WO2007086128A1

WO2007086128A1 - 耐久性のある透湿性防水シート用ポリウレタン樹脂組成物、透湿性防水シートおよびその製造方法

Info

Publication number: WO2007086128A1
Application number: PCT/JP2006/301246
Authority: WO
Inventors: Yutaka Hayashi; Junsho Kanenori; Yukichi Izumi; Yoshio Kobayashi; Hiroyuki Ogawa
Original assignee: Komatsu Seiren Co., Ltd.; Sanyo Chemical Industries, Ltd.
Priority date: 2006-01-26
Filing date: 2006-01-26
Publication date: 2007-08-02
Also published as: US20090061172A1

Abstract

　透湿性と防水性が共に優れ、防虫剤、有機溶剤等に対する耐薬品性を有し、耐久性にも優れた透湿性防水シート用のウレタン樹脂組成物、透湿性防水シートおよびその製造方法が提供される。その透湿性防水シート用ポリウレタン樹脂組成物は、親水性ポリウレタン樹脂（Ａ）と、官能基数３以上のポリイソシアネート（Ｂ０）を有する有機ポリイソシアネート（Ｂ）と、有機溶媒（Ｃ）とを含有することを特徴とする。また、前記親水性ポリウレタン樹脂（Ａ）が、オキシエチレン基含有高分子ジオール（ｄ）と、有機ジイソシアネート（ｅ）と、鎖伸長剤（ｆ）とからなり、オキシエチレン基含有量が１０～８０質量％であることが好ましい。さらに、前記有機ポリイソシアネート（Ｂ）が、平均官能基数２．３～５の脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環式ポリイソシアネートからなる群より選択される少なくとも１種であることが好ましい。

Description

明細書

耐久性のある透湿性防水シート用ポリウレタン樹脂組成物、透湿性防水シートおよびその製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、耐久性のある透湿性防水シート用ポリウレタン榭脂組成物、透湿性防水シートおよびその製造方法に関するものである。

背景技術

[0002] 従来、透湿性防水シートとしては、ポリテトラフルォロエチレン榭脂を延伸して多孔質ィ匕させたフィルムや繊維布帛に、ポリウレタン榭脂をコーティングして、湿式凝固により微多孔質膜としたものが利用されている (例えば、特許文献 1参照。 ) o

し力しながら、この微多孔質のフィルムでは、汗、汚れ等で目詰まりを生じ、透湿性が低下すると、う問題があった。

[0003] これに対して、親水性を有する透湿性ポリウレタン榭脂をコーティングした無孔質シートが提案されている。この透湿性ポリウレタン榭脂には、ポリウレタン榭脂中に、親水性セグメントであるポリオキシエチレングリコールや、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体等のポリオール成分が導入されている。

上述の透湿性ポリウレタン榭脂が用いられた無孔質シートは、乾式法により製造され、一般的構成は、繊維布帛、この繊維布帛のいずれかの表面層、その間に位置する中間接着層の三層構造力成っている。表面層および中間接着層に使用される榭脂としては、表面層には透湿性の熱可塑性ウレタン榭脂、中間接着層には熱硬化性ウレタン榭脂が多用されている。一般的な製造方法としては、はじめに、離型紙上に表面層用ウレタン榭脂を塗布し、乾燥させる。次いで、榭脂面上に中間接着層用ウレタン榭脂を塗布し、乾燥させた後、繊維布帛と貼り合わせる。その後、離型紙を剥離することにより、無孔質シートが得られる (例えば、特許文献 2、特許文献 3参照。 ) ₀ 特許文献 1：特開昭 56 - 26076号公報

特許文献 2：特開昭 64— 62320号公報

特許文献 3：特開平 3 - 203920号公報発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0004] 透湿性防水シートには、使用場面に合わせ、透湿性、防水性、強靭性、表面滑性、耐薬品性など、様々な性能が具備されていることが求められる。

ここで、透湿性と防水性は、互いに相反する性質である。一般的に、透湿性を高めると防水性は低下し、防水性を高めると透湿性は低下する。シートにおいて、例えば、微多孔質の孔径を大きくしたり、気孔率が大きいものを選択したり、あるいは、ポリウレタン樹脂膜の厚みを薄くすることによって、透湿性は格段に向上する一方、水が通りやすくなるため防水性は低下する。これとは反対に、微多孔質の孔径を小さくしたり、気孔率が小さいものを選択したり、あるいは、ポリウレタン榭脂膜の厚みを厚くすることによって、防水性は向上する一方、透湿性は低下する。したがって、前記無孔質シートでは、その両立が不十分であり、ユーザからは、透湿性と防水性が共に優れたシートが広く求められていた。

[0005] また、ウレタン榭脂を使用した既存の透湿性防水シートは、例えば、アウトドア用や軍事用の衣服、カッパ、ヤッケ、靴等として使用されている。このとき、蚊、ぶよ、ノミ、イエダニなどの人体に危害のある昆虫等を防虫'忌避するために、防虫剤等が使用されることがある。この防虫剤には、 N, N'—ジェチル— m—トルアマイド（DEET)などが主成分として含有されているのが一般的であり、この DEETは、ジメチルホルムアミド（DMF)と化学的構造が似ているものである。ジメチルホルムアミドは、ポリウレタン樹脂の溶媒として一般に使用されており、ポリウレタン榭脂の皮膜を溶解する能力を有している。これと類似の化学的構造をもつ DEETも同様に、従来の透湿性防水シートに接触'使用すると、ポリウレタン榭脂の表面層が溶解し破壊され、防水性が著しく低下してしまう。さらに、化粧料等に含まれる低級アルコールに接触'使用しても、ポリウレタン榭脂の表面層が破壊されることが少な力もず生じていた。したがって、防虫剤、有機溶剤やィ匕粧料等の薬品類に対する耐久性が求められて、た。

[0006] 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、透湿性と防水性が共に優れ、防虫剤、有機溶剤などの薬品類に対する耐薬品性を有し、耐久性にも優れた透湿性防水シート用のウレタン榭脂組成物、透湿性防水シートおよびその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

本発明者らは、鋭意検討の結果、親水性ポリウレタン榭脂、有機ポリイソシァネートおよび有機溶媒カゝらなるポリウレタン榭脂組成物を用いることにより、課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。

上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。

本発明の透湿性防水シート用ポリウレタン榭脂組成物は、親水性ポリウレタン榭脂（

A)と、官能基数 3以上のポリイソシァネート（BO)を有する有機ポリイソシァネート (B) と、有機溶媒 (C)とを含有することを特徴とする。

また、前記親水性ポリウレタン榭脂 (A)が、ォキシエチレン基含有高分子ジオール ( d)と、有機ジイソシァネート (e)と、鎖伸長剤 (f)とからなるポリウレタン榭脂であり、該親水性ポリウレタン榭脂 (A)に対してォキシエチレン基含有量が 10〜80質量％であることが好ましい。

さらに、前記有機ポリイソシァネート (B)が、平均官能基数 2. 3〜5の脂肪族ポリイソシァネートおよび脂環式ポリイソシァネートからなる群より選択される少なくとも 1種であることが好ましい。

