐水圧が低下してくる要因となるので注意
が必要である。凝固価の差は、1.5以内(凝固価大/
凝固価小)が望ましい。
【0015】上記の無機微粉末を含んだポリウレタン樹
脂主体の合成重合体と、凝固価の異なるポリウレタン樹
脂主体の合成重合体の混合溶液を繊維布帛に塗布するに
際しては、通常のコーティング法により、ナイフコータ
ー、コンマコーター、リバースコーターなどを用いて適
宜コーティングを行えばよく、塗布量は、耐水圧0.6g/
m2以上を得るために、樹脂乾燥皮膜重量が10g/m2
上、好ましくは15g/m2以上になるように塗布量を調節
して行う。本発明では、樹脂層と繊維布帛間の耐剥離性
能を向上させる目的で、樹脂および繊維布帛と親和性の
高い化合物を併用することが望ましく、その化合物とし
てイソシアネート化合物が好適に使用できる。イソシア
ネート化合物としては、トリレン2,4−ジイソシアネ
ート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソフォロ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート
または、これらのジイソシアネート類3モルと、活性水
素を含有する化合物(例えば、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン等)1モルとの付加反応によって得られ
るトリイソシアネート類が使用できる。
【0016】上記のイソシアネート類は、イソシアネー
ト基が遊離した形の化合物であっても、あるいはフェノ
ール、ラクタム、メチルケトンなどで付加ブロック体を
形成させ、熱処理によって解離させる形のものであって
も良く、作業性や用途などにより適宜使い分ければよ
い。イソシアネート化合物を使用する際の使用量として
は、上記ポリウレタン樹脂主体の合成重合体混合溶液に
対して0.1〜10重量%の割合で使用することが望ま
しく、使用量が0.1重量%未満であれば、布帛に対す
る樹脂層の接着力があまり向上せず、また10重量%を
超えると、風合いが硬化する傾向が認められるようにな
るので好ましくない。
【0017】本発明において、防水性をさらに向上させ
る目的で、湿式製膜後のコーティング布帛に撥水処理を
行ってもよい。撥水処理に際しては、前述のような一般
に実施されている公知の撥水処理法を採用すればよい。
このようにして、得られた湿式コーティング布帛のフィ
ルム化した樹脂膜は該樹脂層の断面方向にハニカムスキ
ンコア構造の空洞部と微細空洞部が存在し、ハニカムス
キンコア構造の空洞部の長径が1 〜40μmで、その面
積比率が50〜70%、個数が(2〜10)×103
/mm2 であり、且つ、該樹脂層の断面全体に存在する微
細空洞部の長径が1μm以下で、その面積比率が1〜2
0%、個数が(1〜30)×105 個/mm2 である有孔
の樹脂層を有している。本発明では、空洞部の面積比率
と個数は、まず試料を1m2 用意し、無作為に縦横方向
各々3カ所でサンプリングし、各々の方向で凍結切断後
蒸着し、走査型電子顕微鏡を用いて1000倍と100
00倍の断面撮影を行い、前者についてはハニカムコア
構造の、後者については長径が1μm以下の微細空洞部
の個数と面積比率を測定し、6カ所の平均値で表してい
る。
【0018】本発明では、このようにして得られた湿式
コーティング布帛の樹脂層上に、ポリウレタン樹脂主体
の合成重合体からなる実質的に無孔の樹脂層を有せしめ
ることにより、より一層防水性が向上した透湿防水性コ
ーティング布帛を得ることができる。ここで用いるポリ
ウレタン樹脂主体の合成重合体は、前述のごときポリウ
レタンを50〜100重量%含む樹脂と同様の方法によ
り得られるものであり、前述のコーティング装置を用い
て乾式コーティングを行う。乾式コーティングを行うこ
とにより、実質的に無孔の樹脂層を形成させることがで
きる。塗布量については、耐水圧2.5〜8kgf/cm2
得るために、樹脂乾燥皮膜重量が2g/m2以上、好ましく
は5g/m2 以上になるように塗布量を調節して行う。勿
論、該樹脂に前述のイソシアネート化合物を併用するこ
とができ、その使用量も前述の範囲が好適であり、併用
することにより耐溶剤性が向上する。
【0019】
【作用】平均粒径1μm以下で、かつN,N−ジメチル
ホルムアミドの吸着量が200ミリリットル/100g
以上の無機微粉末を均一に分散させたポリウレタン樹脂
主体の合成重合体と、凝固価の異なるポリウレタン樹脂
主体の合成重合体を均一に分散し、布帛にコーティング
して湿式凝固を行うと、凝固液である水と樹脂溶剤であ
るN,N−ジメチルホルムアミドが混和し、樹脂液から
溶剤が速やかに離脱していくことにより樹脂の凝固が始
まるが、その際、平均粒径1μm以下で、かつ、N,N
−ジメチルホルムアミドの吸着量が200ミリリットル
/100g以上の無機微粉末が均一に分散していると、
無機微粉末の表面は他の部分に比べて樹脂溶液中におけ
るN,N−ジメチルホルムアミドの濃度が高く、言い換
えれば、ポリウレタン樹脂主体の合成重合体のN,N−
ジメチルホルムアミドの濃度が低い状態にある。
【0020】このため、湿式凝固過程において、凝固液
である水がまず無機微粉末表面のN,N−ジメチルホル
ムアミドと置き換わり、無機微粉末の周囲で速やかに凝
固が始まり、その後に凝固価の低い樹脂の凝固が始ま
り、最後に凝固価の高い樹脂の凝固が始まるので、ウレ
タン樹脂特有のハニカムスキンコア構造の空洞部の数が
