JP4022000B2 - 透湿防水加工布帛およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスポーツ用等の雨衣類に好適に使用される透湿性、低結露性、及び耐久性のある高耐水圧を併せ持つ透湿防水加工布およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の透湿性防水加工布は、主としてポリウレン樹脂を水に可溶な溶剤に溶解させてなるポリウレタン溶液を布帛にコーティングし、これを湿式ゲル化させて製造されており、溶剤が水によって置換される時に布帛上に形成される多孔質のポリウレタン被膜が雨やその他の水は通さないが、湿気(水蒸気)は通すというものだあった。かかる透湿防水加工布は、例えば特開昭60−47954号公報に記載されている.また、微多孔層と無孔質層を積層して耐久性のある高耐水圧を有する透湿防水加工布についても、例えば特公平1−33592号公報に記載されている。しかしながら、従来の微多孔膜のポリウレタン被膜では、膜表面及び多孔膜内に一度結露が発生し、物理的通路が封鎖されると水蒸気の移動は極端に低下し、より結露が促進されるので快適性が非常に低下する問題があった。
【0003】
また、透湿防水加工布を得るのにポリウレタン樹脂として透湿性樹脂を使用する方法が特開平4−202857号公報で提案されている。この方法により得られた透湿防水加工布は汗の水滴を吸収させることは出来るが、一旦水分を吸収すると容易に水分を放出しないため表面がべとつく欠点があった.そこで、特開平4−202857号に記載の発明では、この様な欠点を改良するために水に溶解せず水分を吸収しても異常に膨潤しないレーヨンや絹などの天然繊維の粉末を透湿性樹脂に含有させることにより、適度の水分を吸収しても樹脂表面がべとつかなくなることが提案されている。
【0004】
しかしながら、かかる透湿防水加工布は、天然繊維の粉末をいかに細かく粉砕しても加工布の樹脂塗布面にいろいろな問題を生ぜしめ、結局高耐水圧を有する透湿防水加工布とはならない、という欠点を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のごとき問題を解決し、透湿性、耐久性のある高耐水圧に加えて低結露性を併せ持つ新規な透湿防水加工布およびその製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの検討によれば、本発明の課題は下記により工業的に有利に達成され得ることが判明した。
【0007】
[1]布帛の少なくとも片面に親水性ポリウレタン樹脂および非親水性ポリウレタン樹脂の混合により形成されてなる微多孔質膜と、その層に積層して透湿性ポリウレタン樹脂から主としてなる無孔質膜層とを有し、耐水圧が10000〜40000mmH2Oであり、透湿度が4000〜8000g/m2・24時間であり、かつ結露量が10g/m2以下であることを特徴とする透湿防水加工布帛。
【0008】
[2]親水性ポリウレタン樹脂のポリール成分の20〜60モル%がポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのうち少なくともいづれか一方であることを特徴とする上記[1]の透湿防水加工布帛。
【0009】
[3]微多孔質膜層の厚みが15〜150μmであることを特徴とする上記[1]〜[2]のいずれかに記載の防水加工布帛。
【0010】
[4]無孔質膜の厚みが3〜20μmであることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の透湿防水加工布帛。
【0011】
[5]微多孔質膜層の空孔率が10〜75%であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の透湿防水加工布帛。
【0012】
[6]親水性ポリウレタン樹脂と非親水性ポリウレタン樹脂との混合が1:3〜3:1であることを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載の透湿防水加工布帛。
【0013】
[7]繊維層が前記無孔質膜層の上部に取り付けられることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれかに記載の透湿防水加工布帛。
【0014】