本発明の透湿性防水シートは、前記ポリウレタン榭脂組成物を反応させてなるポリウレタン榭脂の無孔質層と、繊維布帛および Zまたは開放された連続多孔質膜とを有することを特徴とする。

前記無孔質層は、最外層またはその近傍に位置する層であることが好ましい。

ここで、最外層とは、雨水や薬品類などが当たる透湿性防水シートの表側の表面層をいい、近傍とは、最外層に隣接するもしくはさらにその次の層をいう。

また、前記無孔質層上に、前記ポリウレタン組成物を反応させてなる榭脂膜により柄が付与されていてもよい。例えば、前記無孔質層の上に、前記ポリウレタン組成物を反応させてなる榭脂膜を用いて、点状、線状、格子状をはじめ、菱形、星形、蝶々柄など様々な柄を付与してもよ、。

また、前記開放された連続多孔質膜は、連続多孔質ポリテトラフルォロエチレン膜であることが好ましい。本発明の透湿性防水シートは、 N, N，一ジェチルー m—トルアマイド、アミド系溶媒から選択される少なくとも 1種を含有する有機溶剤を用いて処理した後の、 JIS L 1092の耐水度力 OOOmmH O以上であることが好ましい。

2

ここで、有機溶剤を用いた処理とは、 N, N，—ジェチル— m—トルアマイド（DEET )、アミド系溶媒力も選択される少なくとも 1種を含有している有機溶剤を脱脂綿に付与させ、得られた透湿性防水シートの無孔質膜面 (および、無孔質膜面上に柄が付与されている場合には、その柄の上)を軽く 1回こすり、 2分間乾燥させる操作を 20回繰り返す処理をいう。

ここで、アミド系溶媒とは、ジメチルホルムアミド、ジメチルァセトアミドなどをいう。透湿性防水シートの製造方法として、繊維布帛および Zまたは開放された連続多孔質膜の少なくとも片面に、親水性ポリウレタン榭脂 (A)と、官能基数 3以上のポリイソシァネート (B0)を有する有機ポリイソシァネート (B)と、有機溶媒 (C)とを含有し、粘度が 1000〜30000mPa' sのポリウレタン榭脂組成物を塗布し、乾燥して無孔質層を形成させることが好ましい。

さらに、前記開放された連続多孔質膜の片面に繊維布帛を貼り合わせ、もう一方の片面に、粘度が 1000〜30000mPa' sの前記ポリウレタン榭脂組成物を塗布し、乾燥して無孔質層を形成させる製造方法が好まヽ。

また、本発明の透湿性防水シートの他の製造方法は、離型紙上に親水性ポリウレタン榭脂 (A)と官能基数 3以上のポリイソシァネート (B0)を有する有機ポリイソシァネート (B)と有機溶媒 (C)とを含有するポリウレタン榭脂組成物カゝら調製した塗工液を塗布し、乾燥して無孔質膜を形成した後、無孔質膜上にバインダー榭脂を付与し、ノインダー榭脂を介して無孔質膜と繊維布帛および Zまたは連続多孔質膜を貼り合わせ、その後離型紙より剥がすことを特徴とする。

また、前記製造方法における開放された連続多孔質膜は、連続多孔質ポリテトラフルォロエチレン膜であることが好まし、。発明の効果

本発明により、透湿性と防水性が共に優れ、防虫剤、有機溶剤などの薬品類に対する耐薬品性を有し、耐久性にも優れた透湿性防水シート用のウレタン榭脂組成物が提供される。さらに、本ウレタン榭脂組成物を用いた透湿性防水シートおよびその製造方法が提供される。

発明を実施するための最良の形態

[0009] 《シート構成》

本発明の透湿性防水シートは、特定のポリウレタン榭脂組成物からなるポリウレタン榭脂の無孔質層を有するものである。さらに、本シートは、前記無孔質層と、繊維布帛および Zまたは開放された連続多孔質膜とが積層し形成されるものである。

[0010] <ポリウレタン榭脂組成物 >

ここで、ポリウレタン榭脂組成物とは、親水性ポリウレタン榭脂 (A)と、官能基数 3以上のポリイソシァネート (BO)を有する有機ポリイソシァネート (B)と、有機溶媒 (C)とを含有するものである。

[0011] 〔親水性ポリウレタン榭脂 (A)〕

本発明における親水性ポリウレタン榭脂 (A)は、高分子ジオールと、有機ジィソシァネート (e)と、鎖伸長剤 (f)とからなるポリウレタン榭脂である。

高分子ジオールとしては、なかでも、ォキシエチレン基含有高分子ジオール (d)が好ましい。ォキシエチレン基含有高分子ジオール (d)としては、例えばポリオキシェチレングリコール（以下 PEGと略記）、ポリオキシエチレンォキシプロピレンブロック共重合ジオール、ポリオキシエチレンォキシテトラメチレンブロック共重合ジオール、ェチレンォキシドとプロピレンォキシドとのランダム共重合ジオール、エチレンォキシドとテトラヒドロフランとのランダム共重合ジオール；エチレングリコール、プロピレングリコール、 1, 4 ブタンジオール、 1, 6 へキサメチレングリコール、ビス（ヒドロキシメチル）シクロへキサン、 4, 4，一ビス（2 ヒドロキシエトキシ）一ジフエ-ルプロパンなどの低分子グリコールのエチレンォキシド付カ卩物；分子量 1000以下の PEGとジカルボン酸（例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸など）とを反応させて得られる縮合ポリエーテルエステルジオール；およびこれらの 2種以上の混合物が挙げられる。これらの中で、好ましくは PEG、ポリオキシエチレンォキシプロピレンブロック共重合ジオール、ポリオキシエチレンォキシテトラメチレンブロック共重合ジオールであり、特に好ましくは PEGである。ォキシエチレン基含有高分子ジオール (d)中のォキシエチレン基含有量は、透湿性の観点から、好ましくは少なくとも 40質量％以上、さらに好ましくは少なくとも 50質量％以上である。（d)の分子量は、好ましくは 700〜20, 000、さらに好ましくは 1, 0 00〜15, 000である。

また、透湿性を阻害しな、範囲で該ジオールと共に他の高分子ジオール (dl)を併用することもできる。（dl)は上記 (d)の質量に基づいて、通常 0〜60質量％、好ましくは 10〜50質量％を併用することができる。

他の高分子ジオール（dl)としては、例えば、ポリエーテルジオール (ィ）、ポリエステルジオール（口）、ポリカーボネートジオール (ハ）およびこれらの混合物などが挙げられる。分子量は通常 600〜5000のものが挙げられる。

ポリエーテルジオール (ィ）としてはォキシエチレン基を含有しないもの、例えば、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール（以下 PTMGと略記）、ポリオキシプロピレンォキシテトラメチレンブロック共重合ジオールおよびこれらの 2種以上の混合物などが挙げられる。