多くなるとともに、1μm以下の微細孔が無機微粉末の
周りに無数に発現していることから、非常にポーラスな
形態となっており、前記のような凝固形態をとっている
ため、十分な透湿性能を有しながら防水性能も高くなっ
ているものと推測している。また、このように高性能な
透湿防水樹脂の上に薄く無孔の透湿性ウレタン樹脂をコ
ーティングする方法を採用すると、薄い樹脂膜の無孔性
故により一層防水性が向上し、しかも樹脂膜の透湿性故
に良好な透湿性を保持した透湿防水性コーティング布帛
が得られるものと考えている。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、実施例における布帛の性能の測定、評価
は、次の方法で行った。 (1)耐水圧 JIS L−1092(高水圧法) (2)透湿度 JIS L−1099(A−1法)
【0022】実施例1 経糸、緯糸の双方にナイロンマルチフィラメント110
デニール/24フィラメントを用いて、経糸密度76本
/インチ、緯糸密度76本/インチのリップストップタ
フタを製織し、通常の方法により精練及び染色(日本化
薬株式会社製、Kayanol Navy Blue R 3%owf )を行っ
た後、エマルジョンタイプのフッ素系撥水剤のアサヒガ
ードLS−317(旭硝子株式会社製)6%水分散液で
パディング(絞り率40%)し、乾燥後、160℃で1
分間の熱処理を行った。次に、鏡面ロールを持つカレン
ダー加工機を用いて、温度170℃、圧力30kg/cm2
速度20m/分の条件でカレンダー加工を行い、コーテ
ィング用の基布を得た。
【0023】次にフッ素変性ポリウレタン樹脂(以下F
−PU樹脂という。)を次の方法で製造した。ポリテト
ラメチレングリコール(OH価56.9)1970gと
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート504gを9
0℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有
するウレタンプレポリマーを得た。このウレタンプレポ
リマー21gと末端に水酸基を導入したフッ化ビニルポ
リマー21gをN,N−ジメチルホルムアミド/ジオキ
サン(重量比=7/3)の混合溶媒415gに溶解し、
かき混ぜながら2%ジメチルアミン溶液47gを添加
し、30℃で5時間反応を行って、粘度39000mPa
・s (25℃)で凝固価7.5ccの淡黄褐色の流動性良
好なF−PU樹脂を得た。
【0024】次に、ラックスキン1740−29B(セ
イコー化成株式会社製、エステル型ポリウレタン樹脂)
100部とアエロジル R−972(日本アエロジル株
式会社製、平均粒径0.016μm、N,N−ジメチル
ホルムアミドの吸着量350ミリリットル/100gの
疎水性二酸化ケイ素微粉末)40部、およびN,N−ジ
メチルホルムアミド50部を三本ロール機にて均一分散
した後、上記ラックスキン1740−29B900部お
よびN,N−ジメチルホルムアミド200部と均一混合
し、粘度19000mPa ・s (25℃)で凝固価9.8
ccの無機微粉末を含有させたポリウレタン樹脂(以下、
S−PU樹脂という。)を得た。
【0025】ここで下記処方1に示す組成で固形分25
%のポリウレタン系樹脂溶液を、ナイフオーバーロール
コーターを用いて上述の基布のカレンダー面に塗布量8
0g/m2 にて塗布した後、ただちに15℃の水中で4
0秒間浸漬して樹脂分を凝固させ、続いて、50℃の温
水中で10分間の洗浄を行い、引き続き乾燥し、樹脂層
を形成した。 処方1 S−PU樹脂 80部 F−PU樹脂 20部 レザミンX−100 1部 (大日精化工業株式会社製、イソシアネート化合物) 次に、コーティング面を撥水処理すべくアサヒガードL
S−317の6%水分散液でパディング(絞り率30
%)し、その後乾燥、160℃で1分間の熱処理を行
い、本発明の透湿防水性コーティング布帛を得た。
【0026】本発明との比較のため、本実施例の処方1
においてF−PU樹脂を除き、その代わりにS−PU樹
脂を100部とした他は、本実施例と全く同一の方法に
より比較用の透湿防水性コーティング布帛(比較例1と
する。)を得た。また本発明との比較のため、本実施例
の処方1においてS−PU樹脂を除き、その代わりにラ
ックスキン1740−29Bを80部、N,N−ジメチ
ルホルムアミド25部とした他は本実施例と全く同一の
方法により比較用の透湿防水性コーティング布帛(比較
例2とする。)を得た。
【0027】さらに本発明との比較のため、本実施例の
処方1においてS−PU樹脂およびF−PU樹脂を除
き、その代わりにラックスキン1740−29Bを10
0部、N,N−ジメチルホルムアミド25部とした他は
本実施例と全く同一の方法により比較用の透湿防水性コ
ーティング布帛(比較例3とする。)を得た。また本発
明との比較のため、本実施例の処方1においてF−PU
樹脂を除き、その代わりにラックスキン1740−29
A(セイコー化成株式会社製、ポリアミノ酸ウレタン共
重合樹脂、凝固価5.8cc)を20部とした他は本実施
例と全く同一の方法により比較用の透湿防水性コーティ
ング布帛(比較例4とする。)を得た。本発明および比
較用のコーティング布帛の性能を測定し、その結果を合
わせて表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】表1より明らかなごとく、本発明の透湿防