[8]前記繊維層と前記無孔質膜層が透湿性ポリウレタンで接着されていることを特徴とする上記[7]に記載の透湿防水加工布帛。
【0015】
[9]布帛の少なくとも片面に親水性ポリウレタン樹脂および非親水性ポリウレタン樹脂の混合溶液を付与せしめて微多孔質膜層を形成し、その層に積層して透湿性ポリウレタン樹脂溶液を付与せしめて無孔質膜層を形成することを特徴とする透湿防水加工布帛の製造方法。
【0016】
[10]親水性ポリウレタン樹脂および非親水性ポリウレタン樹脂の混合溶液中の親水性ポリウレタン樹脂と非親水性ポリウレタン樹脂との混合比が1:3〜3:1であることを特徴とする上記[9]に記載の透湿防水加工布帛の製造方法。
【0017】
すなわち、本発明者らは、鋭意研究した結果、布帛の少なくとも片面に親水性ポリウレタン及び非親水性ポリウレタンの混合溶液を付与せしめて微多孔質膜層を形成し、その層に積層して透湿性ポリウレタン樹脂溶液を付与せしめて無孔質膜層を形成することを特徴とする防水加工布帛の製造方法により、布帛の少なくとも片面に親水性ポリウレタン樹脂を含ポリウレタン樹脂組成物から主としてなる無孔質膜層とを有し、耐水圧が10000〜40000mmH2Oであり、透湿度が4000〜8000g/m2・24時間であり、かつ結露量が10g/m2以下であることを特徴とする新規にて優れた防水加工布帛を取得したのである。
【0018】
すなわち、透湿性の優れた親水性ポリウレタン樹脂と非透湿性であり、したがって成膜製の優れた非親水性ポリウレタン樹脂とをブレンドする事により、湿式ゲル化させたときに形成される多孔膜の壁自体に透湿性を持たせ、結露発生によって物理的通路が封鎖されても、透湿性の低下が小さく、低結露製の防水加工布が得られ、かつこのものは耐久性のある高い耐水圧を有し、表面のべたつきが少ないものであることことを見出したのである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0020】
本発明において、防止加工布帛の耐水圧は、10000〜40000mmH2Oであることが必要である。10000mmH2O未満であると、防水性が不十分であり、40000mmH2Oを超えると、耐水圧が勝ちすぎ、かんじんの透湿性が損なわれてしまう。また、本発明において、防水加工布帛の透湿度が4000〜8000g/m2・24時間であることが必要である。防水加工布帛の透湿度は、この範囲が雨衣素材として、快適である。さらに、本発明において結露量が10g/m2以下であることが必要である。この値を超えると、防水加工布帛の表面のべとつきが出てきて、好ましくないのである。
【0021】
本発明において、上記した耐久性のある高耐水圧、適度な透湿性及び低結露性を達成するために、微多孔質膜の厚みが15〜150μm、無孔質膜の厚みが3〜20μmであることが好ましく、また、微多孔質膜層の空孔率が10〜75%であることが好ましい。
【0022】
本発明において、耐水圧の測定は、JIS規格L−1092により、透湿度の測定は、JIS規格L−1099(A−1)による。また、結露量の測定は、次のとおりである。すなわち、500ccのビーカーに40℃の温湯を500cc入れ、試験布のコーティング面が下になるようにかぶせ温度10℃、湿度60%RHの恒温槽に1時間放置した後、コーティング部分に付着した、すなわち結露した水滴量を重量で測定した。
本発明の微多孔質層において使用される親水性ポリウレタン樹脂としては、厚み12μmの乾式無孔質膜とした場合透湿度3,000〜6,000g/m2・24時間であるポリウレタン樹脂が好ましい。
【0023】
この透湿度が6,000g/m2・24時間以下が好ましいのは、これを超えると高い耐水圧が得られにくくなるからである。
【0024】
本発明の微多孔質層において使用される非親水性ポリウレタン樹脂としては、厚み12μmの乾式無孔質膜とした場合透湿度0〜1,000g/m2・24時間であるポリウレタン樹脂が好ましい。この透湿度が1,000g/m2・24時間以下が好ましいのは、これを超えると所望の成膜性の改善が得られにくく、結局所望の微多孔質膜を与え難くなるからである。
【0025】
本発明の微多孔質膜において、それらの親水性ポリウレタン樹脂とそれらの非親水性ポリウレタン樹脂との混合が1:3〜3:1であることが好ましい。この混合比が1:3未満では、低結露性の達成効果が不足気味になり、3:1を超えても同様の傾向が出てくるのである。