ポリエステルジオール（口）としては、低分子ジオールおよび Zまたは分子量 1000 以下のポリエーテルジオールとジカルボン酸とを反応させて得られる縮合ポリエステルジオールや、ラタトンの開環重合により得られるポリラタトンジオールなどが挙げられる。

上記低分子ジオールとしては、ォキシエチレン基含有高分子ジオールの項で述べた低分子ダリコールなどが挙げられる。

分子量 1000以下のポリエーテルジオールとしては、ポリプロピレングリコール、 PT MGなどが挙げられる。

ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸（例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸など）、芳香族ジカルボン酸 (テレフタル酸、イソフタル酸など）ならびにこれらの 2 種以上の混合物などが挙げられる。

ラタトンとしては、例えば、 ε一力プロラタトンが挙げられる。

ポリエステルジオール（口）の具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリ 2, 2—ジメチルトリメチレンアジペート、ポリ 3—メチルペンタメチレンアジペート、ポリへキサメチレンアジペート、ポリ力プロラタトンジオールおよびこれらの

2種以上の混合物などが挙げられる。

ポリカーボネートジオール (ハ）としては、例えば、ポリへキサメチレンカーボネートジオールが挙げられる。

[0013] 本発明の親水性ポリウレタン榭脂に用いられる有機ジイソシァネート（e)としては、例えば、（1)炭素数 6〜12 [NCO基中の炭素を除ぐ以下、（2)〜(4)も同様]の脂肪族ジイソシァネート、（2)炭素数 6〜 15の脂環式ジイソシァネート、（3)炭素数 8〜 12の芳香脂肪族ジイソシァネート、（4)炭素数 6〜30の芳香族ジイソシァネートおよびこれらの 2種以上の混合物などが挙げられる。

脂肪族ジイソシァネート（1)の具体例としては、へキサメチレンジイソシァネート (H DI)、ドデカメチレンジイソシァネート、 2, 2, 4 トリメチルへキサメチレンジイソシァネート、リジンジイソシァネート、 1, 3, 6 トリメチルへキサメチレンジイソシァネートなどが挙げられる。

脂環式ジイソシァネート（2)の具体例としては、イソホロンジイソシァネート（IPDI)、ジシクロへキシノレメタン 4, 4，ージイソシァネート（水添 MDI)、 1, 4ーシクロへキサンジイソシァネート、メチルシクロへキサン一 2, 4 ジイソシァネート（水添 TDI)、 1, 4 ビス（2 イソシアナートェチル）シクロへキサンなどが挙げられる。

芳香脂肪族ジイソシァネート（3)の具体例としては、 p—または m—キシリレンジイソシァネート、 α、 α、 α α，ーテトラメチルキシリレンジイソシァネートなどが挙げられる。

芳香族ジイソシァネート（4)の具体例としては、 1, 3 または 1, 4 フエ-レンジィソシァネート、 2, 4 または 2, 6 トリレンジイソシァネート（TDI)、 2, 4'—または 4, 4'—ジフエ-ノレメタンジイソシァネート（MDI)、ナフタレン一 1, 5 ジイソシァネート、 3, 3，ージメチルジフエ-ルメタン 4, 4，ージイソシァネートなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは芳香族ジイソシァネートであり、特に好ましいものは MDIである。

[0014] 鎖伸長剤 (f)としては、例えば、低分子ジオール [エチレングリコール (以下 EGと略記）、プロピレングリコール、 1, 4 ブタンジオール (以下 BGと略記)など]、脂肪族ジァミン（エチレンジァミンなど）、脂環式ジァミン (イソホロンジァミン、 4, 4，ージアミノジシクロへキシルメタンなど）、芳香族ジァミン（4, 4，ージアミノジフエ-ルメタンなど）、アルカノールァミン（エタノールァミンなど）、ヒドラジンおよびこれらの 2種以上の混合物などが挙げられ、好ましくは低分子ジオールである。

[0015] 親水性ポリウレタン榭脂 (A)のォキシエチレン基含量は、 (A)に対して透湿性の観点から、好ましくは 10質量％以上、さらに好ましくは 20質量％以上、より好ましくは 25 質量％以上である。また、皮膜の強度の観点から、好ましくは 80質量％以下、さらに好ましくは 70質量％以下、より好ましくは 65質量％以下である。

[0016] 親水性ポリウレタン榭脂 (A)にお、て、有機ジイソシァネートと高分子ジオールおよび鎖伸長剤との割合 (NCO : OH+NH当量比）は、通常（0. 95〜： L 05) : 1、好ましくは実質的に 1 : 1である。（NCOZOH+NH当量比）力上記範囲の場合にはポリウレタン榭脂の分子量が高分子量になり、実用的に有用な物性を有するポリウレタン榭脂を製造することができる。親水性ポリウレタン榭脂 (d)の分子量は数平均分子量で、好まし <は 5, 000〜300, 000、さらに好まし <は 8, 000〜200, 000である。

[0017] 親水性ポリウレタン榭脂 (A)は、有機ポリイソシァネート (B)と反応して耐薬品性のあるポリウレタン榭脂となるために、末端基として OHを有することが好ましい。末端基濃度は、（A)の固形分として、水酸基価が好ましくは 0. 5〜25、さらに好ましくは 1〜 20、より好ましくは 1. 5〜15である。

[0018] 溶媒の存在下で親水性ポリウレタン榭脂 (A)の製造を行う場合の適当な有機溶媒としては、例えば、アミド系溶媒 (DMF、ジメチルァセトアミドなど）、スルホキシド系溶媒 (ジメチルスルホキシドなど）、ケトン系溶媒 (メチルェチルケトン (MEK)など）、芳香族系溶媒（トルエン、キシレンなど）、エーテル系溶媒 (ジォキサン、テトラヒドロフランなど）、エステル系溶媒（酢酸ェチル、酢酸ブチルなど）およびこれらの 2種以上の混合物などが挙げられる。これらのうち好ましいものはアミド系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒およびこれらの 2種以上の混合物である。

有機溶媒の量は、ポリウレタン榭脂の榭脂固形分濃度が通常 5〜50質量％、好ましくは 10〜40質量％となる量である。

[0019] 親水性ポリウレタン榭脂 (A)の製造に際し、反応温度はポリウレタン化反応に通常採用される温度と同じで良ぐ溶媒を使用する場合は、通常 20〜100°C、無溶媒の場合は通常 20〜220°Cである

反応を促進させるため、ポリウレタン反応に通常使用される触媒 [例えばアミン系触媒（トリエチルァミン、トリエチレンジァミンなど）、錫系触媒 (ジブチルチンジラウレートなど) ]を必要により使用することができる。

また、必要により、重合停止剤 [例えば 1価アルコール（エタノール、ブタノールなど )、 1価ァミン（ジェチルァミン、ジブチルァミンなど）、低分子ジオール（EG、 BGなど）、アルカノールァミン（モノエタノールァミン、ジエタノールァミンなど）など]を用いることちでさる。

[0020] 親水性ポリウレタン榭脂 (A)の製造は、通常、当該業界において採用されている製造装置で行うことができる。また、溶媒を使用しない場合は、ニーダゃエタストルーダなどの製造装置を用いることができる。このようにして製造されるポリウレタン榭脂としては、 30質量％ (固形分) DMF溶液として測定した溶液粘度が通常 1〜： LOOOPa' s Z20°Cであり、実用上好まし、のは 5〜200Pa · sZ20°Cである。

[0021] 〔有機ポリイソシァネート（B)〕

本発明における有機ポリイソシァネート（B)は、官能基数 3以上のポリイソシァネート (B0)を含有する。これ以外のものとして、有機ジイソシァネート（e)を含有していてもよい。（B)が官能基数 2の (e)しか含有しない場合は、 DEET等に対する耐久性が不十分となる。（B)の平均官能基数は、 DEETに対する耐久性の観点から、 2. 3〜5が好ましぐ 2. 5〜5がさらに好ましい。

[0022] 官能基数 3以上のポリイソシァネート（B0)としては、例えば、前記有機ジイソシァネ一 He) (3モル）とトリメチロールプロパン (TMP) (1モル）を反応させたウレタン変性体 (例えば、 HDIまたは IPDIまたは TDIと TMPとを反応させた変性体など）、 (e) (3 モル）と水（1モル）を反応させたビューレット変性体（例えば、 HDIまたは IPDIと水を反応させた変性体など）、（e)のイソシァヌレート変性体 (例えば、 HDIまたは IPDIまたは TDIの 3量体など）、前記変性体の 2量体 (例えば、前記ウレタン変性体またはビユーレット変性体またはイソシァヌレート変性体（2モル）と水または EG (1モル）とを反応させた変性体など）、前記変性体の 3量体 (例えば、前記ウレタン変性体またはビュ一レット変性体またはイソシァヌレート変性体（3モル）と水または EG (2モル）とを反応させた変性体など)など、およびこれらの 2種以上の混合物などが挙げられる。これらのうち好ま、ものは、脂肪族ジイソシァネートを用いた前記変性体である脂肪族ポリイソシァネートおよび脂環式ジイソシァネートを用いた前記変性体である脂環式ポリイソシァネートおよびこれらの 2種以上の混合物が挙げられ、さらに好ましくはイソシァヌレート変性体の脂肪族ポリイソシァネート、イソシァヌレート変性体の脂環式ポリイソシァヌレートおよびこれらの 2種以上の混合物が挙げられ、特に好ましくは HDI のイソシァヌレート変性体、 IPDIのイソシァヌレート変性体およびこれらの混合物が挙げられる。

官能基数 3以上のポリイソシァネート（BO)と有機ジイソシァネート (e)の質量比（BO )： (e)は、好ましくは 50： 50〜： LOO： 0、さらに好ましくは 60： 40〜： LOO： 0である。

[0023] 本発明にお、て、親水性ポリウレタン榭脂 (A)と有機ポリイソシァネート (B)の使用比率は、親水性ポリウレタン榭脂（固形分として） 100質量部に対して、有機ポリイソシァネートを好ましくは 3〜60質量部、さらに好ましくは 10〜50質量部、より好ましくは 15〜35質量部である。 3質量部以上であれば、 DEET等の耐久性は十分であり、 6 0質量部以下であれば、風合、が硬すぎることはな！/、。

[0024] 〔有機溶媒 (C)〕

本発明における有機溶媒 (C)としては、前記親水性ポリウレタン榭脂 (A)の製造を行う場合の適当な有機溶媒として例示したものと同じものが使用できる。これらのうち、好ましいものはアミド系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒およびこれらの 2種以上の混合物である。

有機溶媒 (C)の量は、ポリウレタン榭脂の榭脂固形分濃度が、通常 5〜50質量％、好ましくは 10〜40質量％となる量である。

[0025] 〔その他の添加剤〕

本発明のポリウレタン榭脂中には、必要により耐候性、耐熱劣化等の向上のための各種安定剤、着色剤、無機充填剤、有機改質剤、また、多孔質膜との接着強度向上を目的とした浸透向上剤、その他の添加剤等を含有させることができる。これら各種の充填材ゃ架橋剤を添加した場合にも、ポリウレタン榭脂膜の厚さの制御などが自由に設計できる。

また、本発明のポリウレタン榭脂、ポリイソシァネートおよびその他の添加剤等の混合法は、通常の攪拌混合だけでもよいし、混合装置 (ボールミル、ニーダー、サンドグラスター、ロールミルなど）を用いて混合することもできる。

さらに、本発明の親水性ポリウレタン榭脂の中でォキシエチレン基の多いポリウレタン榭脂を用いた場合、得られる無孔質膜面に水が付着すると、膜が膨潤することがある。この膨潤を抑えるという観点からは、ポリウレタン榭脂のォキシエチレン基の平均含有量の多いものと少ないもの又は非親水性ポリウレタン榭脂とを配合することが有効である。

[0026] く繊維布帛〉

繊維布帛としては、例えば、天然繊維、合成繊維等の全てを使用できる。具体例としては、木綿、スフ、ポリエステル、ナイロン、アクリルおよびこれらの 2種以上の混紡であってもよい。また、形態は、織物、編物、不織布、起毛布などが挙げられる。また、繊維布帛の片面にポリウレタン榭脂の多孔質膜を有する積層基材であってもよい。また、これらの繊維布帛は、過度な浸透を防ぐために、シリコン榭脂、フッ素榭脂などで撥水処理されてヽてもよヽ。

[0027] <開放された連続多孔質膜 >

開放された連続多孔質膜 (以下、連続多孔質膜と略す)とは、一方の表面から他方の表面まで通ずる連続した孔が多数形成された膜のことであり、例えば、米国特許第 3953566号や米国特許 4187390号に記載されているもの等が挙げられる。具体的には、 W. L.ゴァ 'アンドァソシエーツインコーポレシヨンが販売している商品名ゴァ一テックス (登録商標)や、日本ドナルドソン株式会社が販売して、る商品名テトラテックス (登録商標）などの PTFE膜、住友スリーェム社が販売して、るマイクロポーラスフィルム、デュポン社が販売して、る商品名タイベック（登録商標）などのポリプロピレンフィルムなどが挙げられる。これらの中でも、 PTFE膜が好ましぐ PTFE膜の中でも気孔率を容易に高くできることから、延伸タイプがさらに好ましぐ気孔率が 80%以上のものが好ましい。 PTFE膜を用いれば、親水性ポリウレタン榭脂溶液を塗布して含浸させても、溶媒に用いられるジメチルホルムアミドなどの有機溶剤に溶解しなヽため、微細な連続孔に親水性ポリウレタン榭脂を含浸させることができるので、容易に無孔質層を形成させることができる。

連続多孔質膜の厚みとしては、厚みが 6 m未満であると、十分な防水性および強度が得られないことがあり、 200 /z mを超えると、十分な透湿性が得られないことがある。

[0028] <シート特性 >

本発明の透湿性防水シートは、透湿性、防水性、防虫剤や有機溶剤などの薬品類に対する耐薬品性のいずれもが優れたものである。

以下、本シートの特性について詳述する。

[0029] 〔透湿性〕

ここで、透湿性とは、 JIS L 1099 (繊維製品の透湿度試験方法）における酢酸カリゥム法に準じて測定する透湿度で表されるものである。

本シートの透湿度は、 5000gZ (m²' 24時間）以上であることが好ましぐより好ましくは 7000gZ (m²' 24時間）であり、特に好ましくは lOOOOgZ (m²' 24時間）以上である。透湿度が、 5000gZ (m²' 24時間）以上であれば、蒸れた状態が軽減される効果が向上し、用途がさらに広がる。

[0030] 〔防水性〕

ここで、防水性とは、 JIS L 1092 (繊維製品の防水性試験方法の高水圧法）に準じて測定する耐水度で表されるものである。

本シートの耐水度は、 5000mmH O以上であることが好ましぐより好ましくは 700

2

OmmH O以上であり、特に好ましくは lOOOOmmH O以上である。耐水度が、 500

2 2

OmmH O以上であれば、強い降雨にも耐えられるようになり用途がさらに広がる。

2

[0031] 〔耐薬品性〕

ここで、耐薬品性とは、有機溶剤を用いて処理した後に測定する上記耐水度で表されるものである。

この有機溶剤を用いた処理とは、 DEET、アミド系溶媒 (DMF、ジメチルァセトアミドなど)から選択される少なくとも 1種を含有してヽる有機溶剤を脱脂綿に付与させ、得られた透湿性防水シートの無孔質膜面 (および、無孔質膜面上に柄が付与されている場合にはその柄上）を軽く 1回こすり、 2分間乾燥させる操作を 20回繰り返す処理をいう。

この処理によっても、耐水度があまり低下せず、 5000mmH O以上であれば、耐

2

薬品性が高ぐ防虫剤などを噴霧使用しても耐久性があり、高性能な透湿性防水シートとして用途がさらに広がる。

[0032] 《透湿性防水シートの製造方法〉〉

次に、本発明の透湿性防水シートの製造方法について説明する。

本発明により得られる透湿性防水シートの製造法は、通常の方法であってよい。無孔質層を開放された連続多孔質膜に塗布するダイレクトコーティング方法や、離型紙に無孔質膜を形成させた後、接着剤を塗布し、開放された連続多孔質膜および Zまたは繊維布帛と貼り合わせ、乾燥後、離型紙より剥がす乾式ラミネート方法などが挙げられる。

[0033] <無孔質層 >

本発明のポリウレタン榭脂組成物の粘度 (B型粘度計、ローターナンバー 4、 12rp m) iま、 1000〜30000mPa- s力 S好まし <、より好まし < ίま 1500〜6000mPa- sに調整される。粘度が 1000〜30000mPa' sであれば、塗工性および製造効率が共に優れる。

ポリウレタン榭脂組成物からポリウレタン榭脂の無孔質層を製造する方法は、親水性ポリウレタン榭脂組成物カゝら塗工液を調製し、離型紙または多孔質膜に塗工液を塗布し、 50〜150°Cの乾燥機で乾燥させた後、 30〜100°Cで 20〜72時間エージングすることにより得られる。

また、本発明の透湿性防水シートにおける無孔質層の位置は、防水性と耐薬品性を効果的に発揮させるため、最外層またはその近傍に位置する層として設けられることが好ましい。

ここで、最外層とは、雨水や薬品類などが当たる透湿性防水シートの表側の表面層をいい、近傍とは、最外層に隣接するもしくはさらにその次の層をいうものである。

[0034] <無孔質層 Z繊維布帛>

離型紙上に、ポリウレタン榭脂組成物カゝら調製した塗工液をナイフコータ、パイプコ →、バーコータで塗布し、乾燥して無孔質膜を形成する。次に無孔質膜上にバインダ榭脂をグラビアコータなどにより全面、線状、点状等、任意に付与し、そのバインダ榭脂が付与された面に、予め精練、染色、撥水などの各種加工を必要に応じて施した繊維布帛と貼り合わせ、必要に応じ、エージング（30〜： LOO°Cで 20〜72時間）後、離型紙を剥がす乾式ラミネート方法によりシートを得る。

[0035] <無孔質層 Z連続多孔質膜 >

連続多孔質膜へのポリウレタン榭脂組成物カゝら調製した塗工液の塗布としては、ダィレクトコーティング方法等がある。塗布方法としては、例えば、グラビアコータ、ナイフコータ、ダイコータ、パイプコータ、バーコータ、パッダ一などを挙げることができる力ポリウレタン榭脂組成物力調製した塗工液の連続多孔質膜への含浸の観点からは、パイプコータ、バーコータが好ましい。

また、連続多孔質膜に、予め膜状にされた無孔質層を接着剤等により 80〜140 °C、 10〜500kPaの熱プレスなどにより貼り合わせて製造することもできる。

[0036] <無孔質層 Z連続多孔質膜 Z繊維布帛>

透湿性防水シートの片面に繊維布帛を有する場合には、まず、連続多孔質膜にバインダ榭脂をグラビアコータなどにより全面、線状、点状に付与し、そのバインダ榭脂が付与された面に、予め精練、染色、撥水などの各種加工を必要に応じて施した繊維布帛と貼り合わせる。その後、必要に応じて、エージング（30〜100°Cで 20〜72 時間）する。

次いで、繊維布帛が貼り合わされていない、連続多孔質膜の他方の面に、ポリウレタン榭脂組成物から調製した塗工液を塗布し、乾燥して無孔質層を形成させる。

あるいは、あらかじめ連続多孔質膜に無孔質層を形成したものと、繊維布帛とを同様の方法で貼り合わせてもよい。さらに、先の乾式ラミネート法を用い、連続多孔質膜と無孔質膜を貼り合わせ、連続多孔質膜上に無孔質層を形成してもよヽ。

[0037] <繊維布帛 Z無孔質層 Z連続多孔質膜 Z繊維布帛 >

透湿性防水シートの両面に繊維布帛を有する場合には、一方の面に無孔質層が形成され、他方の面に繊維布帛が貼り合わされた連続多孔質膜の無孔質層の表面に、バインダ榭脂をグラビアコータなどにより全面、線状、点状に付与し、予め精練、染色、撥水、吸水などの各種加工を必要に応じて施した繊維布帛を貼り合わせる。次いで、必要に応じて、乾燥、エージングし、さらに、必要に応じて公知の撥水加工を施して透湿性防水シートを得る。

[0038] 以上の製造方法により得られる透湿性防水シートは、優れた透湿性と防水性を有し、快適な作業 (運動)環境を提供でき、防虫剤などに接触 '使用しても性能面の低下がみられることが少ないので、さらに、ポリウレタン層を着色して、意匠性を向上させれば、アウトドア用や軍事用の衣服、カッパ、ヤッケ、靴等に好適に用いることができる。

また、ジメチルホルムアミド、ジメチルァセトアミドなどの有機溶剤類が接触'使用に対する耐久性も有しているため、特殊作業服 (化学防護服等)、フィルターに用いれば、快適な作業環境や設備を提供できる。

更に、前記無孔質膜上に、本発明のポリウレタン榭脂組成物を反応させてなる榭脂膜により柄が付与されて、ることが好ま U、。

例えば、前記無孔質層の上に、本発明のポリウレタン榭脂組成物を反応させてなる榭脂を用いて、点状、線状、格子状をはじめ、菱形、星形、蝶々柄など様々な柄を付与してもよい。上記の柄を付与する理由として、以下の事由が挙げられる。即ち、裏地がつかな、衣服等の用途にぉ、て、

1.膜面へ柄を付与することにより意匠性を付与する。

2.柄を付与する榭脂の中に角張った有機や無機の粒子を配合し用いることにより、膜面にドライなタツチ (風合)を付与する。

3.柄を付与する榭脂の中に有機や無機の球状粒子を配合し用いることにより、膜面になめらかなタツチ（風合)を付与する。

また本発明の柄を形成する榭脂は、 N, N—ジェチル— m—トルアマイド、アミド系溶媒に対し、耐久性があるため、殺虫剤等が付着しても付与した柄が消えることはない。

実施例

[0039] 次に、本発明に係る実施例について説明する力本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。また、「部」及び「％」は特に断らない限り、水を除いた固形分であり、それぞれ質量部及び質量％を示す。

ォキシエチレン基 (OE基と略記)含有量が異なる親水性ポリウレタン榭脂溶液を調製し、実施例に示す各種透湿性防水シートを作製した。

[0040] く親水性ポリウレタン榭脂溶液の調製〉（OE基の含有量が 50%の親水性ポリウレタン榭脂: A - 1)

攪拌機および温度計を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量 2000 (水酸基価から計算）の PEG 148. 6部、 EG 26. 4部、 MDI 125部および DMF 700部を仕込み、乾燥窒素雰囲気下で 70°C、 7時間反応させた。次に、 EG 0. 5部を加えて反応を終了し、榭脂濃度 30%、粘度 10, 000mPaZ20°Cの親水性ポリウレタン榭脂（ A- 1)溶液を得た。この A— 1の OE基含有量は 50%である。

[0041] (OE基の含有量が 30%の親水性ポリウレタン榭脂: A— 2)

数平均分子量 2000の PEG 89. 9部、数平均分子量 2000のポリエチレンアジべート 59. 9部、 BG 34. 8部、 MDI 115. 4部および DMF 700部を仕込み、 A— 1と同様の方法で反応させた。次に、 EG 0. 5部を加えて反応を終了し、榭脂濃度 3 0%、粘度 9, 000mPaZ20°Cの親水性ポリウレタン榭脂 (A— 2)溶液を得た。この A 2の OE基含有量は 30%である。

[0042] (OE基の含有量が 0%のポリウレタン榭脂: A— 3)

数平均分子量 2000のポリエチレンアジペート 149. 8部、 BG 34. 8部、 MDI 1 15. 4部および DMF 700部を仕込み、 A— 1と同様の方法で反応させた。次に、 E G 0. 5部を加えて反応を終了し、榭脂濃度 30%、粘度 9, 000mPaZ20°Cのポリウレタン榭脂 (A— 3)溶液を得た。この A— 3の OE基含有量は 0%である。

[0043] (実施例 1〜3、比較例 1および 2) <ダイレクトコーティング >

上述の各ポリウレタン榭脂溶液を含有する榭脂組成物の無孔質膜 ZPTFE力ゝらなる透湿性防水シートにつ!、て、下記に示すように作製した。

[0044] (実施例 1)

延伸 PTFE膜 (気孔率 92%、厚み 38 m)の片面に、パイプコータを用いて、以下に列挙する粘度 5000mPa' sの榭脂組成物をダイレクトコーティングした。

A- 1 100部、 MEK 30部、 DMF 10部、デユラネート TPA— 100 (旭化成工業（株)製、 HDIイソシァヌレート変性体官能基数 3. 0) 6部、 HI— 299 (大日精ィ匕工業 (株)製、アミン系触媒) 0. 5部、 L7075 (大日本インキ化学工業 (株)製、白顔料) 1 0部、 X— 22— 3701E (信越ィ匕学工業 (株)製、浸透向上剤) 0. 4部

次いで、 130°C、 2分間乾燥した後、 40°Cで 24時間エージングし、無孔質層を 22g /m²で形成させ、透湿性防水シートを得た。

[0045] (実施例 2)

実施例 1において、デユラネート TPA— 100 (旭化成工業 (株)製、 HDIイソシァヌレート変性体官能基数 3. 0) 4部とし、デユラネート D— 50M (旭化成工業 (株)製、 HDIイソシァヌレート変性体官能基数 2. 0) 2部を新たに添加した以外は、実施例 1 と同様にして、透湿性防水シートを得た。

[0046] (実施例 3)

実施例 1において、 A—1の代わりに、 A— 2とした以外は、実施例 1と同様にして、透湿性防水シートを得た。

[0047] (比較例 1)

実施例 1において、 A—1の代わりに、 A— 3とした以外は、実施例 1と同様にして、透湿性防水シートを得た。

[0048] (比較例 2)

実施例 1において、デユラネート TPA— 100 (旭化成工業 (株)製、 HDIイソシァヌレート変性体官能基数 3. 0) 6部、 HI- 299 (大日精ィ匕工業 (株)製、アミン系触媒) 0. 5部を削除した以外は、実施例 1と同様にして、透湿性防水シートを得た。

[0049] (評価項目および評価方法）

以上、得られた透湿性防水シートに対し、下記に示す評価を行った。評価項目および評価方法を次に説明し、評価結果を表 1に示す。

〔透湿性〕

透湿性は、 JIS L 1099 B— 1法 (酢酸カリウム法）に準じて透湿度を測定し、評価を行った。ただし、単位は 24時間あたりに換算し表した (g/ (m²' 24時間)）。〔防水性〕防水性は、 JIS L 1092 B法 (高水圧法）に準じて耐水度を測定し、評価を行った。水圧をかけることにより試験片が伸びる場合には、試験片の上にナイロンタフタ (密度:タテ +ョコ = 210本 Z2. 54cm相当）を重ねた後に、試験機に取り付けて測定を行った。

〔耐薬品性〕

耐薬品性は、 DEETを含有してヽる米国市販の防虫剤（商品名： Cutter OUTD OORSMAN、組成： DEET 21. 85%、 DEETの異性体 1. 15%、他の成分 77 . 0%)を脱脂綿に付与し、得られた透湿性防水シートの無孔質面 (および、無孔質膜面上に柄が付与されている場合にはその柄の上)を軽く 1回こすり、 2分間乾燥させる操作を 20回繰り返す処理をした後の耐水度 CilS L 1092 B法)を測定し、評価を行った。

また、前記防虫剤の代わりに、 50%DMFZ50%エタノール溶液を用いて同様の測定をし、評価を行った。

なお、単位は、当業者が比較し易いように、 JIS L 1092 A法 (低水圧法）にて使用されている水柱に換算し、 mmH Oで表した。

2

[0050] [表 1]

[0051] (実施例 4および 5、比較例 3および 4) <乾式ラミネート > 上述の各ポリウレタン榭脂溶液を含有する榭脂組成物の無孔質膜 zポリエステル平織物からなる透湿性防水シートについて、下記に示すように作製した。

[0052] (実施例 4)

以下に列挙する粘度 4000mPa' sの榭脂組成物を調製した。

A- 1 100部、 MEK 40部、 DMF 10部、デユラネート TPA— 100 (旭化成工業（株)製、 HDIイソシァヌレート変性体官能基数 3. 0) 8部、 HI— 299 (大日精ィ匕工業 (株)製、アミン系触媒) 0. 5部、 L7075 (大日本インキ化学工業 (株)製、白顔料) 1 0部

この榭脂組成物をナイフオーバーロールコータを使用して、フルダル離型紙 (リンテック (株)製)上に全面塗布した。離型紙上の榭脂をエアーオーブンにより 120°Cで乾燥し、膜厚 10 mの無孔質膜を形成した。

次に、下記のバインダ榭脂液を調製した。

Y134— 45 (大日精ィ匕工業 (株)製、二液型ポリウレタン榭脂、固形分 60%) 100部、トルエン 30部、 MEK 40部、コロネート HL (日本ポリウレタン工業 (株)製、イソシァネート) 9部、 HI— 299 (大日精化工業 (株)、アミン系触媒) 0. 5部

これをグラビアコータにより、上記の無孔質膜上に点状に塗布した後、 120°Cで乾燥し、次いで、ポリエステル平織物（タテ糸、ョコ糸とも 83dtex、 72フィラメント、タテ密度 Xョコ密度 111本 90本 2. 54cm, 目付 75gZm²)と無孔質膜をバインダ榭脂を介し、 400kPaの圧力下、 120°Cで熱圧着した。これを 40°Cで 24時間エージングした後、離型紙を剥離し、次いで、アサヒガード AG5690 (フッ素系撥水剤、旭硝子 (株)製)を用いて撥水処理を施し、 150°Cで 30秒間の仕上セットをして、透湿性防水シートを得た。

[0053] (実施例 5)

実施例 4において、 A—1の代わりに、 A— 2とした以外は、実施例 4と同様にして、透湿性防水シートを得た。

[0054] (比較例 3)

実施例 4において、 A—1の代わりに、 A— 3とした以外は、実施例 4と同様にして、透湿性防水シートを得た。 [0055] (比較例 4)

実施例 4において、デユラネート TPA— 100 (旭化成工業 (株)製、 HDIイソシァヌレート変性体官能基数 3. 0) 8部、 HI- 299 (大日精ィ匕工業 (株)製、アミン系触媒) 0. 5部を削除した以外は、実施例 4と同様にして、透湿性防水シートを得た。

以上、実施例 4および 5、比較例 3および 4にて得られた透湿性防水シートに対する評価結果を表 2に示す。

[0056] [表 2]

[0057] (実施例 6、比較例 5) <湿式乾式ラミネート >

上述の各ポリウレタン榭脂溶液を含有する榭脂組成物の無孔質膜 Z多孔質ポリウレタン榭脂膜 Zポリエステル平織物からなる透湿性防水シートにっヽて、下記に示すように作製した。

[0058] (実施例 6)

以下に列挙する粘度 4000mPa' sの以下榭脂組成物を調製した。

A- 1 100部、 MEK 40部、 DMF 10部、デユラネート TPA— 100 (旭化成工業（株)製、 HDIイソシァヌレート変性体官能基数 3. 0) 6部、 HI— 299 (大日精ィ匕工業 (株)製、アミン系触媒) 0. 5部、 L7075 (大日本インキ化学工業 (株)製、白顔料) 1 0部

この榭脂液をナイフオーバーロールコータを使用して、フルダル離型紙 (リンテック（株)製)上に全面塗布した。離型紙上の榭脂をエアーオーブンにより 120°Cで乾燥し、膜厚 10 mの無孔質膜を形成した。

次に、下記のバインダ榭脂液を調製した。

Y134— 45 (大日精ィ匕工業 (株)製、二液型ポリウレタン榭脂、固形分 60%) 100部）、トルエン 30部、 MEK 40部、コロネート HL (日本ポリウレタン工業 (株)製、イソシァネート） 9部、 HI— 299 (大日精化工業 (株)製) 0. 5部

これをグラビアコータを用いて、上記の無孔質膜上に点状に塗布した後、 120°Cで乾燥し、次いで、片面に多孔質ポリウレタン榭脂膜 (膜厚 150 /z m)が付与されたポリエステル平織物（タテ糸、ョコ糸とも 83dtex、 72フィラメント、タテ密度 Xョコ密度 11 1本 X 90本 /2. 54cm, 目付 75g/m²)の多孔質ポリウレタン榭脂膜と無孔質膜とをバインダー榭脂を介して、 200kPaの圧力下、 120°Cで熱圧着した。これを 40°Cで 24時間エージングした後、離型紙を剥離して、次いで、アサヒガード AG5690 (フッ素系撥水剤、旭硝子 (株)製)を用いて撥水処理を施し、 150°Cで 30秒間仕上セットをして、透湿性防水シートを得た。

[0059] (比較例 5)

実施例 6において、デユラネート TPA— 100 (旭化成工業 (株)製、 HDIイソシァヌレート変性体官能基数 3. 0) 6部、 HI- 299 (大日精ィ匕工業 (株)製、アミン系触媒) 0. 5部を削除した以外は、実施例 6と同様にして、透湿性防水シートを得た

以上、実施例 6、比較例 5にて得られた透湿性防水シートに対する評価結果を表 3 に示す。

[0060] [表 3]

実施例 6 比較例 5

ポリウレ夕ン

A - 1 A - 1

樹脂

(O E基含有量） ( 5 0 %) ( 5 0 %)

架橋剤の

3 . 0 架橋剤なし

平均官能基数

透湿度

[ g / (m²■ 1 6 8 0 0 1 7 2 0 0

2 4時間） ]

耐水度 2 0 0 0 0 2 0 0 0 0

[画 H ₂0] 以上以上

防虫剤処理後の

2 0 0 0 0

耐水 4 1 0 0

以上

[nimH ₃0]

(評価結果）

表 1〜3より明らかなように、親水性ポリウレタン榭脂及び特定の官能基数を有する有機ポリイソシァネートを含有するポリウレタン榭脂組成物を含む実施例 1〜6は、透湿度、耐水度、防虫剤処理後の耐水度、 DMFZエタノール溶液処理後の耐水度のいずれにおいてもその値が高かった。また、実施例の中では、ォキシエチレン基の含有量が多い方（実施例 1、 4)が、やや透湿度が良好な傾向にあった。