水性コーティング布帛は、ハニカムスキンコア構造の空
洞部と微細空洞部の面積比率および空洞部の数が多く、
耐水圧と透湿度も高度にバランスしており、従来にない
良好な性能を有していることが判る。
【0030】実施例2 上記実施例1における本発明および比較例1のコーティ
ング布帛のコーティング面上に、固形分30%のラック
スキン144(セイコー化成株式会社製、ポリウレタン
系樹脂)を、ナイフオーバーロールコーターを用いて、
塗布量が1m2当りそれぞれ10g、17g、33g、
50gとなるように塗布した後、ただちに80℃の乾燥
機に5分間投入して、樹脂層を形成させ、その後、12
0℃の乾燥機に5分間投入し、完全な乾燥皮膜を形成さ
せ、乾燥無孔樹脂塗布量が1m2当り各々3g、5g、
10g、15gの本発明及び比較用の透湿防水性コーテ
ィング布帛を得た。本発明及び比較用のコーティング布
帛の性能を測定し、その結果を合わせて表2に示した。
【0031】
【表2】
【0032】表2より明らかなごとく、本発明の透湿防
水性コーティング布帛は、耐水圧と透湿度が高度にバラ
ンスしており、従来にない良好な性能を有していること
が判る。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、高度の防水性を有しな
がら、従来にない高い透湿性を有する透湿防水性コーテ
ィング布帛を得ることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 27/40 B32B 27/40 D06M 11/79 D06N 3/00 D06N 3/00 D06M 11/12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維布帛上にポリウレタン樹脂主体の合
    成重合体からなる有孔の樹脂層を有し、該樹脂層の断面
    方向にハニカムスキンコア構造の空洞部と微細空洞部が
    存在し、ハニカムスキンコア構造の空洞部の長径が1〜
    40μmで、その面積比率が50〜70%、個数(2〜
    10)×103 個/mm2 であり、且つ該樹脂層の断面全
    体に存在する微細空洞部の長径が1μm以下で、その面
    積比率が1〜20%、個数が(1〜30)×105 個/
    mm2 であり、0.6〜2.5kgf/cm2の耐水圧と8000〜
    12000g/m2 ・24hrsの透湿度を有することを特徴
    とする透湿防水性コーティング布帛。
  2. 【請求項2】 請求項1のポリウレタン樹脂主体の有孔
    の樹脂層上にポリウレタン樹脂主体の合成重合体からな
    る実質的に無孔の樹脂層を有し、2.5〜8kgf/cm2 の耐
    水圧と5000〜9000g/m2 ・24hrsの透湿度を有
    することを特徴とする透湿防水性コーティング布帛。
  3. 【請求項3】 繊維布帛上に、平均粒径が1μm以下
    で、かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が20
    0ミリリットル/100g以上の無機微粉末を1重量%
    以上含有させたポリウレタン樹脂主体の合成重合体、お
    よび該ポリウレタン樹脂主体の合成重合体と凝固価の異
    なるポリウレタン樹脂主体の合成重合体の混合樹脂溶液
    を塗布、湿式製膜することを特徴とする耐水圧0.6〜2.
    5kgf/cm2透湿度8000〜12000g/m2 ・24hrs
    の透湿防水性コーティング布帛の製造方法。
  4. 【請求項4】 繊維布帛上に、平均粒径が1μm以下
    で、かつN,N−ジメチルホルムアミドの吸着量が20
    0ミリリットル/100g以上の無機微粉末を1重量%
    以上含有させたポリウレタン樹脂主体の合成重合体、お
    よび該ポリウレタン樹脂主体の合成重合体と凝固価の異
    なるポリウレタン樹脂主体の合成重合体の混合樹脂溶液
    を塗布、湿式製膜し、しかる後にポリウレタン樹脂主体
    の合成重合体からなる実質的に無孔の樹脂を固形分換算
    で2〜15g/m2 塗布し、乾式製膜することを特徴と
    する耐水圧2.5〜8kgf/cm2 、透湿度5000〜900
    0g/m2 ・24hrsの透湿防水性コーティング布帛の製造
    方法。
JP13073797A 1997-05-21 1997-05-21 透湿防水性コーティング布帛及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3834123B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13073797A JP3834123B2 (ja) 1997-05-21 1997-05-21 透湿防水性コーティング布帛及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13073797A JP3834123B2 (ja) 1997-05-21 1997-05-21 透湿防水性コーティング布帛及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10325081A true JPH10325081A (ja) 1998-12-08
JP3834123B2 JP3834123B2 (ja) 2006-10-18