【0026】
本発明の多孔微質膜において、その層を布帛の少なくとも片面に形成させるには、親水性ポリウレタン樹脂と非親水性ポリウレタン樹脂の混合液を付与する方法が好ましい。
【0027】
かかる親水性ポリウレタン樹脂としては、ポリオール成分の20〜60モル%がポリエチレングリコール及び又はポリプロピレングリコールであるポリウレタン樹脂が、好ましく用いられる。特に好ましいのはポリオール成分の20〜60モル%がポリエチレングリコールであるポリウレタン樹脂である。この場合、他のポリオール成分としては特に制限はないが、例えばポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、および他のポリエーテルグリコールが使用される。
本発明の親水性ポリウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート成分としては、公知の脂肪族並びに芳香族ポリイソシアネートが使用でき、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0028】
本発明の微多孔質膜において、非親水性ポリウレタン樹脂としては、ポリイソシアネート成分が4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDIと省略する)であるポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。
【0029】
本発明の微多孔質膜において、ポリウレタン樹脂を極性有機溶剤に溶解してポリウレタン樹脂溶液を調整し、これを布帛にコーティングする。かかる極性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド、N−メチルピロリドン、およびヘキサメチレンホスホンアミド等が上げられる.ポリウレタン樹脂溶液中に助剤、例えば、フッ素系撥水剤や架橋剤を添加してもよいことは勿論である。
【0030】
前述した微多孔質膜に積層される本発明の無孔質層において、使用される透湿性ポリウレタン樹脂としては、厚み12μmの乾式無孔質膜とした場合、透湿度5,000g/m2・24時間以上であるポリウレタン樹脂が好ましい。この透湿度が5,000g/m2・24時間未満では、布帛に適度な透湿度が付与できず、かつ低結露性も得られないのである。
【0031】
本発明の無孔質層において、布帛としては各種合成繊維の平織物(タフタ)、綾織物、又は編物、更には天然繊維や半合成繊維の各種生地、不織布などが使用できる。なお、この布帛に浸透防止のために、予め撥水剤による処理を施しておくことが望ましい。
【0032】
微多孔質膜層を形成させるポリウレタン配合溶液の布帛へのコーティング量は、ウエットにて50〜500g/m2の範囲が好ましく、50g/m2未満ではポリウレタン多孔質皮膜が薄くなりすぎて耐水圧が得にくいし、一方、500g/m2をこえると所定以上の効果の向上は望めないし、逆に透湿性に悪影響が出やすくなるのである。また、無孔質膜層を形成させるポリウレタン樹脂溶液の微多孔質膜層上へのコーティング量は、15〜150g/m2が好ましい。15g/m2未満では耐久性のある高い耐水圧が得られない。一方、150g/m2をこえると所定の透湿効果が得られない。
【0033】
本発明において、コーティング方法としてはナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、リバースロールコーティングなど各種のコーティング方法が使用できる。微多孔質膜層を形成させるポリウレタン樹脂を布帛にコーティングした後、これを水を主体とする凝固液に浸漬し、極性有機溶剤を水中へ除去することにより、ポリウレタン樹脂をゲル化させるのである。
【0034】
この凝固液としては水だけでも良いが、その凝固スピードを制御するために、ポリウレタン樹脂溶液で使ったのと同じ極性溶剤を40%以下の範囲で予めこの水にDMFを溶解させておいても良い。湿式ゲル化が終了したら、常法に従い水洗・乾燥して微多孔質膜層を得る。ついで、透湿性を有する無孔質膜層を形成させるポリウレタン樹脂溶液を微多孔質膜上にコーティングした後、この溶液に含まれる溶剤を常法にて乾燥させ無孔質皮膜を形成し防水加工布を得る。
【0035】
また、本発明において、摩擦による耐水圧の低下や、結露によるべとつき感の緩和のため無孔質膜層の上部に繊維層を付与させることが出来る。繊維層については各種合成繊維の平織物(タフタ)、綾織物、又は編物、更には天然繊維や半合成繊維の各種生地、不織布などが使用できる。なかでもナイロントリコットのごとき編み物が風合い等の点により望ましい。無孔質膜層と繊維層を接着せしめる接着剤としては特に限定はしないがポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタン、シリコーン、フッ素系化合物、アミノ酸等を共重合したポリウレタン共重合体、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、及び合成ゴム等、適宜なものを用いればよいが透湿性と低結露性の確保のため、透湿性のポリウレタンを用いる事が望ましい。この接着方法としては、適宜な方法を用いればよいが、例を挙げると、無孔質膜層上にグラビア機にて前記接着剤を塗布した後、前記繊維をドライラミネーターで接着する方法があるが、この方法に限定されないのは勿論である。
【0036】
かくして得られる本発明にかかる防水加工布は耐水圧10,000〜40,000mmH2Oで以上の高耐水圧を有し、しかも透湿度4,000g/m2・24時間以上の透湿性を持ち、かつ結露量 10g/m2以下の低結露性を併せ備えているのである。結露量は10g/m2以下が好ましい。
【0037】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0038】
[実施例1]
70デニールのナイロンフィラメントヤーンで構成されたナイロンタフタに、フッ素系撥水剤にて撥水処理を施した。すなわち、撥水剤アサヒガードAG710(明成化学(株)製)を3重量%に含有した水分散液に上記タフタを浸漬し、絞り率40%にピックアップしヒートセッターにて130℃×30秒の乾燥熱処理を施した。
【0039】
親水性ポリウレタン樹脂溶液は次のように調整した。すなわち、ポリオールとして平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール及び平均分子量2000のポリエチレングリコール、及び平均分子量2000のポリプロピレングリコールを50℃のジメチルホルムアミド(以下DMFという)中に撹拌溶解させ、次いでジイソシアネートとしてMDIをモル比 0.2/0.15/0.15/3.0で投入し、約1時間撹拌して、プレポリマーを得た。次に、鎖長剤としてエチレングリコールを上記モル比2.5を滴下してポリマー化反応を生じさせ、DMFにて適量希釈し30重量%のポリウレタン樹脂溶液を得た。かくして得られたポリウレタン樹脂は、厚み12μmの乾式無孔質膜が透湿度5,800g/m2・24時間であるポリウレタン樹脂であった。
【0040】
この親水性ポリウレタン樹脂70重量部に、厚み12μmの乾式無孔質膜が透湿度500g/m2・24時間である非親水性ポリウレタン樹脂すなわちクリスボン8166(大日本インキ化学工業(株)製)30重量部、DMF50重量部、撥水剤アサヒガードAG650(明成化学(株)製)5重量部、ブロックイソシアネート系架橋剤バーノックD−500(大日本インキ化学工業(株)製)1重量部を加えて混合した。この樹脂溶液を、上記で得られたナイロンタフタに150g/m2の割合でコーティングし、DMFを10重量%含有した水溶液を凝固液とする浴槽中に30℃にて3分間浸漬してポリウレタン塗布液を湿式ゲル化させ、ついで80℃の温湯にて10分間水洗し、110℃にて熱風乾燥を行った。ついで厚み12μmの乾式無孔質膜が透湿度6500g/m2・24時間である透湿性ポリウレタン樹脂ハイムレンY252(大日精化(株)製)100重量部に、サイリシア#350(富士シリシア化学(株)製)3重量部、レペレント#775(旭化学工業(株)製)1重量部、MEK50重量部を加えて混合した。この樹脂溶液を上記で得られた微多孔質膜上に60g/m2の割合でコーティングし、110℃にて熱風乾燥後、160℃にて3分間の熱処理を行った。得られた布帛について、耐水圧(初期、洗濯10回後)、透湿度及び結露量を測定した。結果を、表1に示した。
【0041】
表1において各データの測定方法は下記の通りである。なお、耐水圧の耐久性については洗濯試験10回後の耐水圧を測定し保持率で表した。
【0042】
耐水圧:JIS規格 L−1092による
洗濯試験:JIS規格 L−0217(103法)による
透湿度:JIS規格 L−1099(A−1)による
結露量:500ccのビーカーに40℃の温湯を500cc入れ、試験布の コーティング面が下になるようにかぶせ温度10℃湿度60%RHの恒温槽に1時間放置した後、コーティング部分に付着 した、すなわち結露した水滴量を重量で測定した。
べとつき感:結露量測定後、樹脂表面を手でさわり評価した。
[参考例1]
実施例1で得られた親水性ポリウレタン樹脂50重量部に、実施例1と同じ非親水性ポリウレタン樹脂クリスボン8166 50重量部、DMF50重量部、撥水剤アサヒガードAG650(明星化学(株)製)5重量部、ブロックイソシアネート系架橋剤バーノックD−500(大日本インキ化学工業(株)製)1重量部を加えて混合した。この樹脂溶液を、実施例1で用いたナイロンタフタに150g/m2の割合でコーティングし、DMFを10重量%含有した水溶液を凝固液とする浴槽中に30℃にて3分間浸漬してポリウレタン塗布液を湿式ゲル化させ、ついで80℃の温湯にて10分間水洗し、110℃にて熱風乾燥を行った。ついで実施例1と同様の透湿性ウレタン樹脂溶液を微多孔質膜上に60g/m2の割合でコーティングし、110℃にて熱風乾燥後、160℃にて3分間の熱処理を行った。得られた布帛について、耐水圧(初期、洗濯10回後)、透湿度及び結露量を測定した。結果を、表1に示した。
【0043】
[実施例2]
実施例1で得られた親水性ポリウレタン樹脂30重量部に、実施例1と同じ非親水性ポリウレタン樹脂クリスボン8166 70重量部、DMF50重量部、撥水剤アサヒガードAG650(明星化学(株)製)5重量部、ブロックイソシアネート系架橋剤バーノックD−500(大日本インキ化学工業(株)製)1重量部を加えて混合した。この樹脂溶液を、実施例1で用いたナイロンタフタに150g/m2の割合でコーティングし、DMFを10重量%含有した水溶液を凝固液とする浴槽中に30℃にて3分間浸漬してポリウレタン塗布液を湿式ゲル化させ、ついで80℃の温湯にて10分間水洗し、110℃にて熱風乾燥を行った。ついで実施例1と同様の透湿性ウレタン樹脂溶液を微多孔質膜上に60g/m2の割合でコーティングし、110℃にて熱風乾燥後、160℃にて3分間の熱処理を行った。得られた布帛について、耐水圧(初期、洗濯10回後)、透湿度及び結露量を測定した。結果を、表1に示した。
【0044】
[実施例3]
参考例1で得られた布帛のコーティング膜に透湿性のドライラミネート用ポリウレタン樹脂ハイムレンY−119((大日精化(株)製)100重量部、イソシアネート系架橋剤コロネートL(大日本インキ化学工業(株)製)5重量部、キシレン60重量部よりなる接着剤を30メッシュのグラビアロールで塗布し、100℃にて熱風乾燥後、ナイロントリコット(18dハーフトリコット:W×C=36×40)を貼り合わせ、圧着したまま24時間40℃で熟成し、得られた布帛について、耐水圧(初期、洗濯10回後)、透湿度及び結露量を測定した。結果を、表1に示した。
【0045】
[比較例1]
従来品ポリウレタン樹脂クリスボン8166(大日本インキ化学工業(株)製)100重量部、DMF50重量部、撥水剤アサヒガードAG650(明星化学(株)製)5重量部、ブロックイソシアネート系架橋剤バーノックD−500(大日本インキ化学工業(株)製)1重量部を加えて混合した樹脂溶液を、実施例1で用いたナイロンタフタに150g/m2の割合でコーティングし、DMFを10重量%含有した水溶液を凝固液とする浴槽中に30℃にて3分間浸漬してポリウレタン塗布液を湿式ゲル化させ、ついで80℃の温湯にて10分間水洗し、110℃にて熱風乾燥を行った。ついで実施例1と同様の透湿性ウレタン樹脂溶液を微多孔質膜上に60g/m2の割合でコーティングし、110℃にて熱風乾燥後、160℃にて3分間の熱処理を行った。得られた布帛について、耐水圧(初期、洗濯10回後)、透湿度及び結露量を測定した。結果を、表1に示した。
【0046】
[比較例2]
実施例1で得られた親水性ポリウレタン樹脂100重量部、DMF50重量部、撥水剤アサヒガードAG650(明星化学(株)製)5重量部、ブロックイソシアネート系架橋剤バーノックD−500(大日本インキ化学工業(株)製)1重量部を加えて混合した。この樹脂溶液を、実施例1で用いたナイロンタフタに150g/m2の割合でコーティングし、DMFを10重量%含有した水溶液を凝固液とする浴槽中に30℃にて3分間浸漬してポリウレタン塗布液を湿式ゲル化させ、ついで80℃の温湯にて10分間水洗し、110℃にて熱風乾燥を行った。ついで実施例1と同様の透湿性ウレタン樹脂溶液を微多孔質膜上に60g/m2の割合でコーティングし、110℃にて熱風乾燥後、160℃にて3分間の熱処理を行った。得られた布帛について、耐水圧(初期、洗濯10回後)、透湿度及び結露量を測定した。
結果を、表1に示した。
【0047】
【表1】
この表1から明らかなように、微多孔質膜層に従来品である非親水性ポリウレタン樹脂の使用例では、耐久性のある高耐水圧、透湿性が得られるものの結露性は悪くなっているのである。また、親水性ポリウレタンの使用により、結露性は改善されるものの、成膜性が悪くなり、微多孔質が形成されないため耐水圧・透湿性が悪くなっているのである。加えて、結露性の測定時にべとつき感が有った。一方、本発明の実施例により得られる加工布はいずれも耐久性のある高耐水圧と透湿性を併せ持ち、かつ結露性が向上し、べとつき感が無かった。
【0048】
また、上記の実施例および比較例からすると、微多孔質膜に使用するポリウレタン樹脂の混合比率が親水性樹脂70重量%の時(実施例1)耐水圧、透湿性が限界に近くなっている事が認められる。また、親水性樹脂30重量%の時(実施例2)では結露性が限界に近くなっていることが認められる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の効果は、雨や海水などを通さず、しかも蒸れず、結露によるべとつき感が無いという非常に快適な雨衣用素材として優れた有用性を発揮する透湿防水加工布を提供できた。
Claims (10)
- 布帛の少なくとも片面に親水性ポリウレタン樹脂および非親水性ポリウレタン樹脂の混合により形成されてなる微多孔質膜と、その層に積層して透湿性ポリウレタン樹脂から主としてなる無孔質膜層とを有し、耐水圧が10000〜40000mmH2Oであり、透湿度が4000〜8000g/m2・24時間であり、かつ結露量が10g/m2以下であることを特徴とする透湿防水加工布帛。
- 親水性ポリウレタン樹脂のポリオール成分の20〜60モル%がポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのうち少なくともいずれか一方であることを特徴とする請求項1に記載の透湿防水加工布帛。
- 微多孔質膜層の厚みが15〜150μmであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の透湿防水加工布帛。
- 無孔質膜の厚みが3〜20μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透湿防水加工布帛。
- 微多孔質膜層の空孔率が10〜75%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透湿防水加工布帛。
- 親水性ポリウレタン樹脂および非親水性ポリウレタン樹脂の混合が1:3〜3:1であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透湿防水加工布帛。
- 繊維層が前記無孔質膜層の上部に取り付けられることを特徴とするる請求項1〜6のいずれかに記載の透湿防水加工布帛。
- 前記繊維層と前記無孔質膜層が透湿性ポリウレタンで接着されていることを特徴とする請求項7に記載の透湿防水加工布帛。
- 布帛の少なくとも片面に親水性ポリウレタン樹脂および非親水性ポリウレタン樹脂の混合溶液を付与せしめて微多孔質膜層を形成し、その層に積層して透湿性ポリウレタン樹脂溶液を付与せしめて無孔質膜層を形成することを特徴とする透湿防水加工布帛の製造方法。
- 親水性ポリウレタン樹脂および非親水性ポリウレタン樹脂の混合溶液中の親水性ポリウレタン樹脂と非親水性ポリウレタン樹脂との混合比が1:3〜3:1であることを特徴とする請求項9に記載の透湿防水加工布帛の製造方法。
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JP23954798A JP4022000B2 (ja) | 1997-08-13 | 1998-08-11 | 透湿防水加工布帛およびその製造方法 |
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