一方、比較例について、親水性ポリウレタン榭脂を含有しない比較例 1、 3では、透湿度の値が低カゝつた。また、特定の官能基数を有する有機ポリイソシァネートを含有しない比較例 2、 4、 5では、防虫剤処理後の耐水度の値が低ぐ比較例 2では、 DM FZエタノール溶液処理後の耐水度の値も低力つた。

以上より、実施例の透湿性防水シートは、透湿性、防水性、耐薬品性のすべてに優れて、ることが確認された。

(実施例 7) <乾式ラミネート 7柄>

以下に列挙する粘度 4000mPa'sの榭脂組成物を調製した。

A— 1 80部

A— 3 20部

デユラネート TA— 100 8部 (旭化成工業 (株)製、 HDIイソシァヌレート変性体、官能基数 3. 0)

HI299 0. 5部

(大日精化工業 (株)製、アミン系触媒）

L7075 2. 5部

(大日本インキ化学工業 (株)製、白色顔料）

この榭脂組成物をナイフオーバーロールコータを使用して、フルダル離型紙 (リンテツク (株)製)上に全面塗布した。離型紙上の榭脂をエアーオーブンにより 120°Cで乾燥し、膜厚 10 mの無孔質膜を形成した。

次に、下記のバインダー榭脂液を調製した。

Y— 134— 45 100部

(大日精ィ匕工業製、二液型ポリウレタン榭脂、固形分 60%)

トノレェン 30部

MEK 40部

コロネート HL 9部

(日本ポリウレタン工業 (株)製イソシァネート）

HI299 0. 5部

(大日精化工業 (株)製、アミン系触媒）

これをグラビアコータにより、上記無孔質膜上に点状に塗布した後、 120°Cで乾燥し、次いで、アサヒガード AG710 (旭硝子 (株)製、フッ素系撥水剤）にて撥水処理を施したポリエステル平織物（タテ糸、ョコ糸とも 83デシテックス、 72フィラメント、タテ密度 Xョコ密度 111本 X 90本 Z2. 54cm、目付け 75gZm²)と上記無孔質膜をバインダ榭脂を介し、 120°Cで熱圧着した。これを 60°Cで 72時間エージングした後、離型紙を剥離し、繊維布帛の片面に無孔質層を有する透湿防水シートを得た。次に柄付与用の榭脂液を調製した。

A— 1 100部

デユラネート TA— 100 8部

(旭化成工業 (株)製、 HDIイソシァヌレート変性体、官能基数 3. 0) HI299 0. 5部

(大日精化工業 (株)製、アミン系触媒）

HAULAC Black A— 1361 16部

(大日本インキ化学工業 (株)製、黒色顔料）

HAULAC White A— 1004 4部

これをグラビアコータにより、上記無孔質膜上に点状に塗布した後、 120°Cで乾燥し、無孔質膜上全面に点状の柄を付与し透湿性防水シートを得た。

得られた透湿性防水シートに対する評価結果を以下に記す。

ポリウレタン榭脂 A— 1ZA— 3

(OE基含有量） 50%/0%

架橋剤の平均官能基数 3

透湿度 17800gZ (m²' 24時間）

耐水度 20000mmH O以上

2

殺虫剤処理後の耐水度 20000mmH O以上

2

膜面全体にグレーの小さな点が付与されており、意匠性に優れているものであった。また、殺虫剤処理後においても柄は消えずに残っていた。

産業上の利用可能性

本発明は、透湿性と防水性が共に優れ、防虫剤、有機溶剤などの薬品類に対する耐薬品性を有し、耐久性にも優れた透湿性防水シートに適用できる。

Claims

請求の範囲

[1] 親水性ポリウレタン榭脂 (A)と、官能基数 3以上のポリイソシァネート (BO)を有する有機ポリイソシァネート (B)と、有機溶媒 (C)とを含有することを特徴とする透湿性防水シート用ポリウレタン榭脂組成物。

[2] 前記親水性ポリウレタン榭脂 (A)が、ォキシエチレン基含有高分子ジオール (d)と

、有機ジイソシァネート (e)と、鎖伸長剤 (f)とからなるポリウレタン榭脂であり、該親水性ポリウレタン榭脂 (A)に対してォキシエチレン基含有量が 10〜80質量％である請求項 1に記載の透湿性防水シート用ポリウレタン榭脂組成物。

[3] 前記有機ポリイソシァネート (B)が、平均官能基数 2. 3〜5の脂肪族ポリイソシァネートおよび脂環式ポリイソシァネートからなる群より選択される少なくとも 1種である請求項 1または 2に記載の透湿性防水シート用ポリウレタン榭脂組成物。

[4] 請求項 1または 2に記載のポリウレタン榭脂組成物を反応させてなるポリウレタン榭脂の無孔質層と、繊維布帛および Zまたは開放された連続多孔質膜とを有することを特徴とする透湿性防水シート。

[5] 前記無孔質層が、最外層またはその近傍に位置する層であることを特徴とする請求項 4に記載の透湿性防水シート。

[6] 前記無孔質層上に、請求項 1または請求項 2に記載のポリウレタン榭脂組成物を反応させてなる榭脂膜により柄が付与されていることを特徴とする請求項 4に記載の透湿性防水シート。

[7] 前記開放された連続多孔質膜は、連続多孔質ポリテトラフルォロエチレン膜であることを特徴とする請求項 4に記載の透湿性防水シート。

[8] N, N'—ジェチル— m—トルアマイド、アミド系溶媒力も選択される少なくとも 1種を含有する有機溶剤を用いて処理した後の、 JIS L 1092の耐水度が 5000mmH O

2 以上であることを特徴とする請求項 4に記載の透湿性防水シート。

[9] 繊維布帛および Zまたは開放された連続多孔質膜の少なくとも片面に、親水性ポリウレタン榭脂 (A)と、官能基数 3以上のポリイソシァネート (BO)を有する有機ポリイソシァネート（B)と、有機溶媒（C)とを含有し、粘度が 1000〜30000mPa' sのポリウレタン榭脂組成物を塗布し、乾燥して無孔質層を形成させることを特徴とする透湿性防水シートの製造方法。

[10] 前記開放された連続多孔質膜の片面に繊維布帛を貼り合わせ、もう一方の片面に、粘度が 1000〜30000mPa' sの前記ポリウレタン榭脂組成物を塗布し、乾燥して無孔質層を形成させることを特徴とする請求項 9に記載の透湿性防水シートの製造方法。

[11] 離型紙上に親水性ポリウレタン榭脂 (A)と官能基数 3以上のポリイソシァネート (BO )を有する有機ポリイソシァネート (B)と有機溶媒 (C)とを含有するポリウレタン榭脂組成物から調製した塗工液を塗布し、乾燥して無孔質膜を形成した後、無孔質膜上にノインダー榭脂を付与し、ノインダー榭脂を介して無孔質膜と繊維布帛および Zまたは連続多孔質膜を貼り合わせ、その後離型紙より剥がすことを特徴とする透湿性防水シートの製造方法。

[12] 前記開放された連続多孔質膜は、連続多孔質ポリテトラフルォロエチレン膜であることを特徴とする請求項 9または 11に記載の透湿性防水シートの製造方法。