Family

ID=15041429

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13073797A Expired - Fee Related JP3834123B2 (ja) 1997-05-21 1997-05-21 透湿防水性コーティング布帛及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3834123B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002201303A (ja) * 2000-12-27 2002-07-19 Toray Coatex Co Ltd 多孔性シート材料
WO2006033540A1 (en) * 2004-09-21 2006-03-30 Byung Ho Youn Waterproof cloth with keeping warm function
CN106758140A (zh) * 2017-01-20 2017-05-31 青岛瑞诚铭机械设计有限公司 一种运动护膝中防护外筒用制作布料
CN108716133A (zh) * 2018-05-18 2018-10-30 浙江圣山科纺有限公司 仿尼龙手感低含固量涂银色丁布及其生产工艺

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5490785B2 (ja) 2009-05-01 2014-05-14 セーレン株式会社 透湿防水性布帛およびその製造方法
CN102963091B (zh) * 2012-12-06 2015-04-22 中材科技股份有限公司 薄膜复合织物的制备方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002201303A (ja) * 2000-12-27 2002-07-19 Toray Coatex Co Ltd 多孔性シート材料
WO2006033540A1 (en) * 2004-09-21 2006-03-30 Byung Ho Youn Waterproof cloth with keeping warm function
CN106758140A (zh) * 2017-01-20 2017-05-31 青岛瑞诚铭机械设计有限公司 一种运动护膝中防护外筒用制作布料
CN108716133A (zh) * 2018-05-18 2018-10-30 浙江圣山科纺有限公司 仿尼龙手感低含固量涂银色丁布及其生产工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP3834123B2 (ja) 2006-10-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3810479B2 (ja) コーティング布帛の製造方法
JP3834123B2 (ja) 透湿防水性コーティング布帛及びその製造方法
JP4783046B2 (ja) 透湿防水性布帛及びその製造方法
JP2002069855A (ja) 結露防止性に優れた透湿防水性積層布帛の製造方法
JP2615288B2 (ja) 透湿防水性コーテイング布帛
JPH07229070A (ja) 透湿防水性コーティング布帛の製造方法
JPH06136320A (ja) 透湿防水性被覆成形物の製造法
JPH0754277A (ja) 透湿防水性コーティング布帛の製造方法
JPH11227143A (ja) ソフトな透湿防水性布帛の製造方法
JPH06280163A (ja) 透湿防水性コーティング布帛の製造方法
JPH0860558A (ja) ソフトな透湿防水性布帛の製造方法
JPH11170468A (ja) 透湿防水性積層布帛及びその製造方法
JP2002129479A (ja) ソフト風合いの透湿防水性コーティング布帛の製造方法
JPH06108365A (ja) 透湿防水性コーテイング布帛及びその製造方法
JP2002013076A (ja) 結露防止性に優れた透湿防水布帛
JPH10251976A (ja) 透湿防水性コーティング布帛
EP0603410B1 (en) Moisture-permeable waterproof cloth and production thereof
JPH06272168A (ja) 透湿防水性コーティング布帛
KR100335576B1 (ko) 코팅포백의제조방법
JPH0327184A (ja) 透湿性防水布帛
JP2001303453A (ja) 結露防止性透湿防水コーティング布帛の製造方法
JPH09316784A (ja) 透湿防水性布帛の製造方法
JPH11269773A (ja) 透湿防水性積層布帛の製造方法
JP2001003272A (ja) 透湿防水積層布帛の製造方法
JPH07166479A (ja) 透湿防水性コーティング布帛の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040518

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051206

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060721

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090728

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100728

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110728

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110728

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120728

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130728

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130728

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees